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◆あらすじ
女体を完全再現する”疑似肉体”、その疑似肉体への刺激をネットワークで本人に伝える”触覚共有スーツ”を利用した、遠隔えっちサービスがありました。これは、そんなお店で初めてバイトする少女のお話。ちょっとしたお金稼ぎのつもりだったのに、姿も分からない相手からの、多種多様で、ちょっぴり変態的で、しつこく激しい全身責めに、頭がおかしくなるぐらいに後悔するまでイカされてしまうのでした。
※この作品は、Pixivリクエストで頂いた有償リクエストの作品です。
小さい頃、年の離れた姉の部屋で、大人のおもちゃを見つけてしまったことがあった。
うずらの卵みたいな形をしたローター。そのローターには線が付いていない。机の棚にはリモコンがしまわれていて、少し離れた所からでもボタンを押すと、ローターがブーブーと甲高い音を立てながら振動を始めるんだ。中途半端な性知識しか持っていなかった私でも、それがえっちな何かであることが分かった。
兄弟姉妹の性事情を知ったところで、大した問題にはならない。片や姉は、恥ずかしがり怒りながら、もっと念入りにおもちゃを隠すようになる。片や私は、『あんまり家族のそういうのを知りたくはなかったな』なんて思いながら、家族であっても触れてはならない領域というものを学ぶ。それで2人の関係は保たれて、めでたしめでたし。
だけど、幼い頃の衝撃的な体験は、記憶の片隅にぼんやりとした疑問として残り続ける。
遠くから気持ちよくさせられる――それって、そんなに良いことなのかな。
――――
――
「――それでは、初めてのお仕事ということでよろしかったですか?」
「は、はい」
私――雨音 糸は地味な大学生だ。染めない、巻かない、結わない、肩の上で切りそろえただけの黒髪。素朴な顔。めりはりの少ない体。少しやぼったいパーカーとジーンズ、スニーカー。
そんなあか抜けない私が今いるのは、おしゃれなアパレルショップや雑貨店、カフェ、エステなどが建ち並ぶ、都内でも女性に人気のエリア。きらきらとしたビルの3階で、お小遣いが欲しい私はアルバイトをすることになった。
……それも、えっちなアルバイトだ。
「まずは、改めてお仕事の内容をご説明させていただきます。よろしいでしょうか?」
「よっ、よろしくお願いしますっ」
「ここは、リモートプレジャーサービスのお店です。プレジャーの意味は……分かりますよね?」
「は、はい」
私はうなずきながら、自分の顔が熱くなるのを感じた。回りくどい言い方をしているけれど、つまりはそういうこと。
だけど、それだけじゃない。大切なのは、その前。リモート――日本語にすれば『遠隔』。そう、ここは……。
「ただし、ここではお客さまのお相手を直接することはありません。ここでお仕事をする方には、こちらの『触覚共有スーツ』を着ていただきます」
お仕事の案内をしてくれるスタッフさん(私よりも年上で、ずっときれいな女性だ)が取り出したのは、真っ黒なスーツだった。サイズは小さいけれど、きっとよく伸びるんだろう、ゴム手袋のような質感で、ところどころに金色の線が引かれている。
「こちらのスーツを着用することで、お客さま側にある『疑似肉体』が着用者の体形を忠実に再現。プレイが可能になるということです。そう、こちらのようにですね」
受付カウンターの側にはパイプ椅子があって、そこには薄橙色の塊が座らせられていた。その形は、女性の首から下そのまま。ぼんっと膨らんだお胸、きゅっとくびれた腰、またぼんっと大きなお尻。私なんかじゃあ比べものにならないぐらい、素敵な体。
見とれていると、スタッフさんが言った。
「それ、実は私の体なんですよ? 今、中にスーツを着ているんです」
「ええっ!?」
「触ってみてもいいですよ? ご安心を、プレイ用ではなく観賞用ですので、感覚共有機能は切ってあります」
「そ、それじゃあ」
「あんっ♡」
「っ!?」
「うふふ、冗談です♡」
「…………」
『疑似肉体』は、まるで本物の体のように柔らかくて、しっとりと指の吸い付きがよくて、だけど汗とかの不快なベタ付きを感じさせずさらさらしていた。
つまり、こういうことだ。
ここで働く女性は、『触覚共有スーツ』という真っ黒なボディスーツを着る。すると、遠く離れた所にいるお客さんの持っている『疑似肉体』が女性の体を再現して、向こうはその『疑似肉体』にえっちなことをして愉しむ。そして、その刺激は『触覚共有スーツ』を通じて、着ている女性にまで伝わってくる。
そうやって、遠く離れた人と擬似的にえっちなことをして、その対価としてお金をもらうんだ。ここは、そんなサービスで働く女性たちの事業所。お客さんはこことは違う、全国あちこちのお店にいる。
スタッフさんの案内は続く。
「それでは、コースを選びましょうか。まず、ナカは大丈夫ですか?」
「あ、わ、私、その。まだ経験がなくて……」
「分かりました。それでは、本番NGのコースにしておきますね。最初は大切な方のために取っておいて差し上げてください」
「は、はい」
「プロフィールはあらかじめ作成していただきましたから……あとは時間、それとお部屋ですね」
「お部屋?」
「当事業所には、2種類の広さの個室と、共用スペースがあります。広い個室のほうがゆったりできますけれども、その分だけ多く手数料をいただくことになります。共用スペースは1番手数料が安くなりますが……最初はおすすめできませんね。他の女性がいる中でプレイをするわけですから」
私はカウンターに置かれたラミネート加工の案内を見る。なるほど、部屋A、部屋B、部屋C。
