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	<title>長編小説 | おものべ  |  快楽責めと連続絶頂のエロ小説&amp;イラストのサイト</title>
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	<title>長編小説 | おものべ  |  快楽責めと連続絶頂のエロ小説&amp;イラストのサイト</title>
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	<item>
		<title>【表紙】異能バトルものの性拷問師たち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 09:00:57 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[レズ]]></category>
		<category><![CDATA[快楽責め]]></category>
		<category><![CDATA[拘束]]></category>
		<category><![CDATA[挿入]]></category>
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					<description><![CDATA[ありふれた異能バトルものの世界にて。華々しい表舞台とは無縁な、傭兵会社に勤める性拷問師たちの物語。
#快楽責め #連続絶頂 #拘束 #レズ（百合）]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><strong>◆あらすじ</strong></p>
<p>ありふれた異能バトルものの世界にて。華々しい表舞台とは無縁な、傭兵会社に勤める性拷問師たちの物語。<br />
#快楽責め #連続絶頂 #超能力 #拘束 #レズ（百合） #ほぼ挿入なし</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

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			</item>
		<item>
		<title>【第1話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
		<link>https://omonove.com/12799/</link>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:59:50 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】一人に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【攻】女性が責める]]></category>
		<category><![CDATA[オナニ]]></category>
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		<category><![CDATA[電マ]]></category>
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					<description><![CDATA[#クリ責め #電マ #ローションガーゼ]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第1話 読心 -ノンバーバル-</h3>
<p style="text-align: right;">#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>自分はこれから、拷問されるのだろう――佐伯アオイは、自分の置かれた状況を聡く理解していた。</p>
<p>会社員。黒髪短髪。齢24の女性的な体は裸にむかれ、まるで分娩台のような脚を開かせる椅子に拘束されている。手首、肘、足首、膝、腰、あばら、首――体のありとあらゆる部位に巻き付くのは、黒い革と太い鎖を組み合わせて作られた拘束具。少なくとも《能力》を使えるものでなければ、抜け出すことはできないだろう。</p>
<p>拘束された全裸に、申し訳程度の薄い毛布が掛けられているのは、何かの温情か。黒縁の眼鏡を掛けたままなのは、何かを見せるためか。アオイの頭の中を、嫌な思考がぐるぐると巡り続ける。それは、<ruby>周<rt>・</rt></ruby><ruby>囲<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>景<rt>・</rt></ruby><ruby>色<rt>・</rt></ruby>も影響していた。</p>
<p>「……悪趣味な」</p>
<p>コンクリートがむき出しになった部屋の広さは、10畳～12畳ほど。牢獄よりはだいぶ広い空間を、無数の<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>が埋め尽くしていたのだ。卵型のローター、先端に無数のいぼが付いた電動マッサージ器、挿れたら膣が裂けてしまいそうなぐらい大きな男性器の張り型。ベッドに、椅子に、ギロチン台のような何かにと、大型の什器も多い。床に直接置かれたもの、大きな棚に陳列されたもの、天上からフックで吊されたもの。その全てが、性的な――それも少々過激な営みで使われるものだった。</p>
<p>ともすれば、アオイの脳裏には嫌でも浮かぶものがある――自分はこれから、拷問されるのだろう。しかしただの拷問ではない。これから行われるのは、恐らく。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「――こんにちは、起きているみたいですね」<br />
「っ」</p>
<p>自分の真後ろにあった鉄の扉が重々しく開き、アオイは背筋を震わせた。しかし、こつこつと整った足音とともに彼女の目の前に現れたのは、想像とは随分と違う姿形をしていた。</p>
<p>パンツスーツを着た女性。24歳のアオイと同じか、もしかしたらほんの少しだけ若いだろうか。身長は160cmともう少し、女性としてはそこそこ高めだ。しかし体付き自体は控えめであり、背が高い分だけしなやかさが目立つ。黒の長髪を後頭部で一つに結わえているが、その飾り気のなさはおしゃれというより、『邪魔だから』と言った風。</p>
<p>いかがわしい道具を並べた牢獄に姿を現したのは、こんな場所にはまるで似合わない、どちらかと言えばオフィス街にいるような女性だったのだ。</p>
<p>「あなた、何者……」<br />
「呼ぶ名前が欲しければ、フラン、と」</p>
<p>フランと名乗る女性は、冷たい表情でそれだけ告げる。もちろん、アオイが求める返答ではない。もっと、所属だとか、この場所だとか、自分をこうした目的だとか。『答える義理はないということか』――分別のあるアオイが理解するには、その答えだけで十分だった。</p>
<p>「今の状況をお話します。佐伯アオイさん、あなたの所属している製薬会社『ニコ社』が開発している、H-404型能力者強化プログラム。あれが違法であり、《能力者》に多大なリスクを与えることはご存知ですね？　最悪の場合死に至る……いえ、むしろ最高の場合でようやく生き永らえることができるレベルの代物だ」<br />
「…………」</p>
<p>「それだけではない。ニコ社が行っている違法な研究、非人道的な人体実験、その調査に赴いた者の殺害と隠蔽……まあ、全てを説明する必要はないでしょう」</p>
<p>アオイは『返答する必要もない』と思った。だって、全て事実だったから。</p>
<p>そういう時代だ。《<ruby>発火<rt>パイロキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>念力<rt>テレキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>とにかく何かすごいやつ<rt>エターナルフォースブリザード</rt></ruby>》――かつてフィクションとして描かれ、多くの人々が夢見た超能力。技術のめざましい進歩によって、脳を少し弄くるだけでそれらが簡単に手に入るようになった。もっとも、どんな《能力》を扱えるかは、各人の素質による。</p>
<p>しかし、それで訪れたのは栄光ではなく、混沌の時代だった。《能力》を悪用した犯罪、違法な研究の急増。それらを抑えんとする、《能力者》による傭兵会社の乱立。《能力者》同士が街々でぶつかりあい、あまたの血がアスファルトを赤黒く染める。第三者が見れば、何て滑稽なマッチポンプか。</p>
<p>その癖、アオイのような一般人は、護身用の銃器を持つこともできない。あまりにも長い手続きを経てからでないと所有することができず、法を執行する機関の対応が間に合っていないせいで、傭兵たちに優先的に武器が回される始末だ。何のための武器か、政府は本当に理解しているのだろうか。</p>
<p>「問題はここからです。先日、<ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>者<rt>・</rt></ruby>が警察といっしょに、ニコ社の本社に<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>話<rt>・</rt></ruby>を伺いに行ったのですが、既にもぬけの殻だったのですよ。研究機材もまとめて、ごっそりとなくなっていましてね。それで」<br />
「……居場所を教えろ、と」</p>
<p>「話が早くて助かります」</p>
<p>おおよそ予想どおりだと、アオイは思った。彼女は仕事の都合で遠方に出張していたところ、帰った直後に捕縛されたのだ。ここまでの話から彼女が推察するに、フランと呼ばれる人物は政府の人間か、あるいは政府から仕事を貰っている傭兵会社の人間か。</p>
<p>しかし、彼女はそんなささいな質問にも答えるわけにはいかなかった。別に、会社に忠誠を誓っているわけではない。彼女はたまたま、大学にいる時に行っていた就職活動でいくつかの会社に採用されて、『最も給料が良い』という理由で、何の変哲もない営業職としてニコ社に入社しただけだ。違和感なんて、『100人そこらの会社の割に、給料がいいな』と思ったぐらいだ。当初は違法なことをしている会社だなんて知らなかった。知ったとしても、今更辞めるわけにもいかなかったし、そんな会社は世の中に腐るほど存在していた。</p>
<p>もしも、そんな会社に不利益を齎そうものなら、自分がどうなるか分かったものではないのだ。</p>
<p>「あなたのことは、必ず保護するとお約束します」<br />
「信用できると思うかしら？」</p>
<p>「思いません。が、言わないとどうなるか、分かるでしょう」</p>
<p>フランがほんの少しだけ、アオイから目線をそらす。部屋を埋め尽くす無数の<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>を一目するそれは、今のアオイにとって十分な威嚇になった。</p>
<p>「……本気？」<br />
「言っておきますが、相当きついですよ。<ruby>性<rt>・</rt></ruby><ruby>拷<rt>・</rt></ruby><ruby>問<rt>・</rt></ruby>というものは」</p>
<p>アオイも、自分の状況を確認した当初から、想定はしていた。しかしまさか、こんなにも表情がなく色事と無縁そうな女性が、同じ女性である自分のことを性拷問にかける気であるとは信じられなかった。</p>
<p>「最終確認です。返答は」<br />
「『くそ食らえ』よ」</p>
<p>「……分かりました」</p>
<p>そこで、フランはほんの少しだけ表情を変えた。そこに浮かぶのは愉悦でも、羞恥でもない。ほんの少しだけ、嫌そうに顔をしかめたのだった。</p>
<p><ruby>現<rt>・</rt></ruby><ruby>実<rt>・</rt></ruby><ruby>味<rt>・</rt></ruby>――フランの冷たい態度は、アオイの『自分は性拷問を受ける』という現実味を薄くしていた。もしも相手が下卑た笑みを浮かべる中年の男であれば、アオイはもっと危機感を持っていただろう。</p>
<p>よりにもよって相手がフランであったために、アオイはほんのひとときの地獄を味わうことになるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>性拷問が始まる。</p>
<p>フランは、アオイの体に掛けられた毛布を取り払う。至って平凡な、しかし美しい裸体が曝け出されると、アオイは憎々しげな表情のまま頬を赤らめた。フランがいかに女性で、いかに女体に興味なさそうに毛布を丁寧に畳んでいたとしても、恥ずかしく感じるのは当然だ。</p>
<p>「あなたのほうで<ruby>希<rt>・</rt></ruby><ruby>望<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>があるなら、そちらを使います」<br />
「は？」</p>
<p>「痛いのはやめておきましょう。あなたに傷をつけるのは、我々としても本意ではありません。純粋に気持ちよさそうな道具は、視界の中にありますか」<br />
「…………」</p>
<p>アオイは『ふざけた質問をする』と思った。拷問にかける相手に対して『使ってほしい道具はあるか』などと、普通は聞くだろうか。そして拷問にかけられると分かっていて、答える間抜けは果たしているだろうか。</p>
<p>しかし、アオイはその言葉を<ruby>聞<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>。『気持ちよさそうな道具はあるか』――無意識のうちに視線が流れ、その視線の動きにコンマ1秒の<ruby>ゆ<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>ぎ<rt>・</rt></ruby>が発生した瞬間、フランは後ろを振り返るのだ。</p>
<p>「なるほど、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>ですか」<br />
「っ――！？」</p>
<p>フランが手に取ったのは、何の変哲もない電動マッサージ器だった。</p>
<p>アオイは目を見開く――その周囲には、もっと<ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>ご<rt>・</rt></ruby><ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>がたくさんあったはずだ。極太のバイブとか、丸鋸のようなシリコンの回転刃とか。目の前の女はそれらを全て無視して、『最も気持ちよさそうな道具』を的確に手に取ったのだ。何も答えずとも、ほんの少し視線が遅くなっただけで。経験？　洞察力？　――否。アオイは何か、もっと<ruby>得<rt>・</rt></ruby><ruby>体<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>違<rt>・</rt></ruby><ruby>和<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby>を覚えた。</p>
<p>道具が選択されれば、あとはただ犯されるだけだ。フランは電動マッサージ器のスイッチを入れて、アオイの秘所に当てた。</p>
<p>「っぐっ、ぁ――♡　ぁぁぁぁぁあ……！？　な、そんな、優し――！？」</p>
<p>襲い来る衝撃に耐えようと目をぎゅっとつむって備えていたアオイは、その刺激の優しさにかえって不意を突かれ、悲鳴を上げた。</p>
<p>フランは電動マッサージ器を女性器に直接当てるのではなく、自身の人差し指をクッションにしていた。左人差し指の腹をそっとクリトリスの包皮に当て、右手に持つ最弱の出力で振動する電動マッサージ器を指の上から当てる。柔らかな指先が、ささやかな振動をまとってクリトリスを包皮の上から包み込んでくる。</p>
<p>「っ、くっ、ぁ……♡　っふぅっ、ぅ……！　ぁっ、ぁぁ、ぁぁぁ……！」</p>
<p>まるでセックスのハウツーにでも書かれていそうな優しい刺激に、アオイは困惑した。前戯されていない状態の体にはちょうどよすぎる刺激のせいで、秘所があっという間に湿り気を帯びていく。むしろ、あまりに優しすぎる刺激が物足りないぐらいだ。</p>
<p>なぜアオイは、何の変哲もない電動マッサージ器を『最も気持ちよさそうな道具』だと思ったのか？　――それは実に簡単な話だった。ただ、毎日のように家で<ruby>使<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>いて、その気持ちよさを知っていたからだ。</p>
<p>だけど、家で使っている時は、もっと遠慮がなかった。あくまで下着の上からだったけれども、もっとクリトリスを押しつぶすように、ぐりぐりと強く押し当てていた。</p>
<p>アオイがそう思っていたら、フランの動きが変わった。</p>
<p>「ぎ――♡♡　それ、は――！！？　ぁぁぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁあっ！！！」</p>
<p>フランは電動マッサージ器の下にクッションとして敷いていた人差し指を引き抜いて、クリトリスに直接振動を当て始めたのだ。それも、ぐりぐりとクリトリスを押しつぶすように。</p>
<p>それは100%合致した、アオイが1番欲しかった刺激だった。</p>
<p>「どう、して……！？　こんなに、うま――♡♡　ぁぐっ♡♡　ぁ゛っ、ぁっあっぁっあっぁぁぁぁぁあああああああっ！！？」</p>
<p>アオイはますます困惑した。</p>
<p>『テクニシャン』という言葉で片付けるには、フランという女性はあまりに巧すぎた。人の性的嗜好には、好みがある。彼女のように電マを強く押し当てられるのが効く人は確かにいるかもしれないが、一方でソフトタッチのほうが好きな人だっているのだ。それなのにこの女性は、寸分の互いもなく好みを見抜いて、的確に責めてくる。</p>
<p>一体<ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>？　――アオイは一生懸命に頭を働かせるが、思考はどんどん快楽に溶けていく。最も好きな刺激を他者から与えられて、『我慢しろ』と言うほうが無理な話だ。</p>
<p>「ぁ゛ぁぁぁぁあっ、ぁっ、あ゛――っ！！？　っ゛～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡　っぐぅ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ！！？」</p>
<p>アオイは全身を縮こまらせるように筋肉を緊張させ、びく、びくという断続的な震えとともに絶頂した。弱点を的確に、容赦なく突かれたせいで、あっという間だった。</p>
<p>慣れた快感は体になじんで心地よい。しかしそれを齎したのが名前しか知らない女性だという事実が、心の中に汚泥のような不快感をもたらす。</p>
<p>そして性拷問である以上、満足する程度の性感では終わってくれない。</p>
<p>「やめ゛――！！？　私っ、イッで――！！！　ぁ゛ぁぁぁぁあっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁあああ～～～～～～～～～～～～～～～～ッ！！！？」</p>
<p>絶頂してなお、電動マッサージ器を押し当てられ続ける。アオイを満たす快感が明確に、100%を超えた瞬間だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「っぐぁっ♡♡♡　やめっ、っぐぅぅぅ！！？　やめでって言ってるでしょぉぉお゛ーーっ！！？」</p>
<p>目の前の女性があまりに性行為と無縁に感じられたから、与えられる刺激があまりに自分に寄り添ったものだったから。アオイは<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>が性拷問であることを忘れていた。</p>
<p>絶頂直後の苛烈な責めによって、アオイが本気の抵抗を始める。しかし、いかに手足を引っ張り、腰をよじろうとも、全身に巻き付いた拘束具はびくともしない。生まれて初めて快感から逃げることができない苦しさを知って、本当の焦りを覚える。</p>
<p>そうこうしている間にも、フランは電動マッサージ器でクリトリスを押しつぶし、的確に性感を与え続けるのだ。</p>
<p>「おねがいっ、やだっ、やだぁ――！！？　っ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡　んぐっ、ぅあ゛――♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！？」</p>
<p>2度目の絶頂。『強制絶頂』と呼ぶにふさわしい無理やりの快感は、アオイに鋭い苦痛を齎した。</p>
<p>（どうしろって言うのよ、こんなふざけた拷問――！！？　でも、きつい――！！！　でも、話す――！！？　でも、そんな――！！？）</p>
<p>アオイは葛藤する。頭の中が無数の『でも』で埋め尽くされる。</p>
<p>まさかこんな女のやることが、こんなにもつらいものだとは思わなかった。しかし、口を割るという選択もはばかられた。何せ、人体実験や殺人も厭わない会社の情報だ。もし口を割れば、彼女自身がどうなるか分かったものではない。</p>
<p>「ッ――」</p>
<p>しかし、アオイの元に一つのひらめきがやって来る。彼女は口を開いた。</p>
<p>「お、O-03区……っ！！！」</p>
<p>アオイは言葉を絞り出す。しかし、電動マッサージ器の刺激は変化しない。</p>
<p>「っぐ――♡♡♡　工業地帯の、O-03区の、廃倉庫……！！　ほら、あるでしょ――！！？　海沿いにさぁ――！！？　そこ買い取って、研究所、移して……ッ！！！　ぁ゛――！！！」</p>
<p>アオイは必死に言葉を絞り出す。それでも、電動マッサージ器の刺激は一向に変化しない。</p>
<p>「なに、何なのよ――！！？　教えてる、でしょぉ゛――！！？　教えでるからっ、これ、止め――」<br />
「――結構です」</p>
<p>「ぁぎぃぃい――！！！？　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　っぉ゛――♡♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>電動マッサージ器の振動と圧迫感が突然強くなり、アオイは強制的に絶頂させられる。不意に、あまりに強すぎる快感が来たせいで、アオイは背筋をのけ反らせながら潮を吹き出した。</p>
<p>脳が溶ける。視界がちかちかする。体の震えが止まらない。もう全部が全部おかしくなってしまいそうだ。</p>
<p>「なん、で――！！！？　ど、しで――！！？」<br />
「時間の無駄です。<ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>そ<rt>・</rt></ruby>をついて逃れられるとは思わないでください」</p>
<p>「なんで――！！？　倉庫も、ちゃんど、ある――！！！！」<br />
「確かにあの辺りは、不法行為の取り締まりやら、会社同士の抗争やらの影響で、廃棄された施設が数十はありましたね。一つ一つ調査するのは骨が折れそうだ。……しかし、あなたが<ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>そ<rt>・</rt></ruby>をついているなら、その必要もありませんね」</p>
<p>「なんで、そんなこど、分か――！！！？」<br />
「……今この場で、質問しているのは私ですよ？」</p>
<p>「ぁぐ、ぁ゛ぁぁぁああっ！！！？　やだっ、強ぐしな――っ♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！？　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>アオイはもう、目の前の女のことが不可解でならなかった。</p>
<p>先ほどから、あまりにもおかしい。的確に道具を選び抜いたことも、自分の最も気持ちいい愛撫の仕方にすぐさまたどり着いたことも、こうして簡単にうそを見抜かれたことも。しかも、そこには何の迷いもない。うそ発見器や自白剤の類も存在しない。</p>
<p>『経験』や『洞察力』という言葉では収まらない、もっと<ruby>超<rt>・</rt></ruby><ruby>常<rt>・</rt></ruby><ruby>的<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby>――。</p>
<p>「ッ――！！！？」</p>
<p>そしてとうとう、アオイが一つの仮説にたどり着く。</p>
<p>「まさか、あ゛なた――！？」<br />
「答える義理はありません……と言いたいところですが、雑念があると快感の妨げになる。隠すこともできなさそうだ」</p>
<p>フランは、アオイが喘ぎ声を上げている最中でも自身の声がしっかり届くように、彼女の耳元でささやく。しかし、電動マッサージ器による刺激を緩めることは一向にない。</p>
<p>「お察しの通り、私も《能力者》です。他人の心を<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>程<rt>・</rt></ruby><ruby>度<rt>・</rt></ruby>読むことができます」<br />
「心、ぉ゛――！！！？　ぃ゛――♡♡♡♡」</p>
<p>「くれぐれも断っておきたいのは、あなたの頭の中を全て見通せるわけではないということです」</p>
<p>『それが可能なら、拷問なんて要らないでしょう？』――フランはそう言って、アオイの耳にふうと息を吹きかけた。すぼめられた口から吐き出された細い吐息は彼女の鼓膜にまではっきりと届き、全身の感度をまた一段鋭敏にさせた。</p>
<p>《読心》――数ある《能力》の中でも珍しい部類だ。フィクションではありふれた異能だが、不思議と今の世の中では出会う機会に乏しい。</p>
<p>「私が感知し得るのは、あなたの心<span style="font-family: var(--cocoon-default-font);">に宿る色や匂い、音――まあ、</span><ruby style="font-family: var(--cocoon-default-font);">非言語<rt>ノンバーバル</rt></ruby><span style="font-family: var(--cocoon-default-font);">の領域と言いましょうか。だから、ニコ社の所在を直接読み取ることはできませんが、あなたの好みや欺瞞ぐらいなら分かる」</span></p>
<p>「やめ゛、これ、どんどんっ、強く――♡♡♡♡　ぁぐっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」</p>
<p>「地図を見せたり地名を聞かせたりして、心の揺れ幅を見る手もあったのですが。何分、あの会社がどこにいるかは皆目見当もつきません。世界地図から始めていたら時間が掛かりますし、その程度で動じない図太い人間が相手なら無意味です」</p>
<p>そう言いながら、フランは電動マッサージ器の振動をまた一段階強くした。アオイが目を瞑って首をぶんぶんと横に振っても、クリトリスを襲う快感は止められない。</p>
<p>「ぁぎっ、ぃ゛――♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」<br />
「結局、情報を聞き出すなら<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>のが、一番手っ取り早いということです」</p>
<p>もう何度目かも分からない絶頂を迎えて、電動マッサージ器はようやくアオイの秘所から離れた。</p>
<p>拷問が終わったわけではない。アオイは、目の前にいる表情をほとんど変えない冷たい女の、一挙一動に心底怯えるだけだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「拷問が長引くと、あなたの負担になります。私もできれば定時で帰りたい。ですのでここから先は、私の選んだ<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>で進めさせてもらいます」</p>
<p>アオイには、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>が何なのか分からなかった。</p>
<p>小さなバケツから取り出された、白い布。サイズは横長のフェイスタオルと同じぐらいか。彼女がよく見れば、布は薄く、目は粗く、奥が透けて見える。ガーゼ生地のようだ。それがローションのような液体によって、透明な膜に覆われている。見れば見るほど、ローションに浸されたガーゼにしか見えなくて……。</p>
<p>しかしアオイは、自分の目に自信が持てなかった。視界が涙でぐずぐずに歪んでいたし、暴れすぎたせいで眼鏡も少しずれている。仮に正しくガーゼだったとして、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>で何をしようというのか。</p>
<p>しかしフランが自分の手にガーゼを被せてアオイの秘所に触れた瞬間、彼女はその意味を理解した。その何てことのない布きれは、『性拷問』と呼ぶに足る快感を生み出すということに。</p>
<p>「――ぃ゛ぁぁぁぁぁあああああっ！！！！？　ぁぇ゛――！！！！？　え゛――！！！！？　っぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああああああ～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！？」</p>
<p>電動マッサージ器とは明らかに違う。しかし強烈な、思わず喉が裂けてしまいそうなぐらいの悲鳴を上げてしまうほどの快感が、アオイを襲った。</p>
<p>まるで、貴金属のアクセサリーを布で磨くようだった。フランが親指と人差し指に貼られたガーゼの布地を、アオイのクリトリスに擦り付けていく。ガーゼとクリトリスの間から、ぞりぞりという音が聞こえてきそうだ。</p>
<p>もしも乾いたガーゼでクリトリスを磨かれようものなら、アオイは摩擦による痛みでのたうち回っていたことだろう。しかし、ローションをたっぷり染み込ませたガーゼは極めて滑りが良く、それでもなお粘液の奥にざらざらとした生地の目の粗さをしっかり感じ取ることができる。痛みはなく、しかし針で刺されるような鋭い快感がやってくる。</p>
<p>「やめっ、やめ゛ぇぇぇぇぇぇぇえええええっ！！！！？　削れ――っ！！！！？　ぎづいっ、これっ、きづいぃぃぃぃぃぃぃいいいいっ！！！！？　あそごが削れぢゃぅぁぁぁぁあああああああああああああああっ！！！！！」</p>
<p>アオイは全身を拘束されたまま、首を振り乱して暴れ始めた。何度も絶頂した直後の<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は、あまりに効きすぎた。</p>
<p>電動マッサージ器を使った時と同じように、ローションガーゼを使った拷問も、フランは熟達していた。生地をぴんと伸ばした状態で親指と人差し指に張り、クリトリスをつまむようにずるずると摩擦し続ける。</p>
<p>圧力はゼリーを指でつぶしてしまわないぎりぎりの強さのまま一定に、速度は秒速2往復と少し――それはフランが《読心》によって導き出した、アオイにとって最も気持ちいい責め方だった。</p>
<p>「やめてほしければ、何を言えばいいのか分かっていますよね？」<br />
「――ぁ゛ぁぁぁぁぁあああっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ！！！！？　ぃぎっ、ぁ゛――！！！！？　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーーーっ！！！！？」</p>
<p>目の前の女性に対する恐怖と、違法な所業を数々行う会社に対する恐怖。二つの恐怖を天秤にかけても、アオイはただ首を振り乱して叫ぶしかなかった。どちらも地獄だ。</p>
<p>彼女は少し頭が良いことを除けば、ごく普通の女性だった。性知識は人並みにあるし、マスターベーションも経験していれば、男性と交わったこともある。もっとも、その時は相手が欲望のままに腰を振るだけで、あまり気持ちよくはなかったが。そんな今までの常識が覆るような苦痛だった――性感というのは、こんなにもつらいものだったのか？</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ローションで濡れたガーゼでクリトリスを磨く――それは確かに、今までの全ての性経験をあざ笑うような快感を生んだ。しかし、不思議なことがあった。</p>
<p>こんなにも強烈な快感を受けてなお、絶頂できないのだ。</p>
<p>「ぃぎっ、ぃ゛、ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいっ！！！！？　ぃげっ！！！？　ぃげ、な――！！！！？　なっ、な゛――！！！！？　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ！！！！？」</p>
<p>「そのうちイケますよ。そのうちね」<br />
「やだっ、やめ゛っ！！！！？　今っ、いま゛、いっで――！！！！？　ぇぎっ、ぃ゛ぃぃぃぃぃいいいいっ！！！！？　やだっ、やだやだやだやだぁぁぁぁぁぁぁああああっ！！！！？」</p>
<p>アオイは、これだけの快感を受けてなお絶頂できないことに、妙な焦燥感を覚えた――理由は分からない。だけど早くイカないと、<ruby>大<rt>・</rt></ruby><ruby>変<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>になる。</p>
<p>快感が体に<ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>じ<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>。</p>
<p>アオイが振り返ってみると、先ほどの電動マッサージ器による快感は、実にイキやすい快感だった。振動と圧迫感、それは日々のマスターベーションで慣れ親しんだ快感だったから、心も体もすぐに受け入れることができた。だからこそ、あっという間に何度も絶頂した。</p>
<p>しかし今は、ただひたすらの摩擦――心か、体か、あるいはその両方が、それを『快感である』と認識できない。故に絶頂できず、とうに許容量を超えてなお、快感を溜め込んでしまう。それは、空気を吐き出すことを忘れた風船のよう。</p>
<p>そしてあまりにも<ruby>空気<rt>かいかん</rt></ruby>を溜め込みすぎてしまった<ruby>風船<rt>からだ</rt></ruby>は、当然の現象を起こす。</p>
<p>「やだっ、壊れ――ッ！！！！？　ぁ゛、ぁぁぁぁぁぁあっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁあああっ！！！！？　ッッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>アオイの中で破裂した快感は、あまりにも大きな絶頂反応を引き起こした。崖から突き落とされたような浮遊感によって体が大きく跳ね、その後がくがくと激しく痙攣する。彼女の体が厳重に拘束されていなかったら、とうに椅子から転げ落ちていたことだろう。</p>
<p>白目を向きかねないほど眼球が裏返り、涙は出っぱなし。年頃の女性としての矜持も忘れて、よだれと鼻水を垂れ流すのみ。もしも彼女を思う男性が見れば、百年の恋も冷めていたかもしれない。</p>
<p>そして激しい絶頂を迎えてなお、ローションガーゼによる責め苦は終わらないのだ。</p>
<p>「ぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッ！！！！？　ぁぎっ、ぃ゛――♡♡♡♡♡　もうやだぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ！！！！！　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　や゛、ぁ゛ぁぁぁぁぁあああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！？」</p>
<p>ローションをまとったガーゼがほんの1mm動くだけで、自分の体が何mも飛び上がってしまいそうな快感がやってくる。そして摩擦によって一度絶頂してしまったせいで、もう快感を体に溜め込むこともできず連続的に絶頂してしまう。心も、体も、『摩擦』を完全に快感と認識していた。</p>
<p>「喋るぅぅぅううっ！！！！？　全部っ、ぜんぶしゃべるがらぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡　だがらこれやめ――ッ！！！！？　ぃぎっ、っぃ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>「あなたが話し終わったら、止めますよ」<br />
「ぁえ゛ッ、ぇ゛ぁぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡　わだしっ、指示っ、され――ッ♡♡♡♡♡　出張しでて、こっぢに戻っだらっ、行げっで――♡♡♡♡♡　ぎッ♡♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぃ゛いぃぃ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>アオイは、絶頂を繰り返しながら、必死に叫んだ。もう自分でも、何を言っているのか分からないぐらいだった。その間にも、アオイは2度、3度、4度、5度と絶頂する。</p>
<p>アオイは全てを忘れて、ただ頭の中にあるものを全て絞り出すのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「――うそは付いていないみたいですね」<br />
「ぎ――♡♡♡♡♡　ひッ♡♡♡♡♡　ひ、ひ……ひ……♡♡♡♡♡」</p>
<p>本人にとっては永遠にも感じられる時間、実際にはほんの数十秒しかない時間叫び続けて、鋭い快感はようやく止まるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランはスーツのポケットから、手のひら程度の大きさの端末を取り出した。</p>
<p>「……終わりました。報告を」<br />
「ぁぐ、ぉ゛――♡♡♡♡♡　ぉ、ぉ゛、ぉ――♡♡♡♡♡」</p>
<p>フランが誰にどんな報告をしているとか、アオイにとっては、もうどうでもよかった。ただ、一刻も早くこの場を離れたかった。家にある電動マッサージ器とか、医療用のガーゼとか、いろいろなものをごみ箱に放り込んで、二度と視界に入らないようにしたかった。今日の出来事は、完全に彼女にとってトラウマになっていた。こころの中はもうまっくろだ。</p>
<p>だから、フランが端末をスーツのポケットにしまって自分のほうを向くだけで、アオイはもう体の芯から震え上がるぐらい恐かった。</p>
<p>「佐伯アオイさん。あなたは、ニコ社に忠誠を誓っているわけではありませんよね」</p>
<p>アオイは、そう問うフランの表情に、ほんの少しだけの違和感を覚えた。先ほどまでの、あまりに冷たい無表情ではない。『心底うんざりした』というようでありながら、どこか優しい表情。</p>
<p>しかしその表情を読み取るには、アオイはもう心底疲れていたし、フランのことが恐かった。その質問に応える気力も湧かない。</p>
<p>「まっとうな会社に転職することをお勧めします。あなたの経歴を見るに、引く手はあまたでしょう」<br />
「ひ、へ――」</p>
<p>「これは、せめてもの<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>礼<rt>・</rt></ruby>と<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>詫<rt>・</rt></ruby><ruby>び<rt>・</rt></ruby>です」<br />
「ヒ――っ！！！？」</p>
<p>フランは、アオイの開かれたままの脚の付け根に、自分の顔を近づけていく。</p>
<p>その瞬間、アオイは絶望に悲鳴を上げそうになった――あんなに心が折れるまでひどいことをして、所属する組織を裏切ることになって、それでもなお犯そうというの！？</p>
<p>しかしフランがアオイのクリトリスに口を付けた瞬間、その絶望を全て忘れ去るような快感がやってきたのだ。</p>
<p>「――ふぁぉぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡♡　ぉほっ、ぉ――！！！！？」</p>
<p>あまりに優しく、柔らかく、甘い口淫。唾液をたっぷり乗せた舌は滑らかで、舌の力を極限まで抜いたその感触は、蜂蜜のように柔らかい。</p>
<p>不意を突くこともなく、翻弄することもなく。飴玉をなめるような、あるいは傷口をなめるような。先ほどのように無理やり絶頂させられる鋭い快感とは、まるで違っていた。</p>
<p>「ふぁ、ぉっ♡♡♡♡♡　ぉ゛、ぉぉぉぉぉぉおっ♡♡♡♡♡　ぁ、あったかひ――♡♡♡♡♡　ひゃっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁああああっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>フランの両手が、アオイの背中と椅子の間に潜り込んでくる。</p>
<p>少し控えめの抱擁。スーツの生地は少し硬いが、背中に当たる手のひらは柔らかく温かい。心地いい。どこか、心がほっとする</p>
<p>「ぉほっ、ぉぉぉぉぉぉおおおおおっ♡♡♡♡♡　ぉぉぉお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ひゃっ♡♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>それは今までとは比較にならないぐらい、優しい絶頂だった。崖底にたたき落とされるのではなく、天に昇るような心地。全身の筋肉ががちがちに硬直するのではなく、むしろ弛緩していく。</p>
<p>同じ性的快感が、こうまで変わるのか。</p>
<p>「ひぇひっ、ひっ、ひぃ……♡♡♡♡♡」</p>
<p>「もう1回、されますか？」<br />
「はひっ、ひ……♡♡♡♡♡　あと、1回、だけぇ……♡♡♡♡♡　ひゃはっ、ぁ゛♡♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉおおっ、ぉぉぉぉぉおおおおおおお～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>アオイのまっくろだった心の色が上書きされていく。ほんの少しだけ灰の混じった、薄紅色。</p>
<p>『終わり良ければすべて良し』という言葉で済ませるには、今日は本当に散々な1日だった。こんな経験はもう二度とごめんだ。だけどまあ、そんな日もあるだろう。そのうちいつか、ネタにして笑える日が来る。ああ、家に帰ったら、ガーゼを使ってオナニーをしてみようかな。自分でやったら、どんなふうになるんだろう？</p>
<p>「ぉ゛ぉぉぉぉおおおおお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ほぉぉお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　すごっ、きもちひぃぃ～～～～……♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>アオイは絶頂を繰り返しながらそんなことを思い、やがて夢見心地のまま眠りに付くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>アオイの意識の隅で、女性2人の話し声が聞こえた気がした。</p>
<p>「あれ？　フランせんぱい、まだヤッてたんですか？」<br />
「いや、今回はすぐに終わった。ただのアフターケアだよ」</p>
<p>「はぁー、相変わらず真面目ですね。それで、ニコ社のこと、何か収穫はあったんですかぁ？」<br />
「君が外のことに興味を持つのは珍しいね」<br />
「最近、どこのテレビもニコ社のニュースばっかりでうんざりなんですよー。この前も特番のせいでドラマの予約がずれたし！」</p>
<p>「……そう。収穫は、まあ、ないに等しいね」<br />
「え？　そうなんですか？　さっき報告があったって」</p>
<p>「彼女は末端の構成員だ、たぶん切り捨てられている。教えてもらった場所に行っても、大したものはないと思うよ」<br />
「それじゃ、拷問するだけ無駄だったんじゃ」</p>
<p>「仕事は仕事だ。依頼があるなら、私たちはどんな相手でも拷問しなければならない。老若男女、経歴、持っている情報、全部、どうであろうとね」<br />
「せんぱい。ほんっと、くそ真面目」</p>
<p>「何にせよ、あとは<ruby>表<rt>・</rt></ruby>の人間に任せよう」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>《<ruby>発火<rt>パイロキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>念力<rt>テレキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>とにかく何かすごいやつ<rt>エターナルフォースブリザード</rt></ruby>》――。</p>
<p>さまざまな《能力》に目覚め、敵と戦い、血を流し、成長し。あまたの《能力者》たちが格好良く描かれていく《<ruby>異能バトルもの<rt>せかい</rt></ruby>》。</p>
<p>これは、そんな華々しい表舞台とは無縁な、裏方の物語。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
					<wfw:commentRss>https://omonove.com/12799/feed/</wfw:commentRss>
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			</item>
		<item>
		<title>【第2話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
		<link>https://omonove.com/12801/</link>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:58:56 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】一人に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
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					<description><![CDATA[#くすぐり #声我慢 #超音波]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第2話 自声愛撫 -ジメツ-</h3>
<p style="text-align: right;">#くすぐり #声我慢 #超音波</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この国において、傭兵会社の数は大小合わせて1,000を超えると言われている。</p>
<p>所属する人間の8割超が《能力》持ちであることを除けば、その実態は一般企業とそう変わらない部分も多い。従業員が10名を下回る中小企業も多く、全員が<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>で華々しく戦えるわけでもない。総務、経理、その他もろもろ――裏方に回る人間がいなければ、いかなる会社も回らない。</p>
<p><ruby>灰咲<rt>はいさき</rt></ruby>フランは、それで構わないと思っていた。<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>で目立ちたい人間は、この業界には腐るほどいる。血を流す仕事はそういった物好きたちに任せてしまえば、自分がわざわざ出張らずとも済むのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……<ruby>研<rt>・</rt></ruby><ruby>修<rt>・</rt></ruby>？」</p>
<p>そんなフランは今、あまりに露骨なしかめ面を浮かべていた。</p>
<p>パンツスーツを着た、20歳と少しの女性。身長は160cmともう少し、女性としてはそこそこ高めか。しかし体付き自体は控えめであり、背が高い分だけしなやかさが目立つ。黒の長髪を後頭部で一つに結わえているが、その飾り気のなさはおしゃれというより、『邪魔だから』と言った風。</p>
<p>見るからに堅物そうなフランの目の前で、椅子に堂々と座っているのは、70歳を超えた老婆だった。</p>
<p>「二度言わなきゃ分かんないかい？　戦闘部門で1人雇った、<ruby>使<rt>・</rt></ruby><ruby>え<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>ようにしといてくれ」</p>
<p>「どうして私が。私は戦闘部門じゃない」<br />
「知るかい、人手不足だよ。暇してんのがアンタしかいない」</p>
<p>しゃがれ声で快活に喋る老婆は、フランの所属する傭兵会社の社長その人。</p>
<p>社長の名前は、会社に所属する人間ですら誰も知らない。ただ、彼女は外部の人間から<ruby>Vi<rt>ヴィー</rt></ruby>と呼ばれていた。長髪は一本残らず白髪で、顔も隅から隅まで皺だらけ。しかし、レザーのジャケットとパンツをまとって社長椅子に座るその姿は、威風堂々。背はフランよりもさらに高く、体は引き締まり、背筋の丸まることを知らない女性だ。</p>
<p>そんなViとフランが口論するのは、もはや日常茶飯事だった。</p>
<p>「事務仕事が山のようにある。私も暇じゃない」<br />
「あちこちから仕事ぶんどっといてよく言うよ。元はアンタのじゃないんだ、さっさと返してやんな」</p>
<p>「なら<ruby>向<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby>の仕事を寄越してよ。あなたが<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>部<rt>・</rt></ruby><ruby>門<rt>・</rt></ruby>を立ち上げるって言ったんでしょ」<br />
