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◆あらすじ
変身するとふたなりになってしまう、お嬢さま口調な正義のヒーロー”アリアテネ”。色仕掛けなんてくだらない攻撃に敗北した彼女は、敵のアジトで搾精地獄を受けることになります。女怪人たちによる手コキで、フェラチオで、パイズリで、オナホールで、そして本番セックスで……実にさまざまな方法による、射精禁止→強制連続射精のコンボ。そして、1度空っぽになるまで精液を搾り取られるだけでは終わってくれない、彼女の悲惨な末路とは。
※この作品は、Pixivリクエストで頂いた有償リクエストの作品です。
U県K市。あまり大きいとはいえないこの町では時折、女性の姿をした『怪人』が現れるようになった。
女怪人の体格は一般女性並みだが、肌は血が通っていないかのように青紫色。大きな胸と尻、衣装はボンデージ。頭には角、背中には羽、尻には尻尾。ある女怪人は腕に刀剣を生やし、またある女怪人は銃器を搭載する。どの女怪人にも共通していたのは、逃げ惑う若い女性を優先的に捕まえるということだった。
そして、そんな女怪人たちを率いる1人の女性がいた。
「安心なさい、ただ、貴女の魔力をちょっと頂くだけ。痛いことはしないし、むしろ気持ちよくて病み付きになっちゃうかも……♡」
名をニク。肌が薄橙色で、手足に異物が生えていないことを除けば、暴れ回る怪人たちと同じ姿形をした彼女は、捕まえた少女に向かって舌なめずりしながら笑う。
その傍ら、女怪人たちは気の赴くままに、町をほどほどに破壊しながら女性たちを襲い続けた。
しかし、悪い怪人には、『正義のヒーロー』が付き物である。
「そこまでですわよ、ニク!」
「……やっぱり、今日も来たわね。アリアテネ」
その名をアリアテネ。『少女』とも『女性』とも呼べるであろう年頃の、人形のように目鼻立ちの整った彼女。波打つ髪は色素が薄く、肌も透き通るよう。白いシャツと白いスカート、白いソックス、白いブーツ。しかしその中に着込んだ、まるでレオタードのようなぴちりとしたインナーは紺色。
アリアテネは、女怪人たちを率いるニクをぴしりと指さして言い放った。
「いつもいつも、町の人々の平穏を脅かして。今日という今日は、わたくしが赦しませんわ!」
「ふん。そう簡単にいくかしら?」
魔力で作られた巨大な剣を構えるアリアテネ。腕に生やした武器をアリアテネに向ける女怪人たち。
正義のヒーローと悪の怪人たちの戦い――その結果は、いつも決まっていたのだった。
――――
――
深夜、某所。女怪人たちを率いていたニクは、暗闇の部屋でノートパソコンを凝視していた。
「これで二十と、何戦だったかしら」
ニクは首を横に振った。詳細な数を考えても仕方ない、どうせ何十戦であろうと、全て負けていることは変わらないのだから。
ノートパソコンの画面に映るのは、憎き敵アリアテネとの戦闘を撮影した動画。
相対するは、自身をベースに生み出し、武装した女怪人たち。刀剣を使うものもいた、銃器を使うものもいた。しかし、その全てがアリアテネの巨大な剣に蹴散らかされる。魔力は膨大。戦闘技術も、まあまだ荒く、時折妙に動きが悪くなることがあるが――ほのかな違和感――年の割には悪くない。
「あの強さは、まるで……」
ニクはまた、首を横に振る。こうも負け続きだと、雑念も湧いてしまう。
使命を果たそう。今は何としても、アリアテネを打ち倒す手段を考えなければ。
それは、何てことのない瞬間だった。
「あらいけない」
ノートパソコンに映る、アリアテネとの戦闘記録。
アリアテネが身を翻した瞬間に、スカートの中身がちらりと見えたのだ。下着……というよりは、ぴちりとしたレオタード型のインナー。ニクはうぶな中学生男子ではないのだから、同性のスカートの中身が見えたからといって、特段色めき立つようなこともない。その言葉も、感情の伴わない空虚なもの。
しかし、ニクはその映像を二度見した瞬間、椅子をがたんと鳴らしたのだった。
「……ふーん、なるほどねぇ♡」
――――
――
日曜日の朝。もう何十回目ともなった、正義のヒーローと悪の怪人たちの激突。
アリアテネは町の中央にある商店街に赴いていた。
「ニクという女性も、いい加減しつこいですわね」
そう独りごちるアリアテネの口元は、しかし薄らとした笑みが浮かんでいた。
始まりは、突拍子もない出来事からだった。彼女は最初、恵まれた家柄であることを除けば、至って普通の少女だった。『町に怪物が現れるようになった』といううわさを教室で聞いて、『くだらない』と思いながら『怖いな』とも思った。
そんなある日の帰り道、突然頭の上に何かが落ちてきた。かつんと鳴った頭を押さえながら涙目で地面を見てみると、赤い宝石の付いた真っ白なブレスレットが転がっていたのだ。頭上を見上げても、空しかない。鳥が運んだのだろうか。そして何となく、そのブレスレットが素敵なデザインだと思ったから、彼女はつい自分の右手首にはめた。
全身から白い光が放たれて、自身の変貌と共に、何でもできそうな力が湧き上がるのを感じたのだった。
それからアリアテネは、自身の使命を確信した。神話における戦いの女神の名を冠し、正義のヒーローとして町を脅かす怪人たちと戦うこと。それはテレビアニメでも見たことがあるもので、最初は『子どもっぽいな』と少し恥ずかしかったけれど。力を奮う快感と、称賛の声を浴びる優越感は堪らない。
勝利を続けてきた彼女は、今回も自分の勝利を確信していた。
「あら、今回は随分と貧相な装備ですこと」
アリアテネは笑う。
今まで、女怪人たちはあの手この手で戦闘力を高めてきた。最初は両手で小さな火球を投げつける程度、次に刀剣や弓矢などの前時代的な武器を装備するようになって、前回はほとんどが銃器搭載。
しかし今回、女怪人たちは数こそ多いものの、何か特別な装備をしているようには見えなかったのだ。
「正直なことを言うとね、銃器っていうのは魔力の消費が激しいのよ」
「あらそうですか。そんな体たらくで、わたくしに勝てるとお思いですか?」
「大丈夫よ。今回は、魔力をほとんど使わない戦法を考えてきたから」
アリアテネは身構える。相手はそもそも現代の常識から外れた存在だ、一体何をしてくるのか見当も付かない。
しかしニクが指を鳴らした瞬間、女怪人たちはアリアテネの予想からまったく外れた行動に出る。アリアテネに襲い掛かるわけでもなく、反対に逃げるわけでもなく。自身の着ているボンデージの上をずらして、大きな胸を露出させたのだ。
「――んなぁっ!!?」
顔をぼんと赤くするアリアテネ。女怪人たちは露出させた胸をゆさゆさと揺らしながら、アリアテネに近づいていく。
