◆あらすじ
自分のクリトリスをクリボックスとして預けると、機械で気持ちよくしてもらえる、そしてその様子をスマホから視聴できる、そんなサービスがありました。しかしご注意を。一度クリトリスを預けたら、快楽責めのフルコースが終わるまで返却してもらえません。“彼女”は朝から晩まで、機械で作られた指だけでなく、ローションや歯ブラシ、吸引機、クリオナホ、先細バイブ、電マなど――さまざまな道具でクリ責めされる様を見せつけられながら、ひたすらイキ悶えることしかできないのです。
人間、時には思いっ切り気持ちよくなりたいことがある。
全てを忘れて、1日中たっぷり快楽にふける――それは最高の休日の過ごし方だと言えるだろう。
「――ただいまぁ」
土曜の朝、私は誰もいない自宅に帰る。あいさつが返ってくることはない。
夜勤明けでもなければ、徹夜で仕事をしていたわけでもない。朝早くからそわそわ気分を胸に抱えながら起きて、ちょっとした手続きをしていただけだ。
玄関が施錠されているかを二度三度確認して、足早に寝室に。Tシャツに短パン、素足――部屋着に着替えて、ベッドに飛び込む。
そして、指の震えを力んで抑え付けながら、スマートフォンを人差し指でたたくのだ。
「ええと、エイチ、ティー、ティー、ピー。コロン、ななめななめ、く、く、くり……あ、『c』か……」
URLを入力して、案内された通りに操作していくと、ようやく、あるページにたどり着く。
ほんのちょっとの読み込み時間が、嫌に長く感じる。私がスマホの側面を人差し指でたたくこと10回か、11回か。ようやく、画面の真ん中にお目当てのものが映り込んだ。
「うお……っ♡」

事前説明がなければ、これが何なのか分からなかっただろう。もしも誰かが聞いていたとしたら『一体何を言っているんだ』と白い目で見られることを承知で説明すると、これは私のクリトリスだ。
状況を整理しよう。つまり、こんなサービスがある。私はそこに、自分のクリトリスを預ける。すると、預けられたクリトリスはクリボックスとして保管され、快楽生産マシンに収容。私のクリトリスは、機械にたっぷり気持ちよくしてもらえる。
そして、スマホを使えば所定のURLで、自分のクリトリスが機械に気持ちよくしてもらえる様子を視聴できる……そんな感じだ。
私は今朝、お店で自分のクリトリスを預けたばかり。スマホの画面では、私のクリトリスが『まだか、まだか』と、快感を求めて箱の真ん中にぽつんと立ち尽くしている。
よく見れば、画面の真ん中に鎮座するのは確かに私のクリボックスだけど、その周囲にも、たくさんのクリボックスがあるように見える。みんな、自分のクリトリスを気持ちよくしてもらいたくて、あのお店を訪れたのだろうか――そう考えると、何だか胸が落ち着かなくなってくる。
私はベッドの上で横向きに寝て、左手でスマホを持ったまま、右手で自分の秘所に手を伸ばした。
「うおお……。ほ、本当にない……」
薄手の短パン越しでも分かる、存在感のなさ。どういう原理か、本来クリトリスがあった場所はつるつるだ。私のクリトリスは本当に、画面の向こうの箱に捕らえられてしまっている。
体が熱くなっていく。呼吸が苦しくなっていく。胸の鼓動が頭にまで響いてくる。クリトリスは静かに立ち尽くしたまま。まだか、まだか、まだかまだかまだかまだか。
――そして、スマホにアナログ時計が付いているわけでもないのに、その時間が訪れた瞬間、何かがかちりと鳴った気がしたのだった。
「き、来たあ――っ♡」
思わず発せられる言葉。私は今、どんな声音をしていただろう? それに気付いて、むっと口をつぐむ。
クリボックスの上に張り巡らされたレールをしゃりしゃりと走ってきたのは、人の手を模した機械だった。マジックハンドというやつだろうか。でも、本物の人の手よりはだいぶ小さい?
