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◆あらすじ
魔王討伐の果て、不運が重なってふたなり化の呪いを掛けられてしまった、聖女ニンファエアのお話。彼女は残党のサキュバスを討伐するため辺境の森に赴くも、股間に生えた小っちゃなおちんちんのせいで、あっさり魅了魔法に掛かってしまいます。格下に玩ばれる屈辱を覚えながらも、心と裏腹に、体は性的快感を求めるばかり。手コキから始まって、フェラで生まれて初めての射精を覚えさせられてから、乳首責めと指コキによる苦しい苦しい寸止め、そして――。ちょっとした油断と射精欲が、彼女を取り返しの付かない結末へと誘うことになるのです。
※この作品は、Pixivリクエストで頂いた有償リクエストの作品です。
気付くのが遅すぎた人々と魔王の話。
魔王と呼ばれる人ならざる存在が現れ、魔族を率いて世界の隅っこを己が領土としたのは、ある日突然のことだった。彼の者は、世界に対して堂々たる宣戦布告をした。
しかし、世界の指導者たちにとって、そんなことは知ったことではなかった。遠国の未知なる脅威よりも、隣国との小競り合い。何なら、隣国との小競り合いよりも、自国の権力争い。魔族が隣国を滅ぼそうとも、むしろ『敵国が滅ぼされたぞ』と葡萄酒を片手に笑う始末。時たま『彼の者たちを何とかしようぞ』と言い出したかと思えば、政治的な思惑はここでも交錯し、結局は討伐部隊を散発的に送り込むだけ。逐次投入された戦力は、漏れなく魔族たちの餌となった。
ようやく人々が皆結託する意思を見せ始めたのは、既に世界の5割が滅ぼされたころ。人々は数を減らしすぎたし、魔族は数を増やしすぎた。人々が魔族の脅威に気付くのは、あまりにも遅かった。
魔族の力の源泉とは、人々の欲望だった。彼らは人々の欲望を喰らい己が力とし、時には謀略でもって人々の欲望に付け込んでくる。そんな力があるからこそ、魔王は無敗を誇った。この腐りきった世界で人々は皆、魔族でさえも鼻をつまみたくなるほどの欲望を胸の内に滾らせていたのだから。魔族たちは、日に日に力を増していった。
あの時までは。
魔王が突然現れた時のように、魔王の元に1人の少女が現れたのもまた、突然のことだった。
「貴様。我が玉座にたった1人、無傷で現れるとは。何者だ?」
「……答える義理はありません」
聖女ニンファエア。女性……いや、少女と呼んだほうがまだ近いであろう、表情に乏しいが端正な顔立ち。腰まで伸びる、そよ風に吹かれた水面のように波打つ髪は純白。戦士のそれとはまた随分と様相の違うドレス、薄く透けるかぶり物も白。豊かな、しかし下品さを感じさせない肢体も白。
魔王は『美しい女だ』と思った。しかし、人間と違って、性欲に誑かされるほど愚かでもなかった。
「久しいな、存分に力を振るえる機会というのは」
「ご覚悟を」
魔王にとって、その戦いはほんの戯れのつもりだった。単調な侵略史に彩りを添える、ちょっとした愉快な出来事。
魔王もまた、気付くのが遅すぎたのだ。
「……なぜ、我が魔法が効かぬ? ……まさか、そうか。貴様、持っておらぬのか」
聖女ニンファエアは、魔族の力の源泉たる欲望を持っていなかった。この腐りきった世界で、強大な力を持ちながら、加害欲も、支配欲も、名誉欲も、何一つ持っていなかったのだ。彼女を動かすのはただ一つの使命――神の教えに従って、人々を害する魔族を討つのみ。
結局、魔王は聖女ニンファエアによって討たれ、魔族の侵略は終わる。ゆっくり膨み続けた泡がぱんと弾けるように、あっという間のことだった。
その場には、魔王とは別にもう1人の魔族がいた。聖女ニンファエアとの戦いに敗れた、死にかけの淫魔だった。
「貴様、よくも、よくも魔王様を……! 我が呪いをくらえッ!」
「ッ――!?」
「魔王、様……。今、あなたのお側に参りま、す……」
その行為は、ただの破れかぶれだった。死にかけの淫魔が何かしたところで、今更、魔族が敗北したという運命は変わらない。
「これは、まさか……」
たった1人、聖女ニンファエアの運命を除いては――。
――――
――
魔王を斃してからおよそ半年後のある日。聖女ニンファエアは王都より辺境の集落から、さらに歩いた先にある森の奥にいた。
(ようやく、平和な日々が戻りつつあると思ったのに)
ニンファエアは泉で水浴びをしながら、今までのことを思い出す。
世の中は、『魔王が死んで、世界に平和が戻りました。めでたしめでたし』で済むほど単純ではなかった。この世界は相も変わらず、腐りきっているのだから。
祖国では凱旋パレードで祭り上げられ、平和と希望、そして力の象徴として扱われる。世界の危機を救った最強の聖女は、他国への威圧にもってこいの存在だった。世界の半分が滅び、そして救われた今、その空白を己が国でもって埋めようと考える指導者の何と多いこと。
(私のほうは、それどころではないというのに……!)
ニンファエアにとって、政治などどうでもよかった。だって、教会に属し、元来修道女として生きてきた彼女の望みはただ、神の教えに従って正しく、つつましく生きることだけだから。
そして、そんなことよりも、もっと大きな問題に直面していたから。
「また、硬くなっている……」
水に濡れた自身の裸体を見下ろす。
直立していると、年の割には大きめの乳房に隠れてしまいそうだけど、それは確かにあった。陰毛の生えていない股間にあるのは、ぴちりと閉じた女性器――だけではない、硬く勃起しながらうずき続ける、包皮の剥けた小さな一物。
「あの魔族め……ッ」
思い出すだけで、沸々とした憎しみと怒りが全身を焦がしていく心地だった。
魔王を斃した時、生き残りの魔族が掛けた呪い。魔王と比べれば遠く及ばない、しかし魔族としては有数の魔力、そして戦いで消耗したあまりにも絶妙な瞬間。いくつかの困難な条件が偶然重なった結果として、ニンファエアは極めて脆弱な呪いを掛けられてしまう。
その結果が、勃起し包皮がむけてもせいぜい親指程度の大きさしかない、睾丸すらない、あまりにも小さな一物だったのだ。
元々呪いの類に対する高い抵抗力を有していたニンファエアだからこそ、いざ掛かった時の対処法を心得ていなかった。一見したところ呪いの強度は大したものではなく、教会の解呪師ならば取り除けるかもしれないが……。
(『人々の平和と希望の象徴たる聖女が、淫魔の下品な呪いを受けたから解呪してほしい』――そんなこと、言えるわけが……!)
