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エロ小説

【一話丸ごと公開】触手だらけの箱に詰め込まれて媚薬漬けで連続絶頂しながら輸送される女性の話【拘束快楽オムニバス・サンプル】

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◆あらすじ

『箱入り娘』はお客様を箱に詰めてお運びする、安くて便利な長距離人輸送サービスです。狭い箱内で居心地の悪さを心配する必要はございません。箱の内側に敷き詰められた触手が貴女の気持ちいいところを丹念に愛撫し、たくさん絶頂してアヘアヘしている間に目的地までお運びします!

 

拘束快楽オムニバス

770円(税込)

『快楽責め』×『身動きが取れない』=『もっと気持ちいい』。女の子が性感帯を責められて、だけど体を拘束されているせいで逃げられず何度もイッてしまう――そんな拘束状態における快楽責め連続絶頂特化の短編集です。文字数は12万字ほど。

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旅行や出張、帰省など。長距離の移動にうんざりしたことはありませんか?

電車や飛行機、バスに乗るのは正直面倒です。ずっと座ったままでは全身が凝り固まってしまいますし、周りに人が居たら寛げない人も多いでしょう。

またこのような手段は、サービス提供者にとっても『コスト』という問題が立ちはだかります。人というのは、大量に運ぶには本来の体積以上に、案外大きなスペースを必要とするのです。

その点を鑑みると、ダンボールがいかにであるかが分かります。だってダンボールは積み上げられても、『重い、狭い!』なんて文句を言わないのですから。

人間も皆、ダンボールと同じように輸送できれば良いのに……。

 

そんな発想を受けて、ある輸送会社が究極の人輸送サービスを開発しました。

その名も『箱入り娘』。そう、人を箱に詰めて、ダンボールと同じように輸送してしまうのです。

箱になんて詰め込まれたら息苦しくて仕方ないのでは? ――この方法のすごい所は、そうならないように、長時間箱の中にいても快適に過ごせるということ。

それこそ時間を忘れられるぐらい。むしろ『ずっと箱の中に居れたら良いのに』なんて思ってしまうこと請け合いです!

『箱入り娘・国際航空便』日本→パリ 12時間イキっぱなしの空の旅

稲穂いなほは旅行を趣味としている、若い女性です。

仕事に障らない、肩程度の長さのダークブラウンの髪。顔付き自体は童顔ですが、目元のほくろがほんのりとした色っぽさを醸し出します。

各地の美味しいものを食べるのが好きなせいか、胸やお尻は大きく、しかしよく歩くせいか、お腹に余計な肉はありません。その容姿から旅先でナンパされることもありますが、もちろん全て断ります。一見ふんわりしていて隙のありそうな見た目ですが、考えることはしっかり考える性格でした。

そんないなほは『箱入り娘』の噂を聞いた時、『旅好きなら1度は体験しなくちゃ』と思いました。

今回の行き先はヨーロッパ、フランスのパリ。飛行機で移動するだけでも約12時間の長旅であり、実におあつらえ向き。彼女は早速、旅行の予定に『箱入り娘・国際航空便』の利用を組み込んだのです。

 

待ちに待った旅行当日。いなほは空港のカウンターで諸々の手続きを済ませると、搭乗口の脇にある『箱入り娘』利用者専用の『梱包室』に行きます。

そこで第一の衝撃が彼女を襲いました。

「え……。は、裸ですか……?」
「はい。衣服を着たままですと生地の摩擦で怪我をする恐れがございますため。何卒ご協力ください」

「その、下着も、ですか……?」
「はい。下着も全てお脱ぎいただきます」

梱包室に着いた瞬間、いなほは女性スタッフに、裸になるよう指示されたのです。『箱入り娘』は原則、裸で利用する必要がありました。確かに身動きが取れない環境下、衣擦れなどを考えると全く理解できない処置とは言えませんが、いなほは『そんなこと聞いていなかった』と憤慨します。

しかし今更になって利用をキャンセルする訳にもいきません。旅行シーズンの今、旅客機の席はもう全て埋まっているのですから。それに部屋の外には、待ちの女性たちの列があります。ここで自分がごねて、迷惑をかける訳にはいかない――周囲に合わせようとするその考え方は、実に日本人的です。

結局いなほは、渋々と衣服を脱ぎ始めます。梱包専用の部屋であり、中に居るのは自分と女性のスタッフだけとは言え、日本人にしては恵まれた美しい体が空港の中で晒されるのです。いなほは何だか自分が酷くいけないことをしているような気がして、恥ずかしくなりました。

