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◆あらすじ
冒険者の少女姉妹が、沼地に群生する薬草に足を冒されてしまいました。足を踏みしめるだけで感じてしまう姿に思わず欲情してしまう『僕』。3人は足コキ、電気あんま、足の裏くすぐり、足舐めなど、足を使ったさまざまなプレイで欲求を解消してゆきます。
僕は彼女たち2人を引き連れて、とある沼地を歩く。
「……ちょっと、本当にこんな所に薬草なんてあるの? 枯れた草木と岩しかない沼地じゃない」
「らしいよ、文句は依頼人に言って。アルア」
「沼、深いね。靴の中、もうドロドロ……」
「ごめんね、エル。もう少しの辛抱だから」
「ちょっとアンタ! どうして妹にはそんな優しいのよ……!」
「そんなことないって」
「お、お姉ちゃん。喧嘩、しないで……っ」
沼地の真ん中でギャーギャーとそんな会話をしていた時のことだった。
「っ、ぅ……!」
「ぅぁ……!?」
彼女たちが突然うずくまる。
「ど、どうしたの、2人とも!?」
「何だか、気分が……!?」
「あ、足が、むずむず、して……」
「2人共、すぐに沼を出て。……幸い、目当ての物はすぐそこみたいだ」
苦悶の声を上げ続ける彼女たち。しかし視界の向こうにある褐色の草。僕は早々に仕事を済ませて、すぐさまその場を撤退した。
それが昼間の顛末だ。
――――
――
夜。僕らが拠点にしている王都の宿――調度品はなく狭いが隙間風のない、僕が住まう一室にて。
「……えーと、申し上げにくいんだけどね」
僕は具合を悪そうにしている彼女たちに、調べた情報を報告する。
「僕たちが採取依頼を受けた沼地の薬草、覚えてるかな」
「当たり前でしょ……。あんな何もない沼なのに、深いところに入った瞬間えっらい群生してたわね……」
「あれね、媚薬らしいんだ」
「び――!?」
ベッドの縁に腰掛けたままボッと燃えるように顔を赤くするアルア。
明るめの赤色の長い髪、勝ち気そうな顔立ちの少女。とは言え年は僕とほとんど変わらず、僕よりもいくらか背が低い。彼女は魔術師だ。
真っ赤な顔のまま硬直したアルアの代わりに、隣に座っていた少女が口を開く。
「それじゃ、その、私たちの調子が、変になったのって……」
「うん、どうやら薬草の成分が沼地の水に溶け出していたらしい。ごめんね、エル」
頬を赤らめて俯いたまま、途切れ途切れの口調で恥ずかしそうに言うのはエル。
暗めの赤色の短い髪、弱気そうな顔立ちの少女。僕やアルアよりも一回り年下で、背ももう少しだけ低い。彼女は剣士だ。
僕の仕事仲間であるアルアとエル。2人は姉妹だった。
「……アンタ、やっぱり妹には優しくない?」
「そんなことないよ……。とにかく、最近になって発見された薬草で、まだ禄に世に知られていない。今日の採取依頼というのは、研究用というわけだ」
「簡単な割に、妙に報酬が高かったわけね……」
「……『リスクには目を瞑れ』ということだろうね。下手をすれば未知の毒性がある植物だったかもしれない訳だから」
依頼の全容は以上。椅子に座ったままそんな説明をしている僕は、このパーティーの雑用係だ。2人の世話、買い出し、荷物持ち……だけどその扱いを悪く言う気は更々ない。
アルアは日頃乱暴な言動を繰り返しているけれど、戦いになると豊富な技と計算を元に、実に緻密な魔術戦を繰り広げる。エルは普段僕やアルアの陰に隠れるぐらい控えめだけど、戦いでは持ち前の運動神経に任せて、鬼神のごとく敵を切り刻む。2人とも年の割には実に優秀な戦士だ。
対して僕はただの学者崩れ。要職に就くには頭も、熱意も、ついでに言うなら確固たる地位に就くために謀略を張り巡らす強かさも足りなかったらしい。
大学を出た直後から路頭に迷いかけた僕だけど、培った知識や教養というのは存外無駄にはならなかった。交渉、取引、調査、分析――冒険者として必要な、だけど軽視されがちな領域を、僕は高いレベルで行うことができた。
戦う力のない僕を仲間として迎えてくれている2人のことは、感謝してもしきれない。
とは言えそれは別の話。今の僕は、酷く居心地が悪かった。
「どういうことよ! そういうのを事前に調べて対策するのはアンタの仕事でしょう!?」
「……アルアの仰る通りで。今回は全面的に僕が悪い。本当に済まなかった」
「そんな言葉で済むと思ってんの!? 私の体どうしてくれんのよ!」
「薬草の作用は時間が経てば落ち着くらしいから。しばらくは安静にしていてくれれば」
「そういう話をしてんじゃないのよ! 私たちをこんな目に遭わせるようじゃ、アンタがパーティーに居る意味なんか……!!」
安全に依頼を達成させるための調査・分析は僕の役割だった。それを果たせなかったことに対して、僕は当然ながら負い目を感じている。『報酬額が妙に高い』――確かにシグナルはあった。
