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◆あらすじ
道ばたで偶然見つけた丸呑み体験店に、至って普通な女性である『私』が挑みます。そこは命の危険を感じることなく安心して、巨大な生物に丸呑みされる感覚を楽しめるお店。粘液まみれの肉壁に甘く締め付けられながら、ひだひだやいぼいぼ、触手に全身をくまなく愛撫してもらえるのです。
触手、スライム、巨大娘、魔物娘などなど。
そんな異形の存在に女の子が呑み込まれる姿が見たい、あるいは自分が呑み込まれてみたいという性癖があるらしい。丸呑みにされた者は、どういうわけか性的快感を覚えるのだとか。
私も多少なりともネットを使ってきている人間、いろいろな性癖があることは知っているし、共感はせずとも理解はしたいと思ってきた。
ただそういう性癖は往々にして、自分にはいまいち縁遠い話なのだ。実在するわけでもなし。
「丸呑み体験店でーす! よろしくお願いしまーす」
「……は?」
そんなものが道ばたで客引きしていたら、誰でも面を食らうもので。
――――
――
「来てしまった……」
客引きの店員に案内されて、私みたいな普通の女が丸呑み体験店とやらに行く。
普通の容姿、普通のミドルヘア、普通の体型。そんな私がこんな店に来ていいものかと悩んでしまうけれど、『SNSで呟くネタになるだろう』と思ってしまったのが運の尽きだ。
「何だか、すごい所ですね……」
「ここは運送会社が所有していた廃倉庫を買い取ってリノベーションしたんですよぉ」
私と店員は、金属の階段をカンカンと上がる。私のほうはなんと、裸で胴体にバスタオルを巻いた姿だ。空調がかかっているのか寒くはないが、無骨なコンクリートの壁に、鉄骨がむき出しの天井――こんな場所を裸でうろつくのは変な気分がする。
「うっへぇ……」
階段の上に到着して、私は驚きで腰を抜かしそうになった。
建築現場とかで使われるような金属のプラットフォームが、巨大な空間の端から端まで網目状に構築されている。そしてそのすぐ下を、どろどろの粘液をまとった紫色の肉の塊が埋め尽くしていた。これではまるで肉のプールだ。
よくよく見てみると、肉の所々に切り込みのような口がいくつも開いていて、中には女の人のくぐもった声が聞こえてくる所すらある。まさかこれに入れと……? 底なし沼よりもえげつない。
全貌が見えてくる。つまり倉庫のだだっ広い空間の大半をこの肉の塊が埋め尽くしていて、私はその上の天井近くを歩いているらしい。本当にとんでもない店に来てしまった。
「それでは、お客さまはこのスペースをお使いください」
「は、はいぃ……」
一つの穴の前に通される。足場と穴の距離は30cmほど。たかだか30cm飛び込むだけが、バンジージャンプよりも辛く感じられた。
話をまとめると――この丸呑み体験店、肉の塊に飛び込んで呑み込まれる感触を楽しむという、言葉にしてしまえばただそれだけの店ということだ。
しかしたったそれだけに、案外いろいろなサービスが準備されているらしい。
「あぁそうだ。入る前に、オプションはいかがされますか?」
「オプション……?」
ラミネートされたメニュー表を手渡される。
「粘液にまみれるのがお好きならつゆだくにできますし、感度が倍増する媚薬液との交換も可能です。オーソドックスな膣やアナルへの触手挿入ももちろん可能ですし、それらでは物足りなくなった方のために全身くすぐり地獄、なんていうのも……」
「普通!! 一番普通のやつで!!」
「かしこまりましたー」
おい、ちょっと残念そうな顔するな。
「それでは早速どうぞ! 頭からいかれますか? 足からいかれますか?」
「……足からで」
その質問がイカれてるよ。
さて、店員が後ろから見守っているせいで逃げることができない。私は諦めて、この謎の肉の塊に呑み込まれることにする。