「いい年して駄々こねてんじゃないよ！　拷問の仕事なんてそうぽんぽん来るものかい」</p>
<p>オフィスのど真ん中で口論する2人。事務仕事に追われる他の数名の社員たちは、苦笑いを浮かべながら見守ることしかできない。</p>
<p>――まあ、いつも通りだ。<ruby>入<rt>・</rt></ruby><ruby>社<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby>、2人の口げんかはいつも見てきた。それに何だかんだ言って、最後に折れるのはいつも決まっている。</p>
<p>「……手当、ちゃんと出してよね」<br />
「どうせ使わないくせによく言うさね。金なんてぱーっと使えばいいのにさ」</p>
<p>「会社としてのけじめだよ！　それに、あなたは金遣い荒すぎ！　いい年してホストなんかに入り浸って、何考えてるんだよ！」<br />
「あーあー、説教はいらないよ。年寄りの余生の楽しみに水差すんじゃない」</p>
<p>そこでようやく、口論は終わる。結局、フランが折れるのはいつも通りだった。</p>
<p>「アンタもいい加減、<ruby>一<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby><ruby>前<rt>・</rt></ruby>にならなきゃねぇ」<br />
「……クソババアめ」</p>
<p>最後、少し柔らかな口調で呟いたViの言葉に、フランはしかめ面を深くするのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この会社が所有する屋内訓練場は狭い。バスケットボールのハーフコートぐらいしか大きさがないせいで、遠距離戦を想定するには難儀する。</p>
<p>しかし、強度を高めるために壁や床、天井を特殊な線維強化材で覆い、近隣への迷惑を防ぐためにさらに外から防振材で覆い、その他にもさまざまな処置と定期的なメンテナンスを――それらのコストを考えると、小さな傭兵会社にはこの程度の訓練場が限界だった。</p>
<p>「おはよう。待たせて悪かった」</p>
<p>そんな小さな訓練場の中央にて。直立してフランのことを待っていたのは、彼女より随分と背が低い、まだ少女とも呼べる女性だった。フランがあらかじめ資料に目を通したところによると――。</p>
<p>「名前は、ウルツアさん、で間違いなかったね。書類に苗字がないようだけど」<br />
「…………」</p>
<p>「……まあいい」</p>
<p>それ以上は追求しない。業界柄もあるが、あの社長の連れてくる人間は、何かと<ruby>訳<rt>・</rt></ruby><ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby>が多い。</p>
<p>それよりもフランが目に付いたのは、ウルツアの服装だった。フラン自身、ファッションにあまり詳しくはないが、確かパンクファッションと呼んだか。ゆったりとした黒のシャツはまだいい。スカートが少々短すぎるが、下にスパッツか何かを履いているのだろうか。黒の短髪を一部赤く染めている理由は、フランには理解できない。</p>
<p>ここは確かに私服勤務だけど。シブヤか、ハラジュクか、いつからこの会社はそういう場所になったんだ？　――フランはその言葉を呑み込んだ。</p>
<p>「灰咲フランだ。今日から、私が君の指導係になる。よろしく」<br />
「……<ruby>テ<rt>・</rt></ruby><ruby>メ<rt>・</rt></ruby><ruby>ェ<rt>・</rt></ruby>なんかが、<ruby>オ<rt>・</rt></ruby><ruby>レ<rt>・</rt></ruby>の指導を？」</p>
<p>フランはものすごく顔をしかめたくなった。</p>
<p>――ここは傭兵会社だ。荒くれ者の多い傭兵とは言っても、<ruby>会<rt>・</rt></ruby><ruby>社<rt>・</rt></ruby>なのだから、それなりに礼儀は守ってほしい。初対面の相手を『テメェなんか』扱いしたり、一人称が『オレ』だったり、もうめちゃくちゃだ。ドスを利かせた低い声だけど、地声は恐らく高いほうだし、よく見れば顔立ちも童顔だが整っている。普通にしていればきっとかわいかったろうに。</p>
<p>ああだけど、自分もついさっき、社長を『クソババア』呼ばわりしたか――フランはこの件について、指導を諦めた。</p>
<p>「軽く<ruby>稽<rt>・</rt></ruby><ruby>古<rt>・</rt></ruby>をする。武器は持っているみたいだね」<br />
「…………」</p>
<p>「携行してはいなさそうだけど、うちは原則として銃器の類は禁止だからそのつもりで。あれは弾を1発撃つだけで、いろいろと面倒な書類を提出しなければならない。社長は例外」</p>
<p>フランは、うんともすんとも言わないウルツアの右手を確認した。</p>
<p>よほど大きな傭兵会社で、かつ統率性やコストを重視しない限り、武器は<ruby>特注<rt>オーダーメイド</rt></ruby>だ。各人にはそれぞれ異なる《能力》があるため、そもそも兵隊のように均質化するのは難しい。故に《能力者》においては、各人の特性を活かす方針が主流だ。</p>
<p>その中でもウルツアが小さな手に持つ武器は、ずいぶんと大きな黒色の<ruby>長物<rt>グレイブ</rt></ruby>だった。身長よりも長い柄の先に、指先から肘ぐらいまでの長さがありそうな幅広の刃が付いている。細い体で振り回すのは簡単ではないだろう。</p>
<p>しかし、柄は手に持つ部分だけ極端に色あせており、刃は研ぎすぎて形が変わったのだろうか、所々が歪だ。その武器は決して新品ではなく、十分に使い込まれていることが分かる。</p>
<p>加えて、その落ち着きある佇まいを見る限り――なるほど、素人ではなさそうだ――フランは確信した。</p>
<p>「……テメェ」<br />
「何か」</p>
<p>「何のつもりだ？　<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby>は」<br />
「これかい」</p>
<p>ウルツアの目線は、フランの右手に持たれた木刀に向いていた。赤カシで作られた、剣道か合気道かをやっていれば誰でも手に持ったことがあるだろう、何の変哲もない木刀だ。当然、金属の刃が付いた武器を相手取るにふさわしいものではない。</p>
<p>フランはジャケットを脱ぎながら応える。</p>
<p>「あいにく、武器を長らく使っていないんだ。今日は急な話だったから、メンテナンスが間に合わない」<br />
「……ナメやがって」</p>
<p>フランには、わざわざ《能力》に頼る必要もないぐらい、ウルツアが苛ついていることが分かった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランはそれを『稽古』と呼んだ。しかしウルツアがまとう怒気と殺気を見て、誰がそう形容できるだろうか。もはや『殺し合い』に片足を突っ込んだ戦闘が始まる。</p>
<p>最初に動いたのは当然、<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>気<rt>・</rt></ruby>のありすぎるウルツアのほうだった。</p>
<p>「――シッ！」</p>
<p>的が小さくも致命傷になりにくい右肩目がけて、<ruby>長物<rt>グレイブ</rt></ruby>を一突き。空舞う木の葉も正確に射抜くその一撃は、素人には反応することすら難しい。</p>
<p>フランは左に半歩ずれるだけで、それを避ける。</p>
<p>「っ」<br />
「様子見は要らない」　</p>
<p>最低限の回避行動にウルツアが驚くのは一瞬。次の瞬間、小さな訓練場を、巨大な刃が縦横無尽に駆け巡った。</p>
<p>「――ッ、らぁぁぁぁッ！！！」</p>
<p>左薙ぎ、切り返して逆袈裟斬り、連続突き、体ごと回転させて逆風。</p>
<p>刃の擦れる床から、火花が散る。もしも部屋が特殊な素材でコーティングされていなかったら、彼女の通り道は刃に切り刻まれてぼろぼろになっていただろう。まるで暴風雨の中にでも放り込まれるような、荒々しい攻撃だ。</p>
<p>しかし、フランは傷一つ負うこともなく、歩くように立ち位置を変えるだけでその全てを避ける。そのまま表情を変えることなく、無造作に右腕を突き出した。</p>
<p>「っぐ――！？」</p>
<p>一直線に伸びる木刀の切っ先がウルツアの腹部にめり込み、彼女は動きを止めた。</p>
<p>「っ……」</p>
<p>「大丈夫かい」<br />
「……問題ねぇ」</p>
<p>普通であれば、痛みにうずくまっていただろう。しかしウルツアは倒れることなく、武器を構えたまま、少女には不釣り合いな殺気をフランに向けた。</p>
<p>「<ruby>痛<rt>・</rt></ruby><ruby>み<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby><ruby>じ<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>から？」<br />
「知ってんなら、聞くなよ」</p>
<p>同じ会社の人間だ、フランはあらかじめ資料に目を通していた。ウルツアもまた《能力者》の1人。《<ruby>痛覚遮断<rt>アドレナリン</rt></ruby>》――彼女は痛みを感じなくできる。</p>
<p>脳内物質に由来した名前だが、その強度はちゃちなものではない。本来感じるべき痛覚をほぼ完全にシャットアウトできる上に、一部の感覚を失ってなお体を正常に動かすことができる。肉体の限界や摂理を超えたそれは、まさに異能だ。たとえ幾十幾百の傷を受けようが、痛みなく、恐れなく、狂戦士のように戦い続ける姿は、戦場ではさぞ恐ろしいだろう。</p>
<p>「――ぉォォォォオオオおッ！！！」</p>
<p>再開の合図もなく、ウルツアが<ruby>長物<rt>グレイブ</rt></ruby>を一閃する。痛みを感じないからこそできる、肉体の負荷を無視した、最速・最重の振り下ろし。</p>
<p>それをフランは、木刀でもって横から殴りつけた。刃の側面に木刀を当てられたウルツアの攻撃は、横からの衝撃によってわずかに角度を変える。その結果、刃はあっけなく空を切り、銃弾すら弾く床に深い傷をつけた。</p>
<p>武器を握るウルツアの両腕にしびれが残るほんの一瞬の間に、木刀が彼女の細い首に添えられていた。</p>
<p>「痛みがなくても、首をはねられれば死ぬよ」<br />
「……え？」</p>
<p>「《能力》を過信するな」</p>
<p>ウルツアの中で、感情が遅れてやってくる。</p>
<p>殺すつもりで放った一撃があっけなくかわされ、いつの間にか相手からの決定的な一手。痛みはなく、しかし《能力》によるものではない。寸止め――手加減してなお圧倒できる実力差があるからこそ、できる芸当だ。ウルツアが思わず威圧することを忘れて、見た目相応の高い声を出すほどだった。</p>
<p>ぽっかりと空白になった表情に、少しずつどす黒い感情がにじみ出てくる。</p>
<p>「雇われた理由は分かった。君は確かに優秀だ。身体能力は高いし、扱いが難しいであろうその武器も、よく使えている」<br />
「ッ……！」</p>
<p>「だけど、それは<ruby>入<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>口<rt>・</rt></ruby>だよ」</p>
<p>『今日はおしまい。残りは自主鍛錬』――フランはそう言って、訓練場を後にする。</p>
<p>ウルツアはこぶしを強く握りしめたまま、その場に立ち尽くしていた。怒り、悔恨、憎悪、殺意――ごちゃごちゃになった<ruby>感<rt>・</rt></ruby><ruby>情<rt>・</rt></ruby>が、フランに向けられ続ける。</p>
<p>「……だから、嫌だったんだ」</p>
<p>フランはウルツアの見えないところで、ひっそりと顔をしかめるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>一台の自販機と一基のベンチが置かれただけの、4畳半の狭く簡素な休憩室にて。</p>
<p>「フランせんぱぁい♡」<br />
「……ルグか」</p>
<p>「何飲んでるんですかぁ？　私にも一口ちょうだ――うげまっず、何このジュース！？」<br />
「新発売のグアバ焼き芋ジュースだってさ。君が勝手に、私の飲み物をぶんどるのが悪い」</p>
<p>ベンチに座ったフランに人懐っこく抱き付いてきたのは、<ruby>杠葉<rt>ゆずりは</rt></ruby>ルグという女性だった。</p>
<p>輪郭も、目も、鼻も丸いその人相は、『タヌキ顔』と呼ばれることもある。158cmという身長はフランよりいくらか低いが、体付きはフランよりもずっと女性的だ。控えめな色合いのワンピースは、『私は清楚です』と言わんばかり。しかし甘ったるい声音と雰囲気から発せられる色気は、到底隠しきれるものではない。</p>
<p>「グアバ焼き芋、めかぶソーダ、魚介だしナタデココ、いちごタバスコ……うちの自販機って何でこんな変なのばっかりなんですか？」</p>
<p>「設置費用が1番安かったんだってさ。私はもう慣れた」<br />
「せんぱい、いつか味覚死んじゃいますよ？」</p>
<p>ルグはうんうんとうなりながら自販機を上から下まで丁寧に見た後、結局何も買わずフランの隣に座った。</p>
<p>「……せんぱい、何だか疲れてる？　何かしてたんですか？」<br />
「訓練場で新人の研修」</p>
<p>「あら、人嫌いのせんぱいが珍しい。で、ぼこぼこにした、と」<br />
「決め付けないでくれる？　まるで私が乱暴者みたいじゃないか」</p>
<p>「違うんですか？　あ、乱暴者のところじゃないですよ」<br />
「…………」</p>
<p>断じて物理的にけがを負わせたわけではないけれど、こと比喩的な意味においては――フランは何も否定できなかった。</p>
<p>「仕方ないですよ。だってせんぱい、めちゃくちゃ強いじゃないですか。せんぱいに勝てるのなんて、この会社じゃ、あのおばあちゃんぐらいじゃないです？」</p>
<p>「社長のことを『おばあちゃん』呼ばわりするのはやめな」<br />
「せんぱいだって『クソババア』呼ばわりのくせに」</p>
<p>みんなそういう認識なのだろうか――フランはいよいよもって、生意気だったあの新人を思い出しながら、他人のことを言えないと反省した。</p>
<p>「だけどそんなに強いなら、せんぱいもあんな仕事してないで、もっと<ruby>表<rt>・</rt></ruby>に出て格好良く活躍してもいいかもしれませんねー」<br />
「……私は、いいよ」</p>
<p>「ふーん」</p>
<p>《読心》――フランの能力は、自分の意思に関わらず常に発動している。ルグが含みのある相づちを打った時、フランはひどい居心地の悪さを感じた。</p>
<p>「ま、いいですけどね。それなら私も、せんぱいといっしょにいられますし♡」</p>
<p>しかし、ルグはそれ以上踏み込んでこない。フランは、ルグが抱き付いてくることを少しうっとうしく感じながら、心のどこかでほっとした。</p>
<p>「ところで、せんぱい。<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby>ですよ。準備は私がやっておきましたので♡」<br />
「<ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby>あるじゃないか。あのクソババア……」</p>
<p>結局、新人研修は半ば無理やり押し付けられたものだと分かって、フランは恨み言を吐くのだった。</p>
<p>性拷問師たちが表舞台に出ることはなく、裏方の仕事は続いていく――。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>傭兵の<ruby>音無<rt>おとなし</rt></ruby>カクレは、『今回の敵は大きすぎる』と思った。</p>
<p>176cm、細めの骨格、しかし大きな胸と尻。その長身と恵まれたプロポーションのせいで、よく『モデルになればいいのに』なんて言われることもあった。だけど彼女は、人前に出るのが苦手な自分には無縁な仕事だと思った。他人と目を合わせるのが苦手で、ショートの黒髪を前髪だけ鼻元まで伸ばさなければ落ち着かなくて仕方ないというのに。</p>
<p>結局何の因果か、モデルよりもっと無縁だと思っていた傭兵として仕事することになったが。</p>
<p>（……まだ、<ruby>動<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>わけにはいかない、かな。もう少し、状況が分かってから）</p>
<p>カクレは無言のまま、手足に付けられた拘束具を引っ張る。硬いベッドの上に仰向けに寝転がらされ、上下に伸ばされた手足には革と金属の拘束具。女性の腕力で抜け出すのは到底不可能だが、《能力》を使えば、あるいは抜け出せるかもしれない。</p>
<p>しかし、仮に今この拘束から逃げ出せたとして、この施設、あるいは想定されるであろう追っ手から逃げることは可能だろうか。</p>
<p>彼女がいるのは、10畳～12畳ほどのコンクリートがむき出しになった部屋だった。そして部屋の隅々を、無数の<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>が埋め尽くしている。卵型のローター、先端に無数のいぼが付いた電動マッサージ器、挿れたら膣が裂けてしまいそうなぐらい大きな男性器の張り型――それらを見るだけで、嫌悪感に寒気立つ心地がした。</p>
<p>（はぁぁ～、やっぱり私には向いてないよ、この仕事……）</p>
<p>金さえ受け取れば、どんな仕事でも請け負うのが傭兵だ。しかし所属する傭兵会社によっては、仕事を選ぶこともある。『報酬が一定の金額を超えていなければ請け負わない』だとか、『明らかに反社会的だと判断できる仕事は請け負わない』だとか。</p>
<p>彼女については運が悪いことに、報酬さえ良ければどんな仕事でも請け負う傭兵会社に所属していたせいで、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>になってしまった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「おはようございます」<br />
「おっはようございまぁす♡」</p>
<p>そんなカクレを見下ろしていたのは、2人の女性だった。</p>
<p>1人はスーツを着た、オフィス街にでもいそうな女性。彼女は自身をフランと名乗った。そしてもう1人はワンピースを着た、夜の町にでもいそうな女性。彼女は自身をルグと名乗った。対照的な2人に唯一共通しているのは、こんな牢獄のような部屋には似つかわしくない女性だということぐらいだ。</p>
<p>フランと名乗る女性が前に出る。</p>
<p>「フェルム傭兵会社の《能力者》、音無カクレさんですね」<br />
「…………」</p>
<p>「雇われのあなたには申し訳ないのですが、私たちも、一つでも多くの情報を欲している状況です。あなたたちの雇い主である、ニコ社の、ね」</p>
<p>やっぱり――カクレの予想は、何から何まで正しかった。</p>
<p>最近激化しつつある、政府とニコ社の争い。そこで自分の所属する会社がニコ社に雇われ、いくつかの施設の襲撃を請け負った。しかしそこで別の傭兵会社と衝突し、捕縛された。となれば、目の前の女性たちは政府の人間、あるいは政府に雇われたどこかの会社の人間だ。やっぱり、相手が大きすぎる。</p>
<p>それでも、彼女にとって相手の要求をのむ選択肢はなかった。傭兵が顧客のことをべらべらと喋るようでは、あっという間に信用を失ってしまうだろう。</p>
<p>「……話すわけには、いかない」</p>
<p>「話していただけないようであれば、どうなるか分かるでしょう？」<br />
「っ……」</p>
<p>「言っておきますが、性拷問というのは、あなたが思っている以上に相当きついですよ。ですので、早めにお話いただきたいのですが」</p>
<p>ここまではほぼ100%、カクレの予想通りだった。唯一、こんな場所に似つかわしくない女性たちが相手であることを除けば。</p>
<p>曲がりなりにも傭兵としてやってきたカクレは、嫌悪感こそ抱けど冷静だ。今彼女が状況を把握しているのは、部屋の中のみ。部屋の外に出れば、何人もの見張りが彼女のことを待ち受けているかもしれない。ここから脱出するには、機を見る必要があった。</p>
<p>しかし『性拷問にかける』という予告が、カクレを限界にさせた。彼女は一切の辱めを受けることを嫌い、早々に行動に移るのだ。</p>
<p>「――<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby>、<ruby>出<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>！！」</p>
<p>今まで小さな声しか出さなかった彼女にしては、犬の鳴き声のように大きく、少し低めの美しいハスキーボイス。もしも歌手にでもなれば、それなりに売れたかもしれない。</p>
<p>しかしそれは、特殊な<ruby>力<rt>・</rt></ruby>のこもった声。フランとルグは、その声を無防備のままその身に受け――。</p>
<p>そして、何も起こらなかった。</p>
<p>「……え？」</p>
<p>端から見れば、カクレが呆けた声を上げた理由など誰も分からなかっただろう。ただ、彼女が吼え、他の2人がその声を聞いただけなのだから。</p>
<p>しかしその状況の異常さを、この部屋にいる3人が正しく把握していた。フランは何かを確認するように、手に持っていた紙束に視線を落とすのだ。</p>
<p>「《<ruby>超音波<rt>ボイス</rt></ruby>》でしたか。声に<ruby>力<rt>・</rt></ruby>を乗せて、衝撃波を発生させる」<br />
「私の《能力》を、知って……っ」</p>
<p>「普段はある程度の指向性を持たせているみたいですが、その気になれば全方位を無差別に破壊することもできるとか。その殲滅力はあらゆる《能力》の中でも随一。他の素養次第では、国がせっせと作っている『要警戒能力者リスト』入り……いわゆる《特級》も視野に入るでしょうね」</p>
<p>自分の理解の許容量を超えた事態に、カクレが初めて動揺する――そうだ。その《能力》さえあれば、革と金属の拘束具を引きちぎることも、部屋ごと目の前の2人を吹き飛ばすことも容易い。</p>
<p>戦場で使っている《能力》だ、知られているのはまだいい。問題は、先ほどそれが発動しなかったことだ。一体どうして？　</p>
<p>「せんぱい、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby>準備できましたー」<br />
「……私、指示してないけど。何したの？」</p>
<p>「まあまあ、いいじゃないですか♡　きっと<ruby>愉<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>ですから♡」</p>
<p>スーツを着た女性とは別のほう、ワンピースを着た女性が甘ったるい声で何かを言っている。</p>
<p>カクレはあまりにも他人が苦手だった。故に性経験は人並み以下、男の人との関わりなんて、手をつないだことすらない。そんな彼女に、性拷問の時が刻一刻と近づいてくる。</p>
<p>その恐怖が、無駄な行動を引き起こした。</p>
<p>「――<ruby>来<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>で<rt>・</rt></ruby>！」</p>
<p>ふたたび、声に乗せられる特殊な<ruby>力<rt>・</rt></ruby>。彼女とて、先ほど何が起きたか忘れてしまうほど鳥頭ではない。それでも、自分に今の状況を打破する方法があるとしたら<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>しかないから、縋らないわけにはいかない。もしかしたら、1回目は駄目でも、2回目ならうまくいくかもしれない――そんな淡く愚かな期待を込めた行動だった。</p>
<p>しかし、それは無駄――否、<ruby>自<rt>・</rt></ruby><ruby>滅<rt>・</rt></ruby>だ。</p>
<p>「ひ、ひゃ――！！？　っ～～～～～～～～！！！」</p>
<p>カクレが《能力》を使った瞬間のことだった。</p>
<p>力を乗せた言葉が部屋の隅々にまで響きわたった瞬間、彼女はまるで自分の全身を手のひらで優しくなで姦されるようなむず痒さに襲われたのだ。</p>
<p>快感と、羞恥と、疑念が一気にやってくる。</p>
<p>「っあ、ぇ、ぁ……？」</p>
<p>「……ルグ、<ruby>君<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>業<rt>・</rt></ruby>か」<br />
「えへへー♡」</p>
<p>カクレが突然喘ぎながら顔を赤らめ始めた現象に、フランがため息を付き、ルグが笑った。</p>
<p>ルグがカクレに近づき、顎を持ち上げて、キスができそうな距離でささやく。</p>
<p>「私の《能力》なんですけど、《<ruby>魔改造<rt>ツギハギ</rt></ruby>》っていうんです。つまり、えーと……簡単に言うと、私があなたの《能力》を弄っちゃいました♡」<br />
「は……！？」</p>
<p>「あなたが声を出すと、あなたの体が気持ちよくなっちゃうんですよー？」<br />
「そ、そんな、こと、できるわけ――！？　ひ、ひゃぁ……！？」</p>
<p>カクレは驚き声を上げそうになるも、むずむずとした何かが全身の皮膚をのたうち回る感覚に留まる。</p>
<p>他人の《能力》を改ざんする――それは、カクレが見たことも聞いたこともない《能力》だった。この国だけで何万、何十万といる《能力者》の中でも、トップレベルのレアリティだろう。</p>
<p>信じがたいことだが、現に今起きている現象を鑑みれば、それを否定できない。</p>
<p>「……だ、か、ら♡　声、出さないほうがいいですよぉ？」<br />
「っ！」</p>
<p>「気持ちよさは声の大きさに比例するので、大声で喘いじゃった日にはもう……♡」</p>
<p>ルグが妖しく笑い、カクレの顔が青ざめていく。</p>
<p>ルグの背後に立っていたフランが、『まあいいか』とため息を付いていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>お互いの立場を無理やりにでも分からされた上で、とうとう性拷問が始まる。</p>
<p>「せんぱい、今日は私に任せてもらっても？」<br />
「理由は？」</p>
<p>「んー。そういう気分♡」<br />
「……どうぞ」</p>
<p>ルグはそう言ってカクレの寝ているベッドに腰掛けて、彼女の細い首筋をなでた。</p>
<p>「っぐ――！！？　っ、ぅ、ぁ……！！　っ～～！！」</p>
<p>普通の夜の営みであれば、多少なりとも喘ぎ声を上げて、それでおしまいの愛撫に過ぎない。</p>
<p>しかし今、カクレは声を出してはいけなかった。ほんの少しうめき声を出すだけで、全身を柔らかな羽根ですっとなでられるようなむず痒さがやってくる。今の彼女には、何てことのない愛撫がひどく恐ろしい。</p>
<p>「そんなに胸に空気を溜め込んで、苦しくないですかぁ？　早く喋っちゃったほうが楽になれますよぉ♡」<br />
「っ！　ふっ、ぅぅ……！？　うっ、っっ……！！」</p>
<p>ルグが、カクレの全身を自由気ままに愛撫していく。首筋から始まって、肩。少し刺激が和らいでほっとしかけたところで腋の下に移り、そして胸。</p>
<p>カクレの胸は大きかった。ルグも負けず劣らずの大きさだが、ルグの乳房はマシュマロのように柔らかく、一方でカクレの胸はゴムボールのように弾力がある。自分とは違った魅力を持つ乳房を、ルグがもてあそんでいく。</p>
<p>「うはぁ、大っきいおっぱい～♡　私と違って腰も細いし、ずーるーいーなぁ～」<br />
「ふぁ――♡　っっ……！！　ぅ゛ぅぅぅ……！？」</p>
<p>カクレの体がびく、びく、びくと震えていく。</p>
<p>生まれて初めて体をもてあそばれるというのは、妙な気分だった。嫌悪感は確かにある。もしも感情を吐瀉物としてぶちまけることができるなら、このベッドはもうとっくに、気持ちの悪い黒色に染まっていただろう。</p>
<p>しかし、その中に確かな快感が混じり込んでいるのが、カクレには信じられなかった。胸に指先を食い込ませられる度に、鼻から薄紅色の吐息が漏れて、降り積もる花びらのように黒を上塗りしていく。</p>
<p>そしてルグの右手が秘所に移ると、その快感はさらに強くなる。</p>
<p>「あれあれあれぇ？　もう、濡れちゃってるじゃないですかぁ♡」<br />
「っーーーー！！？　っひ――♡♡♡　ぁ゛――！！？」</p>
<p>「うーん。カクレちゃんは処女かな？　それじゃあ、外だけでたっぷり気持ちよくしてあげますねー♡」<br />
「っ、っ、っ――！！？　っ～～～～～～～～！！！」</p>
<p>ルグがカクレに馬乗りになって、左手で乳首を、右手で秘所を弄り続ける。</p>
<p>ぐち、ぐち、ぐちという音が響くたびに、カクレはパニックで大声を上げたくなった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「っぐ……！！？　ぅ――♡♡♡　ふーーっ、ふーーーーっ！！！」<br />
「うーん」</p>
<p>カクレには知り及ばないことではあるが、妖しく笑いながら責め立ててくるルグには、一つ誤算があった。拷問対象である彼女の性感が、想定していた以上に開発されていないということだ。</p>
<p>（せんぱいだったら余裕なんだろうけどなぁ）</p>
<p>性拷問を生業としている以上、ルグは人並みよりはずっと熟達している。<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>店<rt>・</rt></ruby>にでも行って働けば、さぞ『テクニシャン』と称され、もてはやされたことだろう。それでも、心を読む《能力》を持つフランと比較すれば、遠く及ばない。彼女はあらゆる人間の性感を瞬時に、正確に知り尽くすことができるのだ。</p>
<p>こうも全身をがちがちに固めている生娘を相手にするとなれば、ルグでは嫌でも時間が掛かってしまう。</p>
<p>「ねえねえ、カクレちゃん。そろそろ教えてくれませんかぁ？」<br />
「っ……！！」</p>
<p>「だめぇ？」</p>
<p>カクレは敵意のこもった目でルグをにらみ付ける。無口で人付き合いが苦手な彼女でも、傭兵としての気概は十分に持っていた。彼女は『まだ何とか耐えられる』と思っていた。しかし、それはただの思い上がりだ。</p>
<p>ルグの誤算とは、決して深刻なものではない。たとえ相手の心を読むことができなくとも、女性を堕とす方法などいくらでもあるのだ。</p>
<p>「それじゃあね、これからはちょーーっと、きついですよぉ♡」</p>
<p>カクレの目の前で、ルグはにんまりと笑う。その表情があまりに恐くて、カクレは自分の全身に力を込める。筋力自体はあまり強くない彼女ではあったが、仮にイチモツを挿れられそうになっても、膣の締め付けだけで拒んでやろうと思うぐらいには一生懸命だった。</p>
<p>しかし、その努力は全て無駄だ。女性であるルグにイチモツが生えているわけでもなければ、何かしらの道具を挿入するつもりもない。</p>
<p>ルグは、両手足を上下に伸ばした姿勢で拘束されているカクレの、無防備な脇腹をくすぐり始めたのだ。</p>
<p>「こちょこちょこちょこちょこちょーーっ♡」<br />
「んぐふぅっ！！？　な゛、ぐぅ～～～～～～～～っ！！？」</p>
<p>指先を立てて、皮膚の表面をこそぐその手付きは、断じて性感を与えるためではない。笑い声を上げさせるための『くすぐり責め』だ。</p>
<p>今までとは明らかに違う刺激に、カクレの悲鳴が喉まで出掛かった。</p>
<p>「おお？　不意打ちしたのに耐えるなんてすごいですねぇ♡　でもまだまだこれからですよぉ？　ほらほら、こちょこちょこちょこちょっ♡」<br />
「ふぐっ、ふ――！！？　っ、ぐっ、ぅ――！！！」</p>
<p>「お腹は耐えますねぇ、それじゃ足の裏はどうですかぁ♡」<br />
「っーーーー！！？　っ、っ、っーーーー！！！」</p>
<p>ルグがカクレをくすぐっている傍らで、その様子を見守っていたフランは『趣旨が違う』とため息を付いた。</p>
<p>「何をやっているんだか……」</p>
<p>しかし、ルグが行っているのは紛れもなく拷問である。体をくすぐられ続けるのはつらいし、その上で声を出すことを我慢しなければならないのなら、余計につらい。</p>
<p>ルグとそれなりに長い間付き合ってきたフランは、先ほどのやり取りを思い出す。『今日は私に任せてもらっても？』――今日のルグは、性拷問に乗り気だった。まあ彼女は大体いつもノリノリだけど。しかし、今日特にやる気だった理由は、想像に難くない。</p>
<p>「っぐっ、ひ――！！　ぁ゛、ぎひ――！！？」<br />
「ぁ゛ー、いいですねぇ♡　かわいい顔が歪んじゃってますよぉ、そんなにくすぐったいんですかぁ♡　いっそ思いっ切り笑っちゃいません？　笑ったら楽になれますよぉ♡　え゛へへへへー♡」</p>
<p>「っ！！！　っ！！！　っーーーーーーーー！！！」</p>
<p>ルグの声が濁ってきた。興が乗ってきた証拠だ。</p>
<p>音無カクレという女性は、一見大人しい性格をしている。しかし『《能力》があればどうにかなる』などとどこか傲慢なところがあって、その《能力》を封じられたと知るや否や絶望する――サディストの気質があるルグにとって、彼女は実に、いじめていて愉しい相手だったのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>数分程度のくすぐり責めが続き、声を出すのを必死に我慢し続けたカクレの息が、ぜえぜえと切れている。一方で、ただ指を動かすだけのルグは、息一つ切らさず愉しそうに笑うだけ。どちらが主導権を握っているかは、誰が見ても明らかだ。</p>
<p>「あーあ、足の裏も耐えきられちゃいましたねぇ」<br />
「っーー！　っーーーー！」</p>
<p>「それじゃあ、<ruby>腋<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>下<rt>・</rt></ruby>はどうかなぁ♡」<br />
「っ！！？」</p>
<p>胸を大きく上下させながら息を整えるカクレの腋の下に、ルグの手が近づいていく。</p>
<p>「<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>め<rt>・</rt></ruby>――！！？」</p>
<p>ルグの言葉は、カクレが思わず自ら<ruby>禁<rt>・</rt></ruby><ruby>忌<rt>・</rt></ruby>を破ってしまうほどの恐怖だった。</p>
<p>そして自らの悲鳴が全身を愛撫するよりも早く、10本の指先がカクレの腋のくぼみに触れた瞬間、圧倒的な刺激が彼女を襲った。</p>
<p>「――っぁぁあああっはっははっははははははははははははははひぃぃぃっ！！！？　くしゅ――！！！？　くすぐったひぃぃぃぃっひっひゃっははははははははははははははははははははぁぁぁぁぁあっ！！！？」</p>
<p>「お゛っほ、クリティカルヒットぉ♡　カクレちゃんの弱点はここでしたかー♡」<br />
「やめっ、やめぇっへっへへへへへへへへへへへへへへへ！！！？　ひ――♡♡♡♡　こえっ、声――！！！？　ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ！！！！」</p>
<p>他人に体をくすぐられるなんて、子どものころ家族か友達にいたずらでされたぐらいか。そんな数少ない経験でも自覚できるぐらい、カクレは腋の下が弱かった。そんな部位を、体を拘束されて無防備な状態で、指10本を総動員してくすぐられる。これまでの人生で感じたことのないくすぐったさが、彼女を大笑いさせた。</p>
<p>腋の下があまりにくすぐったいから、最初こそ気付かなかった。しかし確かに、無理やり吐き出された笑い声が<ruby>力<rt>・</rt></ruby>を乗せて、彼女自身の全身に襲い掛かっていく。</p>
<p>「っ～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ぁはっ、ひぇ――！！！？　体っ、全部っ♡♡♡♡　来て――！！！？」</p>
<p>ルグは、『気持ちよさは声の大きさに比例する』と説明していた。弱点の腋の下をくすぐられて笑い転げる声は、あまりに大きかった。その声によって齎されたのは、ねっとりとしたものが、全身を無秩序になでていくような感覚。まるで全身にローションをぶちまけられて、大勢の人間の手で全身の皮膚を陵辱されるかのよう。</p>
<p>しかしここで、カクレにとって<ruby>不<rt>・</rt></ruby><ruby>都<rt>・</rt></ruby><ruby>合<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby><ruby>実<rt>・</rt></ruby>が二つあった。一つ目に、彼女の全身を襲うのは、あくまでも声による<ruby>愛<rt>・</rt></ruby><ruby>撫<rt>・</rt></ruby>だということ。神経を直接弄って性感を覚えさせる類のものではない。そして二つ目に、それがくすぐり責めによって引き起こされたものだということ。</p>
<p>つまり、声による愛撫を、くすぐったく感じてしまう場合もあるということだ。</p>
<p>「くしゅぐっだひぃぃぃぃぃぃっひっひゃっははははははははははははははははぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ！！！？　なんでっ、声――♡♡♡♡　こえがくすぐっだひぃぃぃぃっひっひゃっはははははははははははははははははははぁ゛～～～～～～～～！！！？」<br />
「あらら？　私、今くすぐってませんよ？」</p>
<p>「やめっ、やめ゛ぇぇぇっへっへへへへへへへへへへぇぇぇぇぇぇぇえええええっ！！！？　こえがっ、声がくすぐっだいのぉぉぉぉぁぁぁぁあ゛っはっははははははははははははぁ゛ぁぁぁぁあああ～～～～～～～～～～～～～～～～ッ！！！！」<br />
「……あらー。もしかして<ruby>声<rt>・</rt></ruby>にくすぐられてます？」</p>
<p>カクレは自身の声に全身をくすぐられて笑い悶え続ける。</p>
<p>これには、さしものルグも予想外だったようだ。意図せず拷問対象をくすぐり地獄に落としてしまった彼女は、冷や汗を流した頬をかいてから、しかし笑うのだ。</p>
<p>「……これは、い゛ーですねぇー♡」<br />
「ぃぎひっ、ひひひひひひひひひ――ッ！！！？」</p>
<p>実際問題、全身を激しくくすぐられ続ければ、誰であろうとつらい。予想外の形ではあるが、拷問としては一応のところは成立していた。</p>
<p>そして彼女の全身をくすぐっている<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は、あくまでも<ruby>愛<rt>・</rt></ruby><ruby>撫<rt>・</rt></ruby>である。むず痒い刺激が、腋の下や脇腹、足の裏だけではなく、胸にも、尻穴にも、秘所にも、声の届く全身に及び続ける。カクレが笑い悶えながらも性感を高めてしまうのは、何ら不思議なことではないだろう。</p>
<p>「なんでっ、全部――！！！？　ふぁっ、ぉ゛――♡♡♡♡　ぉっほほほほほほほほぉ゛ぉぉぉぉおおおっ♡♡♡♡　くしゅぐっだひのにっ、何かっ、変んんんんんっひひひひひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃぃぃぃいいっ♡♡♡♡」<br />
「あれれー？　カクレちゃん、気持ちよくなっちゃってますぅ？　全身をこちょこちょされて気持ぢよぐなっちゃってるんですかぁ゛ー♡」</p>
<p>「だめっ、これ――！！！？　いっ、イ――♡♡♡♡　いっひひひひひひひひひっ♡♡♡♡　ぃぃぃいいいぃぃぃいいいいいっ！！！？」</p>
<p>確かに近づいてくる<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>に、カクレの声が引きつっていく。焦り、恥ずかしさ、悔しさ――さまざまな感情に入り交じって、ほんのわずかな期待を抱いてしまうのは、性感を与えられた人間の<ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby>とも言える。</p>
<p>しかし、カクレにとって不都合な、<ruby>三<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>目<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby><ruby>実<rt>・</rt></ruby>があった。今まで知らなかった、自身の癖――彼女は普段無口なくせに、絶頂するとき大声を上げてしまうタイプだったのだ。</p>
<p>「っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁっはははははははははぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡　っっっあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>「あ、そんなに大声出したら」<br />
「――ぃぎゃーーーーーーーーっはっはははははははははぁ゛ぁぁぁぁああああああああっ！！！！？　ぐしゅ――♡♡♡♡♡　さっぎよりくすぐっだはぁぁぁぁぁぁぁっはっはははははははははははははははぁ゛ぁぁぁぁあああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡♡」</p>
<p>それは無限の負の循環の始まり。自身の大声によってさらに大きな快感が全身を襲ってきて、カクレは<ruby>自<rt>・</rt></ruby><ruby>滅<rt>・</rt></ruby>した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>もしも、この拷問の経緯を最初から知っているものでなければ、何が起こっているのか理解できないだろう。</p>
<p>「ぁ゛ーーーーっはっはっはははははははははははははははははひっ！！！！！　ひぎっひひひひひひひひひひひっ♡♡♡♡♡　くしゅぐっだっ、きもぢひ――♡♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ！！！！？」</p>
<p>「……何だか、すごいことになっちゃいましたねぇ」<br />
「本当にね」</p>
<p>ルグも、フランも、手を一切触れることなく、息を吹きかけることすらなく、カクレが悶え続ける。全身を襲う感覚はあまりに強烈で、もはやくすぐったいのか気持ちいいのかも分からない。分からないまま、イキ続ける。</p>
<p>「やだっ、やだぁぁぁぁっはははははははははははははははっ！！！！？　も゛っ、声出しだぐな――♡♡♡♡♡　やだっ、いぐっ、イ――♡♡♡♡♡　っぎゃ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！？　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>カクレとて、この地獄を望んでいるわけではないし、どうしてこんなことになっているのか理解していないわけでもない。自分の全身を犯し続ける声を、我慢できるものなら我慢したかった。だけどあまりにその感覚は強烈だから、ただの1秒の我慢できない。『自分のせいだ』と思うと、全身がじりじりといら立ってきて、脳の回路がショートしてしまいそうだ。</p>
<p>「ま。このままじゃあ暇なので、私も参加させてもらいますね♡」<br />
「ぃぎっ、ひ――♡♡♡♡♡　も゛っ、やめ――♡♡♡♡♡」</p>
<p>ルグは、カクレの声を搾り出すために、再び彼女の腋の下をくすぐり始めた。</p>
<p>「ぃや゛ぁぁぁぁっはっはははははははははははははははははぁ゛ぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡　わきっ、わぎぃぃぃぃぃぃぃいっ♡♡♡♡♡　にっ、2倍くしゅぐっだぁぁぁぁぁぁっはははははははっ♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁあ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」<br />
「あれあれぇ、もしかして、腋の下くすぐられるだけでイッちゃったんですかぁ♡」</p>
<p>カクレは、腋の下をくすぐられるだけで感じ、またあっという間にイッてしまう。</p>
<p>当初はあんなに生娘らしい体だったはずなのに。もはやカクレの体は快感とくすぐったさの区別が付かないぐらい、開発されていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>声を出す限り、快感は止まらない。それならば、カクレの全身を襲う快感が止まるのは、果たしていつになるだろうか。</p>
<p>その答えは、あまりにも遅すぎるタイミングで分かる。</p>
<p>「ぁ゛はははははははははぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡　ひーーーーっ♡♡♡♡♡　ひーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛ッッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ひ――」<br />
「あ」</p>
<p>あまりにも全身を襲う快感が強烈で、あまりにも気持ちよすぎて、あまりにも絶頂しすぎて。カクレは、ぷつんと糸が切れるように気絶してしまうのだった。</p>
<p>全身の力がぐたりと抜けて、秘所からは体液がちょろちょろと漏れ出ている。しかし気絶してなお、口からは喘ぎ声が零れ続けていた。</p>
<p>「ひっ、ひひ――♡♡♡♡♡　ひ～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ひゃはっ♡♡♡♡♡　ぁお゛っ、ぉ゛ぉぉぉお……♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぉ～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>気絶してなお、カクレは自分の声でもって愛撫され、絶頂を続けている。その声量は、先ほどと比較すれば明らかに小さいが……一体いつになったら、長く恋い焦がれ続けた平穏はやってくるのだろうか。</p>
<p>その様子を見て、ルグは『たはは』と笑った。</p>
<p>「気絶しちゃいました」</p>
<p>「もう<ruby>折<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>みたいだし、起きた時にはいろいろと話してくれると思うよ。それから先は、<ruby>表<rt>・</rt></ruby>の人間に任せよう」<br />
「でっすよねー！　あはは、あーよかった！」</p>
<p>「まあ、私たちは残業することになったけど」<br />
「あはは、すみませぇん……」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「へへ、へ、へぇぇ゛……っ♡♡♡♡♡　へっ、へぇぇ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぇへっ、ひ――ッ♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>カクレにとっては、もう情報なんてどうでもいいだろう。</p>
<p>これからの人生、ただ《能力》を使うだけで妙な気分になり、誰かにいたずらで体をくすぐられるだけで発情し絶頂してしまうことのほうが、彼女にとって重要なのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>休憩室にて。フランはベンチの背もたれに深く寄り掛かっていた。</p>
<p>「はぁ……」</p>
<p>拷問の後は、少し気が滅入る。</p>
<p>悲哀、恐怖、後悔、憤怒、憎悪。人の黒い感情を向けられて、『何も感じるな』というほうが無理な話だった。《読心》という異能は拷問に実に適した能力だが、その分だけ代償も大きい。</p>
<p>いつか、ルグがフランのことを『真面目』と評したことがあったが、彼女自身は違うと思っていた。ただ、胸の中をぐちゃぐちゃにされるようなその感情を、自分に向けてほしくないだけだ。というか、本当に真面目なら社長を『クソババア』呼ばわりしない。</p>
<p>「……みっともない体勢だな」</p>
<p>いつの間にか、自宅のソファでくつろぐかのように、休憩室のベンチに寄り掛かっていた。『仕事場で晒していい格好ではない』とフランが少し姿勢を正すとちょうど、休憩室の入り口から足音が聞こえた。</p>
<p>「君か、ウルツア」<br />
「……チッ」</p>
<p>休憩室に入ってきたのは、生意気な新人ウルツアだった。</p>
<p>フランに対してあいさつも会釈もなく、むしろ舌打ちしながら顔を背ける始末。『社会人にあるまじき行為だな』とフランは思ったが、あまりにも憎々しげな表情をしていたから指導を諦める。今の彼女には、何を言っても無駄だろう――フランは鼻から静かに息を吐いた。</p>
<p>すると、ウルツアはフランの前を通る間際、彼女を見下ろして立ち止まるのだ。</p>
<p>「……テメェ、何してたんだ」<br />
「仕事だよ。内容上、詳細は教えられない」</p>
<p>「フン、バカみてーに疲れてるじゃねーか」</p>
<p>『自分との手合わせでは息一つ切らさなかったくせに』――ウルツアは、そんな恨み言を込めたつもりだった。</p>
<p>しかしその何てことのない言葉に、フランは目を見開いた。フランの驚くような反応に、ウルツアもつられて驚いた。</p>
<p>フランがぽかんとした表情のまま言う。</p>
<p>「どうして、そう思った？」<br />
「ぁ？　思ったも何も、そんな死にそうな顔してりゃ嫌でも分かんだろ」</p>
<p>フランは自分の頬に右手を当てた――そんなに顔に出ていただろうか？　知り合って間もない相手の前で？</p>
<p>その間に、ウルツアは『訳分かんね』と舌打ちしながら自販機のほうへと歩いていってしまう。グアバ焼き芋、めかぶソーダ、魚介だしナタデココ、いちごタバスコ――自販機のおぞましいラインナップに、彼女は『何だこりゃ！？』と叫び声を上げていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【第3話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