だけど今のアルアの言動は――『パーティーに居る意味なんか』――僕の胸に嫌に刺さった。今日の彼女がいつもよりも妙にイライラしていることを差し引いても、だ。
「……何よ、その表情は」
「……別に」
「アンタ、自分の立場分かってんの……?」
アルアが立ち上がって一歩こちらに詰め寄ろうとする。僕は椅子に座ったまま微動だにしない。喧嘩まで一歩間近、彼女の後ろでエルがおろおろしているけれど、僕も引くつもりはない。
だけどアルアが足に体重をかけた瞬間のことだった。
「ふぐぅっ!?」
赤らむ頬と共に上がる苦悶の声。
薬草の作用だ。薬草の媚薬成分は沼地の泥に溶け込んでおり、踏み入れた者の足に染みこんでゆく。随分と強い成分らしく、革のブーツ程度では防御にならず、足にちょっとした刺激を与えるだけでも症状が起きるし、水で洗っても簡単には落ちない。
もっとも個人差があるのか、今のところ僕には何の異常も見られないのだけど。
「っ~! 何なのよ、あの薬草ぉ……」
「大丈夫、お姉ちゃん?」
「平気よ。だけど、足がゾワゾワして仕方ないわ……」
「私も……。ちょっと何かに、触るだけで、すごく、変な感じする……」
おかげで僕の毒気が抜けた。
この分だと、薬草の作用が落ち着くまでは安静にしたほうが良いかもしれない。戦うこともままあるこの仕事において、この症状は危険だ。
だけどそんな思考をする傍ら、僕はアルアとエルから目を反らした。
口に出したことは1度もないけれど、2人とも紛うことなく美少女だ。アルアは確かに乱暴だけど、その明るい態度には元気付けられることが多い。エルは引っ込み思案だけど、そのおしとやかな姿にはどこか庇護欲をそそられる。
そんな2人がどんな経緯であれ、媚薬作用で悶えているというのは、目の毒でしかないのだ。
だけど僕がふと2人に視線を戻してみると、彼女たちがこちらを見ていたことに気付く。それも『信じられない』という表情でだ。
「あ、あ、アンタ……! 何おっ立ててんのよ……!?」
アルアに言われてから気付く。僕の男性器はいつの間にか勃起していて、ズボンの中にあってもそれが一目瞭然なぐらい主張していたのだ。
「ご、ごめん!」
まずい――僕は率直にそう思った。アルアもエルも年頃の女の子だ。仲間の男が欲情するのはタブー中のタブー、1度湧き出た嫌悪感はどんなことをしても拭えるものではない。
僕はすぐに立ち上がって部屋を出て行こうとする。行く宛はないけれど、とにかく2人とは距離を取らなければならないと思った。それこそ、今晩は野宿も止むなしと思った。
「待ちなさいよ」
だけど僕のお尻が椅子から離れる瞬間、アルアが自分の足を上げる。そして間髪入れず、僕の男性器を踏みつけたのだ。
「っぁ――!?」
アルアの足の裏に、僕の男性器が衣服越しに潰される。痛みはない。その代わりにやってきたのは強い性的快感だった。
僕は一度は立ち上がったものの、踏まれた圧力と快感で再び椅子に戻される。僕は今、一体何をされている? ――頭が状況についてゆく前に、アルアの素足がグリグリと僕の股間を捻る。
「何アンタ、踏まれて感じてんの?」
「っ、ぁ、ぅ……!?」
アルアのエルも、ブーツの摩擦による刺激を避けるために素足だった。
(もっとも、今は風の流れにすら反応してしまうらしいけど)
その柔らかな足が、僕の勃起した男性器を捏ねてゆく。気持ちよくなるなというほうが無理のある話だろう。
「ちょ、ちょっとアルア! ど、どういうつもり!?」
「何よ。アンタがいやらしいこと考えてるから、お仕置きしてやってるだけじゃない」
アルアの回答に、僕は戸惑うしかなかった。
『お仕置き』――そんな言葉で説明が付くほど、僕たちは爛れた関係ではない。もしも普段のアルアであれば、僕は首から下を土に埋められて、散々魔術の的にされた後、そのまま一晩放置されるぐらいはあっただろう。
(それはそれで大概なんだけど……)
だからこそ、アルアが自分で色事に興じるような真似をするのは極めて不可解だった。彼女の妹のエルだって、彼女の後ろで真っ赤な顔のまま驚いた表情を浮かべている。
薬草の作用で冷静な判断力が失われているのだろうか? だけどアルアが足に体重をかけてきて、僕の思考が吹き飛ぶ。
「ほらほら、いつもみたいに何か反論しないの? 人の足なんかで気持ちよくなるなんて、変態のドMじゃない」
「ぅぁ……!? ぅ……!」
アルアの足がズリズリと縦に動く。陰茎を摩擦するような動きだ。
僕だってれっきとした男だ、彼女たちの目が届かない場所で独り事に及ぶこともある。性的快感の意味も理解している。それなのに、衣服の上からこんなにもぎこちない動きなのに、手で握るのとは気持ちよさが全然違うのだ。媚薬の作用なのだろうか。
おまけに今の光景――股間を踏み潰すアルアの足は、白くしなやかで美しい。人の足というのはこんなに扇情的なものだっただろうか?
