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◆あらすじ
新人AV女優『あいり』がお仕事に向かった先は、足の裏くすぐり責めの撮影でした。足裏の1番くすぐったい部位をローション付きで激しくくすぐられて、最初は思わずスタッフを罵倒するほど辛かった彼女。しかし乳首・クリ責めでイカされると、体の感覚がおかしくなってゆきます。やがてくすぐったさを快楽と認識し始めてしまって……。
あるレンタルスタジオの一室――明るい照明で、ピンクを貴重とした女の子らしい部屋。そんな場所で、私はAVの撮影を行っていた。
「何、この状況……」
私――名前はあいり(もちろん本名じゃない)。男性ウケの良い黒髪ロングストレートに童顔。一方で胸がFカップと大きめなのがひそかな自慢。私がAV女優になったのは、そんな見た目を活かして稼ぎたかったからだった。
AV女優として事務所と契約を交わしてまだ間もなく、撮影を行ったのは片手で足りる回数程度で、いまだに現場に行くと緊張する時期。そんな中、事務所から『大きな仕事を貰えたよ』と言われて意気揚々と向かった先が今回だった。
今までの撮影では割と当たり障りなくヤることをヤっていただけだったのだけど……。
「あの、これ……」
「はい、どうしました?」
私が不安そうに尋ねると、監督が応じる。やや細身で、メガネをかけていて、人が良さそうな比較的若い男の人だ。
自分の服装を見る――JKモノの制服。白いシャツと赤いリボン、チェックの短めのスカート。中は白のブラジャーとショーツ。ついでに素足。これは問題ない、よくある人気のやつだ。
次に自分の体勢を見る――私は椅子に座ったまま拘束されている。これもまぁ問題ない。いわゆるSMというやつだ。私みたいな新人には些かハードだけど、それでもよくある人気のやつ。
そして拘束具を見る――きっとそういうことをするために作られた椅子なのだろう。どっしりとした作りで、肘置きに革製の拘束具が巻き付いていて、手首と肘を固定する。座面はゴムか何かでできていて、柔らかいけれど水気を弾く素材。そこからも拘束具が伸びていて、私の腰を拘束している。可愛らしい部屋には随分ミスマッチだけど、これもまぁ、うん。
――問題は足だ。
「その、足の拘束、随分と厳重ですね」
私の脚はちょっと開かれていて、体の前に投げ出すような姿勢。そしてその足首が、大きな板で拘束されているのだ。
中世の処刑とか拷問とかで、頭とか手首を拘束する穴の空いた板(さらし台って言うんだっけ?)があるけれど、まさにそれと同じような道具で、両足首だけが拘束されている。おまけに足の指1本1本に結束バンドのようなものが巻き付いていて、足をよじることも、丸めることもできない。
つまるところ単なるSMにしては、足の拘束だけが妙に頑丈なのだ。
「えぇ、今回の撮影において重要な部分ですので、足は絶対に動かせないようになっています。……あ、キツ過ぎて痛いとかはありませんか?」
「いえ、大丈夫です……」
カメラが私の真正面に設置される。そのレンズは私の胸だとかアソコだとかよりも、拘束された足の裏をフォーカスしているよう。
……やっぱり変だ。私は不安に耐えられなくなって、再び監督に尋ねた。
「その、これから、どんな撮影をするんですか」
「はい。これから3時間程に渡って、足の裏のくすぐりプレイを撮影させていただきます」
「く、くすぐり……っ?」
「そちらの事務所様から、あいりさんに『話は通してあるから、時間のこともあるしすぐに撮影を始めてくれ』とお伺いしましたが。……その、もう1度お打ち合わせしたほうがよろしいでしょうか?」
……やられた。私の所属する事務所は、結構そういうところがある。抜けているかと思いきや、どこか狡猾なところがあるというか。
「あー、いえ! だ、大丈夫です、はい……」
「そ、そうですか」
打ち合わせを事務所任せにしたり、禄に内容を聞かなかったり。きっとこういう仕事の仕方をしてはいけないのだろう。だけど元より身を粉にして働く仕事、今回は多少の理不尽に目をつむらなければ。
それにしても、だ。
「足の裏を、くすぐり、ねぇ……」
世の中にはそういうのが好きな人も居るらしい。人にくすぐられたのなんて子供の時以来かもしれない。
それがどんな感じなのか全く想像が付かなくて不安もあるのだけど。まぁ、人が良さそうな監督さんだし大丈夫でしょう――私はそう思ったのだ。
「それでは撮影を始めますが」
準備が整ったらしい。私は制服姿で頑丈な椅子に拘束されている。カメラは真正面。私の顔と、胸と、アソコと、そして真正面を向いた足の裏を全て収められる位置。
「作品のコンセプトの都合上、スタッフからはできるだけお声がけしないように致しますのでご容赦ください。」
「は、はぁ……」
「その代わり、台本などは一切ございませんので。あいりさんには、ぜひとも生の反応を期待させていただきます」