		<link>https://omonove.com/12803/</link>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:57:56 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】複数に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
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					<description><![CDATA[#ささやき #見せつけ #脳イキ]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</h3>
<p style="text-align: right;">#ささやき #見せつけ #脳イキ</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ウルツアが傭兵会社に勤め始めてから、1週間がたつ。彼女の生活は規則正しいものだった。</p>
<p>彼女は会社から与えられた社員寮に住む。小さな、飾り気のないワンルームだ。朝6時に起きると、1時間かけて身支度と洗濯をする。ウルツアは、自分をしっかりした人間だとは思っていない。それでも、彼女が着る服はしっかり手入れをしなければすぐ駄目になってしまう。</p>
<p>「……っどくせー」</p>
<p>毎朝のように独り悪態をつきながらも、見た目を整えることだけは怠れなかった。</p>
<p>7時になると、寮の食堂で食事をとる。その時間は5分と極めて短い。彼女は元々小食だから、それに習慣として、今までのんびりと食事をとっていられなかったから。理由はいろいろあるが、最大の理由は他にあった――食堂には、あまり長居したくないから。この食堂は、<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby>も使う。</p>
<p>7時半には会社に行く。小さなビル、1階はエントランスと応接室、2階はオフィス、3階以上は他のテナント。傭兵会社が入っているビルのテナントは、万が一の時<ruby>ひ<rt>・</rt></ruby><ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>になるからという理由で割引されるらしい。</p>
<p>ウルツアは2階には行かず、すぐに地下1階に行く。ここには、装備を整える小さなロッカールームと、その中に備え付けられたシャワールーム、そして彼女の目的である訓練場がある。戦闘部門の、さらには新人であるウルツアに雑多とした業務は与えられておらず、ただ強くなることが求められていた。</p>
<p>「何だい、ウルツア。随分と早起きじゃないか」<br />
「……ッス」</p>
<p>たまたま社内を散歩していた社長のViに、ウルツアは頭を下げた。相手が社長だから……ではない。自分を拾ってくれた恩人だからだ。</p>
<p>「励みな。アンタには期待してんだ」</p>
<p>Viはそれだけ言って、さっさとオフィスに行ってしまった。</p>
<p>それから、ウルツアは訓練場でひたすら<ruby>武器<rt>グレイブ</rt></ruby>を振るう。全力ではない。筋肉を温め、体捌きと太刀筋を確かめるよう。それは長い長い<ruby>準<rt>・</rt></ruby><ruby>備<rt>・</rt></ruby><ruby>運<rt>・</rt></ruby><ruby>動<rt>・</rt></ruby>。彼女の1日は、午前のたった数時間に凝縮されていた。</p>
<p>「おはよう、ウルツア」<br />
「……来やがったか」</p>
<p>9時になると、憎き宿敵もとい指導係の灰咲フランがやってくるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「今日の稽古はここまで」<br />
「っざけんな……！　オレはまだ、やれるぞ……っ」</p>
<p>「息が切れてるじゃないか。それに、もう正午になるよ」</p>
<p>昼になるまでには、フランとの訓練が終わる。彼女は訓練場の隅に放っておいたジャケットを拾いながら、ため息を付いた。</p>
<p>結果はいつも同じだった。ウルツアが殺意を持って当たるも、フランは攻撃の全てを木刀でいなす。ウルツアが立つのもやっとという時、フランはジョギングでもしたかのように軽く息を切らせるだけ。体力の差ではない、ただひたすらに実力の差だ。</p>
<p>「頭を使いなさい。やみくもに武器を振っても、筋トレにしかならない」<br />
「……バカだって言いてーのか」</p>
<p>「違う」</p>
<p>フランはきっぱりと否定した。</p>
<p>「君の頭は、決して悪いほうではない。理解力があるし、改善や工夫をしようという意思もある。今日だって、新しい技を持ってきたはずだ。だけど、君は準備してきたものを全て出し切ると、頭が真っ白になって猪突猛進になる。君が苦手なのは、リアルタイムの思考だ。そこを意識しなさい」<br />
「……チッ」</p>
<p>何気なく吐いた一の恨み言に、十の懇切丁寧な指導が返ってくる。</p>
<p>もしもフランという人物が人を見下すような糞野郎なら、ウルツアは思い付く限りの罵詈雑言を吐き散らし、不意でも何でも突いて土の下に埋めてやったことだろう。だけど、向けられた目があまりに真っすぐだから、結局ウルツアは舌打ちをしながら、もやもやとした気分を胸にしまい込むしかない。</p>
<p>「テメェ、いつまで木刀使ってやがんだ。武器はメンテナンスに出したって」<br />
「だって、これで十分なんだもの。わざわざ武器を損耗させたくない、メンテナンスだってお金が掛かるんだよ」</p>
<p>「クソが」</p>
<p>……というほど分別があるわけでもなく、毎日のように恨み言を吐き続けるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>いつもと変わらない、腹立たしい日常。しかしウルツアは最近、一つ気付いたことがある。</p>
<p>自分の指導係に当たる灰咲フランは、年が三つか四つ程度しか変わらないはず。それなのに、彼女に対して頭を下げる社員が多いのだ。</p>
<p>訓練場から出る時、2人はいかにも強そうな大男と鉢合わせた。</p>
<p>「おう、フランさん。お疲れっす」<br />
「お疲れさまです、<ruby>御守<rt>みもり</rt></ruby>さん。その右腕のけがは？」</p>
<p>「何、かすり傷っすよ。最近ニコ社の件であちこち忙しいっすから、休んでられねえや」<br />
「お大事になさってください。稼ぎ頭が長期欠勤になったら、会社が傾きますよ」</p>
<p>大男の年は30代ぐらいだろうか、フランよりも明らかに年上であるはずなのに、彼はフランに対して敬語を使っていた。フランのほうも敬語を使うものだから、どちらが目上なのか分からない。お互いに敬語ではあるが、よそよそしさはなく、案外親しげだ。</p>
<p>大男の視線が、ウルツアのほうに移った。</p>
<p>「ところで、その子は？」<br />
「そのうち戦闘部門に入る、新人のウルツアです。ウルツア、こちらは君の先輩にあたる御守コウガさんだ」</p>
<p>「……ッス」</p>
<p>フランが背中を軽く小突くから、ウルツアは仕方なく御守と呼ばれる男に頭を下げた。</p>
<p>「おうそうか、そりゃ心強い！　一緒に仕事することになったらよろしくな！」</p>
<p>御守がそう快活に笑って、会話が終わる。『自分に対してはタメ口だよな』と、ウルツアは思った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この傭兵会社における戦闘部門の人間は、自由時間が多い。依頼をこなす以外は、基本的にほぼ自由時間と言ってもいいだろう。その分、いざという時は命を賭けて戦わなければならないのだから、釣り合いが取れているとも言える。</p>
<p>しかし、研修中のウルツアまで同じ待遇だと、少し時間を持て余し気味だった。フランとの訓練は、午前中のほんの2～3時間程度で、それ以外はひたすらの自主鍛錬。</p>
<p>ウルツアは決して怠惰な人間ではない。しかし、いかに傭兵といえども、四六時中ずっと武器を振り続けられるわけではない。休憩もとるし、他の社員が訓練場を使うなら、場所を譲らなければならないこともある。</p>
<p>「オレは何やってんだか」</p>
<p>会社の2階にある休憩室で、ウルツアはベンチに寄り掛かりながら呟いた。今の境遇に後悔しているわけではない。ただ、あまりにも不思議な時間で戸惑っていた。</p>
<p>「ふ抜けたつもりはねーんだがな……」</p>
<p>彼女が思い出すのは、ほんの数週間前までの生活。</p>
<p>《能力》という存在が明るみになってから、この国は本当にひどくなった。《能力者》による犯罪は多くの血を流し、暴力、ドラッグ、売春――あらゆる悪意の呼び水となる。治安組織の対応なんてとうに追い付いておらず、地域によってはもはや『法』という存在すらおぼろげだ。</p>
<p>運悪く、そんな場所での生活を余儀なくされた独りぼっちの小娘の人生なんて、碌でもないとしか言いようがなかった。暴力と欺瞞に満ちた、今日を生きられるかも分からない毎日。昨晩隣で笑い合っていた仲間が、朝になったら死んでいたなんてことも珍しくない。心をすり減らしながら、必死に生き延びた。</p>
<p>それが何の縁かViに見いだされて、拾われて、その結果が今だ。出来たての飯を食って、温かな布団の中で眠り、ただ<ruby>目<rt>・</rt></ruby><ruby>標<rt>・</rt></ruby>に向かって突き進むだけ。まるで青春のような毎日が、ウルツアには何だかおかしくて笑ってしまう。</p>
<p>――そう、<ruby>目<rt>・</rt></ruby><ruby>標<rt>・</rt></ruby>だ。ムカつく<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby>をいつか負かしてやる。ああだから、早く明日になってくれないだろうか。アイツがいない時間は退屈で仕方ない。</p>
<p>「……恋する乙女かよ、オレは」</p>
<p>暇な時にいつも思い浮かぶのは、<ruby>アイツ<rt>フラン</rt></ruby>のこと。</p>
<p>『勝つために』と網膜に焼き付けたその一挙一動を、頭の中で何度も何度も再生していることに気付き、ウルツアは憎々しげに呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この傭兵会社は、地上が2階、地下が1階の合計3階構造<ruby>と<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>になっている。表向きには知られていない4階層目の地下2階に、性拷問師であるフランとルグがいた。</p>
<p>「最近、面倒な案件ばかり増えてないかな」<br />
「ですねぇ。ニコ社との争いが激しくなってるってことですかね」</p>
<p>「今日は、特に気が重い案件だな」</p>
<p>この会社における拷問の仕事は、毎日行うような定型のものではない。依頼が来たときに、決められた期日までにこなす。会社の人間が<ruby>対<rt>・</rt></ruby><ruby>象<rt>・</rt></ruby>を連れてくることもあれば、よその人間が依頼してくることもある。</p>
<p>最近、後者の仕事が増えつつあった。</p>
<p>「ひえ、ええ、ええええ～～～～」</p>
<p>フランが目を向けるだけで背筋を震え上がらせる対象は、まるで小動物のような女性だった。</p>
<p>名前は<ruby>宇佐木<rt>うさぎ</rt></ruby>リコ。もっさりとしたロングヘア、ぱっつんと切りそろえられた前髪。その下にあるのはまん丸の目。背は小さく、体も細い。見た目も態度も、小動物そのものだ。</p>
<p>そんな彼女は、この拷問室に入れられる者たち全員と同じように、全裸で拘束されていた。金属の椅子に座らされて、両腕は背もたれの後ろで、両脚は椅子の脚に縛り付けられている。</p>
<p>「そういうわけで、あなたが黙秘することなければ、私たちもひどいことをせずに済むのですが」<br />
「ひええええ～～～～！？」</p>
<p>リコは『どうしてこんなことになったの！？』という気持ちでいっぱいだった。いつものように会社のオフィスで独り残業していたら、突然男の人たちが何人もやってきて、自分のことを攫っていったのだ。</p>
<p>いろいろと質問された。取引先のことについて、いつ連絡が来たとか、どういう指示を受けたとか。リコがそれらを黙秘した理由は、単純明快だ――だって『くれぐれも外部に漏らさないように』って上司に念押しされたんだもん！</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この会社の性拷問においては、いくつかのルールが存在する。だいたいはフランが決めたものだ。例えば、<ruby>本<rt>・</rt></ruby><ruby>番<rt>・</rt></ruby>をしてはいけない。例えば、拷問した相手を想像して自慰をしてはいけない。</p>
<p>例えば、<ruby>今<rt>・</rt></ruby><ruby>回<rt>・</rt></ruby>の場合、フランとルグの2人で対応しなければならない。</p>
<p>「せんぱい。この人って、《能力者》で間違いないんですよね？　何だか、あまりそういう雰囲気がないっていうか」<br />
「わ、わわわわ私の《能力》なんてほんとに大したことないんです！　ほ、ほほほほほほほんとに、ごごごごごゴミクソみたいな《能力》で！？」</p>
<p>ルグが問うと、リコが首をぶんぶんと振り乱して返す。</p>
<p>あまりにも卑屈な態度だから、フランはフォローすることにした。</p>
<p>「《能力》を得た者が全員、戦場に出て戦うわけではない。後方での支援のほうが適正だと判断されたら、そちらに専念する場合もある」</p>
<p>『<ruby>私<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby>だってそうじゃないか。ルグ』――フランがそう言って、ルグがフランのことを少し見つめてから『そですね』と返した。フランの『後方での支援のほうが適正』とは随分とオブラートに包んだ言い方ではあったが、要するにリコは『戦闘では役立たず』と判断された《能力者》だった。</p>
<p>リコは臆病な性格だった。それが嫌で、物語に出てくるような主人公に憧れて、傭兵を目指した。小さな女の子が魔法少女に憧れるのと同じだ。</p>
<p>しかし結局、幾ばくかの金を払って《能力》を得ても夢がかなうことはなく、オフィスで事務仕事に忙殺される毎日を過ごしている。</p>
<p>「何にせよ、《能力者》であるなら<ruby>君<rt>・</rt></ruby>が出たほうがいい。悪いね、ルグ。君に負担が掛かって」<br />
「いえいえ、よろこんで♡　最近金欠だったので、お仕事が増えるのは良いことです」</p>
<p>「君が事務仕事を手伝ってくれれば、そちらの給料も出せるんだけどね」<br />
「あーあー聞こえませーん」</p>
<p>心を読むことができるフランは、拷問に最適な人材である。しかし、《能力》を封じ思うがままに改ざんしてしまうルグは、《能力者》を拷問するのにさらにこの上ない人材だった。</p>
<p>2人は手元の資料に目を通していく。</p>
<p>「どうして政府って、《能力者》一人一人のデータを記録してるんです？　こうやって、こっそり提供してもらってる私たちとしては助かりますけど」<br />
「未知の犯罪を防止するためだよ。《能力》とは、すなわち手口だ」</p>
<p>「……犯罪防止、できてます？　しかもこれって、自己申告でしょ？」<br />
「言わないお約束。しかしまあ、彼女は項目に虚偽も抜けもなくて助かる。……なるほど、《感覚強化》ね」</p>
<p>《感覚強化》――数ある《能力》の中でも、特にオーソドックスなほうだろう。もっとも、その詳細はやはり各人による。目が良くなるのか、あるいは耳が良くなるのか、はたまた鼻が良くなるのか。</p>
<p>そこまでの詳細は資料に書かれていないが、すぐに分かることだ。《魔改造》という異能を持つルグは早速、ふんすと気合を入れた。</p>
<p>「まあとりあえずは、《能力》を<ruby>捕<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>え<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>ところからですねー♡」<br />
「はぎゃっ！？　な、なななな何ですか！？　何だかっ、もやっと！？　もやっとした！？」</p>
<p>「お？　私の《能力》を感じ取れちゃうなんて珍しいですねぇ♡　こうですか？　こうすると効くんですかぁ♡」<br />
「ふぉぉぉぉおっ！？　何か変、何か変んんんんんん！？」</p>
<p>お互いに触れることもなく、指をわきわきさせながら悦に入るルグと、身悶えするリコ。それは端から見ればさぞ異様な光景だろう。</p>
<p>ルグは相手の《能力》を支配するとき、『捕まえる』という表現をする。フランが以前聞いた話によると、相手のどこかにある《能力》を虫取り網か何かで捕まえて、その顔を、その羽根を、その節足を――その《能力》の生態を観察するイメージらしい。そして捕まえたそれを《魔改造》する段階については……フランは聞くのをやめていた。</p>
<p>事前に聞いた話からすると、目の前で実際に行われていることは案外狂気的で、猟奇的だ。</p>
<p>「ふんふん、なるほどですねー」<br />
「遊んでただけの成果はあったろうね？」</p>
<p>「もっちろんです♡　ええと、一口に感覚が鋭いと言っても、いろいろあってですねー。この子の場合は《<ruby>感受性<rt>ビクビク</rt></ruby>》ってところですね」<br />
「《感受性》？」</p>
<p>それはフランにとって、あまりぴんと来ない話だった。</p>
<p>「そです。『いきなり視力が10.0になったー！』とかではなく。視力はそのままですけど、他の人が気付かない刺激にもすぐ気付くようになるって感じです」</p>
<p>「……なかなか、戦場において有用そうな《能力》に聞こえるけど」<br />
「どうでしょ。それだけ<ruby>影<rt>・</rt></ruby><ruby>響<rt>・</rt></ruby><ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>ってことですから、ちょっとした刺激でもストレスになっちゃうんですよね」</p>
<p>『なるほど』とフランは頷いた。テレビか本か、どこかで聞きかじった話だが、光や音に敏感すぎて日常生活が困難な人もいるらしい。</p>
<p>とすると、何となく想像は付く。ほのかに漂う血の臭い、刃と土埃がこすれる音、背後から忍び寄る殺意をまとった空気の流れ――ありとあらゆる刺激に気付くことができれば、さぞ戦場で役立つだろう。しかし彼女にとってそれは、全てが耐え難いストレスなのだ。彼女にとって<ruby>気<rt>・</rt></ruby><ruby>付<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>ということは、イコール<ruby>怯<rt>・</rt></ruby><ruby>え<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>と言い換えられるかもしれない。</p>
<p>本人の性格を鑑みても、戦いに不向きと判断されても仕方ない、《感受性》とはまさに小動物のようと言って差し支えない異能だ。</p>
<p>「カナリアにならなくて良かったと、心底思うよ」<br />
「カナリア？」</p>
<p>「昔の炭鉱夫は、毒ガスがないか調べるために、鉱山にカナリアを連れていったらしいよ」<br />
「うげぇ」</p>
<p>毒ガス探知機代わりにされたカナリアの末路なんて、言うまでもないだろう。</p>
<p>そういった使いつぶすような運用をされないあたり、彼女の所属する会社は比較的まともなのだろう。そしてこれから、そういった会社の人間を拷問にかけるのだ。</p>
<p>『やっぱり面倒な案件だ』と、フランは思った。</p>
<p>「何にせよ、現状脅威になりにくい《能力》だというのは分かった。ありがとう、ルグ。今日はもう対応する必要はないから、上がってもらっても」<br />
「えー！　この子の《能力》、すっごい楽しいんですよー！？　私もやりたいですー！」</p>
<p>「また勝手に<ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby>したのか……」<br />
「いえいえ、今日のは本当にささやかですよぅ」</p>
<p>ルグはそう言って、椅子に拘束されているリコに近寄る。そして全身をぶるぶると震わせ続けている彼女の耳元に口を近づけて、ねっとりとした声音でささやくのだ。</p>
<p>「……あなたのこと、犯しちゃうぞぉ♡」<br />
「ぴ――！！？」</p>
<p>耳元でささやいただけ。たったそれだけで、リコの全身が跳ねた。腰がびくん、びくんと前後に揺れるその動きからは、単に『ささやかれて驚いた』以上の<ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>味<rt>・</rt></ruby>を感じ取れる。</p>
<p>「そうだなぁ、例えば、指先でこうやって、乳首をころころころ♡　ころころころころぉ♡」</p>
<p>普段から甘ったるい声を出すルグだが、今日はより一層、まるで煮詰めた蜂蜜のように甘くて、熱い。『こうやって』と言ってはいるが、別にリコの乳首に触れているわけではない。ただ本当に、耳元でささやいているだけだ。</p>
<p>「ふぁぉぉぉっ♡♡♡　ぉほっ、ぉ゛――！！？　乳首っ、ちくびむずむじゅしへぇぇぇぇえっ♡♡♡」</p>
<p>それなのに、リコは薄らと盛り上がった胸を前に突き出しながら震え始めた。小さな胸にふさわしい小さな乳首が、見る見るうちに硬く尖っていく。まるで本当に、乳首を触られているかのような反応だ。</p>
<p>その反応に、ルグは驚くこともなく、満足げに笑った。</p>
<p>「えへー♡　何だかASMRみたぁい♡」</p>
<p>「……<ruby>感<rt>・</rt></ruby><ruby>受<rt>・</rt></ruby><ruby>性<rt>・</rt></ruby>ってこと？」<br />
「そです♡」</p>
<p>「なるほど、本当に難儀な人だ」</p>
<p>つまり、彼女は耳元で淫語をささやかれるだけで、自分が現在進行形で犯されているような錯覚に陥っているのだ。</p>
<p>『あまりにも影響されやすすぎる』と、フランは思った。今の彼女なら、いかがわしいビデオを観せるだけでも殊更に感じてしまうのではないだろうか。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ささ、せんぱいもどうぞ♡」<br />
「え、ええー……？」</p>
<p>「ほら、もう片方の耳、空いてますよ？」</p>
<p>フランは自分の仕事に関して生真面目だ。基本的に、自分の感情よりも仕事の遂行を優先する。だから今の状況を鑑みれば、自分も性拷問に加わることで効率を上げることは、合理的判断である。</p>
<p>だけど、その方法がよりにもよって相手の耳元で淫語をささやくことだなんて――フランにとってそれは、相手の性器を口淫で犯すよりも恥ずかしかった。</p>
<p>フランは口をへの字に歪ませて、頬を朱色に染めながらささやく。</p>
<p>「あ、あー。えっと。質問に答えてくれないようなら、ひぶ……、おまん……？　……じょ、女性器に触れますね」<br />
「ほぉぉっ、何しょの低くへ透き通る声へっ♡♡♡　せいへきっ♡♡♡　癖に刺しゃるぅぅぅうっ♡♡♡」</p>
<p>「あ、ああ、ど、どうも。親指と中指で開いて、人差し指で中をほじくるように……」<br />
「ひぁぁぁぁあっ♡♡♡　耳がっ、みみがはらみぃひぃぃっ♡♡♡」</p>
<p>『ハラミ……？』――そう呟くフランの言葉責めは、あまりにも稚拙。それでも、リコは敏感な反応を示す。</p>
<p>一方でルグのほうは随分とノリノリだった。</p>
<p>「それじゃあ、私はおっぱいをたくさん気持ちよくしたげますねぇ♡　ほうら、こりこりこり、こりこりこりこりぃっ♡」<br />
「ひひゃっはっ♡♡♡　おっぱひっ、おっぱい敏感だからぁぁぁぁあっ♡♡♡」</p>
<p>「へぇ～敏感なんですかぁ♡　じゃあこんなのどうですかぁ？　小っちゃなおっぱいの膨らみを、指10本でこちょこちょこちょこちょーっ♡」<br />
「ふひゃぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡　ぁはひゃっ、ひゃめっ、くしゅぐったはぁぁぁっはははははははははははははひゃぅぁぁぁあっ♡♡♡」</p>
<p>「そのまま乳首もこちょこちょこちょーっ♡♡♡」<br />
「ふゃうゃぅぉぁやぁぁぁぁぁああっ♡♡♡　きひゃはっ♡♡♡　ぉ゛おっ、ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおっ♡♡♡」</p>
<p>「ぁ゛ー、いいですねぇ♡　リコちゃんホントに敏感でいーですねぇ♡　ほらほら、おまんこからどんどんエッチなお汁が出てきてますよぉ♡」<br />
「ほぉぉぉおおっ♡♡♡　そんにゃっ、ぉほぉぉぉぉぉぉぉおおおおっ♡♡♡」</p>
<p>ルグが秘所の状況を指摘すると、本当に愛液の量が増えていた。しかし果たしてそれは、体が先か、言葉が先か。</p>
<p>今まで性拷問にかけた相手の中でも極めて御しやすい相手だが、フランには思うことがあった。</p>
<p>（これで、どうやって情報を聞き出せばいいんだ？）</p>
<p>これが夜の営みなら、ただ相手に快感を与えるだけでいいだろう。しかしこれは性拷問だ。拷問であるからには、情報を聞き出さなければならない。そして情報を聞き出すには、快楽でもって苦痛を与えなければならない。これは単なる言葉遊びではなく、必要なことだ。</p>
<p>「あの、宇佐木さん。そろそろ情報を」<br />
「ふぁぉぉぉおっ♡♡♡　その声っ、その声はツボなんでしゅってへぇぇえっ♡♡♡」</p>
<p>（だめだこれ）</p>
<p>もう言葉責めの必要すらなく、ただ耳元でささやくだけで喘ぐ始末。</p>
<p>そもそも、普通に犯せばそれで済む話なのでは？　――フランがその疑問に行き着くのは当然のことだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>しかし彼女は同時に、もう一つの<ruby>疑<rt>・</rt></ruby><ruby>問<rt>・</rt></ruby>を抱いていた。</p>
<p>宇佐木リコの《能力》とは、つまるところ『外部から与えられる刺激の影響を受けやすい』ということだ。ルグはそれを言葉責めという形で利用しているに過ぎず、本来は聴覚に限った話ではない。</p>
<p>それならば――。</p>
<p>「宇佐木さん」<br />
「はぇ、へ――？」</p>
<p>フランは、言葉責めで蕩け切っているリコの目の前に、電動マッサージ器を差し出す。そしてリコがその物体をしっかりと認識したことを確かめてから、電源を入れたのだ。</p>
<p>電動マッサージ器がブゥンという音を立てて、激しく振動し始めた瞬間だった。</p>
<p>「ぃぎ――！！？　ひ――♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉおおお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>リコはまるでそれを自分の秘所に押し当てられたかのように腰を突き出し、悲鳴を上げながら絶頂を迎えた。あまりに強い《感受性》を持ったリコは、ただ動く道具を見るだけで、自分がそれで犯されているかのように錯覚したのだ。</p>
<p>「はわぁっ♡　せんぱい、天っ才～♡」</p>
<p>その時の、ルグの目の輝きようといったら、まるで新しいおもちゃを見つけた子どものよう。優しく蕩けるようなASMRが、激しく身を引き裂かれるような性拷問に変わった瞬間だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ねぇねぇリコちゃん♡　次、こういうのはどうですかぁ♡」<br />
「ふぎぃぃぅぉぉぉおぉっ♡♡♡♡　なんですかっ、なんですかそのいぼいぼぉぉぉっ！！！？　ほぉっ、ぉぉぉ゛ぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡」</p>
<p>リコが天井からぶら下がったフックから取り外して持ってきたのは、無数のいぼが付いたバイブだった。まだバイブのスイッチは入ってもいないというのに、リコは濁った喘ぎ声を上げ、腰をかくかくと振り始める。</p>
<p>「すいっちおーん♡」<br />
「ぉ゛ほぉ――ッ♡♡♡♡　ぉ゛ごっ♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉおお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>そしてスイッチを入れると、まるで悲鳴のような喘ぎ声を上げるのだ。それはもはや、催眠術か何かに掛かっているかのようだ。</p>
<p>異能というものは、人々の常識を凌駕する。しかし世の中には、身に付けないほうがいい《能力》も存在するらしい。</p>
<p>「ちょっとぉ゛♡　電源入れただけでイカないでくださいよぉ♡　このバイブは、こうやってぇ、いぼいぼを擦り付けるように動かしたほうが気持ちいいんですよぉ？」<br />
「ぉごっ、ぉ゛ぉぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡　中っ、えぐれっ、えぐれる゛ぅぅぅぅぅ♡♡♡　ぅぉっ、お゛っ♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>「あれあれぇ、またイッちゃいましたぁ？　ぇ゛へへへへー♡　それじゃあ、中にたまったお汁をかき出してあげますねぇ♡」<br />
「ふぎぁっ♡♡♡♡　はげしひっ、ひぎっ、ぎっ♡♡♡♡　ぃ゛あ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡」</p>
<p>ルグがまた興に乗り始めたから、フランは一歩下がって現状を考察した。</p>
<p>「意外と、<ruby>成<rt>・</rt></ruby><ruby>立<rt>・</rt></ruby>しているな」</p>
<p>当初のフランは、『感受性が強い』と言われてもまだぴんと来ていない部分があった。</p>
<p>物理的な刺激を与えずとも、視覚や聴覚、そして想像によって絶頂する――それは一見すると、現実よりも快感量が減ってしまいそうな印象がある。しかし、目の前の光景を見ていると、必ずしもそうとは言えないのかもしれない。</p>
<p>「ねえねえ、今度はこんなバイブなんてどうですぅ♡」<br />
「太ぉ゛ぉぉぉぉぉおおおっ♡♡♡♡　そんなふどいのっ♡♡♡♡　あしょこ壊れ゛――♡♡♡♡　スイッチ入れぢゃやだぁ゛ぁぁあああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡」</p>
<p>「次は、これにしますぅ？　こっちはお尻の穴用なんですよぉ♡」<br />
「わたし、おしりでなんてしたことな゛――♡♡♡♡　なにごれ゛――♡♡♡♡　なにごれ新感覚っ♡♡♡♡　ぅぐおっ♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉぉぉお～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>想像の良さとは、<ruby>自<rt>・</rt></ruby><ruby>由<rt>・</rt></ruby>である。</p>
<p>たとえ明らかに膣に入らないであろう極太のバイブでも、たとえ初心者の大部分が性感を覚えるに至らないであろう尻穴を使ったプレイでも。想像であれば、現実の壁を越えていくらでも自由に気持ちよくなることができるのだ。下手をしなくても、実際に体で感じるよりも気持ちいい場合は多い。</p>
<p>もっとも、現実にこれほどまで《感受性》の強い女性はそういない。異能を持ちつつ、実際に触れずともいろいろな道具で『気持ちよさそう』と思ってしまうぐらい<ruby>む<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby>なリコと、彼女の異能を《魔改造》できるルグだけの特権だ。</p>
<p>「……1番のメリットは、私が恥ずかしい言葉責めなんかをせずに済むことかな」<br />
「せんぱい、何してるんですか！　ほらほら、せんぱいも手伝ってぇ♡」</p>
<p>「……はいはい」</p>
<p>そして、2人による非接触の性拷問が続けられる。</p>
<p>拷問室には、さまざまな道具が置いてあった。その一つ一つを手に取り、その快感を、肉体を介さずリコの脳内に直接たたき込んでいく。</p>
<p>「これは、見た目だと分かりにくいでしょうか？　この小さな<ruby>口<rt>・</rt></ruby>がクリトリスを吸ってくれるやつなんですけど」<br />
「ふぉぉぉぉおっ♡♡♡♡♡　それ見だこどあるっ♡♡♡♡♡　めちゃくちゃきもぢぃやつぅぅぁぁぁあっ♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>「ちょっとマンネリしてきましたねぇ。リコちゃんリコちゃん、これクリちゃんにどうですかぁ？　2本の金属の棒を近づけるとぉ、電気がばちっとっ♡」<br />
「ぅぎゃっ♡♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　クリ壊れる゛っ♡♡♡♡♡　壊れぇぅぁえぉぁ○%♭×！$☆#▲※～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>「<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>なんてどうです？　今まで使ったことがないんですよぉ♡　ヤバすぎて」<br />
「まあ、人間に使うにはちょっと、ね。下手すれば死ぬ。<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は」</p>
<p>「なにぞれなにそれ゛な゛にそれぇぇぇぇぇえ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡♡　ぃぎゃっ、ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>実際に行っていることは、ただ道具が動く様子を見せつけているだけ。しかしリコにとっては、無数の道具で犯されているのと同じだ。</p>
<p>下手な拷問よりもよほどきつい。少なくとも、意志の弱そうなリコのような女性に対して、いきなり行うようなことではない。</p>
<p>「もういや゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡　ぜんぶっ、ぜんぶ話しますから゛ぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡」<br />
「え゛ー？　でも、まだこの部屋にあるの、2割ぐらいしか試してないですよぉ？」</p>
<p>「もうやだっ、もうやだぁ゛ぁぁぁぁぁあああああああっ♡♡♡♡♡　いぐっ、またいぐっ、いぐいくいぐ――♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぎゃ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡♡」</p>
<p>今日の<ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby>はあっけなく終わるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>そうして全ての知りうる情報を吐いたリコは、気絶するように眠りにつく。</p>
<p>「せんぱい。拘束、解いちゃっていいんですか？」<br />
「脅威にならないからいいでしょ。余計な負担は掛けるべきじゃない」</p>
<p>あとは、彼女をクライアントに引き渡して終わりだ。</p>
<p>フランは、先ほどリコから聞いた情報を、頭の中で反芻した。取引先のことについて、いつ連絡が来たとか、どういう指示を受けたとか。そして顔をしかめた。</p>
<p>「こんな端切れみたいな情報を集めて、<ruby>表<rt>・</rt></ruby>のやつらはどうしようって言うんだか」</p>
<p>『仕事は仕事だ。依頼があるなら、私たちはどんな相手でも拷問しなければならない』――それは以前、フラン自身が言ったことだが、それでも思うことはある。</p>
<p>――こんな情報のために、私たちは罪のない一般人を拷問しているのか。</p>
<p>フランがため息を付くと、側に立っていたルグが思い出したように声を上げた。</p>
<p>「あ、そだ」<br />
「ん？」</p>
<p>「せんぱい。さっきの言葉責め、今度はこちらにどうぞ」</p>
<p>ルグの手に握られているのは、会社から支給されている携帯端末。</p>
<p>「……どうして？」<br />
「私用です♡」</p>
<p>「絶対にお断りだよ！」<br />
「あーん。朝のアラームに使おうと思ったのにー！」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>時間の都合だろうか。最近、フランとウルツアは休憩室でよく会う。</p>
<p>一日の業務の終わり際、スパートをかける夕方時。拷問以外の仕事を持っていないルグは、すぐに帰宅してしまう。この時間に休憩室を使うのは、既に仕事を終えたフランと、暇を持て余したウルツアだけだった。</p>
<p>「また死にそうな顔してやがる」<br />
「む……」</p>
<p>足を組んでベンチにだらしなく座るウルツアにそう言われて、自販機からジュースを取り出したフランはまた自分の頬を右手で触れた。今日はより一層、表情筋を硬く引き締めていたはずだったのに。</p>
<p>「君は、エスパーか何か？」<br />
「はぁ？」</p>
<p>フランの問いに、ウルツアは思わず噴き出しそうになった。《能力者》に対して『エスパーか？』と問うほど間抜けな質問があるだろうか。</p>
<p>「私、疲れてるかな……？　いや、《能力》の影響？　だけど、そんな現象、今まで起きたことは……」<br />
「おい、何だよ」</p>
<p>「……この子がそんな、コミュニケーション能力に優れているようには思えないし」<br />
「おーし分かった。ケンカ売ってんだな」</p>
<p>ウルツアはその言葉に少しムカついたけれど、それ以上の怒りや憎しみの感情はなかった。あんなにも気に食わない相手が、訳も分からず取り乱しているのが、少しおかしかったのだ。</p>
<p>ぶつぶつと呟いていたフランは、少したってからようやくウルツアのほうを向いた。</p>
<p>「あー、何だろう。いろいろと考える余地はあるけれど、一言で表すなら」<br />
「何だよ」</p>
<p>「私と君は、案外ウマが合うのかもしれないね」<br />
「はぁ！？」</p>
<p>くすりとも笑うことなく吐かれたその言葉に、ウルツアの顔があっという間に赤くなった。</p>
<p>「テメェ調子に乗ってんじゃねぇぞ！？　少しオレより強いからって、なれなれしいんだよッ！！」<br />
「強さは関係ないし、あえて言うなら『少し』どころではないかな」</p>
<p>「いいか、テメェなんかすぐに<ruby>ノ<rt>・</rt></ruby>してやるからな、覚悟しとけ！！」<br />
「……君はどうしてそう、腕っ節でしか物事を考えられないんだ？」</p>
<p>ウルツアはそう言って、立ち上がりかけた体をどかりとベンチに落とす。その顔は真っ赤で不機嫌そうではあったが、フランと一緒にいる空間から出ようとはしない。</p>
<p>自販機のグアバ焼き芋ジュースを啜りながら、『何だよこのイカれた味……』と終始呟き続けるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【第4話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:56:55 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】一人に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【攻】女性が責める]]></category>
		<category><![CDATA[アソコ]]></category>
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					<description><![CDATA[#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</h3>
<p style="text-align: right;">#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ウルツアが入社してから、3週間がたった。</p>
<p>朝早くに起きて、身支度と洗濯をして、食事をとってから会社に行き、訓練に励む――そんな平和な日常が、いよいよもって変わる時。</p>
<p>「明日が、初めての<ruby>実<rt>・</rt></ruby><ruby>践<rt>・</rt></ruby>だね」<br />
「ああ」</p>
<p>夕方。珍しくウルツアの訓練に長く付き合ったフランがそう言った。</p>
<p>傭兵は戦うために存在する。ウルツアがこの会社に入社したのもそのためだ。いつか必ず来る日であり、わざわざ驚くことはない。むしろ、基礎的な訓練に励む時間が3週間も与えられたと思うと、過保護ですらある。</p>
<p>しかし、不安はあった。</p>
<p>「……オレはまだ、テメェに勝ってねー」<br />
「気にしなくていい。今まで言わなかったけど、私は白兵戦に関してはそれなりに強いほうだから」</p>
<p>「知ってるよ」</p>
<p>フランの言葉は、まるで嫌味に聞こえないぐらい、ただ真実を述べたものだった。それどころか、『それなり』という言葉が、謙遜にすら聞こえる。全くの素人ではないウルツアが、今まで見たことのない強さなのだから。</p>
<p>そんな相手だとしても、ただの一度も白星なしとなれば、自信が揺らいで当然のことだった。握られた手の中が汗ばんでいく。</p>
<p>少しだけ下を向いたウルツアに、フランの声が落とされた。</p>
<p>「ウルツア」<br />
「あ？」</p>
<p>「<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>私<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby><ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>に、君は驚くかもしれない。だけど、何も言わなくていいし、ただじっとしていてほしい」<br />
「んだよ。今集中してんだから、邪魔すんな――」</p>
<p>ウルツアの言葉はそこで止まる。息を詰まらせるように黙り、そして目を見開く。</p>
<p>フランが、ウルツアのことを真正面から優しく抱き締めたからだ。</p>
<p>「な、ななななななななっ！！？　何して、テメェ――！！？」<br />
「じっとしてな」</p>
<p>「じっとしてられっか！！　こんな、こと！！？」<br />
「女友達同士のスキンシップと同じように考えればいい」</p>
<p>「テメェはダチじゃねーだろ！！」<br />
「いいから。うるさいよ」</p>
<p>最初は困惑したし、恥ずかしくて顔が燃えてしまいそうだった。ウルツアとて、他人に触れられて顔を赤らめるほど純情ではない。相手がよりにもよってフランだということが問題なのだ。</p>
<p>「っ……」</p>
<p>だけど『じっとしていろ』と言われたからそうしていたら、段々と体が落ち着いてくる。頭をなでられると、心地よくて目を細めてしまう。こんな風に、人と触れ合ったのはいつ以来だろうか。</p>
<p>こわばった心が解れ切ったとき、フランはようやくウルツアを解放した。</p>
<p>「もう、大丈夫そうだね」<br />
「ど、どうしていきなり、あんなことしたんだよ……」</p>
<p>ウルツアが、真っ赤な顔を背けながらフランに問うた。</p>
<p>「君が不安そうだったから」<br />
「声掛けるとか、もっと他にやることあんだろ。<ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>ねぇっつってんだよ」</p>
<p>「それに答えたら、君はきっと怒るよ」<br />
「答えなけりゃ、もっと怒るぜ」</p>
<p>正論だ。これだけのらしくないことをしておいて『何でもない』は、それこそない。フランは『仕方ない』と、ため息を付いた。</p>
<p>「君が寂しそうにしていたからだよ」<br />
「いつだよ」</p>
<p>「いつも。特に、私が誰かと話している時」</p>
<p>ウルツアはそれを肯定しなかったが、しかし否定することもなかった。</p>
<p>彼女の様子が大人しいままだったのが予想外だったのか、フランはほんの少しだけ目を大きく開いて、彼女のことをじっと見つめた。いかに心を読むことができても、その人となりを正確に把握できるわけでもなければ、未来を読むこともできない。</p>
<p>「君には、親がいないんだろう」<br />
「社長から聞いたんか」</p>
<p>「いや。でも、この会社に来た経緯を考えれば、嫌でも想像が付く。今の世の中、孤児院……児童養護施設はほとんど機能していないからね」</p>
<p>それは《能力》という存在の弊害。</p>
<p>《能力》を悪用した犯罪、違法な研究の急増。それを抑えんとする、《能力者》による傭兵会社の乱立。《能力者》同士が街々でぶつかりあい、あまたの血がアスファルトを赤黒く染める、最悪のマッチポンプ。当然のように、親を失ってさまよう子どもも多い。ウルツアもその1人だった。</p>
<p>孤児を保護する施設はあっという間に定員に達し、よほど運が良くなければ入れない。守ってくれる存在のいない子どもが生き残る道は、そう多くない。誰かの奴隷になるか、娼婦になるか。あるいは、それらの末路を許さない絶対的な力を得るか。</p>
<p>「親のことは覚えてねー。物心が付いた時には、もう施設にいた。だけど出ていった。……あそこは、居心地が<ruby>悪<rt>わり</rt></ruby>ぃ」<br />
「本当は、施設に入れない子のために<ruby>枠<rt>・</rt></ruby>を譲った」</p>
<p>「……どうして、それを」<br />
「いや、<ruby>鎌<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>け<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>だけ。君を見ていると、何となくそう思った」</p>
<p>「クソが」</p>
<p>ウルツアは『嫌なことを思い出させやがって』と思った。13歳か、14歳ぐらいの時だったか、自分よりもずっと幼い子どもが、施設の前で泣いていたのだ。</p>
<p><ruby>外<rt>・</rt></ruby>がどうなっているか分からないほど、愚かではなかった。勇気の要る決断だった。みんな心配した。だから、強そうな格好をした。だから、強そうな武器を持った。だから、強そうな言葉を使った。そして、強くなった。みんなが『あいつは大丈夫』と思えるように。</p>
<p>「……君は、まぶしいな」<br />
「何だって？」</p>
<p>「いや、何でも。とにかく、君はそれで心をすり減らした。そしてここは、命のやり取りをする危険な傭兵会社で、君はその新米社員だ。いろいろと精神的に参ることもあって当然だ。私は君の家族じゃないし、ただの一先輩に過ぎない。だけど、いや、『だから』と言うべきかな」</p>
<p>そしてフランはまた、ウルツアの頭に手をぽんと置いて言うのだ。</p>
<p>「まあ、君が半人前の間は、心のケアも多少はするよ」<br />
「……うるせーよ。クソお節介」</p>
<p>「……『<ruby>ク<rt>・</rt></ruby><ruby>ソ<rt>・</rt></ruby>お節介』、ね」<br />
「あ？」</p>
<p>「いや。みんな、どこかで似るんだなって思ってさ」</p>
<p>相手の厚意をむげにしかねない返答だったから、ウルツアは一瞬『怒らせてしまったか？』と思った。だけどウルツアの予想に反して、フランの表情は少しだけ笑っているように見える。</p>
<p>『こいつ、笑うんだな』――ウルツアは心の中でわざと毒づく。毒づかなければ平静を保てないぐらい、彼女の表情に見とれていたから。眉をひそめ、目を細めるように笑うそれは、儚いフランシウムのよう。</p>
<p>フランが他の誰かと話している時、寂しそうにしている――それは先ほど、ウルツアが否定できなかったことだ。だって、少しだけ、本当に少しだけ、彼女は思ったことがあるから――もしも自分に家族がいたら、もしも自分に姉がいたら、それはフランのようかもしれない、と。</p>
<p>「……フラン、テメェは」</p>
<p>「ほら、これから明日のブリーフィングでしょ。そろそろ時間だよ」<br />
「やべっ、早く言えよ！」</p>
<p>「社会人なら、時間管理ぐらいしてほしいな」</p>
<p>そうしてウルツアは、半ば無理やり訓練場を追い出されることになる。彼女はもう、明日の仕事のことで頭がいっぱいだったから、それ以上のことを考える余裕はなかった。</p>
<p>だけど、部屋から出る間際、フランの独り言が聞こえた気がした。</p>
<p>「……<ruby>半<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby><ruby>前<rt>・</rt></ruby>、ね」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>それから少したって、会社も、世間も、大騒ぎになったのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>それはまるで、戦争か何かが起きたような騒ぎだった。</p>
<p>今まで散々小競り合いを続けてきた、政府とニコ社の正面衝突。ニコ社が巧みに隠し続けてきた拠点施設がとうとう見つかり、あまたの警察部隊と傭兵たちがなだれ込んだ。無論、ニコ社も黙ってはいない。彼らは多数抱え込んでいた自社の戦闘要員と、雇い入れた傭兵たちで迎え撃つ。都市のど真ん中で《能力者》同士がぶつかり合い、死者は100人超、数十の施設が巻き込まれる。</p>
<p>しかしそれは、混沌とした時代のちょっとした明滅に過ぎない。周辺に存在する何十社もの傭兵会社を巻き込んだ戦いは、瞬く間に波及し、そしてたった一晩のうちに収束した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>裏方の仕事というのは、<ruby>鈍<rt>・</rt></ruby><ruby>痛<rt>・</rt></ruby>のようだ。世間を騒がせるような大きな衝撃がやんでなお、鈍く、不快な痛みがまとわり付いてくる。我々は勝利した――そんな事実すら忘れてしまうぐらいだ。</p>
