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(2024/11/01)新しい小説短編集が出ました

連続絶頂オムニバス2411号紹介画像

連続絶頂オムニバス 2411号

770円(税込)

おものべの作品の中から、特に人気の作品をリブートしました。
①どれだけ泣き叫んでも許される快楽風俗店(電マ責め) ②機械による丸呑み快楽責め ③お乳を搾られると思ったらクリトリスを搾られた件 ④不穏な言葉があふれるほどの連続絶頂調教 ⑤えっちな遊園地(7つのえっちシーン)
※続編や加筆・修正といったものではなく、オリジナルの要素を残しつつ視点を変えて一から作り直したものです。オリジナルをご覧になった方でも、そうでない方でも楽しめるかと思います。

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誠にありがとうございます。
ranking2024113

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長編小説

【第4話】異能バトルものの性拷問師たち

⏱このページは29分ぐらいで読めます


目次

表紙
 #簡単なご案内など
第1話 読心 -ノンバーバル-
 #クリ責め #電マ #ローションガーゼ
第2話 自声愛撫 -ジメツ-
 #くすぐり #声我慢 #超音波
第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-
 #ささやき #見せつけ #脳イキ
第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-
 #シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作
第5話 はじめての
 #クンニ #寸止め
第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-
 #乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断
最終話 伝心 -ワタシノココロ-
 #キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有
おまけ
 #キャラクターのちょっとした紹介

 

第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-

#シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作

 

ウルツアが入社してから、3週間がたった。

朝早くに起きて、身支度と洗濯をして、食事をとってから会社に行き、訓練に励む――そんな平和な日常が、いよいよもって変わる時。

「明日が、初めてのだね」
「ああ」

夕方。珍しくウルツアの訓練に長く付き合ったフランがそう言った。

傭兵は戦うために存在する。ウルツアがこの会社に入社したのもそのためだ。いつか必ず来る日であり、わざわざ驚くことはない。むしろ、基礎的な訓練に励む時間が3週間も与えられたと思うと、過保護ですらある。

しかし、不安はあった。

「……オレはまだ、テメェに勝ってねー」
「気にしなくていい。今まで言わなかったけど、私は白兵戦に関してはそれなりに強いほうだから」

「知ってるよ」

フランの言葉は、まるで嫌味に聞こえないぐらい、ただ真実を述べたものだった。それどころか、『それなり』という言葉が、謙遜にすら聞こえる。全くの素人ではないウルツアが、今まで見たことのない強さなのだから。

そんな相手だとしても、ただの一度も白星なしとなれば、自信が揺らいで当然のことだった。握られた手の中が汗ばんでいく。

少しだけ下を向いたウルツアに、フランの声が落とされた。

「ウルツア」
「あ?」

に、君は驚くかもしれない。だけど、何も言わなくていいし、ただじっとしていてほしい」
「んだよ。今集中してんだから、邪魔すんな――」

ウルツアの言葉はそこで止まる。息を詰まらせるように黙り、そして目を見開く。

フランが、ウルツアのことを真正面から優しく抱き締めたからだ。

「な、ななななななななっ!!? 何して、テメェ――!!?」
「じっとしてな」

「じっとしてられっか!! こんな、こと!!?」
「女友達同士のスキンシップと同じように考えればいい」

「テメェはダチじゃねーだろ!!」
「いいから。うるさいよ」

最初は困惑したし、恥ずかしくて顔が燃えてしまいそうだった。ウルツアとて、他人に触れられて顔を赤らめるほど純情ではない。相手がよりにもよってフランだということが問題なのだ。

「っ……」

だけど『じっとしていろ』と言われたからそうしていたら、段々と体が落ち着いてくる。頭をなでられると、心地よくて目を細めてしまう。こんな風に、人と触れ合ったのはいつ以来だろうか。

こわばった心が解れ切ったとき、フランはようやくウルツアを解放した。

「もう、大丈夫そうだね」
「ど、どうしていきなり、あんなことしたんだよ……」

ウルツアが、真っ赤な顔を背けながらフランに問うた。

「君が不安そうだったから」
「声掛けるとか、もっと他にやることあんだろ。ねぇっつってんだよ」

「それに答えたら、君はきっと怒るよ」
「答えなけりゃ、もっと怒るぜ」

正論だ。これだけのらしくないことをしておいて『何でもない』は、それこそない。フランは『仕方ない』と、ため息を付いた。

「君が寂しそうにしていたからだよ」
「いつだよ」

「いつも。特に、私が誰かと話している時」

ウルツアはそれを肯定しなかったが、しかし否定することもなかった。

彼女の様子が大人しいままだったのが予想外だったのか、フランはほんの少しだけ目を大きく開いて、彼女のことをじっと見つめた。いかに心を読むことができても、その人となりを正確に把握できるわけでもなければ、未来を読むこともできない。

「君には、親がいないんだろう」
「社長から聞いたんか」

「いや。でも、この会社に来た経緯を考えれば、嫌でも想像が付く。今の世の中、孤児院……児童養護施設はほとんど機能していないからね」

それは《能力》という存在の弊害。

《能力》を悪用した犯罪、違法な研究の急増。それを抑えんとする、《能力者》による傭兵会社の乱立。《能力者》同士が街々でぶつかりあい、あまたの血がアスファルトを赤黒く染める、最悪のマッチポンプ。当然のように、親を失ってさまよう子どもも多い。ウルツアもその1人だった。

