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エロ小説

触手風呂と人妻と全身性感帯 ◆車で行くのにちょうどいい近郊にあるスーパー銭湯みたいな触手風呂屋さん

⏱このページは19分ぐらいで読めます


◆あらすじ

女友達に誘われて、既婚者である『私』は触手風呂に行くことになりました。生まれて初めて見る触手に怖じ気づいてしまう彼女。そんな彼女でも何とか入れそうだと思ったのが、小さな浴槽に1人で入れる『壺風呂』でした。しかし壺のお風呂は触手風呂の中でも特に強烈なようで、彼女は全身が性感帯になるまで気持ちよくさせられてしまうのです。

 

友人に誘われて、触手風呂に行くことになった。

「いや、触手風呂って、何……」
「え~? だからぁ、浴槽の中にね、たーっくさん触手が詰まっててね?」

「えっと、そういうのを聞きたいんじゃなくて……」

 

私。結婚して3年目、だけど子供はいない。

特徴は『普通』。髪はありふれた、肩甲骨までの長さのストレート。体型も目立った部分はなし。普通の家庭に生まれて、普通に育って、普通に結婚して。結婚相手もやっぱり普通の男性だけど、私はとても満足している。

そんな普通の私が、どうしてに来てしまったのか。

「こんなのが、町の中心に、ねぇ……」

ごくありふれた町の、ちょっと大きめの道路の脇にある、触手風呂なる施設。駐車場は広め。見た目はスーパー銭湯そのもの。大きな看板に書かれた文字は『蛸の湯』――触手だからだろうか?

だけどよく見ると、扉の前に張り紙があって、『ここはスーパー銭湯ではありません』『女性専用(男性の方の利用はお断りいたします)』とか書いてある。

それを見て、私の隣に居た友人が両手を合わせて嬉しそうに笑った。

「やっとこの辺りにも、触手風呂ができたんだねー」
「世も末だよ。こんなの乱立したら」

友人。年は私の2つ下、私と同じように、既婚者で子供はなし。

特徴は『大きい』。いや、背は私よりも低いんだけど、主に胸とか、お尻とか。それとふわっとした茶色のパーマも相まって、まるで大学生のように若々しい。

 

「まったく、どうしてこんな所に……」

「『どこで遊ぶ』って聞いたら『どこでも良い』って言ったのそっちじゃーん! それに、触手風呂は美容に良いんだぞぉ!」
「そうなんだけど……。もっとこう、ショッピングとか、お茶とか……」

曰く、触手が全身の垢を優しく舐め取ってくれて、美容成分たっぷりの粘液を擦り付けてくれるのだとか。そんなのどうでも良い。

ともあれ、今日のいきさつはそういうことだ。彼女から遊びに誘われて、私が『どこでも良いよ』なんて適当なことを言ってしまったら、ここに連れて来られた。

だけどまさか、突然こんな場所に連れて来られるなんて夢にも思わないじゃないか。

「あなた、こういうの結構来てるの……」
「まーねー♡ だけど都心まで電車でどんぶらこだから、結構大変なんだよー」

私たちはそんな会話をしながら建物の自動ドアを潜る。なんだかいつの間にか入ることになってるけど、私は『いざとなったら見てるだけにしよう』なんて思っていた。

「中は、結構普通なのね」

こんな施設のためか、お店に入ってゆくのは若い女性ばかり。だけど触手風呂だろうが何だろうが、システムはスーパー銭湯とそう変わらないらしい。

建物に入ると、まずは靴を脱いでから、カウンターで受付をして、ロッカーの鍵をもらう。軽食コーナーとか、仮眠室とか、古臭さ溢れるゲームセンターとかがあるらしいけど、メインは当然浴場。大きく『ゆ』と書かれた暖簾を潜って、いくつものロッカーが並ぶ脱衣所に行く。脱衣所にコーヒー牛乳やらフルーツ牛乳やらの自販機があるのも、やっぱりスーパー銭湯っぽい。

そして脱衣所で服を脱いだら、タオルを持って浴室の扉を開くのだ。

 