<p>「……どういうこと、Vi」<br />
「何だい。珍しくマジギレじゃないか、フラン」</p>
<p>いつもの<ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby><ruby>場<rt>・</rt></ruby>にて、フランは、頭に包帯を巻いたViに問うた。いつも散々『クソババア』呼ばわりしていたフランが、今日は名前で呼んでいた。</p>
<p>「この仕事、本気？」</p>
<p>フランの視線の先にいるのは、今日の拷問対象である少女。</p>
<p>少女、否、女性か。肩の上で切りそろえた髪。丸顔で、やや垂れ目。身長は150cmあるかどうか。童顔で背は低いが、その割には胸や尻が大きく、女性的な艶は十分。成熟した大人の女性であることがうかがえる。</p>
<p>彼女に対する処置は、今まで拷問してきた誰よりも厳重だった。拘束衣を着せた上で、さらに直立させたまま幾十もの革具で柱状の土台にがんじがらめにされている。拘束衣は胸部や秘部に穴が空いた性拷問専用のものではあるが、それ以外には一切の遊びが許されていない。</p>
<p>「こいつの名前はシアン、ニコ社に雇われていたナット社所属の傭兵。苗字は知らない。そも、シアンという名前が本名なのか偽名なのかも分からない。ただ一つ間違いないのは、実力は文句なしの《特級》。アタシの見立てでは、向こうで一番<ruby>ヤ<rt>・</rt></ruby><ruby>バ<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>やつさ」</p>
<p>Viが説明する傍ら、ルグが渡された資料に目を通している。</p>
<p>政府から提供された、《能力者》のデータベースの中身、目の前の拷問対象について。しかし、年齢、出身、経歴――その項目の大部分が空欄であり、しかも政府の者が代理人として申告している。恐らく間に合わせで登録したのだろう。情報としてはまるで役に立ちそうにない。</p>
<p>数少ない情報は、名前がシアンであるということ。そして、彼女の《能力》は。</p>
<p>「《時間停止》……ですか？　ザ・ワールドって実在したんですね」</p>
<p>時間を止める――それはフィクションの世界でも『最強』と称されることがままある《能力》だ。その説に議論の余地はあろうが、強力であることには変わりない。時間を止めるとは、一体どういったメカニズムなのか？　世界全てに働きかけるほどの膨大なエネルギーを、一体どこから工面しているのか？　現代科学のあらゆる理屈が通じないそれは、まさに異能と呼ぶにふさわしい。こうして相対すること自体、最大限の注意を払う必要がある。</p>
<p>しかしフランにとってはこの際、彼女の情報なんてどうでもよかった。それよりも。</p>
<p>「私たちに<ruby>依<rt>・</rt></ruby><ruby>頼<rt>・</rt></ruby>しておいて『聞き出すことは何もない』って、どういうことだ」<br />
「そのままの意味さ。アンタはただ、こいつに拷問してやればいい。期限はない」</p>
<p>「理由を聞いているッ！！」</p>
<p>それは異様な依頼だった。拷問とは本来、口の固い相手から情報を聞き出すためにある。しかし今回、『聞き出すことは何もない』と言うのだ。それなら一体、何のために拷問するというのだろう？</p>
<p>しかし、それはあくまでもフランの認識にすぎない。いや、フランもうすうす感じ取っていることだった。聞き出す情報がなくとも、拷問を行うことはある。その理由とはすなわち――。</p>
<p>「<ruby>報<rt>・</rt></ruby><ruby>復<rt>・</rt></ruby>さね。アタシらの客は、こいつに随分とカンカンなのさ」</p>
<p>「彼女はただの雇われだ、ニコ社の人間ですらない」<br />
「知るかい。傭兵も、警察も、政府の人間も、こいつに大勢やられた」</p>
<p>「彼女の所属するナット社と言ったら、それなりの大企業だ。傭兵同士、仕事で衝突してもお互いに割り切るのが暗黙のルールだけど、これは逸脱している。敵対する気か」<br />
「逆さ。今、孤立しているのは向こうだ」</p>
<p>「納得できると思うか」<br />
「思わないねぇ」</p>
<p>その会話は、いつもの口論とは随分と違う。</p>
<p>フランの声音には本当に余裕がなく、Viの声音は本当に冷たいもので。</p>
<p>「だけどな、フラン。アタシらの<ruby>客<rt>・</rt></ruby>がどれだけデカい相手か、知っているだろう」<br />
「っ」</p>
<p>「それと、アンタだから頼んでるんだ。……<ruby>他<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>任<rt>・</rt></ruby><ruby>せ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>？　コイツを」<br />
「くそっ！」</p>
<p>心を読むフランと、他人の《能力》を封じ思うがままに改造してしまうルグ――彼女たちは《能力者》を拷問するのに、これ以上ない2人。おまけに、フランは強い。故に、危険な案件が彼女たちに集中することも珍しくなかった。</p>
<p>『頼んだよ』――Viはそう言って踵を返す。彼女が部屋から出る間際、フランが口を開いた。</p>
<p>「……Vi、大丈夫なの」<br />
「あ？　何だい」</p>
<p>「その頭のけが」<br />
「はん！　こんなかすり傷で死ぬほどやわじゃないよ」</p>
<p>Viはふんと鼻息を鳴らして、両手に持った二丁の拳銃を指に引っかけて回してみせた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>拷問が始まる。</p>
<p>「――相談は終わりかな？」<br />
「……ええ」</p>
<p>全身をがんじがらめにされたシアンは、くあっとあくびしながら言った。それは、これから性拷問を受ける人間の態度ではない。</p>
<p>「ええと、フラン、って呼ばれてたよね？　君、傭兵を初めて何年目？」<br />
「答えると思いますか？」</p>
<p>「うーん。見た感じだと、きっと<ruby>僕<rt>・</rt></ruby>と同じぐらいだと思うんだよねぇ。年も、経験も」<br />
「だから？」</p>
<p>「その割には、<ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>ぶ<rt>・</rt></ruby>だなぁって」</p>
<p>シアンはけらけらと笑った。秘所を晒したまま全身を動けなくされて、今まさに無限に犯されようとしている女性が、その相手を前にして笑うのだ。</p>
<p>「君は何ていうか本当に、大事に大事にされてきたんだねぇ。気付いてないの？　自分では汚れ役を買って出ているつもりだけど、本当は誰よりも過保護にされている」<br />
「……無駄話をするつもりはありません。始めましょうか」</p>
<p>「できるの？　君みたいな<ruby>箱<rt>・</rt></ruby><ruby>入<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>姫<rt>・</rt></ruby><ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby>がさ」<br />
「やると決めたらやる。それが私たちだ」</p>
<p>「ふーん、そう♪」</p>
<p>シアンはにやにやとした笑みを浮かべ続けるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ルグ。君は、彼女の《能力》の制御にだけ集中して。拘束されていても、何をしでかすか分からないやつだ。極力、彼女に近づかないこと」<br />
「はい……」</p>
<p>普段は意気揚々と拷問に臨むルグも、相手が《特級》の傭兵ともなると緊張せざるを得ない。</p>
<p>フランが部屋の隅から重々しく取り出したのは、小型のチェーンソー<ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>よ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>だった。</p>
<p>本物のチェーンソーではない。拷問室などという場所で日曜大工に興じるわけもなければ、拷問対象を切り刻むような猟奇趣味も、意義もない。回転する刃の部分がシリコンで作られており、無数の柔らかな凹凸が相手を性的に犯すのだ。</p>
<p>側で見守るルグはひっそりと、『らしくない』と思った――いつものせんぱいなら、いきなり<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>を選ばない。</p>
<p>シリコンの刃に粘性の高いローションがかけられ、回転を始め、シアンの股間に押し当てられていく。</p>
<p>「んぁんっ♡　ぁっ！　ぁぁぁあ～～～～っ♡」</p>
<p>拘束衣がきちりと鳴る。シアンは、身動きが取れないなりに腰を前に突き出して、甘い声を上げ始めた。</p>
<p>回転するシリコンの動きは、けっして速いものではない。刃の凹凸をしっかりと味わわせるように、ゆっくりと舐るように回転している。もしもこれが自転車のタイヤなら、ふらふらとバランスを崩してしまうだろう速度だ。</p>
<p>「ぁ～♡♡　これっ、ちょっとくすぐったいっ♡　でもっ、んっ♡　ぁっ、結構いいかもぉっ♡♡」</p>
<p>フランが一見した限り、シアンという女性の性感は、人並みと言っていい。特別敏感というわけではないが、不感というわけでもない。つまり、性拷問に支障はないということだ。フランの手に掛かれば『死んだほうがマシだ』と思えるぐらいの快感を与えることができる。</p>
<p>……それなのに、この余裕は何だ？</p>
<p>フランは、自分の背筋がじりじりと熱くなっていくのを感じた。機械のハンドルを握る手に、余計な力が入っていることに気付く。意識的に力を緩めながら、ハンドルにあるダイヤルを回した。</p>
<p>「ぁん゛んっ♡♡♡　動きっ、速くなってぇぇぇえっ♡♡♡　ぁっ、ぁっあっぁっあっ♡♡♡　ぁぁぁぁあ～～～～っ♡♡♡」</p>
<p>確かに効いている、喘いでいる、筋肉も反射による痙攣を続けている。だけどその態度は、まるで性感マッサージでも受けているかのように穏やかだ。フランの《能力》があれば、ただの強がりかどうかが容易に分かる。彼女のそれは、本物だ。</p>
<p>――なぜ？　自分が助かるとでも思っているのだろうか？　救援、あるいは自力で脱出？　いや、あり得ない。仮に何かあったところで、ここにはViがいるし、自分もいる。そもそも、策を弄しているような心の<ruby>色<rt>・</rt></ruby>をしていない。自分が助かるかどうかなんて関係ない。目の前の女はただ、今の状況を愉しんでいるだけだ。</p>
<p>頭のネジが飛んでいると言っても差し支えない。</p>
<p>「せんぱい。私のほう、少し待ってください。《能力》を捕まえるのに、時間が掛かってます」<br />
「構わない」</p>
<p>フランはルグのほうを振り向くこともなく応えた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ねーぇー♡」</p>
<p>シアンが猫なで声でフランにささやく。</p>
<p>「もうちょっと<ruby>上<rt>・</rt></ruby>のほうもしてよぉ。僕、クリちゃんのほうが感じるんだからさぁ♡」</p>
<p>ふざけている――フランはひっそりと顔をしかめた。拷問を受けている最中、わざわざ相手に自分の弱点を教え、あまつさえおねだりするだろうか。</p>
<p>フランは『それならお望み通りにしてやろう』と、回転するシリコンをクリトリスに押し当てる。拷問対象に拷問をコントロールされているような錯覚を受けたが、首を横に振ってそれを否定した。</p>
<p>「んひぅあ゛っ♡♡♡　ぁ゛っ、すごっ♡♡♡　皮がむけてっ、一気にぃぃぅぁぁぁぁぁああっ♡♡♡　ひゃぅぁぁぁぁぁああああああああんっ♡♡♡」</p>
<p>包皮がむけて、無防備なクリトリスが下から上に、連続でなめ上げられていく。シアンを包む拘束衣のぎちぎちという音が大きくなっていく。</p>
<p>申告通り、彼女のクリトリスは敏感だった。このまま回転するシリコンを押し当て続けるだけで、何の苦労もなく絶頂に至らしめるだろう。</p>
<p>しかし、そのときだ。</p>
<p>「……あ、あれ？」<br />
「どうした？　ルグ」</p>
<p>ルグが何か、戸惑ったような声を上げた。</p>
<p>フランは一度拷問を止める。シアンが『いいところだったのにー』なんて文句を言っているが無視する。そのまま、シアンから目を離すことなく背後の気配を感じ取ると、ルグの疑念、焦燥、緊張……さまざまな感情が感じ取れた。</p>
<p>「……せんぱい。その人の《能力》、『時間を止める』なんかじゃありません」<br />
「……何？」</p>
<p>途端、フランの頬を冷や汗が流れた。</p>
<p>相手の《能力》を測り違えることは、この仕事において致命的だ。今この瞬間に、未知の《能力》によって2人まとめて殺されても不思議ではないのだ。</p>
<p>ルグは緊張したまま、自らの《魔改造》を行使し続ける。目の前では、シアンが『へえ』と関心したように笑っていた。</p>
<p>「これ、たぶん……ただの《肉体強化》です。だけど、とんでもないレベルの。もう、いろんなパラメータが振り切っちゃうぐらいの」<br />
「どういうことだ？　虚偽の登録……いや、そもそも政府のデータ自体、間に合わせで登録されたものだったか」</p>
<p>《肉体強化》とは、あまりにありふれた《能力》だ。以前に見た《感覚強化》と同じように、具体的にどのような部分が強化されるかは各人による。筋力が強くなるのか、無尽蔵のスタミナを得るのか、自然治癒力が強化されるのか。しかしいずれにせよ、《時間停止》とはあまりにもかけ離れた異能であることには違いない。</p>
<p>フランが思考を巡らせ、そして最終的に立てた仮説は、ひどく<ruby>ば<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>げ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>ものだった。</p>
<p>「例えば、彼女が思いっ切り走ったら、<ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>ぐ<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>速<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>？」<br />
「……分からないです。《能力》が強すぎて、全然」</p>
<p>「もういいよ。理解した」</p>
<p>フランは短い問答で大方を察する。つまり、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>味<rt>・</rt></ruby>だろう。彼女はただ、動いているだけなのだ。時間が停止したと錯覚してしまうほど、<ruby>別<rt>・</rt></ruby><ruby>世<rt>・</rt></ruby><ruby>界<rt>・</rt></ruby>の速さで。</p>
<p>「あはは！　本当にすごいね、この会社。僕の本当の《能力》に気付くのが、2人もいるなんて！」<br />
「……1人目は、あのクソババアか」</p>
<p>『最初に言っておけよ』と、フランは悪態をつきたくなった。</p>
<p>本当の《能力》が判明したということは、決して彼女の底が知れたというわけではない。あまりに突拍子もない仮説が正しいということは、むしろ規格外の戦闘力の裏付けとも取れる。</p>
<p>「まあ残念ながら、僕の《能力》は、そんなに<ruby>馬<rt>・</rt></ruby><ruby>力<rt>・</rt></ruby>が出ないんだ。速く動くのは得意なんだけどさ。だから、この拘束を引きちぎることもできない」</p>
<p>その言葉は、『逃げ出す気はないから安心しな』と言っているかのようだ。わざわざ自分が不利になることを、平気な顔をして言うだろうか。フランは、目の前の女性がひどくおぞましくて仕方なかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ルグ、君は《能力》の解析を続けて」<br />
「は、はい……」</p>
<p>それから、性拷問が再開される。フランは回転するシリコンを、シアンのクリトリスに当てた。……少し過剰なまでに、速く、強く。</p>
<p>「んぎっ♡♡♡　ぁ゛っ、強、ぉ゛ぉぉぉぉおっ♡♡♡　ぁ、あ゛、ぁ゛～～～～～～～～っ♡♡♡」</p>
<p>シアンの喘ぎ声が明確に変わった。今までのように緩んだものではない。喉に、口に、全身に力が入っているのが分かる。シリコンの刃の回転に合わせて、少し大きめのクリトリスがぴこぴこぴこと跳ねている。</p>
<p>大丈夫、全てが順調だ。手落ちは何一つない――フランは心の中で何度もそう唱えながら、シアンのクリトリスにシリコンの刃を当て続けた。</p>
<p>「ぁ、ぁ、あ゛――♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　んぐっ、あ――♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>それでようやく、シアンが一度目の絶頂を迎える。</p>
<p>全身を包み込む拘束具がぎちぎちと鳴り、つま先が伸びる。噴き出た愛液が回転するシリコンに当たって飛び散った。大丈夫だ、この女も人並みに感じる、ならば問題ない――フランは心の中で唱え続ける。</p>
<p>……それなのに、背筋にまとわり付く妙な寒気は、一体何なのだろう？</p>
<p>「はぁっ、は……♡　ははっ、こんなに気持ちいの、初めてぇ……♡」</p>
<p>これだけ激しい絶頂を迎えておきながら、シアンは笑い続ける。けっして強がりではない、その表情は心の底から本物で、まるでこたえる様子がない。</p>
<p>どうするべきか、フランは策を巡らせる。今まで数多くの拷問を行ってきた経験から、ありったけの選択肢を絞り出す。このまま刃のごとき鋭い快感をぶつけ続けるか、甘く蕩けるような快感にシフトするか、羞恥心をあおってみるか、それとも――。</p>
<p>しかし、そんなあまたの選択肢を全て吹き飛ばすような、静かな衝撃が彼女を襲うのだ。</p>
<p>「――ねえ、君。<ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>？」<br />
「……何？」</p>
<p>その質問は、シアンの口から落とされたものだった。</p>
<p>「いやあ、この会社はすごいよね！　小さいのに珍しい《能力》を持った人が多いし、それ以前に強い人が多いこと。中でもあのおばあちゃんは別格だね、もう笑うしかない強さだったよ」<br />
「その褒め言葉は、あのクソババアに直接伝えたらどうだ」</p>
<p>「……でもさ、あのおばあちゃん程ではないにせよ、君も《特級》の傭兵だよね？　<ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>？」<br />
「私の名前は、国の『要警戒能力者リスト』には入っていない」</p>
<p>「見てれば何となく分かるよ。仮に、政府にまだ目を付けられてなかったとしても、君、強いよね？　もしかしたら、僕と同じぐらいには」</p>
<p>シアンのまなざしは透明で、深い。まるで全てを見透かすような、性拷問を受けている人間の浮かべるべきでない表情に、フランの息が止まった。</p>
<p>「君は本来、<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>に出るべき人間のはずだ。それだけの力を持っているのに、どうして女の子を犯すなんてくだらない仕事をしているのかな？」<br />
「仕方なくやっているだけだ。適正に合っているし、稼ぎも良い」</p>
<p>「……そうやって、自分に言い訳するんだ」<br />
「っ……」</p>
<p>笑みを深めるシアン。奥歯をかむフラン。</p>
<p>「ねえ、本当はさ、もっと僕のこと犯したいんじゃないの？　ほら、おっぱいに思いっ切り吸い付いてさ、私のアソコと君のアソコをこすり付け合ってさぁ♡　そうしたらいいじゃない？」<br />
「そんなわけ、ないだろ……！」</p>
<p>「だってさー、それぐらいしか理由なくない？　分かる？　君は何だかすっごくつらそうな顔してるけどさ。全部ぜーんぶ<ruby>君<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby><ruby>選<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>なんだよ？」<br />
「自分の立場を、理解しているのか……ッ！」</p>
<p>「ふふふ。自分で選んだくせに、被害者面しちゃってさ。君みたいな歪な人間は、そうそういないよ」<br />
「――いい加減にしろッッ！！！」</p>
<p>フランは叫び、シアンの頬を力任せにつかんだ。少し裏返った声は、どこか子どもが駄々をこねる時の声にも似ていた。</p>
<p>「その口、二度と利けなくしてやろうか……ッ！」</p>
<p>それに対して、シアンは笑みを深くする。今のフランにとっては、そのふざけた表情を見るだけでひどくいらいらしてくる。まるで、ひとたび触れるだけで心身を冒していく劇薬のようだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ルグ、《能力》の解析は」<br />
「は、はいっ」</p>
<p>ルグは顔を青ざめさせながら、フランの指示に応える。フランが仕事中にここまで激高したところなんて、ルグは見たことがなかった。</p>
<p>「さ、さっきは《肉体強化》って言いましたけど、具体的には、やっぱり<ruby>速<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby><ruby>動<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>ことに特化しているみたいです。体を《加速》させるのはもちろん、それに伴って思考の《加速》も……」<br />
「体は分かる。思考、とは？」</p>
<p>「せんぱいは、『タキサイキア現象』って分かりますか。もっと簡単に言えば、<ruby>走<rt>・</rt></ruby><ruby>馬<rt>・</rt></ruby><ruby>灯<rt>・</rt></ruby>です」</p>
<p>フランは、沸き立った頭を無理やり冷まして思考する。</p>
<p>先ほどシアンは、『自分の《能力》はそれほど馬力が出ない』と言っていた。あくまでも速度に特化した《能力》であると考えれば、つじつまは合う。今の処置、彼女をがんじがらめに拘束するというのも、対処法としては実に有効だろう。</p>
<p>そして思い付く――思考の《加速》、ね。</p>
<p>「ルグ、君の《能力》を借りたい」<br />
「はい……」</p>
<p>《魔改造》、それはルグの異能だ。しかし、ルグはそう応えながら、今までの仕事を思い返した――いつも自分が勝手にやってきたけれど、もしかして初めてじゃないか？　この人が自分に、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>指<rt>・</rt></ruby><ruby>示<rt>・</rt></ruby>を出すなんて。</p>
<p>フランの技巧があまりに卓越しているおかげで、ルグは相手を無力化するだけで十分な仕事をしているのだ。《能力》を性拷問に適した形に改ざんすることは、本来、<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>ぎ<rt>・</rt></ruby>だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「なになに？　次はどんな道具で気持ちよくしてくれるのかなぁ♡」<br />
「……すぐに分かる」</p>
<p>フランが新たに取り出したのは、電動のブラシだった。</p>
<p>日曜大工か何かで使う電動ドリルの先端が、ドリルではなくブラシに換えられている。直径10cmほどの円盤の表面がポリエステル樹脂の毛に覆われていて、電源を入れると回転するのだ。それは屋外のインテリアだとかを洗うために使うものであり、本来、人の体に使うものではない。</p>
<p>しかしフランは、この拷問室に置かれた道具の中で最も苛烈な刺激を与えるそれを、何のためらいもなく手に取り、シアンの股間に押し付けたのだ。</p>
<p>「んぎッ♡♡♡♡　ぁ゛、ぁぁぁぁぁぁぁぁあっ！！！？　これっ、強――ッ♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁああああああああーーーーーーーーッ！！！？」</p>
<p>シアンは悲鳴を上げた。</p>
<p>歯ブラシと同じ素材で作られているポリエステル樹脂の毛は、しかし歯ブラシのそれよりも太く、硬い。下手に使えばただ痛みを及ぼすだろうし、熟達したフランが使っても、その快感はあまりに鋭すぎる。肉体に拒絶反応を引き起こさせるほどだ。</p>
<p>そんな快感が、シアンの秘所を余すことなく削っていく。内股も、会陰部も、膣口も、そしてクリトリスも。無遠慮で強烈なそれは、『陵辱』という言葉がふさわしい。</p>
<p>「っぐっ、ぅ゛ぅぅぅうッ♡♡♡♡　これっ、体っ、おがしぐなりそ――ッ！！！？　ぉお゛♡♡♡♡　ぉ゛ぉ、ぉぉぉぉぉぉおおおおおおッ♡♡♡♡」</p>
<p>気持ちいいはずなのに、あまりに心地よさとは無縁な快感のせいでイケない。そもそもこれが、本当に『気持ちいい』なのか疑ってしまうほどだ。シアンの全身を、脂汗が流れていく。</p>
<p>しかしどんなに鋭くとも、それは紛れもなく<ruby>快<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby>だ。快感は確実に、体に降り積もっていく。全身が内側から緊張し、呼吸が浅くなっていく。</p>
<p>そして快感が肉体の許容量いっぱいまでたまりきった瞬間、フランは電動ブラシを、シアンの秘所からほんの少しだけ浮かせるのだ。</p>
<p>「ひゃぅぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡　いきなりっ、優し、ヒ――♡♡♡♡　ぁっ、ぁぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡」</p>
<p>それは相手の心を読み、何十何百もの性拷問を行ってきたフランだからこそできる、絶妙な調整。ブラシの先端が秘所を優しくくすぐることで、体にたまった鋭い快感が全て、絶頂に至らしめる甘い快感に変わるのだ。</p>
<p>「ぁ゛っ、あっぁっあ――ッ♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　んぐっ、ぅあ゛――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッッッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>シアンを包む拘束衣から、ぎちぎちぎちというけたたましい音が鳴り響く。秘所から噴き出す体液は、もはや愛液なのか、潮なのか、尿なのかも判別できない。</p>
<p>絶頂の瞬間、フランは電動ブラシをシアンの秘所から遠ざけた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>あまりに激しく、しかしたかだか1回の絶頂。それにシアンは、今までとは違う反応を見せた。</p>
<p>「は、へ……♡♡♡♡♡　ぇ、へ、ぇ……♡♡♡♡♡　へ……♡♡♡♡♡」</p>
<p>うつむかれた顔から、一滴の涎が垂れる。まるで寝起きのように、ぼうっとした表情を浮かべている。そして首を曲げ、左右を見渡してから、口を開くのだ。</p>
<p>「ぁ、ぇ……？　<ruby>今<rt>・</rt></ruby>、<ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby>……？」</p>
<p>それは、あまりにも意図をつかみかねる質問だった。しかしその<ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>味<rt>・</rt></ruby>を十全に理解しているフランは、少し歪んだ答えを返す。</p>
<p>「どうした？　ほんの十数秒程度の絶頂だ」<br />
「へ……？　じゅ、す……？」</p>
<p>そしてまた、回転するブラシがシアンの股間に押し当てられた。</p>
<p>「んぐっ、ぉ゛♡♡♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉぉぉぉおおおおおおっ♡♡♡♡♡　ぎッ、ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>性感というものは、<ruby>経<rt>・</rt></ruby><ruby>験<rt>・</rt></ruby>に大きな影響を受ける。痛みと誤認しかねないあまりに強烈な感覚でも、一度絶頂に至ることができたなら、二度目は容易い。</p>
<p>シアンの体が勝手に、鋭い快感を取り込み、染み込ませ、なじませていく。</p>
<p>「っぐっ、ぁ゛――♡♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぃぎっ、ぃ゛――♡♡♡♡♡　ぎぃぃ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>するとシアンは鋭い快感だけで、絶頂に至る。その反応は先ほどに劣らず大きい。先ほど体液を出したばかりだから、秘所から噴きだす体液の量は今度少なく、代わりに体を一層大きく痙攣させる。</p>
<p>フランはまた、ブラシを遠ざけた。</p>
<p>「ぁ゛、ぇ……♡♡♡♡♡　へっ、へっ、へぇぇ……♡♡♡♡♡」</p>
<p>また、シアンがうなだれる。うつろな表情を浮かべ、よだれを自身の大きな胸に垂らす。</p>
<p>絶頂による余韻と消耗で体が弛緩することは、特段珍しいことではない。しかし、先ほどまで絶頂してなお散々余裕ぶっていたシアンが突然一言も話せなくなるのは、少し異常だ。</p>
<p>そしてまた、端から見れば不可解な問答が行われる。</p>
<p>「これ、あれ？　<ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>日<rt>・</rt></ruby>……」<br />
「拷問が始まってから、まだ30分もたっていない」</p>
<p>「へ、うそ……」</p>
<p>フランはそう答えてから、またシアンの秘所にブラシを押し当てるのだ。</p>
<p>「ぁあ゛――♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁあああああああああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>もはや、絶頂までのタイムラグはなかった。脳が快感を認識した瞬間に、そのまま絶頂する。最初はまだ弱い絶頂から始まるのに、過剰な快感がなだれ込むせいでどんどん強い絶頂となっていき、フランがブラシを離すまでそれが続く。栓が壊れてしまった蛇口のようだ。</p>
<p>三度目の絶頂を迎えてから、シアンはまるで酩酊状態のような滑舌で呟いた。</p>
<p>「そう、か――♡♡♡♡♡　これ、<ruby>思<rt>・</rt></ruby><ruby>考<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby>、《<ruby>加<rt>・</rt></ruby><ruby>速<rt>・</rt></ruby>》<ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>――♡♡♡♡♡」</p>
<p>使い慣れた能力故か、あまたの戦闘経験故か、彼女自身の洞察力故か。シアンの理解は早かった。思考の《加速》――フランはそこに着目していた。</p>
<p>死の淵に立つと、思考が速くなる気がするという話がある。ルグが言うには、『タキサイキア現象』と呼ぶらしい。もっと簡単に言うなら走馬灯だ。体験したことのある人間はそう多くはないであろうその現象を、彼女は自在に操ることができる。</p>
<p>しかもその強度は、『速くなる気がする』程度のちゃちなものではない。彼女は、時間が止まったのかと錯覚させるほど速く動ける上に、その速度の中で自身を自在に制御できるほど、思考を速くすることができるのだ。まるで彼女一人だけが<ruby>別<rt>・</rt></ruby><ruby>世<rt>・</rt></ruby><ruby>界<rt>・</rt></ruby>に在るかのよう。《能力》を持ち得ない一般人からすれば、どのような感覚なのかぴんと来るものではない。</p>
<p>それでも思い浮かぶ<ruby>悪<rt>・</rt></ruby><ruby>意<rt>・</rt></ruby>はある――もしも絶頂の瞬間、思考を際限なく《加速》させたら？</p>
<p>「ぁがッ、ぁ゛――♡♡♡♡♡　これ、まず――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛、ぁぁぁぁあ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>ブラシによる激しい絶頂が、またシアンを襲った。</p>
<p>人間の性的絶頂なんて、本来そこまで長いものではない。一般に言えば、短くて10秒程度、長くても1分続くかどうかといったところだ。しかしそんなわずかな時間でも、人間は至上の幸福、あるいは苦痛を味わうことができる。</p>
<p>そんな瞬きほどの時間が、思考の《加速》によって永久にも等しく引き延ばされていく。</p>
<p>《特級》の傭兵であるフラン。本人自身の戦闘力も間違いなく優秀だが、その《能力》も最高峰だった。故に、引き延ばされる時間も長大。ただの絶頂が、今までの何十倍、何百倍も精神を焼いていく。</p>
<p>「ぉ゛ごっ、ぉ゛――♡♡♡♡♡　ぎっ、ぃ゛ぃぃぃい～～～～～～～～～～～～～～～～ッ♡♡♡♡♡　ぃ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛ッッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>いつしかシアンは、軽口をたたくことすらできなくなっていた。歯を食い縛り、悲鳴を上げ、体液をまき散らしながら絶頂を繰り返すだけ。</p>
<p>そんな彼女のことを、フランは冷たい表情で見つめていた。</p>
<p>「その《能力》、あなたを壊すには1番都合がいいよ。シアン」</p>
<p>人間が性的快感だけで壊れるには、それなりに時間がかかる。しかし、体感時間を無限に引き延ばされたシアンは、本来考えられないほどの速度で心を壊されていく。</p>
<p>この性拷問は、シアンの反応がなくなるまで……否、なくなった後も行われた。</p>
<p>フランはただひたすらに、シアンに快楽を与え続けた。ただそれだけに没頭した。本来凄腕の戦士である彼女が、周囲の気配を感じ取ることすら忘れてしまうほどに――。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ウルツアは会社の休憩室にいた。</p>
<p>初仕事を終えてそのままずっと、眠ることもなく、誰もいない休憩室で昨晩の仕事のことを思い返していた。</p>
<p>「……完全に、足手まといだったじゃねーか」</p>
<p>何もできなかった。</p>
<p>彼女はけっして、戦闘の素人というわけではない。ただ、もっと強いやつがたくさんいた。目線を向けられるだけで、全身の血という血が凍り付いて身じろぎ一つできなくなるようなやつがいた。</p>
<p>腕と脚には包帯、頬には絆創膏。数か所の打撲と、すり傷と、切り傷。大きな争いがあった割には軽症だ。しかし、それは彼女の実力によるものではない。庇われたのだ。ただ何もできずに自分が死ぬだけなら、まだよかった。自分の無能が仲間の足を引っ張る苦痛を知った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby>は、こんなオレでも抱き締めてくれんのかな」</p>
<p>どうしてだろうか、普段はあんなにムカつくやつなのに――ウルツアの脚が勝手に、<ruby>アイツ<rt>フラン</rt></ruby>を探してさまよい歩いていた。</p>
<p>休憩室を出て、階段を下り、地下1階へ。訓練場の扉を開けるが、そこには誰もいない。ウルツアは彼女のいる場所なんて、休憩室か訓練場しか知らなかった。戻るか――何だか泣き出してしまいそうだ。</p>
<p>だけどその時、ふと廊下にある一つの扉が目に入った。</p>
<p>「……何だこの部屋、倉庫か？」</p>
<p>地下1階にあるのは、訓練場が一つ、各員の装備を置いたロッカールームが男女で一つずつ。それなら、この<ruby>四<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>目<rt>・</rt></ruby>の扉は何だ？</p>
<p>「階段？」</p>
<p>扉の向こうにあった、狭く、急勾配な階段を、ウルツアは下りていく。そして何十段か下りた先にあったのはまた、しかし分厚い鉄の扉。</p>
<p>心が弱っている時は、普段は気にしないことが嫌でも気になってしまうものだ。故に、彼女がその扉を開いてしまうのは、必然だったのかもしれない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……え？」</p>
<p>その光景は、まるで世界が変わったかのようだった。少なくとも、同じ会社の中だとは到底思えない。</p>
<p>扉の向こうにあったのは、コンクリートがむき出しになった、10畳～12畳ほどの部屋だった。壁際に陳列されているのは、いかがわしい道具の数々。ウルツアには用途がさっぱり分からないものも多い。しかしそんな圧倒的物量は、ただの<ruby>背<rt>・</rt></ruby><ruby>景<rt>・</rt></ruby>でしかない。ウルツアの視線は、ずっと部屋の中央にくぎ付けだった。</p>
<p>「ぉご――♡♡♡♡♡　ぉ゛っ、ぉ゛ぉぉ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぉ、ぉ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>1人の女性が犯されている。</p>
<p>ウルツアは、彼女に見覚えがあった。戦場で出会った、まるで災害のような傭兵だ。その動きはあまりに速く、ウルツアが彼女に刃を向けた時には既に、自分の喉元に刃が添えられていた。そのときの感覚を思い出すと、今でも全身の血を失ったかのように寒気立つ。</p>
<p>「ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぁ、ぉ、ぉ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>そんな、自分よりも圧倒的な力を持った女性が、ただみっともなく体液を吹き散らかしているのだ。もはや何か口を利くこともなく、うつろな表情で、全身を力なく痙攣させるだけ。ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃという水音が耳にまとわり付いてくる。彼女は一体、<ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby><ruby>間<rt>・</rt></ruby>こんな目に……？</p>
<p>うぶなウルツアとて、性知識が全くないわけではない。これは明らかに<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>であるはず。しかし、彼女の認識からは、あまりにもかけ離れた行為だった。女を甚振って悦ぶ下衆な男がいることも知っている。だけどそれとも違う。あまりに無機質的で、まるで処刑のような、色無き色事。艶よりも先に、恐怖を覚えた。</p>
<p>そして、その恐怖の<ruby>根<rt>・</rt></ruby><ruby>源<rt>・</rt></ruby>は――。</p>
<p>「……フラン、何、して……？」<br />
「……ウルツア？」</p>
<p>その恐怖の<ruby>根<rt>・</rt></ruby><ruby>源<rt>・</rt></ruby>は、ぎょろりと見開いた目を、こちらに向けているのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「どうして、ここに来た」<br />
「ぇ、ぁ」</p>
<p>「ここは立ち入り禁止のはずだ。扉に張り紙はなかったかい」<br />
「ぅ、ぁ、ご、ごめ」</p>
<p>冷たい声。普段の、冷たくも優しい声とは違う。本当に冷たくて、ただ冷たくて、自分が拒絶されているかのような声だった。</p>
<p>「……部屋から出なさい。話なら、後で聞く」</p>
<p>ウルツアは何も言えず、ただ後ずさりする。側に立っていた別の女性が『ごめんね』と言いながら、扉を閉めた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ウルツアはふらふらと階段を上り、扉を閉め、休憩室へと戻っていく。</p>
<p>途中でViとすれ違っても、ウルツアは眉をひそめる彼女に気付かなかった。</p>
<p>「…………なに、あれ……」</p>
<p>休憩所のベンチに座って、一瞬で網膜に焼き付いた光景を何度も思い返す。ビデオの一部分だけを再生するように、何度も何度も。しかし何度思い返しても、そこで何が行われているのかは、さっぱり分からなかった。そして思い返すたびに、フランの冷たい表情がウルツアの全身を震えさせた。</p>
<p>せっかく慣れてきたはずの缶ジュースが、まったく味がしない。かた、かた、かた――震え続ける手の中で揺れる缶の中の液体は、糖分を多く含むせいで粘着質な水音を発していて。それがどこかあの部屋で聞こえた音と似ていて、ウルツアの鼓膜に残り続けるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【第5話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:55:52 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】一人に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【攻】女性が責める]]></category>
		<category><![CDATA[イカされ]]></category>
		<category><![CDATA[オフ]]></category>
		<category><![CDATA[キ]]></category>
		<category><![CDATA[クリトリス]]></category>
		<category><![CDATA[セックス]]></category>
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		<category><![CDATA[蜜]]></category>
		<category><![CDATA[表情]]></category>
		<category><![CDATA[責め]]></category>
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					<description><![CDATA[#クンニ #寸止め]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
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　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第5話 はじめての</h3>
<p style="text-align: right;">#クンニ #寸止め</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>それは、まだこの小さな会社が、今よりもさらに小さかった時の話。</p>
<p>始まりは、Viが少し神妙な面持ちで言ったことだった。</p>
<p>「フラン。この仕事を続けていくなら、アンタも<ruby>き<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>面<rt>・</rt></ruby>ばかり見ちゃいられない」</p>
<p>フランはViに連れられて社内を歩いていく。</p>
<p>この会社にはいくつかの階層があった。1階はエントランスと応接室、2階はオフィス、3階以上は他のテナント、地下1階はロッカールームと訓練場。そして2人が行くのは、さらにその下の地下2階。フランが今まで、立ち入り禁止とされていた場所だった。</p>
<p>まるで刑務所の扉に使われているかのような、分厚い鉄の扉。それを開いた瞬間、フランの目に息を飲むような光景が飛び込んできたのだ。</p>
<p>「これ、は」<br />
「拷問さ。ちょいと事情があってね、彼女から聞きたいことがある」</p>
<p>1人の女性が、裸のまま鎖につながれて、コンクリートの床に転がされていた。フランよりも明らかに年上の、立派な大人の女性だ。</p>
<p>そして3人の男たちが笑いながら、その1人の女性を殴り、蹴り、膣にイチモツを突っ込んで腰を振っている。女性の長い黒髪はぐしゃぐしゃに乱れ、肌はあざとすり傷だらけ。大きな胸には、特に男たちの欲望が群がるのだろう、歯で強くかんだような痕まである。</p>
<p>温められた体液の不快な臭いが、部屋の入り口にまで漂ってくる。</p>
<p>「ぐっ、ぅぅぅ……！！　ぅ゛あ、ぁ……」</p>
<p>「なぁ、<ruby>ト<rt>・</rt></ruby><ruby>キ<rt>・</rt></ruby>ちゃんよぉ。俺らも仕事だからさぁ、ホントはこんなことしたくねーんだよ」<br />
「そーそー。あんたが俺らに犯されてるのも、全部あんたが悪いってわけ」<br />
「あー、何だっけ？　カドム社の社長？　を、あんたが逃がして、かくまったんだっけか？　その場所を早いところ教えてくれりゃ、こんなことしないで済むんだけど、な！」</p>
<p>「っ、ぐ、ぁ――っ！！？　ぁ゛、ぁぁぁぁぁ……！！？」</p>
<p>男たちにトキと呼ばれた女性は、勢いよくイチモツを突き立てられ、苦悶の表情を浮かべていた。フランとて、性行為というもの自体は知っている。しかしその様子は、保健体育の教科書で見るものとは、あまりにもかけ離れていた。</p>
<p>フランは、自身の口を手で押さえた。Viの意識が、目の前の光景から逸れる。</p>
<p>「……大丈夫、少し、酔っただけ」</p>
<p>昔から、フランは他人の悪意に弱かった。彼女のいる場所は幸い居心地の良いところではあったが、ほんの少しでも<ruby>裏<rt>・</rt></ruby>をのぞき込む機会があれば、大抵具合を悪くする。</p>
<p>それは、彼女が持つ《能力》の影響が大きかった。</p>
<p>「あの男の人たちは、誰？」<br />
「アタシらの会社の人間じゃない。拷問を専門に受け持っている会社に依頼した、いわゆる外注さね」</p>
<p>「拷問の、外注……」<br />
「……しかし、こいつらはハズレだね」</p>
<p>『ウチの財布事情じゃあ、禄に仕事してくれるところなんてありゃしない』――Viは男たちに聞こえないように呟く。</p>
<p>「もう用は済んだ。行くよ、フラン」</p>
<p>そう言って、Viは早々にフランの手を引いて、その場を後にするのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>それからフランは、オフィスに戻ってもずっと黙り込んでいた。</p>
<p>手伝いがてらに行っていた事務作業は全く進んでいないし、Viが何か声を掛けても上の空。わずか数名ほどしかいない他の社員たちが、フランのことを遠巻きに、心配そうに眺めている。フランは、この会社にいる誰よりも年が若かった。</p>
<p>Viは、フランに見えないようにこっそりと自分の眉をかき、ため息を付いた――まだ見せるべきではなかった。年を鑑みても紙一重、《能力》を加味すれば……。</p>
<p>しかし、傭兵としての人生を歩むなら、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は必要なことだ。</p>
<p>「フラン。ちょいとショッキングな光景だったのは分かるがね。アタシらがいるのはそういう世界だ。アンタがこの世界でやっていこうって言うんなら、これから慣れていかなきゃ――」</p>
<p>しかしフランの返答は、Viの予想とは大きくかけ離れたものだった。</p>
<p>「――あれじゃ、だめだよ。Vi」<br />
「……何？」</p>
<p>「あれじゃあ、何も教えてくれない」</p>
<p>その静かな、しかし強い言葉に、オフィスにいた全員が黙った。パソコンのドライブが回転する音と、安物のエアコンがごうごうと鳴る音だけが聞こえる。</p>
<p>Viは数回のまばたきの後に問うた。</p>
<p>「どうして、そう言い切れる？」<br />
「女の人の心、どんどん乾いて、硬くなってた。何か話すよりも早く、たぶん、そのうち死ぬ」</p>
<p>フランはずっと下を見ている。うつむいているわけではなかった。その視線は地下、今まさに性拷問が行われている部屋のほうにまっすぐ伸びていて。</p>
<p>「フラン」<br />
「何？　Vi」</p>
<p>「アンタ、彼女に情報を吐かせられるかい？」</p>
<p>オフィスにいた他の社員たちは一様にざわつき、自らの上司に反感の目を向けた。しかしViは、彼らを一瞥するだけで黙らせる。</p>
<p>「分からない……けど、<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby>よりは、上手にできる」<br />
「やってみな。この際だ、期限は問わない。手段も問わない。全部アンタに任せる」</p>
<p>それは、まだ幼いとも言いかねない少女に告げるには、あまりに酷な命令だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><ruby>南雲<rt>なぐも</rt></ruby>トキは眠りながら、これまでの人生を顧みる。</p>
<p>かつての彼女は、ごく普通の少女だった。少し、両親との関係が芳しくなく、素行の悪いことを除けば。学校に通っている間は何度もけんかした。お花を持ってかわいこぶるよりも、自らの凶暴性に従うことを選択した。高校を出た後も『同じ調子でやっていけるだろう』と思っていた。</p>
