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(2025/06/20)新作漫画が出ました

多機能クリボックス

多機能クリボックス

770円(税込)

『クリトリス販売サービス』にて泣き叫ぶほどにイカされまくる、クリボックスによるクリ責め・連続絶頂特化のお話。本編55ページ。

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淫魔国入口にて。女体化スパイが甘サドサキュバスたちのW性器くすぐり尋問で男性としても女性としても堕とされる

◆あらすじ
スパイとしてサキュバスの国に潜入しようとした”クリス”が、その入り口であっけなく堕とされてしまうお話。潜入のために女体化の魔術を施された彼(彼女?)でしたが、入国審査だとかでまだ慣れない敏感な全身+おまんこをこちょこちょ。術が解けた後も、やっぱり敏感な全身+おちんちんをこちょこちょ。女体と男体の両方でくすぐり責めを受けて蕩かされた彼は、サキュバスたちの性奴隷――通称『淫魔たちの恋人』として無事に、そして永遠に、かの国に滞在することとなったのでした。

 

※この作品は、Skebで頂いた有償リクエストの作品です。

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人間が決して立ち入れない国がある。ひとたび潜り込めば、2度と出ることはできないらしい。

しかもそれが魔族の国となれば、人の国々は放っておくわけにいかない。『魔族共は、我々の見えないところで何をやっている』『奴らは火薬を製造している。あそこは硝石の産地ぞ』『50年来平和だった、人と魔族の関係がついに壊れる』――そんなうわさがまかり通れば、密偵を送ろうという発想に至るのは当然のことだ。

しかし、ここで問題がある。閉鎖的な国にも、外交という概念は存在する。すると、多くの国々は眉をひそめるのだ。

――どうして、かの国の外交官は女性しかいないのだ?

それだけじゃない。指導者たる王、貴族、騎士、従者まで、表に出てくる者はただ1人の例外もなく、全員が美しい女性魔族。多くの推測はこうだった。つまり、かの国では女性の地位が著しく高いのではないか。

 

「……だからって、わざわざ女体化の術をかけるなんて」

僕――XXXXは、胸にたまった息を全部吐き出しながら、街道のそばを流れる小川の水面を慎重に眺める。

長い銀髪、丸い目、小さい唇。きゃしゃな体にまとうのは商人の服ロングガウン。……うん、どこからどう見ても、僕はだ。当初とあまり見た目が変わっていないような気がしないでもないけれど、ちゃんと女性と思って見れば、うん。

「まったく、女体化っていうのはひどい魔術だよ。効果があまりない癖に、体が捻じ切れるように痛むんだから」

つまり、こうだ。人間が潜り込もうものなら2度と出られないとまで言われた物騒な国に、僕はわざわざまで潜り込もうとしている。だって仕方ないだろう? それがたる僕の任務なのだから。

どこからどう見ても絶望的な状況。もしかしたら、死ぬかもしれない。

「……今さらか」

僕は孤児だった。国に拾われ、密偵として訓練を施された。罵声の雪崩を浴びせられ、気まぐれにムチでたたかれる毎日を送っていた。

訓練から逃げ出そうとした同輩は、見せしめに僕たちの前で殺された。訓練に付いていけなかった能力の低い同輩は、いつの間にかいなくなっていた。訓練を完璧にこなした優秀な同輩も、どこかの国に送り込まれて、そのまま帰ってはこなかった。

そう、死を恐れるなんて、本当に今さらだ。たまたま今日まで生き延びた、たまたま死ぬ日が決定した、それだけだ。

「あー、あー……。、そう、じゃない。私、わたし……」

いつもより少し高い、女性の声がまだ慣れない。声は高くなるくせに、元々低い身長は、さらに低くなってしまった。

僕は発声の練習をしてから、川辺から立ち上がり街道の先を見る。もう少し歩けば、件の魔族の国か。

行こう。選択する権利を持たない僕たちは、どこで死ぬかの違いしか持たない――もはや覚悟ですらない、諦観が、僕の脚をよどみなく動かしていた。

 

――――
――

 

「――というわけで、私たちの商会と今後良い関係を結ぶことができたらと思いまして、こうして赴いた次第です」

「ふぅん、人間の商人ねえ……」
「人間の商人、ですかー……」

城門。僕は衛兵の前で、あらかじめ準備しておいた適当な言葉を滞りなく出力していた。

城壁に囲まれた都市国家を一見した僕の感想は、率直に言って『大したことない』だった。本国帝都の大きさと比較すればはるかに及ばず、せいぜい3番目か4番目の都市程度。城門がたった一つしかない点は、防衛という点では強固に聞こえるが、城門は小さく、城壁も低く、せいぜい2階建て程度。威圧感のかけらもない。

そして、都市を守る衛兵も少ない。たった2人の女性魔族が、城門に近づく僕の前に立ち塞がったのだ。

「人間の商人が来るのっていつ以来だっけ?」
「さあー。以前はそれなりに来てたと思いますけど、今はさっぱりですねー」

「まあ、うちはお金ないからね。トクサンヒン?とかも特にないし」
「というより、そもそも人間自体がほとんど来ませんねー」

僕をよそに世間話を始める女性魔族たちを観察する。

1人は、つり目に短い赤髪、砕けた口調で話す。そしてもう1人は、垂れ目に長い青髪、間延びした敬語で話す。

2人に共通しているのは、背中にこうもりのような羽根を生やしていること。背後から黒いやじりのような尻尾を伸ばしていること。側頭部に2本のねじれた角を持つこと。そして力強さとは縁遠い体付きをしていること。肩幅は狭く、腰は細く、しかし胸や尻はあまりに大きい。背もあまり高くないけれど、女体化した僕の背丈よりは高い。

そんな彼女たちは、剣も槍も持たず、申し訳程度に薄い鎧をまとっている。衛兵という言葉がまるで似合わない姿。城壁の貧相さも相まって、国を守る気があるのか疑わしい。

「ところで、君の名前は?」
「”クリス”と申します」

僕は、あらかじめ決めておいた名前を伝えた。

2人の魔族たちが、僕の全身を観察する。上から下へ、下から上へ。虫が這うような視線に、身震いしたくなる。すると、魔族たちはまるで示し合わせたように、同時に笑うのだ。

「ねえクリスちゃん。うちって、ニューコクシンサっていうのがあるんだよねえ」
「……入国審査、ですか」

「そーそー。ちょっと、あっちに来て欲しいんですけど、いいですかー?」
「…………」

僕は、笑顔を浮かべた自分の頬が緊張するのを自覚した。

こんな気の抜けた衛兵たちがいるせいで忘れてしまいそうだけど、ここは人間が潜り込もうものなら2度と出られないとまで言われた物騒な国だ。『はいどうぞ』ですんなり通してくれるほど甘いわけがない。