浴室のドアを開けた瞬間、私は絶句した。

「うぇ……」

お湯はなく、湯気も立たないはずなのに、妙に熱気立っている浴室内。話を聞いていた時点で何となく分かっていたけれど、その光景は壮絶と言うほかない。

本来浴槽を満たすべきお湯が、そのまま全部触手になってしまったような光景。そこに若い女性たちが、時にはうっとりしながら、時にはヒーヒー言いながら浸かっている。意外と盛況。

初めて見る触手はグロテスクで、だけどそこに浸かる女性たちの表情は気持よさそうで。私は顔を青ざめさせるべきか、赤らめさせるべきか分からなかった。

「あはは、顔が紫色ー♪」
「うるさいよ……」

私の友人はそんな光景を当たり前のように眺めていた。場数が違うということだろうか。羨ましくもないし、頼もしくもないけど。

「そ、それで、どうすれば」
「んー? 好きに、入りたい所に入れば良いんじゃないかなぁ?」

「えー……」

完全に自由行動状態。『好きな触手に犯されろ』と言われて、好き勝手に行動できる女が果たしてどれだけいることだろうか。

だけど彼女はどうやら、そのごく稀な人種らしい。

「あ、ちゃんとかけ湯はしてねー」
「そこは普通なんだ……」

友人は早々に、すぐ側にあったかけ湯コーナーで体にお湯を掛けてから、触手に満たされた浴槽へと行ってしまうのだ。

 

目の前にある、1番大きな浴槽。きっとスーパー銭湯で言うなら、特段の作用がある訳でもない、ありふれたお湯というポジションなんだろう。

そこは紫色の触手に満たされていた。ミミズのような形をした、だけど男性のぐらいの太さの、結構大きな触手だ。

友人が浴槽の縁にある手すりにつかまって、触手の群れにつま先を付ける。すると足先がゆっくりと浴槽に飲み込まれてゆく。

「ん~♡」

触手の動きは、まるで女体を浴槽内に引き込むよう。足首、ふくらはぎ、太股と、水面(?)よりもちょっと上の部位に何本かの触手がぺたりと貼り付いて、その後ゆっくりと水面まで戻るように撫ぜてゆく。

そうやって腰から下が触手に飲み込まれたところで、彼女は喘ぎ声を上げ始めた。

「んぅっ♡ ぁっ、結構元気ぃ♡」

外から見ている私でも、想像するのは簡単だ。触手が、彼女の脚にしたのと同じように、ねっとりとした動きでアソコを撫で始めたのだ。

そのまま彼女は体を沈めてゆくと、触手は上半身も愛撫してゆく。

「んぁっ、ふぅっ♡ ふふ、ちょっとくすぐったぁい♡」

あばら辺りに巻き付いた触手が、彼女にくすぐったさを与えると共に、その胸の大きさを強調させていた。改めて見ると、彼女は本当にイイ体をしている。これも触手風呂に通い続けている効果なのだろうか。

 

「っと」

いけないいけない――私は首を横に振る。私にはないけど、きれいな女の人が気持ちよくなっているのを見たら、少しぐらいいやらしい気分になってしまうのは仕方ないことで。散々嫌な顔をしてきた私だけど、触手風呂というものをちょっと試してみたい気分になる。

だけどいざ触手の海に身を投じるとなると、やっぱり抵抗感が強い。どこかに手頃な浴槽はないものか、私は大浴場を歩き回ることにした。

「結構、いろいろ種類があるのね……」

そうやっていろいろな浴槽を観察してみると、触手の種類が随分と違うことに気付く。触手の形とか、大きさとか、纏っている粘液の粘度も違う。温泉にいろいろな効能があるように、きっと触手にもいろいろな効能(?)があるのだろう。

そうは言っても、私は触手とことなんてないから、どれが自分に合っているかなんてちっとも分からない。

そろそろ大浴場内を1周してしまいそうだ――その時、ある浴槽が目に留まった。

「あれなら、いけるかな」

私が目を付けたのは、中庭を一望できる大きな窓際に置かれた『壺風呂』だった。

直径1メートルぐらいの、陶器の壺の形をした小さな浴槽で、普通のスーパー銭湯なら露天によく置かれているものだ。大きな浴槽と違って1人で入るものだから、本来ならお湯を独り占めできる贅沢感があるのだけど、今の状況だと何が起きても1人だから気兼ねないというほうが大きい。