僕を見下すような表情。普段はムッとさせられることも多い表情なのに、こうも頬を赤らめて、息を荒立たせ、時折喘ぎ声を上げられたら、侮蔑以外の感情を読み取れてしま……。
だけど僕はある事実に気付く。自分の快感ばかりに気を取られてしまっていたが……。
「っ、ほら、変態さーん? このままっ女の子に、んっ、されるがまま、ですか、ぁ……っ?」
「……ん?」
足をぎゅっと踏みしめる度に上がる甘い声。震える足。もしかしてアルアは……。
「……アルア。もしかして、足、感じてる?」
「は、はぁぁ!? わ、私がこんなことして感じてるわけ――」
それからの僕の行動は、自分の仮説を実証したかったのか、或いは単に魔が差したと言うべきか。僕はアルアが反論する最中に彼女の足首を掴んで、人差し指で足の裏をくすぐったのだ。
「んひゃぅぁぁんっ♡♡ んひゃっひひひひひぃぃっ! っ~~~~~~!!?」
「……やっぱり」
「んぁ、ぅ、ぁ……!」
アルアは腰をうねらせた後、部屋の床にそのまま倒れ込んでしまった。その時に上がった声は『笑い声』だけでは済まない何かだった。
「あ、アンタねぇぇぇっ!!?」
「ご、ごめん。つい……」
僕が自分で火に油を注ぐような行為をしてしまったことに気付いたのは、アルアがひとしきり体を震わせてからゆらりと立ち上がり始めた時だった。
僕は謝るけれど、アルアは間髪入れず、椅子に座っている僕の両足首を掴んで持ち上げたまま、股間を思いっきり踏みしめ始めたのだ。
「ぅあっ!? ぁぐっ! ぁぁぁぁぁっ!!?」
しかも1度踏むだけでは終わらない。アルアは僕の両足首を掴んだまま何度も、何度も、連続で踏みしめる。あまりに強く、速く、ドドドドドという音すら聞こえてきそうだ。
だけど痛いかと言えばそうではなく、ただひたすら強い快感がやってくる。僕はもう情けない声を上げることしかできなかった。
「っ、ぅ――! っ~~~~!?」
結局僕はアルアに股間を踏まれて射精した。
今までにない状況のせいか、自分で驚く程の精液が放出される。あまりに多いせいで、衣服にシミができて、アルアの足の裏をかすかに濡らしてしまう程だった。
もっとも僕が射精したとアルアが気付くまでにはタイムラグがある。僕が射精した後も、アルアはしばらく僕の股間を踏みつけ続けた。
「ほらほらぁぁぁ! いい加減反省したらどうなのよぉぉぉぉ!?」
「反省、してっ! してるからっ!? おねが、止め、やめぇぇ――!?」
射精が止まらない。それはまさに搾り取られたような心地だった。
僕が射精したことに気付くと、アルアはようやく足を離し、僕の足首を解放する。
「っ、ぐっ、はぁ……」
椅子の上でぐったり項垂れる僕。酷く疲れた気がする。
アルアは少し冷静になったのだろうか。立ったまま後ろを振り返って、エルが今までの珍事を見ていたことに気付くと、またこちらを向いてワナワナと震え始める。羞恥なのか怒りなのか。その心境は分からないけれど、何にせよすごく気まずい。
これからアルアは何をするのだろうか。冷静になった今、再び僕を糾弾するのが妥当な線だろうか。だけどこんな目に遭った今、どんな罵声を浴びせられても怒る気になれそうにない。
そう思っていたら、だ。
「エル! あなたもやっちゃいなさい!」
「「えぇ!?」」
僕とエルは同時に驚いた。
「さっき私がやってたの見てたでしょ! あーいうのやっちゃっていーから!!」
「ちょ、ちょっとアルア!?」
「お、お姉ちゃん!?」
「いーのよ! どうせこいつ何やっても悦んじゃう変態だから!!?」
アルアの目がグルグルと回っている。完全に気が動転しているようだ。
「ぅ……」
「ぁ……」
エルと目が合う。
その幼い顔は真っ赤で、すごく戸惑っている様子。それはそうだ、姉と仕事仲間のこんな光景を見せられて、挙げ句の果てに『おまえもやれ』だ。
アルアが乱心していても、エルはそうではない。これ以上何かあったら、僕は本当にこのパーティーにいられなくなってしまう。いよいよ本格的に今日は野宿をしたほうが良さそうだ。
そう思っていたら、今度はエルが口を開いた。
「……あ、あの、ね」
「う、うん」
エルが、椅子でぐったりしたままの僕に近付いて、おずおずと話しかけてくる。
……妙に距離が近い。荒立った吐息が首筋にかかる程。引っ込み思案な彼女の距離ではない。僕がそう狼狽えていると、エルはさらに驚くようなことを言うのだ。
「その、私も……。足の裏、くすぐって、みて欲しいな」
今度は僕とアルアが同時に、ぎょっとした表情を浮かべた。
「さっき、お姉ちゃんの足、くすぐったでしょ? それを、その、私にも」
「エル、い、いや、だってさっきのは、だって、え、え?」
確かに、僕はさっきアルアの足の裏をくすぐった。その結果、アルアはくすぐったさに笑いながらも明らかに性的な快感を示した。そして僕はやり返された。
……普通、それを見た後にこんなお願いをするか? ――僕は戸惑うばかりで、『はい』と『いいえ』とも答えられない。
そうこうしている内に、エルが僕の手を掴む。優しく、だけどいつものように控えめではなく、どこかがっついていて、何より艶めかしい手付きだ。
「ここだとやりにくい、から、こっちで」
エルは僕の答えを聞く前に、僕の手を引いてベッドに上がる。男女2人が1つのベッドに上がる――何だかアルアの時よりも、状況が悪化している気がする。
「……はい」
エルがベッドの上に座りながら、僕のほうに素足を差し出した。