僕に与えられた選択肢は、そう多くはなかった。ここで『それならいいです』と言って帰りでもしたら、帰国したその日のうちに首をはねられるだろう。

「……分かりました」

「やたっ♡」
「わーい♡」

2人の魔族たちが、あからさまに明るく笑う。随分とうれしそうだな――僕はその違和感に気付きはしたものの、正体までを見定めることはできず、彼女たちに両手を引っ張られて歩いて行くのだった。

 

――――
――

 

僕は当初、何か詰問でもされるのかと思っていた。もしかしたら、拷問めいたことをされるのかもしれない。とても友好とは程遠い態度は、しかし僕の故郷である帝国をはじめ、人間の国であれば珍しくない。

そしてある意味で、その予想は当たっていたと思った。

「この部屋、は……」

城門くぐって街に出ること能わず、城壁の内部に通じる道を行く。1番近くの扉を通り過ぎて、二つ目の扉を開いた先。その狭い部屋の光景に僕は絶句した。

分厚く冷たい石壁に囲まれた部屋を埋め尽くすのは、実に多種多様な拘束台。

その一つ一つに、瞬間的に、自分が縛り付けられて処刑される光景が浮かび上がる――頭を前に差し出すようなあの首かせは、まるでギロチン台のよう。天井近くには、宙吊りにうってつけの梁がある、括られるのは首か。大の字に寝たらちょうど手首と足首の位置に枷がある台座は、人体解剖にでも使うのだろうか。

……顔面がサッと冷たくなる心地がした。

「ごごごっ、ごめんねー! 何か物騒な部屋でさあっ!?」
「だだ、大丈夫ですよ-。別に何か痛いことするわけじゃないですからー」

その慌てるような言動は、どうにも噓偽りのなさそうなもので、自分たちでこの部屋に招き入れたにしてはどうにも不釣り合いなものだ。

確かによく見れば、部屋には数々の拘束台が鎮座しているものの、赤黒い血の染みは一滴も見られない。どちらかと言うと、が染み込んだ痕……? それも、全ての拘束台にだ。

ここは一体何だ? 僕の緊張は拭えない。

「それで、ここで何を?」

僕は努めて冷静に問うた。すると、2人の魔族たちは笑うのだ。

「脱いで♡ 全部♡」
「っ」

「入国審査、ですよー♡」
「……分かりました」

何としてでもこの国に入らなければならない僕には、拒否権がない。僕は自分の指が意思に反して少し震えているのを自覚しながら、商人の服ロングガウンを脱いだ。そして下着を脱ぎ、靴すらも脱ぎ捨てる。

「うーん、いいね♡ 小っちゃいお胸もかわいーなあ♡」
「アソコもつるつるぷにぷにー♡ 年相応って感じですねー♡」

僕は無意識のうちに内股になりながら、片手で胸を、もう片手で脚の付け根を隠していた。

性転換したこの体は、本来の自分の体ではない。それでも、こんな風にまじまじと観察され、感想を述べられていては、恥ずかしくなるのは仕方ないだろう。

「ぐへへへへぇ♡」
「うふふふふー♡」

「っ……!」

思考。まさか――その疑念は少しずつ、確信へと傾いていく。つまり、彼女たちを動かしているのは性欲なのではないか、ということだ。

僕にも性知識ぐらいはある。密偵としてあらゆる場に潜り込むために、さまざまな知識を詰め込まれた。識字、算術、家事、作法……挙げればキリがない。そしてその一つに、基本的な性知識が含まれていたのだ。例えば、子どもを作るには、女性器の中に男性器を挿入するとか。男性は女性の裸を見ると性的興奮を催すものだとか。

だけど、それはあくまでも知識に過ぎなかった。子どもを作る経験なんてしたことがないし、その欲求をまさか魔族とはいえ女性が、しかも女体化した自分に向けるなんて、思いもしなかった。

「その……! あなたたちは、私と子どもを作りたいんですか……っ!?」

彼女たちの嗜好が理解できなかった僕は、ただ純粋に非難の目を向ける。

そしたら、不可解なことに彼女たちは熱狂した。

「かーっ♡ その質問には何だか答えにくいなあっ♡」
「子どもを作りたいわけじゃないですけどー、そういうことはしたいって言うんでしょうかー♡」

「こっ、『子どもを作りたいんですか』って、かかかかっ、かわいいぃぃ……♡」
「いいですねー♡ 本当に最低限の性知識しか備わってない感じ、うぶですねー♡」

バカにしているようで、だけど日々向けられていた蔑むようなまなざしとは違う。ひどく熱のこもったそれに、僕は目がぐるぐると回る心地だった。

 

「まあさ、こういうのは躰で教えてあげなきゃ♡」
「ですねー♡」

2人の魔族が僕に近づく。そして、僕の女体化した上半身を、両の手でなで回し始めたのだ。

「ひぅ――!? な、何、して――」

「おおっとぉ! 動いちゃダメだよ、ニューコクシンサなんだからぁ♡」
「この国に入りたかったら、私たちの言うこと聞かなきゃダメですよー♡」

「っ……! あなたたちは、ひぁっ、やめ、首なでちゃ、ぁぁ……!?」

「立ったまま、両手後ろに回して♡」
「目も閉じちゃだめ、私たちのお顔ちゃんと見てくださいー♡」

「ぅあ……っ、く、ふぅぅ……!?」

分かり切っている。彼女たちのしていることは、衛兵の責務に叶ったものではない。だけど、この国に入れるかどうかは彼女たち次第。となれば、彼女たちの手を拒むのは得策ではない。

「っ、あ……、んく……! や、ぁぁ……! お腹、指、立てないで……!?」

「ぅひょー♡ 君、すっごい敏感だねぇ♡ まだちょーっと触っただけなのにさぁ♡」
「うふふふ♡ 顔真っ赤ー♡ お姉さんたち愉しくなってきちゃいましたよー♡」

「私は、愉しくありません……っ! あっ、ひぁぁぁ……!?」

拒むわけには行かないと頭の中で分かってはいても、それが実践できるかどうかは別の話だ。

彼女たちの手のひら、指先は、まるで武器を持ったことがないんじゃないかと思えるぐらい、柔らかく滑らかだ。その手付きは僕の躰の感触を愉しむようでありながら、ただそれだけでなく、的確に神経を刺激して僕の反応を引き出してくる。