<p>しかし世界は、世間を知らない小娘が抱く想像よりも、はるかに過酷だった。けんかに明け暮れた学生生活の中で、知人の血肉が弾け飛ぶのを見たことはなかったのだ。彼女は、自分が今までどれだけ両親に守られてきたかを知りながら、死に物狂いで生き延び続けた。いつの間にか、精神はぼろぼろにすり切れていた。</p>
<p>いつ死ぬか分からない、いつ死んでも仕方ない、そんな生活を送り続ける。<ruby>今<rt>・</rt></ruby><ruby>回<rt>・</rt></ruby>も、その延長線上にあったに過ぎない。受けた依頼が、たまたま金払いが良く、そして危険だったというだけだ。企業間の争いがあって、過激化し、命を狙われた社長を逃がすという依頼。その社長は、人の命を何とも思っていないクズだった。そんなこと、傭兵の彼女には関係なかった。ただ金をもらって、依頼を遂行すればいい。</p>
<p>依頼は一応成功した。しかしその直後に捕まった。拷問を受け続けた彼女は、そのうち死ぬだろう。</p>
<p>――今更、後悔することもない。ただまっくろなこころで、死ぬのを待つだけ。ああ、命のろうそくというのは、自分が思っているよりも長いのだな。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>そんなトキが目を覚ましたのは、傷口に走るひりひりとした痛みが原因だった。</p>
<p>「っ、ぅ……！　ここ、は……」<br />
「あ、おはようございます」</p>
<p>痛みのほうを振り向くと、少女が自分の手当をしていた。</p>
<p>トキは周囲を見渡しながら、記憶をさかのぼる――自分は先ほどまで、拷問を受けていたはずだ。それも、男たちがただ欲望のままにイチモツを突っ込んで犯してくる、三流以下の性拷問。そしてここは、その拷問を受けていた部屋で間違いないはず。</p>
<p>体は動かない。彼女は相変わらず鎖で拘束されていた。腕は後ろ手で壁の金具に、脚は開かされて床の金具に接続されている。</p>
<p>「君は、何を……」<br />
「傷の手当てをしています」</p>
<p>そんなもの、見れば分かる――トキは今の状況に至るまでの経緯だとか、因果関係だとかを知りたかったのだ。どうして、こんな少女が傷薬と包帯を持ってここにいるのか。</p>
<p>「男たちは、どうした」<br />
「Vi……ウチの者が帰らせました」</p>
<p>「帰らせた？」<br />
「はい。いろいろともめたらしいですけど。もう、二度と来ません」</p>
<p>いかに死の覚悟をしていたとしても、その危険が遠のいたと分かると生に執着してしまうものだ。今までの凄惨な数日間からは考えられない穏やかな時間に、彼女の心が緩む。</p>
<p>しかしその瞬間、少女は困ったように目を背けた。</p>
<p>「……感謝しないでください」<br />
「どういうことだ？」</p>
<p>「あの男の人たちに代わって、私が、あなたを拷問します」<br />
「……何？」</p>
<p>「ええと、その、たぶん、相当きついと思います」</p>
<p>トキはその言葉を言語として理解できても、受け入れることができなかった。嫌悪感によるものではない、ただ信じられなかったのだ――こんな弱気な表情を浮かべる少女が、自分のことを拷問する？　何かの言葉遊びかと疑ってしまうぐらいだ。</p>
<p>怒るべきか、それとも笑うべきか、それすらも分からない。</p>
<p>「とにかく、傷口がふさがるまでは休んでください。ポビド社の薬ですので、すぐに治ると思います」</p>
<p>そう言って少女は、トキの全身を縛り付ける拘束具が緩んでいないかだけ確認して、部屋から出て行ってしまう。彼女が再び部屋に訪れたのは、体の下に敷く毛布を持ってきたのと、食事とトイレの世話ぐらいのもの。</p>
<p>本当に、あの男たちは二度と来なかったし、傷口がふさがるまでトキが何かされることもなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>少女の名前はフランというらしい。フランがいつもより緊張した面持ちで部屋にやってきたのは、2日後のことだった。</p>
<p>「けがは、随分と良くなりましたね」<br />
「……ああ」</p>
<p>フランは、トキの体を濡れタオルで拭きながら言う。2日で全てのけがが癒えるわけではないが、傭兵御用達の即効性ある薬を使ったおかげで、体は随分と楽になった。出血はなくなり、青あざも消えつつある。</p>
<p>つまり、いよいよ拷問する時間が訪れたということだ。</p>
<p>「……始めましょうか」</p>
<p>「本気、なのか？」<br />
「……本気です。その前に、確認です。話していただくことは」</p>
<p>「悪いが、それはできない」</p>
<p>トキはこの2日間で、いろいろと頭の中を整理した。</p>
<p>拷問していた……というよりは、ただ欲望のままに犯してきた男たち。あれは言うまでもなくクズだ。それは間違いない。しかし目の前の少女は、あのクズたちと肩を並べるには、あまりに無垢。クズと、それ以外の者を仕分けていく。善良な者に敵意を向けるのは、トキでもはばかられる。</p>
<p>ならば、彼女に指示を出した者こそ、真に憎むべき相手なのかもしれない。しかしならば、そいつの思惑とは一体？</p>
<p>いろいろとふに落ちないことは多かったが、一つだけ確実なことがあった――傭兵である自分がいかなる拷問を受けようと、情報を漏らすわけにはいかない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランは、トキにも聞こえるぐらい唾をごくりと飲むと、裸にむかれたトキの胸に手を伸ばした。</p>
<p>「っ……、ん……」</p>
<p>控えめな手付きが少しくすぐったくて、トキは吐息を漏らした。</p>
<p>傷の手当てを受けていた時から、『体を痛め付けるような拷問をするつもりはないだろう』という想定をある程度していた。これまでされていたのが性拷問であったなら、これからされるのも性拷問であろうという連想もあった。</p>
<p>しかし彼女の行うそれは、性拷問ですらなかった。</p>
<p>「ん……、ぁ、っ……。ふっ、ぅ……」<br />
（ただ、胸をもむだけか……）</p>
<p>何の変哲もない、ただの愛撫。</p>
<p>男たちのように、乳房が変形するほど力をこめてもみしだくわけでもなければ、乳首が取れてしまいそうなほど強くひねりつぶすわけでもない。その手付きは拙く、穏やかだ。この少女に性経験というものがあるのか疑わしい。</p>
<p>一生懸命に愛撫するその表情は健気で、まるで子どもが母親の家事を手伝っているかのよう。トキに同性愛の気はないが、これが風俗であれば存外に愉しめたかもしれない。</p>
<p>だからこそ、不可解だ。</p>
<p>「ぁ、ん……っ。んっ、ぅ……」<br />
（本当に、これだけか？）</p>
<p>この少女の目的は何だ？　本当に自分のことを拷問しようとしているのか？　ただ<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>気<rt>・</rt></ruby>があって、自らの欲を満たそうとしているだけなのではないか？</p>
<p>やがて、フランの指はトキの乳首にまで及ぶ。</p>
<p>「っ……！　ぁ、ん、ぁ……！　ぅ……、ぁぁ……」</p>
<p>快感が少しだけ強くなるが、トキが焦ることはなかった。</p>
<p>「……その程度なら、んっ、私は何百時間拷問されても、喋らないぞ？」<br />
「もう少し、時間をください」</p>
<p>「ふん……。んっ、ぁ……！　っ……」</p>
<p>拷問対象に『時間をくれ』などと、普通は言うだろうか――どこの誰かは知らないが、この少女に拷問を指示した者よ。それは無意味だぞ――やがてトキの意識は、目の前の行為から逸れ始める。ここから脱出するための方法とか、脱出した後のこととか。</p>
<p>しかし彼女は、そう遠くないうちに後悔することになる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ほんのわずかな時間の後、トキは<ruby>違<rt>・</rt></ruby><ruby>和<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby>に気付いた。</p>
<p>「っん……♡」</p>
<p>フランがトキに対して行っていることは変わらない。ただ、小さな両手で彼女の大きな胸をもみ、乳首を転がすだけだ。</p>
<p>それなのに、トキはその<ruby>違<rt>・</rt></ruby><ruby>和<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby>に気付いた瞬間、自身の頬に冷や汗が流れるのを感じた。</p>
<p>「っ、ぅ、ぁ……！　っ……♡　ちょ、ちょっと、待て……！」</p>
<p>「……痛くは、ありませんよね。何かありましたか」<br />
「こ、これ……♡　っ、ぅ……！？　ぁ、ぅ……！」</p>
<p><ruby>巧<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>。</p>
<p>拷問を始めた当初は、一生懸命ながらもあまりに拙い愛撫だったはず。しかしほんの数分で、こちらの急所を的確に突いてくる。胸の付け根に親指を食い込ませて、奥のつぼを揺らす。少し大きめの乳首は、人差し指の爪で先端をほじくる。快感を搾り出すその手法、その上達具合は異常だ。</p>
<p>もしも風俗であれば、ただ『飲み込みが良いな』と悦ぶだけで済んだだろう。しかし、拷問を受けているという今の状況、そして彼女の上達具合を思うと、背筋が少し寒い。</p>
<p>やがてフランはその場に跪き、トキの腰を抱きかかえるようにして、既に愛液がにじむ秘所をなめ始めた。</p>
<p>じゅるっ、ぐち、ぐちり。</p>
<p>「ひぁ――っ♡♡　ぐ――！？　っ――！」</p>
<p>……ぺとり。ずるり、ずるり、ずるり。</p>
<p>「ぁ……♡　ぅっ、あ♡♡　ぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁ……♡♡」</p>
<p>フランは最初に、舌先を尖らせて膣口をほじくった。しかしざらざらとした摩擦が強いせいでトキがうめき声を上げると、フランの舌はすぐに軟化する。舌の力を抜き、唾液をたっぷりと乗せて、しかしその上で舌表面の感触をしつこく擦り付けていく。優しくも濃厚なクンニリングスだ。</p>
<p>その巧みさは、速度を増していく。極限まで弛緩した舌先がクリトリスに触れた瞬間、トキは大きく腰を跳ねさせた。</p>
<p>「ぅぁあっ♡♡♡　っ、ぁ、ぅっ！！？　ぁっ、ぁぁぁぁあっ♡♡♡」</p>
<p>ざらざらとした舌の表面が、クリトリスを下から上に、ぞりぞりとなめ上げてくる。ぞくぞくとしたものが脳すらも犯してくる心地がする。</p>
<p>それからすぐに、愛撫の動きが変わる。舌をほんの少しだけ尖らせてクリトリスの根元をほじくったり、先端をちろちろとなめたり、唇で吸ったり――しかしどれもほんの数回試すだけで終わり、すぐにぞりぞりとなめ上げる動きに戻った。</p>
<p>それはまるで、トキにとって1番気持ちいい触り方を確信したかのようだ。</p>
<p>「ぁっ、あっぁっあっ♡♡♡　ぁ――♡♡♡　やめっ、これ以上、は――！！？　ぁっ、ぁぁぁあっ♡♡♡」<br />
（どうして、こんなにうまい……！？　先ほどまで、確かに……！）</p>
<p>背筋に冷たい何かを感じつつも、性感は確実に上ってくる。あまりにもしつこい口淫を『我慢しろ』と言うのは、あまりに無理な話だった。</p>
<p>「ぁぐっ、ぁ――♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　っぁっ、あ゛――♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>トキは絶頂した。</p>
<p>ここで性拷問を受けてから、彼女が絶頂することは多少なりともあった。しかし男たちにイカされるのはただ苦痛で、まるで何かが摩耗していくようだった。絶頂するたびに、自分の神経が死んでいくのを感じたのだ。しかし今の絶頂は違う。優しく、甘く、しかし全身の神経を無理やり覚醒させられるようだ。</p>
<p>そして一度絶頂して初めて、トキは現状の危険性を知る。</p>
<p>「ひゃぅぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡　な――！！！？　ぁぐ――、ぁ、ぁぁぁぁあああっ！！！？」</p>
<p>一度絶頂してなおフランがトキのクリトリスをなめ続けた時、彼女は『本当に自分の声か？』と疑ってしまうほど甲高い悲鳴を上げた。</p>
<p>敏感になった<ruby>性感帯<rt>クリトリス</rt></ruby>では、先ほどまでと同じ愛撫がまるで金鑢に磨かれるような苦しさに変わる。しかしトキが顔をゆがめた瞬間に、フランの舌遣いがまた優しくなるのだ。</p>
<p>「ふぉっ、ぉぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡　ぉ、ぉぉおおっ♡♡♡♡　んぐ――！！？　ぁひ、ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡」</p>
<p>トキは優しく甘い快感に間抜けな声を上げながら、明確に、『おかしい』と思った。目の前で必死に自分のことを犯している少女は、あまりに巧すぎる。</p>
<p>しかし、その異常さを分析する余裕などない。</p>
<p>「これ、待っ、ま――♡♡♡♡　ひぐぅ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ぉっ、ぉぉぉおおお――！！！？　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>二度目の絶頂はあまりにも早く、しかし深い。秘所にたまった快感が破裂して、体の中をめちゃくちゃに暴れ回っているかのようだ。あまりに気持ちがよすぎて、潮を吹いてしまう。一瞬だけ『少女の顔を汚してしまった』と思うが、なおも続く口淫が罪悪感を一欠片も残さずに洗い流してしまう。</p>
<p>そうしてトキは短時間のうちに、何度も何度も絶頂に追いやられることになる。</p>
<p>「やめ゛っ、やめぇぇぇえ――！！！？　これっ、だめっ、だ――♡♡♡♡　っぐぅ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ひぁっ、ぁ゛――♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>苦しい。トキは、男どもの性拷問とはまた違う苦痛を感じた。</p>
<p>欲望のままに犯されるのは、ただひたすらに苦痛だった。自分の心から潤いがどんどん抜けていき、乾き、硬くなり、いつか死んでいくのだろうという実感があった。</p>
<p>一方で、少女に優しくイカされるのは、ただひたすらに気持ちいい。しかしあまりに過剰なせいで、快であることが苦痛だった。心に甘い蜜を垂らされ、指でぐちゃぐちゃにもみほぐされるかのよう。</p>
<p>彼女は痛みに対する覚悟を持っていても、快感に対する覚悟は持ち得なかったのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ぁぐっ、もっ、もぉお――！！！？　こえ゛――♡♡♡♡　っひ――！！！？　げほっ、ごほ――！！！　かはっ、ひ――！！？」</p>
<p>何度絶頂させられただろうか？　あまりにも喘ぎすぎて、過剰に分泌した唾液が気道に入って咳込んでしまった時、フランの口淫はようやく止まった。</p>
<p>トキが何度も咳込んでようやく落ち着いたとき、フランが口を開いた。</p>
<p>「話して、いただけませんか」</p>
<p>トキは、フランに対する『人畜無害な少女』という認識を改めさせられた。確かに、彼女は自分より若い少女かもしれない、その人間性は無垢かもしれない。しかし、その実力は本物だ。</p>
<p>「こと、わる……ッ！！」</p>
<p>トキは歯を食い縛って、喉にありったけの力を込めて答えた。</p>
<p>方法こそ性的快感という奇態なものだが、この少女は間違いなく、自分の心をこじ開けて、言いたくないことを無理やり吐かせようとしている――トキの心からほんの少しの怒りと憎しみがにじみ出た瞬間、フランは肩を震わせた。</p>
<p>しかし彼女は、ややあった後に首を横に振るのだ。</p>
<p>「少し、<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>方<rt>・</rt></ruby>を変えます」<br />
「っ゛……！」</p>
<p>フランはまた、トキの秘所をなめ始める。何の変哲もないクンニリングス。しかしトキは、これが1番きついと思った。</p>
<p>「ぁひぁぁぁあっ♡♡♡♡　ひぐっ、ぅ――♡♡♡♡　ぁ、ぁっあっぁっぁあああっ♡♡♡♡　ぁぐっ、ぁ゛――♡♡♡♡　ぁぁぁぁぁぁぁぁああああ――♡♡♡♡」</p>
<p>トキは全身に力を込めて、快感をせき止めようとする。</p>
<p>しかし、それは全て無駄なあがきだ。岩をも砕かんばかりの力を込めても、砂糖菓子すら砕けない優しい舌遣いに蕩かされる。もう回数を数えることがおっくうになるぐらい絶頂したはずなのに、また絶頂しそうになる。力のこもった全身が徐々に弛緩し、代わりに痙攣し始める。</p>
<p>しかしその瞬間、フランの舌の動きがぴたりと止まったのだ。</p>
<p>「は、ぇ……♡　あ、え……？」</p>
<p>今まさに絶頂しようという瞬間に愛撫がぴたりと止まったのが、トキにとってはあまりに予想外だった。驚きのあまり、体をびくりと跳ねさせてしまうぐらいだ。</p>
<p>助かったと思った。しかし意図が分からなかった。コンクリートの床が痛いだとか、舌が疲れただとか、何か不都合があったのか？　――今のトキには、その程度の疑問しか浮かばない。</p>
<p>しかし快感の波が落ち着いてきたとき、フランがまたトキの秘所をなめ始める。</p>
<p>「ぁ――♡♡♡♡　くっ、ぐ――♡♡♡♡　ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁあ――♡♡♡♡」</p>
<p>一度絶頂の間際まで上り詰めたせいで、今度は一層<ruby>早<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>。トキにはもう、できっこない『絶頂を我慢する』という選択肢なんて思いつきもしなかった。全身に力を込めて、絶頂の瞬間にやってくる浮遊感に似た衝撃に耐えようとする。</p>
<p>それがもうすぐ来る。</p>
<p>「ぐっ、も、もうっ♡♡♡♡　ぁぁぁぁぁあ、ぁ、ぁ――♡♡♡♡　あ――、え……？」</p>
<p>しかし、あと一なめで絶頂しそうになった瞬間、また舌の動きが止まるのだ。収縮しきった筋肉が、時間を置いて緩んでいく。</p>
<p>2回目の中止。トキは困惑する――まさか、これは意図的に行われているものなのか？　それではなぜ？　連続絶頂に至らしめるのが彼女の<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>方<rt>・</rt></ruby>ではなかったのか？</p>
<p>そして快感の波が引いていくと、またフランがトキの秘所をなめ始める。</p>
<p>「ぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡　ぁ――♡♡♡♡　これ、は、もう、もぉぉ――♡♡♡♡」</p>
<p>二度も絶頂の寸前で中断されたせいで、体が勝手に快感を求めているようだ。そんな気はないはずなのに、腰が前に突き出され、くいくいと上下に揺れる。</p>
<p>しかし絶頂の直前、また舌の動きが止まるのだ。</p>
<p>3回目の中止。下腹部に<ruby>ひ<rt>・</rt></ruby><ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby><ruby>居<rt>・</rt></ruby><ruby>心<rt>・</rt></ruby><ruby>地<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>悪<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby>を覚えて、<ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>図<rt>・</rt></ruby>を理解する。</p>
<p>「おい、まさか――」</p>
<p>フランは、トキの言葉に応えることなく、ふたたび彼女の秘所をなめ始めた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「うそ、だろ――！！！？　さっきまで、あんなにイカせ――♡♡♡♡　なんでっ、なんで今になってぇ――！！！？」</p>
<p>トキの推測は当たっていた。</p>
<p>フランは口淫でもってトキの性感をぎりぎりまで高めていく。しかし必ず、絶頂に至る直前にぴたりと寸止めする。そしてほんの十数秒程度の時間を置いて、絶頂の波が引くころになると、また口淫を再開するのだ。</p>
<p>「もっ、やめ、くれ゛――！！！！？　これ、きづ――♡♡♡♡♡　ぁ゛ーーーーっ♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁもぉぉぉぉお゛ーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>絶頂を寸止めされるというのは、実に気持ちの悪い感覚だった。</p>
<p>痛くもなければ、熱くもない。大きな感覚に苛まれるわけでもなく、ただ内蔵を優しくねじられるような不快感がやってくる。こんなにもじんわりとした感覚なのに、背中が焦げ付きそうなほど熱くなって、大きな声を出さなければやっていられなくなる。</p>
<p>「どうして、こんな゛、分がる――♡♡♡♡♡　私が、いぐの――！！！！？　ぁぐっ、ぁ゛ーーーーっ♡♡♡♡♡　ぁ゛ーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>フランの寸止めは、回数を増すごとにどんどん正確になっていった。残り0.1mm、0.01mm、0.001mm……絶頂までの距離がぎりぎりに近づくほど、10倍、100倍、1000倍……寸止めされた時の苦痛が増していく。</p>
<p>いつしか、フランは口淫を止めることすらなくなっていた。舌の動きの遅速と圧力だけで、絶頂のぎりぎりを保ち続けるのだ。</p>
<p>「ぃやだっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡　どうしてっ、いげないの――！！！！？　どうしでっ♡♡♡♡♡　ぁぐっ、あっぁっあっぁっ♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>トキは、『あまりにもひどい』と思った。</p>
<p>傭兵を始めた時からずっと、いや、始める前から、痛みの多い人生だった。故に、痛みに対してはそれなりに抵抗力を持っていると自負していた。それなのに、目の前の少女は快感を与えてくる。頭がおかしくなるぐらい気持ちよくした揚げ句、今度はその快感をお預けしてくるのだ。</p>
<p>いい加減、トキも気付いていた。少女は何かの異能を持っている。それも、相手を追い詰めることに長けた、<ruby>ひ<rt>・</rt></ruby><ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby><ruby>恐<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>何<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby>を。</p>
<p>しかし気付いても、逆らうことはできない。トキは、自分を守る殻がぼろぼろと壊れていくのを感じた。</p>
<p>「も゛、やめて――♡♡♡♡♡　も、やだっ、いかせでっ、いかせでよぉ――ッ♡♡♡♡♡」</p>
<p>彼女はもう、ただ1人の女性として泣き叫ぶだけ。</p>
<p>これは南雲トキに限った話ではない。人間というものは本来、快楽に対する抵抗力は脆弱なものだ。性拷問を<ruby>正<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>行えさえすれば、人間はあっという間に折れる。先に彼女のことを犯していた男たちのやっていたことは、そもそも性拷問ですらなかった。</p>
<p>しかし、その事実はこうとも解釈できる――性拷問を正しく行うこと、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>自<rt>・</rt></ruby><ruby>体<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby><ruby>難<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>と。</p>
<p>自らの肉欲に負けることなく、しかし良心に負けることもなく、鋼よりも硬き理性でもってただ冷徹に相手を追い詰めることができる人間は、実に希有だ。そしてその人間が、もしも性拷問に最適な何らかの《能力》を持っている確率を求めるなら――。</p>
<p>「それなら、言うべきことがあるはずです」<br />
「ぁぐっ、ぁ――！！！？　それ、は――！！！！」</p>
<p>「……言わないなら、やめられません」<br />
「ぁ゛ぁぁぁあ――！！！！？　やだっ、もう、やだっ、なめないで――！！！！？　ぁ゛っ♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああっ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>トキは、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>恐<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>拷<rt>・</rt></ruby><ruby>問<rt>・</rt></ruby><ruby>師<rt>・</rt></ruby>と出会うことは二度とないだろうと思った。</p>
<p>散々時間をかけさせられた拷問は、たった1人の少女によって、あっという間に終結させられたのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「――おしまい」</p>
<p>フランは両手を軽く挙げて、昔話を締めくくった。</p>
<p>休憩室。その場にいるのは、フランとウルツアの2人だけ。</p>
<p>「今考えれば、性拷問である必要なんてどこにもなかったね。ただ、最初に見たのが<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>だったから、私も流されてしまった」<br />
「……そうかよ」</p>
<p>「何にせよ、あの時の働きが評価されて、私は性拷問を専門で受け持つようになった。会社に部門もできた。それから少し後になって、ルグ――貴重な《能力》を持った後輩も入ってきた」<br />
「テメェ、この会社に入ってどれぐらいなんだ」</p>
<p>「10年とちょっとかな、この会社ができて間もない時期らしい。おかげさまで、この年でほとんどの社員が後輩だ。ベテランの子役俳優にでもなった気分だよ」</p>
<p>ウルツアは納得したように『ああ』と相づちを打つ。道理で、会社にいるほとんどの人間が、年若いフランに対して敬語を使うのだ。</p>
<p>「満足かい。これが、君が『聞かせろ』って言ってきた話だよ。私はただの傭兵じゃない、れっきとした拷問師……<ruby>裏<rt>・</rt></ruby>の人間だ」<br />
「そうか。テメェは、人の心が読めるのか」</p>
<p>「……ああ」</p>
<p>フランは、自分の手のひらがひどく汗をかいていくのを感じた。</p>
<p>ウルツアの心は、ぽっかりとした無色透明だった。だけど、その心に段々と<ruby>黒<rt>・</rt></ruby>がにじみ出てくる。ようやく、実感が湧いてきたのだろう――フランはその<ruby>色<rt>・</rt></ruby>から目を背けた。</p>
<p>初めて知った。あんなに嫌でも見せつけられ続けたものなのに。本当に、本当に、身を引き裂かれるほどに嫌になると、目を背けることぐらいは許されるらしい。</p>
<p>しかし、ウルツアから目を背けても、声は聞こえてくる。</p>
<p>「満足じゃねーよ」<br />
「これ以上、何を聞きたいことがあるんだい？　もう全部話したというのに。ひどいやつだな」</p>
<p>フランは、ウルツアから目を背けたまま、優しく微笑む。やがて耐えられなくなって、完全に背中を向けながら立ち上がった。</p>
<p>休憩室を出る間際、軽く咳払いをして、声が震えていないか確かめた。</p>
<p>「初仕事のことだけど、落ち込むことはない。失敗は誰でもする。そもそもあれは、初実践としては少し酷だ。君ならすぐに、私なんかよりもずっと強くなれるよ」</p>
<p>フランがその場から立ち去ろうとすると、背後で座ったままのウルツアは舌打ちをして、吐き捨てるように言うのだった。</p>
<p>「……よく分かったよ。テメェが、本当にムカつくやつだってな」</p>
<p>フランはもう、彼女の心を読もうともしない。だけどその声は、本当に、体が燃え尽きてしまいそうなぐらい本当に、怒っているように聞こえた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランには、ウルツアにまだ話していないことがあった。</p>
<p>別に、隠していたわけではない。ただ、話しそびれただけだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>初めての性拷問は成功した。</p>
<p>フランは、南雲トキから情報を聞き出した。自身の《能力》によって、それがうそでないことも分かっていた。フランの仕事は完了した。間もなく、<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>の人間たちが、本来の仕事を遂行していくだろう。</p>
<p>しかし彼女は、拷問室から出ることはなかった。</p>
<p>「……約束は守ります」<br />
「ひ――！！？」</p>
<p>フランは、トキの両脚の間に顔を潜り込ませた。</p>
<p>トキの全身が緊張する。先ほどまでの責め苦がフラッシュバックして、悲鳴を上げそうになる。しかし次の瞬間にやってきたのは、脳を蕩かされるような快感だったのだ。</p>
<p>「ぅぁぁぁぁあっ♡♡♡♡♡　ぁ――！！！！？　な、に――♡♡♡♡♡　ぁ、ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁ――♡♡♡♡♡」<br />
「ちゅ……、じゅるっ、れろ……っ！　れろれろ、れろぉ……！」</p>
<p>それは一切の加減がない口淫だった。</p>
<p>舌にたっぷりの唾液を乗せて、クリトリスをぞりぞりとなめ上げる。動きは一定、速度も一定。ただひたすらに、最も効率的な動きでもってトキの性感を高めていく。</p>
<p>「ぁひ、ぁ、ぁ゛、あ゛――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁあああ――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>散々寸止めされてきたトキは、あっという間に絶頂した。</p>
<p>フランは、吹き出す潮と愛液で自分の顔が汚れてしまうのも気にせず、ひたすらトキを快楽に染めていく。秘所をなめている体勢では、トキの大きな胸が邪魔になって表情を見ることができない。それでも、たった一度の絶頂程度では全然満足していないことを、フランは自分の《能力》で知っていた。</p>
<p>「っぐっ、ぁ――♡♡♡♡♡　ぐすっ、ぅ、ぁ゛ぁぁぁああ――♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぃ゛――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>トキは言語を発することもなく、ただ泣きじゃくるように喘ぎながらイキ続ける。</p>
<p>最悪の鞭と飴。体は間違いなく悦んでいるはずなのに、心には悦びと苦しみの両方が混在している。フランは、こんなにもぐちゃぐちゃになった心を<ruby>見<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>のは、生まれて初めてだった。</p>
<p>嫌になるほど焦らされたせいで、トキは既に、心身共に限界を迎えていた。さらに激しく消耗する絶頂を強いられれば、体力と精神力が底を突くのは早い。</p>
<p>「ぁ゛――……♡♡♡♡♡　ひっ、ぁ――……♡♡♡♡♡　ぁぁ、ぁぁぁ――……♡♡♡♡♡」</p>
<p>フランは、トキの感情がだんだんと<ruby>閉<rt>・</rt></ruby><ruby>じ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>いくのを感じた。</p>
<p>それは気絶の前触れ。フランはほんの一瞬だけ舌の動きを緩め、しかしトキの心を<ruby>読<rt>・</rt></ruby><ruby>む<rt>・</rt></ruby>と、また舌の動きを速めていく。</p>
<p>「ぁひ、ぁ、あ゛――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ッッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>トキは全身を弱々しく痙攣させながら、最後の絶頂を迎えた。</p>
<p>声帯を震わせることすらおっくうになったのだろう、口から漏れるのはほとんど吐息だけの声。秘所からは、滴程度の潮がぴゅっと漏れるだけ。</p>
<p>そして秘所にまとわり付く優しい快感がやんでいくと、虚ろだったトキの目は、少しずつ閉じていく。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>トキが気絶する間際、フランは彼女を抱き締めた。……否、腰に手を回し腹部に自分の頭を押し付けるそれは、抱き締めるというよりは、抱き付くに近い。</p>
<p>そして、フランは呟くのだ。</p>
<p>「……ごめんなさい」</p>
<p>最初は、言葉を発した自分自身ですら辛うじて聞こえるぐらいの、か細い声だった。しかし、雨漏りのようにほんの一滴だけ零れた言葉は、あっという間に心の堤防を破壊していく。</p>
<p>「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」<br />
「ぅぁ、ぁ――……♡♡♡♡♡　ひ、ぁ――……♡♡♡♡♡」</p>
<p>「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……！」<br />
「っ――……♡♡♡♡♡　っ――――…………♡♡♡♡♡」</p>
<p>嗚咽のような声で、何度も『ごめんなさい』という言葉が紡がれる。トキはもはや何も応えることもできず、手に持ったものを放すように、ふっと意識を閉ざしていくのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>トキのことを数え切れないぐらい絶頂させて、気絶させて、彼女がまた目を覚ましたとき、フランはまだ拷問室にいた。</p>
<p>フランは、拘束されたままのトキに、ボトルに入った水を飲ませながら、頭を下げた。</p>
<p>「……本当に、済みませんでした」</p>
<p>「……もういい」<br />
「でも」</p>
<p>「私は傭兵だ。死ぬことも、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>目<rt>・</rt></ruby>に遭うことも、覚悟していた」</p>
<p>どれだけ心をぼろぼろにされようとも、記憶は残る。</p>
<p>トキはずっと、フランの『ごめんなさい』を聞かされていたのだ。無垢な娘からの、あれだけの懺悔を聞かされたら、もう怒る気にもなれない。</p>
<p>「しかしまあ、下手するとクビだな」</p>
<p>トキが少し軽い口調でそう言った瞬間、フランはまた表情を暗くさせた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……君は」<br />
「な、何ですか？」</p>
<p>トキの視線がフランに突き刺さる。しかしそこに敵意はない。</p>
<p>「君は、人の心を読めるな？」<br />
「っ！　どうして、それを」</p>
<p>「ただの推測だが、やはりか。どうやら、拷問を必要とする程度には制限があるようだが」</p>
<p>トキは合点が行った――それならば、この少女に拷問を命じた者の思惑も理解できる。戦いでも実に有用な《能力》だが、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby>の適正はそれを凌駕するかもしれない。</p>
<p>……いや、これを指示した者からは、どうにも打算以外の<ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>図<rt>・</rt></ruby>を感じ取れる。先の男たちと、この少女の落差は異常だ。合理的に考えるなら、最初から彼女に拷問させるべきだった。が……。</p>
<p>――トキはそこまで思考して、『自分のあずかり知るところではないか』と、首を横に振った。</p>
<p>「覚えておけ。《能力》がなくとも、人の心を読むことはある程度できるんだ。特に君は、顔に出すぎる」</p>
<p>その言葉を聞いたフランはぽかんとした後、右手で自分の頬をつねった。そして指先でつつき、手のひらでこねくり回す。自分の表情筋を確かめるような行動に、トキは苦笑した。</p>
<p>「君は、拷問師にも傭兵にも向いていないな」<br />
「私の《能力》は強いですよ？」</p>
<p>「知っている。性格の問題だ、君はお人好しすぎる」</p>
<p>フランの素養はあまりに高かった。《能力》は無論のこと、トキの知り及ばないところではあるが、勤勉故か事務処理能力は高く、戦闘力も途上だが悪くない。</p>
<p>しかしその感性はあまりに人並みだった。人を傷つける罪悪感、あるいは優越感、苦悩、悦び――その全てを、理性でもって押さえ付けているだけに過ぎない。このご時世の傭兵というのは、ある程度ネジが外れているか、擦れているほうがやりやすい。</p>
<p>「断言してもいい。君がこの道を進むなら、今後、間違いなく苦しむことになる」<br />
「……かもしれません」</p>
<p>「ならば、どうして続けようとする？　どうしてこんな汚れ仕事を引き受けた？」</p>
<p>フランも、考えたことは幾度となくあった。</p>
<p>傭兵とは、徴募兵の類では決してなく、数ある職業の一つに過ぎない。世情を考えれば社会的に比較的優位とも言える職業ではあるが、反面命の危機も多い。無理にしがみ付くよりも、他の仕事に就いたほうがいい場合も多いだろう。</p>
<p>しかしそのことを考えると、必ず<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby><ruby>物<rt>・</rt></ruby>の姿が、彼女の頭を過るのだ。</p>
<p>「……嫌な人がいるんです」<br />
「嫌な人？」</p>
<p>「私を拾ったくせに、『さっさとこんな会社辞めちまいな』なんて言ってきて。だけど今度は『訓練だ』って言って私をぼこぼこにして。あの人は、私が通る道にいつも大きな岩を置いていくんです。私がいなくなったら寂しいくせに。私だって、私も……」</p>
<p>フランの日常には、どこをどう切り取っても<ruby>彼<rt>・</rt></ruby><ruby>女<rt>・</rt></ruby>がいた。わがままで、意地悪で、厳しく優しい彼女がいた。彼女との日常を思い返すと、いつもいらいらしてくる。</p>
<p>『だから、つまり』――何を言いたかったのか分からなくなったフランは、今までの文脈をまったく無視して締めくくるのだ。</p>
<p>「あの<ruby>ク<rt>・</rt></ruby><ruby>ソ<rt>・</rt></ruby><ruby>バ<rt>・</rt></ruby><ruby>バ<rt>・</rt></ruby><ruby>ア<rt>・</rt></ruby>をあっと言わせるまで、やめられません」<br />
「……そうか」</p>
<p>トキを縛り付けている拘束具の右腕部分が、きちりと鳴った。もしも拘束されていなかったら、彼女はフランの小さな頭をなでていただろう。</p>
<p>「君は本当に、顔に出るな」</p>
<p>「……それと」<br />
「それと？」</p>
<p>「――――」</p>
<p>最後に一つ、何か言葉を交わした。フランはもう、その言葉が何だったのか思い出すことができなかった――随分と昔のことだ、覚えていなくても仕方ない。すぐに忘れてしまうような、何気ない一言だったと思う。だけど<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>を言った時、目の前の女性が泣きそうな表情を浮かべていたような気がする。</p>
<p>その会話の後、南雲トキは拷問室から連れて行かれた。Viが言うには、『丁重に扱う』とのことだった。その言葉に偽りがないことは、フランも分かっていた。</p>
<p>それから、フランが彼女と会うことは二度となかった。遠くに越したか、仕事を変えたか、あるいは死んだか――この時代、この業界においては、別段珍しいものではなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……あの時の話を他人にしたのは、初めてだな」</p>
<p>深夜。帰り道にある小さな公園で、フランは独りベンチに座っていた。</p>
<p>仕事柄、そして《能力》の影響で、何かと精神的に参ることが多かった。そういう時彼女はいつも、独りになれる場所で頭を冷やすようにしていた。</p>
<p>とにかく理性的に、論理的に、自分の行動と思考を省みる。多少のほころびがあろうとも、無理やりつじつまを合わせて、『自分は大丈夫なんだ』と理由付けしていく。そうやって今まで生きてきた。</p>
<p>だけど今晩はうまくいかない。感情が思考を呑み込んでいく。</p>
<p>「やっぱり、私みたいなやつが、<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>の人間と関わるべきじゃなかったよ。クソババア」</p>
<p>脳裏に浮かぶのはウルツアの姿。《読心》も、拷問も、この会社で仕事を続けていくなら、どうせそのうち知られることのはずなのに。不思議と、彼女に知られるのだけは嫌だった。</p>
<p>彼女も確かに、過酷な人生を送ってきただろう。その環境故か、礼儀がなっていないし、生意気で、口も悪い。しかし、その心は澄み渡るかのように無垢で、強い。まるでどこかの<ruby>ヒ<rt>・</rt></ruby><ruby>ー<rt>・</rt></ruby><ruby>ロ<rt>・</rt></ruby><ruby>ー<rt>・</rt></ruby>のような、ただひたすらにまぶしい存在――どうして自分は、こんなにも淀んでしまったのだろう……？</p>
<p>「……こんな場所に長居してたら、通報されてしまうかもしれないな」</p>
<p>フランは無理やり思考をそらす。『こういう考えは良くない』と自分に言い聞かせる。今もまだ聞こえる心の軋みを無視する。</p>
<p>帰ろう――フランは立ち上がり、しかし歩き出すことなく呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……誰ですか」</p>
<p>フランの視線は、物陰一点を正確に射抜いていた。……誰かいる。しかし会社の人間の気配ではない。</p>
<p>その物陰は、自分が見られていることに気付くと、もったいぶることなくがさりと動いた。</p>
<p>「おや、バレてた？」<br />
「……あなたか。シアン」</p>
<p>肩の上で切りそろえた髪。丸顔で、やや垂れ目。童顔で背は低いが、体の女性的な艶は十分。その女性は、先日性拷問にかけた女性――シアンで相違ない。</p>
<p>シアンは童顔低身長の見た目には相応なかわいらしい服装で、驚くほど自然に、影に溶け込んでいた。フランが宵闇に混じった心を自然と感じ取らなければ、存在に気付くことはなかったかもしれない。</p>
<p>「あれ？　思ってたより淡泊な反応だね。もっと驚くと思ってたのに」<br />
「護送中に脱走したとは、聞いていた」</p>
<p>「僕が逃げ出したのは、政府に引き渡した後だ。君や、君のいる会社に非はないよ」<br />
「知っている」</p>
<p>『君たちと違って、政府の管理はずさんで助かったよ』――シアンはそう言うが、仕方ないだろう。彼女を生きたまま捕縛し続けるのは、極めて難しい。実力は元より、時が止まったかと他者に錯覚させるほど自身を《加速》する彼女の異能は、実に逃亡に適している。ほんのわずかな隙さえ作ろうものなら、あっという間だ。</p>
<p>フランは直立した姿勢を維持したまま、四肢に力を込めた。臨戦態勢――スーツの中に隠している特注の<ruby>警棒<rt>ぶき</rt></ruby>に意識を向ける。</p>
<p>「まあ落ち着いてよ。僕が君に何かしようってつもりはないさ」<br />
「…………」</p>
<p>「僕たち傭兵は、戦いが終わればノーサイド。それがルールだろう？」<br />
「それでは、何の用だ」</p>
<p>「<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby>とは違って、随分冷静だね」</p>
<p>『あの時』――苦い記憶だ。散々煽られたとはいえ、冷静さを失った。</p>
<p>故に、フランは頭を下げた。</p>
<p>「この前の<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は、礼を失する行為だった。済まなかった」<br />
「……真面目だねぇ」</p>
<p>先ほどまで散々、目の前の相手を警戒していたというのに。目線をそらしてまで頭を下げるフランに、シアンは『やれやれ』と首を横に振った。</p>
<p>「君、このままじゃ壊れちゃうよ？」<br />
「……壊れてるのは、あなただろ」</p>
<p>「くすくす、本当にそう思う？」</p>
<p>フランは何も言い返せなかった。</p>
<p>年齢、出身、経歴――シアンの情報は、そのほとんどが不明となっている。しかし不明ということ自体から、分かることもある。情報が分からなければ分からないほど、それだけの<ruby>訳<rt>・</rt></ruby>があるということだ。ウルツアのように孤児だったか、ルグのように家庭に問題があったか、あるいは……。少なくとも、全てが健全というわけではない。</p>
<p>なればこそ、少しぐらい頭のネジが抜けていたとしても、彼女の人格を否定することはできない。それは心を真に壊さないための処世術なのだから――。</p>
<p>その瞬間、フランの眼前に、シオンがいつの間にか右手に持っていたナイフが突き付けられた。</p>
<p>「同情は要らないよ。そういうの、ウザい」<br />
「……そう」</p>
<p>「だけどさ、君も君だよ。<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>やってる癖に、心は潔癖症もいいとこ！　そんな生き方が、いつまでできると思ってるの？」<br />
「…………」</p>
<p>「さっさと僕みたいに<ruby>素<rt>・</rt></ruby><ruby>直<rt>・</rt></ruby>になっちゃえばいいのに」</p>
<p>フランが果たして何の根拠をもって、シアンの言葉を否定できるだろうか。今まさに、彼女の心は壊れそうなぐらい、軋みを上げているというのに。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「それで、何の用だ。まさか、そんなつまらない忠告をしに来たのか」<br />
「ううん、まさか」</p>
<p>フランは結局、シアンの言葉に応えることができなかった。だから、無理やり話題を変えた。</p>
<p>「僕ね、君とお友達になりたいなって」<br />
「意味が分からないな」</p>
<p>「僕がただ、君のこと好きなだけだよ？　こんなにシンプルな話もないね」<br />
「……お断りだ」</p>
<p>「お友達じゃ嫌？　何ならセックスフレンドでもいいよ？　君とのえっち、すっごく気持ちよくって病み付きになっちゃうんだよねぇ♡　何なら僕が、君に同じことしてあげても――」<br />
「お断りだと言っているッ！！」</p>
<p>「ぷーん。君は、僕が壊れる一歩手前でやめてくれたくせに」<br />
「あなたが、私の想定以上に頑丈だっただけだ」</p>
<p>「よく言うよ、そんな《能力》を持っておいてさ」</p>
<p>実際のところ、どうなったか分からない――もしもあの時ウルツアが誤って扉を開けなかったら、自分はシアンを壊さずにいられただろうか？</p>
<p>「まあいいさ。君がそのつもりだったにせよ、そうじゃなかったにせよ、結果的に、僕にとって1番良い落とし所を用意してくれた。これは秘密だけど、ウチの社長も、君には感謝してるんだよ？　だから、お礼に一つ何でもしてあげる。もちろん、えっちなこともね♡」</p>
<p>シアンへの報復は既に執行された。表向きにシアンをどうにかしようという輩は、もう現れないだろう。そもそもあれ自体、表沙汰にできないことだ。何か一つ間違いがあれば到達しなかったであろう、本当に偶然の、これ以上ない着地点だった。</p>
<p>それは、フランが当初懸念していたことの一つではあったが、今となってはもうどうでもいいことだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「それなら、一つ聞きたい」<br />
「うんうん、なになに？」</p>
<p>「……どうしてそんなに、私のことが分かる」</p>
<p>フランは問いは弱々しく、真剣なものだった。</p>
<p>しかし彼女の言葉に、シアンは目を見開き、そして大笑いした。</p>
<p>「それ、本気で言ってるの？」<br />
「…………」</p>
<p>「まあいいよ。借りも返さなきゃだし、お友達の質問だもん。ちゃんと答えてあげる♪」</p>
<p>次の瞬間、シアンの姿が消える。シアンはまるで自分以外の時間が止まったかのようにフランに近づくと、両手のひらでフランの頬をふにふにと優しくもみほぐすのだ。</p>
<p>「君、すっごく顔に出やすいよ？」</p>
<p>フランは呆気に取られ、怒りの感情が湧き出る前に、シアンが離れていく。そして『今度は戦場で会おうね』とウインクして、さっさと歩き去ってしまうのだった。</p>
<p>「……くそ」</p>
<p>以前から、あの女の言動は、本当に自分をいらいらさせる――フランは、その理由が少し分かった気がした。</p>