「っ……」
「ご協力ありがとうございます。それでは、箱にお詰めいたしますね」

脱いだ衣服はスーツケースとは別に梱包され、いなほの目の前にいよいよ『箱』が現れます。

縦、横共に1mほど、高さは50~60cmぐらいでしょうか。スーツケースのようにパカリと中央で2つに割れるように開いており、その中は白くてぶよぶよとした緩衝材のようなものが敷き詰められています。

そんな箱を見ていなほは思いました、『少し狭すぎないか?』と。何せ人が入るのですから、いなほは最低でも横に寝っ転がるような大きさを想像していました。しかしこの箱はシングルベッドを2分の1に切り落としたぐらいの大きさ、脚を伸ばすなんてまず不可能です。

「えっと、これ、どうやって入れ――ぁうぁ!!? い、いきなり何して……っ!?」

一体どうやって入れば――いなほがそう悩んでいる内に、スタッフたちがいなほの体を掴んで、彼女のことを箱に押し詰め始めます。

まず詰め込まれたのは上半身。箱の中で仰向けに寝かせられて、両手は真っ直ぐ下ろして腰の横に。そして次に下半身。箱からはみ出した脚を、M字に開くようにしながら折りたたまれます。まるで股間を曝け出すようなポーズに恥ずかしくなりますが、すぐにふたを閉じられます。

これで梱包はおしまい、いなほは自分の体を持ち上げられるような浮遊感を覚えました。

「あ、あの……!? ちょっとっ!?」

いなほは思わず外のスタッフに何か呼びかけますが、返事はありません。

箱の中は真っ暗で何も見えず、しかも防音・防振性能は完璧でした。中でどれだけ声を出しても外には聞こえず、また外の音も中には聞こえません。運ばれる瞬間に少し揺れを感じましたが、それ以上は些細な振動すら伝わらず、自分が今どこかに移動しているなんてなんて思えないぐらい、静かな空間です。

その癖、箱全体が空気を取り込む特殊な素材でできており、窒息してしまうことはありません。まさに最新のテクノロジーを結集して作られた箱でした。

 

しかしいなほにとって、『箱入り娘』の印象は『最悪』でした。

「っはぁ~~~~……」

箱の中で大きくため息。空港で突然裸に剥かれて、こんな狭い箱の中に無理やり押し込まれる。肝心の箱の中も、体を禄に動かせず、酷く居心地が悪い――どうして良い印象を抱けるでしょうか。

「ぅぅ~……。これ、何でできてるのぉ……?」

それに箱の中を満たすも不快でした。ゴムとも違う、シリコンとも違う質感。確かに腰が痛くなったり肌が擦れたりする様子はありませんが、ぶよぶよしているせいなのか、触れていると不思議と生理的な嫌悪感を催すのです。

これならいつものようにエコノミークラスに乗ったほうがずっと快適だった――そんな後悔と怒りが沸々と湧いてきます。

「よく皆、こんなの使おうって思ったなぁ……」

いなほは苛立ちを抑えながら、梱包室の前にたくさんの女性たちの列があったことを思い出しました。

箱の外では今、いなほと同じように箱に詰め込まれた女性たちが、たくさん積まれているはず。そう思うと、いなほは何だか不思議な感覚がします。ここに自分以外の人間がいるなんて微塵も思わせないぐらい、箱の中は外からの情報が完全に遮断された別世界なのです。

他の女性たちは一体どう過ごしているのだろう――いなほは思いを馳せます。自分と同じように苛立っているのか、それとも激昂して喚き散らしているのか。もしかしたら思いの外寛いでいる酔狂な人間もいるかもしれない。

しかしそんな思いも束の間。箱に詰め込まれてから数十分が経ち、ようやく飛行機が離陸した後、『箱入り娘』の本当のサービスが始まるのです。

 

――――
――

 

「んくっ」

いなほは最初、背中にちょっとしたむず痒さを感じました。

『最悪』という気持ちがまた一層強くなります。こんな狭い箱の中に、虫か何かが混じっているなんて。これから12時間、虫とずっと時間を共にしなければならないと思うと酷く憂鬱でした。

しかしそのむず痒さの正体が虫なんかによるものでないことは、すぐに分かります。

「んぅっ!? ぁ、ぇ……? な、何……、これ、ふ、増えて……!?」

むず痒さが増えてゆくのです。

背中のたった1点で始まった微かなが、段々と広く、そして明確な刺激になってゆきます。温かくて、柔らかくて、ぬるぬるした何かが、背中を撫で回しているような感覚。こんなの、虫であるはずがありません。