――そんなことを思っていたら、その細い人差し指が、私のクリトリスをつんとつついた。

「ふゃ――っ!? ぁ――♡」
不思議な感覚だった。
スマホの画面の向こうにあるすべすべのマジックハンドは、あくまでも画面の向こうのクリトリスをつついているだけ。それなのに、こちらにいる私に、その感覚が届いてくる。
クリトリスの先から、小さな電流がぴりりと走って、全身に甘く伝搬していくよう――これは、紛れもなく本物だ。
「ぅおっ♡ お、ぉっおっ、おっぉっぉお……っ♡」
つん、つん、つん。私は自分のクリトリスが優しくいじめられている様子を、食い入るように見つめ続ける。画面の向こうの手付きは、さしずめ動作確認か、準備運動か。指先でつんとつつくだけの快感は、私を満たしてくれることはなく、むしろその欲望を増長させていく。
もっと、もっと、もっと、もっともっともっと! 今の私はきっと、はしたなく目を血走らせていることだろう。
そして、つんつんとつつくだけだった人差し指がぐにりとクリトリスを押しつぶした瞬間、ふーふーとした鼻息は歓喜の喘ぎ声に変わった。
「くぅぅうんっ♡♡ んぁっ、や――っ♡♡ ぉお、ぉほほほほっ♡♡ クリトリス、ふにふにされてぇ……♡♡」
思わず間抜けな笑い声が出てしまうほどだ。
私とて、性経験がまったくないというわけではない。自分でクリトリスを慰めることなんて日常茶飯事だし、他人に触らせたことも……まあ、なくはない。だけど、それらの経験を全て越える心地よさだ。マジックハンドのさらさらと引っかかりのない素材故か、生卵の黄身もつぶせなさそうな絶妙な力加減故か、それとも一切の抵抗を許さないクリボックスという形態故か。
私の膣はあっという間に湿り気を帯びていく。愛液が一滴漏れて下着を濡らした時、『ああそうか』と短パンと下着を脱ぐことにする。それから『しまった、ベッドの上にバスタオルか何か敷いておくべきだったか』と少し後悔したけど、シーツはこの後洗濯してしまおうと心に決めて、雑念を排除することにした。
「お、ぉおっ……! もう1本んん……!?」
そうこうしている間に、次々と悦びはやってくる。まるでコース料理だ。
最初、スマホの画面から聞こえてきたのは、レールを何かが走るしゃりりという音。そして画面に現れたのは、もう一つのマジックハンド。今私のクリトリスの先っぽをつついているものと同じかと思えば、よくよく見ると左右が違う。今私のクリトリスに触れているのは右手、そして新たにやってきたのは左手。案外芸が細かい。
そして、新たにやってきた左手が私のクリトリスにやってきた瞬間、『違うのは左右だけではなかった』と思い込んだ。
ぬるり。
「ふゃぅゃぁあっ♡♡♡」
感触が違った。
クリトリスの先っぽをつついていたマジックハンドは、質の良い布生地のような、きめ細やかでさらさらとした感触だったのに。一方でクリトリスの根元をきゅっとつまんだ新たなマジックハンドは、明確な湿り気があって、しかもそれがまとわり付いてくる……これはラブローションだ。
まるでマジックハンドの中に大量のローションが含まれていて、それが少しずつ染み出してきているよう。そして、それは左手だけではなかった。
「ひぁぅぁぇぇえっ♡♡♡ さきっ、先っぽもぬるぬるしてきてぇえっ♡♡♡」
あんなにさらさらだった右手までもが、ぬるぬるしてくる。ローションの機能を有していたのは、新たなマジックハンドだけではなかった。ただ、出し惜しみをしていただけだった。

にゅるり、にゅるり、にゅるり。
右手はクリトリスの先端をいじめ、左手はクリトリスの根元をいじめてくる。指紋のないマジックハンドがローションに濡れた感触は、一切の引っかかりもなくただただ甘い。
むずがゆさがクリトリスから背筋を上って、全身を鳥肌立たせ、口の奥をあぐあぐさせるようだ。
「ぁぅぇぉぇぇっ♡♡♡ こんにゃのっ、すぐいくっ♡♡♡ 我慢できるわけなひぃぅぁぁぁあああっ♡♡♡ ぁぁぁぁぁああああああっ♡♡♡」