「な、何のつも――」
アリアテネは我に返る。
相手は敵。どんな思惑があろうとも、そしてどんなに扇情的な格好であろうとも、巨剣でもってたたき切ればいい。アリアテネは後ろに飛び退いて、距離を取ろうとした。
しかし。
「くあぅっ!」
「……ふふ」
アリアテネは何の攻撃も受けていないというのに、背中を丸めながら悲鳴を上げる。一足で10mぐらい飛び退くつもりだったのに、よたよたと2歩、3歩後ずさるだけ。その様子を見て、ニクの口角が持ち上がった。
大きな胸を露出させた女怪人たちは、もうアリアテネが手を伸ばせば届く距離。巨大な剣を振るうには、間合いが近すぎる。
「っ……離れなさいっ!!」
アリアテネは腕で女怪人たちを押しのけようとした。魔力によって増強された腕力は、大の大人のそれよりも強い。しかし、アリアテネの突き出した右腕は、1体の女怪人の胸をぐにゅりと押しつぶす。
「ぅお――っ♡」
途端に緩む力。さらに曲がる背筋。
そうこうしている間に、女怪人たちの体が、腕に、腰に、脚に絡み付いていく。
「ぅぁ、ぁ……!? ぁ――♡ ぁぁぁぁぁぁ……!!」
アリアテネはもう、真っ赤な顔でぷるぷる震えるだけ。全身から、むにむに、むにゅむにゅという擬音すら聞こえてきそうな気がした。そして。
バチリ。
「が、ぁ――ッ!!?」
アリアテネに絡み付く女怪人のうち1人が、攻撃した。鉤状に曲げられた親指と人差し指の間から、高圧の電流を発生させて、アリアテネの後ろ首に押し付けたのだ。まるでスタンガンのような攻撃に、アリアテネは女怪人たちに絡み付かれたまま、その場で気絶してしまったのだった。
「……こんなにあっけなく勝てるなんてね。今までの苦労は何だったのかしら」
ニクはため息を付いた。その表情は呆れたようでありながら、強い悦びをにじませている。
煙のようにふっと消える女怪人たちと、アリアテネを抱えてそのまま歩き去ってしまうニク。周囲には戦いを見守る幾ばくかの人々がいたが、アリアテネを下した彼女を追おうとする者は、誰一人いないのだった。
――――
――
気絶したままニクに運ばれたアリアテネは、ほんの数十分ほどで目を覚ます。しかし、その時にはもう全ての準備が終わった状態だった。
場所は、ニクが所有する秘密基地。とはいえ、コンクリート打ちっぱなしで窓も何もない、殺風景で暗い部屋のど真ん中に拘束されていては、何の情報も得られそうにない。……拘束。そう、拘束だ。
変身して戦うようになってから、アリアテネは特撮とかアメコミとか、そういうヒーローものをテレビや漫画で見て勉強してみたことがある。すると、主人公が台座に乗せられて、改造手術を強いられる場面があった。今、彼女が置かれていたのはまさにその状況だ。円形の台座にあおむけに寝かせられて、両手足を大の字に開かされて、手首に、二の腕に、足首に、太ももに、金属の分厚い枷がはめられている。
「貴女には外せないわよ。その台座にはうんと予算掛けてるんだから」
「ニク……っ」
「まあ落ち着きなさいな。そう言えば、貴女とゆっくり話す機会なんてなかったわね」
アリアテネが寝かせられた台座の側には、ニクがにまにまとした表情で立っていた。その顔は嘲るようでありながら、どこか純粋なうれしさも感じ取れたし、何か背筋が寒くなるような艶も垣間見える。
「わたくしにこんなことをして、一体どういうつもりですの……っ」
「それは、貴女もよく知ってることじゃないかしら」
「町を襲って何をするかと思えば、女性を辱めるだけ。そんなあなたの行動原理が分かるとでも?」
しかし、アリアテネが吐き捨てると、ニクはきょとんと少し間の抜けた表情に変わるのだ。
「あら。私ったら、そんな風に認識されてたの?」
アリアテネは『そう言えば、彼女たちの目的を知らない』と思った。ただ、町を、そして若い女性たちを襲うから、自分が退治していただけ。あまりにも今更だし、どの道悪いことには変わりないのだから、どうでもいいと言えばどうでもいいのだけど……1度気になるともやもやする。
すると、ニクはひとしきり考え込むような態度の後、『まあいいわ』と笑った。
「うーん、そうね。私って、実は異世界の魔族なの」
「……は?」
「今ね、人間と魔族が戦争をしていて。だけど、ちょっとこちらの旗色が悪いのよね。人間って数だけはやたら多いから、それだけで厄介なのだけど。その上、『勇者』とかいうやつが出てきたみたいでね。単騎で一個師団を押し返すなんて、軍事の常識もへったくれもないわ」
それはまるで、漫画かアニメか、ゲームかで聞くような話。自分で聞いた話とはいえ、アリアテネはどう反応すればいいのか迷った。
「魔王様は私に命じられた。いわく『別の世界に渡って戦力を整えてこい』と。使命は半分成功したわ。この世界は魔力に頼らない分、他が発達している。特に、重火器――あれは私の世界にはない、極めて強力な武器、そして発想。だけど、魔法で再現するとなると、魔力の消費がちょっと激しすぎるのよ」
「悪役が身の上話をつらつらと始めるのは、死亡フラグと言うらしいですわよ?」
「貴女が聞いたんじゃない」
結局、アリアテネはふんと鼻を鳴らすことにした。ニクの言うことが本当であろうがなかろうが、和解の余地はないと感じたのだ。
しかし、それはニクとて同じだった。今更、アリアテネと仲良しこよししてそのまま帰すつもりなどない。
「つまり、ね。武器を得た次は、魔力が必要なのよ……っ♡」
「――ぅひぁっ!?」
唇を裂いて笑うニクの顔ばかりに気を取られていて、他への意識がおろそかだった。アリアテネは突然、腰が浮くようなむず痒さを覚える。
ニクが、アリアテネの股間にそっと手を置いたのだ。
「やめっ、そこは――!?」
「あらあら、手を置くだけで硬くなってるわよ?」
「っ、く……!? あなた、まさか知って……!」
ぴちりと貼り付いた紺色のインナーから浮き上がるのは、女性器の慎ましやかな土手……だけではなかった。その上に、確かな存在感を覚えさせるのは、かちかちに勃起した男性器。
それは決して作り物などではない。アリアテネは女性でありながら、股間に男性器を生やしたふたなりだったのだ。
「まさか、女性である貴女におちんちんが生えてるなんてねぇ♡」
「これは……!? 変身したら、自然と出てきて……っ」
アリアテネは顔を真っ赤にしながら口ごもる。
ふたなりは、彼女にとって何より最大の恥部だった。反射的に反論してしまった通り、生まれつきのものではない。変身すると、自然と生えてしまうのだ。その原理はまったく分からないが、とにかく、こんなものを恥ずかしいと思わないほうがおかしい。何なら、女性器を間近でまじまじと見られたほうがまだマシだ!