立場と羞恥心が、呪いへの対処を遅らせていたのだった。
「っ、う……。また、うずきが、強く……っ」
呪いによって生やされた一物は、時折強烈なうずきをまとった。下着が擦れると、思わず腰が引けてしまうようなむず痒さを覚える。
実のところ、ニンファエアとて年頃の娘。そういうことに興味はあるし、自身の女性器を指で軽く触ってみたこともある。しかし、ほんの少しむず痒さを感じただけで、すぐにやめてしまった。快楽に溺れるのは神の教えに反すること。何より今となっては、こんな不浄なものを手で触れるのも憚られる。だから、そんな時は清水で体を清め、心を落ち着かせて、うずきが止まるのを待つことにしていた。
今まではそれで何とかなってきたが、最近はその周期が、どんどん短くなっている気がする。
「……早く、用事を済まさなければなりませんね」
泉から上がって水を拭い取ったニンファエアは、下着をつけ、ドレスとベールをまとう。常にまとうこの純白の装束は、聖女たる責務と誇りの証。
辺境の森に訪れたことには、理由があった。何でも、木こりが最近ここいらで魔族を目撃したとか。魔王を斃した後、残党が世界中に散らばっていた。つのと羽根、尻尾を生やした美しい女性の魔族――その特徴から、サキュバスであると推察される。
人々を脅かす存在を許すわけにはいかない――そんな使命感に混じり込むのは、『呪いを掛けた同種が生きていると思うだけで虫唾が走る』という憎悪。そして、『同種であるならば、この呪いを解く手掛かりが見つかるかもしれない』という期待。
――――
――
件のサキュバスは、ニンファエアが思っていた通り、簡単に見つかった。
ほのかに漂う魔力をたどってみると、森の奥にある洞窟にたどり着いたのだ。
「どわー!!? に、ににに人間んんんん!!?」
サキュバスは洞窟の中で喧しい悲鳴を上げながら後ずさった。
見た目はニンファエアよりは年上だろう、背は高いが、それでも『かわいらしい』と称するか『美しい』と称するか迷う容姿。教会では『短い髪は粗野だ』とよく言われたものだが、それでも彼女の短髪はアメジストで糸をつくったように美しい。
恵まれた体形のニンファエアよりもさらに大きな胸と尻を隠すのは、下着同然……いや、まっとうな下着よりも小さな真っ黒な布きれだけ。悪魔の象徴たる尻尾、コウモリの羽根、ヤギのそれよりもいくらか小さなつの――その特徴は、確かにサキュバスに相違ない。
……彼女を見ていると、何だか腰の辺りがむずむずするのはどうしてだろう。
「ま、まままさか、私を殺そうってんじゃ……!」
「聞かなくとも、分かっているではありませんか」
「うわー、やっぱりー!! せっかく、せーっかく! 絨毯敷いて家具も作って、ちょっとマシな暮らしできるようになったってのにさー!?」
ニンファエアが殺意を向けても、サキュバスは身構えるどころかただ喚くだけ。魔王軍との死闘を思えば、何という拍子抜けか。
洞窟という場所はお世辞にも文明的とは言いがたいが、なるほど、地面を柔らかな草で覆い、持ち込んだ木材で簡素ではあるがベッドやテーブル、椅子をこしらえてある。天井にぶら下がる照明は何らかの魔法か、本を読む程度の明るさも確保されている。戦いが終わってから半年の間で、随分と住みよくしたらしい。
もっとも、だからと言って討伐をやめる理由にはならないのだが。
「お、おお願いです、助けてくださいいい!? 私ほんと弱っちくて、倒しても経験値1しか入らないよ!? スライムと同レベル! MPの無駄じゃん!! それに私、戦争とかそういうの興味ないし!! ほんと大人しくしてるしいいい!?」
「喧しいですね。魔族である貴女を生かしておく理由がどこに、しかし……」
それでも、ニンファエアは彼女を殺すのをためらった。
慈悲の心があったわけではない。ただ、ここで淫魔である彼女を殺せば、呪いを解く手掛かりを失ってしまう。戦意すらない脆弱な魔族は、拷問に掛けるには都合が良いかもしれない。半端に強力な魔族が相手だと、暴れられた時、勢い余って殺してしまうかもしれないから。
思考によって生まれた、ごくわずかな時間。サキュバスはパニックに陥ったまま、両手をニンファエアのほうに付きだして、魔力を放出するのだ。
「す、すすすす隙有りーーーー!!」
「私に隙なんてあるわけが……」
サキュバスのその行為は、ただの破れかぶれだった。大した力を持たない彼女が何かしたところで、目の前の何だかすごく強そうな女がどうにかなってくれるだなんて思えない。
そして、その考えはニンファエアも同じだった。くだらないと思った。魔王すら斃す聖女たる自分が、低級のサキュバスにどうこうされるわけが――。
しかし次の瞬間、ニンファエアの体に異変が起きるのだ。
「くあぅ――!!? な、何――!!?」
全身の皮膚がぶわりと鳥肌立つような興奮が、胸から湧き出してきた。肌寒さを感じる一方で、体の芯が燃えてしまいそうなぐらい熱い。
ひらひらとしたドレスの衣擦れが、嫌にくすぐったい。全身の中でも、その感覚の最たる部位は――ニンファエアが自身の体を見下ろすと、無理やり抑え込んだはずの一物が、また硬く勃起している。
間違いなく、サキュバスの放った何かが、ニンファエアに何らかの影響を与えたのだ。
「うそっ、き、きき効いたっ!!?」
「あ、貴女は……! 一体、どうして……っ!」
「いいいや分かんない。私の魅了魔法、男の人にしか成功したことないのに。あなた、そこどうなってるの?」
ニンファエアが問うても、サキュバスは要領を得ない答えを返すだけ。それどころか彼女は、内股になって身悶えしているニンファエアの着るドレスの上から、股間をまさぐり始めるのだ。
「ぅあうっ!!? あ――♡」
「うおっ、何かある!?」
「何をして、やめ――!?」
「お、おおお、これは、まさか……! やっぱり、おちんちん生えてるーーーー!!」
下着を無理やり下ろされたニンファエアは、ぐるぐると目が回る心地がした。
何だ、この状況は? 殺すべき相手をまだ殺すことができず、それどころか下着を下ろされ、下半身を晒されている? 揚げ句の果てに、ずっとひた隠しにし続けていた自分の恥ずかしい呪いをまじまじと見られている? こんな、低級の魔族に?
「はー、なるほど、ふたなり化の呪いかぁ。こりゃ同族の仕業だね。だから、男の人にしか効かない私の魔法も効いちゃったわけ。しかし、こりゃ……」
そして、そんな低級の魔族は、ニンファエアにとってもっとも恥ずかしい部位を見つめながら、吹き出すように笑うのだ。
「ぷっ、くくくく、くくくくくく……!? 何この小っちゃいおちんちん……! かわっ、皮かぶってないのに……!? か、かわいいいい……♡」
「な――!? 何を、ばかにして――!!」
「いやだって、ぷくく、こんな小っちゃい大人おちんちん見たことが……! もしかして、これ掛けた子の趣味……いや、それはないか。呪いの強さの感じも、何だかしょっぱいし。ねえ君、見たところ聖職者っぽいけど、こんな呪いも解けないの? もしかしてザコぉ?」
「ッ~~~~!!?」
ニンファエアの顔が、羞恥と怒りで真っ赤に染まる――こんな脆弱な魔族に、ここまで侮られるなんて!