私は仰向けに寝たまま、足の裏をべたりとシーツに付けて、浮かせた腰をへこへこと上下に振り続けた。腰にまとわり付いたむずむずを振り払わなければ、どうにかなってしまいそうな気分だった。
だけど、そんなことで快楽は消えることなく、むしろどんどん折り重なって私を絶頂へと追いやっていく。
「ひぁぇぁっ♡♡♡ ぁぅ、お――♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ くっ、ぅうう~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
その絶頂は、甘い蜜に全身をドボンと落とされたような心地だった。
ちょっとした息苦しさ以外の全てが、甘くて、心地よくて、気持ちいい。全身がきゅっと緊張しているというのに、クリトリスのなくなった女性器だけが自由気ままにひくひく収縮と弛緩を繰り返しているのが分かる。抵抗できずに気持ちよくさせられるというのは、こんなにも気持ちいいものなのか。
「ふぉ、ぉお、ぉぉおお……♡♡♡」
私はこの時、間違いなく愉しんでいた。心の中で賛美していたぐらいだ、『クリボックス最高!』『リピート確定!』『もう一生推しちゃう!』。
それが一変したのは、絶頂の余韻が醒めていくさなか――マジックハンドが何てことのないように、私のクリトリスをいじめ続けていることを感じ取った瞬間だった。
「ぅあぇっ!!? 待っ、もう、イッて――!! ぁっ、ひぃぃぃぃいぃぃぃいいいいいいいいっ♡♡♡」
絶頂直後の快楽責め――ささやかな性経験しかない私にとっては、知らない感覚だった。
私のクリトリスは、ほんのちょっと一なでされるだけで飛び上がってしまいそうなぐらい敏感になっていた。それなのに、二つのマジックハンドがにちゅにちゅという音を立てながら変わらず動き続ける。
『イッた後は体が敏感になる』というのはよく言われることだけど、まさかこんなにも変わるなんて。
「ぃっ、やめ――♡♡♡ ぅぅぅぅぅぅうううっ!!?」
私は思わず、自分の脚の付け根を両手で押さえ付けた。だけど、気持ちよさはただの1ミリグラムも、1ミリセンチも、1ミリ秒も小さくはならない。こんなにも両手でぎゅうぎゅう押さえ付けているのに、気持ちよさが何の抵抗もなく自由気ままにクリトリスを駆け巡る。
自分の体のことのはずなのに、自分の意思が何の影響も及ぼすことができない。その感覚はすごく理不尽で、背中がじりじり焦げていく気分だ。
「おねがっ、一度、止め――!! いったん、休憩、させて――♡♡♡ ぅぁぁぁぁああ――っ♡♡♡」
私が快楽に対して抵抗を始めたのは、それが今までの快楽とは明らかに違っていたからだった。むき出しの感覚神経をそのまま舐られ、運動神経に恣意的に誤作動させるような感覚。そこには、甘さも心地よさもない。気持ちよさですら、一瞬『痛み』と誤認するぐらい。
しかし、それは紛れもなく『快楽』だった。私の体は、脳が理解するよりも早く、あっけなく上り詰めていく。
「ひぎ――♡♡♡ ぃ――!!? ぁ――!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぎ、ぃいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
ローションまみれのマジックハンドによるにゅるにゅるとした快感がもたらす二度目の絶頂は、嫌になるぐらい鋭かった。私は歯を食い縛って、まるで崖から突き落とされるような浮遊感に抗う。
まだうれしい! 何とかうれしい! ギリギリうれしい! ――そんな言い聞かせは、続くクリ責めのせいであっという間に無為に帰した。
「待――!!? これ以上は、も――ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁ、ぁぁぁぁ゛ぁぁああああーーーーッ♡♡♡♡」
快楽の許容量を超えた瞬間だった。情緒も、引きもない、まさに機械的なクリ責め。