「……へえ、肉体の変化? そんな作用もあるのね」
「……? っ、あ、やめ、なで……!?」
アリアテネは、ニクのその声音、その文脈に違和感を抱いた。しかし、『気を取り直して』と言わんばかりに男性器を手のひらでなでられ始めると、些末なことを気にしてはいられない。
「それにしても、かわいらしいおちんちん♡ あまりにも小さかったから、つい先日まで気付かなかったぐらい」
「んな……っ!? こ、これはそもそもっ、勝手に生えてきたもので、わたくしのものでは……っ!」
「受け入れなさいな。どんな経緯で生えてきたにせよ、これが貴女のおちんちんなの♡ うーん、私の指とどっちが大きいかしら?」
「っやめ!? 指を添えないでくださいぃっ!」
女であるからには、生まれて1度ぐらいは胸の大きさを気にしたことはあるけれど。まさか男性のそれの大きさを気にしなければならない日が来ようなんて……。
実際、アリアテネの男性器は普通と比べればかなり小さい。何せ、戦闘中たまに女怪人たちの少々過激な姿に欲情していたにもかかわらず、スカートの上からではその存在に気付かれなかったのだ。勃起し、包皮も剥けているにもかかわらず、そのサイズは子ども並。
「思えば妙だったのよ。貴女、戦いのさなか、たまに動きが妙に悪くなるのよね。まさか、小っちゃいおちんちんが勃起していただなんて、誰が思うかしら」
「それは、あなたたちの格好が……! っくぅ……!?」
「あら、タマタマは付いてないのね。生殖を想定しているわけではなさそうだし、問題ないのかしら」
「いつまで、見てっ、っ~~~!!」
「あら失礼。まあ、この際大きさや形はどうでもいいわ。そんなことよりも、まさかちょっと色仕掛けをしてあげるだけで、あんなにも動けなくなっちゃうなんて。正義のヒーローとして恥ずかしくないの?」
「――ひぅあっ♡ ぁひっ!? やめ、引っかくのは、やめぇぇ……!!?」
アリアテネは否定したかった。性欲と性感に誑かされて、揚げ句の果てに敗北してしまうなんて、考え得る限り最悪の負け方だ。しかし、それは紛れもない事実なのだから、反論もできない。
おまけに、レオタードのようなボディスーツの上から、裏筋をかりかり、かりかり、かりかりかりと執拗に引っかかれていては、口から出るのは喘ぎ声だけだ。
「布越しでも分かるぐらいに跳ねてる。期待してる反応ね。ねえ貴女、これ、使ったことがあるでしょう?」
「な、なな……っ!? そ、そん、な……!!」
「図星ね」
アリアテネの真っ赤な顔が、さらに真っ赤に染まった。
恥ずかしくて誰にも言えたことではないが、アリアテネは自分の男性器で遊んだことがある。そういうことに興味があったから、敵なんていないというのに自室でわざわざ変身して、小さな小さな男性器を感覚の赴くままに弄り倒したのだ。最初は何をどうすればいいのか分からなかったけれど、いつの間にか握り込んで、一生懸命前後にしごいていた。生まれて初めての射精は、シーツをべったりと汚してしまって、後始末に大層苦労した。
「こういうことで、私にうそをつけると思わないことね。サキュバスって知らないかしら? 私たちはね、人間の精を奪うことで魔力を得るの」
「さきゅ、んぅうっ♡ くぁ、ひゃっ、ぁあ……!!」
「サキュバスにも種類があって、私はどうにも女性からしか精を奪えない、ちょっと特殊な個体なのだけど、まあいいわ。とにかく、こういうことに関する知識と経験は誰よりもあるってこと」
「ひうぁあっ!? やめっ、刺激、変わってっ、ぇぅんんぅっ♡♡」
快感のベクトルが変わる。指先でかりかりと引っかくのではなく、手のひらですりすり、ぐりぐりと陰茎全体を摩擦し、揉み込むような動き。レオタードがずれて、小さな男性器が露出する。
「女の子が、ご丁寧にこーんな蛇口を生やしているのだもの。それはもう、搾りがいがあるわよねぇ……♡」
「んぐっ、ふっ、ぅ゛ぅぅううっ!! こん、なのっ!! ぜん、ぜんっ♡♡ 効きませんんんんっ!!」
アリアテネは歯を食い縛って耐えようとした。羞恥心の中に、正義のヒーローらしい敵意と焦りが混じり込む。ニクは自分を『サキュバス』と言った、『人間の精を奪うことで魔力を得る』とも言った。もしも射精することで相手に力を与えてしまうのだとしたら、正義のヒーローとして、絶対に射精するわけにはいかない。
それでも、ニクの愛撫は執拗。その上アリアテネの男性器は敏感すぎたし、おまけに、あまりにも雄が過ぎた。
「せっかくだから、サービスしてあげる」
「さ……っ? 何を、しようと、あなたなんかに負ける、わけ……っ!!」
「ほぉら、あなたの大好きなおっぱいよ♡」
それは、先ほどの戦闘で、女怪人たちがやったのと同じこと。ニクは自身のボンデージの上を指でつまんでずらして、大きな胸を露出させたのだ。
「ぅお――っ♡」
アリアテネのそのうめき声は、あまりにも雄らしい。
彼女だって年の割にはそれなりに大きな胸を持っているけれど、ニクのそれは比較にならない。ばるんという音でも聞こえてきそうなぐらいだ。大きな乳房は柔らかく、しかし乳首は見るからにこりこり硬そうで。
アリアテネは、自分の男性器の奥があっという間に上っていくのを感じたのだった。
「っあ――♡♡♡ ぁ――!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ くぁ、ひ――っ!!! っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
他人にイカされたことのなかったアリアテネは、今まで味わったことのない快感に悲鳴を上げた。熱い精液が、尿道をごちょごちょとくすぐっていく。一方で外側からは、ぐりぐりというニクのしつこい手淫。外側と内側の両方から快感に挟まれて、男性器がどうにかなってしまいそうだ。紺色のボディスーツの中が、真っ白な精液で汚れていく。
「な、ぁ――♡♡♡ 何、これっ、長い――!!? ひぁ、ぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!?」
ニクがおかしいと思ったのは、射精が長いということだった。独り遊びした時もシーツをべっとり汚してしまうぐらいだったけれど、今の射精はその時よりも明らかに長く、多い。そしてその分だけ、快感が続く。男性器というたかだか1点の快感が、じく、じくと全身に広がっていく。
「ひぁ、ぁっ……♡♡♡ は、ぁぁ……!! はぁぁ……♡♡♡」
そして、十数秒掛けて長い長い射精が終わる。その時には、アリアテネは全身にぐったりとした倦怠感を感じていた。
そう言えば――アリアテネはネットか何かでひっそりと調べたことがあった。『男性の射精は、100mを全力で走るのと同じぐらい疲れる』だとか。でも、それは間違いじゃないか? だってこの姿なら、何kmだって息を切らさずに走れるはずなのに。それとも、これが『サキュバスに精を奪われる』ということなのだろうか。
強烈な快感が引いていくのと同時に、羞恥心が胸を満たしていく。まさか、敵の行為で射精してしまうなんて。しかも胸を見せびらかされて興奮するなんて、淑女としてあまりにも卑しい。
「思った通り、貴女の魔力は凄い量。世界が違えば『勇者』なんて呼ばれてたかもしれないぐらいの……」
「は、ぁぁ……。ぁぁ……っ」
「やっぱり、貴女はただで帰すわけにはいかない」
ニクは、手に付いたアリアテネの精液を舌でなめ取りながら笑った。
ただそれだけで、アリアテネの男性器がまた硬くなっていく。それがどうしてなのか、アリアテネにはよく分からなかった。彼女のそこは雄でも、彼女自身は女性そのもの。自身の体の一部の価値観があまりに違いすぎて、頭がおかしくなる心地がする。
「お遊びはおしまいよ。貴女の魔力を頂く、私たち魔族の繁栄のために」
その言葉は、何かとんでもないことを始める前触れのように聞こえた。
だから、アリアテネは思った。自分はこれから、何かよく分からないけれど、とんでもなく気持ちよくさせられてしまうんだ――1度は萎んだはずの男性器はもうとっくに、ぎんぎんと硬く勃起していた。
ニクの指先が赤紫色に光る。それは何かの魔法のようだが、アリアテネが今まで見たことのないものだった。