孤児を保護する施設はあっという間に定員に達し、よほど運が良くなければ入れない。守ってくれる存在のいない子どもが生き残る道は、そう多くない。誰かの奴隷になるか、娼婦になるか。あるいは、それらの末路を許さない絶対的な力を得るか。

「親のことは覚えてねー。物心が付いた時には、もう施設にいた。だけど出ていった。……あそこは、居心地がわりぃ」
「本当は、施設に入れない子のためにを譲った」

「……どうして、それを」
「いや、だけ。君を見ていると、何となくそう思った」

「クソが」

ウルツアは『嫌なことを思い出させやがって』と思った。13歳か、14歳ぐらいの時だったか、自分よりもずっと幼い子どもが、施設の前で泣いていたのだ。

がどうなっているか分からないほど、愚かではなかった。勇気の要る決断だった。みんな心配した。だから、強そうな格好をした。だから、強そうな武器を持った。だから、強そうな言葉を使った。そして、強くなった。みんなが『あいつは大丈夫』と思えるように。

「……君は、まぶしいな」
「何だって?」

「いや、何でも。とにかく、君はそれで心をすり減らした。そしてここは、命のやり取りをする危険な傭兵会社で、君はその新米社員だ。いろいろと精神的に参ることもあって当然だ。私は君の家族じゃないし、ただの一先輩に過ぎない。だけど、いや、『だから』と言うべきかな」

そしてフランはまた、ウルツアの頭に手をぽんと置いて言うのだ。

「まあ、君が半人前の間は、心のケアも多少はするよ」
「……うるせーよ。クソお節介」

「……『お節介』、ね」
「あ?」

「いや。みんな、どこかで似るんだなって思ってさ」

相手の厚意をむげにしかねない返答だったから、ウルツアは一瞬『怒らせてしまったか?』と思った。だけどウルツアの予想に反して、フランの表情は少しだけ笑っているように見える。

『こいつ、笑うんだな』――ウルツアは心の中でわざと毒づく。毒づかなければ平静を保てないぐらい、彼女の表情に見とれていたから。眉をひそめ、目を細めるように笑うそれは、儚いフランシウムのよう。

フランが他の誰かと話している時、寂しそうにしている――それは先ほど、ウルツアが否定できなかったことだ。だって、少しだけ、本当に少しだけ、彼女は思ったことがあるから――もしも自分に家族がいたら、もしも自分に姉がいたら、それはフランのようかもしれない、と。

「……フラン、テメェは」

「ほら、これから明日のブリーフィングでしょ。そろそろ時間だよ」
「やべっ、早く言えよ!」

「社会人なら、時間管理ぐらいしてほしいな」

そうしてウルツアは、半ば無理やり訓練場を追い出されることになる。彼女はもう、明日の仕事のことで頭がいっぱいだったから、それ以上のことを考える余裕はなかった。

だけど、部屋から出る間際、フランの独り言が聞こえた気がした。

「……、ね」

 

それから少したって、会社も、世間も、大騒ぎになったのだった。

 

――――
――

 

それはまるで、戦争か何かが起きたような騒ぎだった。

今まで散々小競り合いを続けてきた、政府とニコ社の正面衝突。ニコ社が巧みに隠し続けてきた拠点施設がとうとう見つかり、あまたの警察部隊と傭兵たちがなだれ込んだ。無論、ニコ社も黙ってはいない。彼らは多数抱え込んでいた自社の戦闘要員と、雇い入れた傭兵たちで迎え撃つ。都市のど真ん中で《能力者》同士がぶつかり合い、死者は100人超、数十の施設が巻き込まれる。

しかしそれは、混沌とした時代のちょっとした明滅に過ぎない。周辺に存在する何十社もの傭兵会社を巻き込んだ戦いは、瞬く間に波及し、そしてたった一晩のうちに収束した。

 

裏方の仕事というのは、のようだ。世間を騒がせるような大きな衝撃がやんでなお、鈍く、不快な痛みがまとわり付いてくる。我々は勝利した――そんな事実すら忘れてしまうぐらいだ。

「……どういうこと、Vi」
「何だい。珍しくマジギレじゃないか、フラン」

いつものにて、フランは、頭に包帯を巻いたViに問うた。いつも散々『クソババア』呼ばわりしていたフランが、今日は名前で呼んでいた。

「この仕事、本気?」

フランの視線の先にいるのは、今日の拷問対象である少女。

少女、否、女性か。肩の上で切りそろえた髪。丸顔で、やや垂れ目。身長は150cmあるかどうか。童顔で背は低いが、その割には胸や尻が大きく、女性的な艶は十分。成熟した大人の女性であることがうかがえる。

彼女に対する処置は、今まで拷問してきた誰よりも厳重だった。拘束衣を着せた上で、さらに直立させたまま幾十もの革具で柱状の土台にがんじがらめにされている。拘束衣は胸部や秘部に穴が空いた性拷問専用のものではあるが、それ以外には一切の遊びが許されていない。