今までの撮影では、男優さんとお話することはもちろんあったし、お芝居みたいなことをすることもあったのだけど。どうやら私の知らないこだわりを持っている監督らしい。
沈黙――これから行われることも相まって、こんなに緊張しているのは初めてAVを撮影したとき以来かもしれない。
そして撮影が始まる。
「…………」
インタビューだとか、イメージシーンだとかの撮影はない。いきなり本番だ。
カメラが、私の全身を舐めるように撮影してゆくのを感じる。まず全身が映って、私の顔をアップ、そして胸、お腹、アソコと下がってゆき、最後に足の裏。さらし台のような板に拘束された足の裏を念入りに撮影されるというのは、意外と恥ずかしい。思わず足にきゅっと力が入る。
私の足に変なところはないはず――サイズは23cmとちょっと、平均ぐらいの大きさか。何かスポーツをしていた訳でもなく、怪我とかシミとか変形とかはなく、扁平足でもない。マニアではないからどう評価すれば良いのか分からないけれど、私としてはきれいな足だと思う。
「っ」
スタッフが近付いてくる。若い女性、同業者だと言われても信じてしまうぐらいきれいな人。そしてやや深爪。
彼女はカメラの邪魔にならないように、私の右足の側にしゃがみ込むと、そのまま足の裏をスッと撫でたのだ。
「んふっ!?」
指先の爪が当たらない部分で、右足の中指の付け根辺りから踵までを一掻き。それだけで私の顔が引き攣って、鼻から笑い声が漏れる。私の足の指を拘束しているバンドがギチリと鳴った。
今度は人差し指を中指を交互にカリカリと動かしながら、同じルートを通ってゆく。
「んふっひっ!? ひっ、ひふふふふぅ……!?」
(これ、思ったより、キツいかも……)
足の裏をくすぐられるというのは、思いの外くすぐったかった。私は女性の手の動きを見て『来る!』と備えるけれど、それでも笑いそうになるのを我慢することはできないし、体がビクンと跳ねてしまう。私はこんなにくすぐったがりだっただろうか?
私は足を動かそうとするけれど、女性の指から逃げられる気配が全くない。
指の一本一本まで拘束している結束バンド――これが厄介だった。人間というのは、足首と指を拘束されたら、足を全く動かせなくなってしまうものらしい。さらし台みたいな板による足首の拘束だけなら、まだ足をよじったり丸めたりしてくすぐったさから逃れられたかもしれないのに。
「んくっ、ふふふふぇぇ……っ!? 増えっ、るのぉ……!?」
私がたった1人のくすぐり責めに一杯一杯になっている内に、もう1人のスタッフが近付いてくる。また女性。やっぱりこの人も凄くきれいで、やや深爪。
「っくぅ……! いやっ、もっ、きつひっひひひひ、からぁ……!?」
これから2人がかりで足の裏をくすぐられる――そのくすぐったさを想像すると、私は拒絶の声を上げざるを得ない。だけど拘束されている以上、逃げることもできない。
もう1人の女性は私の拒絶なんてまるで無視して、空いていた左足の裏をくすぐり始めたのだ。
「んひゅぁっふふふふふふぅぅっ!? んぁっ、ひゃはっ、ひゃはひゃぁぁ~~~~……っ!?」
右足の裏は、先ほどからずっと2本の指先ですりすりとなぞられている。そして左足の裏は、両手のひらでさわさわと愛でるように撫で回され始めるのだ。
私は自分の笑い声が一段階大きくなっているのを自覚した。
手のひらで撫で回されるなんて、普段なら何てことのない動きかもしれない。だけど『くすぐられている』と思うと、そんな何てことのない動きもくすぐったく感じられてしまう。今のシチュエーション自体が、私の足の裏をさらにくすぐったがりに変えているのだ。
だけど両足の裏をくすぐられ始めてからそう長くないタイミングで、一度くすぐり責めが止んだ。
「はふ……っ!? はっ……はーっ、はーー……!」
私は息を整える。
撮影が始まって、まだ2~3分と行ったところだろうか? それなのに、私は軽く走ったときのように息を切らしている。全身が軽く汗ばんでいて、特に足の指の辺りだとかがじっとりとしていて気持ち悪い。
始まったばかりでもうこの体たらく、今日の撮影はちょっと大変かもしれない――それは甘い認識だった。今日の撮影は、『ちょっと』どころではなく大変なのだ。
「ヒ――!?」
私は虚空を向いていた自分の視線を両足に向けてから、悲鳴を上げた。
「っ、やめて、くださ……っ!? そんなの、見せないで……!」
くすぐり責めはまだ再開されていない。だけど2人の女性たちが、私の足の前で手をわきわきと蠢かせているのだ。無言ではあるけれど、カメラには映らないこちら側でうっすらとした笑みを浮かべながら。
この人たちの筋肉だとか神経だとかはどうなっているのだろう? ――そう思ってしまう程、1本1本の指が独立して、器用に蠢く指。こんな指にくすぐられてしまったら、どれだけくすぐったいのだろう?