「ひっ、何っ、き、気持ち悪いぃぃ……! んぐっ!? あっ、もぉぉ……!?」

ぬるぬるとした刺激は体の前面にも及びます。お腹や折りたたまれた脚を、何かが撫でていました。

いなほは反射的に、そのを振り払おうとしました。しかし手が動かないことに気付きます。が手首や肘に巻き付いて、箱に縫い付けてしまっているのです。

「ぁ゛、ぁ゛……!? 、まさか……! そ、そんな、嘘、でしょ……!?」

暗闇に目が慣れてくると、こんなに狭く暗い箱の中でも朧気に見えてくるものがあります。

触手です。白くて、ぶよぶよしていて、粘液を纏った触手が、彼女の全身を撫でています。

白くてぶよぶよしたもの……いなほにはちょっと前に見覚えがありました。あぁ、緩衝材だ。箱の内側を満たしていた、触れると不思議と生理的な嫌悪感を催す緩衝材のようなもの。

――嫌悪感も当然でしょう。だってその緩衝材こそが、まさしく触手の塊だったのですから。

「そんなっ、うそ、嘘でしょぉぉぉ!!? 何なのこの箱っ!! 何なのぉぉぉ!!?」

触手の存在を明確に認めるや否や、いなほの全身は鳥肌立ち、胃の中のものを吐き出したくなるような不快感に襲われました。

やだ、やめて、助けて、ここから出して――いなほは悲鳴を上げますが、この箱の防音性能は完璧でした。彼女がどれだけ声を出しても外部に聞こえることはなく、暴れる振動すら漏れることはありません。

そもそも、彼女が乗っているのは旅客機ではなく、『箱入り娘』の利用者を運ぶ機です。どうしてただそこに佇むだけのを気にしなければならないでしょうか。

 

そうこうしている内に、触手は愛撫の範囲を広げてゆきます。今までずっと触れずにいた、いなほのふくよかな胸に触れたのです。

「ひぃぃっ!!? うそ、嘘でしょ……!!? やだ……やだぁぁぁぁぁぁぁああっ!!!」

何の変哲もない棒状の触手が胸の付け根に喰い込むと、いなほの悲鳴はさらに大きくなりました。

だけどそれはどこか、触手に与えられる刺激にはそぐわない悲鳴です。

「っ!! 嫌っ、いやぁぁぁああぁぁぁぁぁっ!! やめてっ、んくっ!!? 止めてよぉぉぉぉぉおおおおおっ!!!」

聞き分けのない子供のように、首を横に振って喚き続ける――それは彼女なりの精一杯のでした。

触手の丸まった先端が胸の付け根を抉るように喰い込むと、手で揉まれるような甘い刺激がやってきて、胸の奥をきゅん疼かせます。奥歯の辺りにゾワッとしたものが走って、甲高い声が出てしまいそう。その感覚は明らかに『気持ちいい』でした。

だけどこんな訳の分からない箱に押し込まれて、触手に全身を弄くられて、感じてしまうなんて――見た目に反して意外とプライドの高いいなほにとって、それはあってはならないことだったのです。

しかし新たな触手が乳首に触れた瞬間、その抵抗は呆気なく打ち砕かれます。

「――ひゃぅぁうんっ!!?」

胸の付け根に喰い込んでいた触手は、棒状の、何の変哲もない触手でした。しかし新たに乳首を弄くり始めた触手は違います。

まるで毛糸のように細く、だけど芯はしっかりあって、相変わらずぬるぬるの粘液を纏った触手。そんな触手が何本も乳首に纏わり付いて、至る方向からチロチロ、クチクチ、コリコリと舐ってくるのです。多く、不規則で、しかし優しく、何よりいやらしい――そんなことをされたら、ゾクゾクが止まりません。

「んくっ、やだ、ひぁっ、やだ……!? やだぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」

いなほは必死になって叫びました。触手が気持ち悪いからではありません。気持ち悪いはずの触手で気持ちよくなってしまう、そして更にをどこか望んでしまっている自分がいる――それが怖かったからです。

箱に詰め込まれて輸送されている――本来はそんな状況であったとしても、今行われているこれがエッチなことであるという自覚は十分にありました。なればこそ、を意識しない訳にはいかなかったのです。

 

そして触手は、『いなほに意地悪する』などという意志を持ち合わせてはいません。触手たちが行うのは、極めて素直に、彼女に快楽を送り届けることだけ。

故に触手は、いなほの体のができた頃合いを見計らって、いなほの女性器をほじくり始めたのです。

グチ、グチグチグチチチチチ!