部屋Cはいくつものソファとテーブルが置かれた、大部屋の共用スペース。確かに、他の人もいる中でえっちなことをするのは嫌だなと思った。部屋Bは、個室だけど狭い。椅子1脚でいっぱいのその見た目は、お手洗いに近くて、横になることもできないみたい。部屋Aも広くはないけれど、それでも大きなベッドが1台置かれている。手足を思いっ切り開いて横になれそうだ。
「それじゃあ、広い個室で。ええと、時間は朝から夕方まででお願いします」
「かしこまりました。それでは、お部屋は12号室になります。『触覚共有スーツ』を着たら、お部屋にある『開始』ボタンを押してください。こちらの端末で、レンタル開始の手続きをいたします」
私はそんなやり取りをして、『触覚共有スーツ』を受け取ったら、『何だか最後のやり取り、カラオケっぽかったな』なんて思いながら、個室に向かう。
後ろで、スタッフさんたちの会話が聞こえた。
「先輩、新しい子ですか?」
「そうよ。声、抑えてね」
「続くといいですね。続けられる人、なかなかいないですから」
「うーん、あの子は大丈夫じゃない?」
「どうしてです?」
「ここに限らず、お仕事の動機って2種類があると思うの。一つは、『お金が欲しいから』。もう一つは、『そのお仕事が好きだから』」
「はあ、つまり?」
「つまり、そういうこと」
「いや、分かんないです」
私にも、その言葉の意味は分からないのだった。
――――
――
12号室。実物を見てみると、やっぱり狭い部屋だ。
ダブル? クイーン? それぐらいのサイズのベッドがどんと置かれていて、その両側に人一人が通れる程度の空間があるだけ。
(まあ、ビジネスホテルぐらいの広さがあっても、持て余しちゃうよね)
部屋の鍵……は、付いていないのか。とにかく、かばんを置いて一息。心の中を整理。冷静な態度を装ってはいるけれど、自分のお胸に握りこぶしを置くと、心臓がばくばく言っていることに気付く。当然だ。だって私はこれから、えっちなことをしようというのだから。
そもそも、こんなアルバイトをしようと決めたことには、ちゃんとした理由があった。コンビニの店員になるよりも、ずっとお給料が良いから。実際にお客さんと会うことがなくて、気が楽だから。
だけど、えっちなことをすることに、ちょっと期待していたから――そんな理由があることも、確かに否定できない。
「……よし」
臆病はここで終わりにしよう。
私は服を脱ぎ始める。パーカー、ジーンズ、Tシャツ、ソックス、そしてブラとショーツ。途中、『共用スペースだと、他の女の人がいるところで服を脱ぐのかな?』なんて考えて、やっぱり個室にしてよかったと思った。
誰かが見ているわけではないけれど、裸になると不思議と焦る。私は『触覚共有スーツ』をがばっとつかんで、だけど前後の確認でもたついてから、足元からはくように全身に装着する。最初は子供服みたいな大きさだった黒色のスーツが、大きく伸びて私の体にぴちりとフィットした。タイツとゴムの間ぐらいの質感かな、少し厚みがあるけれど、さらさらしていて案外着心地がいい。
首から下が真っ黒なスーツに覆われている姿は、何だか映画とかに出てくる女スパイみたいだ。ほんの少しだけ、気分が上がる。
「よし、これで……ん? 何だろ、毛布の中に、何かが……うわ!?」
ベッドが変にこんもりしていることに気付いて、私は毛布をめくる。すると、大きな薄橙色の塊が転がっていた。見覚えのある、首から下だけの女体――これは『疑似肉体』? それで、あまりぱっとしないその体形は、もしかして私の体?
「心臓止まるかと思った……。触っても反応がないから、観賞用ってこと?」
頭のない体を突然目撃するというのは、本当に心臓に悪い。
私は、自分の体を再現した『疑似肉体』をつんつんしながら気を取り直す。動作を確かめるために置かれているのかな。だけど、大きなものを置くスペースなんてこの部屋にないから、そのままベッドの上に転がしておくことにした。
「……よし」
壁にねじで取り付けられた、まるでファミレスのテーブルにでもありそうなボタンを押して、いよいよお仕事が始まるんだ。
「……と言っても、すぐに始まるわけでもないか」
この、ええと、ぷ、ぷれ……ああそうだ、リモートプレジャーサービスは、まず女性が『触覚共有スーツ』を着て、出品の手続きを取る。次に、お客さん側が出品された女体の一覧を見て、気に入ったものに入札する。そういった流れがあるから、どうしてもタイムラグがあった。
「というか、私みたいな地味な体が欲しいって人はいるの……?」
私はベッドの縁に腰掛けながら、かばんからスマートフォンを取り出した。入札はこういう端末から、案外気軽に行えるんだ。
念のためにインストールしておいたアプリを開いて、今借りられる女体の一覧を見てみると、うわ、私なんかよりずっと素敵な体がたくさん。みんなプロフィールをしっかり書いているし、顔写真を載せている人もいる。
「いろいろ工夫してるんだなあ。……ええ? 『一緒に○○ちゃんの体も借りてください。レンタル中は2人で百合えっちしています。百合の間に挟まる体験をあなたに♡』って何それ、うわ、すごい人気……」
私はというと、顔写真もなく、『よろしくお願いします』なんてシンプルすぎるプロフィールだけ。本当に借りてくれる人なんているのかな。このお仕事は歩合制だから、このままじゃあ来た甲斐なし。何だか心なしか、体も寂しいような気がする。
だけど、そんな心配をする必要はなかったみたい。
「――んくっ!?」
お腹に突然走るむず痒さ。最初は気のせいだと思ったけれど、あまりにはっきりした刺激だったから、気のせいじゃないとすぐに分かる。
始まった。誰かが、私の体を借りたんだ――私はスマートフォンをかばんに放り込んで、それからどうしたらいいのか分からなかったから、ベッドの上でぴんと姿勢正しく正座するのだった。