「んくっ、ひひひひひ……!? いやっ、ひっ、ひひひぃぃ……!?」
思わず笑い声が上がる。私の足の裏が、くすぐられるのを想像してしまっている。
私は目の前の光景に耐えられなくなって、とうとう女性たちの手から目を背ける――その瞬間だった。彼女たちが、その思いっきり蠢く指で、私の足の裏をくすぐり始めたのだ。
「ぅひぁうぁぁぁぁぁぁっ!!? ぁはっ、ぁあぁぁぁーーーーっ!!?」
先ほどまでのが『すりすり』『さわさわ』だとしたら、今度のは『こちょこちょ』だ。
ようやく始まった本格的なくすぐり責め。当然、先ほどよりもずっとくすぐったかった。
「ひゃーーっはっははははははははははははひっ、はひぃぃぃぃっ!!? やだやだやだやだぁぁぁぁっはっひっはっはははははははははははははははは!!」
私は当たり前のように笑い悶える。こんなに楽しくも面白くもない『笑い』があるものなのかと関心してしまう。
足の裏をくすぐられるというのは、すごく変な感じがした。『痛い』とも『熱い』とも違う、不可解な感覚。指先のほんの小さな動きで全身が暴れ出してしまう理不尽感。胸やアソコを触られるわけではないのに、こんなことをされて笑った顔を見られるのが無性に恥ずかしい。
生まれて二十数年、初めて『くすぐり』というものと真剣に向き合ってみたけれど、率直に言って好きになれるものではなかった。早く終わって欲しいと思った。
「んひっ、んひっ、んひぃぃっひひひひひひひひひひひっ!!? なっ、なにっ!!? 何してるのぉぉっんくふっひっひひひひひひひひひひひひひひっ!!?」
だけど私は酷く嫌な予感がしていた。
今のままでも十分にくすぐったいというのに、何というか、まだ先を感じさせるような雰囲気が漂っている。女性たちの表情とか指の動きとかが私にそう思わせるのだろうか、明らかに余裕が見て取れるのだ。
そして次の瞬間、その嫌な予感は現実のものとなる。
ガリガリガリガリ!
「っっ~~~~~~!!!? っかは――!!? ヒっ!!? ぁ゛はッ!!!? ぁ゛ーーーーっはっはっははははははははははははははははははははははははははは!!!? なひっ!!? 何しひゃーーっはっははははははははははははははははははははは!!!?」
あまりに強烈で、何が起きたか分からなくて、一瞬息が詰まる。その後無意識の内に笑い出してから、それが『くすぐったさ』であることを理解した。
2人の女性たちが、私の足の裏を爪で引っ掻き始めたのだ。指の付け根から、踵まで、何度も往復するように。
「や゛めっ!!? やめでぇぇぇぇぇぇぇっへっへへへへへへへへへへへへへひぃぃぃぃぃっ!!!? そぇ゛っ、くしゅぐったひっ!!? くしゅぐったすぎるからぁぁぁぁぁぁっはっはっはははははははははははははぁ゛あぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
足の裏全体を爪先で思いっきり掻き毟るような動き。そのあまりに過激な見た目に反して、力加減は驚くほど絶妙にコントロールされていた。
たぶん腕に力はかかっていない。爪先に指と手のひらの重みを乗せた程度の圧力。丁寧に磨かれていてツルツルに丸まったやや深爪の指先が、ほんの少しだけ皮膚に食い込むぐらい。そのくすぐり方はちっとも痛くなくて、信じられない程くすぐったい。
そしてその圧力は常に一定。情熱的にすら見える激しい動きに対して、その爪先は常に冷静に、1番効果的な圧力を加え続けている。
私は直感的に悟った。これは、この女性たちが私の足の裏を分析して編み出した、私にとってもっともくすぐったいくすぐり方なのだ――と。
「だめっ、こわれるっ!!? そんなにぐしゅぐったくしだら、あしのうら壊れるからぁぁぁぁっはっははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!?」
あまりにくすぐったくて、私は全身を揺すって暴れ出す。
足の裏の筋肉がめちゃくちゃに動き出す。足を丸めようとしたり、のけ反らせようとしたり、指を開いたり、閉じたり――だけど指の1本1本まで拘束されているのだから、そのどれも叶わない。ギチギチギチと足の指を拘束しているバンドが鳴るだけだった。
「んぉ゛っひぃぃぃっ!!? やだっ、そこっ、やめ、弱いから――ぁ゛ーーーーーー!!!? ぁ゛はっ!!? あは!!!! ぁ゛ーーーーっはっははははははははははははははははははははははははははは!!!?」
同じくすぐり方でも、特にくすぐったい部位というのも存在する。足の指と土踏まずの間にある、膨らんだ部分――そここそが、私が全身のありとあらゆる部位の中でもっともくすぐったい部位だったのだ。
そこを爪が横切る度に、私の笑い声はまた一段階高くなる。全身が私の意志に反して暴れ出す。そしてそうやって私が行動で以て弱点を晒すと、女性たちはそこを集中的にくすぐってくるのだ。