アリアテネの小さな男性器の根元に、円形の魔法陣が浮かぶ。男性器に何かされるというのは恐怖だったが、ゴムバンドで締め付けられるかのようなほんの少しの圧迫感を覚えるだけ。
「これは、一体……」
「すぐに分かるわ」
何らかの魔法がかけ終わると、ニクはアリアテネを拘束している台座から離れてしまう。アリアテネが無意識のうちに名残惜しそうな表情を浮かべてしまうのは一瞬、代わりに近づいてくるのは、青紫色の肌をした女性型の怪人たち。その数は十数体。
「今まで紹介したことがなかったわね。それは魔力で作った、私の分身体。私の意思通りに動くし、ある程度自動で動かすこともできれば、武器を取り付けたりとか、パーツをカスタムすることもできる」
もっとも、アリアテネが一見する限り、今自分に近づいてくる女怪人たちが、何かパーツをカスタムしている様子はない。
女怪人たちは、ニクが本来持つ細くしなやかな両手で、アリアテネの全身をなで回し始めるのだ。
「ひぅぁひゃっ♡♡♡ ひっ、ぁっ、何してっ!!? これっ、くすぐったはっ、ぁ、ぁあぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」
頭、首筋、肩、腕、手のひら、背中、腋、胸、腹、腰、太もも、ふくらはぎ、足の裏――拘束されている全身が、ほんの少しだけひんやりとした手に包まれる。触れられていないのは、男性器ぐらいのものだ。
時には、すりすりと愛でるように。時には、さわさわとくすぐるように。時には、ぐにぐにとマッサージでもするかのように。全身が、気持ちよさと、むず痒さと、心地よさに包まれる。
「ちょっとくすぐったいかもしれないけれど、こういうのも気持ちいいでしょう?」
「こんなのっ、気持ちいいわけが――!!? ひくっ♡♡♡ ぅ、ぅぅぅぅううっ♡♡♡」
「まったく、これだから下半身でしかものを考えられない雄は駄目ね。本来、性行為というのは、こうやって全身をたっぷり気持ちよくして愉しむものなのよ? せっかくだから、その悦びも教えてあげる」
「いらな――♡♡♡ いらな、いぃぃっ!!! っ、ぅあっ、ぁぁぁぁああっ♡♡♡」
アリアテネは歯を食い縛って、快感に抗っている。確かに抗ってはいるが、どこか張りがない。本気で抵抗するなら、手足の拘束具を引きちぎろうと試みたり、頬を優しくなでる手に噛みついてやったりしてもいいだろうに。
実際のところ、アリアテネは少しだけ今の状況をナメていた。
くだらない作戦に敗北し、ここに連れてこられた時はどうなることかと思いきや、結局相手のやることは自分に性的快感を与えることだけ。敵に犯されるというのは気分のいいものではないけれど、少なくとも、自分を屈服させることなど到底できない。
心の片隅に、ほんのわずかな油断がにじむ。
「っ、ふ、ぅぅぅ……♡♡♡ これっ、いつまで、なでてっ♡♡♡ ぅあっ、くっ、ぅぅぅっ!!?」
全身をなで回されるというこの情事のやり方は、アリアテネにとって未知のものだった。だって、射精欲にとらわれた彼女の自慰なんて、ただひたすらに男性器をしごき倒すぐらいしかなかったのだから。
そのせいか、アリアテネはあっという間に、今の行為に対して物足りなさを感じるようになる。
「これ、いい加減、にっ♡♡♡ っ、ぅぅ、ぅぅぅぅっ!!!」
アリアテネは無意識のうちに、女怪人の群れの向こうにいるニクに視線を送った。露出させたままの胸をちらりと見てから、下半身を凝視する。
「嫌よ、貴女の相手なんて。そんな小さなもの、挿れても気持ちよくないもの」
心底ばかにするような嘲り顔に、アリアテネは目の前の女が憎き敵であることを思い出したのだった。
「っ、も、もぉっ♡♡♡ 全身が敏感にっ、これ、おかしく――♡♡♡ ぁくっ、ぁぁぁあっ♡♡♡」
女怪人たちによる全身愛撫が続く。
敵の齎す感覚に流されてはいけない――アリアテネはそうは思うけれども、やっぱり射精できないのはつらい。
両手が、勝手に自分の男性器をつかもうとしている。がちがちがちがち、ぎちぎちぎちぎち――拘束具が音を鳴らし続ける。その音は何か、自分の限界をニクに知らしめるバロメータのように感じられてひどく癪だったけれど、体は意思に反して射精を欲し続けてしまう。腰がかくかくと上下に動いていることに、彼女自身は気付いていない。
ああ、射精したい――だからアリアテネは、女怪人たちの柔らかな手に埋もれながら口を開くことにした。
「ど、どうして……♡♡♡ 射精させないんですのぉ……!!?」
アリアテネ本人としては、あくまでも『質問』のつもりだったらしい。ただ、魔力を搾り取ろうとしているサキュバスにしては、今の状況は極めて非合理的なものだから。ただ、確認のために聞いただけ。それが事実上の『敗北宣言』だということに、彼女は気付かない。
そしてその敗北宣言は、ニクというサディストの心を嫌にくすぐるのだ。
「――射精させる気なんてないわよ?」
「……は?」
アリアテネは、ニクの言うことが理解できなかった。
だって、彼女は自分から魔力を搾り取るためにこうしているわけで。射精をさせなければ、魔力を搾り取ることなんてできないわけで。
ニクが、アリアテネの男性器の根元に巻き付いた魔法陣をつんと指さした。
「これはね、射精禁止の魔法」
魔法陣は今もなお、赤紫色の光を放っている。
アリアテネは無意識のうちに、腰を左右にぶんぶんと振った。魔法陣を振りほどくような動きは、しかし何の意味もなさない。背筋がじりじりと焦げ付いていくような心地がした。
「その、それは、な、何かの例え話ですの……?」
「あいにくだけど、私、詩人とかじゃないのよ。そのままの意味よ」
「ど、どうして、そんなことを……っ」
「理由、要るかしら」
「これ、一体、いつまで……」
「さあ、どうかしら」
アリアテネが何を聞いても、ニクは曖昧な答えを返すだけ。
理由の分からない責め苦は、アリアテネの心の隙を突く。アリアテネは、自分の心の防波堤にぴしりとひびが入ったような心地がした。
「嫌、です……。射精、させてください……」
「嫌よ」
「お願い、です……っ。お願い、ですから……!」
「さて、私はデータをまとめておこうかしら」
「お願いですっ!!! お願いですからっ、射精させてくださいぃっ!!? これっ、つらい、つらいんですのぉぉ!!?」
アリアテネは一生懸命、『射精させてください』と叫んだ。
ニクの曖昧な返事が、アリアテネをそうさせた。だって、この射精禁止に理由なんてないのだから。理由がないんだったら、一生懸命お願いすれば射精させてくれるかもしれないから。
その姿は、悪の怪人たちに相対する正義のヒーローには到底見えないだろう。
「あら、ごめんなさい。手が止まってたわね」
「ひぁ、ぁ゛――♡♡♡ やだ、なでないでくださっ!!? 今は嫌っ、射精したくなっちゃうからぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああああっ♡♡♡」
そして、アリアテネがとてもいじめがいがあったから、ニクの嗜虐はさらに加速する。
今まで散々さわってくれなかったのに。女怪人の1体が、アリアテネの小さな男性器を指でつまんだのだ。
「ひぁぅぉぇぅぁああっ♡♡♡ っ――!!? っ――!!!」
「そんなに気持ちいいのが好きなら、もっと気持ちよくしてあげようと思ってね。もちろん、射精はさせないけれど」
「やめっ、やだっ、射精できないっ♡♡♡ 射精できないの嫌だぁぁぁぁぁああああっ♡♡♡」
それは望んだ行為では断じてなかった。
本来であれば、指でつままれただけで噴水のようにどぷどぷ射精していただろうに。射精禁止の魔法を掛けられているせいで、それができない。精液が上ってくる感覚は確かにするのに、魔法陣の巻き付いた男性器の根元でぴたりと止まってしまう。
気持ちいいはずなのに、最後の一押しがやってこない不快感がずっと続くのだ。
それから、女怪人たちは射精禁止の魔法陣でアリアテネの男性器の根元を縛ったまま、さまざまな方法で彼女の男性器を玩ぶ。
例えば、その器用にうごめく手で上下にしごく者。
「うぉ゛っ、ぉぉぉぉおおおっ♡♡♡ どうしてっ、どうしてこれで射精でぎないんですのぉぉぉおおっ♡♡♡ おかしいっ、おかじいっ、おかしいぃ゛ぃぃぃぃぃいいいいいいいっ♡♡♡」
