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長編小説

【最終話】異能バトルものの性拷問師たち

⏱このページは31分ぐらいで読めます


目次

表紙
 #簡単なご案内など
第1話 読心 -ノンバーバル-
 #クリ責め #電マ #ローションガーゼ
第2話 自声愛撫 -ジメツ-
 #くすぐり #声我慢 #超音波
第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-
 #ささやき #見せつけ #脳イキ
第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-
 #シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作
第5話 はじめての
 #クンニ #寸止め
第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-
 #乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断
最終話 伝心 -ワタシノココロ-
 #キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有
おまけ
 #キャラクターのちょっとした紹介

 

最終話 伝心 -ワタシノココロ-

#キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有

 

「どうしたんすか? フランさん」
「ああいや。……御守さんって、私によく話しかけてくれるなって」

「はぁ……。そりゃ、まぁ? 仰る理由がよく分かんないんすけど」
「ご存知の通り、私の《読心》は勝手に働いています。……だから、私に心を読まれるの、嫌じゃないのかなって」

「あー、まぁ、そりゃ《能力》自体は恐いとは思いますけど。相手はフランさんっすから?」
「私だから?」

「ええ、まあ……?」

『何を言っているのか分からない』という表情を浮かべる同僚と会話した後、フランは呟いた。

「……私に心を読まれて平気な人って、だけじゃなかった?」

それを聞いていたウルツアは、『今更かよ』と思った。

 

あれから、フランの様子は少しだけ変わった。普段むすっとしているのは相変わらずだけど、心なしか、表情が穏やかになったように見える。ウルツアは、Viからこっそりと『ありがとう』と言われていた。

その辺りは別に、悪い気はしない。しかしウルツアは今、葛藤していた。

「……あいつの体、柔らかかったな。胸も尻もねーくせに」

夜、ウルツアは自室のベッドの上をごろごろと転がる。

彼女が時々思い出すのは、のこと。

彼女はあまりについて、考えたことがなかった。性行為というもの自体は当然知っているけれど、自分とは無縁な出来事だと感じていたのだ。そんな機会なんてせいぜい、路地裏に転がされて、下卑た男たちに犯されるぐらいのものだったろう。もしもあったとしたら、だが。

しかし、フランに抱かれたウルツアは、その行為の身近さを実感することになった。そして考えるようになる。『オレの胸が小さいのは食が細いせいか?』とか、『どうしてオレにはが生えてない? だってアイツには生えてただろ』とか、『オレの体は敏感すぎやしないか? これが普通なのか?』とか。それは少し遅れた、しかしありふれた思春期のよう。

そして、こうとも思うようになる――

つまるところ、自分を抱いてくれたアイツフランのことを、今度は自分が抱いてみたくなったのだ。

 

――――
――

 

そんな邪な感情を抱いてから、ほんの数時間後のこと。

「今日の稽古は、これで終わり」
「……くっそ」

ウルツアは訓練場の床に、仰向けに倒れ込んでいた。今日も今日とて、フランに完敗だった。

フランは訓練の際、細心の注意を払っていた。痛みが必要であれば与えるが、そうでない限り無用なけがを決してさせない。故に、《能力》を使わなくともウルツアの体に痛みはほとんどなく、ただ疲労と敗北感だけが募る。

(こんな精神状態じゃ、勝てるわけもねーか……)

いつも完膚なきまでに負かされるウルツアだが、今日は特にひどい有様だった。雑念が多いせいで、まともに訓練に臨むことができない。

フランの顔を見れば見とれてしまうし、その声を聞けば頬の筋肉が嫌に緩んでしまう。訓練の時にはフランがスーツのジャケットを脱ぐせいで、妙にどきどきする。いつもより薄手の生地に浮かぶ、控えめな胸の膨らみ。動くたびにその形が強調される、小ぶりな尻。シャツの裾をウエストにきっちり入れているせいで、激しく動いても腹やへそが見えないのが少し悔しい。

こんなにもフランを見るだけで妙な気持ちがぐずぐずと湧いてくるなんて、何だかもう、全てが変だった。

「動きのキレは相変わらず悪くない。だけど駆け引きの面が相変わらず悪い。手数を当てて相手の動きが止まったところを決める、下段を意識させてから上段を狙う――そういうテンプレートでもいいから、まずはとにかく数を覚えて、反復練習を徹底すること。戦闘の最中、常に複数の選択肢が思い浮かぶようにしなさい」

訓練の後に必ず行われるフィードバック。こんなぼろぼろの有様でなお、指摘される内容はいつも通り。この会社に来てからずっと、『駆け引きを意識しろ』だとか『頭を使え』だとかばかりだ。

ウルツアは、それは少し理不尽だと思った――だってフランは、相手の心を読む《能力》があるのだろう? こちらが『いつ勝負を仕掛けますよ』なんて教えるような話だ。テレフォンパンチよりもひどい。ズルじゃないか? 心の中を読まれて、どう動くのか丸わかりになっていたら、駆け引きでどうこうできる気が――。

「――あ?」

そこで、ウルツアは違和感に気付いた。それも何か、とてつもなく重大な違和感だ。思えば、こんなにひどい有様でなお、いつも通りの指摘にとどめてくれていること自体――。

「……オイ」
「何」

「テメェ、んだよな」

ウルツアはまるでさび付いた人形のようにぎぎぎと首を動かしながら、フランを見つめる。

するとフランは、ものすごく居心地が悪そうに、顔を背けた。その顔は、どこか赤らんでいるようにも見えて……。

「……あああああああああ!!?」

ウルツアは絶叫した。

フランはウルツアの心を読むことができる。つまりウルツアが訓練のさなかずっとフランに劣情を抱いていたことも、彼女には筒抜けなわけで。

「あー、その、ごめん……」

フランは謝ることしかできなかった。

彼女も立派な大人の女性だ。男に邪な感情を向けられることも、決してないわけではないだろう。何なら男だけに限らないかもしれない。

しかしまさか、当初あんなにも憎しみの感情を向けられていた後輩のウルツアが相手となれば、さぞかし想定外だったろう。しかも、戦闘のさなかずっと気になるほど、強烈な感情だ。