コップに水を注ぐ時、あふれそうになったら、誰だって水の勢いを弱めるだろう。悪意のある者なら、むしろドバドバと水の勢いを強めるかもしれない。この機械はどちらとも違う。コップから水があふれるのが分かっていながら、淡々と、一定の水量を保ち続けるよう。
それだけに、話の通じない恐ろしさを感じさせる。私が涙をこぼし始めても、画面の向こうにあるマジックハンドは止まることはない。
「ぅあ゛っ♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉぉぉおおおおおっ!!? むりっ、や゛めっ♡♡♡♡ これっ、むりだっでぇぇぇぇぇぇええええええっ♡♡♡♡」
私の指が、勝手にスマホの画面をスクロールしていた。きっとどこかに、『責めを中止する』みたいなボタンか何かがあるかもしれないと、考えるより先に体が期待していた。
だけど、私がどれだけ血眼になって探しても、そんな慈悲に満ち満ちたナビゲーションはかけらも見つからない。一度クリトリスを預けたら、全てのコースが終了するまで止まることはないんだった。
「ふぐぁ、ぉ゛――♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぃぎっ、ぃ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ っっ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
そうこうしている間に、3度目、4度目、5度目と、次々に絶頂がやってくる。
仰向けのまま脚だけブリッジを始めたり、うつ伏せに転がって四つん這いのままお尻を思いっ切り後ろに突き出したり、私の体はベッドの上で勝手に暴れ続ける。いたずら好きな妖精が、私の全身に微弱な電流を流し続けてあざ笑っているみたい。
「ぅぁ、ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡ これ、無理……♡♡♡♡ し、死んじゃ……っ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡」
段々と、意識が虚ろになっていく。全身はへとへとで、呼吸も苦しい。おかしい、私はマラソンをしていたんだっけ?
こんなにも気持ちよくさせられていたら、ずっと小さな画面なんて見ていられない。ずっと左手に握りしめていたスマホが、シーツの上に落ちて――。
「――え?」
だけど次の瞬間、背筋がぞっと冷え切るのと同時に、私の意識は確かに現実に――画面の向こうにある異変に引き寄せられたのだ。
「私のクリトリス、増えて……? ぇ、あれ、え……?」
分割された画面。今までは一つのクリボックスしか映し出されていなかったはずなのに。1、2、3、4、5、……6? 画面には、六つのクリボックスが映し出されている。
それらのクリボックスの中央にぽつんと立ち尽くすクリトリスは、全て同じ形、同じ大きさ、同じ色――紛れもなく、私のクリトリス。
そして、分裂か何かした私のクリトリスたちに、それぞれ違う道具が近づけられていく。
どうして、私のクリトリスが六つに増えているんだろう? そんな当然の疑問が一瞬だけ浮かび上がり、だけどそもそもクリボックスなんていう未知の技術が使われている以上、それを論じるのも意味がないように思えた。
大切なのは、そこじゃない。
「……うそ、でしょ……? それ、全部、いっぺん、に……?」
大切なのは、今、さまざまな道具が一斉に、私のクリトリスをいじめようとしているということ。
「……お願い、やめて」
考えるよりも前にぽつりとこぼれた言葉は、私の感情の呼び水となった。
「――お願いッ、やめてっ!!!? やめでください゛ぃぃッ!!? こんなの、私死んじゃうっ!!! 死んじゃうがらぁ゛ぁぁぁぁあッ!!!?」
私は泣いていた。
子どもみたいにみっともなく泣きじゃくりながら、画面の向こうの機械に対して懇願していた。お願い、もう赦して! 私はもう、十分気持ちよくなったから! これ以上は死んじゃう!