「こいつの名前はシアン、ニコ社に雇われていたナット社所属の傭兵。苗字は知らない。そも、シアンという名前が本名なのか偽名なのかも分からない。ただ一つ間違いないのは、実力は文句なしの《特級》。アタシの見立てでは、向こうで一番やつさ」

Viが説明する傍ら、ルグが渡された資料に目を通している。

政府から提供された、《能力者》のデータベースの中身、目の前の拷問対象について。しかし、年齢、出身、経歴――その項目の大部分が空欄であり、しかも政府の者が代理人として申告している。恐らく間に合わせで登録したのだろう。情報としてはまるで役に立ちそうにない。

数少ない情報は、名前がシアンであるということ。そして、彼女の《能力》は。

「《時間停止》……ですか? ザ・ワールドって実在したんですね」

時間を止める――それはフィクションの世界でも『最強』と称されることがままある《能力》だ。その説に議論の余地はあろうが、強力であることには変わりない。時間を止めるとは、一体どういったメカニズムなのか? 世界全てに働きかけるほどの膨大なエネルギーを、一体どこから工面しているのか? 現代科学のあらゆる理屈が通じないそれは、まさに異能と呼ぶにふさわしい。こうして相対すること自体、最大限の注意を払う必要がある。

しかしフランにとってはこの際、彼女の情報なんてどうでもよかった。それよりも。

「私たちにしておいて『聞き出すことは何もない』って、どういうことだ」
「そのままの意味さ。アンタはただ、こいつに拷問してやればいい。期限はない」

「理由を聞いているッ!!」

それは異様な依頼だった。拷問とは本来、口の固い相手から情報を聞き出すためにある。しかし今回、『聞き出すことは何もない』と言うのだ。それなら一体、何のために拷問するというのだろう?

しかし、それはあくまでもフランの認識にすぎない。いや、フランもうすうす感じ取っていることだった。聞き出す情報がなくとも、拷問を行うことはある。その理由とはすなわち――。

さね。アタシらの客は、こいつに随分とカンカンなのさ」

「彼女はただの雇われだ、ニコ社の人間ですらない」
「知るかい。傭兵も、警察も、政府の人間も、こいつに大勢やられた」

「彼女の所属するナット社と言ったら、それなりの大企業だ。傭兵同士、仕事で衝突してもお互いに割り切るのが暗黙のルールだけど、これは逸脱している。敵対する気か」
「逆さ。今、孤立しているのは向こうだ」

「納得できると思うか」
「思わないねぇ」

その会話は、いつもの口論とは随分と違う。

フランの声音には本当に余裕がなく、Viの声音は本当に冷たいもので。

「だけどな、フラン。アタシらのがどれだけデカい相手か、知っているだろう」
「っ」

「それと、アンタだから頼んでるんだ。……? コイツを」
「くそっ!」

心を読むフランと、他人の《能力》を封じ思うがままに改造してしまうルグ――彼女たちは《能力者》を拷問するのに、これ以上ない2人。おまけに、フランは強い。故に、危険な案件が彼女たちに集中することも珍しくなかった。

『頼んだよ』――Viはそう言って踵を返す。彼女が部屋から出る間際、フランが口を開いた。

「……Vi、大丈夫なの」
「あ? 何だい」

「その頭のけが」
「はん! こんなかすり傷で死ぬほどやわじゃないよ」

Viはふんと鼻息を鳴らして、両手に持った二丁の拳銃を指に引っかけて回してみせた。

 

拷問が始まる。

「――相談は終わりかな?」
「……ええ」

全身をがんじがらめにされたシアンは、くあっとあくびしながら言った。それは、これから性拷問を受ける人間の態度ではない。

「ええと、フラン、って呼ばれてたよね? 君、傭兵を初めて何年目?」
「答えると思いますか?」

「うーん。見た感じだと、きっとと同じぐらいだと思うんだよねぇ。年も、経験も」
「だから?」

「その割には、だなぁって」

シアンはけらけらと笑った。秘所を晒したまま全身を動けなくされて、今まさに無限に犯されようとしている女性が、その相手を前にして笑うのだ。

「君は何ていうか本当に、大事に大事にされてきたんだねぇ。気付いてないの? 自分では汚れ役を買って出ているつもりだけど、本当は誰よりも過保護にされている」
「……無駄話をするつもりはありません。始めましょうか」

「できるの? 君みたいながさ」
「やると決めたらやる。それが私たちだ」

「ふーん、そう♪」

シアンはにやにやとした笑みを浮かべ続けるのだった。

 

「ルグ。君は、彼女の《能力》の制御にだけ集中して。拘束されていても、何をしでかすか分からないやつだ。極力、彼女に近づかないこと」
「はい……」

普段は意気揚々と拷問に臨むルグも、相手が《特級》の傭兵ともなると緊張せざるを得ない。

フランが部屋の隅から重々しく取り出したのは、小型のチェーンソーだった。

本物のチェーンソーではない。拷問室などという場所で日曜大工に興じるわけもなければ、拷問対象を切り刻むような猟奇趣味も、意義もない。回転する刃の部分がシリコンで作られており、無数の柔らかな凹凸が相手を性的に犯すのだ。