「い゛やッ!!!? もっ、やめでっ!!? むりっ、撮影っ、とめでっ!!? むりだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!? とめでよぉぉぉぉぁぁっはっはははははははははははははぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
『撮影を止めて』――普通のAVを撮影していれば、絶対に言わないであろう台詞を叫ぶ。それでもスタッフたちは粛々と撮影を続ける。
その様子は、撮影が始まる前に監督が言った通りだった。私が何の救いもなくくすぐり犯される光景を見て、世のマニアックな男性たちは興奮するのだ。
そして長い時間が経った気がしてから、またくすぐり責めが止まる。
「っっはっ、ひーっ、ひーっ!!? ひーーーーっ!!」
息は絶え絶え、全身は汗だく。シャツが透けて白のブラが透けて見えている。いつの間にか目尻から涙が垂れていた。
辛い――それは『くすぐったさ』によるものだ。散々笑ったせいで呼吸が苦しくはあるのだけど、それは大した問題ではない。何なら、今ならフルマラソンやトライアスロンだって望んでやってやれる気がする。だけどもうくすぐられるのは嫌だ。たとえ私がクジラのような肺活量を持っていたとしてもだ――それぐらい、『くすぐったい』という感覚は私にとって耐えがたいものだった。
だけど現実は非情と言うべきか、私はまた悲鳴を上げることになる。
「ひっ、ひぃぃぃ……ッ!!? 何、それぇぇぇぇ……!?」
ねっとりとしたくすぐったさと、ひんやりと冷たい感触――女性たちが私の足の裏にローションを塗り始めていた。
他の撮影でも、ローションを胸とかアソコとかに塗って愛撫されたことはある。だけど今、そのローションは足の裏に塗られていて。ローションの付いた指がにゅるにゅると皮膚の表面を蠢くだけで、もうくすぐったくて。
当然、それだけで終わるわけがない。誰だって想像が付くだろう。私は、これから、ローションでぬるぬるになった足の裏をくすぐられる? ――それは何て、何て……。
「ばかじゃないの……!!? ばかじゃないのぉぉぉっ!!? そんなっ、死んじゃぅ……!? 頭っ、おかし……! ばかっ、ばかぁぁぁぁぁっ!!」
私は、これがAVの撮影ということすら忘れて、ここに居る全員を罵倒し始めた。
どうしてこんな次から次へとくすぐったいことを思い付くのか理解できない。この人たちは私をくすぐり殺す気だ。
だけど私が罵倒で肺の空気を吐き尽くして息を大きく吸ったのと、足の裏にローションを塗り終えたのは、奇しくも同じタイミングだったのだ。
ガリガリガリガリガリ!!
「っっっ~~~~~~~~~~!!!? ふぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!? ぁ゛はっ!!? ぁ゛ーーーーっはっはははははははははははははははははははははははは!!!!」
足の裏に走る強烈なくすぐったさに、部屋全体がビリビリと震えるぐらい、大きな笑い声を上げ始めたのだった。
「ひっぎゃきっ!!!? 引っ掻ぎっ!!? ひっ、ぃぎっ、ひぁ゛あぁぁぁぁぁっはっはっははっはははははははははははははははははははははははは!!!?」
私が1番くすぐったく感じる、指の付け根の膨らんだ部分をガリガリガリと爪で引っ掻くような動き――それが更に強く行われている。
きっと先ほどまでなら、爪が深く食い込み過ぎて少し痛く、くすぐったさが大きく損なわれていた力加減なのだろう。だけどローションが塗られた今では、爪が多少強く食い込んでも皮膚の上をニュルニュルと滑らかにすべるため、ちっとも痛くない。そしてそれ以上にくすぐったい。追加された圧力が全てくすぐったさに変換されているようだ。
「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!? ごべんなさひっ!!? ごめ――な゛びゃーーーーっはっはっははははははははははははははははははははははははははは!!!?」
私は拘束されている腰を一生懸命振りながら、意味もなく謝罪を繰り返す。
けっしてエッチな気分になっているわけではない。くすぐったさが背筋をゾゾゾと上って脳天にまで響いてくるような気がして、腰に纏わり付いたくすぐったさを振り払わなければ居ても立ってもいられなかったのだ。
謝罪は先ほど罵倒したことに対してなのだろうか、自分でもよく分からない。そして女性たちは、私がどれだけ謝っても、くすぐる手をちっとも緩めてはくれない。それどころか、ますます張り切ってくすぐってきている気がする。
私は気付いていないのだ。そういう無様な言動は、人の嗜虐心というものをくすぐるだけなのだと。
「ぃや゛りゃぁあぁぁぁぁぁっははっはははははははははははははははははははっ!!!? くしゅぐったひのいやぁぁぁぁぁぁ!!!! もぉくしゅぐらないでぇぇぇぇぇぇっひっひゃっははははははははははははははははぁ゛ぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
セックスするわけでもない、性器を露出するわけでもない、ただ足の裏をくすぐるだけ。私は快感に悶えることもなく、ただ阿呆みたいに笑い転げるだけ。
