◆あらすじ
読書感”走”文は、お好みのエロ小説の感覚をマジックハンドで再現します。全身ローションくすぐり責めで笑いイキしまくっている様子は、全て録音→文字起こし。まさに、夏休みの宿題にぴったりの機械です。
小っちゃな青色のプランターとか、極彩色の汚れに染められた絵の具セットとか、たくさんの荷物を小さな肩にぶら下げる子どもたちを見た。
焦げ付くアスファルトで目玉焼きでも作れそうな、ふざけた季節。ああそうか、夏休みか。
そんな単語とはすっかり無縁となった私だけど、思い出すことはある。家でだらだらしたり、プールに行ったり。楽しかったけれど、宿題が面倒だった。私は始業式ぎりぎりまで宿題を溜め込んでしまうタイプだった。
ああ、特にあれだ。私は読書感想文が大っ嫌いだった。眠たくなるような本を無理やり読まされて、貧相なボキャブラリーを搾り出して精いっぱい書いた作文を、センセイにダメだしされる、あれだ。あれと向き合わなくて済んだことは、数少ない、大人になってよかったことかもしれない。
「――大人になっても、読書感想文は悪いものではありませんよ」
ふと、背後から声が聞こえた。
「本とは、いわば他者なのですよ。読書とは、他者を己に取り込み、新たな自分を生成する化学反応。感想文というのは、それを分かりやすく整理するに過ぎません」
「……嫌いなんで。読むのも、書くのも」
……誰だ? 私はいつの間にか背後に立っていた白衣の女性を見据える。不審者? 走って逃げる? それとも警察? いや待て、私はそれを口にしていたか? 心を読んだ? エスパー?
私が頭をぐるぐるさせている間に、その女性ははあとため息を付いた。
「そんなあなたに、うってつけの機械があります。肉親でも殺されたのかというぐらい文字がお嫌いなあなたでも、真に迫る文章を書き上げることができますよ」
普通なら、この女性から走って逃げるかもしれない。だけど、その言葉は妙に私の胸にすっと入り込む。私は陽炎の中、無言で白衣の女性についていくのだった。
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