⏱このページは4分ぐらいで読めます
◆あらすじ
オナニーを知った瞬間、一気にはまってしまった少女の独白。手やシャープペン、スマートフォン、シャワーなど、身近にあるいろいろなものをオナニーの道具として試した結果、1番気持ちよかったのは歯ブラシでした。少女は毎月歯ブラシを交換する時期になると、洗面所でこっそり、自分のクリトリスをしゅこしゅこと磨いてオナニーするのです。
お人形、お姫様、ハムスター――私は、そんな褒め言葉を受け取るような人でした。
だけど、そうやって褒められるたびに思うのです。私は、みんなが思っているほどかわいくはありません。みんなが思っているほど無垢ではありません。みんなが思っているよりもずっと、擦れていて、汚れていて――。
だって、そうでなければ、こんなことはしないでしょう?
私はいつから、こんなことをするようになったんだっけ?
私がオナニーというものを覚えたのは、同年代の他の女の子たちよりも随分と遅かったと思います。だって、保健体育の授業で男の人と女の人の営みを教わった時、私はあんなにも衝撃を受けていたのに、他の女の子たちは『何を今更』という顔をしていたのですから。
だけど、一度性というものを知ってしまうと、あっという間でした。
独り自分の部屋で、恐る恐るアソコに触ってみたら、心の中でふわっと花が開くように気持ちよくて。私は快感のとりこになってしまったのです。
それからは、まるで坂道を転がる珠のように、私の欲求はどんどん歯止めが利かなくなりました。毎日のように手で慰めるようになって、だけどすぐに物足りなくなって、身近にあるいろいろなものに救いを求めたのです。
真っ先に目に付いたのは、シャープペンでした。ちくちくと尖ったペン先でクリトリスをつつくと、飛び上がるような衝撃の後にむずむずとした余韻がやってきました。ああだけど、快感が遅い。もっと矢継ぎ早に気持ちよくしてほしい。
次に目に付いたのは、スマートフォンのバイブでした。角の丸まった部分をクリトリスに当てると、じんわりとした気持ちよさがやってきます。これじゃあ、快感が弱い。もっと強く、強く。
それから目に付いたのは、シャワーでした。水圧を最大にしてクリトリスに押し付けると、まるでアソコをめちゃくちゃにされるような衝撃がやってきました。すごい、気持ちいい。ああ、だけど、お湯を使いすぎてお母さんに怒られてしまうかも。
そうして、お風呂から上がった時、歯ブラシが目に付いたのです。『そういえば、そろそろ交換しないと』って。そして、つんつんとした毛先を見ると、いけない欲求がわき上がってきたのでした。
それから、歯ブラシを交換する時期になると、体がへとへとになるまでオナニーをするようになりました。だいたい1か月に1回です。その時が訪れるまでの間、私はひどく悶々とした日々を送ります。
歯ブラシを自分の部屋に持って帰ればいいのでは? ――そう思うかもしれません。だけど私は怖かったのです。もしもベッドの上に置かれた歯ブラシを、お母さんに見られてしまったら? 歯ブラシに付いたいやらしいお汁を洗おうと洗面台に持っていく姿を見られてしまったら?
それに、これは枷なんです。もしもこの歯ブラシを部屋に持っていってしまったら、私はもう欲求を抑えられなくなってしまうでしょう。部屋にいる間はずっと、歯ブラシでクリトリスをしゅこしゅこと磨き続けてしまうはずです。
だから私は、1か月に1度という縛りを、自分に課しているのです。
ああだけど。
欲求を溜め込めば溜め込むほど、私の頭の中でたくさんの妄想が浮かび上がります。もしもこの欲求を溜め込むこともなく発散できたら、どんなに素敵だろう? 洗面所で裸になってオナニーするのは、少し寒いのです。もしもこの体を温めてくれる人がいたら?
残念ながら、私はそこまで想像力が豊かではありませんでした。だから、その人が使うのは、手でもなく、舌でもなく、股間のものでもなく、歯ブラシでした。
その人は私のことを抱き締めながら、歯ブラシでしゅこしゅこと私のクリトリスを磨き続けるのです。自分で自分のクリトリスを磨くだけでも天に昇るぐらい気持ちいいのに、他人にされてしまったら、もう天国を通り越して地獄です。
連続絶頂地獄――その言葉を想像するだけで、全身がかっと熱くなって、ぞくぞくします。私はきっと、大声を上げながら暴れてしまうでしょう。それでも、その人は私のことを押さえ付けて、歯ブラシで私のことをイカせ続けるのです。
それはなんて素敵な未来。
そんな妄想をすればするほど、クリトリスを磨く自分の手の動きが早まります。それで何度もイッてから、思うのです。お人形、お姫様、ハムスター――やっぱり私は、そんな褒め言葉を受け取っていい人間ではないや、って。
たくさんオナニーして、体の芯はぼうぼうに熱いのに、表面は肌寒い。洗面所でのオナニーは、風邪を引いてしまいそうでいつも心配になります。
いい加減、お風呂に入らなければ。私は手に持っていた歯ブラシをごみ箱に入れようとして、だけど少し迷って、結局歯ブラシを持ったまま浴室に行くのでした。
コメント