側で見守るルグはひっそりと、『らしくない』と思った――いつものせんぱいなら、いきなりを選ばない。

シリコンの刃に粘性の高いローションがかけられ、回転を始め、シアンの股間に押し当てられていく。

「んぁんっ♡ ぁっ! ぁぁぁあ~~~~っ♡」

拘束衣がきちりと鳴る。シアンは、身動きが取れないなりに腰を前に突き出して、甘い声を上げ始めた。

回転するシリコンの動きは、けっして速いものではない。刃の凹凸をしっかりと味わわせるように、ゆっくりと舐るように回転している。もしもこれが自転車のタイヤなら、ふらふらとバランスを崩してしまうだろう速度だ。

「ぁ~♡♡ これっ、ちょっとくすぐったいっ♡ でもっ、んっ♡ ぁっ、結構いいかもぉっ♡♡」

フランが一見した限り、シアンという女性の性感は、人並みと言っていい。特別敏感というわけではないが、不感というわけでもない。つまり、性拷問に支障はないということだ。フランの手に掛かれば『死んだほうがマシだ』と思えるぐらいの快感を与えることができる。

……それなのに、この余裕は何だ?

フランは、自分の背筋がじりじりと熱くなっていくのを感じた。機械のハンドルを握る手に、余計な力が入っていることに気付く。意識的に力を緩めながら、ハンドルにあるダイヤルを回した。

「ぁん゛んっ♡♡♡ 動きっ、速くなってぇぇぇえっ♡♡♡ ぁっ、ぁっあっぁっあっ♡♡♡ ぁぁぁぁあ~~~~っ♡♡♡」

確かに効いている、喘いでいる、筋肉も反射による痙攣を続けている。だけどその態度は、まるで性感マッサージでも受けているかのように穏やかだ。フランの《能力》があれば、ただの強がりかどうかが容易に分かる。彼女のそれは、本物だ。

――なぜ? 自分が助かるとでも思っているのだろうか? 救援、あるいは自力で脱出? いや、あり得ない。仮に何かあったところで、ここにはViがいるし、自分もいる。そもそも、策を弄しているような心のをしていない。自分が助かるかどうかなんて関係ない。目の前の女はただ、今の状況を愉しんでいるだけだ。

頭のネジが飛んでいると言っても差し支えない。

「せんぱい。私のほう、少し待ってください。《能力》を捕まえるのに、時間が掛かってます」
「構わない」

フランはルグのほうを振り向くこともなく応えた。

 

「ねーぇー♡」

シアンが猫なで声でフランにささやく。

「もうちょっとのほうもしてよぉ。僕、クリちゃんのほうが感じるんだからさぁ♡」

ふざけている――フランはひっそりと顔をしかめた。拷問を受けている最中、わざわざ相手に自分の弱点を教え、あまつさえおねだりするだろうか。

フランは『それならお望み通りにしてやろう』と、回転するシリコンをクリトリスに押し当てる。拷問対象に拷問をコントロールされているような錯覚を受けたが、首を横に振ってそれを否定した。

「んひぅあ゛っ♡♡♡ ぁ゛っ、すごっ♡♡♡ 皮がむけてっ、一気にぃぃぅぁぁぁぁぁああっ♡♡♡ ひゃぅぁぁぁぁぁああああああああんっ♡♡♡」

包皮がむけて、無防備なクリトリスが下から上に、連続でなめ上げられていく。シアンを包む拘束衣のぎちぎちという音が大きくなっていく。

申告通り、彼女のクリトリスは敏感だった。このまま回転するシリコンを押し当て続けるだけで、何の苦労もなく絶頂に至らしめるだろう。

しかし、そのときだ。

「……あ、あれ?」
「どうした? ルグ」

ルグが何か、戸惑ったような声を上げた。

フランは一度拷問を止める。シアンが『いいところだったのにー』なんて文句を言っているが無視する。そのまま、シアンから目を離すことなく背後の気配を感じ取ると、ルグの疑念、焦燥、緊張……さまざまな感情が感じ取れた。

「……せんぱい。その人の《能力》、『時間を止める』なんかじゃありません」
「……何?」

途端、フランの頬を冷や汗が流れた。

相手の《能力》を測り違えることは、この仕事において致命的だ。今この瞬間に、未知の《能力》によって2人まとめて殺されても不思議ではないのだ。

ルグは緊張したまま、自らの《魔改造》を行使し続ける。目の前では、シアンが『へえ』と関心したように笑っていた。

「これ、たぶん……ただの《肉体強化》です。だけど、とんでもないレベルの。もう、いろんなパラメータが振り切っちゃうぐらいの」
「どういうことだ? 虚偽の登録……いや、そもそも政府のデータ自体、間に合わせで登録されたものだったか」

《肉体強化》とは、あまりにありふれた《能力》だ。以前に見た《感覚強化》と同じように、具体的にどのような部分が強化されるかは各人による。筋力が強くなるのか、無尽蔵のスタミナを得るのか、自然治癒力が強化されるのか。しかしいずれにせよ、《時間停止》とはあまりにもかけ離れた異能であることには違いない。