加えて、彼女たちの表情。今までは任務を全うすることに精いっぱいだったから気付かなかったけれど、彼女たちは2人とも、本国ではそうそうお目にかかれないであろうぐらい、かわいらしく美しい。そんな彼女たちが、にんまりとした笑みを浮かべながら、僕のことを至近距離で見つめてくる。

そのむず痒さに、僕はよろ、よろ、よろと後ずさりしてしまう。彼女たちもそれに追従するから、僕はさらに後ずさり。3歩、4歩、5歩――。

すると、膝の裏に何かが当たって、僕は尻もちを付いてしまった。

「きゃっ」

痛くない。だけどその代わりに、彼女たちの笑みが、僕の心をザワつかせた。

「あれれー? クリスちゃん、がいいのぉ♡」
「あんなに怖がってたのに、自分から求めちゃうなんてー♡」

「な、ぇ……!? ちがっ、これは……!」

僕が意図せず座ってしまったのは、部屋を埋め尽くす多種多様な拘束台のうちの一つだった。彼女たちは意気揚々と、拘束台に付いた枷を僕の両手首、両足首に巻き付けていく。

「あ、え、ちょ……!? や……、動け、ない……!?」

抵抗するには、彼女たちはあまりに手慣れていたし、僕の反応はあまりに遅すぎた。

この拘束台、機能だけを見るならどっしりとした椅子のようだけど、あまりにも付随物が多い。背もたれから伸びる羽根のような板材が、僕の腕を真横に伸ばしたところで拘束する。そして、座面の左右前には足置きがある。脚を大きく開いた状態で、足首が固定されてしまう。

椅子に座ったまま、両腕は真横、両足は開いて――僕は実に無防備な姿を取らされてしまったのだった。なで回されてふ抜けたはずの躰が、また緊張する。

「うふふふぇへへへえ♡ それじゃあ、そろそろ本番を始めよっかぁ♡」
「大丈夫ですよー♡ 痛くないですから、とっても気持ちいいですからー♡」

僕とて、いい加減理解している。彼女たちに僕を痛め付けようという意図はなく、その行動原理はただひたすらに性欲。それでも、今の状況は恐怖だ。彼女たちは、僕が本国で養ってきた性知識の領域を軽々と越えてくる。

何をしてくるのか分からない。思わず目をぎゅっとつむった瞬間、頭の奥にまで響いてきた感覚は――。

 

――――
――

 

「こちょこちょこちょこちょおっ♡」
「こちょこちょー、こちょこちょこちょこちょー♡」

「ひゃぅぁぁあ――!!? っ――!! っ――!!?」

最初は、何かの間違いかと思った。だからこそ、呼吸が一瞬止まった。

赤髪の魔族は腋の下を、青髪の魔族は足の裏を。両手の指を立てて、肌にこびり付いた何かをこそぐように、あるいは肌の上で踊り回るように。

間違いない、これは――一瞬置いて、僕の口から笑い声があふれ始めた。

「――ぁはっ!!? あぁっはっははははははははははははひぃぃい!!? くしゅぐったはっ!!? くすぐったひぃぃぃひっひゃっははははははははははぁぁぁぁぁぁ!!!」

これは何だ、何だったっけ? ああ、そうだ、『くすぐったい』だ。彼女たちのしていることは『くすぐる』だ。街で親に恵まれた子どもたちが友だちと遊んでいた時だったか、あるいは腹を空かせることを知らない子犬が飼い主にじゃれていた時だったか。僕は『くすぐる』を見たことがある。見たことがあるとしか言えないぐらい、僕には縁遠かった行為。

だからこそ、疑問は尽きない。どうして彼女たちは、僕を『くすぐる』? こんなの、ばかげていると思った。

「なんで、どうしてくすぐっ!!? どうしてくすぐるんですかぁぁっはっははははははははは!!?」

「なんでって……。気持ちいーから?」
「クリスちゃんは、こちょこちょされるのお嫌いですかー?」

「嫌いも何もっ!!? くすぐったはっ、くすぐったいぃぃぃひっひゃっはははははははははははははっ!!! ぁっはははははははははぁぁぁぁああ!!?」

彼女たちはさも当然と言わんばかりの反応だ。

その感覚は、確かに先ほど上半身をなで回されていた時の延長線上にあると言えるかもしれない。だけど、あまりに強かったし、鋭かった。

全身がぎゅうぎゅうに緊張して、本能がくすぐったさから逃れようとする。しかし、両手首、両足首に巻き付いた拘束は強固だった。革で作られた幅広の帯は皮膚に食い込むことなく、僕の動きを優しく、しかし確実に阻んでいる。女体化した軟弱な躰では当然、元の姿でも引きちぎるのは無理だ。

口から不本意な笑い声があふれ続ける。

「それにしても、やっぱりすっごい敏感だねぇ♡ ほぉら、指のこそこそーって動きだけで、全身がすっごいビクビクしてるぅ♡」
「やめっ、やめぇぇぇっへへへへへへへへへへへへぇぇ!!! わきのしたっ、くぼみっ、なかぁ!!? ほじくらないでくだひゃぁぁぁっはははははははははははぁぁぁぁあっ!!?」

僕のそばから両手を伸ばして腋の下をくすぐる赤髪の魔族は、そう舌なめずりする。腋のくぼみの中でちろちろとうごめく指先は軽やか。まるで力のこもっていない動きなのに、僕は全身の体力を酷使させられる。

「足の裏ー、ぷにぷにで小っちゃくてかわいいですねー♡ たーっくさん、くすぐったくしてあげたくなっやいますー♡」
「いらないっ、いらないですぅぅっふふふふふふふふぅぅぅう!!? 爪で引っかくのっ、いらないいぃぃぃぃっひっははははははははははぁぁぁぁぁぁああ!!!」

僕の足元にしゃがみ込んで両足の裏をくすぐる青髪の魔族は、上目遣いでそう言う。足の裏に爪を立てて上下にかくような動きは少し激しい。足の裏なんて躰の先も先にある部位なのに、どうしてこんなにも強烈な感覚に苛まれなければいけないのだろう。

「ぁはっ、ぁぁぁああっははははははははははぁぁぁぁぁあ!!? こんなのっ、気持ちよくないっ、気持ちよぐないですがらぁぁぁぁっははははははははははは!!! ぁははははははっ、あぁぁっははははははははははぁぁぁぁぁああ!!?」

くすぐるという行為は、僕にとってただただ理不尽でしかなかった。

彼女たちの言う『気持ちいい』をちっとも理解できないまま、時間だけが過ぎていく。このまま、呼吸ができず死んでしまうのかもしれない。

助けて、助けて、助けて――!