そんなことをしても、誰も聞いてはくれないというのに。
相手は機械だ。一定に保たれた水量がコップの水をあふれさせるように、淡々とした動きでもって、全ての道具が同時に私のクリトリスに触れるのだ。

「――ぁ゛ぁぁぁぁぁあああああああああッ!!!!? ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
視界がバチバチと明滅するようだった。私のクリトリスは指でつつかれ、もまれ、しごかれるだけでも、十二分絶頂に至れるぐらいに敏感だったのだ。わざわざ絶頂に特化した道具を、しかも複数同時に使われたら、危うく白目をむいてしまいそうなぐらい気持ちよくなるに決まっている。
「ひぎっ、ぃ゛ぃぃぃいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ いぐっ、いぐッ♡♡♡♡♡ イッで――!!!!? イっ、ぇ゛え――!!!? ぇぇ゛ぇぇぁぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
私はもう、いつイッていて、いつイッていないのかが分からなくなっていた。意識の外でぶし、ぶしと断続的な潮吹きが起きて、シーツが汚されていく。
そして、こんなにも強烈な快感に眼球の奥をたたき付けられてなお、画面の向こうの狂事が、私の脳に無理やりねじ込まれていく。
「やだッ!!!!? それやだぁ゛ぁぁぁぁあああああああッ♡♡♡♡♡ それっ、そんなの゛ッ♡♡♡♡♡ やだっ、やだぁ゛ぁぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡」
私はスマホにしがみ付きながら悲鳴を上げ続けた。その道具は駄目! そこに触らないで!! そんな触り方したら死んじゃう!!! 見るたび、叫ぶたび、どんな道具が、クリトリスのどこを、どんな風に触っているかが分かって、快感が鮮明になる。
それなら、スマホなんてさっさと放り投げてしまったほうがまだマシだったかもしれない。それなのに、目を離すことが怖かったのか、それともこの期に及んでまだ快楽を欲しているのか、私は自分のクリトリスが虐げられている様子を視聴し続けるんだ。
最初に見たのは、マジックハンドで責められるクリトリスだった。
「ひぅぁ゛ッ♡♡♡♡♡ にゅるぬる゛ッ♡♡♡♡♡ しぬっ、死ぬっ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
二つのマジックハンドの動きは相変わらずだった。右手と左手がそれぞれ役割分担をして、クリトリスの先っぽ、幹、根元をにちゅにちゅとなでくり姦していく。
その手付きは甘いはずなのに、感覚神経を通る電流は嫌になるぐらい鋭い。私の腰は不規則な痙攣を強いられ続ける。
次に歯ブラシ。
「そんなの゛、そんな゛の使わ゛ないでぇぇぇぇぇぇええええええッ♡♡♡♡♡ ぃぎっ、い――っ♡♡♡♡♡ づよすぎッ♡♡♡♡ ぐりどりすなぐなっぢゃぁぁぁぅ゛ぁぁぁぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
こんなものをクリ責めに使うなんて信じられなかった。だって、歯ブラシは歯を磨くものでしょう? 断じて、クリトリスを磨くものではない。
だけど、その気持ちよさは本物だ。痛みを感じる1歩手前の強烈な刺激が、私を強制連続絶頂に追いやると共に、クリトリスに密集した神経をほじくり返していく。感覚が麻痺するどころか、どんどん敏感になっていく。
次は、一体何の機械だろう? 目で分からなくても、クリトリスの感覚で分かった。……これは、クリトリスを吸う機械だ。
「ぅ゛ぉぉおっ、ぉ゛ぉぉぉぉおおおおおおおおおおッ♡♡♡♡♡ ぢゅっぢゅっぢゅってぇ゛ぇ♡♡♡♡♡ やだッ、何ごれっ♡♡♡♡♡ くりとりすあづいッ♡♡♡♡♡ 何だか熱ぐなるぅぁ゛ぁぁぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
吸引機がクリボックスの土台にぴちりと貼り付いて、クリトリスを吸い上げる。まん丸だった私のクリトリスが、縦長に伸ばされていく。
ぢゅっと吸い上げる圧迫感と、ぷすりと空気が抜ける解放感が交互にやってくる。まるでポンプみたいだ。こんなクリボックスに閉じ込められてなお、クリトリスに絶えず新鮮な血液が届けられるようで、神経が飽きることはけっしてない。
そして次のは、まさか、クリオナホとかいうやつだろうか。
「ひぁぅぇおぁひぅぁぁ゛ぁぁあああ~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ ひゃめっ、くりとりひゅ溶けひゃ――♡♡♡♡♡ ふゅょぉお゛ぅぇぁぉぁあああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