フランが思考を巡らせ、そして最終的に立てた仮説は、ひどくものだった。

「例えば、彼女が思いっ切り走ったら、?」
「……分からないです。《能力》が強すぎて、全然」

「もういいよ。理解した」

フランは短い問答で大方を察する。つまり、だろう。彼女はただ、動いているだけなのだ。時間が停止したと錯覚してしまうほど、の速さで。

「あはは! 本当にすごいね、この会社。僕の本当の《能力》に気付くのが、2人もいるなんて!」
「……1人目は、あのクソババアか」

『最初に言っておけよ』と、フランは悪態をつきたくなった。

本当の《能力》が判明したということは、決して彼女の底が知れたというわけではない。あまりに突拍子もない仮説が正しいということは、むしろ規格外の戦闘力の裏付けとも取れる。

「まあ残念ながら、僕の《能力》は、そんなにが出ないんだ。速く動くのは得意なんだけどさ。だから、この拘束を引きちぎることもできない」

その言葉は、『逃げ出す気はないから安心しな』と言っているかのようだ。わざわざ自分が不利になることを、平気な顔をして言うだろうか。フランは、目の前の女性がひどくおぞましくて仕方なかった。

 

「ルグ、君は《能力》の解析を続けて」
「は、はい……」

それから、性拷問が再開される。フランは回転するシリコンを、シアンのクリトリスに当てた。……少し過剰なまでに、速く、強く。

「んぎっ♡♡♡ ぁ゛っ、強、ぉ゛ぉぉぉぉおっ♡♡♡ ぁ、あ゛、ぁ゛~~~~~~~~っ♡♡♡」

シアンの喘ぎ声が明確に変わった。今までのように緩んだものではない。喉に、口に、全身に力が入っているのが分かる。シリコンの刃の回転に合わせて、少し大きめのクリトリスがぴこぴこぴこと跳ねている。

大丈夫、全てが順調だ。手落ちは何一つない――フランは心の中で何度もそう唱えながら、シアンのクリトリスにシリコンの刃を当て続けた。

「ぁ、ぁ、あ゛――♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ んぐっ、あ――♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

それでようやく、シアンが一度目の絶頂を迎える。

全身を包み込む拘束具がぎちぎちと鳴り、つま先が伸びる。噴き出た愛液が回転するシリコンに当たって飛び散った。大丈夫だ、この女も人並みに感じる、ならば問題ない――フランは心の中で唱え続ける。

……それなのに、背筋にまとわり付く妙な寒気は、一体何なのだろう?

「はぁっ、は……♡ ははっ、こんなに気持ちいの、初めてぇ……♡」

これだけ激しい絶頂を迎えておきながら、シアンは笑い続ける。けっして強がりではない、その表情は心の底から本物で、まるでこたえる様子がない。

どうするべきか、フランは策を巡らせる。今まで数多くの拷問を行ってきた経験から、ありったけの選択肢を絞り出す。このまま刃のごとき鋭い快感をぶつけ続けるか、甘く蕩けるような快感にシフトするか、羞恥心をあおってみるか、それとも――。

しかし、そんなあまたの選択肢を全て吹き飛ばすような、静かな衝撃が彼女を襲うのだ。

「――ねえ、君。?」
「……何?」

その質問は、シアンの口から落とされたものだった。

「いやあ、この会社はすごいよね! 小さいのに珍しい《能力》を持った人が多いし、それ以前に強い人が多いこと。中でもあのおばあちゃんは別格だね、もう笑うしかない強さだったよ」
「その褒め言葉は、あのクソババアに直接伝えたらどうだ」

「……でもさ、あのおばあちゃん程ではないにせよ、君も《特級》の傭兵だよね? ?」
「私の名前は、国の『要警戒能力者リスト』には入っていない」

「見てれば何となく分かるよ。仮に、政府にまだ目を付けられてなかったとしても、君、強いよね? もしかしたら、僕と同じぐらいには」

シアンのまなざしは透明で、深い。まるで全てを見透かすような、性拷問を受けている人間の浮かべるべきでない表情に、フランの息が止まった。

「君は本来、に出るべき人間のはずだ。それだけの力を持っているのに、どうして女の子を犯すなんてくだらない仕事をしているのかな?」
「仕方なくやっているだけだ。適正に合っているし、稼ぎも良い」

「……そうやって、自分に言い訳するんだ」
「っ……」

笑みを深めるシアン。奥歯をかむフラン。

「ねえ、本当はさ、もっと僕のこと犯したいんじゃないの? ほら、おっぱいに思いっ切り吸い付いてさ、私のアソコと君のアソコをこすり付け合ってさぁ♡ そうしたらいいじゃない?」
「そんなわけ、ないだろ……!」

「だってさー、それぐらいしか理由なくない? 分かる? 君は何だかすっごくつらそうな顔してるけどさ。全部ぜーんぶなんだよ?」
「自分の立場を、理解しているのか……ッ!」

「ふふふ。自分で選んだくせに、被害者面しちゃってさ。君みたいな歪な人間は、そうそういないよ」
「――いい加減にしろッッ!!!」

フランは叫び、シアンの頬を力任せにつかんだ。少し裏返った声は、どこか子どもが駄々をこねる時の声にも似ていた。

「その口、二度と利けなくしてやろうか……ッ!」

それに対して、シアンは笑みを深くする。今のフランにとっては、そのふざけた表情を見るだけでひどくいらいらしてくる。まるで、ひとたび触れるだけで心身を冒していく劇薬のようだった。

 