「ん……!? あ、お腹、なでられ……くふっ! そ、それ、くすぐったいぃ……っ」
今、私はお腹をなでられている。
それは、えっちなことをするというよりは、何か確かめるような触り方だった。ああ確かに、女体のレンタルなんてしたら、まずは『本当に借りられたのかな?』なんて触って確かめてしまうかも。だけど、その手付きはくすぐったいからやめてほしい。
私はベッドの上で正座したまま、相手を想像する。実は、貸し出しをしているのは女性だけでも、借りるのは男性でも女性でもできるらしい。一体、どんな人が私の体をレンタルしてくれたんだろう。だけど、どれだけ感覚を研ぎ澄ましても、どれだけ頭を働かせても、相手の姿はちっとも想像できなかった。
「も、もぉ、ちゃんと借りられてるからぁ……。は、離れた……っ? ふぅ、ふぅ……」
ほんの十数秒で、お腹をなでられる感覚は離れていく。確認終了、本番はこれから。私の心臓がばくばくし始める。
心の準備。えっちなことをするというのだから、最初はやっぱりお胸かな? でも、私のお胸はそんなに立派じゃないから、触って楽しいんだろうか。そしたら、いきなりアソコ? ――そのどっちが来てもいいように、私はお胸とアソコに意識を集中させる。
だけど、私の予想は全部外れた。
「くひゃぁぅあ!? わ、腋ぃぃぃぇぇええ!!?」
腋の下にやって来るくすぐったさに、私は間抜けな悲鳴を上げてしまうのだった。
「ぅくひっ!? ひぃ、ゃぁぁ……!! これ、何ぃぃ……!?」
あまりにも予想外の場所に、あまりにも予想外の刺激。反射的に脇を閉じて腋の下をぎゅっと押しつぶすけれど、くすぐったい刺激は変わらずやってくる。
指じゃない。絶対に違う。もっと柔らかくて、幅が広くて、ねっとりしていて……これは、もしかして舌?
「腋の下、な、舐められてるってことぉ……!?」
それは、私の知るえっちとはあまりにもかけ離れていて、ぎょっとした。
まさか、よりにもよって最初のお仕事で、こんな変態に貸し出されるなんて。頭の中にぼんやりと浮かんでいた、相手の人物像が悪い何かになっていく。もやもやとした形が、歪んで、濁って……。
だけど、だからといって、今更中断なんてできない。私は、この姿も声も、名前すら分からない変態のやることに、付き合わされることになった。『触覚共有スーツ』が首から足先までを全部包み込んでいるから、全身どこの刺激も、私にまでくっきりと伝わってくるんだ。
「ぅひは!? だから、そこは、くすぐったいだけだってへぇ……!?」
腋の下へのしつこい舐め回し。くすぐったさと嫌悪感に、全身がどんどん鳥肌立っていく。
「ふぉっ!? おへそ、やめっ!? 何で、なんでこじ開けようとするのぉぉぉ……!!」
次におへそ。誰かの舌先が、私のおへそにすっぽり収まっている。腰や背中にも触られている感触があって、私の『疑似肉体』に思いっ切り抱き付いているのが分かって、気持ちが悪い。
「あひっ、足もぉ!? なんで、そんな丁寧に……っ!? ぃぅぃぃぃぃ……!?」
足の裏までも舐められ始める。土踏まずとか、指先とか、指の股とか。舐められるたびに、足の指がぎゅっと丸まって、変な汗が出てくる。
「ま、待っ!!? お尻はやめ――!!? ひ、ぃぃぃぃぃいいいい!? や、やぁーー!!? 気持ちわるっ、気持ち悪いぃぃぃぃい!!?」
まさか、まさかまさかまさかまさか! お尻の穴まで!? ああもう、全部が全部信じられない! 正座したままの体が、びょんびょん飛び跳ねる。
「ぅ゛ぅぅぅううーーーー!! もうやだっ、これもうやだぁぁぁあーーーー!!?」
首筋、背中、指先、二の腕、太もも――私は全身のいろいろな部位を舌でなめられる。どうしてこんなマニアックなところばかり。その全部が不快で、私は体をじたばたと暴れさせ続けることしかできなかった。
だけど、そんな風に声を出しながら暴れていると、だんだんと疲れてくる。
「ふーー……!! はっ、はぁ……!! はぁぁ……!!」
ずっとベッドで座っているだけのはずなのに、全力で走った時みたいに全身が汗だらけ。このスーツはきっと良い素材で作られているんだろう、蒸れた感じがしないのはすごいと思った。
とにかく、『何だかもう、抵抗するのもばからしくなってきた』なんて思い始めて、正座を崩して、脚を前に投げ出して座り直した時のことだった。
「んわひぁっ!?」
今まで触られてこなかった部位に、ねっとりとした感触。
全身を舐めていた舌が、とうとう私のお胸を犯し始めたんだ。
「くっ、ぅう……! やっと、っていうか、最初からここ舐めてくれれば……っ! ぅ、やっぱり、気持ち悪いぃ……!?」
来た、とうとう来た。
大した膨らみのないお胸の付け根から、舌先でゆっくりと円を描くように。その円はだんだんと狭まっていき、らせん状に中央へと近づいていく。『やっぱり舌を使うんだ』なんて、嫌悪感に鳥肌立たせたのは最初だけ。舌がいよいよ乳首に触れると、私の反応も変わってくる。
「くひゃぁあっ♡♡ ぅあ、ぇ――!? こんな、気持ちい――♡♡」
こんなお仕事をしている私だから、もちろん独り遊びだってしたことがある。乳首というのは全身の中でも特に気持ちいい場所の一つだけど、指で触り続けているとどうしてもひりひり痛くなってしまう。
だけど、舌は違う。余計な摩擦のない、柔らかく、だけど確かな気持ちよさ。私があかなめか何かでない限り、独りでは絶対に味わえない、未知の感覚。
「ぅひっ、こんな、しつこく舐められたら――♡♡ ぅあっ♡♡ これ、すごっ、は、ぁぁぁぁぁ――♡♡」
私は考えを改め始めた。もしかして、このお店で舐められるのって最高?