熱湯風呂に入るときよりも100倍慎重に、プラットフォームの手すりにしがみ付き、右足の爪先を肉の切れ込みにちょんと付けるのだ。
ぶより。ひええ。
爪先が肉の塊に触れると、口が小さくぱくぱくと蠢き始める。私の足を食べようとする動きが、見ていておぞましい。ぬるぬるの粘液の感触も鳥肌ものだ。
あまり見ているど、どんどん抵抗感が増してきそうだ。私は目を背けながら、足首から先を突っ込むことにする。
「ぅぉ、こいつ、意外と吸い付いてきて、ぉぉ、ぉぉぉ、ぉ……!?」
どんどん右足が呑み込まれていって、まだプラットフォームの上にある左足がどんどん持ち上がり、股間が割けそうになったところで観念して両足で着地する。
すると体重がかかったせいか、呑み込む速度が加速する。私が手すりにしがみついても、どんどん体が沈み込んでいくのだ。
私は膝のちょっと上ぐらいまで呑み込まれたところで後悔した――あぁ、やっぱりこんな店に来るんじゃなかった。
「ひぃ……、これやっぱり気持ち悪……! あ、やめ、ちょっと、たんま、止ま、れぇぇぇぇ……!!」
膝、太もも、腰――体がどんどん肉の塊に呑み込まれていく。当たり前のようにものすごく怖くて、手すりに届かなくなっても今度はプラットフォームの床につかまって体を支えようとする。だけど体はずぶずぶと沈んでいき、それでも私は往生際悪くプラットフォームをつかんで放さない。
結果、私は両腕を上に掲げたままという、間抜けな姿勢で呑み込まれることになってしまう。
「お、万歳状態で入りますか。通ですねー」
店員が言う。通って何だよ。
だけどそろそろツッコんでもいられない。腰、胸、肩と呑み込まれていくと、私の恐怖はピークに達する。これ、顔まで呑み込まれたら結構シャレにならないんじゃ。
「あぁ、中でもちゃんと呼吸できますのでご安心くださいー!」
「そんなばかな……!? な、なんでっ、どうして……!?」
「最新のテクノロジーですー!」
「そんなご都合主義があるかーーーー!!?」
その言葉を最後に、私の顔はちゅるんと肉の塊に呑み込まれてしまうのだった。
「んぶ――!!? ぶはぁ!?」
肉の中。肉自体がうっすらと発光でもしているのか完全な暗闇ではなく、紫色だけがぼんやりと見える。
私は数秒息を止めた後、観念して肺を大きく膨らませる。どうやら本当に呼吸ができるらしく、時折顔に掛かる粘液に気を付ければ窒息することはなさそうだ。生物特有の生臭さとかもなく、むしろシロップのようなほのかに甘い匂いが漂う。ご都合主義万歳。
それにしても足から入って良かった。こんなの頭から入ったら、絶対に血が上る。だけど最後まで抵抗していたせいで、両腕は万歳状態。この中で腕を下ろせそうにはない。
私は今、地面に対して垂直に穴の中を下っているらしい。そしてその間、ぶよぶよした肉壁が私の全身をぎちゅっと締め付けてくるのだ。
「んぐぉ」
上から下まで波打つように締め付けられ、それが一定のリズムでやってくる。人の喉も、何かを飲み込むときにこんな動きをしているのだろうか。
触手、スライム、巨大娘、魔物娘などなど。もしも本当にそんな存在に呑み込まれてしまったら、きっとパニックに陥っていることだろう。
だけどここはそういうお店で、(若干の後悔はあるものの)この肉の塊には自分の意思で入った。だから慌てることなく、落ち着いて感覚を研ぎ澄ますことができる。
ぎちゅっ、ぎちゅっ。
「ぉ、ぉー……♡」
リズミカルに体を締め付けられる。体が痛くなるような強さではなく、むしろぎゅっと抱き締められるような甘い力加減が意外と心地いい。人肌ぐらいの温度もほっとする。
それにぶよぶよとした質感は最初こそ気持ち悪かったけれど、慣れてしまえばどうってことはない。むしろ粘液をまとっているせいでぷるぷるしていて、自分で触りたくなってしまうような感触にすらなっている。あぁそうか、これは自分の唇の裏の感触に似ているな。
