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◆あらすじ
催眠術をかけた上で快楽責めをしてくれるお店がありました。一見『風俗』なんてとても言えない風貌のお店ですが、その快感は本物。無抵抗・無表情の状態の快楽責めというのは、快感を紛らわすことができず、想像の何十倍も気持ちいいものなのです。
ああ、また来てしまった――この店に来るたびに、いつもそう思う。
ぼろぼろの雑居ビルの4階にある、埋もれてしまいそうなぐらい小さな店。財布から1,000円札を何枚か束ねて出した後、案内された先は、牢屋か何かを連想させる小さな個室。
私の目の前には、1人の男。男は早々に『それでは始めましょう』と言って、懐から1枚のコインを取り出すのだ。
――――
――
どうして私は、こんなふざけた店に来ているのか? それは、ここが1番気持ちいいからだ。
催眠によって硬直した体では、脚を閉じることも、身をよじることも、大声を出して気を紛らわせることもできない。すると、電動マッサージ器による刺激は、100%の力で私を絶頂へと追いやっていく。
動けないというのは、多くの人間が思っているよりも、ずっとずっと気持ちいいのだ。
(も゛ぉ♡♡♡♡♡ む゛りッ、む゛り゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぁ゛ぁ゛ぁぁあああああッ♡♡♡♡♡ い゛ぐのきづいっ、もぉ゛いぎだぐないぃぃぃぃぃぁぁぁああああ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡)
私の許容量はあっという間に限界に達し、この店に来たことを後悔しながらイクようになる。
だけど、声すら出せない私の事情なんて、目の前の男が察してくれるわけがない。床に倒れようにも、まるで鉄筋でも打ち込まれたようにがちがちに固まった両脚はびくともしない。
全身の神経はやがて痺れていき、だけど秘所を襲う感覚だけは鮮明。私の脳は耐え難い快楽に満たされるのだ。
(ぁ゛ぁぁぁぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぁ゛――♡♡♡♡♡ ぁ゛あ――ッ♡♡♡♡♡ ぁ゛あぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡)
そして、私の気付かないうちに1時間以上がたつ。
心の中で泣き叫び続け、もう目の前の男すら認識できなくなった時、体が突然崩れ落ちる。
「お時間です。お疲れさまでした」
「ッ――――……♡♡♡♡♡ かは――……ッ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
その時にはもう、私は声帯の震わせ方をとっくの昔に忘れてしまっていた。
絶頂の余韻に全身を震わせ、燃えそうなぐらい熱い呼吸を吐き出しながら、床に座り込んで呆然とする。そのまま1分、2分、3分――。
「ッ……! ッ……!!」
「またのお越しをお待ちしております」
私は自分がどうしてこんな所にいるのかを思い出して、大慌てで服を着て、逃げ出すようにその場から立ち去るのだ。
だけど、どうしてだろう。イカされ続けていた時は、あんなに後悔していたはずなのに。外に出てもなお体の火照りは収まることなく、私はあの店での快感を思い出して自分の体を抱き締めるのだった。