 

「……忘れなさい。気付いていても気付かないふりをするのが、大人の振るまいだよ」
「…………」

「それに、いくら私が心を読めようとも、言動に出していないことをとがめる筋合いはない。だから、あー、まぁ……好きにしな」

結局、フランもそれぐらいのことしか言えなかった。どこか浮ついた空気が、ひどく居心地悪い。

こつりという音と共に、フランの足の角度が変わる。気を利かせて部屋を出ようとしたのだろう。しかし彼女が完全に背中を向ける前に、ウルツアがフランの正面から両肩をつかむのだ。

「ヤらせろ」
「え」

それはフランにとって甚だ予想外の言葉だった。たった4文字の言葉はあまりに簡潔すぎて、かえって意味を理解するのに時間が掛かる。ワンテンポもツーテンポも遅れて、フランの顔がぼっと朱色に染まる。どうしてウルツアがそんなことを言い出すのか理解できなかった。

しかし、それはだ。彼女は今、目を回していた。

「ヤらせろ」
「な、何を言って」

「ヤらせろ」
「あの、ちょっと落ち着いて」

「責任取れよオラァ!?」
「君、今明らかに冷静でないよ!?」

フランの指摘通り、ウルツアの心の中はぐちゃぐちゃだ。心を埋め尽くす恥ずかしさに、言うことを聞いてもらえないいら立ちがブレンドされていく。しゃらくせぇ――いっそのことその口をふさいでやろうかとすら思った。今の彼女は冷静でなかった。

そんな状況でが現れるのは、果たして『助かった』と言えるのか、あるいは『状況が悪化した』と言えるのか。

「面白そうな話はっけーん♡」
「ルグ!?」

「えへへ。訓練終わるの遅いなーって思って様子を見に来たら、面白いことになってるじゃないですかぁ♡」

訓練場に突然現れた、性拷問部門におけるフランの後輩――ルグは、気さくにウルツアの背中に抱き付く。大きな胸がきゃしゃな背中に押し当てられて、ウルツアは『うぉっ』とうめいた。

「ねえねえ、ウルちゃん。私からも、せんぱいに言ったげる」
「ウル、ちゃ……? いや、それはいい、本当かっ?」

「その代わりぃ……私抜きでのは、ナシだよね?」
「……それで構わねぇ!」

2人の会話を聞いて、フランは『ちょっとぉ!?』と叫んだ。しかしルグは、その叫びに耳を貸すこともなく、今度はフランに抱き付くのだ。

「というわけでぇ、せんぱい。シましょ?」
「……ルグ。君、どういうつもり?」

「うふふふふ♡」

フランの顔が分かりやすいほどにしかめられていく。当然の話だ。仕事場の後輩2人が自分のことを抱こうとしているなんて、普通ではない。

しかしウルツアも、ルグも、心を読むまでもなく、その表情を見るだけで分かるぐらい、完全にで。

「……分かったよ」

結局フランは肩を落として、そう言うしかないのだった。

 

――――
――

 

業務終了時間となり、会社の人間が全員帰宅した後、フラン、ウルツア、ルグの3人は地下2階の拷問室に集まっていた。

「せんぱい。会社でって、何だか背徳感ありません?」
「……今度からは、ホテルを使うよ」

「『今度』♡ せんぱい、すっかりその気じゃないですかぁ♡」
「っ」

フランの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていく。何か言い訳をしようとしたらしいが、結局何も思い付かなかったのか、喉に空気を詰まらせるだけだった。

「いいからさっさと脱げよ。フラン」
「今日の君は、随分と落ち着いてるね。ウルツア」

「そりゃ、ほうじゃねーからな。随分と気楽だぜ」

乱すほうと乱されるほう、気が楽なのはどちらかと言えば、それは前者だろう。フランは『くそう』とうめいた。

 

「ほらほら、2人とも遅いですよぉ♡ 早く早くぅ」

ルグのほうは、さっさとワンピースを脱いでしまっている。

『デケェな』――ルグの裸体に対するウルツアの感想は、至極シンプルなものだった。清楚な白の下着に包まれた、豊満すぎる胸と尻。その癖、ウエストは緩やかだけれども確かにくびれていて、その体付きは明らかに、ここにいる3人の中で1番恵まれている。ウルツアは『ずるい』と思った。

しかし彼女はすぐに首を横に振る――自分は3人の中で1番若いし、まだ成長期ってやつが残されているかもしれない。あのイイ体に対して真にコンプレックスを抱くべきは、フランのほうだ。背は高いが、胸も尻も小せぇし。ついでに下着もダッセーし。

しかしフランがシャツを脱いだ瞬間、ウルツアはぎょっとした。

「へ」
「……何だよ、君が『脱げ』って言ったんだろ」

「あ、いや……。そうじゃ、なくて……」

以前、フランがウルツアに裸を晒したときは、ベージュの下着を着けていた。まるでファストファッションの店で売られているような、機能性だけを追求した、何とも色気のない下着だったはずだ。