「んぉぐっ!!? んぁ゛ぁぁぁっ!!?」

女性器に触手が挿入されてゆきます。本来のいなほであれば、生理的嫌悪感に泣き叫んでいたかもしれません。

しかしいなほの口から上がった声は、まったく別の声でした。

「ぉぁ、ぉ……!? ぉぉぉぉ……♡♡♡」

明らかな恍惚の声。駄々をこねながら目を背け続けてきた快感が、とうとう無視できなくなる程の気持ちよさになったのです。

それだけ彼女の膣に潜り込んだ触手は絶妙でした。

(何、これ、ちょうどいいぃぃ……)

まずは触手の太さ。彼女の膣の具合に実に合ったサイズです。

突然の挿入であっても痛みを及ぼさない、しかししっかりとした圧迫感を覚える、勃起した男性器よりもほんの僅かに細い程度。触手の集合体は、いなほにちょうど良い触手のサイズを判断して挿入したのです。

(ぷるぷるしてて、こんな感触、はじめて……)

そして質感。触手の表面には一切の凹凸がなくつるつるで、かつ粘液を纏っているおかげで、摩擦というものをまるで感じさせない滑らかさです。胸への愛撫だけでそれなりに濡れてはいたものの、こうもスムーズに挿入できたのはこの質感があってこそです。

「ぁうっ♡♡ ぉ、ぁ、動いてっ、中、動いてるぅぅ……!?」

何よりも動き。触手の体が脈動することで膣壁を圧迫し、さらに先端が蠢いてGスポットとポルチオを順番にペロペロと舐めるように擦り付けてきます。

それは男性器では絶対に味わえない感覚。脳天にまでゾクゾクとしたものが響いてくるようです。

いなほが思わず恍惚としてしまう、深い快感。それを後押しするように、さらに新たな触手がいなほの秘所に貼り付きました。

「ふぁぅっ♡♡♡ ぅあっ!? クリトリスそこ、弱――っ♡♡ あっ、ぁっあっぁぁぁっ♡♡♡」

それは何とも卑猥な触手でした。小さくて平たい、まるで舌のような形をした触手が、敏感なクリトリスをチロチロ、ペロペロと舐め回し始めたのです。

それは女性の性感に極めて忠実な刺激でした。乳首のむず痒さや膣内の圧迫感も相まって、いなほはあっと言う間に上り詰めてしまいます。

「っっつぅぅぅっ♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? だめ、イッちゃ――♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

深い絶頂がいなほを訪れました。

乳房に、乳首に、膣に、クリトリス。いなほは今までこんなにもたくさんの部位で、一度に気持ちよくなったことはありません。しかし思いの外悪くない感覚です。あんなにも全身に力が入っていたのに、今は甘く緩んで、頭もぼうっとします。

「っ、う、はぅ……♡ ぁぁぁ……!?」
(私、何やってんだろ……)

いなほの目尻から涙が流れます。半分はあまりの気持ちよさで、そしてもう半分は、触手にイカされてしまったという恥ずかしさで。

 

触手は変わらず、いなほの全身に快感を与え続けます。

「んぁあっ!!? ぇあっ!? な、何っ、さっきより、気持ちっひぃぃぃ♡♡♡」

動きは先ほどまでとそう変わりません。胸を太い触手で揉み、乳首を細い触手でくすぐり、ちょうど良いサイズの触手で膣内を擦り、舌のような触手でクリトリスを舐ります。

だけど絶頂した後の体は敏感です。先ほどと同じ刺激が、いなほには何倍にも気持ちよくなったような気がします。

「ぃぃぃぃぃ!!? ひぃぃぃいっ♡♡♡ これっ、やめっ、きつっひぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

思わずヒーヒー言ってしまういなほ。全身に力が入ります。

しかし箱の中に閉じ込められたいなほが、快感から逃げ出すことはできず。両手首、両足首に巻き付いた触手が、体勢を変えることすら許しません。どれだけ声を出しても、それを聞いてくれる人すらいないのです。

「んぃぃぃぃい♡♡♡ ひぃぃっ、ひぃぃぃいいい!!? ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!! ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

そうしていなほは2度目の絶頂を迎えます。

1度目と違って、神経が過敏になった今度は、激しさを伴った絶頂になりました。甘い刺激が脊髄に不可解な電気信号を流すのです。もしも触手が彼女の体を包み込んでいなければ、痙攣で体が床から飛び上がっていたことでしょう。

潮がぴゅっぴゅっと噴き出しますが、触手にかかると全て染み込んでなくなってしまいます。不潔な環境で長時間居れば、嫌な気分になってしまうのは当然のこと。故にこの箱の中では、女性から分泌された老廃物は、全て触手がしてしまうのです。

そして彼女が2度イッてなお、触手は彼女の性感帯を苛め続けます。

「な――!!? これっ、いつまで!!? しつこひ――♡♡♡ いつまでするのぉぉぉぉ!!!?」

いくら気持ちいいこととは言っても、2回連続でイカされて、その後も責められるとなれば苦痛を伴います。いなほの表情は、恍惚としたものから、段々と引き攣ったものに変わってゆきました。