だって、私の体に伝わってくるのは触覚だけ。相手の唾液も、臭いも伝わってこない。相手の声も、顔すらも分からない。つまり、純粋な気持ちよさだけがやってくる。まるで、口えっちの嫌な部分を全部取り除いて、きれいな部分だけを取り出したみたい。
凝り固まった嫌悪感が、少しずつ溶けていく。もしかしたら、腋の下とか、おへそとか、足の裏とか、もしかしたらお尻の穴とか。そういう部分も嫌がらずにちゃんと感じれば、ちゃんと気持ちよかったのかもしれない。今からでも、ちょっとだけ試してみてくれないかな?
そんな後悔は、アソコを舌でぺろりと舐められた瞬間に、全部吹き飛んだ。
「ふぉっ♡♡♡ ぉぉぉおおおおおおおおおおっ♡♡♡」
つるつるの割れ目に舌の表面がぺとりと乗せられた瞬間、私は腰をぐんと上に突き出しながら悲鳴を上げた。ずるずる、ずるずる、ずるずるずる。アソコの盛り上がりを包み込むように乗せられた舌が、少しずつ上にずれていく。
「ぉっ♡♡♡ おっぉっおっおっ♡♡♡ だめ、このまま上に来たら、当たっちゃう♡♡♡ 当たっひゃうぁぁぁあああ♡♡♡」
そして、ぬるりとした感触がクリトリスを包み込んだ瞬間、今までの嫌悪感が、全て完全に溶けさった。
「っ~~~~~~~~♡♡♡ ぁっ、ぁぁぁぁぁぁああああああああっ♡♡♡」
優しく、だけど強烈な気持ちよさだった。唾液と愛液のぬるぬる感、その奥にある舌のざらざら感の、絶妙なバランス。
「ぅあぉっ♡♡♡ また、舌がぺたってっ♡♡♡ まさか、さっきの舐め方、また――ひゃぁぁぁぁあああああああああっ♡♡♡ それっ、すご、気持ちよくて、だめ――ぇひゃぁぅぁぁぁああああっ♡♡♡」
それから、何度か同じ舐め方をされる。つるつるの割れ目に舌をぺとりと乗せて、舌の表面を全部使うようにして、ずるずるとなめ上げていく。2度、3度、4度、5度。もう、ずっとこれだけされていたいぐらいだけど、気持ちよさにはまだ上があった。
私の腰がびくん、びくんと跳ねて止まらなくなった時、今度はクリトリスを口に含まれるんだ。
「ふぁぉぇひやほぉぉぉおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡ こんなっ、やわらかひのっ、はじっ、初めてっ♡♡♡ へっ、へっへっへぇぇぇえっ♡♡♡」
恥ずかしい声が出たと思った。だけど、仕方ないじゃないかとも思った。
クリトリスを囲むように吸い付く唇の感触はぷるぷると柔らかく、小さなお豆みたいなクリトリスをちろちろ、ずりずりと舐める舌先は、生卵の黄身も潰せなさそうなぐらいに、優しくて柔らかい。
「ひふっ、ひひひひひっ♡♡♡ あっ、だめ、体の力が、抜け――♡♡♡」
だんだんと座っているのがつらくなってきて、私はベッドの上にあおむけで倒れた。すると、今更だけど気付いたことがあった。
「ぅあ、ぁ――♡ これ――♡ もしかして、動いて――♡」
ベッドに横たわっていた、私の体を再現した観賞用の『疑似肉体』が、小さく動いているんだ。
私が試しに、自分の肘や膝を曲げてみるけれど、反応はない。だけど、クリトリスを舐められて『んぁぅ!?』なんて悲鳴を上げた瞬間、『疑似肉体』の腹筋がびくんと跳ね上がる。関節の大きな動きじゃなくて、筋肉の小さなびくつきとか……そういった私の反応を、正確に再現しているみたい。お胸に手を当ててみると……うわ、ばくばくした心臓の鼓動も伝わってくる。
つまり、腋の下や足の裏を舐められてぷるぷる震えていたのとか、お胸を触られた時の鼓動とか、今こうして悦んでしまっていることとか――全部全部、相手に知られてしまっているということだ。
「ぅあ、ぁぁぁぁっ♡♡♡ だめ、何だか、急に恥ずかしく――♡♡♡」
私は両手で自分の顔を押さえた。そんなことをしても、悦んでる体の反応は抑えられないのに。
そもそも、ただ女体をレンタルして遊ぶだけなら、その刺激を私のほうに伝えなくていいはずだ。だけどこうやって、相手の刺激が私に伝わってきて、私がそれに反応して、その反応が相手に返っていくからこそ、相手だってその気になるんだ。遠くで柔らかな肉の塊を玩ぶだけの行為で、まるで本当にえっちしているような気分になれる。
そう思うと、何だか急に体が高まってくるのを感じた。
「くぁっ、だめっ、んぅぅうっ♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ っ、ぅぅう~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