それが今の彼女は、真っ赤な下着を着けていたのだ。レースがふんだんにあしらわれていて、情熱的ではあるがどことなく上品で。そして下着がになると、猫のようなしなやかな裸体に、目が離せなくなる。

「……見すぎ」

頬を染め、恨めしそうに呟くその態度は、嫌になるほど艶っぽい。

ウルツアの隣に立っていたルグも、『はわぁ』と吐息を漏らしていた。

「せんぱいって、そういうの着けるんですねぇ……♡」
「本当にね。まったく、どうしてのか」

フランの視線が一瞬、ウルツアのほうに流れた。

『どうしてのか』――ウルツアはうぬぼれたくないと思いつつも、のことを思い出す。もしも自分が原因で下着を気にするようになったとしたら――ウルツアは妙な支配感のせいで、背中がひどくむずむずするのだった。

 

「それでせんぱい。今日はどういうのがいいですか?」
「え?」

「あ、ああ。まぁ、そうだな。希望がありゃ、聞くだけ聞いてやるよ」
「え、ええー……?」

下着姿のまま、両腕で胸と秘所を隠しているフランに、同じく下着姿のウルツアとルグが問う。一見すれば、その言葉は気遣いのように聞こえるかもしれないが、実際は違う。

2人は、フランが自分の欲望を口にするのが苦手だと知っていた。フランが困ったように2人のことを交互に見てくるせいで、ウルツアも、ルグも、思わず吹き出してしまいそうになる。笑いをこらえていることはフランにも分かっているようで、困惑した表情が少しずつむすっとした表情に変わっていく。

別に、本気で質問したわけではない。『ちょっとだけ困らせてやったら、後はまあ、好きにやらせてもらおう』――ウルツアもルグも、それぐらいの考えだった。

「…………たい……」

「えー? 何ですかぁ?」
「もっとちゃんと言わなきゃ聞こえねーぞ」

しかしこのやり取りは、やじを飛ばす2人の予想とは、少し違う結果となる。フランはうつむき、目をそらして、ぽつりと呟くのだ。

「…………2人の好きに、されたい……」

「はぇ……」
「っ……」

おねだりの仕方など、いくらでもあっただろう。抱かれることに抵抗感があるなら、『初めてだから優しくしてほしい』とか、『中は経験がないから外だけにしてほしい』とか、その快感を和らげる言葉もあったはずだ。あるいは、『好きにすれば』とでも言っておけば、一見投げやりのように聞こえて、まだ保身できたかもしれない。

『好きにされたい』という言葉は、だいぶニュアンスが違うのだ。

「…………」
「…………」

「あ、あの。何か、反応が欲しいんだけど」

ウルツアとルグは、少しの沈黙の後、彼女の肩をつかんだ。

「え……!? あ、あの、ちょ、お、押さな……!」

何が何だか分からないまま、2人に押されて後ずさりするフラン。数歩下がったところで、彼女の背中は大きな拘束具にぶつかった。

「あ、ああ、あー、そ、そういう、こと……!?」

まるで分娩台のような、脚を大きく開かせるような椅子に座らされ、手首、肘、足首、膝、腰、あばら、首――体のありとあらゆる部位に拘束具が巻き付いていく。

「せんぱい、覚悟してくださいねぇ゛……っ♡」
「ぅ、うん……っ?」

「テメェ、そういうこと言って、ただで済むと思うなよ……っ?」
「今、ちょっとだけ、後悔してるよ」

息を荒立たせる2人を前に、フランの顔にもいくらかの恐怖が浮かぶ。だけどその表情は確かに、どこか、満更ではないものだった。

 

十を超える拘束具があっという間に取り付け終わる。それからすぐに、何の打ち合わせもなく動き始めたのはルグだった。

「んむ――!? んぐ、ぷはっ! る、ルグ……!? む――!?」
「ちゅっ、じゅるぅっ。せんっ、ぱぃ……! んむっ、れろぉ……っ」

ルグは、フランの両頬をつかんで、勢いよく口付けをする。驚くフランの口に、無理やり舌がねじ込まれていく。

「むぐっ、むっ、ぅぅっ!? ちょっ、と……!! ルグ、待っ、て、息、苦し――!?」

今まで何十人、何百人の性拷問を行ってきたフランでも、こんなにも情熱的なディープキスをしたことはなかった。性拷問で相手の唇を奪うことはないし、それ以外の性経験なんてウルツアしかいない。経験豊富そうな来歴とは裏腹に、純情な部分は意外と多い。

体を拘束され、しかも後頭部には椅子の背もたれがあるせいで、フランは逃げることができない。恥ずかしさと、息苦しさと、戸惑いで、半ばパニックになる。

ディープキスは1分ぐらい続き、ルグは口内の隅々までを犯してから、ようやく口を離した。

「ぷはっ、はぁ……!? は……っ。ルグ、いきなりすぎる、よ……!」
「……だって」

「ルグ……?」
「先、越されちゃったんだもん」

その顔に浮かぶのは、情欲ではなかった。どこか悲しそうで、どこか悔しそうで。ルグの表情に、フランもウルツアも、息を詰まらせた。

「私だって、せんぱいのこと、ずっと心配してたんですよ? いつか駄目になっちゃいそうで。だけど私、何も言えなくて」

フランの歪さを最初に知ったのはViだった。それを解きほぐしたのはウルツアだった。しかし、2人だけではない。ルグだってずっと長い間、ただの後輩として、物言わぬ止まり木のようにフランのことを憂い続けていたのだ。