私は周囲を見渡して、付近に誰もいないことを確かめる。そして深呼吸を数回してから、浴槽の縁に手を置いて、恐る恐る右足の先を触手の群れに付けた。

「ぅへぇ……」

つま先に触手がねっとりと絡みつく。水面は紫色。先ほど見たのと同じ、直径3~4cm程の細長い触手。表面はつるつるぷにぷにだけど、糸を引く粘液を纏っている。その感触にぶわっと鳥肌立つ。

「ぅ~……。いや、いやいやいやいや……!」

ここで足を引き抜きたくもなったけど、私は『大丈夫、大丈夫』と心の中で唱えながら、少しずつ右足を沈めてゆく。

どうしてここで頑張ってしまったのだろう。きっと気持ちよさそうにしていた友人や、他の女性客のことが少し羨ましかったのだと思う。それにせっかくお金を払って入場したんだし!

「ふぅ……! ぁ゛ー、脚がぁぁ……」

そんな少し不純な気持ちで、何とか壺の底につま先を付けることに成功する。壺の深さは、膝よりも少し上ぐらいか。ここまで辿り着けば、後はもう少しだ。右足の次は左足。もう片足を沈めるのはそう難しくない。程なくして、私は壺風呂の中で直立することに成功する。

「あと、は……。ごくり……」

後は腰を下ろすだけ。1つの大きな山場を超えて、次の大きな山場に辿り着いた気分だ。私はゆっくりと、慎重に腰を下ろしてゆく。膝から先に沈めて、お尻を最後まで上に残すように。

だけどいくら先送りにしていても、はいずれ訪れる。

「んぅ!? ぅぁ、ぁ゛ぁぁぁ……!」

股間にねっとりと絡みつく触手。足に絡みつかれるのには多少慣れたつもりだったけど、やっぱりを触れられるのは抵抗感が強い。少しの間体が硬直する。

「っ~~~~!」

……私は、熱いお風呂に入る時は『ええいままよ』という気持ちでいっきに入ってしまうタチだ。その癖がよりにもよって今出てしまったようで。

私は目を閉じて、体の神経をできるだけ閉ざして、膝の力をふっと抜いたのだ。

「お、お、おぉぉぉぉぉぉ……!?」

ずぶずぶずぶと体が沈んでゆく。先ほどまでの焦れったさは何だったのやら、私はあっという間に首から下を触手に飲み込まれてしまった。

「ぁ゛ぅぁーー! は、入れ、たーー……!」

何だか1つ大きなことをやり遂げたような気がした。目的をはき違えているような気が……しなくもない。

 

私は触手から両腕だけを引き抜いて、壺の縁に肘を置く。

「慣れれば、何とかぁ、ぁ、ぁんぁぁぁ……!?」

ねっとりとした触手が全身に絡みつく。温度は人肌。それは何だか回遊魚の群れにでも突っ込んでしまったような感じで、全身が気まぐれに突かれ、撫でられ、揉まれてゆく。

少しくすぐったい気もするけれど、笑い出す程ではない。それよりも、人肌に包まれるというのは、何だか不思議な気分がする。

「これ、意外と悪くないかも――」

想像以上の心地よさに、思わず目を細め――ようとした瞬間だった。言葉が止まる。目がかっと見開く。

触手の動きが突然変わったのだ。

「ふぁい!? ぇ、なっ、ぁ、ぁひ、ぁ、ぁ……!?」

きっと私が入るまで、この壺の中にいた触手たちは眠っていたのだろう。そう思えるぐらい、壺の底からグチュグチュという音が響いてくる。

次の瞬間、は私の限界をあっと言う間に超えた。

「ぁえぇぇぇぇぇぇぇ!!? ひっ、ひひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

私は当然のように悲鳴を上げた。こんなにも激しく触手が動き出すなんて思いもしなかった。

『思うがままに蠢く』動きから、『明確な意志をもって、私に擦り付く』動きへ。無数の触手が、私の全身をしつこく突き、撫で、揉んでゆく。まるで触手に全身を洗われているようだ。