こんなの作品、見て何が楽しいのだろう。こんなのを見る男たち、そもそもこんなのを撮っている目の前の奴らの気が知れない。
そう思っていたのだけど、今撮影しているのは紛れもなくAVなのだ――私はそのことをこれから散々思い知らされることになる。
いつの間にか、女性スタッフが私の背後に立っていた。
これで3人目。やっぱりきれいな人で、やや深爪。その人は、私が来ているシャツのボタンを外して、ブラジャーを上にズラしてきたのだ。
Fカップの、童顔にしてはなかなか見応えのある胸が露出する。普段の私なら多少なりとも恥ずかしがるところだけど、こんなにも足の裏をくすぐられていたら露出程度気にしてはいられない。
「ひゃ゛ーーーーっはっはっははははははははははははははははははっ!!!? くしゅぐったひっ、くしゅぐったひぃぃぃぃっひっひひひひひひひゃーーっははははははははははははははははははははは!!!!」
私は相も変わらず笑い続けていたし、むしろ脱がされていることに気付きながらも、どこか他人事のようにすら感じられていた。
そうしていたら、その女性は私の乳首をこねくり回し始めたのだ。
「んぉぅっ!? ひゃっ♡ ぁっ!?」
くすぐったさに混じる快感。くすぐられていたことによる何らかの生理現象だろうか、私のピンク色の乳首はいつの間にか勃起していた。
私は一瞬だけ甘い声を上げるけれど、気持ちよさに耽るには足の裏があまりにくすぐった過ぎた。
「ぅ゛あぁぁっはっはっはははははははははははははははは!!!? あしっ、あしぃ゛ぃぃぃっひっひひひひゃひゃははははははははははははははははははははっ!!!!」
私が喘ぎ声を上げたのは一瞬だけで、すぐに元の笑い声に戻ってしまう。
ふにふに、くりくりと乳首をこねられ続ける。それでも足の裏のほうが何倍もくすぐったい。足りない、足りない、足りない!
「もっどっ、ちくびっ、もっとしでよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!? こりこりっでぇぇぇぇぇ、ちゃんど乳首気持ちよぐしでよぉぉぉぉぉぁぁぁぁっはっははははははははははははははひっ、はひっ、はひぃぃぃぃぃっひっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!?」
くすぐったさから逃れたい――私はその一心で、いつの間にか卑猥な言葉を吐き出し始めていた。きっと体が思いっきり気持ちよくなれば、くすぐったさも気にならなくなるだろうと思ったのだ。
拘束された体に一生懸命力を込めて、胸を揺らして、腰を振る。
そして女性は私の望み通り、今度スカートを捲り上げて、ショーツの上から私のアソコをいじり始めるのだ。
「んひゅぅぁぅっ♡♡♡♡ んぐひっ!!? んひーーっひっひひひひひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃぃぃっ!!!? もっとしでっ!!!! まだくしゅぐったひから゛ぁぁぁぁぁっひゃっはっはははははははははははははははははははは!!!?」
クリトリスを指先でカリカリと引っ掻くような動き。ショーツの上からだから、ちょっと強すぎる愛撫が絶妙な塩梅になってすごく気持ちいい。
だけど口から出るのはまだ笑い声だ。
「ぅ゛ぁあぁあぁぁあぁぁぁっははははははははははははははははははははははっ!!!? もっとっ、も゛っどぉぉぉぉぉぉぁぅ゛ぁああっはっははははははははははははははははぁあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
『もっと、もっと』――私は笑いながら何度もおねだりする。
左手で乳首をクリクリ、右手でクリトリスをカリカリ。その動きはどんどん速く、激しくなってゆく。すごく気持ちいい。
くすぐったさは全然止むことはないけれど、それでも性感は確実に上ってゆく。アソコが愛液で濡れて、ヒクヒク蠢きだし、イキそうになっている。
「はぐぅぅぅぅっ!!!? んぐひっ!!? ぃぎっひひひひひひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!? はぐっ、ぁはっ、はひっ、はひっ、んぐふぅぅぅぅぅぅっ!!!?」
私は快感に意識を集中させる。頑張ってイこうとする。くすぐったさが邪魔をするけれど、それでも頑張って快楽を受け入れようとする。
足の裏を酷くくすぐられている最中の絶頂――それは私にとって突破口のように思えた。
だけど私は勘違いしていた。3人目の女性による快楽責めは、くすぐったさを忘れさせるためにある――のではない。これはAVでありながら、どこまで行っても『足の裏をくすぐるAV』なのだ。
異変が訪れたのは、乳首とクリトリスをこねられて絶頂した瞬間のことだった。
「ぁ――♡♡♡ イく――ッ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!? んぁ゛っひ!!!? ぃひゃっははははははははははは!!!!? な゛、くしゅぐったひ――!!!? っ~~~~~~~~~~~~~~!!!! ぅあ゛っははははははははははははははははははは!!!?」