フランは四肢を拘束されているから、ルグを抱き締めることもできない。代わりに首を曲げて、彼女の肩に額をこすり付けた。

「知ってるよ、ルグ。君は何も言わずに、ずっと側にいてくれた。君は私を守ってくれていた。感謝してる、本当に」
「……私だって、そんなの知ってますよ」

ウルツアは2人のやり取りをずっと見ていた。

邪魔をすることもなければ、いら立つこともない。ウルツアの知らないところで、ずっとフランのことを守り続けていたのは、このルグという女性なのだから。むしろ、自分よりも長い時間を共にしている彼女に、感謝と嫉妬の念すら覚えるぐらいだ。

ウルツアとルグ、2人に思いの差はない。ただ、担ったが違ったというだけの話。

ルグが、ウルツアのほうを振り返る。

「ウルちゃん。あなたには負けないからっ」
「……そうかよ」

言い合う2人の雰囲気は、決して険悪なものではない。しかし2人の好意を一身に受けるフランは、ものすごく居心地が悪そうにしていた。

 

「とにかく、何だ。ルグ……先輩? 今はよくねーか」
「……だねぇ♡」

休戦協定。再び、2匹の飢えた雌犬のような視線が、フランに向けられる。決して性拷問ではない、しかし明らかに尋常の性行為とは一線を画した、彼女たちだけの行為がようやく始まる。

それは、獲物であるフランに対する配慮などかけらもない行動から始まった。

「ひゃっ、ん……! う、ウルツア、な、なんで最初に、二の腕……!?」
「いや、細ぇなって思っただけだ。……チッ、胸はオレのほうが小さ……いや互角だ、互角」

「ルグっ、何だか、触り方がいつもより乱暴じゃ、ぁぅん……っ!?」
「せんぱい、脚細くっていいなー。もこれ、もしかして処理しないでこれですかぁ?」

ウルツアとルグは、無遠慮にフランの裸体に手で触れていく。

二の腕をなでて肌の滑らかさを味わい、乳房をもんで自分との大きさの差を比較し、ついでと言わんばかりにブラジャーの中に指を差し込んで乳首をつまむ。太ももの細くも女性的な丸みを堪能し、尻のほうまで手を伸ばした後、恐る恐るショーツの中に手を突っ込み、陰毛をなぞって毛の生える方向を確かめる。

べたべたと、好き勝手に触れ回る2人の手付きは、フランに性感を与えるためというよりは、ただただ彼女の体を感じるためのものだった。洗練された性拷問とはまるで真逆。もしもこれがであれば、フランから叱責が飛んでいたかもしれない。

しかし、フランの反応は良好だった。

「ぁ、ん……っ! っ、ぁ♡ っ~……♡」

フランの全身からは力が抜けて、一つ一つの愛撫に対して敏感な反応を示す。その吐息は熱く、声は艶やかだ。

「……テメェ、すっげぇ敏感じゃねーか」
「はぁぁ゛~♡ せんぱいすっごいとろとろぉ♡」

普段は絶対に見ないであろう、フランの色気ある姿に、ウルツアとルグは夢中になった。

敏感……と言うと、少しばかり正確さに欠ける部分がある。フランの性感はごく普通だ。性拷問という現場にこそいるが、彼女自身の体は特に開発されておらず、自分で慰める機会も人並み以下。

違うのはだった。体の力を抜き、2人の手を拒むことなく全てを受け入れ、感じたままの反応を示す。つまり、身も心もなのだ。

しかし全てが素直とはならないようで。

「どうです? せんぱい♡」
「っ……」

「あれー、だんまりですかぁ? 体はこんなに正直なのにー♡」

ルグがフランの顔をのぞき込んで聞くが、彼女は顔を真っ赤にしてうつむくだけ。『体を愛撫されてどんな気分だ』と聞かれて、素直に答えられる女性はそう多くない。フランは特に、相当慎み深いほうだ。

しかしそんなだんまりなフランに、ルグは笑うのだ。

「せんぱい、私、ずーっとあるんです」
「っ……!? 君、まさか《能力》を……」

端から見ていたウルツアには、何が起こっているのか分からなかった。

ルグが、虚空で手をうごめかせ始める。なまめかしくも指先に力のこもった手付きは、愛撫とは少し違った印象を抱く。まるで宙に浮かぶ粘土の塊をわしづかみにして、こねくり回すよう。それを見て、フランはぎくりとした表情を浮かべていた。

そして宙に浮かぶ粘土細工が何かしらのを成した瞬間、ウルツアは得体のしれないに襲われたのだ。

「うおっ!? 何だ、こりゃ――」

ウルツアは、まるで新しい感覚器官を無理やり取り付けられたかのような不快感を覚えた。『見る』『聞く』『嗅ぐ』『味わう』『触る』――どれとも違う感覚を、確かに『感じる』ことができる。五感のどれよりも淡く、しかし心に直接響くような感覚。神経がバグを起こしたかと錯覚する。

しかし、その感覚に慣れて段々と神経がなじんでいくと、不快感は消えていく。異様だけど、嫌な気はしない。むしろ、この感覚はどこかすらある。

何かを察したフランが、声を上げた。

「まさか、2人とも。……?」
「テメェの、心を……? そうか、これは、テメェの《能力》……」

「ルグ……?」
「はい、そのつもり。だったんです、けど」

フランの推測は正しい。《魔改造》――それは他者の《能力》を自由に改ざんできる、ルグの異能だった。彼女はフランの《能力》に干渉して、《読心》をさせたのだ。

逆流。すなわち今のフランは、自分の感情を無意識的に他者に伝えてしまう。例えば、彼女が今の状況をどう思っているのか、とか。例えば、彼女が2人のことをどう思っているのか、とか。

