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◆あらすじ
『私』が初めて大人のおもちゃを使ったときの記録。クリトリス吸引グッズの威力はすさまじく、お相手の人間が要らなくなるぐらいの快感を生み出しました。『私』はそんなおもちゃをテープでアソコに貼り付けて、ハンズフリーでオナニーを愉しむのです。
◆おまたで愉しむ《てんこもり》
①ベッドと机の間で行われる秘め事
②ご褒美は内股焦らし
③にんげんいらないじゃん
④痛みはなく芯まで響いて
⑤股間集中型擽式性欲粉砕機
これは、私が大人のおもちゃ中毒になるきっかけの話です。
だけど、仕方ないじゃないですか。彼氏なんて作ったことないし、作ったとしても男の人のあれを自分の中に挿れるなんて、恐くて仕方がありません。だからと言って、手でするのはあまりにも物足りない……。
だから、そう。私が大人のおもちゃに手を出すのは必然だったんです。これは断じて言い訳ではありません。
大人のおもちゃを買う時の気分? そりゃもうどきどきですよ。今の世の中、通販を使えば店員に顔を見られることもないですけど、それでも自分が何だかとんでもないことをしているような気がして。決済のボタンを押してから、商品が家に届くまで、ずっとずっと気が気じゃありません。
そして荷物の到着予定日、インターホンが鳴ったときは、それはもうびくんと飛び上がるのです。
「ぁー、ぁぁぁぁー……。か、買っちゃったんだなぁ、私……」
ダンボールの重み(まあ軽いんですけど)を感じていると、実感がひしひしと湧いてきます。
私が買った初めてのおもちゃは、クリトリスを吸うやつでした。このジャンルに固有の名前ってあるんでしょうか? サティス○ァイヤとか、ウー○ナイザーとか、商品の名前はあるけれど、『じゃあこれらは何?』と言われたら『吸うやつ』とか『吸引系』とかしか言えません。
まあ、そんなことはどうでもいいんです。私はもう我慢できません。一目散に部屋に戻って、箱を開封します。何だか手がものすごく急いて、うまく箱を開けられなくてびりびりに破いてしまったけれど、どうせ捨てるからいいです。
付属の電池をはめて、さっそくスイッチオン。おもちゃを持つ指がかすかに振動します。
だけど、いかにむらむらしていたとしても、得体のしれない道具をいきなり敏感なところに当てるほど、私は勇気ある人間ではありませんでした。まずは人差し指を吸うところに宛がってみると、確かに、ほんの少しだけ吸われているような気がします。
吸引力が弱い。だけどこれでいいんです。口コミで散々見ましたから――『指を吸わせてみると弱く感じるが、クリトリスに当てると本当にちょうどいい』って。
安全性チェックよし。これは私が欲したものに相違ありません! もう我慢できない、さっさと始めましょう! 私のその焦るような動きは、まるで尿意を限界まで我慢した後お手洗いに駆け込んだときのようです。
そしてとうとう、待ち望んでいたその時が訪れるのです。
「――んぉ゛んっ♡」
目測を誤らないように、目を血走らせておもちゃとクリトリスを凝視して、ゆっくり、ゆっくりと近付けていたはずなのに。ほんのわずかな吸引力が、クリトリスをちゅぽんと勢いよく呑み込んだのです。
その時、不意を突かれて上げた声は、もう絶対に他人に聞かせるわけにはいきません。誰もいないのに顔を覆い隠したくなるような恥ずかしさは波のように引いていき、段々と気持ちよさが鮮明に浮かび上がってきます。
「って、これ、うそっ♡♡ 浸ってる場合じゃ――♡♡♡ ひぐ――♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!? へ――♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!?」
秒殺でした。本当に1分もたっていないと思います。
何が何だか分からないまま、私はこんなにも小さな金属の塊にイカされてしまったのです。そんなことってある? フィクションじゃあるまいし!
「ぁうんっ♡♡ やば、これ、めちゃくちゃ敏感に……!」
私はおもちゃをベッドに放り投げて、自分の指で恐る恐るクリトリスに触れます。指先でちょっと触れるだけで、アソコとお尻の筋肉をきゅっと締め付けるようなぞくぞく感がやってきます。完全にイッた後の敏感なクリトリスでした。
普段のオナニーなら、これでおしまいだったと思います。私はオナニーで気持ちよくなりました、めでたしめでたし、です。
だけど、せっかく買ったおもちゃが、たった数十秒の出番でおしまい。私も何が何だか分かっていない――それは何だか、すごくもやもやするのです。それこそ、自分の体の状態を無視してしまいたくなるぐらい。
それからの私の行為は、本当に碌でもないものだったと思います。まるで酔っ払いみたいな暴挙。あるいは、私はあの時、快感に酔っていたのかもしれません。
「ふーーっ♡♡ ふーーーーっ♡♡」
自分の机からセロハンテープを取り出して、下腹部から腰をぐるぐる巻き。それにおもちゃを巻き込むのです。セロハンテープはあっという間に使い切ってしまいました。こんなことでセロハンテープを空にしてしまうなんて、母親が見たら泣くか、怒るか、呆れるか。いや、今家族の顔を思い浮かべるのはやめましょう。
「ふーーーー っ♡♡♡ ふーーーーーーーーっ♡♡♡」
こんなの絶対やばいじゃん、こんなの絶対やばいじゃん!! 頭ではそう思うのですけど、体は止まりません。私はまるで何かの儀式でもするかのように、ゆっくりと人差し指を立てて、おもちゃのスイッチを押すのです。
「あれっ、お腹の上だとうまく押せな……っ! っていうか、そもそもボタンが固く――ってへゃぁあっ!!? ぉ゛ぉぉぉぉおおっ♡♡♡♡ んぉ゛ぉぉぉぉおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
何とも締まらない感じで、ハンズフリーオナニーを始めたのでした。
「いやっ、これっ、ほんとっ♡♡♡♡♡ にんげんっいらなっ♡♡♡♡♡ っぐぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「なんかいっ、イッてっ♡♡♡♡♡ これっ、手、使わないのっ、やばっ♡♡♡♡♡ イクの、収まらな――♡♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおっ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「こんなきもちいならっ、ほんとにっ、にんげんいらないじゃんっ♡♡♡♡♡ にんげんいらないじゃんんんんんんんんん♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ぉぉぉぉぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
……今だから言います。一体何なんでしょうね、『にんげんいらないじゃん』って。
あーいいオカズになった♡