腰がビクンと跳ねて、アソコから愛液がドロォっと漏れ出してゆく。あまりに弱い絶頂。足の裏は相も変わらず死ぬほどくすぐったい。あぁ、絶頂の最中ですら私は笑い悶えなければならないのか
だけど何かが違う。
「な――ッ!!! あしっ、なに――!!!? くしゅぐったっ、くしゅぐった、ひ――!!!? んひっ♡♡♡♡ ぁはひッ!!!? ぃっ、いいいぃぃぃぃぃぃぃぃ――!!!?」
足の裏がくすぐったいだけじゃない。ゾワゾワ、ゾワゾワ――何だろう、子宮が疼く。
そんな私の戸惑いを知ってか知らずか、足の裏へのくすぐり責めと、性感帯への快楽責めは続く。
「ぁひゃっ、ぁ゛はっ、ぁはっひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!? まだっ、くしゅぐったひぃぃぃぃぁああぁぁぁぁっはっはっははははははははははははははははははははははは!!!? ぁは♡♡♡♡ んぁぁぁぁ♡♡♡♡ ぁーーっはっはっははははははははははははははは!!!?」
私の笑い声が自然と大きくなる。イッた後はくすぐったいのが更に強くなるらしい。それは酷く残酷で、すごく辛く苦しいことだ。
だけどやっぱり何かがおかしい。先ほどよりも明らかにくすぐったいはずなのに、どこか辛くない。ランナーズハイ? ――違う。さっき自分で思ったじゃないか。息苦しさは大した問題じゃないって。『くすぐったい』のが辛いんだって。
その『くすぐったい』のが辛くなくなっているのだ。まるで体が受け入れ始めて……。
「んぉっひっ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡ ぁはッ!!!? あっはははははははははははははははは♡♡♡♡ へ――ッ!!? っ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
また絶頂する。乳首とクリトリスの気持ちよさはそう変わらない。それなのに、先ほどよりも大きな絶頂が私を襲った。
足の裏のくすぐったさが、脚の芯を通って子宮まで響いてくるような気がする。足の裏をくすぐられる度に、アソコが餌を求める魚のように、ぱくぱくと蠢くのだ。
ショーツにシミが広がってゆく。私の背後で快楽責めをしていた女性がそれに気付いて、ショーツをハサミで切ってしまった。スカートは短いから、カメラからではアソコが丸見えだ。薄く、短く、逆三角形に整えられた陰毛と、ぱくぱく蠢くアソコが撮られる。
「んぇぇっへへへへへへへへへへへへへへへッ!!!? 待っでっ!!!? まっでぇぇぇっへへへへへへへへへへへへへへへへ♡♡♡♡ なんかっ、やばっ、わたひッ!!!? ぇっへへへへへへへへへへぇ゛えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!?」
その間、乳首とクリトリスへの快楽責めが止んで、足の裏だけをくすぐられ続ける。
目を背けたくなるような感覚だった。死ぬほどくすぐったい。それなのに、快楽責めがなくなっているというのに、乳首とアソコが酷く疼くのだ。
「待――ッ!!!? わだひっ、あしっ、くしゅぐられてイ――♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!? ぁはっひ♡♡♡♡ ひひひひひひひひひひひひひひ♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
そして私は、足の裏をくすぐられるだけでイッた。もう目を背けることもできない。私は間違いなく、足の裏をくすぐられて気持ちよくなっていたのだ。
そこから先は、まるで坂を転げ落ちるようだった。
「ひぃぃーーーーっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひッ♡♡♡♡ な゛――ッ!!!? くしゅぐ――ッ!!!? きもひっ、イぐ――♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!? ぁはひゃひゃぁぁぁーーーーーーーーーーーーッ♡♡♡♡♡」
それを快楽だと自覚してしまった私は、神経がバカになってしまったみたいにイキ始める。
元々、ローションでぬるぬるになった足の裏のくすぐったさというのは、乳首やクリトリスをつままれる気持ちよさよりもずっと強い感覚だったのだ。そんな感覚を性的快感だと認識してしまったら、絶頂だってずっと強くなるのは当然だった。
そしてイクたびに、脳が『やっぱり、くすぐられるのって気持ちいい』と認識して、ますます強烈にイクようになってしまう。
今まで散々苦しいと思っていた『くすぐったさ』を受け入れるようになると、羽根が生えたかのように、心身共に軽くなる。自分の意志で、もっとくすぐったくなりたいと思い始める。