自分の体がずり、ずりとゆっくり落ちるに従って、そんなぷるぷるの内壁に全身が摩擦される。特に無防備な乳首がつるつると滑っていくのが気持ちよかった。
「やば、乳首勃ってきた……」
当初の恐怖心に反して、私の心は驚くほど穏やかだった。まるで温泉に入っているような、あるいはマッサージを受けているような。
だけど丸呑みというのは、そんなに甘くはないらしい。
「ぅぁっ」
最初に違和感を覚えたのは爪先。下っていく穴の下の感触が、急に変化したのだ。
「何これ……? あ、壁に、何か生えて……?」
私が足首を動かして指先を肉に擦り付けると、肉壁にたくさんのひだが生えていることに気付いた。足を動かすたびに、ひだが縦、横、斜めといろいろな方向にめくれる。大きさも数センチから数十センチとまちまちらしい。
「んひんっ♡ ぁ、ぺろぺろなめられ――!?」
私の体が沈む拍子に、ひだがめくれて皮膚の薄い膝裏をぺろんとなめた。
……これ、結構やばいかも。
「んぁっ♡ ちょ、ま――!? んひぅっ♡♡ やめっ、そこ、弱――! ぁひっ!? ぁ、ぁ、ぁぁぁぁぁぁあっ♡♡♡」
ぺろん、ぺろん、ぺろぺろぺろん。
太もも、腰、背中――まるで呑み込まれた先から無数の舌になめ回されているみたい。ひだがぺろんときれいにめくれずとも、その凹凸にちゅるちゅるこすられるだけでも大した刺激だ。
そしてぺろぺろという刺激は胸に到達する。
「ふぉぉおっ♡♡♡ やばっこれっやばっ!!? なめられ、大勢になめられてるみたひぃぃぃいっ♡♡♡」
胸がくまなくなめ回される。声が我慢できなくなるほど気持ちいい。
なめる場所、角度、大きさ、速さ、何から何まで不規則なせいで不意を突かれる。突然乳首をぺろんとされると嫌が応でも喘ぎ声が出てしまうし、乳首に神経を集中して待ち構えようと思うと、別の場所をぺろぺろされて気を逸らされる。
「もっ、全身ぺろぺろだぅぁぁぁあっ♡♡♡ これっ、やばひっ、シャレになんないでしょぉぉぉおおおっ♡♡♡」
私はどうしようもなくて、ただ太ももをぎゅっと締め付けながらひーひー言い続ける。ひだという形状の都合上、そこだけは守ることができたのだ。
だけど体がずるずると下がるにつれて、私の体は『ひだゾーン』を通り過ぎる。
……喜ぶことはできない。どうやらまた新たな感覚が、私の体を襲うらしい。
「ふひゃぁ――っ!?」
足の裏の感覚で捉えたその感覚は、いぼだった。
肉の壁が、小指の先ぐらいの大きさのいぼで埋め尽くされている。今こそおぼろげにしか見えないけれど、もしも明るい所で見たら集合体恐怖症の人が悲鳴を上げていたかもしれない――実際に見えずともそんな光景が容易に想像できる感触だ。
あ、これはまずい――足の裏の感覚だけで瞬間的に悟ったけれど、体はずりずりと呑み込まれていく。
「ふぁ、ひっ、ぃぃぃぃぃい!!? やはっ♡♡♡ これっ、くすぐったいっ!!? くすぐったいぃぃっひひひひひひひぃぃぃぃぃぃっ♡♡♡」
私は笑い声にも似た悲鳴を上げた。
粘液でぬるぬるになった無数のいぼが、爪先から足の裏、ふくらはぎ、太ももをぞりぞりぞりとなでていくのだ。こんなのくすぐったくないわけがないじゃないか。
「ふあっはははははぁぁぁぁんっ♡♡♡ 下半身全部っ、くしゅぐったはっ!!? これっ、上半身もっ!!? 上半身もやるのぉぉぉおおおっ!!?」
下半身がすっぽりいぼの集合体に包まれて、次に上半身も犯されていく。
腰、背中、腹……その中でも胸はやっぱり強烈だ。
「ふぉぉぉっほほほほぉぉぉっ♡♡♡ これっ、しゅげっ!!? 胸の付け根もっ、乳首もっ、きひっ、効いてぅぇぇぇぇぇぇええっ♡♡♡」
胸の膨らみを、乳首ごとまとめてぞりぞりぞり。もうくすぐったいのか気持ちいいのかも分からない。
だけどもっと強烈な場所があった。腋の下だ。