私も、男性が使う『オナホール』というものを、存在ぐらいは知っている。柔らかなシリコンでできていて、中には性感を刺激する溝が彫られていて、ローションで濡らしてから男性のを挿れると、それはもう気持ちいいらしい。
らしい――それはたった今、断定形になった。クリトリスが柔らかなシリコンにもみくちゃにされる感覚は、まるで全身をくすぐり責めにされるような甘さだ。
それと、先の細い、不思議な形状をしたバイブ。
「ぅ゛ぉぉぉぉおおおおおおおおッ♡♡♡♡♡ くりとりすの根元ッ♡♡♡♡♡ ねもとがぁぅぁぇぉぁぁぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぃ゛ぁぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
このバイブを開発したやつは、とんでもない快楽嗜好者だと思い知らされる。決して強くはない振動が、しかしクリトリスの1点をピンポイントで震わせてくる。
快楽責めに必要なものは何だろう? 『強さ』、然り。『長さ』、然り。だけど、『丁寧さ』――これもまた、正解であることを体で分からされる、そんな道具だった。
最後に、電動マッサージ器。
「っっぎゃぁ゛ぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ しぬっ、死ぬ゛ッ♡♡♡♡♡ しぬ゛ぅぅぅぅぁぁぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
『ばかじゃないの!?』と叫びたい気分だった。こぶしのような重くて硬い振動物が、ぐりぐりという回転運動を描きながら、クリトリスを踏みつぶし続ける。
丁寧は、確かに気持ちいい。だけど、強い――それもまた、率直に、残酷に気持ちいいんだ。
「ぉ゛っぉぉぉおおおっ♡♡♡♡♡ ぉご、ぉぉおおおおおおッ♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁぎ、ぃ゛ぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
イカされ続ける。イカされ続ける。イカされ続けるイカされ続けるイカされ続ける、イカされ続けるイカされ続けるイカされ続けるイカされ続ける。
私の中で、時間の流れがおかしくなってしまったみたいだった。散々イカされ続けたと思ったら、スマホの時計がまだ5分しかたっていなかったこともあったし、泣き叫んでいたらいつの間にか1時間が過ぎていたこともあった。まるで永遠の絶頂地獄に放り込まれてしまったみたいだ。
だけど、人の体というのは無限の時間に耐えうるようにはできていないらしい。
「ぅぐあ゛――♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぉ゛……♡♡♡♡♡ ぉ゛……♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉ……♡♡♡♡♡」
浮き上がって、沈んで、また浮き上がって、沈んで――そんな風に繰り返していた意識が、だんだんと重たくなっていく。何てことはない、ただ体力が尽きただけだ。私はそう遠くないうちに、気絶してしまうのだろう。それは、この快楽地獄においては救いのように思えた。
だけど、何かを感じる。
「だめ、これ、いじょ――♡♡♡♡♡ ちぎれ――♡♡♡♡♡ 何かっ、なにかちぎれる――♡♡♡♡ ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁぁあああああああああ――♡♡♡♡♡」
こんなにも眠いのに、全身の筋肉は緩むどころか、むしろ硬く、硬く絞られていく。呼吸が苦しくなって、クリトリスがないはずのアソコの中で何かが膨らんでいく。
それは前触れ。何回も、何十回も、何百回も、絶頂という手段でもって体の中の快楽を放出させていたというのに、私の体の中には、まだパンパンに快楽がたまっていたらしい。
「だめ、もぉ゛――っ♡♡♡♡♡ ぁ、来る、ぁあ、ぁ゛ぁぁああ――ッ♡♡♡♡♡ ……ぁ――」
抵抗なんて、これっぽっちもできなかった。
躰という名のダムが必死にせき止め続けていた水の塊が今、限界圧力を迎える。
「――ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁぁぁああああああああああああ――ッ♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