そして、まるでお互いの心を直接つないだような感覚に、ウルツアは顔を真っ赤に染めながら吹き出しそうになるのだ。

「……テメェ、オレらのこと、だろ」
「……いけないかい」

地味で、生真面目で、いつもむっすりとしているフラン。しかしその心の中は、まるで思春期の乙女のように透き通るピンク色で、しかし母親のような慈愛にも満ちていて。『文字通り、頭ん中お花畑かよ』――こんなにも純情な人間がいるのかと、心を読んでいる側が恥ずかしくなるぐらいだ。

ルグも、真っ赤な顔で言った。

「ま。私は知ってましたけどね」
「……そうなの?」

「だってせんぱい、そういうのすっごく顔に出るんですもん」

それを聞いたフランは、目をぱちくりとさせるのだ。

「……あのさ、そんなに私、思ってること顔に出てる?」

「は?」
「え?」

「この前、シアンにも同じことを。いや、何ならもっと昔にも言われたような気が……」

「今更かよ」
「それはもう。まあ基本むっすりですから、分からない人もいるとは思いますけど」

ウルツアとルグは笑うのだった。

 

「さあて、せんぱいがとっても悦んでいることが分かったので、再開しましょうかぁ♡」
「っ」

「お、今ビビったな? なるほど、こりゃテメェのに便利なわけだ」
「…………はぁぁ~……」

自分の感情を周囲に伝えてしまう――これが恒常的な《能力》であれば、傭兵稼業はおろか日常生活すら危ういだろう。しかしフランは『嫌だ』とは言えず、深いため息を付くだけ。そもそも、『好きにされたい』と言ったのは彼女自身だ。

しかし、ルグが思い付きで行使した《魔改造》は、思わぬを生み出すことになる。

「ねえねえウルちゃん。最初はどれ使う?」
「どれも何も。オレには、ここにある大半の道具が分かんねーよ。……あー、こいつは知ってるか」

「これかぁ。まあ、最初はジャブからってことでいっかぁ」
「……これでジャブなのか」

ルグが取り出したのは、何の変哲もない電動マッサージ器だった。

彼女が言う通り、性拷問用としてそろえた数ある道具の中でも、やさしめではある。それでも、女性が泣き叫ぶほどの連続絶頂地獄に突き落とすには十分なものだ。それを誰よりも知っているフランも、喉をごくりと鳴らす。

「このままじゃあ、下着が汚れちゃいますねー。一度脱ぎ脱ぎしましょうかぁ♡ あ、髪もこれ、邪魔になってますね」
「っ、ルグ、何だか脱がせ方が、いやらし……。あ、ウルツア、も……!?」

「いや、何かバランス悪ぃなって思ってよ」

ウルツアとルグが、フランの下着を脱がせていく。右脚部分の拘束具だけを一度取り外して、片脚だけ脱がせたショーツをもう片方の左脚に引っかける。ついでに、後頭部で結わえていた髪をほどく。その傍ら、ブラジャーは完全に剥ぎ取ってしまった。フランの心の中にある緊張と恐怖、期待がどんどん強くなっていく。

準備は整った。ルグは、電動マッサージ器をフランの下半身にゆっくりと近づけた。

「っくぅ――!!?」

しかし、出力を弱にした電動マッサージ器がフランの内股に当てられた瞬間、異変が起きた。フランだけでなく、ワンテンポ遅れてウルツアもルグも、体を震わせたのだ。

「ぅぁ――!?」
「ひゃふんっ!?」

電動マッサージ器は、あっという間にフランの内股から離れていく。当然、フランは目を丸くして2人を見つめた。自分を責めていたはずの2人が突然喘ぎだしたのだから、驚くのは当然だ。

「ど、どうしたのっ?」

「いや、何だか、これ……っ」
「せんぱいが気持ちよさそうにしてるの感じたら、何だかぁ……♡」

今度はウルツアが、指でフランの乳首をつまむ。

「っあっ!?」

「っぐ!」
「ひふっ!」

また、フランだけでなく、ウルツアとルグも喘ぎ声を上げた。

「テメェ、何しやがった……!?」
「し、知らないよっ、何が起きて……っ?」

「せんぱいのこと気持ちよくすると、何だか私たちも気持ちよくなっちゃうみたいでぇ……♡」
「ええ……っ? それは、その、私のせい……?」

もしかしなくても、その原因はフランの逆流した《能力》によるものだった。

ウルツアは知らないことだが、フランとルグは以前、感受性が強すぎる《能力者》と出会ったことがある。彼女はただ淫語をささやかれ、卑猥な道具が動くのを見るだけで、何度も絶頂に至った。今の現象はその時に似ている。もしも、相手の快感を想像して、自分も感じることができたら――?

ウルツアやルグの感受性は、特段強いというわけではない。しかし、愛する者フランの心は、影響力が強いのだ。

「でも、これはこれで……♡ 何だかすっごく楽しいですよぉ、せんぱぁい♡」
「っぅ゛あっ!? る、ルグっ、いきなり電動マッサージ器それ、当てたら……っ!! ぁあっ♡♡」

「今日はオレがする側だってのに、おかしい、だろが……!」
「ウルツ、あっ♡♡ そう言って、胸触るの、激し……!?」

ウルツアもルグも、攻めているはずの自分が気持ちよくなっていることに対して、恥ずかしくも感じたし、釈然としない気持ちもあった。しかしフランが気持ちよくなっていることを感じ取れるこの現象は、何だか堪らなくうれしい。