経緯の知らないサキュバスには、知る由がなかった。彼女の何十倍か、何百倍か――あまりにも大きすぎる二つの魔力の間に発生した、ほんの微量な差、それによって奇跡的に生まれた脆弱な呪いだということ。そして、それを解呪することを、あまりにも強大すぎる立場が許さなかったということ。
しかし、現に彼女は今、目の前にいるサキュバスのいたずらに抗うことができないのだ。
「っ……! こ、この呪いを解けば、貴女の命だけは、助けて差し上げます。だから……」
「え~? やだ♡」
「――ぁうあっ!!?」
最初は喧しく喚いていたサキュバスも、だんだんと種族としての貌を現わしていく。すっかり調子に乗った彼女は、直立したままぷるぷると震えているニンファエアの、その小さな一物を指でつまむのだ。
「やめ……! 不用意に触――っ♡ ぁ、ああ、ああああ……!?」
「ほぉら、おちんちんしこしこしこしこ~♡」
「ひぁう♡ ど、してっ、なんで動かし――!? それっ、あ、ぁぁああ!!」
サキュバスが一物をつまんだ親指と人差し指を前後に動かすたびに、腰が抜けるようなむず痒さがやってくる。むず痒さ……いや、ごまかしようがない。これは『気持ちいい』だ。
「やめ、なさっ!! こんなの、許される、わけが……! ぁっ♡ ぅぅぅうううッ!!?」
「無駄無駄♡ どんなに口で『嫌だ嫌だ』言ってもね、魅了魔法に掛かった人間は、おちんちんしこしこされたくて仕方なくなっちゃうんだよぉ♡」
まずいと思った。すぐにでも、目の前のサキュバスを殺さなければと思った。快楽に溺れてはいけないというのは、神の教え。しかも、よりにもよって、魔族が齎すこの感覚に溺れていいわけがない! この『気持ちいい』は不快だ!!
しかし、自分の理性に反して、肉体は快楽を受け入れ続ける。握りこぶしを腰の横でぷるぷると震わせ、内股に立ったまま。勃起した一物からは我慢汁を、その下にある女性器からは愛液を垂らし続ける。呪いを掛けられてから半年、無自覚の禁欲は、サキュバスからの手淫を余計に強力なものにしていた。
「うんうん、敏感敏感♡ だけど、結構我慢するねー。もしかして、こーんな小っちゃいおちんちんだから、ぴゅっぴゅの仕方も知らないのかなぁ?」
「くぁっ、ひ♡ ばかにして、絶対に、ゆるさっ、ひゃ、ぁあっ!?」
「仕方ないなあ。おねーさんが教えたげる♡ せっかくの初物、こぼしちゃうのももったいないしね……っ♡」
ニンファエアには、サキュバスの言っていることが理解できなかった。ただ、自分をばかにするような口ぶりが気に入らなかったぐらいだ。だから、喘ぎ声混じりの説得力に欠けた罵声を浴びせるだけ。
そしてサキュバスの行動は、ニンファエアの想像をことごとく超える。彼女は突然、『あーん♡』と口を大きく開けて、ニンファエアの一物を口にくわえ始めたのだ。
『そんなものを、口に含むなんて』――そう言う暇もなかった。
「ふぁぅぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡ っ――!!?」
「ふぅうん♡ ひっひゃふてもかひゃひねぇ♡」
「やめっ、喋っ♡♡♡ 舌、当たってっ!!? っ~~~~~~~~♡♡♡」
ただ、一物を含んだ口をもごもごさせるだけ。口淫としては実に拙い――いや、『口淫』と呼んでいいのかすら怪しい。
たったそれだけで十分だった。ニンファエアは腰が浮きそうなむず痒さと共に、一物の奥で何かをせき止めていたものが、どろりと溶かされるような心地がしたのだった。
「ぁ、うぁあっ♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!? ッ、あ――!!! ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
一物を生やされて半年で初めての射精――いや、生まれて初めての絶頂は、歯を食い縛っていなければ、自分を見失ってしまいそうな快感だった。
小さな一物には不相応な量の精液が、サキュバスの口に注ぎ込まれる。女性器からは、愛液がだらだらと垂れ流し。体液が滴る膝は、がくがくと震えっぱなし。
しかし、今までにない快感に打ち震えているのは、ニンファエアだけではなかった。
「んぐっ、む、ぅぅううっ♡♡ ごくっ、ごくごく……っ! じゅるるるるるるるっ♡♡」
「やめっ、そんな吸って――!!? ひ――♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
サキュバスがニンファエアの一物をしつこくむしゃぶり続ける。
陰茎が引っこ抜けてしまいそうなぐらいに吸い付き、嚥下と共にぬるぬるした舌が上下に跳ねる。そのせいで、気持ちよさが止まらない。断続的な射精が、何度も何度も襲ってくる。
「くぁ、くっ、ぅう~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ も、だめ、脚が――!!? ぁ――」
「じゅるるるる、じゅるるるるる……! んぐっ、む――ちゅぽんっ」
しつこい口淫がようやく終わったのは、あまりの快感にニンファエアが尻もちを付いて、一物がサキュバスの口から離れてしまった時だった。枯れ草で作られた絨毯のおかげでニンファエアがけがをすることはなかったが、絶頂の余韻が腰にまとわり付いて、脚に力が入らない。
そして、サキュバスは喉をごくんと大きく鳴らすと、まるで神々の酒を飲んだかのような恍惚とした表情を浮かべるのだ。
「ふおおおおお♡ 何この子の精液、すっごい上質ぅ♡ 魔力がこう、たっぷりで、こう、芳醇でぇっ♡」
もしも精液に良し悪しがあるとすれば、聖女たるニンファエアの精液は上質な魔力が豊富に含まれていて、さぞ美味なのかもしれない。
しかし、ニンファエア――いや、人間にとって、そんなことは理解も共感もできない。嘲笑のない心からの賛辞が、まったく響かない。だって、ニンファエアにとって、サキュバスなんてどうでもいい存在なのだから。
それでも、サキュバスにとって、ニンファエアはどうでもいい存在ではなかったらしい。
「……本当は、適当に分からせたら帰しちゃうつもりだったんだよ? 本当だよ? 人間とのトラブルなんて、もうこりっごりなんだから」
「ぅあ、ぁ……」
「だけど、君のことは、帰したくないなぁ……っ♡」
サキュバスのその表情は、種族としての貌とは別に、何か強い執着を感じさせた。どこか、心をむず痒くさせるような。
そして、サキュバスは尻もちを付いたニンファエアの腕をつかみ、無理やり起き上がらせて歩き始める。
「ねえ、もっとシよ? たくさん、たーっくさん、気持ちいいことシよ?」
「やめ、どこに、連れて……っ」
せっかくの情事なのだから、部屋のど真ん中で立ったまますることはない、もっと相応の場所で――それは、男に抱かれたことのないニンファエアでも、十分理解できる心理だった。
しかし、サキュバスの行動は不用意だ。ニンファエアはひっそりと、サキュバスにつかまれていないほうの腕を軽く振った。
(体が、動く……)
本来サキュバスは、ニンファエアが射精し放心したところで、さっさと逃げてしまうべきだった。
たった1度の射精によって、性欲というものをいくらか解消できたニンファエア。サキュバスの施した魅了魔法の効果も弱まっており、まだふらふらしているが何とか歩くことができる。ニンファエアにとっては、殺すにも逃げるにも、今が好機。彼女にはそれほど膂力があるわけではないが、その不足をどうとでもできる、圧倒的な魔力がある。
しかしニンファエアは、ほんの少しだけ、本当にほんの少しだけ思った……いや、自分に言い聞かせてしまったのだ。こんな風に強引に腕をつかまれてしまったら、抵抗できないのも仕方ない。機会さえあれば、いつでも、どうとでもできる――と。
「いやー。いつか使うかもって思って作ったけど、本当に使う時が来るなんてね」
サキュバスが連れ込み、そしてニンファエアの手首に宛がい始めたのは、洞窟の壁に打ち込まれた拘束具だった。
街道に転がっている廃馬車でも加工したのだろうか。金属の枷と鎖で作られた、両手首を肩口辺りで留めるだけの実に簡素なもの。ニンファエアの少女相応の膂力であれば確かに抜け出せそうにもないが、魔力を使えばどうか。しかも、拘束する対象の体格が考慮されていないのか、鎖の長さも余っている。これでは、近寄ってきた相手を脚で蹴り飛ばすことも、腕で絞め殺すこともできるだろう。岩壁に枯れ草を貼って背中が擦れないようにしている辺りからも、サキュバスが享楽に傾倒しすぎているのが分かる。
「……こんなことしても、無駄ですよ。私は、絶対に魔族などに屈しません」
「やだな~、そんなんじゃないって。私はただ、気持ちいーことがしたいだけっ。君も、気持ちいいのうれしいでしょ?」
「誰が……っ。こんなもの、欲しくもありません」
ニンファエアは抵抗らしい抵抗をせず、ただ口がそれらしい言葉を紡ぐだけ。
しかし、気まぐれにほとんど近い空虚な言葉が、サキュバスの琴線に触れたらしい。
「……ふーん」
サキュバスのどこか含みを持った笑みは、ニンファエアの胸を妙にざわざわさせたのだった。
キスができそうな距離。ニンファエアがサキュバスを間近で見てみると、彼女は本当に美しい。美術品がそのまま具現化したかのような美麗さでありながら、そのくだけた言動には町娘のような愛嬌がある。自分がお堅い修道女であったことに自覚があったからこそ、そういう女性には少なからず憧れがあった。ああ、これがサキュバスでなければ。魔族でなければ!