機械の動きは、ちっとも変わっていない。マジックハンドも、歯ブラシも、吸引機も、クリオナホも、先細のバイブも、電マも、全部が全部、一定のリズムで私のクリトリスをいじめ続けるだけ。
それなのに、その絶頂は今までにないぐらい強烈なものだった。無意識のうちに絶叫し、肺にたまった空気を全て吐き出す。意識の隅っこで、ビチャビチャという音が聞こえる。それはもう、果たして本当に潮なのだろうか。体の中にたまった快楽を、全部全部吐き出すかのようだ。
「ぁぐ、ぉ゛――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ これ、長――ッ♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
過去最大の絶頂は、長く続く。全身をぎちぎちに硬直させ、だけど腹筋だけをさびたポンプのようにぎゅうぎゅううごめかせて、潮を吹き続ける。
それが10秒、20秒、30秒……時間感覚を失ってしまった私には、その正確な時間は分からない。何なら、数分、数十分とイキ続けていたような気すらする。
そんな長い時間がたって、体の中の快楽を行ってき残らず吐き出すとやっと、私の全身はふっと緩むのだった。
「ぉ゛、ぉ゛、ぉぉぉぉぉ……ッ♡♡♡♡♡ ぉご、ぉ゛……♡♡♡♡♡ ぉ゛お……ッ♡♡♡♡♡」
もう、何も見えない、何も聞こえない、何も考えられない。ピンク色の光が咲く視界が、ゆっくりとグレーに変色していくのをぼうっと見つめるだけ。
……そんな中でも、クリ責めは終わらない。マジックハンドが、歯ブラシが、吸引機が、クリオナホが、先細のバイブが、電マが、全部が全部、一定のリズムで私のクリトリスをいじめ続ける。私はイキ続ける。
「ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ひへ、へへへへへへへぇぇ゛……♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ッ゛ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」
私がすっかり意識を手放して気絶してしまった後も、ずっと、ずっと――。
――――
――
それから、私は全身のべたべたした不快感に飛び起きる。
「ふぉ――っ!!!? ぉ、お……っ!? わ、私、あれ、え……っ?」
これまで何をしていたかを思い出して、あまりの恥ずかしさに絶叫したくなったのをすんでの所で我慢して、深呼吸。カーテンの隙間から窓の外を見れば、もう日はとっぷりと暮れてしまっていた。おかしい、私が事におよび始めたのは朝だったはず。
とうの昔にスリープモードに入っていたスマホをつけると、配信画面には灰色の網が掛けられていて、『クリトリスをご返却いたしますため、お手数をお掛けいたしますが店舗までお越しください』という文字が表示されていた。
ものすごく面倒くさいなあと思いながら、『ついでに何か食べに行くか』と思いながら外に出ることにしたのだった。もちろん、シャワーを浴びてから。
そして。
「いらっしゃいませ。クリトリスのご返却ですね? 少々お待ちくださいませ」
「は、はい」
まるでエステ店のような清潔なカウンターで、私は挙動不審に返事をする。それにしても『クリトリスのご返却』という字面は何ともインパクトがあるな。
若い女性の店員さんが、1枚の紙を差し出す。返却に際する同意書だか、証明書だか、私はその書類にサインを一筆入れるために、書かれている内容を丁寧に確認していく。
すると、店員さんは何てことのないように口を開くのだ。
「延長はよろしかったですか?」
「え、延長……?」
それは聞いたことのない言葉だった。私が間抜けな声を上げると、店員さんは『あら、ご案内が漏れていました?』という表情で首をかしげた。
「本日に引き続き、翌日もご利用いただくと、ご利用料金が割引されます。ええと、この時間帯ですと30%オフですね」
私は『あー』と、声を出さず口だけ開けた。カラオケとかだと、延長というのは割高だったりするものだ。クリトリスを預かってクリボックスに保管する手間だとか、反対にクリボックスからクリトリスを取り出して返却する手間だとか、そういうのが省かれるから割引されるんだろうか? そんな風に私は1人で納得する。
そんなことはどうでもいい。大切なのはお金じゃなくて、それでどうなるかということだ。
……もう1日、あれを?
「……ぅお――っ♡」
今日は土曜日。明日は日曜日。
預けているはずのクリトリスが、きゅんとうずいた気がしたのだった。




コメント