独り遊びでも愉しんできた感覚はよくなじむ。最も射精しやすいであろう刺激であるはずなのに、やっぱりその半歩前で進まなくなってしまう。アリアテネは腰をぎんぎんと上に突き出しながら、苦しみ声を上げるだけ。
例えば、唾液をたっぷり含ませた口に咥え込む者。
「ひゃぅぁぁぁあああっ♡♡♡ ぉ゛っ、何、これ、舐めっ♡♡♡ こんなの、今までっ♡♡♡ ぁ゛ひっ、ぁぁぁああ、ぁぁぁぁぁぁぁああああああっ♡♡♡」
独り遊びでは味わえなかった、未知の刺激がやって来る。手コキのように、ただ射精を促す感覚だけではない。神経を玩んで、男性器を敏感にさせていくような――。それでもアリアテネの射精は魔法陣によって妨げられる。
例えば、大きな大きな胸に挟み込む者。
「ぉ゛おっ♡♡♡ お、ぉ、おっ♡♡♡ お、ぉ゛ぉぉおおおおっ♡♡♡」
「この子ったら、すっごい凝視してるわ。そんなにおっぱいが好きなのかしら」
「ち、違――!!? そ、そんな、わけ――♡♡♡ ぉ゛ぉ、ぉぉぉぉぉおっ♡♡♡」
それは視覚において圧倒的暴力だった。柔らかな乳房に男性器をすっぽりのみ込まれる刺激自体は、もしかしたら手で強く握り込んだほうが強いかもしれない。しかし、自分のよりもずっと大きな胸が、つぶれ、伸び、形を変えながら自分の股間をこねくり回す光景は、到底目を離せるものではない。
そして、腕に何かを生やした女怪人まで出てくる。
「な、何ですか、それ――♡♡♡ だ、だって、今まで、普通の手でっ♡♡♡」
女怪人、すなわちニクの分身体は、パーツをカスタムすることもできる。戦場では、腕に刀剣を生やす者もいた、銃器を生やす者もいた。しかし、今の彼女たちは明らかに違うものを生やしている。粘液をまとった、ぷにぷにと柔らかそうな筒型のもの――。
「これも、この世界に来て初めて知ったものよ。『オナホール』なんておもちゃに精液を無駄撃ちするなんて、サキュバスとしては業腹ものだと思ったけれど。案外便利なものね」
「――ぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ♡♡♡♡ なに、これっ、おかしいっ♡♡♡♡ おかしいおかしいおがじいぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい♡♡♡♡」
ひだに覆われた筒の中に男性器をねじ込まれた瞬間、アリアテネは雄叫びのような悲鳴を上げた。手とも、口とも、胸とも違う、まさに人を射精させるためだけに作られた道具だけが齎すことのできる快感だった。
「ちゃんと挿ってるかしら? 貴女のは小さすぎて、ふふ♡ 大丈夫のようね」
「ぁ゛、ぁぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡ きついきづいぎついぃぃぃぃぃぃいいいいっ♡♡♡♡ しゃせっ、射精がっ、ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁあああああああっ♡♡♡♡ ごめんなさいっ、ごめんなざいぃぃぃぃぃいいいいいいいいっ♡♡♡♡」
こんなにも犯されなお、アリアテネは射精できない。いつしか、謝罪の言葉まで出始める始末。しかし、いくら赦しを請うても、絶頂禁止状態での快楽責めは止まらない。
そのさなか、アリアテネは彼女本来の女性器で何度も絶頂する。それでも、まったく満たされない。何なら、イッている最中でもまったくイッていないような気すらする。変身した姿では、彼女本来のものよりも、その小さな雄が圧倒的に優位だったのだ。
――――
――
そうやって、アリアテネは長い時間、射精をお預けされながらの快楽責めを受け続けた。
時間にして5~6時間ほど。この部屋には時計も窓もないから、時間の感覚が狂わされる。アリアテネはもう、何なら数日間、この責め苦を味わわされていたような気すらした。
「ひぐっ、ぅ、ぐす――♡♡♡♡ ごめんな、さいぃ――♡♡♡♡ ごめっ、なさ――♡♡♡♡ ぁぁぁぁぁぁ――♡♡♡♡」
涙をぼろぼろと流しながら、うわ言のように『ごめんなさい』をこぼし続けるアリアテネ。もう完膚なきまでに心をぼろぼろにされて、希望なんてすっかり失ったころ。不意に、ニクの声が耳によく響いた。
「さて、そろそろ頃合いかしら」
「ぁ、ぁぁ、ぁぁぁ――♡♡♡♡」
「あら、聞こえてないのかしら? せっかくこれから、たくさん射精させてあげようっていうのに?」
「ぅあ、あ――!? ぁ――♡♡♡♡」
ニクがそう言った時、アリアテネの胸からにじみ出てくるのは、敵に対して絶対に抱いてはいけない感情。しかし、それは一瞬だけだ。
ニクは、アリアテネの小さな男性器に巻き付いた魔法陣を指さして、唇を裂くようにして笑うのだ。
「その魔法なんだけどね。今までの貴女の快感が、全部ストックされてるの」
「……え?」
アリアテネは、彼女の言葉の一つ一つを理解できても、その全体の意味までは理解できなかった。……ただ、何か、ニクは今ひどく不吉なことを言ったような気がする。
「つまり、貴女はこの数時間、1度たりともイクことができなかった。それは、快感がおちんちんの根元でせき止められていたから。決して、快感が消えてなくなったわけではない、それは今もなお、貴女のおちんちんの根元に溜まったまま。それじゃあ、魔法を解いたら、快感はどうなるかしら?」
一つ一つ、順番に言い聞かせるような説明に、アリアテネの脳が勝手に想像してしまう。
この数時間、もしも射精を禁止されていなければ、どれだけの回数射精できただろうか。たった1回の射精で、気がどうにかなってしまうような心地がしたというのに。それが、何回分、何十回分、何百回分、全ての快感が一塊になって、尿道を駆け巡っていく。
すっかり鈍った頭では、そんな光景を想像するのに時間が掛かった。一拍も二拍も遅れて、アリアテネの顔がぞっと真っ青に染まると、ニクは楽しそうに笑う。
「さぁ、お愉しみの時間よ」
「ま、待――ッ」
アリアテネが制止しようとしても、もう遅い。
ニクが指先をほんのりと光らせると、まるで絡まった糸がほどけるように、魔法陣は消え失せる。その瞬間、数時間掛けてたっぷりと溜め込まれた快感が、一塊になってアリアテネを襲う。
それは、不思議な現象。アリアテネは、すぐには射精できなかったのだ。
「――ぉ゛ぐッ♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉぉぉぉぉおおおっ!!!!? ぉぉぉぉぁ゛ぁぁああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛――!!!!? でて、な――!!!!? ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
まず感覚がやってくる。
どくんという心臓の鼓動と共に、男性器を内側から蕩かされるような感覚。ニクの言ったことに、何の間違いもなかった。何回、何十回、何百回分。本当に、今までの絶頂していたはずの回数分だけ、快感が一気にやってくる。しかし、射精できていない。快感が男性器の根元で詰まっているような。体が感覚に追い付いていない。
ようやく射精できたのは、ニクが戸惑いと苦悶の混じった声を上げてから十数秒もたってからだった。
「ぁ゛、え、あ、でる――♡♡♡♡♡ っ゛っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁが、あ゛っ!!!!? ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
小さな男性器から、壊れた蛇口のように精液が吹き出し始める。今までずっと苛まれ続けてきた禁欲感が解放されるカタルシスがやってくる。男性器だけではない、心までもがどろどろに溶かされるような感覚に、うっすらと恐怖心を抱くほど。
しかし、その激しい射精も、同じく十数秒で止まってしまう。体の中には、まだ気持ちよさが溜まったまま。体が感覚に追い付かない。