頭の中が一つの言葉で満たされそうになった時、突然部屋の扉が、バンと大きな音を立てながら開いたのだった。

 

「ヒぇ――!? たた隊長ぉっ!!?」
「ど、どどどどうしてここにー!!?」

「……それは、私が隣の部屋にいることを知っての言葉か?」

魔族たちの悲鳴と共に、僕の腋の下と足の裏のくすぐったさがやんだ。

「ひはっ、は――!! はーっ、はーー……っ!!」

僕は咳き込み、みっともない呼吸音を鳴らしながら、涙でぼやける新たな女性魔族の姿を確認した。

鋭い目、金色の長髪。それはまるで、神話に出てくる戦乙女のよう。しかし、こうもりのような羽根、やじりのような尻尾、2本のねじれた角は種族共通か。そして彼女も他の魔族たちと同様、女性らしさというものを煮詰めたような美しい姿形をしている。

そんな、隊長と呼ばれる彼女は、どうやら額に青筋を浮かべているようで。

「それでお前たち、何してる……?」

「い、いいいや。あ、怪しい者が来たので、尋問をですね、はい」
「わわわわ私たち、サボってませーん」

「まかり通ると思うか?」

「ぅ……」
「ぇ……」

僕は少しだけ安堵した。

こんな国でも、まともな衛兵がいたという事実。いや、忍び込もうとしている国に対して言うことではないのだけれど。そして、そんな彼女が助けてくれそうという希望。

僕が同じことをやれば即刻首をはねられているだろうに、職務放棄の魔族たちは往生際が悪かった。

「た、たたたた、隊長もどうです? この子、クリスちゃんって言うんですよぉ♡」
「ここここの子、おすすめですよー? もー、とって敏感でかわいい子ー♡」

それはいくらなんでも無茶だろう。火に油を注ぐ言葉だ。

金髪の魔族は一瞬、僕を見やる。そして2人の部下に視線を戻そうと思ったら、ぎゅんという音を立てそうな勢いで、再び僕を凝視した。

「うお――っ♡」

二度見。その視線は、先の2人の魔族よりも、さらに熱がこもったもので――。

僕は本能的に、まずいと感じた。

「ま、まあ……。衛兵にも息抜きは必要だし、な。お前たちがサボっている間の門番は既に立てておいたし、うん」

「うわ出たよ隊長の面食い」
「ほんと小さい子好きですねー」

「お前たちは後で始末書だからな」

「ぅ……」
「ぇ……」

前言撤回。この国にまともな衛兵なんていない。入国審査なんていう体面はとうの昔にどこかに行った、理不尽な色事は続くのだ。

 

「や、やめ、、もう……」

素性を偽ることすら忘れ、一人称を誤っていることにすら気付かず、僕は懇願する。この苦しさがまだ続くと思うと、涙が止まらない気分だった。

だけど、金髪の魔族が加わったことで、これからの行為は少しが異なってくる。彼女は、僕の大きく開かれた脚の間に立つと、真下に腕を伸ばして、僕の脚の付け根をくすぐり始めたのだ。

「ひぅぁぁぁぁあああっ♡♡♡ っ――!! っ――!!?」

まるで歌うような悲鳴に、自分の喉がおかしくなってしまったんじゃないかと思った。

首ががくんと下を向く。脚の付け根にある女性器は、いまだに見慣れない。毛のない、ぷにぷにと柔らかい肉の盛り上がりが二つあって、その谷間にあるのが女性のもっとも大事な部分。その左右の肉の盛り上がりを、金髪の魔族は人差し指を立てて、そりそりと優しく引っかいたのだ。ぷにぷにの肉を通り抜けて、奥にある大切な何かが刺激されたような心地。

そして、人差し指の一かきで済ませてはくれない。二かき、三かき、親指も中指も薬指も、小指すら使って、僕の女性器をくまなくくすぐっていく。

「ひぁぅぇぉあひゃあぁぁぁぁぁっはっはははははははははははははぁぁぁぁぁあっ♡♡♡ なにっ、何っ!!? 何これぇぅぉぁぃあひゃぁぁぁぁっはっはははははははははははははははっ♡♡♡」

僕の口から、とても僕のものとは思えない声があふれ続ける。自分が何を感じているのかもよく分からなかった。

そして、赤髪の魔族は腋の下を、青髪の魔族は足の裏を――先ほどまでのくすぐり責めが再開される。

「もう、隊長ってせっかちだなあ。せっかくは最後に取っておこうって思ったのに」
「やめへっ、やめへぇぇぇぇぇっへへへへへへへへへへへっ♡♡♡ わきもっ、腋の下も何だか変っ!!? さっきと違うっ、違うぅぅぅぁっはっはははははははははははぁぁぁぁぁああっ♡♡♡」

「あーあー。結局私たち下っ端は、上司には逆らえない運命なんですねー」
「足の裏っ、なんでっ、にゃんでぇぇっへへへへへへへへへへぇぇぇぇえっ♡♡♡ やめっ、そんな感じ方してないっ、さっきそんなんじゃなかっひゃぁぁぁっははははははははははぁぁぁああっ♡♡♡」

「うぐ……。わ、分かった、今晩おごってやるから、そう言うなっ」
「だめへっ♡♡♡ そこっ、そこくすぐっていいところじゃなひぃぃっひっひゃっははははははははっ♡♡♡ 変になってるっ、やめっ、変になっひぇるからぁぁぁっははははははははっ、ぁははははははははぁぁぁぁああああっ♡♡♡」

僕は何度も『やめて』と懇願した。もう、入国のためにこの魔族たちの言うことを大人しく聞いてやろうという考えなんてなかった。ただただ、全身に走るこの感覚をどうにかしてほしかった。それなのに、3人ともやめてくれない。

くすぐったさだけじゃない。何か、大きなが背筋を上ってくる。

「ふぁぅぉぉぉおおおっ♡♡♡ ひぁはっ、はひひひひひ――!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ ひゃはぁぁあ――!!? っぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」

大きな浮遊感が僕を襲った。全身を縛り付けている拘束具がふっと存在をなくして、宙に放り出されてしまったのかと思った。

暴走する意識と切り離された僕の男としての部分が、僕自身のことを俯瞰で観察する。すると、僕は甲高い声を上げていた。自分で、自分の声にドキドキしてしまいそうなぐらい、妙な声だった。未知の感覚に、全身が痙攣する。驚くことに、それは嫌な感覚ではなかった。相変わらず、激しくて、くすぐったくて、だけどどこか癖になるような。

「おー♡ クリスちゃん、初イキおめでとぉ♡」
「おまんこちょっとくすぐられてイクなんて、素質あるんですねー♡」
「ふふふ、ふふふふふ♡ かわいいじゃないか、クリス……♡」