「なへぇぇっ!!? なっ、触手っ!? 触手だっけぇぇぇぇぇえええ!!?」

触手の水面を見ると、その変化が際立つ。先ほどまで水面は紫色だったのに、今はそれだけでなく、赤、青、緑、黄、白、黒――いろいろな色がごちゃ混ぜになって、酷く不気味な色彩を放っていた。どうやら私が気付かなかっただけで、この壺風呂にはいろいろな種類の触手がごちゃ混ぜになっていたらしい。

とすると、刺激も当然多彩になるのだ。

 

例えば、細い触手の感覚。

「くひっ!? ひひひっ! ぁ、ちょっ、ちょっとぉっほほほ!!? く、くすぐったいぃぃぃ!?」

体を撫でるというよりは、くすぐるというほうが近い。背中とか、内股とか、そういう所をくすぐられるとゾクゾクが止まらなくなる。

例えば、吸盤のような感覚。

「んぁぅっ! やめっ、そんなに、乳首っ、吸ったらぁ……っ♡ ぁっ、んっ、ぁぅぁぁぁっ!?」

乳首をちゅっちゅっと断続的に吸い付かれる。ピンポイントに乳首を吸ってくるのだから、きっと触手たちは私の体をしっかり捕捉しているのだろう。

例えば、よく分からない、とにかくすごい感覚。

「んぃ゛いぃぃぃぃぃ!!? あそこっ、ひゃめっ!? そんなにぞりぞりしないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

歯ブラシのような? 舌のような? ヤスリのような? そんな触手で股間を激しくゾリゾリゾリと磨き上げられる。ただただ強烈で、一体触手がどんな形をしているのか、本当によく分からない。

 

「むりっ、こんなっ、むりぃぃぃぃぃぃ!!?」

こんなの耐えられる訳がない。私は飛び上がるように壺風呂から出ようとした。しかし出られない。全身にねっとりと巻き付く触手が重く、粘液が私の手足を滑らせたのだ。

そうこうしている間に、私はイッてしまう。

「ぁぇ!? ぁ、や!? で、出られな――ぁぎぃぃっ♡♡♡ ぅぐっ♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!?」
(うそ、私、こんな簡単に……?)

それは私の常識がひっくり返るような絶頂だった。

独りでている時とか、旦那とする時は、頑張ってアソコを弄くり回してようやくイクぐらいだったのに。『絶頂』というのはだと思っていた。必死に走って走って、ようやく辿り着くゴールのようなもの。

それなのに今、私は何の労力もなく、あっと言う間にイカされてしまった。まるでロープか何かで括られて引きずり回されるような、楽ちんで、強烈で、苦痛を伴う絶頂。

そしてそんな快感はずっと続く。

「ぁ゛ぅぁぃぃぃぃぃっ!!? ひっ、ひぇぁぁぁぁぁぁぁっ!!? なにっ、このおふろ何なのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ♡♡♡♡」

触手が私の全身を甚振り続ける。

どうしてどうしてどうして!? ――私はもう半ばパニック状態だ。どうしてこんなに気持ちいい? 私の体はこんなに敏感だったっけ? どうして他のお客さんはこんなに強烈なのを平気な顔をして愉しんでいるの?

 

「あれー? 思ったより愉しんでるー」

訳が分からないまま悶えていたら、素っ裸の友人がペタペタと歩いて来た。

「あんなに嫌々言ってたのに、まさかに入るなんて思わなかったなー」
「なっ、なひっ、なひぃぃっ!?」

「言わなかったっけ? 暗黙のルールみたいなので、どこの触手風呂も『壺』は1番なってるんだよ?」
「な、なにひょれぇ!? なんでへぇぇぇぇぇ!!?」

「うーん。『蛸壺』ってやつになぞらえて?」

私の疑問に対する答えが全て出た瞬間だった。触手風呂において『壺』風呂は、そのお店の意地が賭けられているということ。だけどそんな業界特有のルールなんて知らなかった!