「ぁ゛ー♡ せんぱいの心、どんどん伝わってくるぅ♡ ほらほら、せんぱいも電マでぎゅーってされるの好きなんですよねぇっ♡」
「ぁぐっ、っ゛ーー♡♡♡ るぐっ、これっ、強いって――!! ぁっ、ぅぁっ、あ゛ぁぁあっ♡♡♡」

「そういやテメェ、この前したろ」
「うるつ、あっ、何の話――んむっ!!? むぐっ、んっ♡♡♡ ん゛ーーっ!!」

ルグはフランの股間に電動マッサージ器を押し当て続け、ウルツアはフランにひっそりとささやいた後、ディープキスをしながら胸をまさぐる。ウルツアのファーストキスは、一切後悔することのない相手、しかし清純とは遠くかけ離れたものになった。

フランの性感は開発されていないが、2人掛かりの快楽責めに耐えられるほど鈍感でもない。むしろ全身の力を極力抜いて全ての感覚を受け入れるせいで、あっという間に上り詰めていくぐらいだ。

「ふぐっ、むっ、ぅ゛ぅぅうう――!!? ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ ぅぁ、あ――♡♡♡ くぅう~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡」

フランの絶頂は強くも控えめなものだった。絶頂の瞬間に顔を背けてキスから逃げると、口を閉じて声を我慢しようとする。それでも緩みきった口は閉じきらず、口の端からよだれを垂らしてしまう。

慎ましやかだが確かに強く感じているその様子を見て、ウルツアとルグも軽い絶頂に至るのだ。

「く、っ~~~~~~~~♡♡♡ ふぅっ、ふぅ……♡ こんなもんで、終わると思うなよ……っ?」
「はぁぁ~~~~~~~~♡♡♡ せんぱぁ゛い……♡ もっともーっと、気持ちよくしてあげますねぇ……っ!」

「っ……」

この程度で満足するはずもない。程良い快感が、まるで酩酊状態のように、2人の思考力を奪っていった。

 

「ああそうだ」

しかし捻くれ者のウルツアは、フランをただ気持ちよくするでは飽き足らなかったらしい。

「オレぁ、テメェにやり返さなきゃいけねーことがあんだ」
「な、何……?」

「……へへ」

ウルツアの態度が悪いのは、いつものことだ。しかし今の彼女は珍しく、悪い笑顔を浮かべている。フランの顔が少しだけ引きつる。

ウルツアは、フランの顔をじっと見つめる。フランの意識が完全に、そのかわいらしい顔に集中した頃合いを見計らって、ウルツアは不意を突くように、彼女の足の裏をくすぐり始めたのだ。

「ぁはぁ――!!? ぁはっ、何っ、何ぃぃひっはっはははははぁぁぁあっ!!?」

今までとは毛色の違う感覚に、フランは一層高い悲鳴を上げた。それは愛撫では決してなく、紛れもない『くすぐり責め』だ。

「テメェこの前、散っ々っ、オレの体をもてあそびやがってぇぇ!!」
「だってっ、君っ、あの時、感覚なかったじゃなぁっはっはははははははははははぁぁぁあっ!!!」

「だからって赦されると思うかよぉぉ!?」
「あはっ、くひゃぁっはっははははははははっ!!? ごめんっ、ごめんってぇぇぇっはっはははははははははははははぁ~~~~~~~~っ!!?」

フランの感情を受け取っているせいで、ウルツアは少しだけ、自分の足の裏にもぞわぞわとした感覚を覚える。しかしそれに構うことなく、ウルツアはフランの足の裏をくすぐり続けた。

先ほどまでのウルツアの手付きは、どこかだった。性経験のない自分が、大切な人の大切な部位を傷つけてしまうのが嫌だった。だけど他の部位よりも皮膚が厚い足の裏へのくすぐり責めとなれば、話は別だ。今までの愛撫よりもよほど遠慮なく、乱暴な指遣いが、フランの足の裏を駆け巡っていく。

2人のやり取りを見ていたルグが、目をきらきらと輝かせた。

「あはっ、面白そー! せんぱぁい、私もこちょこちょしてあげますねぇ♡」
「なんでっ、なんでルグまでぇぇっはっははははははははははぁぁぁぁぁあっ!!?」

ルグも加担し、フランの腋の下をくすぐり始める。

「えー、別にぃ? ただ、せんぱいのこと、気持ちよくしてあげたいだけですよぉ♡」
「これっ、これはっ、気持ちよくなぁぁっはっははははははははははははひひひひぃぃいっ!!?」

「……やっぱり。せんぱいとウルちゃん、先にヤッてたんですねー」
「お、おこっ、怒ってるじゃないっ!!? やっぱり怒ってるじゃないかぁぁぁひゃぁぁぁっはっはっははははははははははははははははぁぁぁぁぁあっ!!?」

ルグの手付きは、ウルツアよりはよほど優しいが、弱いわけではない。そもそも彼女は、フランほどではないものの十分に『テクニシャン』と呼んで差し支えない技巧を持っているのだ。腋のくぼみにある敏感な部分をすぐに探し当てて、軽やかな動きで指先をこすり付けていく。

「ほれほれ、性拷問師サマがこれぐらいで根ぇ上げてんじゃねーぞ!」
「うるつあっ、だめっ、そこだめっ!!? そこだめだってぇぇぇっへっひゃぁっはっははははははははははははははぁぁぁぁあっ!!!」

「はぅぁ゛ー♡ せんぱいの笑い悶える顔、すっごいレアぁ~♡」
「るぐっ、あまりっ、顔見ないでよぉぉぁっはっはははははははははははははっ、っぐ――!? ぁぁぁっはっはははははははははっ!!?」