「ぁはッ♡♡♡♡ ふひゃぁぁあぁっはっははははははははははははははははははははッ!!!? なひっ、ぁはひっ、はひっ、はひぃゃぁっはっはははははははははははははははは♡♡♡♡♡ ッ~~~~~~、~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!?」
拘束を引きちぎろうとして手足をバタバタ動かそうとはしない。あまりのくすぐったさに体の至るところがビクンビクンと痙攣するけれど、それでもできる限り力を抜いて、ゾワゾワという快感が全身を抵抗なく通り抜けるようにする。
くすぐられている足の筋肉を柔らかくする。そしてほんのちょっと反らせて、足の裏の皮膚を伸ばす。すると女性たちの指が動かしやすくなって、さらにくすぐったくなる。
声帯と横隔膜も弛緩させる。声を我慢せず、不必要に叫ぶこともしない。くすぐったいときに、感じるがままの笑い声と喘ぎ声を出す。するとどれだけ笑っても苦しくなくて、すごく気持ちよくなって、どんどんイケそうな気がするのだ。
「あしっ、しゅごひッ♡♡♡♡ ぃひっ、いひぃぃっ♡♡♡ くしゅぐったくてっ、あへっ、はへっ、はひぃぃぃぃぃっっひひひひひひひひひひひひ♡♡♡♡ ひゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!? ひゃはっははははひゃ~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
くすぐったさを完全に受け入れてしまった私の姿は、カメラから見たらすごく無様なことだろう。
顔は涙と鼻水、涎でグシャグシャ。口からは笑い声だけでなく、『あへっあへっ』だか『はひっはひっ』だかよく分からない声も出ている。体は痙攣を繰り返し、乳首とクリトリスは硬く勃起して、アソコはパクパク蠢きながら愛液でドロドロ――今までの撮影でも、こんなみっともない姿を晒したことはない。
「ぁはっ♡♡♡♡ ぁあぁぁぁっひゃっはっはははははははははははははははははははははっ♡♡♡♡ あし、あしぃぃぃっひっひゃっはっはっははははははははははははっ!!!? はぅうぅんっ♡♡♡♡♡ んひッ!!? っひ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
他のプレイを織り交ぜることもなく、姿勢を変えることすらせず、時折乳首とアソコを触りながら、ひたすら足の裏をくすぐられるだけ。変わることと言ったら、カメラのアングルと、足の裏くすぐる手付きぐらいだろうか。
足の裏へのくすぐりは、相も変わらず絶妙だった。すごく激しくて、くすぐったいのに、ちっとも痛くない。こんなに長い時間くすぐられていても、皮膚がヒリヒリしないのだ。時折ローションを追加で塗られるから、足の裏は常に最適なコンディションが保たれている。
私は心の中をピンク一色に染めて、これがAVの撮影だということすら忘れて、快楽を貪り続ける。この部屋には時計がないし、そもそもあへあへになった私には時計の針なんて見えないけれど――私が堕ちたよりもずっと長い時間、足の裏へのくすぐり責めは続くのだ。
だから長い長いくすぐり責めの後に突然全身の快感が止まると、私は酷く驚いた。
「ふあひゃっ!!? ひゃっ、ぁ゛……っ!!? っはーーーー……っ!! はぁーー……!? はぁぁぁ……!?」
女性たちの指が一斉に私から離れた瞬間、私は全身を跳ねさせた後、大きく呼吸する。トリップしていて気付かなかったけれど、私の体は随分と消耗していたらしい。息がゼエゼエと切れているし、全身も重い。
私は自分の体を鑑みることに精一杯で、くすぐり責めを突然止めた意図を察することもできなかった。
どうして突然くすぐるのを止めたのか? ――それはもうすぐ時間が終わるから。もうすぐ終わるならどうする? つまりラストスパートだ。
私が一際大きく息を吸い込んだ瞬間、今までで1番強いくすぐったさが足の裏を包み込んだ。
「――っっっふぎゃぁあぁぁぁぁっはっはっはははははははははははははははははははははっ♡♡♡♡ なひっ、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!? しぬ゛っ!!? くしゅぐったくて死ぅぅぅぁっはっはっはっはっはっはっはっはははははははははははははは♡♡♡♡♡」
とにかく速く、強く、激しい、掻き毟るようなくすぐり責め。
恐らく、今まで温存していたであろう、過去最大のくすぐったさ。それもそうだ。こんなに激しくくすぐられてしまったら、足の裏だってヒリヒリと痛くなってしまう。
だからこのくすぐったさは、束の間だけ味わうことができる極上の快感だ。
「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!? ぁは――♡♡♡♡ ひ~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡ ひゃは――♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