「た、たしゅけっ!!? たしゅけへへっ!!?」
「私もいろいろ試しておこーっと♡」

私は彼女に助けを呼ぶけど、マイペースな彼女はすぐに別の所に歩いて行ってしまう。『気持ちよくなっているのなら大丈夫だろう』――きっとそんな思考だ。

 

友人の行き先は、1つ向こうにある浴槽だった。

「足湯あるじゃぁん♡」

それは石のベンチに腰掛けて寛ぐ足湯。イソギンチャクのような細い触手が浴槽の中を満たしている。

「んひゃぁんっ♡♡ ぁー、これぇっふふふふふっ♡♡ くすぐったいの、結構気持ちいいんだよね~~♡♡」

彼女の足に、触手が纏わり付く。足の裏、指の間、足首。それは見るからにくすぐったそうで、だけど彼女の表情は悪くなさそうだ。それに私が入っている壺風呂と比べたら、ずっと楽そう。あぁ私もそっちにすれば良かった!

そう思ってたら、壺の中で触手が私の足の裏をくすぐり始めた。

「きひぃぃ!!? ひぃっひっひひひひひひひひっ♡♡♡ なひっ!!? く、くしゅぐられぇぇぇっへへへへへへへへ!!?」

違う、求めてない! そこをされたい訳じゃないから!

私の口から笑い声が漏れ始める。足の裏をくすぐられたら笑うに決まっている。だけどくすぐったいはずなのに、その刺激が不思議と子宮を疼かせる。あまりの気持ちよさのせいで、全身がバグってしまったみたいだ。

「へー。炭酸風呂なんてあるんだぁ。私が通ってた所にはなかったなぁ」

次に彼女はすぐ隣の炭酸風呂に入る。

「んぁぅっ♡♡ ぁ、ぁぁぁーー!? これ、癖になっちゃいそぉ~~♡♡」

普通の銭湯なら炭酸風呂も分かるけど、触手風呂で炭酸……?

彼女は気持ちよさそうにしているけれど、一体どんな刺激なのか想像も付かない。そう思っていたら、また壺の中の触手が動きを変えた。

「ふひゃぁぁっ♡♡ ぁ、ひっ、な――!!? なにっ、こぇっ♡♡♡ からだっ、へっ♡♡♡ へぅぁぁぁぁっ!!?」

これは、吸盤? それも蛸なんか目じゃないぐらい、米粒のように小さな吸盤が、私の全身に貼り付いては剥がれてゆく。プチプチ、プチプチプチ――これは不思議な感触だ。なるほど、確かに炭酸の感触がしないでもない。

だけどそう呼ぶには、触手の動きはあまりに艶めかしすぎる。吸盤が皮膚を摘まんで、パチンと放す――その瞬間にゾクッとした感覚が背筋を上ってゆく。それが全身の至る所で、絶え間なく行われる。

「やめっ、やめっ♡♡♡ からだっ、ぷちぷちしなひで――♡♡♡ ぇっ、ぁっ、あっ!!? ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!?」

小さく絶え間ない全身の衝撃で、私はイッてしまう。全身がぶわっと鳥肌立つような絶頂。何だかさっきから、全身を性感帯にされているような気がした。

私がヒーヒー言っている間に、友人はジェットバスに入る。

「ぁ゛ぁぁぁぁっ♡♡♡ これこれ~~♡♡ 私、触手のジェットバス好きなんだよぉ~~♡♡」

触手風呂でジェットバス――これも意味が分からないけれど、やっぱり壺の中にいる触手たちがその答えを教えてくれるらしい。

「んぉ゛ぅぅぅっ♡♡♡ ぁぐっ、背中っ♡♡♡ つぼ、押され――♡♡♡」

触手が私の背中を押してくる。

先ほどからよく見る、にゅるりとした触手とは少し違う。表面が柔らかくとも、奥に骨が入っているように芯を感じさせる触手だ。

そんな触手が、肩甲骨の付け根とか、腰のへこんだ所とか、ツボを的確に押してくる。それはマッサージするようで、性的快感とは違う心地よさを感じられ――という訳には行かないらしい。