「ぅぐっ、ぅ゛ぅぅぅぅううっ♡♡♡♡♡ ぅ゛ぅぅぅぁ゛ぁぁぁあああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ どうして、でな、あ゛――ッ♡♡♡♡♡」
まるで、またお預けをされていた時のような苦痛。しかし、ほんの十数秒たつと、また射精。
「ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ これ、変にッ♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぎ、ぃ゛ぃぃいいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
途絶えることなくずっと続く快感と、断続的に襲ってくる射精。実にさまざまな快感と苦痛がごちゃごちゃになってアリアテネを襲う。
もしもこれが普通の射精だったら、体が干からびかねない。しかし、体液というよりはむしろ魔力を搾り取るニクの搾精では、その限りではなかった。そして、アリアテネの膨大な魔力が底を突くには、時間が掛かる。射精が長く続く。
それでも、精神力は別だった。感覚に体が追い付かず、そしてまた、体に精神が追い付かなかった。やすりをかけられるように、アリアテネの精神ががりがりと削られていく。
「おね、がッ♡♡♡♡♡ これ、止めでッ♡♡♡♡♡ 止めでぐだざいぃぃぃぃぃいいいいいいッ♡♡♡♡♡ これっ、変ッ♡♡♡♡♡ わたくしの、壊れ゛ッ♡♡♡♡♡ ぁがッ、ぁ゛、ぁぁぁぁああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
アリアテネは駄々をこねる子どものように泣きじゃくりながら懇願した。だって、こんなことになるなんて思わなかったから。射精を禁止される感覚が、この世で1番苦しいものだと思っていたから。まさか、禁止された射精を延々と繰り返させられることのほうが苦しいだなんて、夢にも思わなかった。
しかし、どれだけアリアテネの泣き叫ぶ姿を見ても、ニクが彼女を赦すことはない。むしろ、その嗜虐性でもって、追い打ちをかける始末だ。
「遠慮しないで頂戴? 『たくさん射精させてあげる』って言ったのは私なのだから、約束を違えるつもりはないわよ」
「そッ、んなの゛いいがらぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡ いいがらっ、やめっ、これ゛、おがしッ♡♡♡♡♡ きもぢいのとぐるじいのが交互に来でッ♡♡♡♡♡ ぇ゛ぇぇぇぁぁぁぁああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「と、いうよりね。ネタばらししようかしら。こうやって焦らして焦らして、うんっと焦らしてから搾ると、魔力の濃い精液がたくさん出るのよ。今までのは全部、必要な工程ってこと」
「ぃ゛、ぃ゛い――ッ♡♡♡♡♡ ごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなざいごめんな゛ざいぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいッ♡♡♡♡♡ ぃぎっ、ぃ゛ぃぃいいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
「そしてここからは、必要のない工程♡ こんな気持ちいい状態でさらに気持ちよくされたら、あなたどうなっちゃうのかしら……っ♡」
「ひぁ゛――♡ 何しでッ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁあああああ、ぁ゛ぁぁぁぁぁあああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
それは、まるで『やり直し』だった。
射精禁止の魔法を掛けた状態で、全身をなで、さまざまな方法で男性器を犯してきたように。ニクの分身体である女怪人たちは今度、強制連続射精の状態で全身をなでながら、さまざまな方法でアリアテネの男性器を犯し尽くすのだ。
例えば、その器用にうごめく手で上下にしごく。
「や゛めっ、やめ゛ぇぇぇぇぇぇえええええッ♡♡♡♡♡ もぉ゛射精なッ♡♡♡♡♡ そんなに゛搾っでもでないがらぁぁぁぁぁぁあぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
例えば、唾液をたっぷり含ませた口に咥え込む。
「ひゃぉひぇぃあぉぇぇぇえええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ 溶かされる゛ッ♡♡♡♡♡ わたくしのっ、とかされへぅぇぇひゃぁぁああああああ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
例えば、大きな大きな胸に挟み込む。
「ぉ゛おッ、ぉ゛ぉぉぉぉおおおおおおおおおッ♡♡♡♡♡ ほッ、ぉ゛ぉぉぉぉぉおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「あなた、本当におっぱいが好きなのね。こーんなに『嫌だ嫌だ』言っておきながら、おっぱいからは絶対に目を離さない……♡」
例えば、腕に生やしたオナホールでのみ込む。
「い゛、やだッ♡♡♡♡♡ それだけはッ、それだけはやめでぐだざいいぃぃぃぃいいいいいッ♡♡♡♡♡」
「私が、あなたの言うことを聞き入れると思う?」
「ぉご――♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ 何ごれッ♡♡♡♡♡ ひだのひとつひどづが分がっぁ゛ぁぁあああああひぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
今までストックされてきた快感と、断続的にやってくる射精感、そして新たにたたき込まれ続ける快感に、アリアテネはもう獣のような低い声と子どものような金切り声を交互に上げながらイキ続けるだけだ。
そして今度は、今までアリアテネのことを犯していた、無個性的な女怪人たちではない。ニク本人がアリアテネに馬乗りになった。
「ごめんなさい。一つだけ、貴女にうそを付いたわ」
ニクは股間の中央でぱっくりと割れるボンデージを開いて、股間を露出させる。無毛で、ほんのりと膨んでいて、太ももに滴るぐらいの愛液をまとわせた女性器を見ると、アリアテネはものすごく嫌な予感がした。
「『貴女の相手なんて嫌』はうそ。本当は、貴女のことを犯したくて犯したくて仕方なかったの……ッ♡」
そしてニクは何のためらいもなく腰を下ろして、アリアテネの小さな男性器を己が女性器でのみ込んだのだった。
「――ぉお゛ッ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉぉおおおおぁ゛ぁぁぁああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡ ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「うふふ♡ サキュバスも何だかんだ言って人間と同じ、結局は好きな子とするのが1番気持ちいいものね……っ♡ おちんちんが小っちゃすぎるのが玉に瑕だけど」
今まで散々、いろいろな方法で犯されてきたはずなのに。ニク本人とのセックスが1番強烈だった。
サキュバスであるニクの女性器は、手のように圧力が強くて、口のように粘液をまとっていて、胸のように柔らかく視覚的暴力があって、そしてどうしてだろうか、オナホールのように内側に複雑怪奇極まるヒダやイボまである。
そして、周囲の女怪人たちもただ黙って見ているだけではない。無数の手で、アリアテネの全身を愛撫して彼女の感度を高め続けてくる。
「も゛――ッ♡♡♡♡♡ でな――♡♡♡♡♡ 射精て、ない――ッ♡♡♡♡♡ っぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ これっ、無理――ッ♡♡♡♡♡ これ、いじょッ♡♡♡♡♡ でて――ッ♡♡♡♡♡ なッ、ぁ゛ぁぁぁあああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