魔族たちが色めき立つ。どうやらこれは、『イク』という感覚らしい。

瞬間的に、これまでの不可解な状況の全てに合点が行った気がする。どうして、魔族たちは職務放棄してまで僕と色事に興じ始めたのか。どうして、それが『くすぐる』なんて方法なのか。

……なるほど、これは……っ♡

だけど、僕の冷静な思考は一瞬で遮られることになる。3人の魔族たちによるくすぐり責めが止まらないからだ。

「やめっ、や゛めぇぇっへへへへへへへへへへへへへへっ♡♡♡♡ 続けてくすぐりゅのはだめっ、腋の下も足の裏もじょせーきもぉぉぉぁぁぁあっひゃっはははははははははははははぁ゛ぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」

「えー♡ そんな1回イッだだけじゃ、全然足りないよぉ♡」
「イッた直後のこちょこちょって、すーっごくくすぐったくて、気持ちいんですよー♡」
「私なんて、さっき加わったばかりなんだ。この程度で終わるわけないだろう? ふふ……♡」

「やだぁぁっははははははははっ♡♡♡♡ また来る、来ひゃぅぅあっはっははははははははははっ♡♡♡♡ ぁ゛――♡♡♡♡ イク、いく――♡♡♡♡ ひひゃははははははぁぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

腋の下と、足の裏と、女性器――激しいくすぐり責めは続く。イッた後の躰は、不思議と敏感だ。

僕はなすがままだ。ただ恥ずかしく笑いながら、2度、3度、4度とイッてゆく。頭が、全身が、おかしくなる気がした。

 

だけど何度かイッた時、僕の躰に重大な異変が起こる。それは決して不快ではなかった。むしろ、間違った位置にあった骨や内蔵が、正しい位置に戻っていくような感覚。

だけどそれは、今の状況においてこの上なくまずかった。

「ぁっははははははははぁぇぇえっ♡♡♡♡ っ――!!!? ぁ――!!!! ――!!!?」

ふと下を見やれば、僕の脚の付け根から男性器が生えていたのだ。親指を一回り太くしたぐらいの、本来見慣れたはずの、しかし本来とは違って硬く重くなった男性器。見慣れた物体だからこそ見過ごしそうになったけれど、自分の置かれた状況を思い出してぎょっとする。

女体化の魔術が解けかけている。躰の異常によって魔術が不安定になったのか? 魔術について疎い僕には検討も付かない。

自身の喉から絞り出される声は相変わらず高い。恐らく、全身のほとんどはまだ女性のままなのだろう。それにしたって、が男性に戻れば、もう致命的だ。

「ぁははははははははぁぁぁぁあ――!!!! ぁ、ぁ゛あ――!!!?」

興奮の中から湧き上がる、どす黒い恐怖の感情。こんなもの、魔族たちに見られたら……。

だけど、魔族たちがくすぐる手を止める様子はない。それどころか、女性器にしていたのと同じように、今度は男性器をくすぐってくるのだ。

安堵と困惑。どうして彼女たちは僕の躰の異変を見て何の反応も示さない? まさか、僕を犯すことに集中してそんなことすら気付いていない?

「ひひゃっははははははははははぁぁぁぁぁああ♡♡♡♡ くすぐったひっ、くすぐったぁぁいぃぃひっひゃっははははははははははははっ♡♡♡♡ あぁっはっははははははははははぁぁぁぁぁああ♡♡♡♡」

そんな思考は、腋の下の、足の裏の、そして男性器のくすぐったさにあっという間に流されていってしまう。

 

だけど、ここでまた不可解なことが起きる。

「あっはははははははははははっ♡♡♡♡ ぁはっ、はひぃっ♡♡♡♡ なん、ぁはあぁっ♡♡♡♡ まだ、――♡♡♡♡ ひひゃはっ♡♡♡♡ あぁぁっははははははははははははぁぁぁあっ♡♡♡♡」

女性の躰だった時は、あんなにイッていたはずなのに。男性の躰に戻った瞬間、とんとイクことができなくなったのだ。

女性の躰と男性の躰では、イキやすさが違う? そんな風に推測するけれど、性知識に乏しい僕では見当も付かない。ああ、僕は本当に何も知らないんだな。

そして、イケないということは、僕が想像している以上に辛いものだった。

「やっぱり、腋の下はやさーしくがくすぐったいんだねぇ♡ ほらほら、こちょこちょこちょ、こちょこちょこちょこちょー♡」
「ひひゃぁぁっはははははははははははははぁぅ゛ぅぅぅぅううっ♡♡♡♡ ぅぐっ、ふふふふふふふっ、ぁぅう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅうっ♡♡♡♡」

「足の裏はちょっと強めがイイみたいですよー♡ こうですよねー? かりかりかり、かりかりかりかりー♡」
「ぁ゛あっはっははははははぁぁぁぁあっ♡♡♡♡ ぅ゛う、ぅぅぅぅぅぅうううっ♡♡♡♡ ぅ゛あっはははははははははははははぅ゛ぅうっ♡♡♡♡」

「ふー、ふーーっ♡ かわいいなぁ、仕事の疲れに効くなぁ……っ♡」
「ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅうっ、ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううっ♡♡♡♡」

笑い声のなかに、うめき声が混じる。

こんなにもくすぐったくて、気持ちいいのに、明確な物足りなさが背筋を焦がしていく。僕は気付かないうちに、自分の躰を彼女たちの指に擦り付けていた。

「やーん♡ この子、自分でくすぐられに来てるぅ♡ かっわいいぃぃっ♡」
「そーんなに、お姉さんたちにくすぐられたいんですかー♡」
「うふうへへへっ♡ それなら、たーっぷりくすぐってやるからなぁ……っ♡」

「ぁははははははははははっ♡♡♡♡ ぁぐっ、ぅ゛ぅぅぅぅぅううっ♡♡♡♡ ぁっははははははははははははっ、ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅうっ♡♡♡♡」

屈辱。しかし、人として重大な代償を払っても、イク様子はない。

「そう言えば隊長、これから重要な会議があったんじゃないですかぁ?」
「ぅ゛、そ、それは」

「あれあれー? 私たちには叱ってたのに、隊長サボっちゃうんですかー?」
「結局お前たち叱ってもサボりっぱなしだろぉ!? そ、それに、今この場を離れるわけには……!」

「3人は多いんですよぅ! 安心してください、こちらはうまくやっておくんでぇ。ね、クリス♡」
「ぅ゛、ぅぅぅぅ!」

「私たちはクリスと愉しくヤッてるのでー♡」
「ぅ゛ーー! お前ら、覚えてろよーーーー!!?」

もう、ほのかな違和感に気づく余裕もない。

金髪の魔族が涙目で一時部屋から出ていき、残った赤髪の魔族と青髪の魔族は、それぞれの持ち場である腋の下と足の裏をくすぐりながら、時折気まぐれのように男性器に指先を這わせる。