小さい足。アルアが美しい足なら、エルは可愛らしい足だ。そして見るからに柔らかく、すべすべしていて、本当に第一線で戦っている剣士のものなのかと疑ってしまうぐらい。
足首と足の甲に少し力が入っていて、足の裏を下に向けている。それは首を曲げて遠慮がちに顔を俯かせる、いつもの彼女のようにも見えた。
「そ、その、本当に、良いんだね」
「うん」
そんなやり取りをしている最中、僕はもう怖くてアルアのほうを見れなかった。
僕はエルが差し出してきた彼女の右足首を掴む。それだけで『んっ』という小さな声が上がる。僕はゆっくり人差し指と中指、薬指で、彼女の土踏まずの辺りを撫でた。
「んっ!」
エルの口から小さく声が上がって、僕はつい指を止める。するとエルが物欲しげな顔で僕のことを見つめてくるから、また彼女の足の裏をくすぐり始める。
「ふぁっ、ぁ、ぁはっ、んぅっ、ふぅ~……!」
優しく、とにかく優しく。
普通、足の裏をくすぐられたらくすぐったくて居ても立ってもいられなくなるのが普通だろう。
だけどエルは笑い声を上げながらも、うっとりとした表情を浮かべている。足は逃げ出そうとしない。時折僕の指の動きに合わせて足首や指がピクンと動くだけ。
「その、エル。どんな感じ……?」
「んっ……。すごく、気持ちい……♡」
「そ、そう……」
「うん……。んっ、ぁんっ、ひゃはっ、ひゃ、ぁぁ……♡」
その反応は僕の予想とはどこまでもかけ離れていて、酷く扇情的だった。普段は声を出すことすら躊躇う女の子が足の裏をくすぐられて、頬を緩ませながら艶めかしい笑い声を上げ続けるなんて。
いっそのことゲラゲラと大きく口を開けて笑い出してくれれば、僕の気が楽になるかもしれないのに――一瞬脳裏をよぎるのはそんなこと。
そんな気持ちが、僕の動きに出てしまったのだろう。僕は一瞬だけ、エルの足の裏を爪で少し強めに引っ掻いてしまったのだ。
「んひゃぁぁんっ!?」
大きな悲鳴。エルの足がビクンと跳ねると同時に、僕の体も飛び上がった。
「ご、ごめん! い、痛かった!?」
「だ、大丈夫……」
僕は慌ててエルの足首を持ち上げて足の裏を確認する。傷はない。皮膚が赤らんでいる様子もない。どうやら女性の体に傷を付ける事態は避けられたようだ。
その後、エルが自分の足の裏をまじまじと見られて恥ずかしそうにしていることに気付いて、僕は慌ててエルの足首を放す。そして彼女の次の言葉は、僕をとことん困惑させる。
「そ、その……」
「ん? どうしたの、エル?」
「さ、さっきの。もっと、やって……」
「……え」
「その、さっきのカリっていうの……。すごくくすぐったくて、すごく気持ちよかったの……♡」
……頭がグルグルする。エルの言葉は、世界中のどんな言葉よりも淫靡なお願いに聞こえる。
僕の茹だった頭ではそのお願いに断ることができない。僕は彼女の望み通り、柔らかな土踏まずを爪でカリッと引っ掻いた。
「んぅぅぅっ!」
また跳ねる身体。僕は心臓をバクバクさせながらエルの様子を見届ける。
「もっと……♡」
「ぅ、うん……」
「んひゃっ!? ぁっ♡ んんんぅっ!? もっとっ、もっとぉっ♡」
カリッ、カリッ。最初は遠慮がちに、エルの様子を伺いながら引っ掻いていたのが、彼女に急かされて、続けざまに引っ掻くようになる。
カリッカリッカリッカリッカリカリカリカリカリカリ。
「んひゃぁぁぅっ!? ひゃっ、ぁはっ♡♡ ぁはぁぁっ♡♡ それっ、すごひっ、もっとっ、もっとぉっ♡♡♡」
土踏まずを爪先でくすぐり続ける――そんなことをされたら、普通は笑い転げるんじゃないだろうか? だけどエルは笑うどころか、どんどん艶のある声を上げ始める。
普段は大人しい子が僕の手で喘ぎ続けているというのは、すごく背徳的な光景だ。僕はぼうっと彼女が喘ぐ姿を見つめながら指を動かし続ける。思考が完全に蕩かされていた。姉のアルアが真っ赤な顔で僕たちの情事(?)を見つめ続けているのなんて気付かないぐらい。
そうしていたら、不意に強い快感がやってきた。
「ぅぅっ!!?」
股間への圧迫感。気付いた時には、エルが僕の股間に足を伸ばしていたのだ。僕がくすぐっているのはエルの右足の裏。股間を踏みつけたのは空いている左足だ。
しかもそれだけじゃない。足の指で器用に衣服をつまんで、僕の下半身を露出させてきたのだ。
「えっ、ちょ、ちょっと、エルっ!!?」
「ここ、気持ちいいんだよね? 私ばっかり、気持ちよくしてもらってるから、おかえし……♡」
1度は射精して、精液にまみれてなお再び勃起してしまっていた男性器が外気に晒される。そしてエルの左足が僕の男性器を擦ってゆく。
「っ、んぁっ、ぅぅ……!?」
「大丈夫、いじめない、よ。たくさん、気持ちよくしてあげる、から……♡」
アルアが僕に対してやったのと同じ――そう思っていたら、刺激が全く違っていて驚いた。
まず衣服を剥かれて男性器に直接触れてくるせいで、エルの足の裏の柔らかさが直接伝わってくる。
それと明らかに違うのは動きだ。アルアはただ激しく踏み込むように僕の男性器を責めてきた。だけどエルの動きは、踏み付けるというよりは『擦る』というほうが近い。
あまり体重をかけず、精液に汚れた男性器をスリスリと摩擦してゆく。と思いきや、今度は指先だけを動かしてくすぐってくる。
「っ」
「ここ、気持ちいいんだ……♡」
エルは僕の弱いところをどんどん見付けてくる。裏筋、カリ首、亀頭。あまりに気持ちよくて、足の裏をくすぐるのが自然と強くなってしまう。するとエルが敏感な反応を示す。