あまりに射精しすぎて、アリアテネはもはや射精すらできなくなっていた。感覚では間違いなく絶頂しているはずなのに、男性器からは何も出ていないのだ。精液も、魔力も、もう空っぽ――だから、アリアテネは懇願し続けた。『もう射精ないから!』『これ以上は無理だから!?』
それでも、ニクは腰を振って、アリアテネに絶頂を強いてくる。
「私が満足するまで、たっぷり付き合ってもらうわよ……ッ♡」
「ぁ゛ぁぁぁぁあああああああッ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
その鋭く裂いたような表情を見れば、分かりきっていた。今のこれは、実利を伴ったものではない。ニクはただ、アリアテネのことをいじめたいだけだった。
――――
――
ほとんど空撃ちの状態での強制絶頂地獄が長い間行われて、魔法による快感のストックもすっかり尽き、もうとっくに心がぼろぼろになったころ、アリアテネはようやく解放される。
「ぁ゛、ぉ゛ぉ……っ♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉぉぉぉぉぉ……♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉ……♡♡♡♡♡」
「っふぅぅ~~~~~~~~♡ はぁぁ、こんな日が来るなんて感無量ね~♡」
心なしか肌をつやつやさせたニクは、ようやくアリアテネの腰から下りる。女怪人たちが、アリアテネの四肢に巻き付いた拘束具を取り外していく。
「はっ、ぁ゛、ぁぁ……♡♡♡♡♡ はっ、ぁ、ぇ……? ぁ゛ぐ、ぁ……♡♡♡」
ぼろぼろの心、蕩けきった頭でも、なお動く思考。――どうして、解放する? 自分の体が動くことに対して、ひどく違和感があった。
「この世界では、誰かがずっと行方不明になると、ケーサツとかいうのが動くでしょう? 暴れ回る私たちを止めることもできない脆弱な治安維持組織だけど、ここが見つかるのは嫌だわ。それに、貴女に衣食住を提供するのも、それはそれで大変なのよ」
「っ、ふぅ……♡♡♡ ふぅぅ……っ」
理屈が通っている気はしなくもないけれど、それでも敵を解放なんてするだろうか。
アリアテネはよろよろと立ち上がり、右腕のブレスレットに魔力を込める――『正義のヒーロー』という立場が齎す、ほとんど反射的な行動――イメージするのは巨大な剣、今までの戦いをずっと共にしてきた相棒。
しかし、一瞬の光の後、右手に握られていた物の軽さを感じて絶句した。
「な……、ぇ……? け、剣は、どこ、に……!?」
彼女の武器である巨大な剣は、もはや見る影もない。
細く、小さい、まるで彼女の股間に付いているもののような貧相な獲物。これでは、幼児に持たせるプラスチック製のナイフのほうがまだ立派だ。
「どうして、こんな、こと……!!?」
「どうしても何も、魔力が足りないのよ。どれだけサキュバスに射精させられたと思ってるのかしら」
ニクは、進むか退くかも迷ってよたよたと歩くだけのアリアテネに近付き、その粗末な刃を持つ右腕をつかんだ。そのまま指先を刃に当ててみるも、血の一滴も流れはしない。
「切れ味もひどいものね。これは魔力の欠如だけではない、そもそも意志の欠如ね」
「い、意思……ッ? 何を言って……!?」
「つまり、貴女は『私を傷つけよう』と思えなくなっている。こんなことをされて絆されたか、あるいは屈服したか。まあどちらでもいいけれど。何にせよ、魔法とは精神力が大きく関わっていくものだから――」
「て、適当なことを言わないでッ!!!」
アリアテネのその声は、ほとんど悲鳴に近いものだった。正義感によるものではない、ただの現実逃避。物知り顔でのたまうニクのことが気に入らなくて仕方ない。
しかし、ニクがそれに気圧されることはなく、むしろ冷たい表情で言い放つのだ。
「貴女、自分が何なのか、疑いを持ったことないのかしら」
アリアテネは、訳が分からなかった。疑い? 何のことだ。だって自分は、正義のヒーローとして――。
「その『正義のヒーロー』ってやつよ。どうして、この世界において本来普通の人間であるはずの貴女が、変身なんかして、魔族である私と渡り合えていたのかしら」
ニクの視線が、つかんだままのアリアテネの右腕に落ちた。
「このブレスレットは何?」
「こ、これは……、お屋敷の倉庫で、見つけて……ッ」
「なるほど、偶然流れ着いちゃったのね」
アリアテネの右腕をさらに持ち上げて、まじまじと見つめるニク――『……へえ、肉体の変化? そんな作用もあるのね』――当初アリアテネが感じていた違和感がよみがえる。
「これは元々、魔族の産物よ」
「……え?」
「魔族の力をブーストさせるためのアクセサリ。人間に使ったことはなかったから、そんな風になるとは思わなかった」
「な、何を、言って……? そんな、うそ……っ」
「貴女がこのブレスレットを見つけたのは、私がこの世界に訪れた直後で間違いないわね? これは世界を渡るための儀式でも使われる、その過程で巻き込まれてしまった。そう考えれば、つじつまが合う」
ニクは『まあいいわ』と言いながらアリアテネの右手を離すと、キスができそうな距離でささやくのだ。
「魔族の道具で正義のヒーローごっこができて、楽しかったわね? アリアテネ」
アリアテネの右手に握られていた小さな刃が滑り落ち、硬い床でからからと鳴る。
片や、自らの力に邪魔され続けたニク。片や、敵の力で敵を討ち続けたアリアテネ。どちらにとっても不毛この上ないが、今、これからにおいて、不幸なのはアリアテネのほうだろう。
「貴女は帰す。どうせ、今後の貴女には何もできない」
「ぁ゛……ぁぁ、ぁ……」
「……ああそうだわ。せっかくだから、首輪も着けておこうかしら♡」
もはや言語を発することもできず、喉を通り抜ける呼吸が声帯を無意味に震わせるだけ。そんなアリアテネに、ニクはまた唇を裂いて笑うのだった。
――――
――
ある学園に、白百合 真冬という女学生がいた。
「お疲れ様です、白百合さま。最近、課題が多くて大変ですよね」
「そう言ってはいけませんわ。そろそろ期末試験が近いですから。『良い点を取ってほしい』という先生方の真心ですわよ」
「そんな風に考えられるなんてさすがです……。やはり今回も、1位を狙っているのですか?」
「狙うだなんて、そんな。普段の努力の成果を出すだけですわ」
「本当、さすがは白百合さまです……」
茶色掛かった髪を後頭部でまとめた彼女。容姿端麗、文武両道、そして確かな家柄。世間ではお嬢さまと呼ばれる女子生徒ばかりが集まるこの学園において、彼女は別格だった。周囲から注がれるのは、嫉妬と羨望の入り交じったまなざし。
しかし、それは彼女のことを何も知らない有象無象の評価にすぎない。
「白百合さま。ところで、そのチョーカー……」
「っ」
「最近お召しになっているようですが、見たことのないデザインですね。その、もしよろしければ、どこのブランドかお教えいただくことなんて……」
「……申し訳ありませんが、これは特注ですの」
「あら、そうでしたか。本当、文武だけでなくおしゃれにも余念がなくて素敵です……」
品行方正な生徒たちが集まるからこそ、規則が寛容だった。右腕にはブレスレット、そして首にはチョーカー。彼女ほどアクセサリを身に付けている生徒は、この学園内にはあまりいない。
そのため多少目立つが、しかし、気付かれることはなかった。真冬は思った。誰が気付くだろうか――いや、いっそ気付いてくれたらいいのに。今の自分の状況を。
(ぅあ゛っ♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡♡ わたくしのが、擦れてっ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉぉおおおおおおおおおおっ♡♡♡♡♡)
白百合 真冬――またの名をアリアテネ。正義の味方として日夜悪の怪人たちと戦い、そしてニクに敗北した、その本人。