そんな風に、もやもやとした感情を胸に抱きつつサキュバスに見とれている間のことだった。
「――ふっ、ぅう!?」
急にやってくる快感は、一物にではなく乳房に。
サキュバスが、ニンファエアの胸をもみしだいてきたのだ。
「うーん、きれいなおっぱい♡ この大きさでー、柔らかくてー、でもちゃんと張りがあってー♡」
「こんなところ触って、んっ、何がいいんですか……っ」
「にひひっ♡ 焦らない焦らない、前戯って大事だよぉ」
「焦ってなど、ぅあっ♡ つぅ……!」
温かく柔らかな手が、年の割には大きめの乳房に食い込んでいく。その指遣いはあくまで優しく、人肌の温もりが筋肉を弛緩させていく――これはこれで、悪いわけではないが……口でもって射精させられた今、少し物足りない。
しかし、サキュバスの指が下着の中に潜り込みニンファエアの乳首をつまんだ瞬間、快感は一気に強くなる。
「ひぁ――んぐぅ!? っ、っ~~~~♡♡」
「あっ! もう、声我慢しないで、苦しいでしょー? ほぉら、そんなことしても、全部全部曝け出されちゃうぞぉ♡」
「やめっ、服、脱がせ――っ!? ぁっ、ぁぁぁあっ♡♡」
サキュバスの手がドレスをはだけさせ、下着を完全に外し、薄桃色の小さな乳首を親指と中指を使って前後にしごいていく。
1度は射精したはずのニンファエアの一物は、いつの間にかまた硬く勃起していた――胸だけでは物足りない。そこに触ってもらわなければ。だけど、魔族によって齎される快感をよしとするなんて――相反する感情のせいで吐き気を催してしまいそうだ。
魔族に対する敵意故、ニンファエアはサキュバスに対して懇願できない。だからこそ、サキュバスがひとしきりニンファエアの乳首を弄くった後に、いよいよ一物に手を伸ばし始めた時、ニンファエアは少しだけ『都合がいい』と思った。
しかし、完全に思い通りとはいかない。
「くひゃぅぁ♡♡♡ なに、その変な触り方――ひっ、ぁぁああっ♡♡♡」
先ほどのような、素直な手付きではない。人差し指と中指を立てて、2本指でかりかりとくすぐるような、意地悪な手付き。
「知らない? 指コキっていうんだよぉ。こうやって焦らして、おちんちんにたっぷり精液を溜めるの♡」
「ゆび、こ――!!? いいから、これ、やめ――♡♡♡ ひぅ、あんっ♡♡♡」
「ぁ~、ほんとすっごい敏感なおちんちん……♡ 指でちょっと触っただけで、びくびくしてるぅ……♡」
裏筋を指先でくすぐられる度に、小さな一物がびくんと跳ねる。ニンファエアは何だか、一物でダンスか何かでも踊らされているような気がして、ものすごく癪だった。だけど、ああ、確かにこれは気持ちいい。くすぐられる時のぞくぞく感が癖になりそうだ。
しかし、30往復、40往復と指先で裏筋をくすぐられていると、快感の中にある不快感に気付く。
(これ、いつになったら、射精でき……っ♡)
たった1回の射精でも、推し量れることがあった。もしもサキュバスがニンファエアの一物を口にくわえてしごいていたら、あるいは握ってしごいていたら、はたまたあるいはつまんでしごいていたら、これだけの時間があればとうに射精できていたはず。
しかし、指コキと呼ばれるこの方法はこんなにもぞくぞくするというのに、一向に射精する気配がやってこないのだ。何だか、射精できないまま、下腹部に気持ちよさを溜め込まれているよう。延々と、少しずつ、巨大な水瓶の中身を水滴でもって満たしていくように。
ガチン。
「ぁ――」
「拘束されてるの、忘れちゃった?」
ニンファエアは、無意識の内に自分の手で一物を慰めようとしていた。しかし、手首に巻き付いた長さ余りの拘束具は、一物を手で握れるほどまでは長くない。
あんなに忌避していたものに、自分で触れようとしていたなんて――そうがくぜんとする以上に、射精できないのがつらかった。
「ふっ、ぅぅううっ♡♡♡ ぁ、ぅあ、ぁぁぁぁぁあ……!!?」
小さな一物の先から、透明な液体がだらだらと零れる――違う、それではない。私が出したいのは、透明ではなくて、もっと白く濁った――ニンファエアは自分がとんでもないことを考えていることに気づき、頭を横にぶんぶんと振る。
それでも、理性は全身にまでは及ばない。彼女の腰は無意識の内に前後に動き、自ら一物をサキュバスの指に押し当て始める――ああ、気持ちいい。サキュバスが刺激を強くしてくれたのか――自分のしていることに目を背けながら。
しかし、一物の根元が持ち上がるような気配を感じた矢先、サキュバスは立てた指をすっと離してしまうのだ。
「自分で気持ちよくなるのはだーめ♡」
「ぁ゛、ぁぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁぁぁああ――!!?」
「――こんなもの、欲しくもないんでしょ?」
せっかく近づいてきた射精感が、また遠のいていく。今日1度も、それどころか今までの戦いの中ですら上げたことのない悲鳴が、ニンファエアの口から零れた。
いい加減、ニンファエアも気付いた。サキュバスは、ニンファエアに快感を与えながら、射精を許さない。そういうやり方なんだと。
「ぅあ゛、ぁぁぁぁあああっ♡♡♡ やめ、こんなの、やめでくださいぃっ!!?」
「まあまあ、別に痛くしてるわけじゃないんだからさ。せっかくだから、おっぱいも触ったげるねぇ♡」
「ひっ、ぃぃぃいいっ♡♡♡ やだっ、それ、つら――!!? ぅ゛ぅぅううううっ!!?」
「おちんちんかりかりしながら、乳首もしこしこ♡ すごいね~、私だったら、こんなことされたら気持ちいのたくさん欲しくなっちゃうなぁ~♡」
ニンファエアは、乳首と一物を弄くられたままの状態で、全身をめちゃくちゃに暴れさせた。ガチガチガチガチ、ガチガチガチガチ! ――拘束具の音が洞窟内で喧しく響く。決して、今の拘束から逃げ出そうとしたわけではない。ただ、どうにかして一物にもっと強い刺激を与えたかっただけだった。
腰を振って、空気の摩擦でも、遠心力でも、何でもいいから刺激を得ようとした。しかし、空気は軽く、小さな一物では遠心力で血液を海綿体に集めることすらできない。脚を持ち上げて、自分の内股か足先で一物を刺激しようとした。しかし、一物があまりに小さすぎて、内股も足先も届かない。
「……暴発なんてできると思わないでね。私、サキュバスだよ? おちんちんイカせるのは得意だけど、それと同じぐらい、イカせないのも得意なんだから♡」
「ぅぁ゛ぁぁぁぁぁぁああっ♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああーーーーっ!!?」