「ふぁ゛ぉぉぉぉっ♡♡♡ ぁぎ――♡♡♡ つぼっ、にゅるにゅるしひゃらっ♡♡♡ 骨がゾクゾクしへぇぇぇっ♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

触手がツボを押し込みながら、ぬるり、ぬるりと滑るのだ。そのせいで、心地よさと気持ちよさが同時にやってきてしまう。

触手の愛撫が上手いせいか、私の全身が開発されてしまったせいか、はたまた両方か。ツボ押しというのは1度性感を覚えてしまうと、体の芯にまで快感を届けられているように感じられた。

 

「ぁ゛ぅぁーーーっ♡♡♡ ぁ゛ーーーっ♡♡♡ ぁ゛ーーーーーーーーっ♡♡♡♡」

あまりに多彩で強烈な快感。私は壺風呂の恐ろしさを実感した。いつの間にか浴槽から逃げるのを諦めて、全身を襲う触手に翻弄されるばかり。

すると、友人がまた私のほうに近付いてきた。

「『裏技』、やってあげる♡」

全身にねっとりと粘液を浴びた彼女は艶めかしい。だけどその表情はどこか悪戯っぽくて、『ドキリ』とするよりは『ギクリ』とする。こういう表情を浮かべている時の彼女は、大抵禄なことをしない。

そして彼女は、私が入っている浴槽を、指でこつんと叩いたのだ。

「ふぁぇっ、ぁ゛うっ♡♡♡ ぁ? ぁ゛ぅぁぁぁぁ♡♡♡」

小気味良い音が響き、私は喘ぎ声の中に間抜けな声を混ぜる。

彼女のが分からなかった。彼女は確かに、壺風呂を指で叩いたかのように見えた。だけどそれが一体何だと言うのだろう?

だけどそれから数秒、次第に異変が起こる。

「ぁ゛ぅぁぁぁっ!!? しょ、しょくひゅっ、う、動いて、ぇぇぇぇっ!!?」

壺の中を満たす触手たちが落ち着かないように、ざわざわ、ざわざわと動き出して、そして。

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ!

「っっあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーっ♡♡♡♡ ぁひっ、ひっひっ、ひぃ゛ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!?」

触手たちが一斉に暴れ始める。先ほどよりも強く激しく、全身を擦られ、吸われ、揉まれる。当然、快感も今までよりも強いものになる。

一体何が起こったのか、さっぱり分からなかった。

「触手って生き物だからぁ、刺激を与えると動くんだよ。特に壺風呂だと、こうやって壺を叩いてあげるとね?」

こつん、こつん――彼女が壺を連続で叩くと、また触手の動きが変わる。

まるで指に叩かれた衝撃から逃げるように、触手たちが壺の片側に寄り始めるのだ。そのせいで、私の体が触手に潰される。ぬるるるると潰されながら、擦られ、吸われ、揉まれてゆく。

「んぉ゛ぉぉおおおおお!!!? ぁぐっ、つ、潰されっ♡♡♡♡ ぁぅ゛っ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

強烈な絶頂感が私を襲う。

もう、体のどこでイッているのかも分からなかった。くすぐられる足の裏、小さな吸盤で吸い付かれる背筋、ツボを揉みほぐされる腰。全部が全部気持よくて、胸やアソコは言わずもがなだ。

 

彼女は、壺のあちこちをこつんこつんと叩き続ける。その度に触手は大波のように揺れ、私は全身を揉まれてゆく。

「まったくもー♡ あんなに嫌々言ってたのに、いざ来てみたら私よりも愉しんでるんだもーん♡」
「ひーーーーーっ♡♡♡♡ ひ――ぅぁ゛ぁああっ♡♡♡♡ きもちっ、気持ぢいっ♡♡♡♡ 気持ちよすぎるぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡」