「ま、まさ、か――」

いなほの脳裏に、不意に嫌な予感が過りました。

触手に気持ちいいことをされている今ですが、本来の根本的な状況はもっと違っていたはずです。そう、今は飛行機で移動している時間。この箱の中に居るのは、その手段に過ぎません。

いなほの脳が急速に回転を始めます――今は連休。旅行シーズン。旅客機はもう満席。違う、大切なのはそこじゃない。飛行機に乗ったのは日本。空港で裸に剥かれて、恥ずかしくて。いやそれは関係ない。行き先? 行き先はヨーロッパ。そうパリ。パリだ。美術館や寺院に行って、本場のチーズとワインを、あぁだからそこじゃない! 私は今、日本からパリに移動している最中なんだ。時間? 移動時間は確か――!

「12、時間――?」

その数字は、今のいなほにとっては酷くゾッとするものでした。

の話です。12時間、触手に気持ちいい所をずっと責められてイカされ続けたら? 胸を揉まれ、乳首をくすぐられ、膣をほじくられ、クリトリスを舐められ……そんなことを12時間ずっと続けられたら? それは普通であれば身も心もおかしくなってしまうような、本当に本当に、拷問のような所業です。

「――やだっ……、やだ……! やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!?」

いなほの悲鳴は、自分の耳をキンと鳴らす程大きく、しかし箱の外には囁き声程度も漏れ出ることはありませんでした。

 

「なんで、どうしてこんなこと――!!? やだっ、ここから出してぇぇぇええええ!!?」

いなほは、自分の状況があまりに不可解に感じられました――どうして飛行機に乗ろうとしたらこんな目に遭っている? この状況は何かがおかしい。おかしい。おかしい!?

人を箱に詰めて輸送する『箱入り娘』。この画期的なサービスの実現化に際して、1つ大きな問題がありました。実に根本的な話、居心地が悪いということです。箱に詰められて体を動かせなければ当然ストレスが溜まりますし、箱を多少大きくした所で改善の度合いはたかが知れており、輸送コストもその分多くかかります。

そこで採られた方法が、『快楽で居心地の悪さを忘れさせる』というものでした。頭がおかしくなってしまうぐらい何度もイキ続けていれば、箱の中の狭苦しさなんて気になりません。

つまり今いなほが置かれている状況というのは、極めて想定通りの、一切問題のない状況だということです。

 

しかしそんなことを知らないいなほは、今の異常な(と思っている)状況を逃れたいがために、必死に暴れ始めます。

「ぁ゛ぅぁぁああああ!!? んぐっ、ぁ゛ぁぁああ!! だしてっ、出して、だしてぇぇぇぇええええ!!!」

喉が痛むのを気にせず泣き叫び、手足に巻き付いた触手を全力で引っ張り、指で触手を引っ掻きます。いっそのこと触手に噛みついてやろうかと思ったぐらい。防音・防振性能の完璧な箱も、さすがにカタリと微かな振動を及ぼす程です。

しかしその瞬間でした。箱の中を満たす触手たちに、異変が訪れたです。

「んぷぅっ!? な、何っ、な――」

顔に何かの液体がバシャリとかかって、いなほは悲鳴を止めました。

暗い視界と微かな音、それと皮膚の感覚で分かったのは、全身が濡れてゆくこと。『塗られる』『かけられる』なんて生優しいものではなく、『浸かる』程の水分量。箱の中が粘液に満たされてゆきます。

このままでは粘液に溺れてしまう――いなほがそう思った時、触手が彼女の頭を少しだけ持ち上げました。

「はっ、はっ、はーー……っ! 何、これ、何が、起きて……!?」

もしかして暴れたせいで壊れてしまった? ――いなほは荒立った息を整えながら、不安になります。

本当に訳が分からない事態です。粘液は箱の中を満たしてゆく相変わらずぬるぬるしていて、だけど嗅いでみると、今までの粘液と違ってどこか甘い香りがします。

しかしいなほがすんすんと鼻を鳴らしながら脳を空回りさせていると、程なくして、その思考がドロリと溶けるのです。

「ぇぁ――! ぉ……? ぉ、ぉ――♡」
(え、あ、何――? あ、体、熱い――)

いなほは、自分の体に何か強烈な力が働いているのが分かりました。強ばり続けた全身の力がぬるりと抜けて、しかし熱く、何より

体の異常に、本能的に恐怖を感じます。『何が何でも逃げなければ』と感じました。

(何、分からな――? だけど、だめ――。私、おかしく、な――)