「だめっ、そこだめだめだめぇぇぇぅあひゃっはっははははははははひぃぃぃぃっ!!? 腋っ、腕――!!? くしゅぐったはっ、下ろさせっ、おろさせへぇぅぇぇぇぇぇぇぇえ!!?」
両腕を上げた体勢のせいで、いぼいぼが腋の下をもくまなくこすってくる。それがめちゃくちゃにくすぐったい。
当初の無駄な抵抗は、想像以上に今の私を後悔させていた。
「はやく、はやくひゃっはっはっははははははひっ!!? つぎ、次に行っへ――!!? くしゅぐっひゃっ!!? くしゅぐっひゃくて変にぃっひひひひひひゃぅぁあんっ♡♡♡ ひゃ~~~~~~~~っ♡♡♡」
速く下りて、速く下りて!! ――私は体を必死によじらせる。穴を掘り進むドリルにでもなった気分だ。
だけど私の体が速くずり落ちればずり落ちるほど、無数のいぼによる全身くすぐり責めは加速するのだ。
「ひーーっ♡♡♡ きひひーーーーっ♡♡♡ もっ、体が分かんにゃっ♡♡♡ なんかっ、すげっ、全身、気持ちひぃぃ~~~~っ♡♡♡」
もうどうすればいいのか分からない。私はパニック状態で、全身をびくびくと痙攣させるだけだ。
だけどそんな地獄も終わりを迎える。
「ふぁっ、ぁっ!! 終わ――!? つぎ、次だぁぁあっ!!?」
私の爪先はそれをいち早く察知した。
そしてくすぐったいのを承知で体をよじらせる。このくすぐったいのか気持ちいいのかよく分からない感覚から抜け出せるのなら、もう何でもいいと思った。
『いぼゾーン』の次は一体何ゾーンか? ――それを考える余裕はなかったのだ。
「ひ――」
私の動きがびたりと止まる。そして足の甲と足の裏に神経が集中する。
……触手。
……触手だ。ひだとか、いぼとか、そんなちゃちな形状の話ではない。にょろんと長い触手が、内壁を埋め尽くす。その数のおびただしさたるや、イソギンチャクのほうが100倍かわいい。
あ、足の指で触手挟んじゃった。あ、うねうね動いてる。あ、この触手、表面にひだもいぼもある。
次のゾーンは、これまでのゾーンをごった煮して魔改造したような場所だった。
「いや、ちょ、え、ちょ。たんま、たんまたんまたんまちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!?」
私は悲鳴を上げた。死ぬ、こんなの全身に包まれたら気持ちよさで死ぬ。
私は必死にもがく。これなら今のくすぐった気持ちいいいぼいぼのほうがまだマシだ! いっそのこと穴を這い上って口から逆流してやろうかと思った。
「ひぎ――!? ぁ゛――! 体、落ち、落ち、ぃ゛ぃぃぃいいいい――!!?」
だけどそれは無理な話。ぬるぬるの粘液が摩擦を奪い取り、上から下へと波のようにやってくる肉の締め付けが、私の体を押し下げる。むしろ私が暴れれば暴れるほど、落下が速くなるぐらいだ。
足の裏、ふくらはぎ、膝、太もも。下半身が触手に呑み込まれていく。
「ひーーーっ!! ひひひっ、ひーーーー!!?」
もう自分の体の感覚がよく分からなくて、私はただ悲鳴を上げる。
脚全体で触手を感じてみると、どうやら大きさはまちまちらしい。太いのは腕ぐらいあって、細いのはつまようじぐらいか。太い触手は筋肉をもみほぐすようにぐにゅんと動き、細い触手はちろちろといやらしく動く。
そしてとうとう、太ももの上が触手に呑み込まれたのだ。
「――ふぉぉぉぉぉぉおおおおおっ♡♡♡♡ ぉ――!!?」
今までのように、肉の壁にちょっとしたひだやいぼが生えているのではなく、にょろんと長い触手が生えているゾーン。
それはどういうことか? ずっと太ももを締め付けて守り続けていた、アソコに届くのだ。
「ぁ――♡♡♡ やめっ、アソコっ、舐め――!!? ひゃぅぁっ、ぁ゛、ぁ、あ、ああああっ♡♡♡♡」
私は太ももを締め続ける。だけど背後から忍び寄った触手が、お尻の下を通ってアソコをちろちろと舐めてくるのだ。どうやら人間の太ももというのは、どんなに力を込めても裏側は案外無防備らしい。