「これからはちょくちょく、ここに通おうねー♡」
「ぁぐっ♡♡♡ だめっ、それっ!!? イクっ♡♡♡ 、いぐっ、いっちゃぁ゛ぁぁぁっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

「はい言質取ったー♡」

結局私は自分の意思で壺風呂から出ることができず、のぼせて彼女に担がれるまで、イキ続けることになったのだった。

 

――――
――

 

「帰る」
「え、えー……」

脱衣所の隅にある休憩室にて、私は体育座りでそう呟いた。

散々イカされて、のぼせて、それからしばらく休んだ後。全身がまるで赤ん坊のようにつるつるすべすべなのが、端から見たら何ともシュールだ。

「まだお昼前だよー? せっかくフリータイムで入ったのに、もったいないじゃない?」

「やだ、帰る」
「んもー」

有り体に言って、私は拗ねていた。あんなにみっともない姿、旦那にも見せたことがないというのに。『止めて』と言っても全然止めないで、悪乗りしてあんなに人のことを散々イカせて。

「『止めて』なんて言ったっけ?」
「…………」

……言ってない気がする。

そしたら彼女は折れたのか、少し遠慮気味な様子で言うのだ。

「それじゃあ、最後にサウナでも行こっか?」
「のぼせた人を連れて行くかね? 普通……」

だけどまぁ、お湯に浸かってのぼせた訳でもないし、水分をしっかり摂って体の調子も落ち着いてきたし、仕方ないから少しだけ付き合ってやることにした。

 

サウナは普通のサウナに見えた。

暖色の光と、白い木材に覆われた部屋。隅には石が積まれた大きなかごがあって、そこから湯気がもうもうと出ている。

どうやらこの部屋に触手はいないようだ。私はほっとしながらベンチに腰掛けた。

「何だか、ここのサウナは良い匂いがするね」

どこか甘い、花の蜜のような匂い。そう言えば、サウナの中にはアロマオイルを使ったものもあったっけ。そこらのスーパー銭湯と比べると、随分と凝っている。

私は思わず、息を少し強く吸い込んだ。

「……ぅぐ!?」

次の瞬間、体に違和感が走る。

サウナなんて関係ない、まるで体の内側から熱くなるような感覚。全身がむずむずして、落ち着きつつあったはずの子宮がまた疼き始める。これは、まさか。

「媚薬ミストサウナ♡ ダイエットや美肌の効果もあるよぉ♡」

私ははっと息を止めた。

「あなた……知っててやったでしょ」
「何のことか分かんなーい♡」

私は横隔膜を硬直させながら苦々しげに言うけれど、彼女は口笛を吹く始末。

こんなサウナにいられるか! 友人をここに置いてでも、私は家に帰ってやる! ――そう思って立ち上がろうとしたら、彼女がつんと、私の背中を突いたのだ。

「ひんっ♡」

つん、つん、つん。

「ぅあっ♡ ひゃっ♡ ふぅんっ♡」
「うーん。やっぱり、触手風呂に入った後のサウナは効くねー♡」

「ど、どういうっ、ひゃふんっ♡」
「媚薬は肌からも染み込むから、触手が垢を落としてくれた後だと余計に、ねぇ?」

「やっぱりっ、わざとじゃひゃんっ♡ っ~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」

首筋、腋の下、太股。そんな場所を指で突かれただけで、アソコがひくひくと蠢いて、愛液がじわっと染み出してゆく。散々触手に嬲られたせいで、私は全身が性感帯になってしまったらしい。

それに、悲鳴の度に呼吸を止められなくなって、体内に媚薬の成分が侵入してゆく。

「そんなんで服着ちゃうと、衣擦れで大変だよぉ……♡」
「っ~~!」

「ちゃんとしてからでないとねー♡」

 

それから私は仕方なく、この触手風呂に夕方まで滞在することになる。

足湯、ジャグジー、打たせ湯、寝湯。ありとあらゆる触手風呂を試した挙げ句、それでも物足りなくなってまた壺風呂に赴いてしまったとしても、それは媚薬のせい。仕方ないことだ。

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