絶頂。私はあおむけに寝たまま、ベッドのシーツをぎゅっと握り込んだ。
隣に横たわる『疑似肉体』が、びくんびくんと痙攣している。まるでポンプのように収縮している体を見れば、誰だってイッていることが分かるだろう。私も今同じような反応をしているのかと思うと、すごく恥ずかしい。だけど、恥ずかしさ以上の余韻が、私のクリトリスから全身に広がっていく。恥ずかしさを感じる余裕が溶けていく。
そして、私がこんなにも気持ちよくなっているというのに、クリトリスをぺろぺろと舐める舌が止まらない。
「ふぁおっ♡♡♡ ぉぉぉぉおおおおおおおっ♡♡♡ なんでっ、今、イッ――♡♡♡ ひゃぅぁ、ぁぁぁぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
イッた後もさらに気持ちよくしてもらえるなんて、生まれて初めての経験だった。それは私が思っていたよりも強烈で、まるでクリトリスの神経が引っくり返ったみたい。
私は思わず腰を引いたけれど、きっと向こうにある私の『疑似肉体』は、そんな抵抗なんて再現してくれない。ただ筋肉のびくびくとした痙攣を再現しているだけで、向こうにいる誰かはそんなの気にしない。敏感になったクリトリスを、優しく、優しく舐められ続ける。
「う、うそっ♡♡♡ イクの、早――♡♡♡ ひゃわぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
また絶頂。アソコから軽く吹き出た潮が、『触覚共有スーツ』を突き抜けて、シーツにぴちゃりと飛んだ。『ベッドを汚しちゃって大丈夫かな』なんていう不安以上の悦びが、お胸を満たしていく。
(これ、すごいぃ……♡♡♡)
こんなお仕事なんて、お胸を揉むとか、それぐらいのことだと思っていたのに。まさか、こんなにも気持ちよくしてもらえるなんて。気持ちよくしてもらいながら、お金も貰えるなんて、実はすっごくお得なお仕事なのでは?
……そんなことを思えたのは、今だけだった。
変化の始まりは、ちょっとした静けさだった。
「ぅあ、ぇ……♡ ど、どぉして、舐めるの、止め……?」
クリトリスを舐める舌が離れていき、『触覚共有スーツ』から何の刺激もやって来なくなる。
もうおしまい? だけど、ああ、これはただ休憩しているだけかもしれない。だって、今までずっと私の全身をぺろぺろしてくれていたんだもの。疲れてしまうのも当たり前かもしれない。でも、もしかしたら、私みたいなつまらない体、もう飽きてしまったのかも――心と体が、急に渇いていくのを感じる。
だけど、次にやって来たのは、体への圧迫感。
「ぅあ゛……っ? 何、腕、引っ張られて……。足も……っ」
場所は両二の腕と、両太もも。まるで何かが巻き付くような感触。うっ血してしまうほどではない、ぎゅっと力を込めて筋肉を膨らませれば、手足の先にしっかり血を巡らせることができる程度の圧力。これは何……? 一体何をしているの……?
そして、次の瞬間だった。
ぺろぺろぺろぺろ、ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ――!
「っ~~~~~~~~!!!? ぅあぇおひゃぇぉひょぁぁぁぁああああああああああっ♡♡♡♡ ぁえへぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええっ!!!?」
まるで、舌で作られた洗車機に全身を放り込まれてしまったみたいだった。
腋の下も、おへそも、足の裏も、お尻も、首筋も、背中も、指先も、二の腕も、太ももも、そして乳首も、アソコも。体の隅から隅までを舐め回されるような感覚。
くすぐったいような、ぞくぞくするような、居ても立ってもいられない気持ちよさがやってくる。口の奥が変にむず痒くて、奥歯がかちかちと鳴る。
「何これなにこれあにこえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええっ!!!? 何がおきへっ、ふぉあっ♡♡♡♡ きひゃぇっ♡♡♡♡ ひぅぁぇぁああああああああああああああっ!!!?」
私はパニックになった。だって、今まで私の体を舐めていた舌は、どう考えても1人分しかなくて。今私の体を舐めている舌は、どう考えても1人分ではなくて。一体何をどうしたらこんなことになるんだろう?