しかしどれだけ心の中で抵抗しても、思考が働きません。体を目一杯暴れさせようとしても、全身の筋肉がふやけてしまったようです。

それは一種の『緊急措置』でした。歯医者で笑気ガスを使うように、貨物が箱の中で暴れ出した場合、弛緩剤とで処置するのです。

 

そしてもう既に散々気持ちよくなっていたと言うのに、触手はまだ本気を出していませんでした。触手たちは心身の全てを緩ませたいなほに、当初の予定通りの、激しい愛撫を始めます。

「ぁぅぁ――!!? ぁ――!!? ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」

それは箱に敷き詰められた触手を総動員した全身愛撫。

触手の数はあまりに多く、いなほの首から下を全て覆って責め立ててゆきます。何も見えない所で、媚薬がピチャピチャ、バシャバシャと跳ねる音と、触手がグチュグチュ、ジュルジュルとうねる音が響きます。普通の人であれば恐怖を感じたことでしょう。

「ぉぅぉぉ――♡♡♡ ぁぅ――♡♡♡ ぁ――♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
(体、動かな――? あ、気持ちい――♡ ぜんぶ、気持ちい――♡♡)

しかし媚薬に浸されたいなほにとっては、ただ全身が気持ちいいだけ。むしろその音ですら、耳をくすぐってくるぐらいです。

いなほはもう抵抗できません。弛緩しきった心と体で、全てを受け入れるだけです。

 

媚薬に浸された全身への愛撫は、いなほに未知の快感を与えました。

(ぁ、全身――♡ 全身、押さ、れ――? 押されて、るぅ――♡♡)

背中、腰。二の腕、肩。太股、ふくらはぎ。体の至るところに少しい触手が押し付けられます。表面はぷにぷにしていて柔らかいのに、中に芯でも入っているのか、筋肉をぎゅっと押し込んで来るのです。

それはまるで指圧マッサージのようで、愛撫とは少し違う動き。それでも今のいなほなら、ツボを押されるだけでも喘ぎ声が出てしまいます。

「んぉ゛、ぉ゛ーー♡♡♡ ぉ゛、ぉ゛ぉぉぉぉ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

まるで媚薬によって、体のツボ全てに性感を増す効能が付与されたかのよう。そんな全身のツボに触手の先端が喰い込んで、グニグニと震わせられると、くすぐったいのか、心地いいのか、気持ちいいのか、もう分かりません。

 

そしてツボを押す触手の隙間を縫って、極細の触手が全身の皮膚をくすぐってきます。

「ひ――♡♡♡ ぃひ、ひ――♡♡♡ ひゃぅぃ♡♡♡ ひ~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

髪の毛のように細い触手に全身を撫でられたら、くすぐったく感じるのが普通でしょう。それなのに全身をくすぐられる度に、乳首がむずむずして、膣がきゅうきゅうと収縮してしまいます。

今の彼女は全身性感帯と呼べるほど、ありとあらゆる部位への刺激を性的に受け入れてしまうようです。

「ひひぃひぃ――♡♡♡♡ いひっ、ひ――♡♡♡ ひぅい~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
(腋の、下――♡♡♡ 足の裏、も――♡♡♡ そこ、くすぐったひ、きもちひぃ――♡♡♡)

特に腋の下や足の裏は堪りません。元々敏感な部位であった程、今のいなほにとっては快感でした。それこそ、くすぐられる感覚だけで絶頂してしまう程。

 

全身を襲いかかる新しい刺激には驚かされるばかりですが、その中でもいなほにとってもっとも存在感があったのが、アナルへの刺激でした。

「ぁぐぉ♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぉ゛~~~~~~~~~~~~♡♡♡」
(お尻、いや――♡ 恥ずか、し――? 気持ち――♡ 気持ち、いいいいいい――♡♡)

今まで柔らかくて肌触りの良い触手ばかりだったのに、アナルへの刺激に用いられた触手だけは別でした。人差し指ぐらいの太さで、表面は柔らかく、だけど芯がある。しかし問題は、触手の表面に無数のが掘られているということ。

そんなまるで指サックのような触手が、アナルの入り口をつぷつぷ、つぷつぷとゆっくりピストン運動するのです。

挿入の深さは、人差し指の第一関節にも満たないぐらい。しかもたっぷりの粘液を纏っていて、アナル未経験でも危険のない、実に配慮された愛撫。しかし挿入方向とは垂直の方向に掘られた溝が、アナルの入り口をゾリゾリ、ゾリゾリと激しく刺激し続けます。

「ぉ゛、ぉ゛ぉぉぉぉぉ♡♡♡♡ ひぐっ♡♡♡ ひ――♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
(お尻、ずぼずぼ――♡♡♡ ずぼずぼしちゃ――♡♡♡ ぁぁぁぁぁぁ――♡♡♡)