「ルグ、《能力》の解析は」
「は、はいっ」

ルグは顔を青ざめさせながら、フランの指示に応える。フランが仕事中にここまで激高したところなんて、ルグは見たことがなかった。

「さ、さっきは《肉体強化》って言いましたけど、具体的には、やっぱりことに特化しているみたいです。体を《加速》させるのはもちろん、それに伴って思考の《加速》も……」
「体は分かる。思考、とは?」

「せんぱいは、『タキサイキア現象』って分かりますか。もっと簡単に言えば、です」

フランは、沸き立った頭を無理やり冷まして思考する。

先ほどシアンは、『自分の《能力》はそれほど馬力が出ない』と言っていた。あくまでも速度に特化した《能力》であると考えれば、つじつまは合う。今の処置、彼女をがんじがらめに拘束するというのも、対処法としては実に有効だろう。

そして思い付く――思考の《加速》、ね。

「ルグ、君の《能力》を借りたい」
「はい……」

《魔改造》、それはルグの異能だ。しかし、ルグはそう応えながら、今までの仕事を思い返した――いつも自分が勝手にやってきたけれど、もしかして初めてじゃないか? この人が自分に、を出すなんて。

フランの技巧があまりに卓越しているおかげで、ルグは相手を無力化するだけで十分な仕事をしているのだ。《能力》を性拷問に適した形に改ざんすることは、本来、だ。

 

「なになに? 次はどんな道具で気持ちよくしてくれるのかなぁ♡」
「……すぐに分かる」

フランが新たに取り出したのは、電動のブラシだった。

日曜大工か何かで使う電動ドリルの先端が、ドリルではなくブラシに換えられている。直径10cmほどの円盤の表面がポリエステル樹脂の毛に覆われていて、電源を入れると回転するのだ。それは屋外のインテリアだとかを洗うために使うものであり、本来、人の体に使うものではない。

しかしフランは、この拷問室に置かれた道具の中で最も苛烈な刺激を与えるそれを、何のためらいもなく手に取り、シアンの股間に押し付けたのだ。

「んぎッ♡♡♡♡ ぁ゛、ぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!? これっ、強――ッ♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁああああああああーーーーーーーーッ!!!?」

シアンは悲鳴を上げた。

歯ブラシと同じ素材で作られているポリエステル樹脂の毛は、しかし歯ブラシのそれよりも太く、硬い。下手に使えばただ痛みを及ぼすだろうし、熟達したフランが使っても、その快感はあまりに鋭すぎる。肉体に拒絶反応を引き起こさせるほどだ。

そんな快感が、シアンの秘所を余すことなく削っていく。内股も、会陰部も、膣口も、そしてクリトリスも。無遠慮で強烈なそれは、『陵辱』という言葉がふさわしい。

「っぐっ、ぅ゛ぅぅぅうッ♡♡♡♡ これっ、体っ、おがしぐなりそ――ッ!!!? ぉお゛♡♡♡♡ ぉ゛ぉ、ぉぉぉぉぉぉおおおおおおッ♡♡♡♡」

気持ちいいはずなのに、あまりに心地よさとは無縁な快感のせいでイケない。そもそもこれが、本当に『気持ちいい』なのか疑ってしまうほどだ。シアンの全身を、脂汗が流れていく。

しかしどんなに鋭くとも、それは紛れもなくだ。快感は確実に、体に降り積もっていく。全身が内側から緊張し、呼吸が浅くなっていく。

そして快感が肉体の許容量いっぱいまでたまりきった瞬間、フランは電動ブラシを、シアンの秘所からほんの少しだけ浮かせるのだ。

「ひゃぅぁぁぁぁあああああっ♡♡♡♡ いきなりっ、優し、ヒ――♡♡♡♡ ぁっ、ぁぁぁぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡」

それは相手の心を読み、何十何百もの性拷問を行ってきたフランだからこそできる、絶妙な調整。ブラシの先端が秘所を優しくくすぐることで、体にたまった鋭い快感が全て、絶頂に至らしめる甘い快感に変わるのだ。

「ぁ゛っ、あっぁっあ――ッ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ んぐっ、ぅあ゛――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

シアンを包む拘束衣から、ぎちぎちぎちというけたたましい音が鳴り響く。秘所から噴き出す体液は、もはや愛液なのか、潮なのか、尿なのかも判別できない。

絶頂の瞬間、フランは電動ブラシをシアンの秘所から遠ざけた。

 

あまりに激しく、しかしたかだか1回の絶頂。それにシアンは、今までとは違う反応を見せた。

「は、へ……♡♡♡♡♡ ぇ、へ、ぇ……♡♡♡♡♡ へ……♡♡♡♡♡」

うつむかれた顔から、一滴の涎が垂れる。まるで寝起きのように、ぼうっとした表情を浮かべている。そして首を曲げ、左右を見渡してから、口を開くのだ。

「ぁ、ぇ……? ……?」

それは、あまりにも意図をつかみかねる質問だった。しかしそのを十全に理解しているフランは、少し歪んだ答えを返す。

「どうした? ほんの十数秒程度の絶頂だ」
「へ……? じゅ、す……?」

そしてまた、回転するブラシがシアンの股間に押し当てられた。

「んぐっ、ぉ゛♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉぉぉぉおおおおおおっ♡♡♡♡♡ ぎッ、ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいっ♡♡♡♡♡」