「ぁははははははははははははっ♡♡♡♡ どうしてっ、どうしでッ♡♡♡♡ これっ、これぇぇぇぇっへへへへへへへへへへっ♡♡♡♡ ぁっははははははははははははっ、あぁぁぁぁぁぁあっはっはははははははははははははぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああああっ♡♡♡♡」

僕は1度もイケないまま、長い長い時を過ごすのだ。

 

――――
――

 

金髪の魔族が戻ってきたのは、気の遠くなるぐらい時間がたってからのこと。彼女の足音は、締め切った扉の向こうからはっきりと聞こえてきた。

「も、も――! 戻った、ぞ――!!」

「うわっ。隊長お帰りなさぁい」
「そんな全力疾走してこなくてもいいですのにー」

「ゼェ、ゼ……! な、何のことだふ――! は……っ!」

僕をくすぐる手が止まった。示し合わせたわけでもない、ただ上司が戻ってきたからだった。

全身の感覚がふっと収まった直後、僕は咳き込み、泣き始めた。それまでずっとくすぐられ続けていた僕は、3人のやり取りに感情を向ける余裕もないぐらい、もう心がボロボロだった。

「ひぐっ、ぅあ゛ぁぁぁぁぁぁああんっ!! ひぐっ、ぐすっ、ぅ゛ぅぅぅ……!?」

「ええええうええええ!? が、ががガチ泣きぃ!?」
「どっ、どどどどどどどうしたんですかかかかー!?」
「お、お前らぁ! クリスに何かしたのかッ!!」

あたふたする3人を前に、僕は何て情けないと思った。だけど、押し寄せてくる感情は止まらない。

「ごめ、なさ……ッ♡ だって、くすぐったくで……! 気持ぢいいのに、イケなぐでぇ……!」

「うんうん、ごめんね。やりすぎたよねぇ」
「ごめんなさいー。もー、隊長が帰ってくるの遅いからー」

「私は悪くないだろぉ!? まったく、君もなんだから泣くな!」

「うわっ。良くないですよー、今のご時世、『はかくあるべし!』なんてぇ」
「多様性の時代ですよー。泣き虫ながいたっていいじゃないですかー。ねークリス

あまりにも心がぐちゃぐちゃで、彼女たちの漫談に気を向ける余裕もなかった。何呼吸も遅れて、僕はようやく3人の会話の違和感に気づく。

滑稽なぐらい、自分の泣き声がすんと止まった。

「……今、僕がって」
「え? うん、そだね」

「だって、僕、今、え……?」
「あー。もしかして、女体化の魔術のことですかー?」

「どうして……知って……?」
「君、今の自分の格好に気付いていないのか?」

金髪の魔族がふっと手をかざすと、僕の全身を映し出すような姿見鏡が現れる。魔力を結晶化したものだろうか、原理はこの際どうでもいい。その鏡には、女体化の魔術なんてすっかり解けた、男の僕の姿が映し出されていて。

いや、それ以前に……。

「うーん。何ていうか、その術で私たちを騙すのは無理だよ? うん」
「人間の魔術って雑なんですよねー。変な魔力が全身に絡まっちゃってるの、見れば分かるんですよー」

「マフラー編んだら、あちこちから変な毛糸が飛び出てるみたいな?」
「そうです、それー」

「それ、じゃ……。最初、から……?」

要するに、だ。最初から、僕の変装はバレバレだったということ。そして、変装なんて露骨なことをしていることが分かっていれば、怪しまれないわけがないということ。

何だかもう、本当にバカみたいだ。涙が出てくる。

「ああもう! そんな泣かないで」
「にに、人間の魔術にしてはなかなかですよー?」

「ってゆーか、君、女の子じゃなくてもすっごいかわいいねえ♡ 男の娘って言うんだよっ、需要高いよぉっ♡」
「元々女の子みたいな見た目だから、性転換もあんまり意味なかったかもですねー♡」

慰めているのか、慰めていないのか、よく分からない言葉だった。

2人が僕の頭をなでくり回すさなか、僕は自身の行く末を思う。スパイだとバレて敵国で捕まった者の末路なんて、禄なものじゃない。消えていった同輩たちに自身を重ねるだけで、全身が寒くなるような心地がした。あんなに『死を恐れるなんて今さらだ』なんて思っていたのに、いざ死を前にするとこの体たらく。もう、徹頭徹尾情けないな、僕。

「あああああもう! そんな死にそうな顔しないでよう!」
「こここの子、本当にマイナス思考な子なんですよねー!」

僕が下を向いているさなか、赤髪の魔族と青髪の魔族のあたふたは最高潮に達する。それを見かねたのか、金髪の魔族は『はあ』とため息を付いて、僕の前に立った。

「まあ確かに、変装までしてこの国に潜り込もうとした不審者を、放っておくわけにはいかないな」

酷薄な言葉、しかしその声音に冷たさはなかった。『責め苦を与えるわけではない』――そう言いながら、彼女は人差し指で僕の顎を持ち上げた。

「君は『淫魔たちの恋人』になるんだ」

それは聞き慣れない言葉だった。『淫魔たちの恋人』――どこか甘くも、背筋が寒くなるような。

「簡単なことだよう♡ 今日みたいに、私たちとずーっとこちょこちょエッチするお仕事♡ お仕事だからサボっちゃだめだよぉ?」
「私たちに呼ばれたらすぐに来てー、たくさんこちょこちょされてー、お精子ぴゅっぴゅしてー♡ この国にいる人間たちはそうしてるんですよー♡」

「どうせ帰った所で無事じゃ済まないだろう。ここにいれば君は五体満足のまま。君のしようとしたことを考えれば、随分と有情な落とし所だと思うが?」

僕は反射的に拒絶の表情を浮かべた。要するに、それは彼女たちのになるということじゃないか。そんなの、受け入れられるはずが……。

「まあ、君が受け入れようが受け入れまいが、拒否権なんてないのだが、なっ♡」

金髪の魔族の言葉が合図に、また3人が僕の躰に指を這わせ始める。1人が腋の下、1人が足の裏、そして1人が男性器。

再び始まる地獄の時間。だけど――。

「ひひゃぁぅぁぁぁあっひゃっはっはははははははははははははぁぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ にゃにっ、これぇぇっ♡♡♡♡♡ くしゅぐったはっ、気持ちぃぃぃひひゃっはっはっははははははははひゃはははははははぁぁぁぁぁぁああああああッ♡♡♡♡♡」