アナルの入り口をゾリゾリされるのは、いなほにとって酷くゾワゾワする感覚でした。悪寒が全身に広がって嫌が応でも鳥肌立たせるような。

しかしそれがであることは明らか。触手がピストン運動する度に、アソコがひくひくと蠢いて、やがてプシッと愛液を噴き出すのです。

 

既に触手が及んでいた部位にも、今までとは少し違った愛撫が繰り広げられています。

胸には何本もの触手が喰い込み、ぎゅっぎゅっと揉みしだくように動いていました。

「んぁぅ゛、ぁ゛、ぁぁぁ――♡♡♡ ひぐっ、ぃ、ぃ――♡♡♡ ぁんぉ゛ぉぉぉ♡♡♡」
(おっぱい、温か――♡♡♡ ぎゅって――♡♡ ぎゅってへぇぇ――♡♡♡)

全ての触手が同時にいなほの乳房に喰い込む統率された動きは、まるで人の手に揉まれている感覚をもたらします。それは不思議といなほに、愛液が無限に染み出すような快感と一緒に、どこかほっとするような安心感すら感じさせました。

しかしその頂点にある乳首への愛撫は、乳房と違って随分と、純粋に卑猥です。

「ひ――♡♡♡ ひ~~~~~っ♡♡♡ ひひっ、ひ~~~~~~っ♡♡♡」
(乳首――♡♡♡ しこしこ――♡♡♡ しこしこ――♡♡♡ しこしこしこしこぉ――♡♡♡♡)

何本もの毛糸のような触手が勃起した乳首を取り囲み、上下にシコシコとしごくように動くのです。それはとにかく性感を与えるための動き。乳首の根元から先端まで、隈なくクチクチぬるぬると刺激されてゆきます。

あまりに甘い快感に、いなほは何度もイキ、思考をより一層溶かしてゆきます。

 

クリトリスには先ほどまで舌のような触手が纏わり付いていたのに、今はそれが『歯ブラシ』のような触手に変わっていました。平たい面に、たくさんの触手のが生えていて、それがクリトリスをゾリゾリと磨き続けるのです。

「ぉ゛ぉぉぉおおお――♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおおおおっ♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおおおおおおおおおおおお♡♡♡♡♡」
(ぉ゛ぉ――っ♡♡♡♡ ぞりぞり――っ♡♡♡♡ ぉ゛、ぉ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ♡♡♡♡)

優しくペロペロと舐められるのとは次元の違う気持ちよさです。まるでクリトリスに埋まった神経を掘り起こされるような、酷く暴力的な気持ちよさ。すっかり弛緩して動けないはずの腰が、ブラシの前後運動に応じてガクガクと動きます。

そして膣内では、いつの間にか触手が二股に分かれています。片方でGスポットを、もう片方でポルチオを。膣内の二大性感スポットを絶えずペロペログリグリと舐め回し続けるのです。

「ぁぐぉっ♡♡♡♡ ぉ゛ぉぉぉおおおっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
(だめ――♡♡♡ っ――――♡♡♡ これ以上、は――――――――♡♡♡)

まるで思い付く限りの快感の詰め込んだような、滅茶苦茶な快楽責め。

いなほの体はもう、すっかり快感に堕ちきっていました。ただ絶頂する度に理性がポロリ、ポロリと剥がれ落ちてゆくのを感じて、心の隅で恐怖するだけです。

 

しかしそんな恐怖心すらも、『箱入り娘』のサービスはかき消してくれます。膣に挿入された触手が、少しずつ膨らんでゆきます。

「ぉぁ゛っ♡♡♡ ぁ゛ぅぁぁぁああぁっ♡♡♡♡ ぁ、だめ――!!!? ぉ゛ぉっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」

全身に媚薬が回ってなお、ようやく上げることができた拒絶の声。膣に挿入されているものが膨らんでゆき、ぷるぷると震える――それは何だか冷や汗を掻くような出来事です。

最後の抵抗と言わんばかりに、恐怖心がぼうぼうと燃え盛ります。

(わたし――♡♡♡ 触手に、射精され――♡♡♡)

触手が自分の膣内に射精する――それは確かに、普通なら恐怖する出来事かもしれません。

しかしこの触手は、山林や海辺で手当たり次第に女性を襲うような、野生の危険な触手ではありません。『箱入り娘』を提供するために多額の費用をかけて品種改良された触手。妊娠させるようなことはあり得ず、代わりに噴き出すのは、です。

「っっぁ゛ぅぉおおっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~!!! ぁえ――? ぇ――♡♡♡♡ ぇ――?」
(え――? 何、これ――? 射精じゃ、な――?)