だけど、頭の中にずしりと伸し掛かる疑問は、お砂糖の塊のように、全身の気持ちよさにあっという間に溶けてなくなってしまう。『舌で舐められるのは気持ちいい』と教え込まれてしまった私の体は、全身ぺろぺろ攻撃に敏感に反応した。
「きひっ、ひぃぃい~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ こんなっ、すぐ、イ――♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ っっ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
腋の下を舐められたら、あんなに嫌悪感で鳥肌立ったのに。おへそを舐められるのは、あんなに気持ち悪かったのに。足の裏を舐められて、あんなに変な汗を流していたのに。お尻の穴を舐められるなんて、信じられなかったのに。今では、それが全部逆。
だけど、これはやりすぎだ。
「らめっ、だめっへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええっ♡♡♡♡ これっ、強すぎっ♡♡♡♡ ぺろぺろっ、きもちいのつよすぎりゅからぁぁぁぁあああああああああっ♡♡♡♡ ひっ、ぃぃいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
気持ちいいのが怖い――それは生まれて初めての体験だった。
全身の神経を優しくもにゅもにゅともみほぐされるような気分。それは確かに気持ちいいはずなのに、あまりに強すぎて、自分が自分じゃないような反応をしてしまう。みっともない顔で、みっともない声を上げて、みっともなく体を暴れさせて――それが恥ずかしくて、怖くて。まるで、自分という存在を舌で舐め溶かされてしまうような。
だけど、どれだけ体を暴れさせたところで、私の着ている『触覚共有スーツ』は関節の動きまでも向こうの『疑似肉体』に伝えてくれるわけじゃない。あんまりにもつらかったから、私はスーツを脱ごうとした。だけど、スーツは全身にぴったりくっ付いていて、脱ぐどころかつまんで肌から離すこともできない。私の抵抗は、何にもならない。
ふとここに来た時のことを思い出す。『続くといいですね。続けられる人、なかなかいないですから』――私が受付を済ませた直後に聞こえた、スタッフさんたちの会話。ああ、確かにそうだ。こんなことされたら、心も体も持たない。
「やだっ、もっと手加減しへっ♡♡♡♡ からだっ、溶けぅっ♡♡♡♡ へっ、へへへへへへぇぇぇええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ っぎぃぃいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
……このままでは、おかしくなってしまう。
その時、突然ノックの音が聞こえた。
「――失礼いたします。申し訳ありません、一つご案内を忘れていたみたいで」
扉を開けて、部屋にすすと入ってきたのは、最初に案内をしてくれた美人なスタッフさんだった。ああ、個室に鍵が付いていないことが、こんなにも救いに思えることがあるだなんて!
「おねがっ♡♡♡♡ これっ、とめっ、止めてっへへぇぇぇぇぇぇええええええっ♡♡♡♡ 向こうのひとっ、気持ちよくしふぎっ♡♡♡♡ ずっとぺろぺろしてきへぇぇぇぇぇぇぇぅぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
私は、無我夢中でスタッフさんに助けを求めた――こんなに気持ちいいのはもう無理! 今すぐにでもやめて!
だけど、スタッフさんの返答は冷酷だった。
「現在、当店のご利用者様全員にこちらを案内してまして。最近、試験的に運用が開始された連動型のVRゴーグルです」
「へぅえっ♡♡♡♡ ぶいあっ、ごっ♡♡♡♡ そんなのっ、いいっ♡♡♡♡ いいからぁぁぁああっ♡♡♡♡」
「こちらのゴーグルを装着しますと、『疑似肉体』に与えられる刺激から、向こう……お客さま側の状況をAIが判断して映像化してくれます。装着感を高めるために極めて薄型の作りをしていますので、プレイ中も邪魔にならないかと思います」
「おねがいっ、だかぁっ♡♡♡♡ ぺろぺろ気持ちいのとめてよぉぉぉぉおおおおおっ♡♡♡♡」
「将来的には、あらかじめ作成したお好みのアバターとのプレイを可能にしたり、ファンタジーやSFなどの非現実的な世界の映像も、という予定ではあるのですけど……今はそれどころではなさそうですね」
スタッフさんの説明が理解できないほど、頭がばかになったわけではないけれど、その態度は理解できなかった。どうしてこんなにも気持ちよさでおかしくなりそうな私に、平気な顔をして関係のない説明なんてできるのだろう?
……もしかして、ここの人たちにとって、これぐらいのことは当たり前なんだろうか?
「私のほうで装着いたしますね。頭の後ろ、失礼いたします」
「ぅあっ、やめっ♡♡♡♡ 前、見えな――♡♡♡♡ ぅあっ、ぁ、あ、ぁぁああっ♡♡♡♡」
気持ちよさに悶え続ける私に、VRゴーグルとやらが半ば無理やり取り付けられていく。まるでバンダナみたいに、薄くて軽い着け心地。前が見えない。まっくらだ。
「それでは、失礼いたしました。引き続きお愉しみくださいませ」
「待っ、おねがっ♡♡♡♡ いかないでっ、助け――♡♡♡♡」
視界を奪われた中で、扉を開ける音が聞こえる。スタッフさんが部屋から出ていこうとするのが分かって、私は声を上げようとした。だけどその瞬間、目を覆う薄型のVRゴーグルから、AIが判断した向こう側の状況が、私の視界に飛び込んできたんだ。
「ぅあっ、ぁ゛ぁぁぁぁああああああああっ♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁああああああああああ何これぇぇぇぇええええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡」
きっとこのVRゴーグルは、背景とか遠くの景色については埒外なんだろう。直交するグリッド線が地平線の向こうにまで伸びている、不思議な場所。
そこで、とんでもないことが行われていた。
圧迫感を覚えた、両二の腕と両太もも――4か所に巻き付く革具で宙づりにされた、私の体。そこに、たくさんの人が貼り付き、私の全身に舌を這わせているんだ。その人たちは、まるで全身にタイツをはいたみたいに真っ黒で、顔も、性別すらも分からなかった。