「んひゃぁぅっ♡♡ んふっ♡ ふふふ♡ それっ、いいぃっ♡♡」
「ぅくっ! エル、そんな、激しくしたら……!?」
そして僕がエルの足の裏を激しくくすぐればくすぐる程、今度はエルが僕の足の裏を激しく擦るようになる。そして僕がまたエルの足の裏を激しくくすぐり始める。
そうやって情事はどんどん激しくなってゆき、いつの間にか僕の限界に達していた。
「っぁ!? っ~~~~! っ~~~~~~~~!?」
僕は自分の男性器をエルの足の裏に優しく擦られたまま射精した。1度射精した後、しかも柔らかな刺激だというのに、先ほどよりもさらに多くの精液が出ているように感じられる。
それとエルだ。
「ふっ、ぅうぅんっ♡♡♡ っ~~~~~~!! ふぅっ、ふぅぅぅ……っ♡♡」
僕に向かってつま先までピンと伸ばされた両脚が、ぷるぷると震えている。
それに目元に涙を浮かべ、恍惚とした表情。もしかして、足の裏をくすぐられてイッてしまったのだろうか? 僕はエルの可愛らしく扇情的な貌から目を離せなかった。
「っはっ、ふぅ……。ふふふ……♡」
ややあってから、エルは荒立った息を整えるように深呼吸し始める。どうやら絶頂の余韻が落ち着いてきたらしい。
僕はそこでようやく彼女から目を離すことができて、それと同時にアルアが僕たちを見下ろしていることに気付いた。
「あわ、あわ、あわわわわ……!?」
アルアは顔を酷く不健康そうな紫色にして呆然としている。
これは羞恥、怒り、絶望……? 仲間としてそれなりに付き合いを重ねてきた僕でも、すごく読み取れない表情だ。僕は一体どうしたら良いのだろう? お互いに目が合ったまま沈黙するが、それを破ったのはエルだった。
「ねえ、お姉ちゃんもシようよ」
「ふぇぁぇっ!!?」
「お姉ちゃん、まだあまり気持ちよくなってないでしょう?」
「そ、そそそそそそそそそ!!?」
いつも引っ込み思案なエルがここまで色事(?)に食い下がるなんて。僕とアルアはもう驚いてばかりだ。特にアルアの動転のしようは酷い。
もっとも、そこから先の会話は、僕には理解できなかったのだけど。
「……お姉ちゃん。今って、チャンスじゃない?」
「んなっ、な、何の話を――!」
「お姉ちゃんが、私の気持ち、知ってるみたいに。私もお姉ちゃんの気持ち、知ってるよ?」
「っ~~~~!」
エルがクスッと笑う。その貌は僕が、きっとアルアですら今まで見たことがないぐらい、小悪魔のような表情を浮かべていた。
――――
――
「そ、その、僕」
「う、うううるさいわよ! アンタはそこでじっとしてなさい!」
「ごめんね。もうちょっとだけ、付き合って……♡」
僕はベッドから下りようとするけど、エルが僕を押さえ付けたまま衣服を脱がせようとしてくる。
僕は最初こそ抵抗するけど、エルの優しくも力強い手付きに圧倒される。ゆったり脱がせているはずなのに、力が万力のように強いのだ。この時ばかりは彼女が第一線で活躍する剣士であることを実感させられてしまう。
それで僕が裸になった後、今度はエルが衣服を脱ぎ始めて、続いてアルアが衣服を脱ぎ始める。
対称的な少女の体――どちらも細いが丸みを帯びていて、女性的な魅力は十分過ぎるほど。だけどアルアのほうが肉付きが良く、エルのほうが引き締まっているだろうか。2人とも陰毛が薄い……エルのほうは、それどころか生えていないようにも見える。
アルアはこちらを睨み付けながら両腕で胸と局部を隠し、エルは恥ずかしそうにしながらも後ろ手を組んでむしろ体を見せつけるようにしてくる。
「ジロジロ見てんじゃ――」
「だめだよ。お姉ちゃん」
「っ~~~~」
エルがアルアのことを窘めながら、僕たちをベッドの上に配置してゆく。僕はベッドの真ん中に座ったまま。その背後にエル、前方にアルア。
背後からエルが耳元で囁く。
「今度は、お姉ちゃんのこと、気持ちよくしてあげて。その間、私が気持ちよくしてあげるから」
一体何のことだろう――そう思った矢先、僕は飛び上がる心地がした。エルの手足が、僕の体の前面に出てきて愛撫を始めたのだ。
「っ、ぁ……!?」
「大丈夫だよ。力、抜いて。私に体を預けて……♡」
エルの両手は僕の胸に。5本の指を存分に使って、僕の胸板を撫で、乳輪をなぞり、僕が焦れたところで乳首をつまんでゆく。
そして両足は僕の男性器に。相も変わらず優しくも艶めかしい足遣い。だけど今度は先ほどと違って両足だ。両側から挟み込むようにして上下にしごく動きは、ずっと快感が大きい。
背中にエルの温かな体が当たる。少し小ぶりな、だけど柔らかな乳房の感触。
僕は性感帯を責められながらエルの格好を想像する。彼女は今、まるで丸太にでも抱き付くように、手足を開いて僕に抱き付いているのだ。普段のエルからは考えられないほど、下品でありながら扇情的な格好。
これだけでまた射精してしまいそう――そう思っていたら、突然お腹にドンという衝撃が走った。
「いたっ」
咽せそうになりながら痛みの部位を見ると、アルアが正面から、右足で僕のお腹を蹴っていたのだ。彼女はそのまま足を引っ込めることもなく、かかとをぐりぐりと押し込んでくる。
正直に言って痛い。痛いのだけど。……その表情を見て怒る気になる者はいないだろう。
「……何よ、デレデレしちゃって」
むすっとしたまま赤らんだ頬、顔を伏せているせいで無意識の内に上目遣いになって、こちらを遠慮がちに見つめている。
僕は意図を察して、お腹を踏み付けてくる右足を掴んで、その足の裏をくすぐり始めた。