今までと比べものにならないくすぐったさ、そして気持ちよさ。散々蕩けるようなくすぐったさを味わってきたと思ったのに、まだがあったんだ。

「君、まさかおちんちんじゃあイケないって思ってたあ? まさか♡」
「おまんこのほうはたくさんイカせてあげてー、おちんちんはイカないように手加減してただけですよー♡」

「だめへっ、へんっ、変んんんんんんんんひゃは――ッ♡♡♡♡♡ ひひゃはぁぁぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ はひっ、ひ――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

あふれ出る嬌声、震える全身。僕はあっという間にイッてしまった。

加えて、男性器から何か噴き出す感覚。涙でぐずぐずになった視界が白で埋まっていく。知識としては知っている。これは、精液というやつだ。精液を出すということは、こんなにも気持ちいいものだったのか。

「満足そうな顔をしないでおくれよ……♡ 私たちがまだ愉しんでないだろう?」

金髪の魔族が、椅子の座面に片足を乗せて、膝を立て、女性器を見せつけてくる。僕が女体化していた時のそれと比べて少し形の違う女性器は、まるで涎のように透明な液体を滴らせていた。

そして、彼女が腰を落とすと同時に、女性器がゆっくりと僕の男性器に近づいてくる。

「――ふぁぁぅぁぁぁぁぁああああッ♡♡♡♡♡」
「んぉ――♡ ふふ、年相応の小っちゃい、だけど硬いおちんちんだなぁ♡」

女性器の中に男性器を挿入する行為――ようやく僕も知っている、子どもを作る行為だった。最初からそうしていれば単純明快だったのに、長い時間を掛けてようやく辿り着いた、何て回り道。

それでもやっぱり、彼女たちの行為というものは、僕の知識の範疇に収まってくれる気がさらさらないらしい。

「さぁ、クリス。もっと気持ちよくしてやるから、なっ♡」
「ふゃあひゃっはっははははははははははははぁぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ ひゃめっ、腰ぱんぱんしながら腋の下こちょこちょしにゃいでぇぇっへっひゃっはははははははははははぁ゛ぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ ぁっひゃははははははははははひゃぅぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ♡♡♡♡♡」

「じゃあ私は、隊長の替わりにに失礼っとぉ♡ ほれほれ、タマタマくすぐったいよねぇ♡ こちょこちょこちょこちょぉっ♡」
「ぅへぁひゃぁっはっははははははははははははっ♡♡♡♡♡ にゃにそぇっ♡♡♡♡♡ わかんなひっ♡♡♡♡♡ わかんにゃぁぁぁぁっひゃっはっはははははははははははははぁっ♡♡♡♡♡ ぁはひっ、ひゃぁっはっはははははははははぁぅぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡」

「次は私も席替えさせてくださいよー? まあ、クリス君は足の裏こちょこちょされるの大好きですものねー♡ かりかりかりかりー♡」
「ひゃっはっはははははははははははぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡ 好きじゃなひっ、好きじゃっ、すきっ、す――♡♡♡♡♡ ぁはひっ、ぁ゛っはははははははははははははははっ、ぁ゛はははははははははははぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッ♡♡♡♡♡」

「ああ、安心しろ。私たちは子を作らない。君の精子は、ただおいしく頂かれるだけさ」

全身をくすぐられながら、子を作らない子作り。あまりにも気持ちよすぎて、思考が溶けていく。

本来、子どもを作る行為というのは、神聖で感慨深い行為らしい。だけど、今行われているのはあまりにかけ離れているように感じた。獣のように快楽をむさぼるだけで、そこに情緒なんて存在しない。起伏が存在せず、最高点がずっと続くという、静寂と呼ぶにはあまりに激しすぎる凪。

僕はただただ、快楽という名の暴力に押し流されていく。

「っぁ゛っはははははぁぁ゛ぁぁぁあああっ、だめっ♡ またいくっ、いぐっ、い――♡♡♡♡♡ ひゃはぁぁぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

あっという間にイッてしまった後でも、それは変わらない。

「隊長おお! 次は私ですよ、私ぃ!」
「ぅぐ、し、仕方ないな……」

金髪の魔族が渋々と僕の腰から下りると、今度は赤髪の魔族が僕に跨がってくる。今度は、赤髪の魔族が僕に背を向けながら腰を振り、そのさなかに腕を真下に伸ばして内股をくすぐってくる。そして、青髪の魔族が腋の下を、金髪の魔族が足の裏をくすぐってくる。

「ひゃぅあっはっはははははははははははははははっ♡♡♡♡♡ むりっ、むりぃぃっひっひひひひひひひひひひひぃぃぃぃいいっ♡♡♡♡♡ イグの止まらなくなっひゃ――っぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

それで僕がまたあっという間にイッたら、次は青髪の魔族の番だ。

「それじゃあ私も、失礼しますー♡」

青髪の魔族は腰を振りながら、僕の両胸をくすぐり、しつこくキスしてくる。残った二人の魔族が、僕の視界の隅で、何か『しまった、取られた!』という表情をした。赤髪の魔族は足の裏をくすぐり、金髪の魔族は男性器と尻穴をくすぐる。

「ゃ゛ーーーーっはっはははははははははははぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ こぇ゛っ♡♡♡♡♡ いつおわるのッ♡♡♡♡♡ からだ溶けひゃッ♡♡♡♡♡ ぁはっ、ひゃ――♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ひぁひゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

それで僕がイッて、ようやく一通りかと思ったら、また金髪の魔族が僕にのし掛かってくるのだ。

「『いつ終わるの』って、終わらないよぉ? 言ったよね、クリスきゅんは『淫魔たちの恋人』になるってぇ♡」
「毎日毎日、こちょこちょぴゅっぴゅー♡ 今日みたいな日がずーっと、いえ、今日よりすごい日がずーっと続くんですよー♡」
「安心しろ、死ぬことは絶対にないさ。人間は私たちにとって宝みたいな存在だからな。大切に、たーいせつに、管理してやるからな……♡」

「ぁ゛っははははははははぁ゛ぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁああっ♡ ぁはっ、ぁ――♡♡♡♡♡ ひゃぁ゛ぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ――♡♡♡♡♡ ッッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

いつしか、拒絶の声を上げることもなくなっていた。

僕は何もできずに笑い、射精し続けるだけ。まるで無限の時間をぐるぐると廻り続けるように、彼女たちは代わる代わるに僕を犯し続けるのだった。

 

――――
――

 

――――
――

 

――――
――

 