私には想像も付かなかったことだった。女体を借りてえっちなことをする――その行為は、何も1人で行わなければならないなんて決まりはないということ。
「なん、でっ♡♡♡♡ みんなっ、何してるのっ♡♡♡♡ どうしてこんなことするのぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁあああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡」
あまりにもあんまりな光景だったから、一体、どういう理由でこんなことをしているのか分からなかった。
例えば、大学のサークルとかの悪ノリ。例えば、大勢で1人を玩ぶことに悦びを感じる変態たちの集まり。例えば、何か、こう、女性をイカせる回数の新記録に挑戦している。例えば、私に恨みを持った人たちが集まって、明確な意思でもって私を責め立てている。
……どれが正解なのか、まったく分からない。
「ひぅぁっ♡♡♡♡ ぁぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ひぅっ、っひッ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ひぃぃいい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
気持ちよさの濁流が、疑問を押し流していく。『そんなこと、考えるだけ無駄だよ』『いいから、全部忘れて、たくさん気持ちよくなろうよ』って。
そして、こんなにも頭がおかしくなるぐらいたくさん気持ちよくなっているのに、また新しい気持ちよさがやってくるんだ。
「――ふぉッ、ぉ、ぉ゛ぉぉおおおおおおおおおおっ♡♡♡♡ なんでっ、いまさゃらっ、指っ♡♡♡♡ いま指でしこしこするのは強ふぎるかりゃぁぁぁぁあああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
溶けたはずの神経ががちがちに硬くなるような心地がしたのは、乳首とクリトリスだった。その感触と、VRの映像を見ると、指で触られていることが分かる。指先で敏感な突起をつまんで、しこしこしたり、くりくりしたり、ぐにぐにしたり。
指なんて、独り遊びでもよく使うもの。だけど、舌よりもずっと圧迫感があって、器用で。その癖、ほのかに唾液のぬるぬるをまとっていて。今までとは毛色の違う、力強い気持ちよさがやってくる。
「くぉっ♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ おっ、おっおっおっおぉおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
もう、イクという現象が呼吸するようにやってくる。私のそばに転がった『疑似肉体』が、がくんがくんと面白いぐらい跳ね回っているのが振動だけで分かる時、全身に新しいぬめり気と冷たさを感じた。
……これは、間違いない。ローションだ。
「くひぅ――♡♡♡♡ 冷ひゃっ♡♡♡♡ なんでっ、なんでもっとぬるにゅるするのぉぉおおおおおおおおおおおおおおっ♡♡♡♡ これいじょっ、ぬるぬるっ、だめっ、だめっ、だめ――っ♡♡♡♡」
手のひらと舌で塗り広げられる、ねっとりとした粘液。そして、全身がローションに覆われると、ぬるぬるの感覚という膜を突き破って、乳首とクリトリスにあまりにも強烈な刺激がやってくるんだ。
しゅこしゅこしゅこしゅこ! ぞりぞりぞりぞりぞりぞりぞりぞり!
「っっっふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ♡♡♡♡♡ ぁえ゛っ、ぇ゛えっ、ぇ゛ぇぇぇぇぇえええええええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
まるで、乳首とクリトリスが削れてなくなってしまうような。あまりにも強烈な刺激で、今までで1番の悲鳴を上げてしまうぐらい。VRの映像ですら、その刺激の正体を測りかねるのか、ざりざりとした黒いノイズばかりが走っている。
それでも、このVRゴーグルというものは凄い技術で作られているんだろう。刺激の正体を分析して、だんだんと鮮明化していく、その映像は――。
「はぶらしっ、歯ブラシぃぃぃぃいいいいッ♡♡♡♡♡ そんなっ、そんな、はぶらしでごしごしっでへっ♡♡♡♡♡ ばかっ、ばかぁッ♡♡♡♡♡ っぎゃぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
両乳首とクリトリスをしゅこしゅこと磨き続ける歯ブラシを見て、私は絶叫した。だって、そんなもので敏感な突起を責めようだなんて、ばかげているとしか言えないじゃない!?
ああ、だけど、この気持ちよさは本物だ。
「なんでっわだしっ♡♡♡♡♡ こんなのでぎもぢよぐなっでっ♡♡♡♡♡ っぎぃぃい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~、ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
痛みと認識する1歩手前の気持ちよさに、私は歯を食い縛りながら無理やりイカされてしまうんだ。
「っぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っぁ゛あっ、っぁ゛ああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
あまりにも気持ちがよすぎて、あまりにもつらすぎて、何をどうすればいいのか分からなかったから。私は泣きながら、自分の脇に置かれた、自分の体を再現した『疑似肉体』にしがみ付いた。
「ふぐっ、ぅ゛ぅぅうううううううううっ♡♡♡♡♡ ひぐっ、ぐすっ♡♡♡♡♡ ぅ゛あっ、ぁ゛ぁぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
人肌の熱と、柔らかさと、うごめきが余計に私を蕩かしていく。私は無意識のうちに、自分の『疑似肉体』に乳首を擦り合わせ、脚を絡ませ、秘所をこねくり合わせ続けた。自分自身の筋肉のびくつきが、心臓の鼓動が伝わってくる。倒錯した気持ちよさと充足感が私を満たしていく。
ひたすら続く、全身への責め。そこに大きな変化はなくても、私の体には限界が訪れる。
例えば、熱くなったお皿をずっと持ち続けることができないように。例えば、虫刺されの痒みを放っておけないように。例えば、くすぐり責めをずっと笑わずに我慢できないように。
体の中にどんどん溜まって膨らんでいく気持ちよさは、ある時ぱんと大きく破裂するんだ。