ニンファエアは、ほんの少しでもサキュバスに軟化しかけたことを悔やむのだった。
――――
――
それから、指コキと乳首責めによる寸止めは延々と行われた。サキュバスを見つけた時はまだ日が昇りきっていなかったはずなのに、洞窟の入り口のほうからは今、ほのかに赤い光が差し込み始めている。
「くっ、ぅ゛、ぅぅぅうううう♡♡♡ ふっ、ぅう、ぅぅぅぅううううっ!!!」
目を血走らせ、歯をむき出しにしてふーふーと息づくニンファエア。その姿は聖女というより、餌を前にお預けをされている獣に近い。
そんな彼女に対して、サキュバスは優しくほほ笑んだ。
「私さ、人の考えって変わるものだと思ってるの」
「突然、何を言って……ッ」
「だからさ、今までのことぜーんぶ忘れて、正直な思いを聞きたいな――イキたくない?」
「ッ――」
「ねーえ♡ イ、キ、た、く、な、い?」
「っ……♡♡♡ だったら、何だと、言うんです……ッ!!!」
「うんうん、そっかぁ♡ だったらね、うーん、じゃあ、そうだねぇ」
先の『快楽など欲しくもない』というニンファエアの態度と比較すれば、随分と折れた言葉。しかし、それでも『イカせて』と泣いて懇願しないのは、聖女としての精神力と自尊心があってのもの。
生意気な答えだが、サキュバスにとっては十分だった。
「……私の言うこと何でも聞いてくれたら、たくさんイカせてあげる」
「それ、は――」
サキュバスのその言葉に、ニンファエアは一瞬だけ考え込む――この魔族は、果たして何を要求するつもりなのだろうか。最も考えられるのは『自分のことを見逃して』。あるいは何か別のことを? 家事手伝い、物探し、窃盗、復讐、殺人――。
しかし、ニンファエアが思考できたのは、ほんの一瞬だった。考えるよりも先に、口が動いたのだ。
「……分かり、ました」
ほとんど反射的に応えた後、ニンファエアは慌てて怒気と憎悪をむき出しにした表情を作る。
心からの屈服ではない。あくまでも、取引に応じただけ。ほんの少しの妥協。どれだけの責め苦を味わっても、聖女たる自分が魔族に媚びることなどあり得ない。忘れるな、こちらにはお前を塵にできる力がある、生殺与奪を握っているのはこちらだッ!!
「いいの?」
「……貴女の言うことに従えばいいんでしょう」
――いくら心の中で強がっても、もう無駄だというのに。
「うーん。それじゃあ、待ちに待った1発目はどうしよっか?」
「っく……♡ ぅ゛ぅう……!!」
一物の前で指をくるくるさせるサキュバスに、いら立ちを覚えるのはほんの一瞬だけ。
「そんなに焦らなくても大丈夫だよぅ。……っていうかね、私もずーっと我慢してたから、もう限界なんだよ……っ♡」
「っあ――♡♡♡」
小さな一物を、手のひらで包み込むようにぎゅっと握られる。たったそれだけで、一物の根元がびくびくと震えながら持ち上がっていく。体が待ち望んでいたはずの快感。しかし、それは幸福などではなかった。
「しこしこしこしこ~っ♡」
「ぅ゛あぁぁぁあああああああっ!!!? 待っ――♡♡♡♡ いきなり、強――!!!? ぁ゛ぁぁぁぁぁああああああああああああっ♡♡♡♡」
強く握り込んだ手で一物を激しく前後にしごかれる快感は、ニンファエアの許容量をあっという間に突破した。
「っあ゛――♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁあああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ だめ、中、熱――!!!? ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
「うっはぁ、精液のシャワー♡ こういうぜいたくな搾り方、1度やってみたかったんだよね~♡」
煮詰めたように粘度の高い精液が、尿道の隅から隅までをくすぐっていく。あまりにも射精の勢いが強かったから、あまりにサキュバスの手コキが激しかったから、吹き出した精液があちこちに飛び散っていく。それは、普通の人間同士の交尾では起こり得ない射精。
そして、苦痛の快楽搾精は続くのだ。
「ほらほら、どんどんいくよぉ♡ お預けした分、たーっぷりぴゅっぴゅさせたげるからねぇ♡」
「ぉ゛あっ♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? だめ、出した直後――♡♡♡♡ 先が敏感に――♡♡♡♡ ぅ゛ぁぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡」
「ぅははっ、また射精たぁ♡」
「っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぁぐっ、ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ これ、きづ――っ!!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
射精直後もなお続けられる搾精。お預けにされてつらかったのは、サキュバスも同じだったのだろう。少し急いたような乱暴な手コキが、小さな一物の根元から先っぽまでを隅々まで陵辱していく。
ニンファエアの視界がちかちかと明滅する。膝ががくがくと震える。もしも両手首を拘束されていなかったら、とっくに腰が抜けて地面にへたり込んでいたはずだ。
一物が、下腹部が、下半身が、全身が、脳までもがどろどろに溶かされるような心地がする。こんなに気持ちいいだなんて聞いていない!?
「おねがっ、だめ――!!!? いっだん止めで、くだ――っ♡♡♡♡ 止まらないの゛っ、おがしっ、おかしぐなる――!!!? ぎっ、ぃ゛い~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
ニンファエアは必死にサキュバスに制止を呼び掛けた。しかし、サキュバスはうっとりするような笑みを浮かべながら、一心不乱に一物をしごき続けるだけ。
それならば、自分で何とかして、射精を止めようと思った。腹筋に力を込めて、精液の移動を妨げる。あるいは、腰を左右に振って、サキュバスの手から逃げる。いっそのこと、拘束されていない脚でサキュバスを蹴り飛ばしてしまう。しかし、何をどうしようと思っても、快感はなくならない。
……それどころか、体が思うように動かない?