粘性の強い液体が、いなほの膣内に注がれてゆきます。

性感帯を粘液にくすぐられて、反射的に腰が跳ねます。その感覚は本当に膣内射精をされたような感覚です。しかしそれまでは異常なし。

触手の先端から噴き出したがいなほの膣から体内に染み込んだ瞬間、いなほはアソコがドロドロに甘く蕩けるような快感に襲われたのです。

「ッッッッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
(ッ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? これ、精子じゃな――♡♡♡♡ びやく、媚薬――!!? 媚薬ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡)

いなほはその快感だけで、自分の膣に注がれているものの正体を悟りました。

それは媚薬。全身を浸しているものと同じ成分、しかしずっと高濃度の媚薬が、彼女の膣内に直接注ぎ込まれたのです。それはもう、ほんの僅かな思考でさえも全て溶かして洗い流す程の快感です。

「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ーーーーっ♡♡♡♡♡ ぉ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
(――――♡♡♡♡ ――――――――♡♡♡♡ ――――――――――――――――♡♡♡♡♡)

いなほの脳から、一時的に『理性』という概念が消失しました。

時間の感覚だとか、言語能力だとか、羞恥心だとか。ありとあらゆる枷が全て溶けてなくなると、後はもう快感を愉しむだけです。

高濃度の媚薬に満たされた膣内は、それはもう最高の快感でした。

「ぁ゛~~~~~~~~~っ♡♡♡♡ ぁ゛っ♡♡♡♡ ぁっあっぁっあっああっ♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ぁ゛ーーーーーーーーっ♡♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」

理性を消し去ったいなほは、本能で『ずっとこのままだったら良いのに』と感じました。旅行だとか移動時間だとかもう全部がどうでも良くなって、ずっとずっと触手に満たされた箱の中に居たいと感じました。

これはあくまでも人を輸送するための手段ですから、『ずっと』なんて叶いっこありません。だけど大丈夫、ほんのひとときであっても、いなほは十分箱の中の天国を満喫できるはずです。

箱の中にいるいなほは知りませんでしたが、飛行機はまだ、飛び立って1時間も経ってないのですから――。

 

――――
――

 

「んぅぅぅぅぅぅぅぅぅむ……」

翌日、ホテルのバスルームにて。いなほは鏡の前で全裸になったまま唸ります。

その原因は昨日の壮絶な体験……『箱入り娘・国際航空便』のことです。

 

あれから、現地に到着したは『開梱室』で開封されました。

12時間もの長時間をずっとイキっぱなしでいた訳ですから、開梱時に意識を保っていられる女性は稀です。ほとんどの利用者は空港にある『箱入り娘』利用者専用の仮眠室に運ばれて、目が覚め次第、荷物を受け取って各種手続きの後、空港を出ることになります。

その中でもいなほはが働いてしまったせいで、他よりも随分と気持ちよくなってしまったようです。開梱された時には、もう完全に意識が飛んでおり、触手によるリラクゼーションがなくても細かな絶頂を続ける程。

結局目が覚めた時には随分と遅い時間になってしまって、慌ててホテルへ直行。その後は、疲れてそのまま眠ってしまったのでした。

『もう2度とあんなサービスを使うものか』――そう思っていたのですが。

「体、軽ぅ……」

長時間飛行機に乗った後は、いつも体が凝って仕方なかったのですが。今は全身の凝りという凝りが全部、ボロボロと体から剥がれ落ちたかのよう。連休中ずっと寝ていても、こんなに体が軽かったことはありません。

これはひとえに『箱入り娘』の効果でした。全身をまさぐっていた触手にはマッサージ効果があったのです。エコノミー症候群を予防するのはもちろんのこと、移動疲れを欠片も残しません。

それに。

「お肌、つやっつや……」

まるでお高いエステに行った直後のような、上質なスベスベ感と化粧ノリ。触手が分泌する粘液には、媚薬や弛緩剤のほかにも美肌成分が多分に含まれています。

これで、費用はエコノミークラスよりもずっと安いのです。

 

いなほは両脚の間を握りこぶしでぎゅっと押さえ付けながら呟きます。

「帰りも、使おっかな……安いし」

そう、これは旅費節約のため。貨物とほとんど変わらない値段で、エコノミークラスに乗るよりもずっと安いし、メリットも多い。移動疲れが残らず、おまけにお肌の調子が良くなるなんて、素晴らしいじゃないか。

……けっして、あの触手が気持ちよかったからではない。

「ん――♡」
(ムラムラが止まらないのだけは難点かなぁ……)

――いなほは心の中でそんな風に言い訳しながら、旅行はまだ始まったばかりにも関わらず、早くも帰国便の算段を立て始めるのでした。