<p>「<ruby>似<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby>、<ruby>私<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>」</p>
<p>シアンのことを見ていると、フランは自身のぼろぼろになった心を、鏡で見せつけられているような気がした。一つの未来、一つの選択肢――もしもフランがもっと器用なら、シアンのようになっていたかもしれない。もしも彼女のようになれれば、どれだけ楽になれるだろうか。フランは、シアンの人格を否定しない、それどころかうらやましくすら感じる。</p>
<p>しかし現実に、フランはシアンのようにはなれなかった。</p>
<p>感情をぐちゃぐちゃにかき乱されたフランは、しばらく思考の整理が付かず、その場に立ち尽くすのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【第6話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:54:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】一人に責められる]]></category>
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					<description><![CDATA[#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</h3>
<p style="text-align: right;">#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ウルツアは今日も、訓練場で武器を振るう。</p>
<p>集中していた。雑念はない。姿勢、重心、目線、軌道、位置取り、力のバランス――あらゆる要素が、一振りごとに最適化されていく。最近の訓練は、彼女自身もその成果を認められるぐらいには順調だった。</p>
<p>問題があるとすれば、ここ最近フランが訓練場に現れず、全ての日程が自主鍛錬になっていることだ。</p>
<p>「休日だってのに、随分と精が出るじゃないか」<br />
「……社長」</p>
<p>昼前。休日にもかかわらず訓練場にやってきたのは、フランではなくViだった。今はもう包帯を巻いてはいないが、その額には痛々しい傷痕が残っている。</p>
<p>ウルツアはViに頭を下げた。</p>
<p>「……すんません。オレを庇って、けがさせちまって」<br />
「なに、お互い五体満足で生きてんだ。それでよしとしようじゃないか」</p>
<p>自分の無能が原因で、仲間の足を引っ張ってしまった。罪悪感もあるだろう、無力感もあるだろう。</p>
<p>しかし今のウルツアの表情は、悲壮感とはまるで無縁なものだった。真摯な謝罪をしながらも、その目線は真っすぐに前を向いている。ダイヤモンドよりも硬き意志を宿す表情からは、ふんすという擬音すら聞こえてきそうだ。</p>
<p>そんな彼女の様子を見て、Viは小さく笑った。</p>
<p>「……折れてないみたいだね」<br />
「どういう意味すか」</p>
<p>「たまにいるのさ。失敗して、心を折っちまう新人がさ。年寄りのお節介だが、アンタの様子を見ていたらちと気になってね」<br />
「ああ……」</p>
<p>時と場合によっては、『そんな弱いやつじゃない』と怒っていたかもしれない。しかし、ウルツアは怒ることができなかった。相手が、自分を拾ってくれた、頭の上がらない恩人だから……ではない。</p>
<p>事実、折れかけていたからだ。</p>
<p>「いろいろ、まあ、考えてはいたけど。折れんのは、後にします」<br />
「ほう、どういう意味だい？」</p>
<p>「……ムカつくやつがいるんすよ」<br />
「ムカつくやつ？」</p>
<p>Viが眉をひっそりと持ち上げる。</p>
<p>「オレのことを半人前扱いしやがって。そのことに文句はねぇ、ああ確かにオレは半人前だ。だけど、アイツだって半人前じゃねーか。半人前のくせに、偉そうにオレに。だったらオレが先に一人前になりゃ、アイツに、アイツを……」</p>
<p>ウルツアが思い出すのは、初実践の直前のこと。『まあ、君が半人前の間は、心のケアも多少はするよ』――<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby>のその言葉は、今思い出すと無性に腹が立ってくる。いつも散々にムカつくやつだけど、その言葉が、今は一番腹立たしい。</p>
<p>『だから、つまり』――何を言いたかったのか分からなくなったウルツアは、今までの文脈をまったく無視して締めくくるのだ。</p>
<p>「あの<ruby>ク<rt>・</rt></ruby><ruby>ソ<rt>・</rt></ruby><ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>節<rt>・</rt></ruby><ruby>介<rt>・</rt></ruby>をあっと言わせるまで、やめらんねぇ」</p>
<p>その言葉を聞いて、Viはくくくと笑った。</p>
<p>「何すか」<br />
「いや、どいつもこいつも、似たことを言うと思っただけさ」</p>
<p>Viは目を細めて笑ってから、訓練場の壁に寄り掛かる。コーティングがぼろぼろに剥がれた壁をなでて『早いところ修理しなきゃね』と呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>Viは壁に寄り掛かったまま、武器を振るい続けるウルツアに問うた。</p>
<p>「1番ハズレの《能力》って、何だか分かるかい？」<br />
「……何すか？　突然」</p>
<p>「いいから。たまには年寄りの世間話にでも付き合っとくれよ」<br />
「ハズレ、ねぇ」</p>
<p>突然そう聞かれても、ウルツアとしてはいまいちピンとくるものではなかった。</p>
<p>どのような《能力》に目覚めるかは、各人の適正によるものであり、自分の意思で選ぶことはできない。当然、その中には相性があるだろうし、もっと単純な優劣もあるだろう。そうは言っても、その中からピンポイントで『これは最悪だ』と呼べるものが、果たしてあるだろうか。</p>
<p>しかし、Viは何の迷いもなく、その答えを断言するのだ。</p>
<p>「正解は《読心》さ」<br />
「意味分かんねぇすよ。あんなに強えじゃねーか」</p>
<p>《読心》――数ある《能力》の中でも珍しい部類だ。フィクションではありふれた異能だが、不思議と今の世の中では出会う機会に乏しい。</p>
<p>だからこそ、ウルツアに心当たりのある人物は<ruby>1<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby>しかいなかったが、少なくとも『ハズレ』と断定されるような《能力》には思えない。今までの訓練でフランに完敗していたことを鑑みれば、その強さが納得できる。自分がどのタイミングで勝負を仕掛けるか読まれてしまったら、1対1で勝つのは極めて難しくなるのだ。</p>
<p>「そうさね。目に見える破壊力はないが、使い方によっちゃ強力。いや、強すぎるのさ」</p>
<p>ウルツアは、Viの言葉の意味が分からなかった――『弱くはない』はまだ分かる、だけど、『強すぎる』？</p>
<p>「もし、商売の場に<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby>がいたらどうなる？」<br />
「商売ぃ？　そりゃー、心が読めるんなら有利になるに決まって……」</p>
<p>「したら、国会にでも潜り込ませたらどうなる？　いっそのこと、国の首脳が勢揃いのサミットにでも放り込んでみようか」<br />
「そりゃ……」</p>
<p>「別に、フランじゃなくても構わないさ。そこらのハナタレでも、《読心》が使えさえすりゃ……ね」</p>
<p>『まあ、アイツも大概、ハナタレみたいなものか』――Viはそう笑うが、一方でウルツアは息を詰まらせた。彼女は別に、政治やら何やらに明るいわけではない。むしろ新聞もテレビニュースも見ないぐらいだ。それでも、その意味が分からないほど愚かではなかった。</p>
<p>ただ、他人の心を読む《能力》に目覚めただけ。それ以外は何もかも平凡、いや、それ未満の人間だったとしても、ただ《読心》を持つだけでその価値は――。</p>
<p>「そ。《読心》ってのは、どんな組織でも喉から手が出るほど欲しい《能力》。腕っ節だけでは全てが決まらない今の世の中、強すぎるのさ」<br />
「なら、アタリじゃねーすか」</p>
<p>「いや、ハズレさ」</p>
<p>そこで、Viが虚空を見上げて黙る。それは何かを思い出すような仕草に見えた。</p>
<p>ウルツアはViの言葉を待つ。もう、武器を振るうことをやめていた。</p>
<p>「『ヒーローキャンペーン』って知ってるかい？」<br />
「何すかそれ」</p>
<p>「正式名称は何だったか、『夢見る子どもを応援する！　君もヒーローになろうキャンペーン』とかだったか」<br />
「ダッセー名前」</p>
<p>「まったくさ。とにもかくも、アンタがまだ小さな子どもだった時の話さ。どっかのイカれた企業が始めたキャンペーンでね、親しみのある甘い口説き文句で大量の子どもを集めて、廉価の《能力》開発手術を施すのさ。……たまに現れる優れた《能力者》を、自分とこの兵隊にするためにね」</p>
<p>それは、ほんの少しでも<ruby>裏<rt>・</rt></ruby>を読むことができる人間であれば、聞くだけでもおぞましい内容だった。</p>
<p>異能の存在が明るみになった当時、《能力者》と言えばみんなの憧れの的だった。まるでアイドルを目指すかのように、《能力者》を目指すのだ。自分の子を《能力者》にして、箔を付けたがる親も多かった。ほんの少しお金を払うだけで、もしかしたら誰もがうらやむ強力な《能力》を得られるかもしれない。みんなが、まるで宝くじを買うような気持ちでいた。</p>
<p>……悪意を持った人間からすれば、これほど<ruby>ち<rt>・</rt></ruby><ruby>ょ<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>相手はいないだろう。</p>
<p>「フランの家庭は、ごく普通の家庭だった。だけど親の目がくらんじまったのさ。それで<ruby>ま<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>ハ<rt>・</rt></ruby><ruby>ズ<rt>・</rt></ruby><ruby>レ<rt>・</rt></ruby>を引けりゃ、穏やかな家庭に戻れただろうに。アイツはよりにもよって、<ruby>1<rt>・</rt></ruby><ruby>番<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>ハ<rt>・</rt></ruby><ruby>ズ<rt>・</rt></ruby><ruby>レ<rt>・</rt></ruby>を引いちまった」</p>
<p>「親は、どうしたんすか。ヘータイになるのを止めなかったんすか」<br />
「止めただろうさ。<ruby>生<rt>・</rt></ruby><ruby>き<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>ゃ<rt>・</rt></ruby><ruby>ね<rt>・</rt></ruby>」</p>
<p>「オイ、まさか……」<br />
「こういう手合いは、帰る場所を残しちゃくれない。良くて人質さ」</p>
<p>その事実に、ウルツアはただ圧倒される。</p>
<p>彼女に、自分の不幸と他人の不幸を比べる趣味はない。故に、ウルツアの人生とフランの人生、どちらのほうが過酷だったかを論じる意味はない。</p>
<p>それでも、彼女は思うのだ――最初からいなかったわけではない、確かに側にいたはずの家族が目の前で殺されるというのは、一体どんな感覚なのだろう？</p>
<p>「だけどさっきも言った通り、《読心》ってのは強すぎる。汚いことをやってるやつには特に有効だろう。だから碌なことにならない。嫌われるのは当然、酷使されながら幽閉されるやつもいるし、命を狙われるやつもいる」<br />
「……それが、フランだってのか」</p>
<p>《読心》はフィクションではありふれた異能だが、不思議と今の世の中では出会う機会に乏しい――ウルツアは、その理由を理解した。見つかったらその大部分が、幽閉されるか、殺されるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……アレは本当に、胸クソの悪い仕事だった」</p>
<p>Viのそれからの話は、今日に至るまでのことだった。</p>
<p>Viが仕事で、件の会社を襲撃した。たくさんの《能力者》が彼女を襲った。その中には、兵隊にされた子どもたちがたくさんいた。年齢など、仕事には何の関係もなかった。殺意を持って襲ってくるなら、全員<ruby>始<rt>・</rt></ruby><ruby>末<rt>・</rt></ruby>するしかなかった。</p>
<p>たまたま生き残ったのは、施設の奥深くで幽閉されていたフランだけだった。そしてViは、彼女を拾った。</p>
<p>「おかげで、この国の《能力者》の間では、もはや『ヒーロー』って言葉は禁句さ。うさんくさくなっちまった」</p>
<p>ウルツアはそこまでただ黙って聞き、最後に口を開いた。</p>
<p>「どうして、アイツに拷問師なんてさせたんすか」<br />
「ん？」</p>
<p>「アイツが拷問なんて始めなけりゃ、あそこまで<ruby>拗<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>せ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>ことなかったでしょうよ」<br />
「……そうさね」</p>
<p>全ての発端は《読心》という異能だった。たまたま最悪の異能を持ってしまったせいで、嫌われ、幽閉され、命を狙われ、暗惨たる人生を送ってきた。しかし今は、異能に加えてさらに拷問――2種類の嫌悪が、今のフランを苛んでいる。もしもその片方がなければ、少なくとも今よりは<ruby>マ<rt>・</rt></ruby><ruby>シ<rt>・</rt></ruby>だっただろう。</p>
<p>しかしViは、ウルツアの質問に対して首を横に振った。</p>
<p>「それに関しちゃ、アタシが答えるわけにはいかないね」<br />
「教えてくれないんすか」</p>
<p>「その答えが知りたきゃ、代わりにアイツに聞きな」</p>
<p>Viの声音は、どこか拒絶するかのように冷たい。しかしウルツアはそれに怒ることもなく、恐れることもなく、悲しむこともなく、素っ気なく返すのだ。</p>
<p>「なら、いいっす」<br />
「おや、いいのかい」</p>
<p>「答え合わせはしたかったんすけど。だいたい、分かってるんで」</p>
<p>背の小さいウルツアは、背の高いViを見上げて、やれやれとため息を付きながら言うのだ。</p>
<p>「アイツは<ruby>親<rt>・</rt></ruby><ruby>不<rt>・</rt></ruby><ruby>孝<rt>・</rt></ruby><ruby>モ<rt>・</rt></ruby><ruby>ン<rt>・</rt></ruby>っすよ、社長。<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>ン<rt>・</rt></ruby><ruby>タ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>考<rt>・</rt></ruby><ruby>え<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>、ちっとも理解しちゃいねー」</p>
<p>Viの目が見開かれる。その顔には無数の皺が刻まれ、皮膚はとうに乾ききっている。幾十年戦い続け、身も心も擦り切れ、『ちょっとやそっとのことではもう動じることなどない』と思っていた。</p>
<p>そんな老婆の瞳が、少女の言葉に揺らぐのだ。</p>
<p>「……励みな」</p>
<p>Viはウルツアの頭をくしゃりとなでると、ただそれだけを言って、訓練場から立ち去ろうとする。</p>
<p>「社長、もう一つ聞きたいんすけど」</p>
<p>ウルツアが背後から声を掛けても、Viはもう振り返ることもない。ウルツアはそのまま問うた。</p>
<p>「アイツに戦いを仕込んだのは、社長すか」<br />
「ただ、1人で最低限生きていけるだけの世話をしてやっただけさ」</p>
<p>『アタシはいい母親にはなれないね』――Viが最後にそう言って去ってから、ウルツアは『2人とも、道理で強ぇわけだ』と呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランが休憩室に来た時、ベンチに座って待ち構えていたのはウルツアだった。</p>
<p>「っ」<br />
「あいさつもなしか？　クソお節介」</p>
<p>「入社当初と、立場が逆になったみたいだ」</p>
<p>フランは踵を返す前にそう言われて、仕方なく休憩室に入った。自販機のジュースを買うこともなく、ウルツアの隣に座ることもなく、隅の壁に寄り掛かる。</p>
<p>「今日は休日だよ。どうして会社にいる」<br />
「テメェもだろ」</p>
<p>「やっておきたい事務仕事があるんだ。それに業種柄、休日でも人はいたほうがいい」</p>
<p>うそだった。ただ、自分の部屋でぼうっとしていられなかっただけだ。</p>
<p>「…………」<br />
「…………」</p>
<p>沈黙。フランは『この時間が苦痛に感じられるのは、自分だけなのだろうか』と思った。まるで上司に叱られる直前の、会社員のような気分だ。目の前にいる相手は年下の後輩だというのに。</p>
<p>すぐにこの場から立ち去ってしまいたい。しかし、フランの体重がつま先にかかると、ウルツアのにらみ付けるような視線が突き刺さってくる。</p>
<p>「社長から、テメェのことを聞いた」<br />
「……あのクソババア」</p>
<p>フランが『具体的に何を？』と聞く必要はなかった。何を告げ口されても顔をしかめたくなるぐらい、彼女の生はほの暗いものだったから。</p>
<p>「くだらねーことで悩みやがって」<br />
「随分と言ってくれるね」</p>
<p>「くだらねーだろ。世の中、やべー《能力》を持ってるやつはごまんといるぜ。やべー使い方をしてるやつもな」<br />
「『みんなやってるから』は、悪事を働く上で最悪の言い訳だ。何よりも愚かで、拙く、恐ろしい」</p>
<p>「難しく考えすぎなんだよ、テメェは」<br />
「……この話は終わりだ。そろそろ黙ってほしい」</p>
<p>フランの声に怒気がこもる。</p>
<p>しかしウルツアは黙らない。</p>
<p>「早い話、だ。テメェは結局、人と話すのが恐ぇコミュ障ってこったろ？　そんで人と話すのが嫌だから、<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>部<rt>・</rt></ruby><ruby>屋<rt>・</rt></ruby>に引きこもってるわけだ。これほど単純でくだらねー話もないぜ」<br />
「……黙れと言ったはずだ」</p>
<p>「人の心が読めるからって、<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>部<rt>・</rt></ruby><ruby>屋<rt>・</rt></ruby>を<ruby>巣<rt>・</rt></ruby>にしてるからって。テメェは世の中の全部に嫌われてると思ってやがる。だからテメェはあの時、オレから逃げ出したんだろ」<br />
「……黙れ…………ッ！」</p>
<p>「自分で引きこもったくせに、自分で病みやがって。めんどくせーやつ」<br />
「君に何が分かるっていうんだよッッ！！」</p>
<p>フランの金切り声が響く。</p>
<p>もしも今日が平日なら、オフィスにいる社員に聞かれてしまいそうなぐらい大きな、そして社員が聞いてもそれがフランの声だと分からないような。それだけ悲痛な叫び声だった。</p>
<p>ウルツアは彼女の悲鳴を一身に受け、しかし冷たい声で吐き捨てるのだ。</p>
<p>「分かんねーよ」<br />
「っ……」</p>
<p>「テメェがどんな過去を歩んできたか、話を聞いただけのオレじゃあ全部は理解できねぇ。だけどそんなもん、どーでもいいぜ。テメェだって、オレのことなんて分かんねーだろ。お互いさまじゃねーか」</p>
<p>ウルツアが立ち上がり、フランに近づいていく。</p>
<p>フランは思わず後ずさる。しかし、背後は既に壁だ。</p>
<p>「《能力》も、過去も、仕事も、全部関係ねぇ。オレは今、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>テ<rt>・</rt></ruby><ruby>メ<rt>・</rt></ruby><ruby>ェ<rt>・</rt></ruby>が気に入らねぇ」<br />
「君は、一体何を」</p>
<p>「――<ruby>オ<rt>・</rt></ruby><ruby>レ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>心<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby><ruby>勝<rt>・</rt></ruby><ruby>手<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>決<rt>・</rt></ruby><ruby>め<rt>・</rt></ruby><ruby>付<rt>・</rt></ruby><ruby>け<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby>って言ってんだよッ！！！」</p>
<p>ウルツアがフランの胸ぐらをつかむ。胸への衝撃と、それ以上に怒りのこもった声に、フランは息を詰まらせた。</p>
<p>「どうしてあの時、オレから逃げたッ！！？　人の心を読めるって知られて、拷問師なんてやってるって知られて、テメェはオレに嫌われると思って逃げやがった！！　それが気に入らねぇッ！！！」<br />
「だって、私は……。私のやってること、は……！」</p>
<p>「フラン」<br />
「っ――！？」</p>
<p>「オレが、テメェのことを嫌ってるか？」</p>
<p>ウルツアの目が、まっすぐにフランを射抜く。</p>
<p>静かな、しかし強い輝きを灯す瞳がまぶしい。フランは反射的に目を背けそうになる。しかしウルツアが、フランの顔をつかんで無理やり正面を向かせた。</p>
<p>「ちゃんと<ruby>見<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby>」<br />
「っ！？」</p>
<p>「ちゃんとオレの心を読め」<br />
「や、やめ……ッ！！」</p>
<p>「ちゃんと、奥まで読め」<br />
「ひ――ッ！？」</p>
<p>フランの心がざわつく。</p>
<p>彼女の《読心》は、その意志に関わらず常に発動している。それでも、こうも人の心を奥底まで読むことはなかった。だって、こちらが心を読めたところで、向こうが心を曝け出してくることなんて、今までなかったのだから。</p>
<p>普通の人間なら、心を読まれるなんて分かったら、どうあっても嫌悪するものだ――その心の色は、恐い。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！　見たくない、見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない！？</p>
<p>……それなのに。</p>
<p>「どうして、君は、そんな……」</p>
<p>ウルツアは確かに怒っていた、悲しんでいた。煮えたぎるマグマと絶対零度の氷塊が混在したような、ぐちゃぐちゃの感情を持っていた。だけどその心のどこを見渡しても、フランに対する嫌悪という感情なんて一欠片も見当たらなくて。</p>
<p>むしろ。</p>
<p>「おかしいだろ……！？　だって、君は、私、は……ッ！！？」</p>
<p>フランの瞳が揺れる――どうしてこの子はこんなにも、自分のことを<ruby>想<rt>・</rt></ruby><ruby>え<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>んだ？</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「――テメェは、その《能力》で<ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby><ruby>救<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>き<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>んだろ」<br />
「……何？」</p>
<p>それは、フランにとって甚だ予想外な言葉だった。<ruby>救<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby>――まるで心当たりがない。だって彼女が行ってきたのは拷問なのだから。</p>
<p>「もしも、<ruby>テ<rt>・</rt></ruby><ruby>メ<rt>・</rt></ruby><ruby>ェ<rt>・</rt></ruby><ruby>以<rt>・</rt></ruby><ruby>外<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>つ<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby>に拷問されたら、そいつは普通どうなるんだよ」<br />
「それは……」</p>
<p>想像もしたくない。本来の拷問というものは、殴られ、蹴られ、絞められ、切られ、焼かれ、犯され、孕まされ――情報を吐いた後でも、結局殺される者も少なくない。</p>
<p>「テメェは、拷問で相手を傷つけない。もしもテメェがあの仕事をやってなかったら、何人ものやつらが他のところで拷問されて、死んでる。テメェは、テメェの立場で、テメェにできることで、そいつらを守ってきたんだろ」<br />
「……そんなの、考えたことも、なかった」</p>
<p>フランは目を見開いたまま、ぽつりと呟いた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>……本当だろうか？</p>
<p>『――あれじゃ、だめだよ。Vi』</p>
<p>フランが初めて拷問という現場を見た時、南雲トキという女性が死に向かっているのを見た時、何の意図があってかの現場を否定しただろうか。</p>
<p>Viに命じられ、南雲トキへの拷問を終えた直後のこと。お節介な彼女は、『君は拷問に向いていない』と言った。『絶対にこの先苦しむことになる』と言った。『どうしてこんな汚れ仕事を引き受けたのか』と言った。</p>
<p>フランは一生懸命に考えて答えた。</p>
<p>『あのクソババアをあっと言わせるまで、やめられません』</p>
<p>いつかViを見返してやりたい――それは確かに本音だ。だけどもっと<ruby>素<rt>・</rt></ruby><ruby>朴<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>理<rt>・</rt></ruby><ruby>由<rt>・</rt></ruby>が、彼女の根底にあったはずだ。</p>
<p>『……それと』<br />
『それと？』</p>
<p>フランの記憶がよみがえる。あの時、あの人と最後に、どんな言葉を交わしただろう――ああそうだ、そうだった。どうして忘れてしまったのだろう。</p>
<p>『――<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby><ruby>男<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>人<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>殺<rt>・</rt></ruby><ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>は<rt>・</rt></ruby>、<ruby>嫌<rt>・</rt></ruby><ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby><ruby>思<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>ら<rt>・</rt></ruby>』</p>
<p>それこそが、彼女があえて裏舞台に身を投じた理由だったはずだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「社長は、テメェだから拷問を任せたんだ。男に犯されて死ぬ間際の敵を救おうなんて思ってる、バカみてーにお人好しで、クソお節介なテメェだから」<br />
「そんな、だって……っ？　でも、私、は……」</p>
<p>「オレが慰めようと、ホラ吹いてると思うか」<br />
「……思わ、ない」</p>
<p>「なら、誇れよ。テメェはちゃんとその《能力》で、人を救ってきたんだ」</p>
<p>それは無垢な少女の好意的な解釈に過ぎない。物事のほんの一面であり、それだけで行い全てを正当化していいわけがない。</p>
<p>それでも、自分の生をほんの少しでも肯定してもらえたのなら――。</p>
<p>「っ、ぁ……」<br />
「はっ、泣いてやんの」</p>
<p>「ぅ、うるさ……！　っ、ぁ、っ……。ぅ、ぐすっ……！　ぁぁ、ぁぁぁ……！」</p>
<p>ウルツアは悪態をつきながら、フランのことを優しく抱き締める。それはいつの日か、フランがウルツアを抱き締めた時よりも乱暴に、しかし強く、温かく。</p>
<p>フランの目から涙が止めどなく零れる。どれだけ我慢しようと思っても止まらない。それは、これまでの半生で溜め込み続けた涙を、全て流すかのようだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ごめん、君に、こんな」<br />
「あー。いいよ、そのままにしてろ」</p>
<p>「……うん」</p>
<p>長い長い垂泣の後、フランとウルツアは休憩室のベンチに座っていた。立ったまま泣き続けることもない――ウルツアがフランのことを抱きかかえて、無理やり座らせたのだ。</p>
<p>フランは既に泣きやんだが、ウルツアの細い腕に抱き締められたまま、目を細める。大の大人が、あんなにもわんわんと泣くだなんて――恥ずかしくは思うけれど、それ以上に心地いい。人に抱き締められるというのは、こうも心安らぐものだったのか。</p>
<p>思い悩んでいた時間が長かっただけに、気が緩む。フランは無意識のうちに、自分の頭をウルツアの胸元にこすり付けた。</p>
<p>「っ」</p>
<p>ウルツアの肩がびくりと跳ねる。しかしフランはそれに気付かず、ぐりぐりと頭を押し付け続ける。人と触れ合うのが温かくて、思わず猫のように喉を鳴らす。</p>
<p>「っ……、っ……！？」</p>
<p>ウルツアの肩がぴく、ぴくと跳ねる。フランの視界の外で、ウルツアの顔が真っ赤に染まっていく。</p>
<p>堅物だった女性が甘える様子。スーツ越しにでも伝わる、温かく柔らかな体の感触。それらは、彼女がれっきとした<ruby>女<rt>・</rt></ruby><ruby>性<rt>・</rt></ruby>であることを認識させるには十分なもの。おまけに、散々恐怖の対象だった拷問が、しかし元を正せば性行為であるという事実が合わさる。</p>
<p>つまるところ、ウルツアの胸元で甘えている人物は、大人の女性で、しかも普段からだいぶエロいことをしているわけで……。</p>
<p>「……え？」<br />
「っ――！」</p>
<p>フランが声を上げた時には、ウルツアの心の<ruby>モ<rt>・</rt></ruby><ruby>ノ<rt>・</rt></ruby>はすっかり硬くなっていたのだった。</p>
<p>そしてフランは、そんなウルツアの心を自然と読んでしまっていて――。</p>
<p>「ええと、ウルツア、君さ」<br />
「し、し、仕方ねーだろ！？　元はといえば、テメェが……！！」</p>
<p>「こんな状況で、そんなことある？」<br />
「な、慰めてもらってる分際で、文句あんのかよぉ！？」</p>
<p>「文句はないけどさ。でも、締まらないなぁって」<br />
「うううううるせぇッ！！」</p>
<p>ウルツアが顔を真っ赤にしながら怒鳴るが、彼女の<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は収まることを知らない。それどころか、時間がたてばたつほど意識してしまうのだろうか、フランの読み取れる心の色がどんどん濃くなっていく。</p>
<p>フランにとっても、ウルツアにとっても、あまりに予想外の状況だ。先ほどまで、あんなにシリアスな話をしていたというのに――むしろ、今までが非日常的だったからこそ、心のタガが外れて<ruby>別<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>非<rt>・</rt></ruby><ruby>日<rt>・</rt></ruby><ruby>常<rt>・</rt></ruby>にも容易に飛び移ってしまえるのだろうか。それはウルツア<ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>け<rt>・</rt></ruby>の話ではなかった。</p>
<p>「はぁ……」</p>
<p>ウルツアと出会ってから、フランはため息を付いてばかりだ。しかし、このため息は、今までのどのため息よりも温かく、そしてどこか緊張していた。</p>
<p>「その気があるなら、夕飯を済ませてから、<ruby>下<rt>・</rt></ruby>においで」<br />
「え」</p>
<p>「……<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>礼<rt>・</rt></ruby>だよ。それ以上の意味はない」</p>
<p>ウルツアがぽかんとした表情のまま動かない。明らかに、脳の処理が追い付いていない。</p>
<p>しかしフランも、わざわざ彼女の理解が追い付くまで待つことはなかった。『あの寮の壁は、あまり厚くないんだ』――そう言って、フランは休憩室から出ていってしまう。</p>
<p>「ま、マジ……？」</p>
<p>休憩室に取り残されたウルツアは、真っ赤な顔で独り呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……本当に来たんだ」<br />
「どういう意味だよ」</p>
<p>ウルツアが拷問室の扉を少し遠慮がちに、ゆっくり開くと、そこには背中を向けたフランがいた。フランは顔を向けないまま呟いた。</p>
<p>「考える時間はあったでしょ。冷静になって、『やっぱりやめた』ってなると思ってた」<br />
「……んなわけねーだろ」</p>
<p>「『一度約束した手前だし』なんて気にする性格でもないよね？　少しは、一度立ち止まって考える癖を付けたほうがいい。勢い任せに突っ走ると、碌なことにならないよ」</p>
<p>フランは顔を背けたままそんなことを言い続ける。一見すると小煩い普段の彼女らしくも聞こえるし、どこか拒絶するようにも聞こえる。だけどウルツアがフランの前方に回り込んで顔をのぞき込むと、彼女の頬は薄らと赤みがかっていて……。</p>
<p>「そんな『ほっとした』みたいな顔じゃあ、何言っても説得力ねーよ」<br />
「……服は向こうっ」</p>
<p>フランは顔を真っ赤にして、部屋の隅に置かれた小さなバスケットを指差した。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「何してんだよ、テメェも脱げよ」<br />
「え？」</p>
<p>「あ？」<br />
「あ、そ、そうだね」</p>
<p>ウルツアは、どうしてフランがこんなにも挙動不審なのか分からなかった。しかし、それは必然だ。</p>
<p>今までフランは、何十人、何百人もの性拷問を行ってきた。しかし性拷問は、相手に<ruby>快感<rt>くつう</rt></ruby>を与えればそれでよく、わざわざ自分が服を脱ぐ必要なんてなかったのだ。だからフランは今日初めて、しかも想定外に、他人に裸を晒すことになる。歪な性経験が、妙な気恥ずかしさを生んでいた。</p>
<p>「色気ねぇ下着……」<br />
「うるさいよ。本来、他人に見せないんだ。それに、これは透けにくい」</p>
<p>フランが少し控えめな態度で曝け出したのは、ベージュの下着だった。ファストファッションの店で売られているような、ただひたすらに機能性を追求した、一切の飾り気のないデザイン。フランは女性にしてはやや背が高いほうではあるが、胸や尻は決して大きいほうではない。彼女の下着姿は、いまいちあか抜けないものだった。</p>
<p>フランは少し逡巡してから、『こんな下着じゃ、脱いだほうがマシだな』と呟いて裸体を晒した。薄いピンク色の小さな乳首、陰毛が薄く生えそろった秘所が露出する。</p>
<p>「そういう君は、随分と服装に気を遣うよね。ウルツア」<br />
「ダセー服着てるとナメられんだよ」</p>
<p>フランは少し表情をゆがめながら言った。ひん曲がった口からは、『ぐぬぬ』という声が聞こえてきそうだ。</p>
<p>ウルツアが着けていたのは、黒を基調としながら、所々に赤色の装飾が散りばめられた下着だった。彼女は背が低く、胸も尻も小さい。しかし貧相な体なりに似合うよう選び抜かれた大人びたデザインは、なかなか<ruby>様<rt>・</rt></ruby>になっている。</p>
<p>ウルツアはフランの裸体を見て、目を見開き、首をかしげ、彼女と自身の下半身を交互に見比べてから、ようやく下着を脱ぐ。フランよりも濃いめの、鮮やかなピンク色の乳首。彼女の下には、毛が生えていなかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「はっ。まさか性拷問師サマが、こんなうぶな有様晒すなんて思わなかったぜ」<br />
「そういう君は、経験があるのかな」</p>
<p>「……あってたまるかよ」<br />
「なら一緒じゃないか」</p>
<p>2人は言い合うが、いつまでも裸のままそんなことをしてはいられない。</p>
<p>フランが半ば無理やり、ウルツアを抱き締める。ウルツアの顔が、一気に、真っ赤に染まった。</p>
<p>「な、ななななな何しやがんだテメェっ！？」<br />
「一応、年上だし。私がリードしようかと思ったんだけど」</p>
<p>「だ、だだからって、こんな……！？」<br />
「お風呂に入れられる猫じゃないんだから、暴れないでよ。少しくすぐったい」</p>
<p>フランとウルツアは今までに二度、抱き合ったことがあった。一度目は『心のケア』だとかいう名目で、二度目はつい先ほど。しかしどちらにせよ、衣服越しだった。</p>
<p>今の状況はだいぶ違う。はっきりと性的な営みとして、まだ直立したままだがベッドの傍らで、裸で抱き合っている。その温もり、その柔らかさは今までの比ではない。ウルツアの全身から、あっという間に力が抜けていく。</p>
<p>しかし、彼女が弛緩したタイミングを狙って、フランは彼女の耳にそっと触れるのだ。</p>
<p>「ひぅっ！？」</p>
<p>ぞくりとした感触に、ウルツアの腰が大きく跳ねた。ウルツアは間抜けな悲鳴を上げてしまったことに奥歯をかみ、全身にぎゅっと力を込めるが、無駄な努力でしかない。</p>
<p>フランは身をかがめ、ウルツアの耳にふうと息を吐く。</p>
<p>「ひぁっ！？　てめっ、やめ……！？」<br />
「ちゅっ、じゅる……。れろっ、ん……っ」</p>
<p>「ぅぁっ、ひ……！？　ぁ、ひゃっ、ぁぁ……！」</p>
<p>フランがウルツアの耳をなめる。あまり唾液でべっとりと汚してしまわないように、呼吸で舌先をいくらか乾かしてから。それと同時に、回した左手で反対側の肩をなでる。ウルツアが全身に込めたはずの力が、温かなお湯に突き落とされた砂糖菓子のように、あっという間に溶けて霧散してしまう。</p>
<p>性拷問とは少し勝手が違うとはいえ、やはりフランは<ruby>熟<rt>・</rt></ruby><ruby>達<rt>・</rt></ruby>していた。</p>
<p>「ずっと前から思ってたんだけど。君、やっぱり声かわいいね」<br />
「かわ――っ！？」</p>
<p>ウルツアの顔がぼっと赤く染まった。『かわいい』という言葉が嫌に鼓膜に貼り付いて、離れようとしない。</p>
<p>「いつも無理してドスを利かせてさ。普通に話せばいいのに」<br />
「てめっ、ばかにして……！　ひひゃっ、ぁぅっ、ぁぁぁ……！？」</p>
<p>ウルツアがフランに語る機会こそなかったが、彼女が低い声を出すのは健気で稚拙な処世術だった。彼女が住んでいた場所は、力のない小娘だと侮られるのが文字通り命取りだった。</p>
<p>彼女とて、今はもう無理に声を低くする必要がないというのは分かっている。ここは傭兵会社でありながら、存外に平和で、みんな過保護だ。しかし、今更女っぽい声を出すというのは、何だか、ものすごく恥ずかしい。</p>
<p>「っていうか、オレがされる側なんかよぉ……っ」<br />
「そういえば、決めてなかったね。まあ、君が愉しんでるみたいだし、これでいっか」</p>
<p>「誰が、たのしんで……！？　ひぁっ、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby>は、いきなりさわんな……！？」</p>
<p>ウルツアは無理をしてでも声を低く保とうとするけれども、フランに右手で内股をなでられると、どうしても甲高い悲鳴を上げてしまう。</p>
<p>そして内股のくすぐったさにバランスを崩し、ベッドに押し倒された。</p>
<p>「ウルツア、知ってるかい？」<br />
「な、何をだよ……」</p>
<p>「……世の中にはね、そうやって強がっている子をいじめたくなってしまう人もいるんだよ」<br />
「っ……」</p>
<p>欲望のにじみ出たその言葉、発情した雌の獣じみたその表情は、いつものフランらしくない。ウルツアは思わず、キスができそうな距離で微笑むフランに見とれてしまう。『ティーンズラブとかに出てくる乙女かよ』――ウルツアは心の中で無理やり悪態をつくが、目を離すことができない。</p>
<p>しかし、それが決定的な隙となった。</p>
<p>次の瞬間、ウルツアは両手に圧迫感を覚える。いつの間に、自分は両腕を<ruby>上<rt>・</rt></ruby><ruby>げ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>いた？　――しかし下ろせない。フランがあっという間に、ウルツアの両手首を拘束具で固定してしまったのだ。</p>
<p>「な、何だこりゃ――」</p>
<p>ウルツアが驚いている間も、フランの行動は素早い。足首に同じような圧迫感を覚えて、彼女はあっという間に両手足を拘束されてしまったことを理解した。彼女が寝ているベッドには、四本の脚につながるように、革具と鎖で作られた拘束具が取り付けられてあったのだ。</p>
<p>「おいテメェっ！？　ふっざけ――！　外せコラァッ！！」<br />
「こういう動作は、仕事での経験が活きるものだね」</p>
<p>「言ってる場合かッ！！　くそっ、こんなちんけな拘束具なんて……！」</p>
<p>ウルツアは拘束具を引きちぎろうとした。身動きが取れないことによる、正常な防衛反応だ。</p>
<p>この拷問室で使われている拘束は、大人のおもちゃの店で売られているようなちゃちなものではなく、腕っ節の強い傭兵でも解けないほど強固な特注だ。それでも、ウルツアの痛みを無視する《能力》があれば、自身の損傷を厭わず脱出することもできたかもしれない。</p>
<p>しかし、フランが耳元でささやくのだ。</p>
<p>「駄目、暴れないで」<br />
「ひぅ――」</p>
<p>「動いちゃ駄目だよ」</p>
<p>優しく、しかし鋭い声。それだけで、ウルツアは抵抗できなくなる。</p>
<p>精神的な拘束――別にフランが、声を操る《能力》を持っているわけでもない。それなのに、ウルツアはフランに絶対的なイニシアチブを握られているような気がした。そしてそう思うと、不思議と背筋がぞくぞくするのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>幸か不幸か、フランの性に対する認識は歪んでいた。あまりにも多くの性拷問を行ってきた彼女にとって、性行為のスタンダードは<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby>だった。</p>
<p>故に、ただ手や口で愛して心地よくなるだけの行為で満足はしない。フランはベッドから手の届く距離にある棚の上から、手近な<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>を取った。</p>
<p>「な、なんだよ、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>ぇ……！？」</p>
<p><ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>は、ウルツアが見たことのない道具だった。</p>
<p>シリコンで作られた、二つの<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>わ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby>のようなもの。それは実に女性の乳房にフィットしそうな形で、内側にはピンクローターがくっ付いている。初めて見たウルツアでも、その<ruby>使<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>道<rt>・</rt></ruby>は容易に察せた。</p>
<p>「ちょ、ちょっと、待……！」<br />
「してほしいって言ったのは、君のほうだろう？」</p>
<p>「言ってねぇ！？」<br />
「そうだっけ？　まあいっか」</p>
<p>ウルツアが拘束具をぎしぎしと鳴らすが、フランの手から逃れることはできない。おわん型の道具が、ウルツアのほぼ真っ平らに近い乳房に貼り付けられていく。</p>
<p>中に仕込まれた、まだ振動すらしていないピンクローターの硬くひんやりとした感触が、ウルツアの腕を鳥肌立たせた。</p>
<p>「ねえ、分かる？」</p>
<p>フランが、ウルツアの顎を持ち上げた。</p>
<p>「私、今、すごい興奮してる……」<br />
「分かってんだよ、そんなことぉ……」</p>
<p>今までの、冷たく優しい態度とは全然違う。どろどろに蕩けた、熱くて、今にでも喰らい付いてきそうな肉食獣のような表情。必死に押さえ付けてきた欲望が姿を現している。</p>
<p>そして、それはウルツアも同じだ。</p>
<p>「っ……♡」</p>
<p>少し怖くて、だいぶ焦っていて。だけどそれ以上に、うれしくて、悦んでいて。ウルツアは、『コイツはそんな気持ちも全部読んでしまうんだろう』と思った。『だから、コイツはどんどん我慢できなくなってしまうんだろう』と思った。そしてそう思うほどに、ウルツア自身もまた興奮してしまう。</p>
<p>お互いの感情が、お互いの感情を煽り続ける。それは終わりのない螺旋階段を駆け上がり続けるようだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「っあぅ――！？　ぁ、これ……！　ぁ、ぁぁ、ぁぁ……！？」</p>
<p>フランが<ruby>道<rt>・</rt></ruby><ruby>具<rt>・</rt></ruby>のスイッチを入れた瞬間、小さな乳首にむず痒さがやってきた。</p>
<p>おわん型のシリコンの中にあるローターが振動している。その挙動は、ウルツアの予想とは何一つ違わないものであり、そして予想通りに気持ちいいものだった。</p>
<p>「っく……！　ひぅっ！？　これ、止めっ、ぁぁあ……！」</p>
<p>ローターの振動は、携帯端末の通知よりも優しい。今日に至るまでずっと戦いばかりの人生を送ってきて、性とは無縁で、性感帯の開発なんてこれっぽっちも進んでいないウルツアには、ちょうどいい刺激だ。</p>
<p>しかし、彼女が身じろぎをすると時折、シリコン内部のローターが揺れて当たり具合が変わる。それに驚き、少し甲高い悲鳴を上げてしまう。この不意を突くような刺激は、紛れもなく自分のせいなのに――ウルツアに自覚こそあれど、体のびくつきを抑えることはできない。</p>
<p>独りで悶える彼女のことを、フランが見下ろしていた。</p>
<p>「ねえウルツア、どうしてこの道具を使ったのか分かる？」<br />
「し、知らね、よぉ……！？　そんなっ、それどころ、じゃ……！」</p>
<p>「<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby>は、私が自分でシたかったからだよ」<br />
「っ～～～～！！？」</p>
<p>そう言ってフランは、ウルツアの、毛のないつるつるの秘所に触れた。</p>
<p>ウルツアの背筋が大きくえび反りになる。すっかり愛液でぐしょぐしょに濡れているのが、ひどく恥ずかしい。</p>
<p>「君はたぶん、<ruby>中<rt>・</rt></ruby>の経験はないよね」<br />
「っく、ぐ……！？　ひぁ、あ、ぁぁ……！！」</p>
<p>「大丈夫だよ。<ruby>外<rt>・</rt></ruby>だけでも、いくらでも気持ちよくなれる」</p>
<p>フランがウルツアの秘所に触れた瞬間、彼女の内股の筋肉が過剰に緊張した。未経験の敏感な部位に触れられることに対する、少女として至極当然の反射だ。</p>
<p>それを察したのか、フランが彼女の膣内に指を挿れることはなかった。しかしその分、執拗なまでの愛撫が<ruby>外<rt>・</rt></ruby><ruby>側<rt>・</rt></ruby>を襲うことになる。</p>
<p>「なんっ、で……！　そんな、変なとこ、ばかりぃ……！？」<br />
「普通だよ。最初からいきなり<ruby>真<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>中<rt>・</rt></ruby>を触らないで、周囲から始めて、体の準備ができてから触るんだ。こういうふうにね」</p>
<p>「ひゃぁあっ！！？　やっ、て、てめっ！？　っ、ぅぅぅぅうっ！！？」<br />
「ほら、声を我慢しない。地声でいいから。別に、ばかになんてしないよ」</p>