この国に赴いてから、3日あまりがたった。

僕はまだ、入国すらできていない。なぜなら、城壁の一室で、たくさんの衛兵たちに代わる代わる犯され続けているから。

「ほーら、こちょこちょこちょこちょー♡ 腋の下も、お腹も、太ももも、足の裏も、全部ぜーんぶくすぐったいよねぇ♡ こちょこちょこちょー♡」
「おちんちんもたっくさんこちょこちょしてあげるねー♡ あー♡ クリスくんのおちんちん、小っちゃいのに一生懸命びくびくして、ほんっとにかわいーなー♡」

「ひゃぅ゛ぁぁぁぁっひゃっははっははははははぁ゛ぁぁあっ♡♡♡♡♡ ぁはひゃッ♡♡♡♡♡ やぁッ♡♡♡♡♡ おちんぢんくすぐっだひぃぃぃっひひひひひゃぁ゛ぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

もう、僕を犯すのは3人だけでは済まなかった。城壁を守っている数十人の魔族たちが、非番の時を狙って部屋になだれ込んでくる。

背の高い魔族、背の低い魔族。長髪の魔族、短髪の魔族。胸の大きな魔族、胸の小さな魔族。その姿形はさまざま。全員に共通していたのは、誰もが思わず見とれるほどの美女・美少女であり、その誰もが僕の躰をくすぐり姦して犯してくるのだ。

彼女たちの気まぐれか、僕はたまに、自身の性別を変えられていた。

「たまには、女の子のクリスきゅんとしたいなあ♡ えいっ♡」
「ひゃーっ♡ 男の子のクリスくんもかあいーけど、女の子のクリスちゃんも捨てがたいなーっ♡」

本国の魔術師たちが大がかりな準備を経て行う、体が捻じ切れるような性転換魔術と違う。ぽんと小気味のよい音が鳴った瞬間、まるで自身の存在が丸ごと変わっているかのように、一瞬かつ自然。たかが一衛兵による、何て完璧な魔術。

そして、彼女たちは女体化した僕の躰をくすぐり姦して、何度も何度もイカせてくるのだ。

「ひひゃっははははぁ゛ぁぁぁぁぁあああああッ♡♡♡♡♡ いぎなりおまんこくすぐられだら変になっぢゃうぅぅぅあっはっははははははははぁ゛ぁぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

「クリスくん、あ、今は”ちゃん”? えっちな言葉たくさん覚えて偉いですねぇ♡」
「ご褒美に、みーんなでおまんここちょこちょしたげるねー♡」

「っっや゛ぁぁぁぁぁっはっははははははははははははははぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡ 指おおいっ、指多いッ♡♡♡♡♡ っゃ゛ぁぁぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

この国はまずい――僕はそう感じた。

彼女たちはサキュバスという種族らしい。ここの国民は、ほぼ全員がサキュバスだった。そしてサキュバスは肉体の強さが弱い分、有り余るほど豊富な魔力を持ち、実に多用な魔術を扱える。それが国民のほぼ全員……。

つまり、国民のほぼ全員が、人間で言うところの上位か、あるいは最上位に相当する魔術師ということだ。貧相な城壁に囲まれた、たかが小さな都市。その中に潜む戦力は果たしてどれだけのものだろう。

だけど――何としてでも帰還して、本国に報告しなければ――僕の密偵としての義務感は、すっかり溶かされていた。

 

僕が休みなく犯され続けている、ある時、部屋の扉がバンと大きな音を立ててひらいた。

「おい、お前たち!」

部屋の入り口で声を張り上げるのは、衛兵たちをまとめ上げる隊長たる、金髪のサキュバス。全員が『やべっ、うるさいのが来たよ』と緊張する。しかし、彼女たちの心配は杞憂だった。

「この度、クリスの入国許可が下りたぞ!」

その瞬間、部屋の中が湧き上がった。その言葉の意味は明白。僕はとうとう、この国に入るという当初の目的を果たしたということだ。

密偵としてではなく、『淫魔たちの恋人』――彼女たちの性奴隷という、最悪の形で。

「この国には、気持ちー施設がたくさんあるんだよぅ♡ こちょこちょマッサージしてくれるお店とか、みんなでエッチする大っきな浴場とか。あっ、まずはおもちゃ屋さんで、クリスきゅんにぴったりのおもちゃ探そうねぇ♡」

「お祭りとかもたくさんあるんですよー♡ 乱交祭りとかー、イカせ合い大会とかー。あと、恋人品評会なんてあって、賞を取ると女王様ともエッチできちゃうんですー♡ クリス君なら良いところまで行けると思いますよー♡」

「だが、くれぐれも悪いことはするなよ? この国の刑罰は全てサキュバス流だ。我々サキュバスの、愛するためじゃない、苦しめるためのくすぐり責めは、死ぬよりつらいぞ……?」

ここで犯されている間、僕はサキュバスたちから、この国についてさまざまな話を聞いた。

サキュバスたちは皆、色事にしか興味がなかった。これだけの力を持ちながら小国にとどまっているのは、ひとえに侵略に興味がなかったからだった。

人間が潜り込もうものなら2度と出られない――当初聞いていたうわさは、実に簡単な理由。人間が来ても普通は門前払い。無理して潜り込もうとしたり、彼女たちに見初められてしまったら、皆こうして性奴隷にされてしまう。ならば彼女たちに近づかなければ済むだけの話。

わざわざ密偵を送り込む価値もない、何てくだらない国だ。だけど――。

「ねぇクリスきゅん、これからどこに住もっか♡ やっぱり、大っきいベッド置けるところがいいよねぇ♡ 一緒に探しに行こっ♡」
「今度、中央通りのおいしいレストランに行きませんかー♡ たくさんの薬草を使ってて、人間が食べたら3日間ムラムラが止まらなくなっちゃうんですよー♡」
「そそそそ、それより、そろそろ私に番を譲ってくれないか……♡ クリスの入居申請でご無沙汰なんだっ。おいお前ら、整然と列を作るな、何だその最後尾のプラカードは、私にそれぐらいの役得があってもいいだろぉ!?」

サキュバスたちが、僕に愛おしそうなまなざしを向けている。

『淫魔たちの恋人』――それはこの国に住まう人間奴隷たちの総称である。しかし、その言葉に偽りなく、彼女たちはまるで僕のことを恋人のように扱ってくれる。

罵声を浴びせられ、ムチで打たれ続けていた本国とは、あまりに違う扱い。

「でへっへへへへへへへへへぇぇぇぇぇえええっ♡♡♡♡♡ ぇへっ、へひっ、へ――♡♡♡♡♡ へっ、えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇええッ♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

……ここで一生を終えるのも悪くない。僕は笑い、何度も何度も射精しながら、そんな気がしたのだった。

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