「んぅぅ……っ!? ぁっ、ぁはっ、くはっ、ぁっはははははぁぁ……っ!?」
その瞬間アルアはすごく恥ずかしそうに顔を背けたけれど、艶の混じった笑い声を抑えることはできなかった。
僕はアルアの足の裏をくすぐり続ける。
「んぐぅっふふふふふふぅぅ……っ! ぁはっ、ひゃっ、ぁはっ、はひぃ……!」
ぷるぷると震え続ける足の裏。少し息苦しそうだ。
他の刺激はどうだろう? 僕はエルにしたのと同じように、爪で少し強く皮膚をカリッと引っ掻いてみた。
「くひゃぁぁぁっ!!? はひっ、はひっ、はひぃぃっひっひゃっははははははははははははぁぁぁぁぁーーっ!!」
震える全身。甲高い笑い声。足が跳ね上がるけれど、これは反射によるものだ。彼女自身に抵抗するような素振りはない。僕が足の裏を引っ掻き続けると、アルアは口を手で押さえながら、笑い声を上げ続けた。
「ぁっははははははひひひひっ!!? くしゅぐったひっ、くしゅぐったひいぃぃぃぃ!!?」
ここで僕はアルアとエルで差があることに気付く。同じ場所で同じ部位を、同じ薬草に侵されてしまった2人だけど、実際の感じ方は微妙に違うのだ。
エルはカリカリと爪先で強くくすぐればくすぐる程、性的快感を得ているように見えた。だけどアルアは、エルと同じようにくすぐってしまうと、性的快感よりもくすぐったさのほうが強く感じてしまうように見える。今の触り方では、アルアを気持ちよくさせるには不十分かもしれない。
どうすればアルアはもっと気持ちよくなるだろうか? ――僕は自分にできることを脳内に浮かべる。手のひら、指の腹、指先、爪、他に使えそうなのは……。
そして僕は結論に至るや否や、極めて無意識に、彼女の足を口に含んでしまったのだ。
「ふゃあぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!?」
アルアが飛び上がり悲鳴を上げてから、僕は『しまった!』と思った。咄嗟に口を離す。この状況にあって、冷静な判断力を失っていたと思った。
だけど僕がいくらビクビクしていても、アルアの口から怒声は飛んでこない。
「んぉっ、ぁ……♡♡ ぁぁぁ……!?」
それどころかブルルと震えるアルアの体。まるで何が起きたか理解できていないような呆然とした表情を浮かべているけれど、その声と吐息は先ほどよりも明らかに蕩けていて。
僕は彼女の指の間に、舌を這わせてみる。
「ひゃぅぁぁっ♡ んぉぉっ!!? ぉぉぉぉぉ……♡」
再び上がる喘ぎ声。アルアは自分の股間を手でバッと押さえた。
その反応を見て理解できない者はいないだろう。これこそが、アルアの足の裏にとって1番気持ちいいやり方だ。
それを理解すると、僕の行動に迷いがなくなる。僕はアルアの足を丁寧に舐めてゆく。
「っぅあぅぅぅっ♡♡ んくっ、何でずっと舐め――っ!? ぅあぉぉっ♡♡」
ここに来て、ようやく本当にアルアが気持ちよくなっている姿を見られたと思った。
彼女は感じるとき、口角を下げて、半ば呻くような喘ぎ声を上げる。口角を上げて嬉しそうに悶えるエルとは真逆だ。
もしかしたら人によってはアルアの喘ぎ声は少々下品に聞こえるかもしれない。だけど本当に気持ちいいからこそ出てしまう声なのだと思うと、僕をかえって興奮させた。
僕はアルアの足の裏の隅から隅まで舐め回して、彼女の反応を引き出してゆく。
「ふいぃぃぃぃ!!? そ、そこ、だめ――っ!! んんんんぅぅぅぅっ♡♡♡」
特に反応が良いのは、指の隙間だ。
指の側面、股、付け根……。そこを舌でくすぐるようにすると、足の震えが大きくなる。だけど無理やり引き剥がされることはなく、指が開いたり閉じたり、まるでどうすれば良いのか分からないと言う風に蠢く。
背後でエルがほうっとため息を付く。
「すごい……。お姉ちゃん、すごく、気持ちよさそ……♡」
「んくっ、エル……! ちょっと、激し……!?」
「いいの、これは、ご褒美だから♡ だからたくさん、気持ちよくなって……♡」
激しくなる僕への愛撫。乳首を指で絶えずくすぐられ、男性器を足の裏で激しくこすられる。
それに釣られて、僕も激しくアルアの足の裏を舐め回すようになる。
「んぉっ、ぉぉぉぉっ♡♡♡ だめ、これ以上は――!!? ひっ、あっ、ぁっぁっぁぁぁぁっ♡♡♡」
より強い反応を示すアルア。それだけじゃない、彼女は自分の股間を自分の手で、控えめに揉みほぐすように慰めていた。
僕とアルアの快感は上り詰め、僕たちはほとんど同時に絶頂を迎える。アルアの喘ぎ声は、僕の微かな悲鳴よりもずっと大きい。
「っふぅぅぅぅっ♡♡♡ っぁひっ!!? っ~~~~~~~~~~~~~~!!! っぉ゛♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!?」
きっと僕が彼女の足の裏をずっと舐め続けているからだろう。足を舐められて女性器から潮を噴き出す人なんて、見聞きしたのは初めてかもしれない。
僕が射精の倦怠感を覚えていると、背後でエルが囁く。
「お疲れ様♡」
「う、うん」
だけど僕はそれに応えながらも、目の前の光景のほうが気になっていた。
「んぉ……っ♡ ひっ、ぁ……♡」
アルアはベッドに横たわったままひゅーひゅーと息を鳴らしている。顔は真っ赤、下半身は体液にまみれ、夜通しまぐわってもこんな風にはならないんじゃないだろうか。
だけどややあると、アルアの荒立った呼吸がぴたっと止まる。そして勢い良く起き上がると、僕のことを睨み付けるのだ。