彼女は学友と会話しながら、スカートの中で、勃起した小さな小さな男性器を現在進行形で犯されていたのだ。
(こんな四六時中、オナホールをはめられているなんてっ♡♡♡♡♡ どうして、みんな気付かな――♡♡♡♡♡ だめ、動いたらっ、ぁ゛、ぁぁぁぁぁああああああっ♡♡♡♡♡)
ニクは、それを『半変身』と呼んだ。姿は真冬のままでありながら、アリアテネ由来の男性器を生やさせて、ちょっとしたコスチュームを追加するだけ。
……コスチュームと呼ぶには、あまりに悪趣味。それは、まるで貞操帯のようなオナホールだったのだ。がちりとしたベルトは外れることなく、シリコンの筒が男性器をのみ込んでいる。歩くたびに、ほんの少し身じろぎするだけでも、オナホールの内側に生える無数のヒダが、彼女の男性器をぐちゅりと犯す。
ブレスレットによる変身をそこまで変貌させたのが、首に取り付けられたチョーカーだった。本来は魔族の産物であるブレスレットの扱いは、魔族であるニクのほうがよく心得ていたのだ。あんなにも頼もしく思えていたブレスレットが、今では何よりも呪われた不浄な道具のように感じられる。
(も、もぉ゛ぉぉおっ♡♡♡♡♡ こんなにきもぢいのに、射精ない゛ぃッ♡♡♡♡♡ ぅ゛あっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ♡♡♡♡♡)
じくじくと蝕むような快感が絶えず、それなのに射精もできない。原因を推測するまでもない、あの時にも施された、射精禁止の魔法陣のせいだ。そしてその癖、こんな異常な状態を周囲の誰もが気付いてくれない。そういう隠蔽の魔法だ。
ふと、真冬は思った――こんな隠蔽魔法を使えるのなら、ニクが町で暴れながら女性を襲う必要なんてなかったのでは? それなら、なぜニクはそうしなかった? ……ああそうか、町で暴れていたのは、魔力の豊富な女性をおびき出して捕まえるためだったのか。
正義のヒーローなんて、最初からいなかった。自分がずっと道化――否、それ以下の餌でしかなかったことに気付いてがくぜんとした。
「白百合さま、もしよろしければ、これからお買い物に行きませんか? 私も、白百合さまみたいに何かアクセサリを身に着けてみたくて……」
「……申し訳ありませんが、今日は、これからちょっと用事がありまして」
真冬は小さく笑うと、学友の誘いも断って、学園を出る。
『きっとお勉強やお稽古が忙しいのね』だとか、『本当に努力を怠らない方なのね』だとか、ため息混じりの称賛なんて、彼女の耳には一言も入らなかった。
真冬が不可視の男性器に襲い来る快感に内心身悶えしながら、商店街の途中にある裏路地を入り、狭い道を曲がること3度、4度。
ぼろぼろの雑居ビルに地下への階段があって、その突き当たりにある分厚い扉の向こうには――。
「ふっ、ぅ゛う……っ♡♡♡♡♡ ふーーっ、ふーーーー……っ♡♡♡♡♡」
「あら、もう来たの」
そこには、かの憎き敵ニクがいた。
彼女は女怪人たちを呼び寄せることもなく、身構えることすらなく、椅子に座ったまま応える。
「3日ぶりかしら。周期が短くなってきているわね。魔力が今の生活に適応しようとしているのかしら。生まれながらに用途が決まっている魔族の魔力と違って、人間のは柔軟性があっていいわね」
「ぅ゛う、ぅ゛ぅぅぅぅぅう……っ♡♡♡♡♡」
「お願いがあるなら、ちゃんと言ったほうがいいわよ?」
「……お願いします。射精させてください……ッ♡♡♡♡♡」
それは、よくできたシステムだった。
アリアテネ――すなわち真冬を射精管理しながら、日常の中で仕込み続ける。そして射精したくて射精したくて、もう我慢できなくなった時、すなわち魔力の濃厚な精液を放出する準備を整えた時、彼女は自発的にニクの元に行く。そしたらニクは、たっぷり溜め込んだ魔力が空っぽになるまで搾り取ってやればいい。衣食住の世話をしてやる必要もなければ、この世界の治安維持組織が動くこともない。
「ぅ゛あっ、ぁ゛、ぁぁぁぁあああああああああっ♡♡♡♡♡ やめっ、そんな゛、腰振らないでッ♡♡♡♡♡ ぇぁ゛ぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「『射精させてくれ』って頼んだのはあなたじゃない。今日も、空っぽになるまで、いいえ、空っぽになった後も延々とイッてもらうわよ……っ♡」
「ぁ゛うぁ゛ぁぁぁあああああっ♡♡♡♡♡ もう射精ないッ♡♡♡♡♡ もうでな――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「ほら、イキなさい。イけ、イけ……イけ……ッ♡」
「っ゛――♡♡♡♡♡ やめ、耳元でささやがないでっ、それ、変んんんんっ♡♡♡♡♡ ぅ゛あああああああっ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「ふふ♡ もう耳を犯されただけでイッちゃうのね」
アリアテネは今日も、ニクに精液を搾られ続ける。最初は1週間ぐらいのスパンだったのに、今では3日おき。戦いのための魔力は全て、精液のための魔力に変質しつつある。やがて、毎日でも搾られないと、男性器がうずいてうずいて気が狂ってしまうようになるだろう。
「そう言えば、貴女に良い知らせがあるわ」
陵辱台の上でアリアテネに馬乗りになったまま腰を振り続けるニクは、不意にそう言った。
「この世界の武器と貴女の提供してくれる魔力のおかげで、あちらの戦争は優勢。さすがは魔王様、銃器を戦略的に取り入れると決めてからは、実に動きが早かったわ。こちらの開発を進めるだけでなく、鉄と硫黄の採掘場を押さえて人間たちの開発を阻害。これで戦力差は絶対的なものになった」
「ぁ゛うっ♡♡♡♡♡ ぁ゛――♡♡♡♡♡ ぁあ、ぁ゛――♡♡♡♡♡」
「これも全部、貴女のおかげよ。貴女が、我々魔族を勝利に導いたの。ありがとう、正義のヒーローさん♡」
「ぅっ、ぐっ♡♡♡♡♡ ぅ゛ぅぅぅぅぅう、ぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううっ♡♡♡♡♡ ――っぁ゛♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
アリアテネは一瞬だけ、男性器を襲う快感を無視しようとした。
『自分のせいで見知らぬ世界の人々が犠牲になってしまった』という罪悪感と、『そんな世界の人々のことなんて知ったことではない』という言い訳が、頭の中を行ったり来たりする。
しかし、ほんの数秒で、夥しい射精と共に思考が溶ける。彼女の心など介入の余地がないまま、世界は回っていく。
「もうあなたを向こうに連れていってしまうのもいいけれど、ここの暮らしも悪くないのよね。ライスもパンも嫌においしいし、コンビニってやつもえらく便利だし。だけど、夜に出歩くとケーサツにショクムシツモンとかいうのをされるのは何なのかしら。そういえば、あのケーサツって、夜中に働いてるわけよね。あれ、そしたらコンビニも? ……この世界の人間、頭おかしいんじゃないのかしら」
「ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁぐっ、ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
説明も説得もなく、腰を振りながらもはや世間話を始めるニク。
その日、アリアテネは魔力と精液が空っぽになって、その後も延々と、心が壊れそうになるぐらい射精させられ続けた。しかし、それはあくまでも、長く永く続く搾精生活のほんの一部にすぎない。
それから、ニクと彼女の率いる女怪人たちが、町の人々を襲うことはなくなった。強力な武器、そして十分な魔力を得るめどが立ったからだ。故に、人々は皆、『きっと彼女がやってくれたんだ!』とアリアテネに感謝し、やがてアリアテネの存在そのものを忘れていく。
しかし、アリアテネという存在が消えたわけではない。彼女は今もなお、終わらない搾精地獄の中で苦しみ続けているのだった。
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