ウルツアが突然くすぐり責めを始めたのは、以前フランに体をくすぐられたことがあったからだ。その時は、全身をくすぐられるだけで潮を吹き出すほどに絶頂してしまった。それが何だか恥ずかしくて、悔しかったから、やり返さなければ気が済まなかった。今の行為は、そんな恨みを込めた陵辱のはずだった。

ウルツアにとって想定外だったのは、そんな責め苦で、フランが殊更に気持ちよくなっているということだ。

「はっ、ぁぁぁぁぁっ♡♡♡♡ これっ、まだ続ける、のぉっ♡♡♡♡ ぁはっ、あっはっはははははははぁぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」
「……なんでそんなに感じてやがんだよ」

「そんなのっ、分かんない、よっ♡♡♡♡ だけどっ、なんだか変っ、なんだかぁっはっははははははははははははぁぁぁぁあっ♡♡♡♡」
「せんぱい、すっごい気持ちよさそぉ……♡」

無防備な体を遠慮なくくすぐられたら、笑い悶えながら体を暴れさせるのが、普通の反応だろう。

確かにフランも笑ってはいる。暴れてはいる。しかしその声はあまりにに染まっていた。乳首の勃起は収まらず、秘所から愛液がにじみ出し続けている。

「うそっ、これ、待ってっ♡♡♡♡ うそっ、うそ、待――ッ♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぁはぁ――♡♡♡♡ っひゃ――♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

そしてフランは、体をくすぐられただけで絶頂してしまうのだ。

「やべ……。潮吹かされたの、思い出してきた……♡」
「実は私も、腋の下で感じちゃうんですよねぇ……♡」

フランの心から、身を焦がさんばかりの羞恥心が伝わってくる――まさかくすぐられて絶頂してしまうだなんて。

しかし2人はそれに引くどころか、ますます興奮していく。少し特殊な行為で絶頂してしまうフランを見ていると、背筋にぞくぞくとしたものを感じて仕方ないのだった。

 

ただ自分の欲望を満たすための行為から始まって、報復のための行為に変わり、それらは段々と、ただフランを気持ちよくさせるためだけの行為になっていく。

「今度はオレも、下触らせろよ……っ♡」
「っ゛あっ♡♡♡♡ うるつ、ぁぁぁああっ!!!? でんどっ、マッサージ器、そこ押し付けっ、強っ、ぃぎっ♡♡♡♡ ぁ゛っ、あっあっぁっぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡」

「それじゃあ私は上ぇ♡」
「っひぅっ♡♡♡♡ るぐっ、だめっ、先っぽ、くすぐっひゃっ!!!? くひっ、ぁっ♡♡♡♡ っ、っーーーー♡♡♡♡」

3人の行為は、ムードだとか、流れだとか、世の男性たちが女性を抱くときに胃を痛めるであろう考えを、一切失ったものだった。ウルツアとルグはただ思い付くままに、望むがままに、フランに快楽をぶつけていく。

胸をつまみ、こねくり回し、口に含み、吸い、甘噛みし。秘所に指で触れ、舌でなめ回し、道具を押し付け。腋の下、脇腹、足の裏、耳、首、背中、腕、腰、太もも、ふくらはぎ――体のあらゆる部位を、思い付く限りに犯していく。

「ぁくっ、ぁ――♡♡♡♡♡ ぁ゛~~~~っ♡♡♡♡♡ ぁっ、あっぁっぁっあっぁ゛ぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁぁああっ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

いつしかフランは、口を利くこともできなくなっていた。ただ感じるがままに体を震えさせ、感じるがままに声を上げるだけ。彼女の心の中は、花の蜜にでも漬け込まれたかのように薄紅色。

フランは何度も絶頂した。しかし、彼女の心を感じ続けたウルツアとルグも、果たして何度絶頂しただろうか。

 

行為はどんどんエスカレートしていく。しかしエスカレートするは、ウルツアとルグの2人で違っていた。

「ふへ、ふへへぇ゛……♡ せんぱぁい、1番使いますけど、壊れないでくださいねぇ゛……♡」

どこまで行っても快楽嗜好者で、サディストのルグ。彼女が使い出したのは、電動のブラシだった。直径10cmほどの円盤の表面がポリエステル樹脂の毛に覆われていて、電源を入れると回転する。それは以前、フランがシアンに使った、この拷問室に置かれた道具の中で最も苛烈な刺激を与えるものだ。

「ふらんぅ……♡ ちゅっ、じゅるる……っ♡ れろっ、んむっ、れろぉ……♡」

ぶっきらぼうな態度の中に愛情を隠すウルツア。彼女はフランの片脚にまたがって、強く密着する。胴体に回した手で乳首をこねくり回しながら、絶え間なくキスをする。

「――むぐっ、む゛ぅぅうーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡ ふぐっ、ぅ゛ぅぅう――♡♡♡♡♡ おねがっ、これっ、むり――♡♡♡♡♡ んむっ、ぅ゛ぅうっ、ぅぅぅぅううううううっ♡♡♡♡♡」

あまりに大きな快感に、これまで全ての感覚を受け入れ続けてきたフランの全身にも、さすがに力がこもる。ウルツアに口をふさがれているせいで禄に言葉を発することができないが、鼻からくぐもった声を漏らして必死に抵抗する。

しかし、どれだけ我慢してもその時から逃れることはできない。ほんの十数秒で彼女の全身は快感に満たされ、溢れ、最後の絶頂が訪れるのだ。

「ぁ、は――ッ♡♡♡♡♡ ひ――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ かはっ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