「納得いかない」
「な、何が……?」
「私だけやられっぱなしって、おかしいでしょ!?」
「僕は最初、君にやられたんだけど」
「それはアンタが悪いんでしょ――ってそうじゃなくって! アレは本気じゃないっていうか、私のほうがずっと気持ちよかったのが何かっていうか……」
散々乱れた後でもこんなに元気に喚き立てられるのは、さすがは冒険者と言うべきか。だけどその言葉は要領を得ない。
アルアは口をもごもご動かしながら『ぁー』とか『ぅー』とか散々唸った後に、上目遣いで言うのだ。
「……私だって、アンタをもっと気持ちよくできるんだから」
今日のアルアは、時々妙にドキッとさせる表情を浮かべる。普段の明るくて、我が儘で、乱暴で、捻くれている彼女のものではない。お淑やかで、献身的で、柔らかく、恥ずかしそうではあるが真っ直ぐ。
エルが後ろでクスクス笑う。
「だってさ。もっと、できるよね?」
……今日のエルは、ずっと心臓をバクバクさせる。良い意味でも悪い意味でも。
だけどその言葉をはね除けることはできない。もう何回も射精しているというのに、僕の男性器は未だ硬いままだったから。僕もまた薬草の影響を受けているということだろうか。
僕は2人に促されて、ベッドの真ん中に寝る。
すると2人は僕の足下に座る。右側にアルア、左側にエル。
「エル、あなたもするの?」
「もちろん。だめ?」
「んぐ……。まぁ、いいけど」
2人はひとしきり会話すると、僕のほうに向かって片足ずつ出してくる。アルアは右足、エルは左足。両側から伸びる2本の足が、僕の男性器を擦り始めたのだ。
エルが囁く。
「どう? 気持ちいい?」
「ぅ、うん……っ」
その返答を聞いてアルアがほっとした表情で笑う。
「ふ、ふん。当たり前でしょ? 誰がシてやってると思ってんのよ」
素直に答えざるを得ないぐらい、2人の足は気持ち良かった。
「どう、よ……っ! 私だって、上手いでしょ……?」
「うふふ。私は何だか、もう慣れちゃった♡」
こうして見ると、アルアとエルは姉妹なだけあって目鼻立ちとかは似ているけれど、正反対な2人なんだなと感じる。
「ふふん。何よ、ぼーっとしちゃって」
「だって、その、アルアの足、すごく気持ちよくて……」
「そ、そんなに……?」
「う、うん……」
「……ふーん、そう。なら、もっとしてあげるわ……♡」
足の裏で踏みつけるようにして圧迫感を与えてくるアルア。しかしその力加減は極めて優しくて心地よい。
普段の明るい態度はどこへやら、その表情は恥ずかしそうで、だけど一生懸命で、献身的。そんな彼女のことを見ていると、不思議と庇護欲が湧き出してくる。
「~♡」
「ぅぁっ!? エル、ちょっと……!」
「ん~? 何ぃ♡」
「指先で、そうやるのは……!」
「でも、気持ちいいでしょ? だから、たくさん、してあげる♡」
指先でなぞるようにしてくすぐったさを与えてくるエル。時には強く、時には弱い力加減で、僕の神経を翻弄する。
普段の控えめな様子からは想像できないぐらい、その表情は蠱惑的。彼女に優しく囁かれながら苛められると、不思議と背筋がゾクゾクするのはどうしてだろう。
「お姉ちゃん、こっち押さえててあげる♡」
「あ、ありがと。それじゃ、たくさん踏んでやろうかしら……♡」
「ぁ、ここ空いてるから、こちょこちょしちゃお♡」
「なら私は、ここ踏んでやる……♡」
そして相反する2人が、同時に僕の男性器を邪魔することなく刺激してゆく。戦闘時に2人の連携にはいつも感嘆していたけれど、こんなときですら活かされるものなのか。まるで蛇が絡み合うような動きだ。
「ぅあっ、ぁ、くっ、ぅぅ……!?」
あまりに気持ちよくて、僕も声を我慢できなくなってしまう。自分の情けない声に辟易としてしまいそうだけど、どうやら声を我慢できないのは僕だけではないらしい。
「っぁぅっ、ぉ……♡ あ、足が、っぁー……♡」
「んぅんっ♡ ひゃっ、ぁっ、気持ちぃ……っ♡」
2人の口から上がる確かな喘ぎ声。
ふと気付くと、エルのもう片方の足――右足が僕の目の前に伸びていた。彼女と目が合う、挑発的で悪戯っぽい、だけどどこか期待しているような眼差し。
僕は彼女の望みどおり、差し出された足の裏をくすぐり始めた。
「んひゃっはははははぁっ♡♡♡ ぁっ♡ ふっぅうぅんっ♡♡ ぁっあっぁっぁぁぁっ♡♡」
足の裏を指先でくすぐられてまた喘ぎ声を上げるエル。だけど心なしか先ほどよりも声が高く大きい気がする。僕とアルアの情事で興奮してしまったのか、それともタガが外れてしまったのか。
ややあって、脇腹にドンという衝撃が来る。僕が咽せながらそこを見ると、今度はアルアが片足――左足をぐりぐりと押し込んでいた。ムスッとしていて、だけど明らかに何かを期待している眼差し。
僕は彼女の望みも叶えるために、差し出された足を掴んで舌で舐め始めた。
「んぅうぅぅぅっ♡♡♡ ぉっ、ぉ゛ぉぉぉぉぉ♡♡♡ ぁ゛ーー♡♡♡」
もう隠すつもりもないのだろうか、アルアは臆面もなく喘ぎ声を上げる。先ほど絶頂したばかりのせいだろうか、より敏感になっているように思えた。
……今の光景は、第三者から見ればさぞ珍妙なことだろう。大の男が、麗しい姉妹に男性器を足で踏みつけられながら、残った足をくすぐり、舐めているのだから。
「っ、アルア、エル、僕、そろそろ……!」
「何よっ、もうイッちゃうの……っ♡ いいわよ、好きに出しなさ――ぁぅ゛ぁぁっ♡♡♡ ちょっ、喋ってるときにっ、舐めなっ、ひゃ、ぁ゛ぁあぅぉぉぉぉっ♡♡♡」