「君の躰、魅了魔法を掛けたみたいになってるぅ♡ そんなに気持ちいいことして欲しかったんだぁ……っ♡」
サキュバスのかけた脆弱な魅了魔法がとっくに解けてしまっていたとしても、無自覚の被搾精願望に塗れた体が抵抗を許さない。どれだけニンファエアの心が拒絶しようとも、体は乾いた砂漠のように水を欲し続ける。
それでもニンファエアは、この気持ちよさを何とかしたくて仕方なかった。思うように動かない体に喝を入れて、脚をふらふらと持ち上げる。それは彼女の精神力の為せる業。
しかしそんな儚い抵抗は、サキュバスがあっという間に、ニンファエアの両太ももを抱きかかえるようにして抑え込んでしまった。
「ほぉら、乱暴しちゃだめだよ。大人しくしてて」
「ぅぐ――!!!? はっ、ぁぁぁ……っ♡♡♡♡ はぁぁぁぁ……っ♡♡♡♡」
自分の太ももに両腕を回すサキュバスを見て、ニンファエアはちょっとだけ『助かった』と思った。だって、両腕がふさがっていれば、自分のものを手でしごくことなんてできないから。
しかし、サキュバスは自分の目の前にあるニンファエアの一物を見つめると、彼女を見上げながらにんまりと笑う。
「あ、この体勢、ちょうどいいや」
「な――!!!? ど、どうしでっ、そんな、口を大きく開け――ッ♡♡♡♡」
「いただきまーす♡」
「――ひゃぁぅぁあああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡」
そうして、手による搾精の後は、口による搾精が始まったのだ。
「じゅるっ、じゅるるぅうっ♡ ん~やっぱひ君のおちんひん、小っひゃくてかわひぃなぁ♡」
「ふぁぅぉおっ♡♡♡♡♡ ひひゃっ、何っ、これ――!!!!? こんな、知らなひっ♡♡♡♡♡ しらなひぃぃぅぁぁあああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
今までの力んだ喘ぎ方から一転して、ニンファエアの口からは甲高い、間の抜けた声が溢れ始める。その快感は、ニンファエアの経験したことのないものだった。
ここに来た当初も、サキュバスは口淫で射精を促してきた。だけど、当初のただ口をもごもご動かすだけのそれとは、あまりに舌遣いが違う。小さな一物の中でも特に敏感な裏筋を、唾液のたっぷり乗った舌の表面でじゅりじゅりとしつこく摩擦される。これこそが、サキュバス本来の口淫だ。
「ぃひ、あ゛――ッ♡♡♡♡♡ っひぁ゛ぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ひっ、ぃ゛ぃぃいい――♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「んぐんむぅっ♡♡♡ ごきゅっ、ごきゅ――♡♡♡ おいひぃぃ~♡♡♡」
「ぉ゛――♡♡♡♡♡ ぁ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ ぁ゛~……♡♡♡♡♡」
体がどくんと飛び上がるような、あまりに強い射精の衝撃が、ニンファエアの意識を吹き飛ばした。
気絶。長い戦いの中でも、経験したことはなかった。意識を無理やり奪われていく感覚は、少し怖い。だけど、今はその静寂が救いのように思える。ああ、体を襲うあまりにも強烈な気持ちよさが、だんだんと薄く……。
しかし、次の瞬間、予想外の部位に衝撃が襲った。
ズブリ。
「――んぐぉッ♡♡♡♡♡ ッ゛――!!!!? ッ゛――!!!!?」
まさか? そんな!? だって!!? ――あまりにもあんまりな感覚に、夢を見る1歩手前だったニンファエアの意識が無理やり引き戻される。『その感覚こそ現ではなく夢の中のものだ』と思いたかったけれど、ああ、勘違いではない。
サキュバスが、ニンファエアの背後に回した指を、尻穴に突っ込んでいたのだ。
「大丈夫? 白目むいちゃってたよ?」
「な、に゛――!!!? をしてっ!!!? そんなところをぉ゛ぉお――!!!?」
サキュバスは笑いながら、尻穴に挿れた人差し指をぐにぐにと動かしてくる。
ニンファエアは絶叫した。『信じられない』と思った。今までも散々信じられないことばかりだったけれど、その行為が1番信じられない。だって、不浄の穴に指を挿れるだなんて、信じられるわけが……。
しかし、その行為は本物だ。
「ぅ゛あぅぉ――♡♡♡♡♡ なに゛、これ――♡♡♡♡♡ 奥、熱い――♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉ゛ぉぉぉおおおおおおおおおおっ♡♡♡♡♡」
「知らない? 前立腺っていうの。ふたなりっ娘にもあるんだねぇ~♡ ここをこりこりしたげるとね、どーお? 押し出されるみたいでしょ♡」
「や゛めっ♡♡♡♡♡ これ、でる♡♡♡♡♡ 無理やりだされッ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉおおお、ぉ゛ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっ♡♡♡♡♡」
指が、一物の根元にある何か不思議なものを圧迫していく。そのたびに、がちがちに硬くなった一物がさらに硬く勃起して、根元からぞくぞくとした何かが上ってくるような怖気を感じる。怖い。怖い。怖い。しかし、体は紛れもなくその感覚に悦んでいる。だからこそ、ニンファエアは身じろぎすらできず、ただ唇を突き出しながら、声を上げることしかできない。
「だめ、だめ――ッ♡♡♡♡♡ これいじょっ、押されだら――ぉごぉおッ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛――♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
前立腺を刺激されたことによる、ぼとぼとと零れるような不自然な射精。代わりに、一物の下にあるニンファエアが本来持つ女性器から、潮がぶしぶしと勢いよく吹き出した。
「やめ゛っ、やめで――♡♡♡♡♡ やめでぐださい゛ぃぃぃいいいいいっ♡♡♡♡♡ これいじょっ、これ以上はぁぁぁああああっ♡♡♡♡♡」
「え~♡ でも、君だっておちんちんずっとかちかちじゃーん♡ 本当は、もっとたくさんぴゅっぴゅしたいんでしょぉ♡」
「だってっ、こんなの゛、おがしっ♡♡♡♡♡ おがしいぃいっ♡♡♡♡♡ どうしてなくならなッ♡♡♡♡♡ わだしの体っ、こわ゛れっ、ぁ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡♡」
「さ、お尻の気持ちよさにも目覚めちゃったしぃ。今度はお口で搾りながらほじほじしたげるねぇ♡♡♡」
「ぅあ゛っぉおおおおっ♡♡♡♡♡ ふぁぇっ♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉぁぁぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
ニンファエアは、こんなにも射精しているのに精液がなくならないのが、不思議で仕方なかった。性知識に疎くても、常識で考えれば分かることだ。こんなにも体液を出し続けていれば、いつか体が干からびてしまう。
しかし、彼女は知らなかった。サキュバスが搾り取っている精液は、ただの精液にあらず。彼女たちは射精という手段を通して、相手の体液ではなく、魔力を吸い取っている。
魔王を斃すほどの膨大な魔力を有する聖女ニンファエアを相手にすれば、いくら脆弱なサキュバスが精液を吸い取ったところで、底を突くはずがなかったのだ。