<p>内股を優しく引っかき、愛液の滴が漏れ始めたら膣口をなでる。すると、ウルツアの体が『この人になら触られても大丈夫だ』と認識して、筋肉を弛緩させていく。しかしその刺激は、彼女がうっとりできる程度をわずかに越えたものだ。『乱されている』という感覚が、ウルツアに羞恥心と被支配感を覚えさせる。</p>
<p>そして慎ましやかなクリトリスが勃起した頃合いを見計らって、フランは薄い包皮ごとそれを口に含むのだ。</p>
<p>「ふやぁぁぁぁぁあっ♡♡♡　ちょっ、これ、しゃれにならっ、ぁぁぁぁぁああああっ！！？」　</p>
<p>柔らかく、しかし粘性のある舌遣いが、敏感すぎるクリトリスを蕩かされるような気分にさせる。ウルツアの反応が、目に見えて大きくなる。</p>
<p>「ひゃっ、ぁっ、ぁあっ♡♡♡　だめっ、これっ、耐えられっ！！？　ひっ、ひゃ、ぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡」</p>
<p>わざと低くした声だとか、乱暴な口調だとか、強がりな態度だとかを忘れ去るぐらいだった。ウルツアはもう、甲高い声で喘ぎ、いやいやと首を横に振るだけだ。</p>
<p>「くひっ、ひゃっ、ぁ――♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～！！！　ひぅ――♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡」</p>
<p>小さな体が大きく跳ねる。腰が浮き上がって、自分の秘所をより強くフランの口に押し当ててしまう。</p>
<p>ウルツアが自身の半生を思い返してみたら、もしかしたら性的に絶頂したことなんて、生まれて初めてかもしれない。『股間をいじくられるのがそんなに好きかよ』とばかにしていたこともあったかもしれない――だけど、ああ、かけがえのない相手にイカされるというのは、こんなにも幸せになれることなのか。</p>
<p>絶頂の余韻が引いていくまで、実時間にして数十秒かかった。ウルツアの体感時間では、2～3分はイキっぱなしだったと思った。それだけ大きな絶頂だった。たった1回の絶頂で大いに満足していたウルツアのことを、フランが見下ろしていた。その時にはもう、乳首をいじめる道具の動きは止まっていた。</p>
<p>「お疲れ様、ウルツア」<br />
「……おう」</p>
<p>ウルツアは喉に力を込めて、無理やり低い声で返す。</p>
<p>フランは一見、優しく微笑んでいるように見えた。しかしウルツアは、彼女の瞳の奥にある<ruby>思<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby>を容易に感じ取っていた。</p>
<p>しかし、ウルツアが荒立った息を整えて口を開こうとした瞬間、それよりも早く、フランが口を開くのだ。</p>
<p>「ねえ、ウルツア」<br />
「……ぁ？」</p>
<p>「――もっと、思いっ切りしてもいいかな？」</p>
<p>『やっぱりな』と、ウルツアは思った。だってフランが、自分の欲望を必死に押さえ付けているような表情をしていたから。</p>
<p>今までの彼女たちであれば、今日の情事はもうおしまいだったかもしれない。まさか自分から言い出すなんて――その予想外が、ウルツアにとって何だか無性にうれしかった。</p>
<p>「……好きにしろよ」<br />
「でも」</p>
<p>「オレがテメェなんかのやることに、根を上げると思うか？」</p>
<p>ふとウルツアの脳内を過るのは、初めて性拷問の現場を目撃してしまった時のこと。</p>
<p>怖い。だけど、それがフランによって齎されるものなら――もしもこの返事のせいで苦しむことになろうとも、彼女はきっと後悔しないだろうと思った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>フランが取り出したのは、電動マッサージ器だった。</p>
<p>いかにも胸を責め立てるのに都合がよさそうなおわん型の道具と比較すると、先端にこぶし大の球体が付いただけのシンプルな機械は、うぶなウルツアにはかえって用途が分からないかもしれない。</p>
<p>しかし、フランがスイッチをかちりと入れて振動音を鳴らすと、ウルツアはその使い方を理解した。<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>、やべぇかも――電動マッサージ器の音は、両胸に取り付けられたローターの音よりも、圧倒的に大きかったのだ。</p>
<p>「っ」</p>
<p>ウルツアの喉からごくりという音が鳴る。緊張しながら、電動マッサージ器を持つフランの<ruby>右<rt>・</rt></ruby><ruby>手<rt>・</rt></ruby>を見つめる。しかし予想外の刺激がやってくる。マッサージ器を持っていない<ruby>左<rt>・</rt></ruby><ruby>手<rt>・</rt></ruby>が、ウルツアの股間を包み込んだのだ。</p>
<p>「ふゃ♡♡　ぁ――♡♡」</p>
<p>火照った手のひらに股間を包まれるだけで、あまりの心地よさに腰が浮いてしまいそうだ。そして股間を包み込んだ左手の上から、電動マッサージ器が当てられた。</p>
<p>「ぁ、ぉ゛っ♡♡♡　ぉ、ぉぉぉぉおっ♡♡♡　ぉ゛ぉぉぉおおおおおおっ♡♡♡」<br />
「言っておくけれど、こんなものじゃないよ？」</p>
<p>「っ――♡♡♡　こ、この程度、何とっ、も゛ぉぉぉおっ！！？　つ、つよく、な――♡♡♡　ぁ゛、ぁぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡」</p>
<p>電動マッサージ器を当てる時に何か緩衝材を挟むのは、セックスのハウツーにでも書かれているような至極当然の行為だった。最初こそ、ほどよく軽減された振動が、ウルツアの秘所全体を優しく包み込むように刺激していた。</p>
<p>しかし、フランの情事はただうっとりするだけでは終わらない。段々と、少しずつ、電動マッサージ器のクッションになっていた左手が<ruby>ず<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>いく。</p>
<p>「ちょ、ま゛――♡♡♡♡　これっ、強っ、強すぎるってぇ゛ぇぇぇぇぇぇぇええええっ♡♡♡♡」<br />
「でも、気持ちいいでしょ？」<br />
「そういう問題じゃない゛ぃぃぃぃぃぃいっ♡♡♡♡　きもぢっ、よすぎ、て――♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁああああああああっ♡♡♡♡」</p>
<p>「そういえば、<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>ち<rt>・</rt></ruby>を切ったままだったね」<br />
「ひぅぁあっ♡♡♡♡　胸っ、今はだめっ♡♡♡♡　ぁ゛ぅぁぁぁあ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」</p>
<p>乳首に取り付けられた道具が、再び動き出した。</p>
<p>ウルツアのうっとりとした喘ぎ声は、あっという間に引きつり、濁り、悲鳴のように変わっていく。いつの間にか電動マッサージ器が、ウルツアの股間を直接震わせている。</p>
<p>ただ、股間に振動するものを押し当てられているだけ。それがこんなにも、涙がぼろぼろ零れるほど気持ちいいものだと知らなかった。</p>
<p>「だめっ、これ、も゛――♡♡♡♡　ぃ、イ、ぃ゛――♡♡♡♡」<br />
「我慢しないで……ほら」</p>
<p>「ぁ゛、ぉ゛ぉぉぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡　押し付けっ、ぢゃ――♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ぃぎっ♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>絶頂の瞬間、フランは手首をひねって、電動マッサージ器の振動でもってウルツアのクリトリスを押しつぶす。痛みを及ぼさないぎりぎりの快感に、ウルツアは自分の視界がぱちぱちと明滅しているような気さえした。</p>
<p>そしてウルツアが絶頂しているさなかでも、電動マッサージ器の振動は止まらないのだ。</p>
<p>「なんっ、でっ♡♡♡♡　さっぎ、イッ、だ――♡♡♡♡　イッたっでぇぇぇぇぇぇぇぇええっ♡♡♡♡」<br />
「知ってるよ。でも、イッた直後ってすごく気持ちいいから。味わわせないと損だなって」</p>
<p>「別にそんなの゛いいがらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡　ぁぎ――♡♡♡♡　ぃ゛ぃぃいい～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>『根比べ』という言葉がある。路地裏でしぶとく生き残ってきたウルツアが、本来得意とするものだ。とにかく今は耐えて、耐えて、耐えて、フランが満足するか、疲れるまで待つしかなかった。</p>
<p>しかし。</p>
<p>「ぁぎっ、ぃ゛――♡♡♡♡　またっ、イ゛――♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」<br />
「数えるだけ無駄だよ。どうせ数え切れない回数イクし、その内、数も数えられなくなる」</p>
<p>電力でもって動く電動マッサージ器は疲労の概念とは程遠く、それをただ持つだけのフランに疲労はほとんどない。そしてこの程度の情事で、フランは満足しない。</p>
<p>一方でウルツアは、ただ電動マッサージ器を当てられるだけで、何度も全身を痙攣させられる。ほんの少し手首をひねってクリトリスをぐりぐりと押しつぶされるだけで、それが何倍にも強くなる。</p>
<p>当然、根を上げるのはウルツアのほうだった。</p>
<p>「これっ、むりだってっ、無理ぃ゛ぃぃぃぃぃぃいっ♡♡♡♡　むりっ、ぃぎ――♡♡♡♡　ぎぃぃぃい～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」<br />
「大丈夫だよ。ちゃんと、<ruby>直<rt>・</rt></ruby><ruby>前<rt>・</rt></ruby>で止めるから」</p>
<p>「ちょく、ぜ――！！！？　ちょくぜんっで――♡♡♡♡　<ruby>直<rt>・</rt></ruby><ruby>前<rt>・</rt></ruby>っで何ぃぃぃぃい――っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>限度があるだろ！　――ウルツアは怒りたかったが、口の中に甘いもやもやがたっぷりと満たされていると、満足に口を利くこともできない。ウルツアはあっという間に、安易な返事をしてしまったことを後悔した。このままでは気持ちよさでおかしくなってしまう。</p>
<p>ウルツアは声を出し、首を振り乱し、手足を引っ張り続ける。『とにかく何とかしなければ』と必死だった。戦闘のさなかでもないのに、まるで殺されるかのような危機感を覚えた。</p>
<p>――故に、その《能力》に行き着くのは必然だったのかもしれない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「――ん？」<br />
「ふーーっ♡♡♡　ふーーーーっ♡♡♡　はっ、はぁ……♡♡♡」</p>
<p>フランが声を上げたのは、ウルツアの反応が変わったからだ。こんなにも電動マッサージ器を当てているというのに、突然喘ぎ声が止まり、荒立った息を整え始めている。</p>
<p>「はは……っ。<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>使<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>方<rt>・</rt></ruby>が、あったのか……」<br />
「……それは、君の《能力》だよね？」</p>
<p>ウルツアの異能は《痛覚遮断》――痛みを感じなくできるというものだった。</p>
<p>たとえ幾十幾百の傷を受けようが、痛みなく、恐れなく、狂戦士のように戦い続けることのできるそれは、異能と呼ぶにふさわしい。しかし、結局首をはねられれば死んでしまうことを鑑みれば、さまざまな《能力》の中でも、そこまで強力というわけではない。</p>
<p>その程度の評価に落ち着いていたのは、無視できるのが<ruby>痛<rt>・</rt></ruby><ruby>覚<rt>・</rt></ruby><ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>け<rt>・</rt></ruby>だと認識していたからだ。今、彼女が無視していたのは、明らかに痛覚ではない。</p>
<p>「なるほど。痛覚を無視できるなら、<ruby>性<rt>・</rt></ruby><ruby>的<rt>・</rt></ruby><ruby>快<rt>・</rt></ruby><ruby>感<rt>・</rt></ruby>も然り、と」<br />
「そう、みてーだな」</p>
<p>「ふうん。元はといえば、脳、あるいは神経に作用する《能力》ということだ。もしかしたら、応用次第でいくらでも強力になるかもしれないね」<br />
「……こんなことで気付きたくはなかったけどな」</p>
<p>まさか裸で乳繰り合っている時に、戦いの道具について思索を巡らせることになろうとは。しかし《能力》の思わぬ進化は、今のウルツアには僥倖……だと思った。</p>
<p>「だけどよ、何にせよこれでテメェのふざけた、その、あれ、それも効かねーぜ」<br />
「そう」</p>
<p>フランは構わず、ウルツアのことを犯し続ける。ウルツアは息を整えて勝ち誇るのに忙しかったから、<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>惨<rt>・</rt></ruby><ruby>状<rt>・</rt></ruby>に目を向ける暇がなかったのだ。</p>
<p>「ウルツア。<ruby>下<rt>・</rt></ruby>、見てごらん」<br />
「あ？」</p>
<p>ウルツアが、フランに促されるまま自分の体を見下ろしてみると、電動マッサージ器を押し当てられている秘所から、現在進行形でとんでもない量の愛液が噴き出していて……。</p>
<p>「……へ？」<br />
「目覚めたばかりで、《能力》が安定していないのかな。体は確かに感じているみたいだよ」</p>
<p>自分の脳では快感を認識していないはずなのに、体は確かに絶頂を繰り返している。</p>
<p>喘ぎ声は出ていない、呼吸も正常、赤らんだ顔も落ち着きつつある――それは『感覚がない』というよりは、自分の首を境に体の上下が別ものになってしまったかのよう。神経のつながりだとか、脳の働きだとか、いろいろなものが分からなくなってしまう現象だ。そう考えるとやはり、異能と呼ぶにふさわしいのかもしれない。</p>
<p>しかし今は、そんなことを言っていられない。</p>
<p>「ウルツア、一つ言っておかなければいけないことがあるんだけど。快感って、<ruby>慣<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby>が重要なんだよ」<br />
「な、何の話をして……」</p>
<p>「性拷問師の言うことじゃあないんだけどね。相手にあまり負担を掛けたくない場合、弱い快感から始めて少しずつ慣らしていくようにするんだ。いきなり強い快感から始めると、結構きつい」<br />
「そ、それは、つまり……」</p>
<p>「……もしかしなくてもさ。その《能力》、続ければ続けるほど、<ruby>後<rt>・</rt></ruby>がきついんじゃない？」</p>
<p>フランの説明するそれは、『ゆでガエル』の話に似ていた。カエルをいきなり熱湯に落とせばその熱さに気付いてすぐさま逃げ出すが、ぬるま湯に落として徐々に温度を上げていけば、その変化に対して気付かずゆで上がってしまう。戒めの方向としては真逆の話だが、もしもウルツアが《能力》を解いたら、その瞬間に熱湯のごとき快感が彼女を襲うことになるのだ。</p>
<p>ウルツアが思い返せば、今日のフランは一応、しっかりと弱い快感から慣らしてくれていた。それでもなお、心身がぐちゃぐちゃになるぐらいの気持ちよさだ。もしも、数え切れないほど絶頂し、体にはそれだけで絶頂に至らしめるほどの余韻がまとわりつき、感度は最高にまで上がっていて――そんな状態からいきなり、全ての快感を認識してしまったら？</p>
<p>新しく目覚めた《能力》が、今後どう進化していくかは分からない。しかし現段階において間違いなく言えるのは、問題の根本的な解決になっていないということ。これは、ただの<ruby>先<rt>・</rt></ruby><ruby>送<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby>だ。</p>
<p>「こんなの、冗談じゃ……！？」</p>
<p>後々のことを想像すると、もう自分がどうなってしまうかも分からない。さっさと《能力》を解いてしまったほうがまだマシだ――ウルツアはそう思うが。</p>
<p>「またイッたね」<br />
「ひ――っ！？」</p>
<p>自分の体が勝手に絶頂を迎えるたびに、体の痙攣が頭部にまで響いてくる。怖くて、《能力》を解くタイミングを失ってしまう。</p>
<p>今のウルツアの体はとうに、自分の限界を超えた快感を受けているのだ。</p>
<p>「お、おねが……っ、やめ……！？」<br />
「……やだ」</p>
<p>「ど、ど、して……！？」<br />
「…………君が、悦んでるからだよ……」</p>
<p>ウルツアはその言葉を否定できない。</p>
<p>恐いはずなのに、真に抗えない。何も感じないはずの背筋が、どうしてこうもぞくぞくしているのだろう。自分がマゾヒストなのか、それとも、フランの欲望を一身に受けることがこの上なくうれしいのか。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「せっかく君が何も感じないんだし、ちょっと<ruby>試<rt>・</rt></ruby><ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>せ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>もらおうかな」</p>
<p>ウルツアの股間から、電動マッサージ器が離れていく。触覚では何も感じられないウルツアが視覚でそれを確かめて、ほっとしたのはつかの間のことだった。</p>
<p>すぐさまフランの指が、ウルツアの体を襲った。愛撫にしては嫌にわきわきとうごめく指先。胸でも秘所でもなく、腋の下という、性行為にしては少しおかしな接触部位。それは明らかに愛撫ではない、『くすぐり責め』だ。</p>
<p>「なにっ、何、してぇっ！？」<br />
「この前、後輩がこれをやってたのを思い出したんだ。私のほうでも取り入れられないかなって」</p>
<p>感覚を遮断した体へのくすぐり責め。それは一見すると不思議な光景だ。</p>
<p>フランの指がうごめきながら、腋の下から腰までを何度も往復する。普段の彼女なら、無理やり笑わさせられることに怒りを覚えながらも、どうしようもない感覚に耐えられなかっただろう。</p>
<p>しかし今のウルツアは、笑い出すこともなければ、表情すら変わらない。それでも確かに、くすぐられている部位の筋肉が面白いほどに、びくびくと痙攣している。彼女の認識の外で、体は明らかにくすぐったさを感じていた。</p>
<p>「君は、足の裏をくすぐられるのが弱いんだね」<br />
「ぅぁ、ぁぁぁぁ……！！？」</p>
<p>特に小さな足の裏をくすぐられると、指先から太ももまでが隈なく痙攣する。『自分の体をもてあそばれている』という思いが強くなる。甘い屈辱感に、ウルツアは何も言えなくなる――本来ならやめてほしいはずなのに、顔を真っ赤にして怒っていいはずなのに、このままずっともてあそんでほしいと思ってしまうのはどうしてだろう？</p>
<p>しかし、ずっとは続かない。当の本人である2人ですら想定外のことが起きる。フランがウルツアの足の裏をくすぐり続けていたら、彼女の秘所から突然潮が吹き出たのだ。</p>
<p>「わっ」<br />
「へ――！？」</p>
<p>ウルツアの両脚の間に腰掛けていたフランの体に、潮がかかる。その現象の<ruby>意<rt>・</rt></ruby><ruby>味<rt>・</rt></ruby>を理解すると、既に真っ赤だったウルツアの顔が、より一層真っ赤に染まっていった。</p>
<p>「もぉぉ、やだぁぁぁ……」</p>
<p>まさかくすぐられるだけで絶頂に至るなんて――ウルツアはもう、あまりの恥ずかしさに年相応の甲高い声を上げるだけだ。</p>
<p>「……今度から、仕事にも取り入れられそうだ」</p>
<p>フランも、いかにも冷静そうな言葉を、熱のこもった声音で呟くのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「それで？　君はいつまで快感を閉ざしているつもり？」<br />
「だ、だって、これ……！　これぇ……！？」</p>
<p>再び、電動マッサージ器がウルツアの股間に押し当てられる。</p>
<p>体だけが何度も何度もイキ続ける。ウルツアはもう、《能力》を解くタイミングを完全に失っていた。不思議で、恐ろしく、甘い羞恥と屈辱に、目がぐるぐると回りそうだ。</p>
<p>しかしフランも、反応のちぐはぐな彼女との行為に飽きたらしい。</p>
<p>「このまま続けていてもキリがないね」<br />
「ぁ、ぇ」</p>
<p>「私は、君のかわいい表情や声を愉しみたかったのに」</p>
<p>『まあ、今の君も大概かわいいけどさ』――フランのその言葉は、決しておしまいの合図ではなかった。彼女は拘束されたままのウルツアに覆いかぶさり、その全身を抱き締めたのだ。</p>
<p>「君、好きだろう？　抱き締められるの」<br />
「ぅ、ぁ……！」</p>
<p>ウルツアはうめき声を上げる。抱擁が心地よかったからではない、苦しかったからでもない。《能力》のせいで、抱擁を受けてなお何も感じないからだ。その柔らかさも、滑らかさも、温もりも。まるで自分の体の表面に、分厚いフィルムを貼り付けたようだ。</p>
<p>「君からじゃあ見えないだろうから言うけど、電動マッサージ器はまだ動いてるよ。……どうする？」</p>
<p>フランのその言葉は、誠意とでも言うべきだろうか。それとも、ただもてあそんでいるだけか。</p>
<p>今、ウルツアが《能力》を解いてしまったら、電動マッサージ器の刺激を受けることになる。しかも、数え切れないほど絶頂し、体にはそれだけで絶頂に至らしめるほどの余韻がまとわりつき、感度は最高にまで上がっていて――そんな状態での、電動マッサージ器による責めだ。</p>
<p>それでも抱き締めるという行為は、ウルツアにとって、ただ言葉で説得するより何百倍も有効なやり方だった。</p>
<p>「ぁ――」</p>
<p>それはまるで、ドラマの一コマのようだった。あまりに衝撃的な出来事を前に、手に持ったグラスを滑り落としてしまうかのように。</p>
<p>ウルツアは無意識的に、全身の神経の接続を復活させたのだ。</p>
<p>「ぁ゛――！！？　ぁ、ぁ゛ぁぁぁぁぁぁあっ！！！！　ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッ！！！！？」</p>
<p>フランの左手はウルツアの背中に回され、電動マッサージ器を持った右手は相も変わらず彼女のクリトリスに。両乳首にだって、ずっとローターがくっ付いている。体に有り余る強烈な快感を認識した瞬間、ウルツアは叫び声を上げた。</p>
<p>快感を遮断していた今までも、確かに絶頂はしていた。しかしそれはあくまで<ruby>体<rt>・</rt></ruby>の絶頂だ。全ての快感を認めた彼女は今、肉体だけでなく脳も、心すらも快楽に溶かされていく。</p>
<p>「ぁぐっ、ぅ゛、ぅぅぅぅううっ！！！！？　ふぐ――♡♡♡♡♡　っぅ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　っ――♡♡♡♡♡　ッ――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>ウルツアは思わず、自分のことを抱き締めてくれているフランの肩をかんだ。</p>
<p>自分の体は、こんなにも<ruby>出<rt>・</rt></ruby><ruby>来<rt>・</rt></ruby><ruby>上<rt>・</rt></ruby><ruby>が<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby>いたのか。全身の筋肉が、こんなにもおかしくなるぐらい痙攣していたのか。それを押さえ付けられるように抱き締められるのが、こんなにも心地いいものだったのか。</p>
<p>さまざまな驚きが沸き上がり、さらに強い<ruby>衝撃<rt>かいかん</rt></ruby>に押し流されていく。そして、驚けるだけ驚いたら、もう何も考えられなくなる。</p>
<p>「ぁぐ、ふっ――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　っぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぁ、ぁ、ぁ゛――……♡♡♡♡♡」</p>
<p>ウルツアの体は、もうとっくに限界を迎えていた。最高の感度を保っていられたのは、ほんの数十秒だけ。その後はどんどん感覚が閉じていく。《能力》によるものではなく、ただの疲労だ。もう、いつ気絶してもおかしくない。</p>
<p>その時、フランは彼女の頬に軽くキスをしながら、電動マッサージ器をひときわ強く、ウルツアのクリトリスに押し付けたのだった。</p>
<p>「っっっあ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ぁ゛――♡♡♡♡♡　ぉ゛――♡♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>最後の絶頂が訪れる。</p>
<p>体液を全て搾り出されるのではないかと疑ってしまうぐらい、強烈な快感がやってくる。体はもう、どれだけひどい痙攣をしているのか認識もできない。抱き締めてもらっていて良かった。そうでなければ、体がどこかに飛んでいってしまっていた、みっともない表情を見られてしまっていた。</p>
<p>あまりにも苛烈な行為、それなのに、心は驚くほどに薄紅色に染まっていく。ウルツアは、自分の体にたまった快楽を一滴残らず吐き出すまで絶頂し続けるのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ぁ゛――……♡♡♡♡♡　ひ、ぁ、ぁ゛――……♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>ウルツアの体が大きく痙攣し、段々と波が引くように落ち着いていく。それでも最後にひときわ大きく、びく、びく、びくと跳ねたのち、とうとう行為が終わる。</p>
<p>フランはウルツアにくっ付いた全ての道具の電源を切って遠ざけ、拘束具も外すと、しかし自身の体は遠ざけることなく、むしろ彼女を強く抱き締めた。</p>
<p>「……ありがとう」<br />
「へへ……♡」</p>
<p>フランに頭をなでられて、ウルツアは緩んだ笑い声を上げた。ほとんど無意識の反応だった。意識がぼんやりとする中、フランが『やっぱりかわいいな』と呟いた気がする。</p>
<p>ほんの数週間前のウルツアなら、こんなことになるなんて想像も付かなかった。こんな会社に入るなんて、こんなやつと出会うなんて、こんなやつに抱かれるなんて、……それが、こんなにも幸せだなんて。</p>
<p>心の底から腹立たしい相手との、甘く、穏やかな時間が過ぎていく。</p>
<p>ウルツアがフランに抱き締められながら、あまりの恥ずかしさに叫び声を上げるのは、今から十数分先のことだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……君は何というか、ムードもへったくれもないね」<br />
「う、うるっ、ううううううう！」</p>
<p>「いきなり耳元で叫び出すなんて。鼓膜が破れるかと思ったよ」<br />
「っ～～～～！！」</p>
<p>絶頂から十数分後のこと、2人はベッドの上で背中を向け合っていた。フランは耳元で大声を上げられたことに少し腹を立てていた。</p>
<p>ウルツアは何だかもう、いろいろな気持ちがごちゃごちゃでそれどころではなかった。フランに抱かれてうれしい、フランにもてあそばれて悔しい、フランにみっともない姿を晒して恥ずかしい、フランを不機嫌にさせて悲しい、いややっぱりオレは悪くねぇ全部フランが悪い！　――全てがごちゃごちゃのせいで、『うるせえ！』という言葉すら出てこない。</p>
<p>「……ねえ、ウルツア」<br />
「んだよ」</p>
<p>フランが静かに呟く。ウルツアは真っ赤な顔を背けたまま応えた。</p>
<p>「私は、この《能力》が嫌いだよ。どうあっても、他人の心なんて読めるべきじゃない」<br />
「…………」</p>
<p>「拷問も。君はああ言ってくれたけど、どんなに正当化しようとも、悪でないはずがない。私は確かに、人を傷つけている」</p>
<p>全ての発端は《読心》という異能だった。たまたま最悪の異能を持ってしまったせいで、嫌われ、幽閉され、命を狙われ、暗惨たる人生を送ってきた。そして、異能に加えてさらに拷問――2種類の嫌悪が、今のフランを苛んでいる。</p>
<p>どれだけウルツアが肯定しようとも、それは無垢な少女の好意的な解釈に過ぎない。物事のほんの一面であり、それだけで行い全てを正当化していいわけがない。</p>
<p>それでも、フランはふっと笑いながら続けるのだ。</p>
<p>「……それでも、君に恥までかかせたんだ。もう少し、向き合ってみるよ」</p>
<p>ウルツアは振り返る。フランの少し不安そうで、それでもどこかつき物が落ちたような顔を見て、ウルツアは確かに、彼女の中で何かが変わったのだろうと思った。</p>
<p>そう簡単に、苦しみは終わらない。生真面目が過ぎるフランのことだ、もしかしたら一生続くかもしれない。それでも、前に進んでくれるなら。</p>
<p>「だめ、かな」<br />
「…………よ……」</p>
<p>「え……？」</p>
<p>もしもまた、コイツがくじけそうになったとしても、自分が抱き締めてやればいい。それで今度は自分がくじけそうになったら、コイツに抱き締めてもらえばいい。半人前同士、一緒に前に進んでいけば、いつかはもう少し<ruby>マ<rt>・</rt></ruby><ruby>シ<rt>・</rt></ruby>になれるだろう――だから、ウルツアは返すのだ。</p>
<p>「――いいよ、それで」</p>
<p>しかし、ウルツアが返事をした瞬間、フランが目を見開く。フランの驚くような反応に、ウルツアもつられて驚いた。</p>
<p>「……君って、笑うんだね」<br />
「はぁ？　何言ってんだテメェ」</p>
<p>「君がそういうふうに笑うところ、初めて見たよ」<br />
「そりゃ、こっちの台詞だろが。いっつも仏頂面してやがるくせに。テメェが笑うのを見るのに、オレは3週間かかったぜ」</p>
<p>「それなら、私は4週間だよ」</p>
<p>そう言い合ってから、2人は笑い合うのだった。</p>
<p>「私たちはやっぱり、案外似た者同士なのかもね」<br />
「かもな」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>《<ruby>発火<rt>パイロキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>念力<rt>テレキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>とにかく何かすごいやつ<rt>エターナルフォースブリザード</rt></ruby>》――。</p>
<p>さまざまな《能力》に目覚め、敵と戦い、血を流し、成長し。あまたの《能力者》たちが格好良く描かれていく《<ruby>異能バトルもの<rt>せかい</rt></ruby>》。</p>
<p>――裏方の物語は、少しずつ形を変えながら、続いていくのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【最終話】異能バトルものの性拷問師たち</title>
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		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:53:42 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[【人数】複数に責められる]]></category>
		<category><![CDATA[【受】女性が責められる]]></category>
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					<description><![CDATA[#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>最終話 伝心 -ワタシノココロ-</h3>
<p style="text-align: right;">#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「どうしたんすか？　フランさん」<br />
「ああいや。……御守さんって、私によく話しかけてくれるなって」</p>
<p>「はぁ……。そりゃ、まぁ？　仰る理由がよく分かんないんすけど」<br />
「ご存知の通り、私の《読心》は勝手に働いています。……だから、私に心を読まれるの、嫌じゃないのかなって」</p>
<p>「あー、まぁ、そりゃ《能力》自体は恐いとは思いますけど。相手はフランさんっすから？」<br />
「私だから？」</p>
<p>「ええ、まあ……？」</p>
<p>『何を言っているのか分からない』という表情を浮かべる同僚と会話した後、フランは呟いた。</p>
<p>「……私に心を読まれて平気な人って、<ruby>君<rt>・</rt></ruby>だけじゃなかった？」</p>
<p>それを聞いていたウルツアは、『今更かよ』と思った。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>あれから、フランの様子は少しだけ変わった。普段むすっとしているのは相変わらずだけど、心なしか、表情が穏やかになったように見える。ウルツアは、Viからこっそりと『ありがとう』と言われていた。</p>
<p>その辺りは別に、悪い気はしない。しかしウルツアは今、葛藤していた。</p>
<p>「……あいつの体、柔らかかったな。胸も尻もねーくせに」</p>
<p>夜、ウルツアは自室のベッドの上をごろごろと転がる。</p>
<p>彼女が時々思い出すのは、<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby>のこと。</p>
<p>彼女はあまり<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>について、考えたことがなかった。性行為というもの自体は当然知っているけれど、自分とは無縁な出来事だと感じていたのだ。そんな機会なんてせいぜい、路地裏に転がされて、下卑た男たちに犯されるぐらいのものだったろう。もしもあったとしたら、だが。</p>
<p>しかし、フランに抱かれたウルツアは、その行為の身近さを実感することになった。そして考えるようになる。『オレの胸が小さいのは食が細いせいか？』とか、『どうしてオレには<ruby>毛<rt>・</rt></ruby>が生えてない？　だってアイツには生えてただろ』とか、『オレの体は敏感すぎやしないか？　これが普通なのか？』とか。それは少し遅れた、しかしありふれた思春期のよう。</p>
<p>そして、こうとも思うようになる――<ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>イ<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby><ruby>は<rt>・</rt></ruby><ruby>ど<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>風<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>喘<rt>・</rt></ruby><ruby>ぐ<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>ろ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby>？</p>
<p>つまるところ、自分を抱いてくれた<ruby>アイツ<rt>フラン</rt></ruby>のことを、今度は自分が抱いてみたくなったのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>そんな邪な感情を抱いてから、ほんの数時間後のこと。</p>
<p>「今日の稽古は、これで終わり」<br />
「……くっそ」</p>
<p>ウルツアは訓練場の床に、仰向けに倒れ込んでいた。今日も今日とて、フランに完敗だった。</p>
<p>フランは訓練の際、細心の注意を払っていた。痛みが必要であれば与えるが、そうでない限り無用なけがを決してさせない。故に、《能力》を使わなくともウルツアの体に痛みはほとんどなく、ただ疲労と敗北感だけが募る。</p>
<p>（こんな精神状態じゃ、勝てるわけもねーか……）</p>
<p>いつも完膚なきまでに負かされるウルツアだが、今日は特にひどい有様だった。雑念が多いせいで、まともに訓練に臨むことができない。</p>
<p>フランの顔を見れば見とれてしまうし、その声を聞けば頬の筋肉が嫌に緩んでしまう。訓練の時にはフランがスーツのジャケットを脱ぐせいで、妙にどきどきする。いつもより薄手の生地に浮かぶ、控えめな胸の膨らみ。動くたびにその形が強調される、小ぶりな尻。シャツの裾をウエストにきっちり入れているせいで、激しく動いても腹やへそが見えないのが少し悔しい。</p>
<p>こんなにもフランを見るだけで妙な気持ちがぐずぐずと湧いてくるなんて、何だかもう、全てが変だった。</p>
<p>「動きのキレは相変わらず悪くない。だけど駆け引きの面が相変わらず悪い。手数を当てて相手の動きが止まったところを決める、下段を意識させてから上段を狙う――そういうテンプレートでもいいから、まずはとにかく数を覚えて、反復練習を徹底すること。戦闘の最中、常に複数の選択肢が思い浮かぶようにしなさい」</p>
<p>訓練の後に必ず行われるフィードバック。こんなぼろぼろの有様でなお、指摘される内容はいつも通り。この会社に来てからずっと、『駆け引きを意識しろ』だとか『頭を使え』だとかばかりだ。</p>
<p>ウルツアは、それは少し理不尽だと思った――だってフランは、相手の心を読む《能力》があるのだろう？　こちらが『いつ勝負を仕掛けますよ』なんて教えるような話だ。テレフォンパンチよりもひどい。ズルじゃないか？　心の中を読まれて、どう動くのか丸わかりになっていたら、駆け引きでどうこうできる気が――。</p>
<p>「――あ？」</p>
<p>そこで、ウルツアは違和感に気付いた。それも何か、とてつもなく重大な違和感だ。思えば、こんなにひどい有様でなお、いつも通りの指摘にとどめてくれていること自体――。</p>
<p>「……オイ」<br />
「何」</p>
<p>「テメェ、<ruby>オ<rt>・</rt></ruby><ruby>レ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>心<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby><ruby>読<rt>・</rt></ruby><ruby>め<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>んだよな」</p>
<p>ウルツアはまるでさび付いた人形のようにぎぎぎと首を動かしながら、フランを見つめる。</p>
<p>するとフランは、ものすごく居心地が悪そうに、顔を背けた。その顔は、どこか赤らんでいるようにも見えて……。</p>
<p>「……あああああああああ！！？」</p>
<p>ウルツアは絶叫した。</p>
<p>フランはウルツアの心を読むことができる。つまりウルツアが訓練のさなかずっとフランに劣情を抱いていたことも、彼女には筒抜けなわけで。</p>
<p>「あー、その、ごめん……」</p>
<p>フランは謝ることしかできなかった。</p>
<p>彼女も立派な大人の女性だ。男に邪な感情を向けられることも、決してないわけではないだろう。何なら男だけに限らないかもしれない。</p>
<p>しかしまさか、当初あんなにも憎しみの感情を向けられていた後輩のウルツアが相手となれば、さぞかし想定外だったろう。しかも、戦闘のさなかずっと気になるほど、強烈な感情だ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「……忘れなさい。気付いていても気付かないふりをするのが、大人の振るまいだよ」<br />
「…………」</p>
<p>「それに、いくら私が心を読めようとも、言動に出していないことをとがめる筋合いはない。だから、あー、まぁ……好きにしな」</p>
<p>結局、フランもそれぐらいのことしか言えなかった。どこか浮ついた空気が、ひどく居心地悪い。</p>
<p>こつりという音と共に、フランの足の角度が変わる。気を利かせて部屋を出ようとしたのだろう。しかし彼女が完全に背中を向ける前に、ウルツアがフランの正面から両肩をつかむのだ。</p>
<p>「ヤらせろ」<br />
「え」</p>
<p>それはフランにとって甚だ予想外の言葉だった。たった4文字の言葉はあまりに簡潔すぎて、かえって意味を理解するのに時間が掛かる。ワンテンポもツーテンポも遅れて、フランの顔がぼっと朱色に染まる。どうしてウルツアがそんなことを言い出すのか理解できなかった。</p>
<p>しかし、それは<ruby>ウ<rt>・</rt></ruby><ruby>ル<rt>・</rt></ruby><ruby>ツ<rt>・</rt></ruby><ruby>ア<rt>・</rt></ruby><ruby>自<rt>・</rt></ruby><ruby>身<rt>・</rt></ruby><ruby>に<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>て<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>同<rt>・</rt></ruby><ruby>じ<rt>・</rt></ruby>だ。彼女は今、目を回していた。</p>
<p>「ヤらせろ」<br />
「な、何を言って」</p>
<p>「ヤらせろ」<br />
「あの、ちょっと落ち着いて」</p>
<p>「責任取れよオラァ！？」<br />
「君、今明らかに冷静でないよ！？」</p>
<p>フランの指摘通り、ウルツアの心の中はぐちゃぐちゃだ。心を埋め尽くす恥ずかしさに、言うことを聞いてもらえないいら立ちがブレンドされていく。しゃらくせぇ――いっそのことその口をふさいでやろうかとすら思った。今の彼女は冷静でなかった。</p>
<p>そんな状況で<ruby>彼<rt>・</rt></ruby><ruby>女<rt>・</rt></ruby>が現れるのは、果たして『助かった』と言えるのか、あるいは『状況が悪化した』と言えるのか。</p>
<p>「面白そうな話はっけーん♡」<br />
「ルグ！？」</p>
<p>「えへへ。訓練終わるの遅いなーって思って様子を見に来たら、面白いことになってるじゃないですかぁ♡」</p>
<p>訓練場に突然現れた、性拷問部門におけるフランの後輩――ルグは、気さくにウルツアの背中に抱き付く。大きな胸がきゃしゃな背中に押し当てられて、ウルツアは『うぉっ』とうめいた。</p>
<p>「ねえねえ、ウルちゃん。私からも、せんぱいに言ったげる」<br />
「ウル、ちゃ……？　いや、それはいい、本当かっ？」</p>
<p>「その代わりぃ……私抜きで<ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>のは、ナシだよね？」<br />
「……それで構わねぇ！」</p>
<p>2人の会話を聞いて、フランは『ちょっとぉ！？』と叫んだ。しかしルグは、その叫びに耳を貸すこともなく、今度はフランに抱き付くのだ。</p>
<p>「というわけでぇ、せんぱい。シましょ？」<br />
「……ルグ。君、どういうつもり？」</p>
<p>「うふふふふ♡」</p>
<p>フランの顔が分かりやすいほどにしかめられていく。当然の話だ。仕事場の後輩2人が自分のことを抱こうとしているなんて、普通ではない。</p>
<p>しかしウルツアも、ルグも、心を読むまでもなく、その表情を見るだけで分かるぐらい、完全に<ruby>そ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>気<rt>・</rt></ruby>で。</p>
<p>「……分かったよ」</p>
<p>結局フランは肩を落として、そう言うしかないのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>業務終了時間となり、会社の人間が全員帰宅した後、フラン、ウルツア、ルグの3人は地下2階の拷問室に集まっていた。</p>
<p>「せんぱい。会社で<ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>って、何だか背徳感ありません？」<br />
「……今度からは、ホテルを使うよ」</p>
<p>「『今度』♡　せんぱい、すっかりその気じゃないですかぁ♡」<br />
「っ」</p>
<p>フランの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていく。何か言い訳をしようとしたらしいが、結局何も思い付かなかったのか、喉に空気を詰まらせるだけだった。</p>
<p>「いいからさっさと脱げよ。フラン」<br />
「今日の君は、随分と落ち着いてるね。ウルツア」</p>
<p>「そりゃ、<ruby>さ<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>ほうじゃねーからな。随分と気楽だぜ」</p>
<p>乱すほうと乱されるほう、気が楽なのはどちらかと言えば、それは前者だろう。フランは『くそう』とうめいた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ほらほら、2人とも遅いですよぉ♡　早く早くぅ」</p>
<p>ルグのほうは、さっさとワンピースを脱いでしまっている。</p>
<p>『デケェな』――ルグの裸体に対するウルツアの感想は、至極シンプルなものだった。清楚な白の下着に包まれた、豊満すぎる胸と尻。その癖、ウエストは緩やかだけれども確かにくびれていて、その体付きは明らかに、ここにいる3人の中で1番恵まれている。ウルツアは『ずるい』と思った。</p>
<p>しかし彼女はすぐに首を横に振る――自分は3人の中で1番若いし、まだ成長期ってやつが残されているかもしれない。あのイイ体に対して真にコンプレックスを抱くべきは、フランのほうだ。背は高いが、胸も尻も小せぇし。ついでに下着もダッセーし。</p>
<p>しかしフランがシャツを脱いだ瞬間、ウルツアはぎょっとした。</p>
<p>「へ」<br />
「……何だよ、君が『脱げ』って言ったんだろ」</p>
<p>「あ、いや……。そうじゃ、なくて……」</p>
<p>以前、フランがウルツアに裸を晒したときは、ベージュの下着を着けていた。まるでファストファッションの店で売られているような、機能性だけを追求した、何とも色気のない下着だったはずだ。</p>
<p>それが今の彼女は、真っ赤な下着を着けていたのだ。レースがふんだんにあしらわれていて、情熱的ではあるがどことなく上品で。そして下着が<ruby>様<rt>・</rt></ruby>になると、猫のようなしなやかな裸体に、目が離せなくなる。</p>
<p>「……見すぎ」</p>
<p>頬を染め、恨めしそうに呟くその態度は、嫌になるほど艶っぽい。</p>
<p>ウルツアの隣に立っていたルグも、『はわぁ』と吐息を漏らしていた。</p>
<p>「せんぱいって、そういうの着けるんですねぇ……♡」<br />
「本当にね。まったく、どうして<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>のか」</p>
<p>フランの視線が一瞬、ウルツアのほうに流れた。</p>
<p>『どうして<ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby>のか』――ウルツアはうぬぼれたくないと思いつつも、<ruby>あ<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>時<rt>・</rt></ruby>のことを思い出す。もしも自分が原因で下着を気にするようになったとしたら――ウルツアは妙な支配感のせいで、背中がひどくむずむずするのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「それでせんぱい。今日はどういうのがいいですか？」<br />
「え？」</p>
<p>「あ、ああ。まぁ、そうだな。希望がありゃ、聞くだけ聞いてやるよ」<br />
「え、ええー……？」</p>
<p>下着姿のまま、両腕で胸と秘所を隠しているフランに、同じく下着姿のウルツアとルグが問う。一見すれば、その言葉は気遣いのように聞こえるかもしれないが、実際は違う。</p>
<p>2人は、フランが自分の欲望を口にするのが苦手だと知っていた。フランが困ったように2人のことを交互に見てくるせいで、ウルツアも、ルグも、思わず吹き出してしまいそうになる。笑いをこらえていることはフランにも分かっているようで、困惑した表情が少しずつむすっとした表情に変わっていく。</p>
<p>別に、本気で質問したわけではない。『ちょっとだけ困らせてやったら、後はまあ、好きにやらせてもらおう』――ウルツアもルグも、それぐらいの考えだった。</p>
<p>「…………たい……」</p>
<p>「えー？　何ですかぁ？」<br />
「もっとちゃんと言わなきゃ聞こえねーぞ」</p>
<p>しかしこのやり取りは、やじを飛ばす2人の予想とは、少し違う結果となる。フランはうつむき、目をそらして、ぽつりと呟くのだ。</p>
<p>「…………2人の好きに、されたい……」</p>
<p>「はぇ……」<br />
「っ……」</p>
<p>おねだりの仕方など、いくらでもあっただろう。抱かれることに抵抗感があるなら、『初めてだから優しくしてほしい』とか、『中は経験がないから外だけにしてほしい』とか、その快感を和らげる言葉もあったはずだ。あるいは、『好きにすれば』とでも言っておけば、一見投げやりのように聞こえて、まだ保身できたかもしれない。</p>
<p>『好きにされたい』という言葉は、だいぶニュアンスが違うのだ。</p>