「ふぉっ♡♡♡ ぉっ♡♡♡ ぁっ、前、やめっ、今、緩んで――!? そこ、来にゃぁぅぁぁぁぁあああああああああっ♡♡♡♡」
あまりに気持ちよくて、太ももの力が緩んでくる。すると今度は前からも触手が潜り込んでくる。
いぼいぼひだひだの触手が、私のクリトリスをぐちゅぐちゅぐちゅとなでた。
「ぁ゛あーーーーーーっ♡♡♡♡ しょこっ、ほんとに――♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!! ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
今まで散々全身をなめられ、くすぐられ続けていたせいで、私の性感は極限まで高まっていた。結果、私はクリトリスをこすられた瞬間にあっけなくイッてしまう。
そして私が絶頂しようが何しようが、触手の動きは止まらない。
「ひぎっひっ♡♡♡♡ ちょ、たんまっ、すとっぴゅっ♡♡♡♡ これっ、続けたら――!!!? しぬっ、しぬっ、しぬぅぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡♡♡」
私は悲鳴を上げるけれど、触手が止まることは当然ない。これは人間同士の愛の語らいではなく、ただの捕食。呑み込まれているだけの私に配慮なんてないだろう。
「ぁぁぁぁあっ、ぁ゛ぁぁぁああ!!!? まさか、これ、ずっと、ずっとぉぉぉ――!!!? ぉぉぉぉぉお、ぉ゛ぉぉぉぉぉぉおおおっ♡♡♡♡」
一度イッたことで、全身が敏感になる。ぎちゅりと体を締め付けられるだけで身も心も発情し、その発情した体を触手がくまなく舐る。
私は瞬間的に理解した――きっとこの触手が最後のゾーン。そして丸呑み体験店の神髄は、これからなんだろう。
「ひーーっ、ひーーーーっ♡♡♡♡ ぁぐおっ、ぉっ、ぉぉおおおおっ♡♡♡♡ 体、ぜんぶ触手にうまってへ――!!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡」
私はひたすら喘ぎ声を上げ、愛液を垂らし、イキ続ける。
いつの間にか『いぼゾーン』はとうに通り過ぎて、全身が触手に包まれていた。
「ひぅぉおおぉぉぉぉっ♡♡♡♡ しゅげっ♡♡♡ ぜんぶっ、全部きもちひっ♡♡♡♡ あそこもっ♡♡♡ おっぱいもっ♡♡♡ くしゅぐったいところもぉぉぉおおおっ♡♡♡」
アソコの気持ちよさもさることながら、乳首もろとも胸を舐め尽くされ、腋の下、脇腹、足の裏などのくすぐったい場所もくまなく犯される。
肉壁の締め付けも健在。全身の感覚はもうめちゃくちゃだ。
「わたしっ、こんなので感じ――♡♡♡♡ だってっ、触手っ、めちゃくちゃなのにっ♡♡♡♡ 乱暴にゃのにぃぃぃぃいいいいっ♡♡♡♡」
触手の動きは、とても洗練されたものとは思えなかった。
内蔵に目が付いているわけでもなく、触覚が優れているわけでもない。肉壁を通る食物をただがむしゃらに舐め回し、揉みほぐすだけ。
架空の捕食者の生態というものを真面目に考察するなら、ひだやいぼ、触手は食った獲物に性的快感を与えることで弛緩させ、肉を柔らかくして消化しやすくするために存在するのだろうか。被捕食者の私としては、そんな愛情のない動きで感じさせられるなんて冗談じゃあない。
それでも全身がくまなく触手に覆われてしまったら、嫌が応でも気持ちよくさせられてしまう。
「んぉ゛ぉぉぉうっ♡♡♡♡ くりとりしゅっ、えぐられて――!!!? ぇぉひゃわわわっ!!!? なめられっ、今度はなめられてぇぇぇぅぁぁぁぁあああっ♡♡♡♡♡ っひゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
太い触手、細い触手が入り交じってアソコを舐めてくる。