性感というものは、に大きな影響を受ける。痛みと誤認しかねないあまりに強烈な感覚でも、一度絶頂に至ることができたなら、二度目は容易い。

シアンの体が勝手に、鋭い快感を取り込み、染み込ませ、なじませていく。

「っぐっ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ っぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぃぎっ、ぃ゛――♡♡♡♡♡ ぎぃぃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

するとシアンは鋭い快感だけで、絶頂に至る。その反応は先ほどに劣らず大きい。先ほど体液を出したばかりだから、秘所から噴きだす体液の量は今度少なく、代わりに体を一層大きく痙攣させる。

フランはまた、ブラシを遠ざけた。

「ぁ゛、ぇ……♡♡♡♡♡ へっ、へっ、へぇぇ……♡♡♡♡♡」

また、シアンがうなだれる。うつろな表情を浮かべ、よだれを自身の大きな胸に垂らす。

絶頂による余韻と消耗で体が弛緩することは、特段珍しいことではない。しかし、先ほどまで絶頂してなお散々余裕ぶっていたシアンが突然一言も話せなくなるのは、少し異常だ。

そしてまた、端から見れば不可解な問答が行われる。

「これ、あれ? ……」
「拷問が始まってから、まだ30分もたっていない」

「へ、うそ……」

フランはそう答えてから、またシアンの秘所にブラシを押し当てるのだ。

「ぁあ゛――♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁあああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

もはや、絶頂までのタイムラグはなかった。脳が快感を認識した瞬間に、そのまま絶頂する。最初はまだ弱い絶頂から始まるのに、過剰な快感がなだれ込むせいでどんどん強い絶頂となっていき、フランがブラシを離すまでそれが続く。栓が壊れてしまった蛇口のようだ。

三度目の絶頂を迎えてから、シアンはまるで酩酊状態のような滑舌で呟いた。

「そう、か――♡♡♡♡♡ これ、、《――♡♡♡♡♡」

使い慣れた能力故か、あまたの戦闘経験故か、彼女自身の洞察力故か。シアンの理解は早かった。思考の《加速》――フランはそこに着目していた。

死の淵に立つと、思考が速くなる気がするという話がある。ルグが言うには、『タキサイキア現象』と呼ぶらしい。もっと簡単に言うなら走馬灯だ。体験したことのある人間はそう多くはないであろうその現象を、彼女は自在に操ることができる。

しかもその強度は、『速くなる気がする』程度のちゃちなものではない。彼女は、時間が止まったのかと錯覚させるほど速く動ける上に、その速度の中で自身を自在に制御できるほど、思考を速くすることができるのだ。まるで彼女一人だけがに在るかのよう。《能力》を持ち得ない一般人からすれば、どのような感覚なのかぴんと来るものではない。

それでも思い浮かぶはある――もしも絶頂の瞬間、思考を際限なく《加速》させたら?

「ぁがッ、ぁ゛――♡♡♡♡♡ これ、まず――♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛、ぁぁぁぁあ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

ブラシによる激しい絶頂が、またシアンを襲った。

人間の性的絶頂なんて、本来そこまで長いものではない。一般に言えば、短くて10秒程度、長くても1分続くかどうかといったところだ。しかしそんなわずかな時間でも、人間は至上の幸福、あるいは苦痛を味わうことができる。

そんな瞬きほどの時間が、思考の《加速》によって永久にも等しく引き延ばされていく。

《特級》の傭兵であるフラン。本人自身の戦闘力も間違いなく優秀だが、その《能力》も最高峰だった。故に、引き延ばされる時間も長大。ただの絶頂が、今までの何十倍、何百倍も精神を焼いていく。

「ぉ゛ごっ、ぉ゛――♡♡♡♡♡ ぎっ、ぃ゛ぃぃぃい~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡ ぃ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ゛ッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

いつしかシアンは、軽口をたたくことすらできなくなっていた。歯を食い縛り、悲鳴を上げ、体液をまき散らしながら絶頂を繰り返すだけ。

そんな彼女のことを、フランは冷たい表情で見つめていた。

「その《能力》、あなたを壊すには1番都合がいいよ。シアン」

人間が性的快感だけで壊れるには、それなりに時間がかかる。しかし、体感時間を無限に引き延ばされたシアンは、本来考えられないほどの速度で心を壊されていく。

この性拷問は、シアンの反応がなくなるまで……否、なくなった後も行われた。

フランはただひたすらに、シアンに快楽を与え続けた。ただそれだけに没頭した。本来凄腕の戦士である彼女が、周囲の気配を感じ取ることすら忘れてしまうほどに――。

 

――――
――

 

ウルツアは会社の休憩室にいた。

初仕事を終えてそのままずっと、眠ることもなく、誰もいない休憩室で昨晩の仕事のことを思い返していた。

「……完全に、足手まといだったじゃねーか」

何もできなかった。

彼女はけっして、戦闘の素人というわけではない。ただ、もっと強いやつがたくさんいた。目線を向けられるだけで、全身の血という血が凍り付いて身じろぎ一つできなくなるようなやつがいた。

腕と脚には包帯、頬には絆創膏。数か所の打撲と、すり傷と、切り傷。大きな争いがあった割には軽症だ。しかし、それは彼女の実力によるものではない。庇われたのだ。ただ何もできずに自分が死ぬだけなら、まだよかった。自分の無能が仲間の足を引っ張る苦痛を知った。