「ぁ゛ぅあっ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡♡ ごれ゛っ、だめっ、ほんとうに゛っ、だめ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
はだけた純白のドレスが、精液の白で汚れていく。
もう限界だった。理性的に『神の教えに背くわけにはいかない』とか『魔族にどうにかされるわけにはいかない』とか以前に、生存本能が警鐘を鳴らしていた。
「ぅぐ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぅ゛ぁぁぁあああああッ♡♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
(あ、駄目――♡♡♡♡♡ これ以上は、もう、弾け――♡♡♡♡♡)
もう何度目かも分からない射精の時、ニンファエアが感じたのは、体内の魔力の高まりだった。魔力が風船のように膨らみ、そしてぱんと破裂する、暴走。飲んだ水が気道に入ったら咳込むのと同じように、それは危機にひんした際の反射に近い。
ニンファエアにとって、魔力の暴走というのは、あまり良い気分のするものではなかった。あまりに膨大な魔力の暴走は、少なからず自分にも被害を与えるから。何より、自分の未熟を白状するようなものだから。だから、意識してやろうと思ったことはない。
だけど、ああ、こんな風に魔力が暴走すれば、全てを破壊できる。間もなく、目の前のサキュバスは死ぬ。ああ、最初からこうすれば良かった。
やがて体内で溜まりきった魔力は、勢いよく全身から放出され――。
そして、何も起こらなかった。
「ぁ、ぇ――?」
呆けた声を上げるニンファエアのことを、サキュバスがきょとんとした表情で見上げている。
「今、何かしようとした?」
「ぅあ、ぁ――? ぁぐっ♡♡♡♡♡ ぅ゛ぅぅぅぅうううううっ♡♡♡♡♡」
相も変わらず続く、搾精行為。
ニンファエアは快感に悲鳴を上げながら、今度は意識的に魔力を高めていく。しかし、どれだけ魔力を高めて放出しようとしても、その寸前で魔力が霧散してしまう。くしゃみが出そうで出なかった時のような不快感を覚える。
おかしい。こんな現象、今までに覚えが……! 一体どうしてっ!!?
その疑問に答えてくれたのは、他でもない、目の前にいたサキュバスだった。
「さっき言ったでしょ? 『大人しくしてて』って」
「だから、何だと――ッ」
「君、もしかして、魔族と出会うの初めて?」
ニンファエアは『そんなわけがない』と思った。このサキュバスは、自分が今までどれだけの魔族を斃したと思っているのか。
しかし、サキュバスはニンファエアの下腹部をつんとつつく。その刺激につられて自分の体を見下ろすと、下腹部に赤紫に輝く紋様が刻まれていたのだ。
「な、なに、これ……」
「契約の証。もちろん、私との、ね♡」
「けいや――!!? 何を、ばかなことを……!!?」
それは、教会でよく言い聞かせられてきた中でも出てくる、おぞましい言葉だった――悪魔……すなわち魔族と契約してはならない。奴らは『お前の願いを叶えてやるぞ』と、人々の欲望に付け込んでくる。ひとたび契約すれば、その者は魔の下僕となり、もう人ではなくなる――ニンファエアには、目の前のサキュバスと契約などした心当たりがない。
「私は、私がッ!!! 貴女なんかと!!! 契約など、する、わけ、が……」
しかし、ニンファエアの言葉はそこで止まった。
『私の言うこと何でも聞いてくれたら、たくさんイカせてあげる』
『……分かり、ました』
『いいの?』
『……貴女の言うことに従えばいいんでしょう』
今まで出会った魔族をことごとく武力でもって打ち斃してきたニンファエアだからこそ、うかつだった。悪魔……すなわち魔族と契約してはならない。それはたとえ、ちょっとした口約束であったとしても――だ。
「君みたいな欲望どろどろの人間を餌にするのが、私たち魔族なんだよ――♡」
「ぁ゛、ぁぁ゛――!!!? ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――っ!!!!?」
気付くのが遅すぎた人々と魔王の話。
魔族の力の源泉とは、人々の欲望だった。彼らは人々の欲望を喰らい己が力とし、時には謀略でもって人々の欲望に付け込んでくる。聖女ニンファエアはその欲望を持っていなかった。だからこそ、聖女ニンファエアは魔王を斃すことができた。
彼女もまた、気付くのが遅すぎた。一物を生やされ、身を焦がすほどの欲望を抱いてしまった瞬間、聖女ニンファエアは死んだのだ。
「い゛やだッ!!!!? そんなっ、こんな゛の!!! 私がッ、そんなはずッ!!!? ぅ゛あっ、ぁ゛ぁぁぁぁあああああっ!!!! ぁ゛ぁぁぁぁぁああああああああああああああッ!!!!?」
少女ニンファエアは涙をぼろぼろと零しながら喚き始める。『うそだ!』『これは何かの間違いだ!!』『そんなはずはない!!!』――しかしどれだけ彼女が喚いたところで、ほんの少し快楽をお預けにされただけの小さな一物は、天を突くように硬く勃起し、射精を欲し続けている。
サキュバスは、そんなニンファエアの一物を手でしごきながら、彼女の耳元でささやき始めた。
「せっかくだから、契約の続きもやっちゃおうか。君のことをたくさんイカせてあげれば、私の言うこと何でも聞いてくれるんでしょ?」
「やめ――!!!? やめ゛――ぉ゛あぅっ♡♡♡♡♡ やだっ、私はッ、こんなので悦んでないぎぃッ♡♡♡♡♡ ぅあ゛ぁぁああああっ、ぁ゛ぁぁぁぁああああああああああああああッ♡♡♡♡♡」
一時の欲望に誑かされて結ばれたのは、まるで自身の全てを魔族にささげるかのような、考え得る限り最悪の契約。そして、サキュバスの美しい声音で紡がれるのは、悪意、優越、征服、執着、愛情――さまざまな感情が入り交じった、おぞましい言葉。
「――君はずっと、ずーっと、私の雄牛さん♡ 私のために、おいしい精液をいつまでも作ってね♡」
ぼろぼろと涙を流し続けるニンファエアの耳を通り、脳を――いや、魂までを冒してくるそれは、最悪の命令。下僕ですらなく、ただの家畜になれという、聖女以前に女として、そして人としての尊厳を全て奪うよう。
しかも、その命令には含みがあった。
「知ってる? 契約って言ってもね、できないことはできないの。例えば、ふつーの人間に『世界を滅ぼせ』なんて言っても、そりゃ無理なわけ。で、私みたいな魔族って不老不死なの。普通の人間じゃあ、私たちとは時間の流れが違うから、『いつまでも』なんて無理なんだけど」
「ぅ゛あ、ぁ――」
「君の魔力はすっごい豊富だから。私たちとおんなじ時間を過ごせるかも」
「なに――、魔力が、からだが――ッ!!?」
ニンファエアがその言葉の意味を理解してしまった瞬間、自身の魔力の変容を感じた。膨大な魔力が体の隅々にまで循環し、細胞という細胞の老いを止めていく。それでも余りある魔力は、全て下腹部に。
普通の人間であれば絶対に不可能。しかし、規格外の力を持ったニンファエアだからこそ応えられてしまう。
全ては、サキュバスのために、おいしい精液をいつまでも作るために。
「嫌だ、嫌だぁぁぁぁぁああッ♡♡♡♡♡ おねがいっ、殺してッ♡♡♡♡♡ お願いですがらぁぁぁぁぁぁああああああああッ♡♡♡♡♡ わだしっ、こんなのッ、こんなの゛ぉぉおおおおッ♡♡♡♡♡ ころしでっ、殺しでよぉ゛ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおッ♡♡♡♡♡」
「えー、やだよう。最初にも言ったけどさ、私『人間に復讐だー』とか考えてないわけよ」