時には太い触手がずりゅんとクリトリスをえぐり、時には細い触手がちろちろとクリトリスをなめる。でたらめな動きだからこそ、予想が付かなくて耐えられない。それが胸、背中、首筋、腋の下、足の裏――全身で絶え間なく行われるのだ。
「へっ♡♡♡♡ ぁへへっ♡♡♡♡ へぇぇぇ~~~~~~~~~♡♡♡♡ ぁ゛ーーーっ♡♡♡♡ ぁ゛ぁぁぁぁああーーーーーーっ♡♡♡♡♡ ぁぁぁぁ、ぁ゛ぁぁぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
普通のセックスでは絶対にあり得ない快感に、私は人前では絶対にしてはいけない表情をしていた。だけど周りにあるのは肉壁だけだから、私はみっともない姿を遠慮なくさらしながら、快感を思いっ切り愉しむことができる。
顔は涙とよだれで汚れ、体は汗まみれ、アソコでは愛液やら潮やらがぴゅっぴゅと噴き出し続ける。きっとこんなみっともない体液ですら、捕食者というのは一滴残らず栄養にしてしまうのだろう。
私の体はずりずりと下に沈み続ける。終わりは一向に見えてこない。
だけど私はいつの間にか、『いつになったら終わるの!?』なんて思うことすらなくなっていた。
「ぁぅぁ゛~~~~~~~~♡♡♡♡ 丸呑みっ、すげへっ♡♡♡ この中で、このなかで生活したひぃ~~~~~~~♡♡♡♡ ぃひゃっ!!!? ぁぉ゛、おっ、おぉっ、おぉぉぉぉおっ――!!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
もう嫌なことを全部忘れて、ただ快楽によがり狂うだけ。
一種の悟り――捕食というのは、そういうものなのかもしれない。食われたものが後のことを心配する必要などない。何も考えず、ただ捕食者の思惑通り、体力を使い果たし、快楽に筋肉をふやかせて、全身の肉を柔らかくさせていればいいのだ。
――――
――
だけどこれはあくまでも丸呑み体験店であり、本当に消化されることはない。
上から入ったら、下に出る。倉庫の巨大な空間を埋め尽くしていた肉の下には立って歩ける程度の空間があって、無数の出口が口を開けていた。
まず爪先が出口からちょろっと出る。足首から足の裏、指まで至る筋肉が面白いぐらいびくびくと痙攣していて、外から見ても、まだ触手に全身をなぶられ続けていることが分かるだろう。
ふくらはぎ、膝、太もも――ずり、ずり、ずりとゆっくり体が出ていき、そして腰まで出たところで、重力によってずりずりずりっと加速。私の体は2mほど落下した。
「んぐえ――♡」
足元の分厚いマットが、私の体を受け止めた。
「ひひぇ……っ♡♡ ひ……♡ ひーーーー……♡♡♡」
私はマットの上に横たわったままひーひー言い続ける。
視界が急に眩しくなったせいで、強制的に終わりを認識させられる。だけど全身に甘い感覚が走り続けていて、立ち上がることができなかった。脳が認識しても体が付いていかない。
ぼんやりした景色に、同じような状態になっている裸の女性がちらほらと見えたのだった。
その後ようやく体が落ち着いてくると、まだ全身がぞわぞわするのを我慢して、備え付けのシャワー室に行く。
粘液が髪までべっとりと染み込んでいて、落とすのがちょっと面倒くさい。だけどこの粘液があの快感を生んでいると思うと、落とす手間を承知でなお、つゆだくにしてもらうのも悪くない。
それだけじゃあない。あれを媚薬に換えたらそれはもう気持ちいいに決まっているだろう。挿入もいいな。あんなひだひだでいぼいぼな触手をアソコに挿れたら、どんなに気持ちいいだろうか。未経験のお尻だって欲しくなってしまうかもしれない。だけどもう既に十分強烈だったのに、さらに全身くすぐり地獄? 一体どれだけくすぐったくするっていうんだ。だけどあの感覚がもっと強くなると想像すると……ごくり。
――シャワーを浴びながらそんな妄想をしてしまったせいで、私の体は早くも次の体験を望んでしまっていたのだった。