「――ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っぎ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ――♡♡♡♡♡ ッ゛――――♡♡♡♡♡ っぁ゛ぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
まるでお空の上から突き落とされるような、生存本能をこれでもかと掻き立てるような、強烈な浮遊感。私はずっとベッドの上に転がったままなのに、全身が『死にたくない! 死にたくない!』なんて地面を求めて、がくがく跳ね回る。
私は訳が分からないまま、自分の『疑似肉体』を絞め殺してしまいそうなぐらい、思いっ切り抱き締めた。人の熱、柔らかさ、うごめき――その全てが心地いい。寝起きに伸びをした時のような、じんわりとした幸福感と爽快感が、全身の気持ちよさと混ざり合っていく。
視界が、頭の中が、心の中が、全部全部ピンク色に染まっていく。足元でびちゃびちゃという音が聞こえるけれど、もう『ベッドを汚しちゃった』なんて思う余裕もない。
「っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぅあ゛、ひへ――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉぉぉおおおおおお゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
イクのが止まらない。だって、私はずっと全身をぺろぺろ舐められながら、乳首やクリトリスを歯ブラシでごしごしと磨かれているのだから。私の『疑似肉体』をいじめ続ける人たちはきっと、私がこんなに気持ちよくなっていることを知らない。だから、私のことを気持ちよくし続ける。私は、長く、永く、イキ続ける。
10秒、20秒、30秒。1分、2分、3分。肺が引っ張られて息苦しい、緊張した全身の筋肉が岩のように硬い。だけど、気持ちいい。
気持ちよさがいきなり爆発した時と同じように、終わりもいきなりやってくる。頭の中にある何かがぷつんと切れるような感じがして、全身をぎゅうぎゅうに絞っていた力が、ふっと消えてなくなるのだった。
「ぉ゛、ぉぉ……♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉ……♡♡♡♡♡」
もう限界。体はもう動かないし、声だって満足に上げられない。とっても疲れた。アソコの筋肉も、もうすっかり緩んでしまったみたいで、お潮がちょろちょろと流れている。
それなのに、全身にやってくる気持ちよさは変わらないまま。VRゴーグルの映し出す画面では、私の体はまだ、たくさんの人たちに気持ちよくさせられ続けていた。
「ぅあ゛、ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぉごっ、ぉ゛、ぉぉぉおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉ、お゛――……♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」
隣で小さな痙攣を繰り返す『疑似肉体』の振動をぼんやりと感じながら、私はゆっくりと意識を閉ざしていく。
きっとこの人たちは、私が気絶している間も、ずっとずっと私のことを気持ちしてくるのだろう。私は眠ったまま、イカされ続ける。
気絶する中で、思い出すことがあった。
小さい頃、年の離れた姉の部屋で、大人のおもちゃを見つけてしまったことがあった。
うずらの卵みたいな形をした、少し離れた所からでもリモコンで動かせるローター。幼い頃の衝撃的な体験は、記憶の片隅にぼんやりとした疑問として残り続ける。
遠くから気持ちよくさせられる――それって、そんなに良いことなのかな。
「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ すご、気持ちひ――……♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」
その答えは今、見つかったんだ。
――――
――
それから。
「いらっしゃいませ。……あら」
「あ、あの。お部屋Aで、朝から夕方まででお願いします……っ」
「かしこまりました。今、お部屋を掃除していますので、5分ほどお待ちいただけますか?」
「は、はいっ」
「…………」
「ふー、ふー……♡」
「……ええと、いとちゃん。で、よかったよね?」
「は、はい」
「あなた、確か学生さんよね? ここ最近、頻繁にいらっしゃってるけど、大学にはちゃんと行ってる?」
「も、もちろんです! 授業が終わったら、すぐここに……」
「そう。まあ、あまり私が口を出すことじゃないけれど。無茶はしないようにね?」
「はいっ。ふー、ふーーっ♡」
(うーん。目がイッちゃってる)
「そういえばね、いとちゃん。こんな話を知ってる?」
「はい?」
「ある心理学の実験の話。被験者たちはね、相手がテストで間違えるたびに、電気ショックで罰を与えなければならないの」
「こ、怖い話ですか? やめてくださいよ……」
「ま、ある意味怖い話ね。だけど面白いことにね、罰を与える相手が近くにいるときよりも、遠くにいて姿も声も分からない時のほうが、被験者たちが強い罰を与えることが多かったらしいの。どういうことか分かる?」
「……いえ。どういうこと、ですか?」
「つ、ま、り。人間っていうのは、姿の分からない相手に対して容赦がないってこと。それはきっと、快楽を与えることにおいても、ね♡」
「っ――!!」
「ああ、お部屋の掃除が終わったみたいね。はい、お待たせしました。8号室です」
「あ、あの、スタッフさんっ」
「ん?」
「……あ、ありがとうございます。その、滾りました……ッ♡♡♡」
ばたばたばたばた!
「うわ、すっごい早足で行っちゃった」
「……だから言ったじゃない、お仕事の動機には2種類があるって。『そのお仕事が好きだから』……つまり、そういうこと♡」
《女体プロフィール》
■名前
いと
■プロフィール
たくさん気持ちよくしてくれる人大歓迎です
乳首がこりこりに硬くなるまで指でしこしこしたり、クリトリスが削れてなくなっちゃうぐらい歯ブラシでごしごししたり、お尻の穴がふやけるまで舌でぺろぺろしたり、腋の下や足の裏を笑い死んじゃうぐらいこちょこちょしたり……
ぜひとも、私が泣いて後悔してしまうぐらい、私の体をたくさん気持ちよくしてください♡