雄牛ニンファエアは何度も射精しながら、『殺して』と叫び続けた。聖女である自分に、こんな惨めな終わり方があってたまるものか!! ――家畜としての立場と性欲に溺れた体に対してあまりにも分不相応な精神が、無意味な抵抗を続けるだけ。
サキュバスは、ニンファエアの一物を片手で無造作にしごき、もう片手で尻穴をほじくり回しながら、ため息を付くのだ。
「ところでさ、君にこの場所が見つかったってことは、そろそろお引っ越しの頃合いってことなんだよねー」
「ぅぐおっ、ぉ゛ぉぉぉおおおおおおおっ♡♡♡♡♡ っ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ いや゛、こんな゛ッ♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「あーあ。せっかくここまで家具とかそろえたのに。ねえ君、どこか良い場所知らない?」
「やだっ、ころしでッ♡♡♡♡♡ ころし――ッ♡♡♡♡♡ っぎぃぃい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁぐっ、ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
「今度は、うーんっっと遠い場所に逃げよっと。人間たちに絶っっ対に見つからないようにさ」
「だっでッ♡♡♡♡♡ わだし、私は――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ 聖女としでっ、人々、をぉお゛――♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「……もちろん、君も一緒だよ? 雄牛さん♡」
「ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぉ゛、ぉぉおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
これは、聖女ニンファエアとしての生が終わり、雄牛ニンファエアとしての生が始まる――その境目を、ほんの少し切り取った話に過ぎないのだった。
――――
――
魔王の死後、散り散りになった魔族たちはそれぞれの生き方を模索することになった。人間への復讐を誓って戦い続ける者、人間の世界に溶け込んで共存する者、そして人間との関わりを絶つ者。
大陸より遠く離れた島に、サキュバスたちの住まう地があった。
ほんの十数人しかいないサキュバスたちの生活は、実に平和なものだった。この島には、水が豊富にある、加工できる木や石もたくさん。魚や獣、果物もとれるにはとれるが、彼女たちには必要最低限でいい。だって、彼女たちの餌はたった一頭で十分だったのだから。
「さぁさ、雄牛ちゃん♡ 今日もたっくさん気持ちよくなりましょうねぇ♡ ほぉら、サキュバスおまんこですよぉ♡」
「ぅ゛あっ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁあああああああっ♡♡♡♡♡ やめ゛っ、溶ける゛っ♡♡♡♡♡ 私のがとけ――♡♡♡♡♡ ぅひぁ゛あああああぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
その辺の木と石でこしらえた集落において、最も大きく堅牢、華美な建物にて、ニンファエアは精液を搾り取られ続けていた。今は、騎乗位で搾り取られる時間。
朝から晩まで、サキュバスたちに代わる代わる犯されて、時折食物や水を口移しで与えられて、また犯されて、最後は気絶するように眠る。すると、朝目覚めた時には、魔力が回復して元通り。また、搾り取られ続ける1日が始まる。
「はぁぁ、満足満足♡ うっし、今日も1日島の開拓がんばるぞー!」
「ひっ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁ、ぁぁぁ――♡♡♡♡♡」
「おはよーっと、ちょうど空いてるね♡ じゃ、私もいただきまーす♡」
「ぅ゛ぁ、ぁ゛ぁぁぁあ――っ!!!? やめ、せめて休ませ――♡♡♡♡♡ ぁ゛、ぁ゛ぁぁぁぁあああああああああああああっ♡♡♡♡♡ どうしで、こんな恥ずかしい格好で――♡♡♡♡♡ ぁ゛ぐっ、っぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
食事の済んだサキュバスがニンファエアの腰からのくと、すぐに次のサキュバスが食事を始める。今度のサキュバスは、両足をつかんで持ち上げた状態の騎乗位――彼女たちが言うには『ちんぐり返し』の状態で犯され始める。
サキュバスたちの搾精に対して、『飽きる』という概念はなかった。あるサキュバスの膣はやわらかくねっとりと絡み付くようで、またあるサキュバスの膣はきゅうきゅうときつく締め付けてくるよう。一方で、あるサキュバスの手はちろちろといたずら好きで、またあるサキュバスの口はがっつくよう。はたまたあるサキュバスの胸は弾力はあり、あるサキュバスの腋は柔らかく、あるサキュバスの尻は締め付けが強く、あるサキュバスの足裏は手よりも器用――。
実にさまざまな刺激で一物を玩ばれれば、射精を我慢することなどできない。それどころか、もはや一物に触れる必要すらなく、尻穴や乳首を弄くるだけでも射精してしまう有り様だ。
「や゛めっ、やめでくだざいぃいいいっ♡♡♡♡♡ わだしっ、こんなの゛ッ♡♡♡♡♡ いや゛、いやだぁぁぁぁぁあああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「あははっ、こーんなにお精子ぴゅっぴゅしながら言っても説得力ないぞ~♡ 体はこーんなに悦んでるのにさ~♡」
「ちがっ、わだしっ、私――♡♡♡♡♡ 私は、せいじょの――♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ゛っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
力の弱いサキュバスが施した契約は、不完全な代物だった。
欲望に弱いニンファエアの体を堕とすことができても、精神までをも完全に屈服させることはできなかったのだ。故に、元聖女としての、元人間としての自尊心が抵抗を続ける。いっそ心まで堕ちることができれば、どれだけ楽だったろうか。
「ところでさ、この子のかぶり物。どうして着けたままなの?」
「あー、何だか大切なものらしいよ? もう汚れちゃったし、捨てよっかなって思ったらしがみ付いて離さないの」
「ふーん……ま、いっか。これはこれで、聖職者サマ犯してるって感じがして興奮するし♡」
「ぁ゛ぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡♡ わだしはっ、聖女が、こんな゛――♡♡♡♡♡ ぁ゛っ、あっぁ゛っあっぁ゛ぁぁぁああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
彼女は苦しみ、自分が聖女であった証にすがりながら、サキュバスに精液をいつまでも与え続けるのだった。
遠国の未知なる脅威よりも、隣国との小競り合い。何なら、隣国との小競り合いよりも、自国の権力争い。近眼な指導者しかいないこの腐りきった世界で、大陸より遠く離れた島に目を向ける者などいない。
ニンファエアの魔力があまりに膨大上質で、サキュバスたちの欲求を全て叶えてしまったから。それが故、戦争に懲りたサキュバスたちが大陸にまで赴いて男漁りをするなんて無茶をすることもなかったから。
聖女ニンファエアが既に死に、雄牛として魔族の永遠なる餌になってしまったこと――人々は、気付くことすらできなかったのだった。