<p>「…………」<br />
「…………」</p>
<p>「あ、あの。何か、反応が欲しいんだけど」</p>
<p>ウルツアとルグは、少しの沈黙の後、彼女の肩をつかんだ。</p>
<p>「え……！？　あ、あの、ちょ、お、押さな……！」</p>
<p>何が何だか分からないまま、2人に押されて後ずさりするフラン。数歩下がったところで、彼女の背中は大きな拘束具にぶつかった。</p>
<p>「あ、ああ、あー、そ、そういう、こと……！？」</p>
<p>まるで分娩台のような、脚を大きく開かせるような椅子に座らされ、手首、肘、足首、膝、腰、あばら、首――体のありとあらゆる部位に拘束具が巻き付いていく。</p>
<p>「せんぱい、覚悟してくださいねぇ゛……っ♡」<br />
「ぅ、うん……っ？」</p>
<p>「テメェ、そういうこと言って、ただで済むと思うなよ……っ？」<br />
「今、ちょっとだけ、後悔してるよ」</p>
<p>息を荒立たせる2人を前に、フランの顔にもいくらかの恐怖が浮かぶ。だけどその表情は確かに、どこか、満更ではないものだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>十を超える拘束具があっという間に取り付け終わる。それからすぐに、何の打ち合わせもなく動き始めたのはルグだった。</p>
<p>「んむ――！？　んぐ、ぷはっ！　る、ルグ……！？　む――！？」<br />
「ちゅっ、じゅるぅっ。せんっ、ぱぃ……！　んむっ、れろぉ……っ」</p>
<p>ルグは、フランの両頬をつかんで、勢いよく口付けをする。驚くフランの口に、無理やり舌がねじ込まれていく。</p>
<p>「むぐっ、むっ、ぅぅっ！？　ちょっ、と……！！　ルグ、待っ、て、息、苦し――！？」</p>
<p>今まで何十人、何百人の性拷問を行ってきたフランでも、こんなにも情熱的なディープキスをしたことはなかった。性拷問で相手の唇を奪うことはないし、それ以外の性経験なんてウルツアしかいない。経験豊富そうな来歴とは裏腹に、純情な部分は意外と多い。</p>
<p>体を拘束され、しかも後頭部には椅子の背もたれがあるせいで、フランは逃げることができない。恥ずかしさと、息苦しさと、戸惑いで、半ばパニックになる。</p>
<p>ディープキスは1分ぐらい続き、ルグは口内の隅々までを犯してから、ようやく口を離した。</p>
<p>「ぷはっ、はぁ……！？　は……っ。ルグ、いきなりすぎる、よ……！」<br />
「……だって」</p>
<p>「ルグ……？」<br />
「先、越されちゃったんだもん」</p>
<p>その顔に浮かぶのは、情欲ではなかった。どこか悲しそうで、どこか悔しそうで。ルグの表情に、フランもウルツアも、息を詰まらせた。</p>
<p>「私だって、せんぱいのこと、ずっと心配してたんですよ？　いつか駄目になっちゃいそうで。だけど私、何も言えなくて」</p>
<p>フランの歪さを最初に知ったのはViだった。それを解きほぐしたのはウルツアだった。しかし、2人だけではない。ルグだってずっと長い間、ただの後輩として、物言わぬ止まり木のようにフランのことを憂い続けていたのだ。</p>
<p>フランは四肢を拘束されているから、ルグを抱き締めることもできない。代わりに首を曲げて、彼女の肩に額をこすり付けた。</p>
<p>「知ってるよ、ルグ。君は何も言わずに、ずっと側にいてくれた。君は私を守ってくれていた。感謝してる、本当に」<br />
「……私だって、そんなの知ってますよ」</p>
<p>ウルツアは2人のやり取りをずっと見ていた。</p>
<p>邪魔をすることもなければ、いら立つこともない。ウルツアの知らないところで、ずっとフランのことを守り続けていたのは、このルグという女性なのだから。むしろ、自分よりも長い時間を共にしている彼女に、感謝と嫉妬の念すら覚えるぐらいだ。</p>
<p>ウルツアとルグ、2人に思いの差はない。ただ、担った<ruby>役<rt>・</rt></ruby><ruby>割<rt>・</rt></ruby>が違ったというだけの話。</p>
<p>ルグが、ウルツアのほうを振り返る。</p>
<p>「ウルちゃん。あなたには負けないからっ」<br />
「……そうかよ」</p>
<p>言い合う2人の雰囲気は、決して険悪なものではない。しかし2人の好意を一身に受けるフランは、ものすごく居心地が悪そうにしていた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「とにかく、何だ。ルグ……先輩？　今はよくねーか」<br />
「……だねぇ♡」</p>
<p>休戦協定。再び、2匹の飢えた雌犬のような視線が、フランに向けられる。決して性拷問ではない、しかし明らかに尋常の性行為とは一線を画した、彼女たちだけの行為がようやく始まる。</p>
<p>それは、獲物であるフランに対する配慮などかけらもない行動から始まった。</p>
<p>「ひゃっ、ん……！　う、ウルツア、な、なんで最初に、二の腕……！？」<br />
「いや、細ぇなって思っただけだ。……チッ、胸はオレのほうが小さ……いや互角だ、互角」</p>
<p>「ルグっ、何だか、触り方がいつもより乱暴じゃ、ぁぅん……っ！？」<br />
「せんぱい、脚細くっていいなー。<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>毛<rt>・</rt></ruby><ruby>々<rt>・</rt></ruby>もこれ、もしかして処理しないでこれですかぁ？」</p>
<p>ウルツアとルグは、無遠慮にフランの裸体に手で触れていく。</p>
<p>二の腕をなでて肌の滑らかさを味わい、乳房をもんで自分との大きさの差を比較し、ついでと言わんばかりにブラジャーの中に指を差し込んで乳首をつまむ。太ももの細くも女性的な丸みを堪能し、尻のほうまで手を伸ばした後、恐る恐るショーツの中に手を突っ込み、陰毛をなぞって毛の生える方向を確かめる。</p>
<p>べたべたと、好き勝手に触れ回る2人の手付きは、フランに性感を与えるためというよりは、ただただ彼女の体を感じるためのものだった。洗練された性拷問とはまるで真逆。もしもこれが<ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby>であれば、フランから叱責が飛んでいたかもしれない。</p>
<p>しかし、フランの反応は良好だった。</p>
<p>「ぁ、ん……っ！　っ、ぁ♡　っ～……♡」</p>
<p>フランの全身からは力が抜けて、一つ一つの愛撫に対して敏感な反応を示す。その吐息は熱く、声は艶やかだ。</p>
<p>「……テメェ、すっげぇ敏感じゃねーか」<br />
「はぁぁ゛～♡　せんぱいすっごいとろとろぉ♡」</p>
<p>普段は絶対に見ないであろう、フランの色気ある姿に、ウルツアとルグは夢中になった。</p>
<p>敏感……と言うと、少しばかり正確さに欠ける部分がある。フランの性感はごく普通だ。性拷問という現場にこそいるが、彼女自身の体は特に開発されておらず、自分で慰める機会も人並み以下。</p>
<p>違うのは<ruby>受<rt>・</rt></ruby><ruby>容<rt>・</rt></ruby>だった。体の力を抜き、2人の手を拒むことなく全てを受け入れ、感じたままの反応を示す。つまり、身も心も<ruby>素<rt>・</rt></ruby><ruby>直<rt>・</rt></ruby>なのだ。</p>
<p>しかし全てが素直とはならないようで。</p>
<p>「どうです？　せんぱい♡」<br />
「っ……」</p>
<p>「あれー、だんまりですかぁ？　体はこんなに正直なのにー♡」</p>
<p>ルグがフランの顔をのぞき込んで聞くが、彼女は顔を真っ赤にしてうつむくだけ。『体を愛撫されてどんな気分だ』と聞かれて、素直に答えられる女性はそう多くない。フランは特に、相当慎み深いほうだ。</p>
<p>しかしそんなだんまりなフランに、ルグは笑うのだ。</p>
<p>「せんぱい、私、ずーっと<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>た<rt>・</rt></ruby><ruby>こ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby>あるんです」<br />
「っ……！？　君、まさか《能力》を……」</p>
<p>端から見ていたウルツアには、何が起こっているのか分からなかった。</p>
<p>ルグが、虚空で手をうごめかせ始める。なまめかしくも指先に力のこもった手付きは、愛撫とは少し違った印象を抱く。まるで宙に浮かぶ粘土の塊をわしづかみにして、こねくり回すよう。それを見て、フランはぎくりとした表情を浮かべていた。</p>
<p>そして宙に浮かぶ粘土細工が何かしらの<ruby>形<rt>・</rt></ruby>を成した瞬間、ウルツアは得体のしれない<ruby>感<rt>・</rt></ruby><ruby>覚<rt>・</rt></ruby>に襲われたのだ。</p>
<p>「うおっ！？　何だ、こりゃ――」</p>
<p>ウルツアは、まるで新しい感覚器官を無理やり取り付けられたかのような不快感を覚えた。『見る』『聞く』『嗅ぐ』『味わう』『触る』――どれとも違う感覚を、確かに『感じる』ことができる。五感のどれよりも淡く、しかし心に直接響くような感覚。神経がバグを起こしたかと錯覚する。</p>
<p>しかし、その感覚に慣れて段々と神経がなじんでいくと、不快感は消えていく。異様だけど、嫌な気はしない。むしろ、この感覚はどこか<ruby>う<rt>・</rt></ruby><ruby>れ<rt>・</rt></ruby><ruby>し<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby>すらある。</p>
<p>何かを察したフランが、声を上げた。</p>
<p>「まさか、2人とも。<ruby>私<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby><ruby>心<rt>・</rt></ruby><ruby>を<rt>・</rt></ruby>、<ruby>読<rt>・</rt></ruby><ruby>ん<rt>・</rt></ruby><ruby>で<rt>・</rt></ruby>……？」<br />
「テメェの、心を……？　そうか、これは、テメェの《能力》……」</p>
<p>「ルグ……？」<br />
「はい、そのつもり。だったんです、けど」</p>
<p>フランの推測は正しい。《魔改造》――それは他者の《能力》を自由に改ざんできる、ルグの異能だった。彼女はフランの《能力》に干渉して、《読心》を<ruby>逆<rt>・</rt></ruby><ruby>流<rt>・</rt></ruby>させたのだ。</p>
<p>逆流。すなわち今のフランは、自分の感情を無意識的に他者に伝えてしまう。例えば、彼女が今の状況をどう思っているのか、とか。例えば、彼女が2人のことをどう思っているのか、とか。</p>
<p>そして、まるでお互いの心を直接つないだような感覚に、ウルツアは顔を真っ赤に染めながら吹き出しそうになるのだ。</p>
<p>「……テメェ、オレらのこと、<ruby>好<rt>・</rt></ruby><ruby>き<rt>・</rt></ruby><ruby>す<rt>・</rt></ruby><ruby>ぎ<rt>・</rt></ruby><ruby>る<rt>・</rt></ruby>だろ」<br />
「……いけないかい」</p>
<p>地味で、生真面目で、いつもむっすりとしているフラン。しかしその心の中は、まるで思春期の乙女のように透き通るピンク色で、しかし母親のような慈愛にも満ちていて。『文字通り、頭ん中お花畑かよ』――こんなにも純情な人間がいるのかと、心を読んでいる側が恥ずかしくなるぐらいだ。</p>
<p>ルグも、真っ赤な顔で言った。</p>
<p>「ま。私は知ってましたけどね」<br />
「……そうなの？」</p>
<p>「だってせんぱい、そういうのすっごく顔に出るんですもん」</p>
<p>それを聞いたフランは、目をぱちくりとさせるのだ。</p>
<p>「……あのさ、そんなに私、思ってること顔に出てる？」</p>
<p>「は？」<br />
「え？」</p>
<p>「この前、シアンにも同じことを。いや、何ならもっと昔にも言われたような気が……」</p>
<p>「今更かよ」<br />
「それはもう。まあ基本むっすりですから、分からない人もいるとは思いますけど」</p>
<p>ウルツアとルグは笑うのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「さあて、せんぱいがとっても悦んでいることが分かったので、再開しましょうかぁ♡」<br />
「っ」</p>
<p>「お、今ビビったな？　なるほど、こりゃテメェの<ruby>仕<rt>・</rt></ruby><ruby>事<rt>・</rt></ruby>に便利なわけだ」<br />
「…………はぁぁ～……」</p>
<p>自分の感情を周囲に伝えてしまう――これが恒常的な《能力》であれば、傭兵稼業はおろか日常生活すら危ういだろう。しかしフランは『嫌だ』とは言えず、深いため息を付くだけ。そもそも、『好きにされたい』と言ったのは彼女自身だ。</p>
<p>しかし、ルグが思い付きで行使した《魔改造》は、思わぬ<ruby>副<rt>・</rt></ruby><ruby>産<rt>・</rt></ruby><ruby>物<rt>・</rt></ruby>を生み出すことになる。</p>
<p>「ねえねえウルちゃん。最初はどれ使う？」<br />
「どれも何も。オレには、ここにある大半の道具が分かんねーよ。……あー、こいつは知ってるか」</p>
<p>「これかぁ。まあ、最初はジャブからってことでいっかぁ」<br />
「……これでジャブなのか」</p>
<p>ルグが取り出したのは、何の変哲もない電動マッサージ器だった。</p>
<p>彼女が言う通り、性拷問用としてそろえた数ある道具の中でも、やさしめではある。それでも、女性が泣き叫ぶほどの連続絶頂地獄に突き落とすには十分なものだ。それを誰よりも知っているフランも、喉をごくりと鳴らす。</p>
<p>「このままじゃあ、下着が汚れちゃいますねー。一度脱ぎ脱ぎしましょうかぁ♡　あ、髪もこれ、邪魔になってますね」<br />
「っ、ルグ、何だか脱がせ方が、いやらし……。あ、ウルツア、<ruby>上<rt>・</rt></ruby>も……！？」</p>
<p>「いや、何かバランス悪ぃなって思ってよ」</p>
<p>ウルツアとルグが、フランの下着を脱がせていく。右脚部分の拘束具だけを一度取り外して、片脚だけ脱がせたショーツをもう片方の左脚に引っかける。ついでに、後頭部で結わえていた髪をほどく。その傍ら、ブラジャーは完全に剥ぎ取ってしまった。フランの心の中にある緊張と恐怖、期待がどんどん強くなっていく。</p>
<p>準備は整った。ルグは、電動マッサージ器をフランの下半身にゆっくりと近づけた。</p>
<p>「っくぅ――！！？」</p>
<p>しかし、出力を弱にした電動マッサージ器がフランの内股に当てられた瞬間、異変が起きた。フランだけでなく、ワンテンポ遅れてウルツアもルグも、体を震わせたのだ。</p>
<p>「ぅぁ――！？」<br />
「ひゃふんっ！？」</p>
<p>電動マッサージ器は、あっという間にフランの内股から離れていく。当然、フランは目を丸くして2人を見つめた。自分を責めていたはずの2人が突然喘ぎだしたのだから、驚くのは当然だ。</p>
<p>「ど、どうしたのっ？」</p>
<p>「いや、何だか、これ……っ」<br />
「せんぱいが気持ちよさそうにしてるの感じたら、何だかぁ……♡」</p>
<p>今度はウルツアが、指でフランの乳首をつまむ。</p>
<p>「っあっ！？」</p>
<p>「っぐ！」<br />
「ひふっ！」</p>
<p>また、フランだけでなく、ウルツアとルグも喘ぎ声を上げた。</p>
<p>「テメェ、何しやがった……！？」<br />
「し、知らないよっ、何が起きて……っ？」</p>
<p>「せんぱいのこと気持ちよくすると、何だか私たちも気持ちよくなっちゃうみたいでぇ……♡」<br />
「ええ……っ？　それは、その、私のせい……？」</p>
<p>もしかしなくても、その原因はフランの逆流した《能力》によるものだった。</p>
<p>ウルツアは知らないことだが、フランとルグは以前、感受性が強すぎる《能力者》と出会ったことがある。彼女はただ淫語をささやかれ、卑猥な道具が動くのを見るだけで、何度も絶頂に至った。今の現象はその時に似ている。もしも、相手の快感を想像して、自分も感じることができたら――？</p>
<p>ウルツアやルグの感受性は、特段強いというわけではない。しかし、<ruby>愛する者<rt>フラン</rt></ruby>の心は、影響力が強いのだ。</p>
<p>「でも、これはこれで……♡　何だかすっごく楽しいですよぉ、せんぱぁい♡」<br />
「っぅ゛あっ！？　る、ルグっ、いきなり<ruby>電動マッサージ器<rt>それ</rt></ruby>、当てたら……っ！！　ぁあっ♡♡」</p>
<p>「今日はオレがする側だってのに、おかしい、だろが……！」<br />
「ウルツ、あっ♡♡　そう言って、胸触るの、激し……！？」</p>
<p>ウルツアもルグも、攻めているはずの自分が気持ちよくなっていることに対して、恥ずかしくも感じたし、釈然としない気持ちもあった。しかしフランが気持ちよくなっていることを感じ取れるこの現象は、何だか堪らなくうれしい。</p>
<p>「ぁ゛ー♡　せんぱいの心、どんどん伝わってくるぅ♡　ほらほら、せんぱいも電マでぎゅーってされるの好きなんですよねぇっ♡」<br />
「ぁぐっ、っ゛ーー♡♡♡　るぐっ、これっ、強いって――！！　ぁっ、ぅぁっ、あ゛ぁぁあっ♡♡♡」</p>
<p>「そういやテメェ、この前<ruby>遠<rt>・</rt></ruby><ruby>慮<rt>・</rt></ruby>したろ」<br />
「うるつ、あっ、何の話――んむっ！！？　むぐっ、んっ♡♡♡　ん゛ーーっ！！」</p>
<p>ルグはフランの股間に電動マッサージ器を押し当て続け、ウルツアはフランにひっそりとささやいた後、ディープキスをしながら胸をまさぐる。ウルツアのファーストキスは、一切後悔することのない相手、しかし清純とは遠くかけ離れたものになった。</p>
<p>フランの性感は開発されていないが、2人掛かりの快楽責めに耐えられるほど鈍感でもない。むしろ全身の力を極力抜いて全ての感覚を受け入れるせいで、あっという間に上り詰めていくぐらいだ。</p>
<p>「ふぐっ、むっ、ぅ゛ぅぅうう――！！？　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡　ぅぁ、あ――♡♡♡　くぅう～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～っ♡♡♡」</p>
<p>フランの絶頂は強くも控えめなものだった。絶頂の瞬間に顔を背けてキスから逃げると、口を閉じて声を我慢しようとする。それでも緩みきった口は閉じきらず、口の端からよだれを垂らしてしまう。</p>
<p>慎ましやかだが確かに強く感じているその様子を見て、ウルツアとルグも軽い絶頂に至るのだ。</p>
<p>「く、っ～～～～～～～～♡♡♡　ふぅっ、ふぅ……♡　こんなもんで、終わると思うなよ……っ？」<br />
「はぁぁ～～～～～～～～♡♡♡　せんぱぁ゛い……♡　もっともーっと、気持ちよくしてあげますねぇ……っ！」</p>
<p>「っ……」</p>
<p>この程度で満足するはずもない。程良い快感が、まるで酩酊状態のように、2人の思考力を奪っていった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>「ああそうだ」</p>
<p>しかし捻くれ者のウルツアは、フランをただ気持ちよくする<ruby>だ<rt>・</rt></ruby><ruby>け<rt>・</rt></ruby>では飽き足らなかったらしい。</p>
<p>「オレぁ、テメェにやり返さなきゃいけねーことがあんだ」<br />
「な、何……？」</p>
<p>「……へへ」</p>
<p>ウルツアの態度が悪いのは、いつものことだ。しかし今の彼女は珍しく、悪い笑顔を浮かべている。フランの顔が少しだけ引きつる。</p>
<p>ウルツアは、フランの顔をじっと見つめる。フランの意識が完全に、そのかわいらしい顔に集中した頃合いを見計らって、ウルツアは不意を突くように、彼女の足の裏をくすぐり始めたのだ。</p>
<p>「ぁはぁ――！！？　ぁはっ、何っ、何ぃぃひっはっはははははぁぁぁあっ！！？」</p>
<p>今までとは毛色の違う感覚に、フランは一層高い悲鳴を上げた。それは愛撫では決してなく、紛れもない『くすぐり責め』だ。</p>
<p>「テメェこの前、散っ々っ、オレの体をもてあそびやがってぇぇ！！」<br />
「だってっ、君っ、あの時、感覚なかったじゃなぁっはっはははははははははははぁぁぁあっ！！！」</p>
<p>「だからって赦されると思うかよぉぉ！？」<br />
「あはっ、くひゃぁっはっははははははははっ！！？　ごめんっ、ごめんってぇぇぇっはっはははははははははははははぁ～～～～～～～～っ！！？」</p>
<p>フランの感情を受け取っているせいで、ウルツアは少しだけ、自分の足の裏にもぞわぞわとした感覚を覚える。しかしそれに構うことなく、ウルツアはフランの足の裏をくすぐり続けた。</p>
<p>先ほどまでのウルツアの手付きは、どこか<ruby>お<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>か<rt>・</rt></ruby><ruby>な<rt>・</rt></ruby><ruby>び<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>く<rt>・</rt></ruby><ruby>り<rt>・</rt></ruby>だった。性経験のない自分が、大切な人の大切な部位を傷つけてしまうのが嫌だった。だけど他の部位よりも皮膚が厚い足の裏へのくすぐり責めとなれば、話は別だ。今までの愛撫よりもよほど遠慮なく、乱暴な指遣いが、フランの足の裏を駆け巡っていく。</p>
<p>2人のやり取りを見ていたルグが、目をきらきらと輝かせた。</p>
<p>「あはっ、面白そー！　せんぱぁい、私もこちょこちょしてあげますねぇ♡」<br />
「なんでっ、なんでルグまでぇぇっはっははははははははははぁぁぁぁぁあっ！！？」</p>
<p>ルグも加担し、フランの腋の下をくすぐり始める。</p>
<p>「えー、別にぃ？　ただ、せんぱいのこと、気持ちよくしてあげたいだけですよぉ♡」<br />
「これっ、これはっ、気持ちよくなぁぁっはっははははははははははははひひひひぃぃいっ！！？」</p>
<p>「……やっぱり。せんぱいとウルちゃん、先にヤッてたんですねー」<br />
「お、おこっ、怒ってるじゃないっ！！？　やっぱり怒ってるじゃないかぁぁぁひゃぁぁぁっはっはっははははははははははははははははぁぁぁぁぁあっ！！？」</p>
<p>ルグの手付きは、ウルツアよりはよほど優しいが、弱いわけではない。そもそも彼女は、フランほどではないものの十分に『テクニシャン』と呼んで差し支えない技巧を持っているのだ。腋のくぼみにある敏感な部分をすぐに探し当てて、軽やかな動きで指先をこすり付けていく。</p>
<p>「ほれほれ、性拷問師サマがこれぐらいで根ぇ上げてんじゃねーぞ！」<br />
「うるつあっ、だめっ、そこだめっ！！？　そこだめだってぇぇぇっへっひゃぁっはっははははははははははははははぁぁぁぁあっ！！！」</p>
<p>「はぅぁ゛ー♡　せんぱいの笑い悶える顔、すっごいレアぁ～♡」<br />
「るぐっ、あまりっ、顔見ないでよぉぉぁっはっはははははははははははははっ、っぐ――！？　ぁぁぁっはっはははははははははっ！！？」</p>
<p>ウルツアが突然くすぐり責めを始めたのは、以前フランに体をくすぐられたことがあったからだ。その時は、全身をくすぐられるだけで潮を吹き出すほどに絶頂してしまった。それが何だか恥ずかしくて、悔しかったから、やり返さなければ気が済まなかった。今の行為は、そんな恨みを込めた陵辱のはずだった。</p>
<p>ウルツアにとって想定外だったのは、そんな責め苦で、フランが殊更に気持ちよくなっているということだ。</p>
<p>「はっ、ぁぁぁぁぁっ♡♡♡♡　これっ、まだ続ける、のぉっ♡♡♡♡　ぁはっ、あっはっはははははははぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」<br />
「……なんでそんなに感じてやがんだよ」</p>
<p>「そんなのっ、分かんない、よっ♡♡♡♡　だけどっ、なんだか変っ、なんだかぁっはっははははははははははははぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」<br />
「せんぱい、すっごい気持ちよさそぉ……♡」</p>
<p>無防備な体を遠慮なくくすぐられたら、笑い悶えながら体を暴れさせるのが、普通の反応だろう。</p>
<p>確かにフランも笑ってはいる。暴れてはいる。しかしその声はあまりに<ruby>色<rt>・</rt></ruby>に染まっていた。乳首の勃起は収まらず、秘所から愛液がにじみ出し続けている。</p>
<p>「うそっ、これ、待ってっ♡♡♡♡　うそっ、うそ、待――ッ♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡　ぁはぁ――♡♡♡♡　っひゃ――♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡」</p>
<p>そしてフランは、体をくすぐられただけで絶頂してしまうのだ。</p>
<p>「やべ……。潮吹かされたの、思い出してきた……♡」<br />
「実は私も、腋の下で感じちゃうんですよねぇ……♡」</p>
<p>フランの心から、身を焦がさんばかりの羞恥心が伝わってくる――まさかくすぐられて絶頂してしまうだなんて。</p>
<p>しかし2人はそれに引くどころか、ますます興奮していく。少し特殊な行為で絶頂してしまうフランを見ていると、背筋にぞくぞくとしたものを感じて仕方ないのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ただ自分の欲望を満たすための行為から始まって、報復のための行為に変わり、それらは段々と、ただフランを気持ちよくさせるためだけの行為になっていく。</p>
<p>「今度はオレも、下触らせろよ……っ♡」<br />
「っ゛あっ♡♡♡♡　うるつ、ぁぁぁああっ！！！？　でんどっ、マッサージ器、そこ押し付けっ、強っ、ぃぎっ♡♡♡♡　ぁ゛っ、あっあっぁっぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡」</p>
<p>「それじゃあ私は上ぇ♡」<br />
「っひぅっ♡♡♡♡　るぐっ、だめっ、先っぽ、くすぐっひゃっ！！！？　くひっ、ぁっ♡♡♡♡　っ、っーーーー♡♡♡♡」</p>
<p>3人の行為は、ムードだとか、流れだとか、世の男性たちが女性を抱くときに胃を痛めるであろう考えを、一切失ったものだった。ウルツアとルグはただ思い付くままに、望むがままに、フランに快楽をぶつけていく。</p>
<p>胸をつまみ、こねくり回し、口に含み、吸い、甘噛みし。秘所に指で触れ、舌でなめ回し、道具を押し付け。腋の下、脇腹、足の裏、耳、首、背中、腕、腰、太もも、ふくらはぎ――体のあらゆる部位を、思い付く限りに犯していく。</p>
<p>「ぁくっ、ぁ――♡♡♡♡♡　ぁ゛～～～～っ♡♡♡♡♡　ぁっ、あっぁっぁっあっぁ゛ぁぁぁああっ♡♡♡♡♡　ぁ゛ぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>いつしかフランは、口を利くこともできなくなっていた。ただ感じるがままに体を震えさせ、感じるがままに声を上げるだけ。彼女の心の中は、花の蜜にでも漬け込まれたかのように薄紅色。</p>
<p>フランは何度も絶頂した。しかし、彼女の心を感じ続けたウルツアとルグも、果たして何度絶頂しただろうか。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>行為はどんどんエスカレートしていく。しかしエスカレートする<ruby>方<rt>・</rt></ruby><ruby>向<rt>・</rt></ruby><ruby>性<rt>・</rt></ruby>は、ウルツアとルグの2人で違っていた。</p>
<p>「ふへ、ふへへぇ゛……♡　せんぱぁい、1番<ruby>や<rt>・</rt></ruby><ruby>ば<rt>・</rt></ruby><ruby>い<rt>・</rt></ruby><ruby>の<rt>・</rt></ruby>使いますけど、壊れないでくださいねぇ゛……♡」</p>
<p>どこまで行っても快楽嗜好者で、サディストのルグ。彼女が使い出したのは、電動のブラシだった。直径10cmほどの円盤の表面がポリエステル樹脂の毛に覆われていて、電源を入れると回転する。それは以前、フランがシアンに使った、この拷問室に置かれた道具の中で最も苛烈な刺激を与えるものだ。</p>
<p>「ふらんぅ……♡　ちゅっ、じゅるる……っ♡　れろっ、んむっ、れろぉ……♡」</p>
<p>ぶっきらぼうな態度の中に愛情を隠すウルツア。彼女はフランの片脚にまたがって、強く密着する。胴体に回した手で乳首をこねくり回しながら、絶え間なくキスをする。</p>
<p>「――むぐっ、む゛ぅぅうーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡　ふぐっ、ぅ゛ぅぅう――♡♡♡♡♡　おねがっ、これっ、むり――♡♡♡♡♡　んむっ、ぅ゛ぅうっ、ぅぅぅぅううううううっ♡♡♡♡♡」</p>
<p>あまりに大きな快感に、これまで全ての感覚を受け入れ続けてきたフランの全身にも、さすがに力がこもる。ウルツアに口をふさがれているせいで禄に言葉を発することができないが、鼻からくぐもった声を漏らして必死に抵抗する。</p>
<p>しかし、どれだけ我慢してもその時から逃れることはできない。ほんの十数秒で彼女の全身は快感に満たされ、溢れ、最後の絶頂が訪れるのだ。</p>
<p>「ぁ、は――ッ♡♡♡♡♡　ひ――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　かはっ、ぁ゛――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ッッッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡」</p>
<p>散々絶頂を続け、心身共にくたくたに疲れ切ってなお、最後の絶頂は他のどの絶頂よりも強烈なものだった。全身が痙攣し、拘束具がけたたましい音を鳴らす。もはや声は出ない、それでも口を大きく開けて、熱い空気の塊を吐き出す。</p>
<p>フランの心が逆流する。こんなにも激しく犯されて、どうして彼女はこんなにも幸せに感じられるのだろう――その心の<ruby>色<rt>・</rt></ruby>は、ウルツアとルグにとって何よりの媚薬になった。</p>
<p>「やば、これ、オレも我慢でき――♡♡♡　ッーーーーっ♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡」<br />
「ふぁぁあっ♡♡♡　すごっ、すごいの来て――♡♡♡　っ～～～～♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡」</p>
<p>フランが潮を吹き出すと同時に、2人も潮を吹き出す。その光景は、もしも第三者が見ていたら異様なものかもしれない。しかしそれだけ、彼女たちは本当に気持ちよく、そして幸せだったのだ。</p>
<p>「かはっ、ぁ――♡♡♡♡♡　ッ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～♡♡♡♡♡　ひ、ぁ――……♡♡♡♡♡　っ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　ぁ゛～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>フランの体が、がく、がく、がくと大きく痙攣する。数十秒たっても、まだ収まらない。彼女は絶頂の余韻だけで、新たな絶頂を迎えていた。だんだんと、波が引くように快感が落ち着いていき、ぴくぴくと小刻みに震えるだけになるには、数分かかった。</p>
<p>それでようやく、ウルツアとルグは、彼女にもたれ掛かるのだ。</p>
<p>「ふぅっ、ふぅぅ……♡　これ、やべーな……♡」<br />
「あははっ、癖になりそぉ……♡」</p>
<p>「っ～～～～～～～～……♡♡♡♡♡　は――……♡♡♡♡♡　ぁ――……♡♡♡♡♡　っ～～～～～～～～……♡♡♡♡♡」</p>
<p>「へっ、間抜けな顔してら」<br />
「せんぱい、だーいすきぃ♡」</p>
<p>ウルツアとルグはもう、声を出すのもやっとだった。となれば、それよりも強い快感を受け続けていたフランは、もう声を出すこともできない。</p>
<p>しかし、ルグに改ざんされた《読心》によって、彼女の心が穏やかなものであることは分かっていた。静かに波打つ湖畔のような心から、少しずつ恥ずかしさがにじみ出てくるまで、2人はフランのことを強く抱き締め続けるのだった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>――――<br />
――</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>数ある性拷問、陵辱と比べれば決して長くはない、しかし濃密で激しい情事が終わる。フランとウルツア、ルグの3人は、部屋の隅に置かれた小さなベッドの上で、ぎゅうぎゅうに寄り添い合っていた。</p>
<p>「せんぱい、落ち着きましたぁ？」<br />
「……うん、何とかね」</p>
<p>「あはは、楽しかったぁ♡」<br />
「私はしんどかったよ。まったく、ひどい目に遭った」</p>
<p>「でも、気持ちよかったでしょ？」<br />
「…………」</p>
<p>「うふふ♡」</p>
<p>ウルツアは、フランとルグの会話を黙って聞き続ける。今はもう、フランの《能力》は元に戻っている。しかし別の不思議な感覚が、ウルツアの胸の中を満たしていた。</p>
<p>暴力と欺瞞に満ちた、今日を生きられるかも分からない毎日を過ごしてきた。それなのに今、こんなにも穏やかな時間を過ごすことが許されるのだろうか。少し戸惑ってしまうぐらいだ。</p>
<p>「ああそうだ、ルグ。連絡事項」<br />
「ムード台なしですよ、せんぱい～」</p>
<p>「近いうちに、私は<ruby>表<rt>・</rt></ruby>に出る。私の手が回らない部分はお願いしたい」<br />
「……そうですかぁ」</p>
<p>「……止めないんだね」<br />
「分かってましたもん。せんぱいは、こんな場所にずっといるような人じゃないって」</p>
<p>「『こんな場所』なんて言わないでよ。君もいる場所だし、私にとっても大切な場所だ」<br />
「分かってます。それでも、せんぱいはもっと<ruby>表<rt>・</rt></ruby><ruby>舞<rt>・</rt></ruby><ruby>台<rt>・</rt></ruby>に出るべきです」</p>
<p>性拷問師としてずっと裏舞台に引きこもり続けてきたフランが、ようやく<ruby>表<rt>・</rt></ruby>に出てくる。ウルツアは、『一緒に仕事することになったら、きっといろいろと小言を言われるんだろうな』と思った。それは憂鬱でもあったし、どこかうれしくもあった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>穏やかな時間に、現実がにじみ出てくる。全てが平和な世の中では決してない。</p>
<p>《<ruby>発火<rt>パイロキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>念力<rt>テレキネシス</rt></ruby>》、《<ruby>とにかく何かすごいやつ<rt>エターナルフォースブリザード</rt></ruby>》――フィクションで描かれ、多くの人々が夢見た超能力が簡単に手に入る、混沌の時代。《能力者》同士が街々でぶつかりあい、あまたの血がアスファルトを赤黒く染めていく。</p>
<p>傭兵である彼女たちは、その戦いの最前線にいるのだ。</p>
<p>「変わっていくものですね」<br />
「まあね、ずっと同じってわけにもいかない。良くも悪くも」</p>
<p>「あれも変わっていくかもですね。自販機のラインナップとか」<br />
「業者を変えるって話は聞いてないよ」</p>
<p>「いや、変えていきましょうよ！　自然と変わっていかないのなら、自分の力で変えていくべきですよ、あれは！」<br />
「私はあのままでいいと思うけど。外でグアバ焼き芋ジュースを探すのも苦労するしなぁ」</p>
<p>「せんぱい、まさか味覚死にました？　もぉ、どう思う、ウルちゃん！？」</p>
<p>全てが平和な世の中では決してない。</p>
<p>それでも今だけは、この穏やかな時間を楽しむことにしよう――ウルツアはそう思い、くぁっとあくびをしながら応えるのだった。</p>
<p>「……オレは、いちごタバスコが好きだ」<br />
「お、いけるクチだね」</p>
<p>「もうやだこの会社」</p>
<p>&nbsp;</p>
<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>【おまけ】異能バトルものの性拷問師たち</title>
		<link>https://omonove.com/12813/</link>
					<comments>https://omonove.com/12813/#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 01 Sep 2023 08:52:57 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[キ]]></category>
		<category><![CDATA[悲]]></category>
		<category><![CDATA[愛]]></category>
		<category><![CDATA[愛情]]></category>
		<category><![CDATA[感情]]></category>
		<category><![CDATA[振]]></category>
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					<description><![CDATA[キャラクターの紹介。]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="padding: 10px; margin-bottom: 10px; border: 1px solid #333333;">
<h3 style="text-align: center;">目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12818">表紙</a><br />
　<small>#簡単なご案内など</small><br />
<a href="https://omonove.com/12799">第1話 読心 -ノンバーバル-</a><br />
　<small>#クリ責め #電マ #ローションガーゼ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12801">第2話 自声愛撫 -ジメツ-</a><br />
　<small>#くすぐり #声我慢 #超音波</small><br />
<a href="https://omonove.com/12803">第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-</a><br />
　<small>#ささやき #見せつけ #脳イキ</small><br />
<a href="https://omonove.com/12805">第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-</a><br />
　<small>#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作</small><br />
<a href="https://omonove.com/12807">第5話 はじめての</a><br />
　<small>#クンニ #寸止め</small><br />
<a href="https://omonove.com/12809">第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-</a><br />
　<small>#乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断</small><br />
<a href="https://omonove.com/12811">最終話 伝心 -ワタシノココロ-</a><br />
　<small>#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有</small><br />
<a href="https://omonove.com/12813">おまけ</a><br />
　<small>#キャラクターのちょっとした紹介</small></p>
</div>

<p>&nbsp;</p>
<h3>おまけ キャラクターのちょっとした紹介</h3>
<p>&nbsp;</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-12893" src="https://omonove.com/wp-content/uploads/2023/09/異能バトルものの性拷問師たち_一枚絵.jpg" alt="異能バトルものの性拷問師たち_一枚絵" width="1684" height="1191" srcset="https://omonove.com/wp-content/uploads/2023/09/異能バトルものの性拷問師たち_一枚絵.jpg 1684w, https://omonove.com/wp-content/uploads/2023/09/異能バトルものの性拷問師たち_一枚絵-768x543.jpg 768w, https://omonove.com/wp-content/uploads/2023/09/異能バトルものの性拷問師たち_一枚絵-1536x1086.jpg 1536w" sizes="(max-width: 1684px) 100vw, 1684px" /></p>
<p style="text-align: center;">フラン</p>
<p>ある傭兵会社にて、戦闘部門と事務部門、そして裏で行われている拷問部門の三つを掛け持ちする。</p>
<p>他者の心を読む異能《<ruby>読心<rt>ノンバーバル</rt></ruby>》は、敵にとっては恐怖の対象である。人並みの感性を消すことのできない不器用な彼女は、強すぎる《能力》を持ってしまったが故に他者から向けられる嫌悪と、拷問という仕事に対する罪悪感、その両方に一生苦しみ続けるだろう。それでも今の彼女には、多くはなくとも仲間がいる。</p>
<p>社内に引きこもっていたせいで戦闘経験に乏しい部分があり、目を背け続けてきた《能力》も、廉価の開発しか受けていないせいで本来不完全の代物である。『第2の母親』と呼ぶには少し奔放すぎるクソババアの扱きだけで強くなった彼女は、これからますます強くなるだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;">ウルツア</p>
<p>ある傭兵会社における、戦闘部門の新米傭兵。</p>
<p>彼女の所属する会社は、なぜか他社と比較しても戦闘力が抜きん出て高いため、まずは追い付くのに苦労する。しかし打倒フランを最大のモチベーションに、めきめきと成長中。彼女の異能《<ruby>痛覚遮断<rt>アドレナリン</rt></ruby>》は、応用が利く。努力次第で、まだまだ昇華するだろう。</p>
<p>最近の悩みは、あのムカつくクソお節介に対する自分の感情が何なのか、よく分からないこと。当の本人はその感情を読んでいるはずなのに、素知らぬ顔をしている。ヘタレが、オレがこんなにやきもきしてんだから、テメェから行動を起こせよ、フラン。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;">ルグ</p>
<p>ある傭兵会社の拷問部門に勤める。最近は、社外に出張るようになったフランの穴を埋めるべく、事務仕事を手伝うようになり悲鳴を上げている。</p>
<p>他者の《能力》を改ざんする《<ruby>魔改造<rt>ツギハギ</rt></ruby>》は、あらゆる異能の中でもトップレベルのレアリティである。戦闘で使えれば多大なる戦力となり得るが、彼女自身が運動音痴のため戦場には連れていけないと判断された。</p>
<p>彼女もまた、混沌とした時代の犠牲になった者だった。暴力を振るう家庭から逃げ出して、体を売って稼ぎ、《能力》に手を出した。力を持て余していた自分を拾ってくれた社長には、最大の感謝を。擦れた自分と真っすぐに向き合って導いてくれたせんぱいには、仕事仲間以上の愛情を。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;">シアン</p>
<p>大手傭兵会社であるナット社の最大戦力。彼女の異能が明るみになって、政府のデータベースにおいても《時間停止》から《<ruby>加速<rt>ベツセカイ</rt></ruby>》に書き換えられた。しかし、彼女自身が弱くなったわけでは決してなく、その戦闘力は依然として最高峰である。</p>
<p>会社の所在地が近いせいか、最近はフランたちと共闘することも少なくない。なおナット社では、ニコ社の件で責任を追及されて、経営層が一新されたらしい。ナット社の前途は多難。</p>
<p>混沌とした時代において、彼女のようにネジの外れた人間はそう珍しくない。唯一違うのは、彼女には力があったということだ。何かと異端扱いされることが多い中、顔をしかめながらも何だかんだで自分と向き合ってくれるフランのことが大好き。おちょくると面白いし。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;">Vi</p>
<p>ある傭兵会社の社長。</p>
<p>彼女の来歴を知る者は少ない。なぜViと呼ばれているのか、なぜ規格外の戦闘力を持つのか、なぜ一部の高官でさえも彼女に平伏するのか。それに対して、社員たちは『まあいっか』と思った。とりあえず彼女に付いていけば、まあ、そこまで悪いことにはならないだろう。</p>
<p>生涯未婚の彼女が持つ唯一の心残りは、何の因果か拾ってしまい、我が子のように育ててきた小娘のこと。最近マシにはなったが、青臭さは相変わらず抜けない。アイツが一人前になるまで、まだまだ現役を引退しちゃいられない。</p>
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		<item>
		<title>【表紙】擽園開発日記序章 ～悪い神さまの創る世界～</title>
		<link>https://omonove.com/12434/</link>
					<comments>https://omonove.com/12434/#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[おものべ]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 02 Jun 2023 11:00:41 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[長編小説]]></category>
		<category><![CDATA[くすぐり]]></category>
		<category><![CDATA[悪い神さ]]></category>
		<category><![CDATA[悪い神さま]]></category>
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					<description><![CDATA[剣と魔法とくすぐりの世界を創って、悪い神さまになるお話。]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><strong>◆あらすじ</strong></p>
<p>剣と魔法とくすぐりの世界を創って、悪い神さまになるお話。</p>
<h3>目次</h3>
<p><a href="https://omonove.com/12434/">表紙（簡単なご案内など）</a><br />
<a href="https://omonove.com/12438/">第1節 わるい神さまの創る世界</a><br />
<a href="https://omonove.com/12456/">第2節 神さまに犯される神殺し</a><br />
<a href="https://omonove.com/12459/">第3節 神さまとポンコツ盗賊娘</a><br />
<a href="https://omonove.com/12461/">第4節 神さまが楽しく犯す基準</a><br />
<a href="https://omonove.com/12463/">第5節 神さまと滅びる定めの種</a><br />
<a href="https://omonove.com/12465/">第6節 教会と神殺しと神さまの怒り</a><br />
<a href="https://omonove.com/12467/">第7節 貴女は悪い神さまですか？</a><br />
<a href="https://omonove.com/12470/">最終節 悪い神さまの創る世界</a><br />
<a href="https://omonove.com/12472/">付録1 渡り鳥の気ままな旅模様</a><br />
<a href="https://omonove.com/12474/">付録2 幼き神殺しと小瓶の部屋</a><br />
<a href="https://omonove.com/12476/">おまけイラスト 《擽園》</a></p>

<p>・序章とありますが、これで完結です。<br />
・Pixivにも同じ作品がありますので、読みやすいほうでどうぞ。<br />
（『おものべ』外のリンク）<a rel="noopener" target="_blank" href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19998286">https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19998286</a></p>
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