 

は、こんなオレでも抱き締めてくれんのかな」

どうしてだろうか、普段はあんなにムカつくやつなのに――ウルツアの脚が勝手に、アイツフランを探してさまよい歩いていた。

休憩室を出て、階段を下り、地下1階へ。訓練場の扉を開けるが、そこには誰もいない。ウルツアは彼女のいる場所なんて、休憩室か訓練場しか知らなかった。戻るか――何だか泣き出してしまいそうだ。

だけどその時、ふと廊下にある一つの扉が目に入った。

「……何だこの部屋、倉庫か?」

地下1階にあるのは、訓練場が一つ、各員の装備を置いたロッカールームが男女で一つずつ。それなら、このの扉は何だ?

「階段?」

扉の向こうにあった、狭く、急勾配な階段を、ウルツアは下りていく。そして何十段か下りた先にあったのはまた、しかし分厚い鉄の扉。

心が弱っている時は、普段は気にしないことが嫌でも気になってしまうものだ。故に、彼女がその扉を開いてしまうのは、必然だったのかもしれない。

 

「……え?」

その光景は、まるで世界が変わったかのようだった。少なくとも、同じ会社の中だとは到底思えない。

扉の向こうにあったのは、コンクリートがむき出しになった、10畳~12畳ほどの部屋だった。壁際に陳列されているのは、いかがわしい道具の数々。ウルツアには用途がさっぱり分からないものも多い。しかしそんな圧倒的物量は、ただのでしかない。ウルツアの視線は、ずっと部屋の中央にくぎ付けだった。

「ぉご――♡♡♡♡♡ ぉ゛っ、ぉ゛ぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぉ、ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」

1人の女性が犯されている。

ウルツアは、彼女に見覚えがあった。戦場で出会った、まるで災害のような傭兵だ。その動きはあまりに速く、ウルツアが彼女に刃を向けた時には既に、自分の喉元に刃が添えられていた。そのときの感覚を思い出すと、今でも全身の血を失ったかのように寒気立つ。

「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ぁ、ぉ、ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡ ッ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……♡♡♡♡♡」

そんな、自分よりも圧倒的な力を持った女性が、ただみっともなく体液を吹き散らかしているのだ。もはや何か口を利くこともなく、うつろな表情で、全身を力なく痙攣させるだけ。ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃという水音が耳にまとわり付いてくる。彼女は一体、こんな目に……?

うぶなウルツアとて、性知識が全くないわけではない。これは明らかにであるはず。しかし、彼女の認識からは、あまりにもかけ離れた行為だった。女を甚振って悦ぶ下衆な男がいることも知っている。だけどそれとも違う。あまりに無機質的で、まるで処刑のような、色無き色事。艶よりも先に、恐怖を覚えた。

そして、その恐怖のは――。

「……フラン、何、して……?」
「……ウルツア?」

その恐怖のは、ぎょろりと見開いた目を、こちらに向けているのだ。

 

「どうして、ここに来た」
「ぇ、ぁ」

「ここは立ち入り禁止のはずだ。扉に張り紙はなかったかい」
「ぅ、ぁ、ご、ごめ」

冷たい声。普段の、冷たくも優しい声とは違う。本当に冷たくて、ただ冷たくて、自分が拒絶されているかのような声だった。

「……部屋から出なさい。話なら、後で聞く」

ウルツアは何も言えず、ただ後ずさりする。側に立っていた別の女性が『ごめんね』と言いながら、扉を閉めた。

 

ウルツアはふらふらと階段を上り、扉を閉め、休憩室へと戻っていく。

途中でViとすれ違っても、ウルツアは眉をひそめる彼女に気付かなかった。

「…………なに、あれ……」

休憩所のベンチに座って、一瞬で網膜に焼き付いた光景を何度も思い返す。ビデオの一部分だけを再生するように、何度も何度も。しかし何度思い返しても、そこで何が行われているのかは、さっぱり分からなかった。そして思い返すたびに、フランの冷たい表情がウルツアの全身を震えさせた。

せっかく慣れてきたはずの缶ジュースが、まったく味がしない。かた、かた、かた――震え続ける手の中で揺れる缶の中の液体は、糖分を多く含むせいで粘着質な水音を発していて。それがどこかあの部屋で聞こえた音と似ていて、ウルツアの鼓膜に残り続けるのだった。

 

目次

表紙
 #簡単なご案内など
第1話 読心 -ノンバーバル-
 #クリ責め #電マ #ローションガーゼ
第2話 自声愛撫 -ジメツ-
 #くすぐり #声我慢 #超音波
第3話 非接触絶頂 -ムッツリ-
 #ささやき #見せつけ #脳イキ
第4話 絶頂引延 -トワノマタタキ-
 #シリコンチェーンソー #ブラシ責め #体感時間操作
第5話 はじめての
 #クンニ #寸止め
第6話 感覚遮断 -カイカンノサキオクリ-
 #乳首責め #ニップルドーム #クリ責め #電マ #くすぐり #感覚遮断
最終話 伝心 -ワタシノココロ-
 #キス #胸揉み #電マ #くすぐり #ブラシ責め #感覚共有
おまけ
 #キャラクターのちょっとした紹介

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