「ふぅ、ぅぅぅっ♡♡♡ いいよっ、だけどっ、私たちのことも、気持ちよくしてぇぇっ♡♡♡ んひゃっ、ひゃぁあぁぁぁ、ぁあぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」
だけど僕たちはこれ以上なく興奮していた。何の妨げもなく上ってゆく性感。それに伴って激しさを増す情事。
終わりはそう遠くはなかった。
僕たちはまた同時に絶頂した。
僕はけっして独りでは味わえないであろう快感に襲われる。だけど彼女たちはそれ以上だ。一体どれだけ気持ちいいのだろうか想像できない程の、それぞれ違った反応を見せる。
エルは嬉しそうに、本当に嬉しそうに絶頂する。
「んぁぅぅぅぅぅっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!! ひゃっ、ぁぁぁぁぁっ♡♡♡♡ ぁはっ♡♡♡ ふぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~、ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
口を結んで、だけど口角を上げて、小さな鼻から歓喜の吐息を漏らす。その様子は鼻歌を歌っているようにも思える。
アルアの乱れた様子は、あまりの気持ちよさを表しているよう。
「ぉ゛っ、ぉおぉぉぉぉっ♡♡♡♡ ぁ゛♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? ひッ♡♡♡♡ ぉ゛っ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
口を開けて、唇を突き出して、取り繕うことのない濁った声を上げる。彼女は気持ちいいときほどこういう声を上げるのだ。
そんな2人の足を、僕の精液が汚してゆく。
自分の体液だけど、あまり触れて気持ちの良いものではないと思っている。それでも彼女たちは、絶頂の最中でも足に精液を纏わせながら、僕の男性器を刺激してゆく。最後の一滴まで搾り取られるような感覚。
だけど僕も負けじと最後まで彼女たちの足の裏をくすぐり、舐めてゆく。
「ぁあぁぁぁっ♡♡♡♡ すごひっ♡♡♡ 足っ、くしゅぐったくて、気持ちひっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
「ちょっ、待――♡♡♡♡ イッてぅ゛っ、イッてるから舐めるのやめ――っ♡♡♡♡ んぉ゛ぉあぅぉぉぉ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~、ぁ゛~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
果たして足の裏を愛撫されているからだろうか、まさか僕の男性器を足で刺激しているからだろうか。2人の突き出された両足の間からは潮が噴き出していた。
――――
――
4度の射精ともなると、さすがに薬草の作用があっても辛くなってくる。息が切れるし、視界もグルグルと回る。
僕は突き出された両足を放して、そのまま両手を広げて寝る。思わず意識を手放してしまいそうだ。僕が大の字になってぼうっと倒れていると、ややあってから姉妹が添い寝するように倒れ込んできた。
「ぁー。私、何やってんだろ」
右からアルアの声。心底『今の状況が信じられない』という声音だけど、先刻までの怒気がさっぱり消えている。
「うふふ。だけど、楽しかったよ」
左からエルの声。相も変わらず途切れ途切れに紡がれる言葉。だけどこんなに明るく、表情を見て取れるような声は、今まで聞いたことがない。
「その、ごめん」
「何がよ」
僕の謝罪に、アルアが反応した。
「こんな目に遭わせて」
「もう良いわよ」
「だけどアルア、すごく怒ってたじゃない」
「確かに怒ってたけど、それは、アンタに、その、あんな姿見せるの……。それに、なんかもう一足飛びで解決したって言うか……」
「……ごめん、よく分からないんだけど」
「ぁーもう何でもないわよ。黙ってなさい」
アルアにそう言われて、僕は黙ることにした。隣でエルがクスクス笑っている。僕は2人の会話を聞く。
「ねぇ、あの薬草、まだ沼にたくさんあったよね」
「そりゃ、採っても採ってもなくなんないぐらいあったけど……って、あなた、まさか」
「ふふふ♡」
「……あなた、正気じゃないわよ」
「お姉ちゃんは、嫌?」
「ぅ……」
沈黙。
だけど数呼吸した後、僕の脚に突然むず痒さが走った。2人がほぼ同時に、僕に脚を絡めてきたのだ。足についた精液はいつの間にか拭き取っていたらしい。僕が横になってぼうっとしていた時だろうか。
……そんなことよりも。脚を絡め、足を擦り付けられる感触。それを感じていると……
「アンタ……何おっ立ててんのよ……」
「ご、ごめん……」
だけどアルアの声は、怒った声ではない。僕もあまり焦らなかった。何だか一晩で随分関係性が変わった気がする。
「これは、その、生理現象だから。僕も、今日は、もう無理」
「何よ、意気地なし……」
「ぇ~? もう終わり?」
「2人とも……」
満更でもなさそうな様子のアルア。心底楽しそうな様子のエル。2人が僕の脚に脚を絡め続ける。そんなことをされたら眠れそうにない。
僕はそう思いながらも、2人の心地良い脚の感触を手放したくなくて、ベッドの上で仰向けに倒れたままぼうっとし続けるのだった。