足の裏が壊れるほどの快感をぶつけられた私は、最後の絶頂を迎える。
檻に入れられた獣のような喘ぎ声があふれる。暴れるつもりなんてなかったのに、全身の筋肉が酷く収縮する。バツ、バツ、バツン! ――何かが勢い良く千切れる音と、解放感。あまりに強い絶頂のせいで、私は拘束具を引きちぎっていた。
背中が大きくのけ反る。腕がピンと伸びて突っ張る。足の指が自由に動く。だけど私がくすぐり責めから逃げることはない。その場で体を痙攣させて、そして足の裏をほんのちょっと反らせて、くすぐったさを受け入れ続けるのだ。
「ぁはひッ♡♡♡♡ っ~~~~~~~~~~~~~~!!!? しゅご――♡♡ くしゅぐ――♡♡♡ 気持ひ――♡♡♡♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡♡♡♡♡」
全身が数度ビグビグビグと収縮して、アソコから潮がビュービューと噴き出た瞬間、永い永いくすぐり責めが終わった。
私のことをくすぐっていた3人の女性たちは、ゆっくりとカメラの視界外に去ってゆく。蔑むことも愛でることもなく、最初から最後まで粛々としていて。無機質的とでも言うのだろうか、すごい拘りを感じさせる。
もっとも、私の目にはそんな女性たちの姿は映っていないのだけど。
「ぅひ――っ♡♡ ひひひひ……♡ ひっ!? ひっ、ひぃぃ……♡♡♡」
まだ足の裏がくすぐったい。私の脳は依然としてくすぐり責めが続いているものと誤認していた。
そのせいで、全身が自由になっても、椅子に座ったまま笑い声を上げ続ける。アソコはピュッピュッと名残惜しそうに潮を噴き出し続ける。その姿は、まるで処刑を受けた囚人の末路のようだ。
そんな完全に堕ちて放心状態な私の姿――体液でグショグショになった顔、硬く勃起し続ける乳首、ぱっくり開いてドロドロの液体を漏らす秘部、そして筋肉がビクビクと痙攣し続ける少し赤くなった足の裏を、正面のカメラはじっくりねっとりと撮影し続けるのだった。
――――
――
『足の裏くすぐり絶頂堕ちノンストップ180分 あいり』とかいうふざけたタイトルのAVは、私の予想に反して大好評を博したらしい。
そりゃニッチなジャンルだから、販売本数自体が爆発的に伸びたというわけではない。
だけどやらせのない本気の足の裏くすぐり責め。それに生の反応でイキ狂う、そこそこの見た目の女優。それがノーカットで3時間――そんな作品はマニアの間では結構貴重らしく、私への報酬を含む多額のコストを余裕でペイできる売上が出たようだった。
そんな成果なんて、私にとってははっきり言ってどうでも良かった。あんな死ぬほど辛い撮影はもう二度としなくない――そんな感想しか抱けなかった。
……はずなのにね。
「またご協力いただき本当にありがとうございます」
「いえ……」
あの惨劇から何ヶ月か後のこと。例のAVの監督は、私に対してうれしそうに深々と頭を下げる。私はなぜか、彼と打ち合わせを行っていたのだ。
「続編の撮影の前に、1つお話があるのですが。もしよろしければ、私共と専属契約を結んではいただけないでしょうか?」
「……専属、ですか?」
専属契約――メーカーと結ぶことで長期間のお仕事が約束される、この業界においてほんの一握りの売れっ子にだけ許される『特権』だ。
「ええ。何分、前の作品が大変好評いただきましたので。あいりさんは容姿も反応も素晴らしいもので、今後も定期的に撮影させていただけたらと。もちろん、今まで以上の報酬もお約束致します」
「…………」
専属契約において、確かに報酬は大切な話なのだろう。だけどそれ以上に今の私にとって大切なのは、このメーカーの作品を何本も撮ってゆくということだ。
そう。ただの1本の例外などなく、これから何本、上手くいけば何十本にも渡って、くすぐりプレイ専門のビデオを……。
「そちらの事務所様とは既にお話してあります。『大変なジャンルなので、本人と話し合った上で』ということらしいのですが。如何でしょうか?」
……やられた。私の所属する事務所は、結構そういうところがある。抜けているかと思いきや、どこか狡猾なところがあるというか。
あんな目に遭って、そんな質問をされたら、答えなんて1つしかないじゃないか。
「……やります♡」
報酬、人気、やりがい――そのどれもがどうでも良かった。
それでも引き受ける理由? そんなの、くすぐられたいからに決まっているじゃないか。
性的快感よりも気持ちいいくすぐったさ、筋肉が跳ねる甘い感覚、強く抱き締められるような心地良い息苦しさ、誰も助けてくれない中で何度も笑いイカされるという蠱惑的なシチュエーション――私は先の一件で完全に目覚めてしまっていたのだ。
それから私は詳細な契約内容を半分聞き流してから二つ返事で承諾する。そして現場へ。
待ち構える大きな拘束具。多種多様な道具。そして今度は以前よりも多い、くすぐり役の女性スタッフたち。
「~♡」
これから行われるのは、足の裏くすぐり絶頂の続編だ。私はすっかり発情した表情を浮かべながら、足の裏にきゅっと力を込めて、甘美な撮影の時間に臨むのだった。