散々絶頂を続け、心身共にくたくたに疲れ切ってなお、最後の絶頂は他のどの絶頂よりも強烈なものだった。全身が痙攣し、拘束具がけたたましい音を鳴らす。もはや声は出ない、それでも口を大きく開けて、熱い空気の塊を吐き出す。

フランの心が逆流する。こんなにも激しく犯されて、どうして彼女はこんなにも幸せに感じられるのだろう――その心のは、ウルツアとルグにとって何よりの媚薬になった。

「やば、これ、オレも我慢でき――♡♡♡ ッーーーーっ♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
「ふぁぁあっ♡♡♡ すごっ、すごいの来て――♡♡♡ っ~~~~♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡」

フランが潮を吹き出すと同時に、2人も潮を吹き出す。その光景は、もしも第三者が見ていたら異様なものかもしれない。しかしそれだけ、彼女たちは本当に気持ちよく、そして幸せだったのだ。

「かはっ、ぁ――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ひ、ぁ――……♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」

フランの体が、がく、がく、がくと大きく痙攣する。数十秒たっても、まだ収まらない。彼女は絶頂の余韻だけで、新たな絶頂を迎えていた。だんだんと、波が引くように快感が落ち着いていき、ぴくぴくと小刻みに震えるだけになるには、数分かかった。

それでようやく、ウルツアとルグは、彼女にもたれ掛かるのだ。

「ふぅっ、ふぅぅ……♡ これ、やべーな……♡」
「あははっ、癖になりそぉ……♡」

「っ~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ は――……♡♡♡♡♡ ぁ――……♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」

「へっ、間抜けな顔してら」
「せんぱい、だーいすきぃ♡」

ウルツアとルグはもう、声を出すのもやっとだった。となれば、それよりも強い快感を受け続けていたフランは、もう声を出すこともできない。

しかし、ルグに改ざんされた《読心》によって、彼女の心が穏やかなものであることは分かっていた。静かに波打つ湖畔のような心から、少しずつ恥ずかしさがにじみ出てくるまで、2人はフランのことを強く抱き締め続けるのだった。

 

――――
――

 

――――
――

 

――――
――

 

数ある性拷問、陵辱と比べれば決して長くはない、しかし濃密で激しい情事が終わる。フランとウルツア、ルグの3人は、部屋の隅に置かれた小さなベッドの上で、ぎゅうぎゅうに寄り添い合っていた。

「せんぱい、落ち着きましたぁ?」
「……うん、何とかね」

「あはは、楽しかったぁ♡」
「私はしんどかったよ。まったく、ひどい目に遭った」

「でも、気持ちよかったでしょ?」
「…………」

「うふふ♡」

ウルツアは、フランとルグの会話を黙って聞き続ける。今はもう、フランの《能力》は元に戻っている。しかし別の不思議な感覚が、ウルツアの胸の中を満たしていた。

暴力と欺瞞に満ちた、今日を生きられるかも分からない毎日を過ごしてきた。それなのに今、こんなにも穏やかな時間を過ごすことが許されるのだろうか。少し戸惑ってしまうぐらいだ。

「ああそうだ、ルグ。連絡事項」
「ムード台なしですよ、せんぱい~」

「近いうちに、私はに出る。私の手が回らない部分はお願いしたい」
「……そうですかぁ」

「……止めないんだね」
「分かってましたもん。せんぱいは、こんな場所にずっといるような人じゃないって」

「『こんな場所』なんて言わないでよ。君もいる場所だし、私にとっても大切な場所だ」
「分かってます。それでも、せんぱいはもっとに出るべきです」

性拷問師としてずっと裏舞台に引きこもり続けてきたフランが、ようやくに出てくる。ウルツアは、『一緒に仕事することになったら、きっといろいろと小言を言われるんだろうな』と思った。それは憂鬱でもあったし、どこかうれしくもあった。

 

穏やかな時間に、現実がにじみ出てくる。全てが平和な世の中では決してない。

発火パイロキネシス》、《念力テレキネシス》、《とにかく何かすごいやつエターナルフォースブリザード》――フィクションで描かれ、多くの人々が夢見た超能力が簡単に手に入る、混沌の時代。《能力者》同士が街々でぶつかりあい、あまたの血がアスファルトを赤黒く染めていく。

傭兵である彼女たちは、その戦いの最前線にいるのだ。

「変わっていくものですね」
「まあね、ずっと同じってわけにもいかない。良くも悪くも」

「あれも変わっていくかもですね。自販機のラインナップとか」
「業者を変えるって話は聞いてないよ」

「いや、変えていきましょうよ! 自然と変わっていかないのなら、自分の力で変えていくべきですよ、あれは!」
「私はあのままでいいと思うけど。外でグアバ焼き芋ジュースを探すのも苦労するしなぁ」

「せんぱい、まさか味覚死にました? もぉ、どう思う、ウルちゃん!?」

全てが平和な世の中では決してない。

それでも今だけは、この穏やかな時間を楽しむことにしよう――ウルツアはそう思い、くぁっとあくびをしながら応えるのだった。

「……オレは、いちごタバスコが好きだ」
「お、いけるクチだね」

「もうやだこの会社」

 

目次

表紙
 #簡単なご案内など
第1話 読心 -ノンバーバル-
 #クリ責め #電マ #ローションガーゼ
第2話 自声愛撫 -ジメツ-
 #くすぐり #声我慢 #超音波
第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-
 #ささやき #見せつけ #脳イキ
第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-
 #シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作
第5話 はじめての
 #クンニ #寸止め
第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-
 #乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断
最終話 伝心 -ワタシノココロ-
 #キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有
おまけ
 #キャラクターのちょっとした紹介